(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060177
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】透析器用血流計測表示装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A61M1/16 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167358
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000126757
【氏名又は名称】株式会社アドバンス
(72)【発明者】
【氏名】大内 俊治
(72)【発明者】
【氏名】濱田 洋
(72)【発明者】
【氏名】今井 和貞
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH15
4C077HH21
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】
ダイアライザ内の血流を可視化して、動作を監視し、十分な透析が所定時間内におこなえるような測定表示装置を提案する。
【解決手段】
ダイアライザの表面の対向面に装着される少なくとも一対の光源と受光体からなるセンサユニット、前記受光体で受光した受光量に基づく受光情報を取得する受光情報取得手段、前記受光情報取得手段でえられた受光情報と、受光位置情報から透析器の各部の血流状態を測定表示する表示手段よりなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアライザの表面の対向面に装着される少なくとも一対の光源と受光体からなるセンサユニット、前記受光体で受光した受光量に基づく受光情報を取得する受光情報取得手段、前記受光情報取得手段でえられた受光情報と、受光位置情報から透析器の各部の血流状態を測定表示する測定表示手段よりなる血液透析器用血流測定表示装置。
【請求項2】
前記センサユニットがダイアライザの長軸に対して垂直な円周上を所定の間隔で配置したセンサユニット環状体、前記環状体を長軸に対して、血液の入口から出口まで、所定間隔で、配置した、センサユニットアレイを形成する請求項1に記載の血液透析器用血流測定表示装置。
【請求項3】
前記センサユニットは、ダイアライザの同一円周上に複数所定の間隔で配置されている請求項1に記載の血液透析器用血流測定表示装置。
【請求項4】
1つのセンサユニットの光源は、他のセンサユニットの受光体と一対化してセンサ動作を行う請求項3に記載の血液透析器用血流測定表示装置。
【請求項5】
前記センサユニットに対し、ダイアライザの周囲を所定角度で回転させる回転駆動ユニットを設けた請求項1に記載の血液透析用血流測定表示装置。
【請求項6】
前記センサユニットがダイアライザの長軸方向に平行に所定間隔で移動させる摺動駆動ユニットを備えた請求項1に記載の血液透析用血流測定表示装置。
【請求項7】
前記センサユニットの移動するごとに得られる受光データから、透過量、周波数スペクトル情報を出力する処理ユニットを含む請求項5、6に記載の血液透析用血流測定装置。
【請求項8】
前記光源がLED、レーザー出力ダイオード、チップ状のLED、レーザー出力ダイオードから選ばれた請求項1,2に記載の血液透析用血流測定表示装置。
【請求項9】
前記測定表示手段と前記受光情報取得手段は、無線媒体で接続されている請求項1に記載の血液透析用血流測定表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液透析に用いられるダイアライザ内の血流状態を測定する透析器用血流計測表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液透析治療において用いられるダイアライザ(透析器)は、血液に対し透析と限外濾過作用を行う場であり、尿となって体外へ放出されるべき不要な水の除去、及び 老廃物の除去の為の人工腎臓の主要部である。
透析器(ダイアライザ)には、約一万本の中空糸膜が、束ねられて上下の端部で固定されており、内部を血液が通過し、外側を透析液が流れる構造となっており、中空糸膜の内外を逆方向に血液と透析液が流れる為、様々な力が加わり、実際の透析効果に偏りが生じる場合がある。
【0003】
各中空糸内部を血液が流れ、各中空糸膜の外側を透析液が流れるよう工夫されているが、実際は、透析液の流れが偏ったり(チャネリング)、血液の流れがタンパク質の付着により目詰まる現象を生じさせたりする場合(ファウリング)がある。
又、血液が中空糸膜内部に残り、透析効率がその分下がる場合があり、通常、透析治療時にダイアライザの外観から、残血部を目視で判断し、なるべく残血を解消するための処置が施されているが、内部の状態を把握できるとは限らない。又、透析液の流れが偏ると、中空糸表面に透析液が接触しない部位が形成される為、透析効率が低下する場合がある。
ダイアライザの血流の偏りや残血は、穿刺解除前に、検出されて、補充した透析治療が行われることが患者にとっても負担が無く、十分な除水と透析を透析治療時間内に行うことが好ましい。
【0004】
特開2007-167109 号公報には、中空糸膜のファウリングや、血液のヘマクリット値の変化などにより、静脈圧及び透析液圧は徐々に変化する。ことが記載され、この静脈圧を検出するセンサと透析液圧センサを用いて、 治療開始後に、血液回路の静脈側から静脈圧を検出するとともに、透析液ラインから透析圧を検出し、少なくともこれら静脈圧及 び透析液圧のいずれか一方の検出値を得て、この検出値の一定時間における圧力変動幅が設定範囲内に収まった時点で警報監視操作を開始することで警報監視の開始を最適な時点に設定することができるとともに、一度設定しかつ必要に応じて解除した警報監視設定を再度確実に自動的に設定し得るものであり、これにより警報システムの誤警報を無くすことが記載されている。
【0005】
再表2006/106916号公報には、ダイアライザを常に好適な状態で使用する上で重要なことは、血液の浄化を直接行う中空糸膜の細孔の目詰まりの管理(モニタリング)であることが記載され、血液回路内の圧力を測定すると共に、透析液圧を測定し、この血液回路内の圧力と透析液内の圧力を測定し、これらの差が所定の値を超えると、逆濾過の使用を開始する制御ユニットが記載されている。
【0006】
特開2004-187990号公報には、血液透析治療を準備段階のプライミング工程から返血までを自動化するための工程であって、
血液ポンプ、第3送液手段、オーバーフローラインに設けた回路ライン開閉手段および静脈チャンバー接続部の下流側回路に設けた回路ライン開閉手段を制御することによって、血液透析開始前における管内洗浄を自動的に行うことで人件費、コストの削減を計ろうとすることが記載されている。
【0007】
特開2005-538752号公報には、ヘマトクリットの相対的変化を求める為の血管アクセスブラッド流量の経皮的測定のためのLEDセンサが開示されており、
色素希釈法(indicator dilution technique)を用いて定期的血液透析中に血管アクセス流量を測定するべくインジケータ(指示物質)を上流側に注入し、その濃度を血管アクセス部位を通って流れる血液中の下流側で検出することで、血流速度、等を測定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-167109 号公報
【特許文献2】再表2006/106916号公報
【特許文献3】特開2004-187990号公報
【特許文献4】特表2005-538752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
国内での透析治療は、ダイアライザ及び血液回路を形成するチューブは使い捨てになるため、常に新しいダイアライザを含む血液回路が用いられるものの、使う前には、洗浄(プライミング)が必要であるが、たとえ洗浄したとしても、透析液の流れの偏り(チャネリング)、血液の流れがタンパク質の付着により目詰まる現象(ファウリング)及び残血の発生が解消されるとは限らず、一度、目詰まりが生じたり、残血が発生すると、戻るべき血液が戻らない場合や、老廃物の除去が充分に行われない等、透析効率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に鑑み本発明は、ダイアライザの表面の対向する面に装着される少なくとも一対の発光体と受光体からなるセンサユニット、前記受光体で受光した受光量に基づく受光情報を取得する受光情報取得手段、前記受光情報取得手段でえられた受光情報と、受光位置情報から透析器の各部の血流状態を測定表示する表示手段より組み合わせ構成により、
透析治療時、ダイアライザ内の血流状態をリアルタイムで観察することができ、目に見えない、透析器内部の血流状況を測定することで、ダイアライザの内部の偏流、目詰まり、残血の表示を可能とする。
【0011】
本発明は、ダイアライザを透過する発光体と受光体の組み合わせにより、透過によって得られる受光量から、血液の流れを透析治療中観察することをできるようにし、目視しにくい偏流、目詰まり、残血等の状態を検出して、透析治療時間中に警報表示を行い、医療従事者へ知らせる等、透析効率の改善を可能とする。
本発明における発光体の波長は、 830~900mm好ましくは、840~870 が例示される。(LEDの規格表に基づいた記載で、適当な範囲があれば修正して下さい)又、ヘモグロビン等吸収波長に近似する805nm~880nmの波長を備えることで、ヘモグロビンに対応する透過光量を血流状態として測定する場合もある。
その他ダイアライザを透過する波長の光で、あれば使用可能である。
又、レーザーチップ光源が指向性が強く単一で、血流量の算出を可能とする等の点で好ましい。LEDチップの場合は、拡散するため、指向性を持たせるためにレンズを装着して使用することが好ましい。
レーザー光は、血流量、速度等の値を算出することができることから、両者を組み合わせた場合、血流量、血流速度と血流分布が測定できるようになり、人工腎臓としての機能をリアルタイムで測定可能とする。
【0012】
本発明における受光体は、赤外光、その他、ダイアライザを透過する光を出力する光源に対応した受光を行う半導体であれば良く、フォトダイオード、フォトトランジスタ、これらを含む受信モジュール等が例示される。
本発明では、この一対のセンサをダイアライザの長軸に対し、垂直方向に対向する形で円周上に配置されることが例示され、この円周上には、4組から8組の一対のセンサが配置されたり、円周上を一定角度で所定の時間間隔で回転停止する構成にしてもよい。
尚、一対のセンサを形成する発光体と受光体間の透過光量を検出するだけでなく、一対の発光体と、例えば、他の一対のセンサを形成する受光体間の透過光量を検出して、血流分布を測定する場合もある。これは、例えばLEDの指向性が低くより広範囲を照射する場合、他の一対のセンサの受光体で、受光光量を測定可能とすることから、この光量に基づき、血流分布のより精度の高い検出が可能となる場合がある。
【0013】
LEDは小型で、安価であり、赤外線のダイアライザ内を透過するものであれば、その他の光源でも良い。
尚、透過光は、血球の量により、変化し、光源の光の強さ等によっても変化することから、予め測定した最大透過光量(例えば、生理食塩水をダイアライザに流した場合の透過光量)により、除算することで、光源の種類、強度に関係の無いに値に規格化して、これをリアルタイムで表示していく他、フーリエ変換することで得られるスペクトル値から血液の濃度値を取得したり、血球を特定し、2点法により、血流速度を算出したりしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、血液透析治療時に、ダイアライザ内での血流の変化や挙動をリアルタイムに測定でき、測定した透過光量をコンピュータ、スマートフォン等のコンピュータ端末のモニターデイスプレイで表示することで、透析効率の変化や、内部残血の測定を可能とし、ブラッドアクセス部の穿刺を解除する前に、透析の効率を修正することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図7】本発明の他の実施例の動作を説明するための図。
【
図8】本発明の他の実施例の動作を説明するための図。
【
図9】本発明の他の実施例の動作を説明するための図。
【
図10】本発明の他の実施例の動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ダイアライザの側面から赤外光を発光する発光体とダイアライザを透過した赤外光を受光する受光体の組み合わせによるセンサを用いて透過光量を計測し、この計測位置と、透過光量に基づいた値に基づき、ダイアライザ内での透過光量の2次元的又は3次元的表示を可能とすることから、透過光量を左右する赤血球の状態、量が測定して、ダイアライザ内の血流状態を表示し、目詰まり、血液の偏りを検出することができる。
例えば、透過光量の測定は、ダイアライザの側面の1乃至複数の箇所に光学センサを及び光学センサを固定する固定具、センサに変調電気信号を送信する送信部、センサが受光して光電変換した電気信号を出力する出力部、 ダイアライザの他の部位から同様の電気信号を出力する出力部、当該出力から透過光量を求める演算処理部、当該演算処理部から得られた値を2次元以上で表示し、血流の状態を示す表示部の組み合わせによって行われる。
【0017】
本発明は、ダイアライザの外部から、内部血流の状態を透過光量の分布から測定できるが、光学センサは、ダイアライザの周囲に対向する様に配置する一対のセンサユニットを形成すること及び、同じ円周上に更に複数の一対のセンサユニットを配置することで、より精度が高い、血流状態が検出できる。
例えば
図1のダイアライザ100に異なる量の赤血球を供給した場合に上部センサ帯106、中間センサ帯107、下部センサ帯108によりそれぞれ透過光量を測定すると 例えば、
図4で示すように赤血球を投入する前の透過光量が2.00から2.10(V)であり、その後、赤血球を投入したところ、透過光量が1.5前後まで低下し、その後、赤血球の数を増やすと、透過光量も低下していく状態を示すことから、赤血球の数と透過光量の変化を予め測定しておき、透過光量から赤血球のおおよその数を得ることができる。尚、この場合、ダイアライザの材質、製造元の違いにより、透過度が変化することから、 予めダイアライザ毎に、材質と透過光量の関係を求めておくことで、透過光量を校正することが好ましい。
【0018】
本発明で用いる光源(LED)の発光態様は、例えば、1つの円周上に一対のセンサを配置し、これを上部、中部、下部の3カ所設けた場合は、1つの円周上に対し、1msec~2minの範囲で具体的には30msec、1min、2minの間隔で切り替えて発光させる。その他の円周上のセンサは、発光しているLEDの発光に影響を受けるため、休止させることが好ましい。
又、センサユニットについてダイアライザ周辺をらせん状に動かしたり、ダイアライザの長軸に垂直な方向に回動する一対のセンサユニットを、上下3~5カ所に設けたマニュピレータを用いてもよい。
又、医療従事者が持つ携帯端末に信号処理機能と個々の患者のダイアライザの血流状態を表示する表示機能をソフトウェアで形成し、WiFi等の無線伝達手段をもちいてることで、ダイアライザに装着されるセンサ構成を簡素化して、装着されるダイアライザへの負担を軽減した構成も例示される。
【実施例0019】
図1は、本発明の一実施例を示す図であり、当該図を用いて本発明を詳細に説明する。
100は、ダイアライザ(透析器)であって、半透明な円筒体で形成され、内部に約1万本の中空糸膜が収容され、長軸方向の両端には、血液の入出力部、両端近傍の側面には、透析液の入出力部が形成されている。
101は、ダイアライザ(透析器)の側面を示し、ダイアライザ100の長軸方向に対して垂直な位置であって、円周状の側面を示し、各センサ帯を装着する部位である。
102は、血液入力部であり、患者のブラッドアクセス部の脱血部から延びた血液回路の管状体と接続し、患者の透析するための血液を入力する部分である。
【0020】
103は、血液出力部であり、ダイアライザ内で、透析、限外濾過が行われ、老廃物の除去と除水が行われた後の浄化された血液をブラッドアクセス部の穿刺した導管で形成される返血部へ出力する為の部分である。
104は、透析液入力部であり、透析液を入力し、内部の中空糸膜の周囲を上部方向へ向かって流れる部分である。
【0021】
105は、透析液出力部であり、ダイアライザ内の透析液を外部へ取り出す為の部分であり、老廃物、尿成分である余剰水を含み出力する。 限外濾過機能を持たせた場合は、透析液の流れを速くする場合もある。
106は、上部センサ帯であり、対向する面にそれぞれ出力波長が830~900mmのLED、レーザーダイオード等の上部光源106aとフォトトランジスタ等の上部受光体106bが装着され、例えば、ダイアライザ側面を押圧して挟持する機能を有する側面が開放された上部帯状体106cにより上部所定部位へ固定されている。
【0022】
107は、中間センサ帯であり、上部センサ帯106と同様の構成を示し、中間光源107aとフォトトランジスタ等の中間受光体107bが装着され、例えば、ダイアライザ側面を押圧して挟持する機能を有する側面が開放された中間帯状体107cにより上部所定部位へ固定されている。
108は、下部センサ帯であり、上部センサ帯106と同様の構成を示し、108aは、下部光源であり、下部光源108aとフォトトランジスタ等の下部受光体108bが装着され、例えば、ダイアライザ側面を押圧して挟持する機能を有する側面が開放された下部帯状体108cにより上部所定部位へ固定されている。
【0023】
109aは、上部光源106aへ電気力を伝達するための第1上部伝達体であり、電気リード線等の線状又はプリント基板に印刷された状態で形成されている。第1上部伝達体109aは、光源用電気出力部112と、上部光源106aを電気的に接続する。
109bは、上部受光体106bで受光した透過光を光電変換した電気出力を伝達するための第2上部伝達体であり、第2上部伝達体109bは、受光電気信号入力部113と接続し、受光電気信号を伝達する。
【0024】
110aは、中間光源107aへ電気力を伝達するための第1中間伝達体であり、電気リード線等の線状又はプリント基板に印刷された状態で形成されている。第1中間伝達体110aは、光源用電気出力部112と、中間光源107aを電気的に接続する。
110bは、中間受光体107bで受光した透過光を光電変換した電気出力を伝達するための第2中間伝達体であり、第2中間伝達体110bは、受光電気信号入力部113と接続し、受光電気信号を伝達する。
【0025】
111aは、下部光源108aへ電気力を伝達するための第1下部伝達体であり、電気リード線等の線状又はプリント基板に印刷された状態で形成されている。第1下部伝達体111aは、光源用電気出力部112と、下部光源108aを電気的に接続する。
111bは、下部受光体108bで受光した透過光を光電変換した電気出力を伝達するための第2下部伝達体であり、第2下部伝達体111bは、受光電気信号入力部113と接続し、受光電気信号を伝達する。
【0026】
112は、光源用電気出力部であり、光源へ出力する電気信号を、上部光源106a、中間光源107a、及び下部光源108aの何れかに対し、選択信号出力ユニット117からの信号を切り替えて出力する為の回路である。
113は、受光電気信号入力部であり、入力される信号が複数の場合は、1つ選択して第3電気伝達体113aを介してフィルタ114へ出力する。
受光電気信号入力部113は、入力される信号を一定間隔、即ち、光源用電気出力部112の出力のタイミングと同期して選択された信号をフィルタ114に第3電気伝達体113aを介して出力する場合もある。
又、受光電信号入力部113は、複数の受光体が1つのセンサ帯に配置された場合等、
どの受光体の受光信号かを識別して出力する場合がある。
この識別は、例えば符号として、信号処理回路115に受光信号と共に出力されるものであってもよい。
113aは、第3電気伝達体であり、電気リード線、プリント配線 電気ケーブル、等、電気信号を伝達する為の単芯又は多芯状ものを示す。
【0027】
114は、フィルタであり、帯域フィルタ、低域フィルタなどで形成され、光電変換された受光信号以外のノイス信号をろ波、増幅して更に信号処理回路115へ第4電気伝達体114aを介して出力する。
114aは、第4電気伝達体であり、電気リード線、プリント配線 電気ケーブル等、電気信号を伝達する為の単芯又は多芯状のものや、後段の信号処理回路115が、医療従事者の携帯端末、タブレット端末、スマートフォン等の場合は、第4電気伝達体114aは、WiFi、赤外線、ブルートゥース(登録商標)、等の媒体を用いた無線通信送信部と受信部の組み合わせである場合もある。
尚、
【0028】
115は、信号処理回路であり、一時的に記憶するメモリ、継続的に記憶するメモリ、の2つの記憶媒体を備えた演算ICチップ、マイクロコンピュータ、ゲートアレイ等で構成され、得られた電圧信号を透過光量としての規格化、プログラムに基づいて制御用パルス、表示部116に対する表示信号等の出力を第5電気伝達体115aを介してを行う。
又、選択信号出力ユニット117に対し、上部光源から下部光源までのどの光源に電気力を供給するか、調整するための信号を第6電気伝達体115bを介して出力する。
信号処理回路115は、透過光量データを受光位置情報と共に継続的、又は一時的に記憶し、更にFFTプログラムモジュール、ハードウェアモジュールを備えている場合は、スペクトル変換を行い、吸光度データうあ濃度データ等を算出し一時的、又は継続的に記憶し、表示部116で、これらのデータを2次元以上の例えばダイアライザの省略した仮想空間上に表示する場合もある。
又、信号処理回路115は、医療従事者が携帯するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末等にアプリとして組み合わせた場合もある。
【0029】
115aは第5電気伝達体であり、115bは、第6電気伝達体であり、それぞれ単芯又は多芯の電気リード線、又は電気プリント配線、電気ケーブル線等で形成されている。電気プリント配線には、電子基板、フレキシブルプリント配線、フレキシブルプリント基板等が示される。第5電気伝達体115a及び第6電気伝達体116aは、第4電気伝達体114aと同様、無線伝送にしてもよい。
ここで規格化とは、最大透過光時の電圧値で測定電圧値を除算することで、光源の強度等に影響されない値への変換を行うことを示している。
また、受光量に基づく受光信号をフーリエ変換をしてスペクトル信号化し、この値に基づき吸光度を求め、各部血液濃度値を求めることで、除水操作を確認したりする処理を行うものであってもよい。
【0030】
又、得られるダイアライザ各部受光量を見やすく2次元以上の画像表示データに変換処理するものであってもよい。
116は、表示部であり、液晶モニター、プリンタ等で構成され、ベッドサイドモニター、医療従事者が携帯するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末等のモニターとして使用されたりするものであり、前記信号処理回路115から出力した画像表示信号を表示出力するものであってもよい。
表示部116は、血液の滞留部位を位置情報を含めて明確に、目立つように表示する。
117は、選択信号出力ユニットであり、論理回路等で自走的に又は、信号処理回路115からの制御信号に基づき、例えばどのセンサの光源に電気出力を行うか選択信号を出力する光源用電気出力部112内のセンサ用出力を選択する信号を出力し、光源用電気出力部112へ、各部光源の電源出力を行う切り替え調整をおこなう回路であって、ダイアライザの上部、中間及び下部の3カ所に一対の発光体と受光体からなるセンサを装着した場合、例えば上部センサへの発光時間は1msec ~ 2min 、中間センサへの発光時間1msec ~ 2min 、及び下部センサへの発光時間1msec ~ 2min 、で発光する。この発光のタイミングは、上部センサの発光体の発光が終了後、中部センサの発光体の発光を開始し、中部センサの発光体の発光が終了した後、下部センサの発光体の発光を開始、下部センサの発光体の発光が終了後、再び上部センサの発光を開始するという順番に繰り返し発光させる仕様が例示される。
ダイアライザへ装着する1対の発光体と受光体の組み合わせの数が多くなった場合は、予め決めた順番又は一部を同時に上述した発光時間だけ発光させる態様が例示される。
【0031】
又、センサを駆動させるための、センサ用光源への電気出力をおこなうが、センサが、同じ円周上に1対以上ある場合、発光部に対し複数の受光体がある場合など、必ずしも、発光部と受光体が対向する一対の構成で無い場合等、受光体の選択信号を切り替える場合もある。
117aは、第7電気伝達体であり、電気リード線、プリント配線板、電子基板上の導電路などで形成され、電気信号を伝達させるためのものである。
118は、光源用発振部であり、例えば、1KHz ~100KHzで デユーティ20 ~ 80%の矩形波パルスを出力する自走型パルス発振器、信号処理回路115が出力するパルスで構成され、直流パルスを出力する。
118aは第8電気伝達体であり、電気リード線、プリント配線板、電子基板上の導電路などで形成され、電気信号を伝達させるためのものである。
本発明は、1回の使用時間が、透析治療時間に相当し、およそ4時間前後であることから、
充電器によって、電源を形成し、信号処理回路115、表示部116を医療従事者のスマートフォン、携帯電話にして、透過光量値の送受信を無線によって行う場合は、電池駆動としてもよく、コードレスで小型軽量な、センサ帯を装着するだけの構成も実施例に含まれる。
【0032】
次に動作を説明する。
ダイアライザの側面101に上部センサ帯106、中間センサ帯107及び下部センサ帯108を、ダイアライザの側面101の所定の位置に装着する。装着は、それぞれのセンサ帯を構成する
図2で示すセンサ支持体201の開口部201eを広げて内部に移動させた後、端部への外方向の力を解除することでセンサ支持体201の復元力によりダイアライザの側面101の周囲を押圧し、上部センサ帯106、中間センサ帯107、下部センサ帯108はダイアライザ上に固定される。
【0033】
患者の上腕部等にそれぞれ透析装置から延びた導管を接続した穿刺用中空針を刺通して形成した脱血部と返血部からなるブラッドアクセス部(図示せず)の脱血部から血液を採りだし、ポンプ等を備えた血液回路を介してダイアライザ100内へ血液入力部102より血液が入力される。
光源用発振部118は、光源用電気出力部112へパルス信号を第8電気伝達体118aを介して伝達する。
更に選択信号出力ユニット117は、光源用発振部118から出力したパルスを上部センサ帯106から下部センサ帯108の3カ所に順番に所定間隔で出力する為の選択パルスを第7電気伝達体117aを介して出力する。
【0034】
光源用電気出力部112は、選択パルスに基づいて、供給先である上部光源106aから上部帯状体106cを選択して光源用発振部118のパルスを出力する。
選択パルスのパルス幅の時間間隔で、光源用発振部118のパルスが出力されており、上部光源106aに供給される電源は、光源用発振部118のパルスの周期が、選択パルスのパルス幅より短い場合は変調された状態で上部光源106aに供給されている。
選択パルスは、位相を例えば、1/3づつずらして例えば同一のパルス幅を持つパルスを出力しており、
光源用電気出力部112から出力されたパルスは、選択パルスのパルス幅だけ、光源用発振部118の出力パルスを変調された電源パルスとして第1上部伝達体109aを介して上部光源106aに供給され、上部光源106aは、発光する。
上部光源106aから発光した赤外光は、ダイアライザ側面から内部方向に照射され、内部を通過した後、上部受光体106bに受光される。上部受光体106bで受光した透過光は、上部受光体106bで電気信号に変換され、第2上部伝達体109bを介して受光電気信号入力部113に供給される。
【0035】
受光電気信号入力部113に供給された電気信号は、上部受光体106bから下部受光体108bの内の1の電気信号であることから、受光位置を示す情報と共に第3電気伝達体113aを介してフィルタ114に供給され、増幅、ろ波されて信号処理回路115に第5電気伝達体115aを介して供給される。
尚、受光電気信号入力部113に供給される電気信号が、複数同時にある場合は、時系列的に並べる等、目的に応じた配列で後段のフィルタ114へ供給される場合がある。
信号処理回路115は、フィルタ114から入力された電気信号の電圧値を検出し、規格化するなどして、透過光量を求めて一時的又は継続的に記憶する記憶メモリに受光位置情報と透過光量の値、検出時間、経過時間、等を1つのセットとして順次記憶していく。
【0036】
次に、光源用発振部118から、出力されたパルスは、選択信号出力ユニット117から一パルス遅延した選択パルスに基づき、第1中間伝達体110aを介して、中間光源107aに電源パルスを出力する。
中間光源107aはこの電源パルスに基づいて発光し、ダイアライザの側面101から内部を通過して、対向する中間受光体107bで受光する。
中間受光体107bで受光した透過光は、電気信号に変換され、第2中間伝達体110bを介して受光電気信号入力部113に供給される。
受光電気信号入力部113は、中間受光体107bで光電変換された電気信号を、第3電気伝達体113aを介してフィルタ114に供給され、ろ波増幅され、信号処理回路115で、規格化された透過光量を算出して、透過光量に基づく値を位置情報、時間情報を含む一時的又は継続的に記憶する。
【0037】
次に、光源用発振部118から、出力されたパルスは、選択信号出力ユニット117から1つのパルスを遅延させた選択パルスに基づき、第1下部伝達体111aを介して、下部光源108aに電源パルスを出力する。
下部光源108aは発光し、ダイアライザの側面101から内部を通過して、対向する下部受光体108bで受光する。
下部受光体108bで受光した透過光は、電気信号に変換され、第2下部伝達体111bを介して受光電気信号入力部113に供給される。
下部受光体108bで光電変換された電気信号を、第2下部伝達体111bを介して受光電気信号入力部113に供給され、更にフィルタ114に第3電気伝達体113aを介して供給され、ろ波、増幅され信号処理回路115で、規格化された透過光量が算出されて、透過光量に基づく値を一時的又は継続的に記憶する。
【0038】
信号処理回路115で記憶された透過光量値は、予め設定された閾値(血球の目詰まり状態の透過光量値)と比較して、越える場合は、目詰まりを示す信号を、表示部116に第5電気伝達体115aを介して出力する。
表示部116は、画面上に、目詰まりを示す信号が表示されるが、その部分をわかりやすく平面的又は立体的に表示し、目詰まり位置をわかりやすく表示する。
その際の表示の一例を
図5に示した。
図5において、
図1で示すダイアライザをコンピュータモニター画面上に仮想的に2次元以上で表示し、所定時間以上、透過光量が所定値以下を示す場合を示す。
500は、モニター画面であり、コンピュータモニター、タブレット端末のモニター部、携帯電話、スマ-トフォンの液晶表示画面等であってもよい。
501は、実際に透過光量が著しく低下した時間、継続時間等の記録が表示されているウィンドウであり、
【0039】
5aから5cは、それぞれ上部センサ帯106及び中間センサ帯107、下部センサ帯108がそれぞれ出力する透過光量により、血流状態を監視し、警報などを表示する範囲であり、それぞれ上部監視範囲5a、中間監視範囲5b、下部監視範囲5cとした。
中間監視範囲5bは、透過光量が所定値以下となっている部位をわかりやすくするため、着色、点滅、濃淡を付した状態を示す。
例えば、
図5では、ダイアライザ100の中間センサ帯107で測定した透過光量が、所定値以上に低下した値となり、それが所定時間続いた場合の表示である。
モニター画面500には、どの部分に血球の停滞した集まりがあるかを示すためダイアライザの概略図上にその位置が表示される。 尚、概略図中、
図1と同じ構成を示す部分に対しては、同じ記号を付した。
【0040】
図1で示す上部センサ帯106は、ダイアライザの上方向3分の1(上部監視範囲5a)の透過光量に基づく血流の状態を受け持ち、
図1で示す中間センサ帯107は、ダイアライザの中間3分の1(中間監視範囲5b)の透過光量に基づく血流の状態を受け持ち、
図1で示す 下部センサ帯108は、ダイアライザの下方向3分の1(下部監視範囲5c)の透過光量に基づく血流の状態を受け持つ様に表示されており、今回中間監視範囲5bの透過光量が所定値より下回った為、その情報をメッセージボード的な表示としてウィンドウ501に示した。
ディスプレイ上、ダイアライザ内に目詰まり部が形成され、表示が続く場合は、ダイアライザを交換する等の措置を行う警報的な指示を行う場合もある。尚、これらのセンサ帯をダイアライザに装着した状態で、表示部116は、ブルートゥース(登録商標)、赤外線、WiFiを使用してスマートフォン等に送信した透過光量データを表示する場合のスマートフォン等の液晶モニターを示す場合もある。この場合、スマートフォンが、信号処理部115に相当する場合もある。
wifi、赤外光、ブルートゥース(登録商標)等の無線媒体を利用する場合は、2次電池の使用ができるなど、ダイアライザ内の血流の監視を各医療従事者の携帯端末でおこなうことができるなど、よりコンパクトで利便性に優れたダイアライザ内血流状態表示を可能とする。
【0041】
図1で示すセンサ帯の具体的構成の一例を
図2に示す。
図2(a)は、センサ帯を上面から見た図であり、
図2(b)は、センサ帯を正面方向2aから見た図である。
201は、センサ支持体であり、プラスチック材、樹脂材等の弾性を有する硬質性部材で形成され、センサ支持体201のダイアライザの側面101に嵌合する方向に開口部201eが形成されると共にセンサ支持体201の両端には、外側方向に開口部201eを広げてダイアライザの側面101を内部へ移動させる為の逆くの字型の端部201cとくの字型の端部201dが形成されている。
センサ支持体201のセンサを配置する部位には、表裏を貫通する貫通孔A201aと貫通孔B201bが対向する様に形成され、貫通孔A201aの外側には、LED、レーザー光源で形成される発光部202が装着され、貫通孔B201bの外側には、フォトトランジスタ等の受光体204が装着されている。
【0042】
202は、発光部であり、LED、レーザー光源(ダイオード)等で構成され、プリント配線、電気リード線などの第1電気伝達体203を介して本体と接続する。
203は、第1電気伝達体であり、電気リード線、導電性を有する電気プリント配線等で形成され、
204は、受光体であり、フォトトランジスタ、CDs等で形成され、プリント配線、電気リード線又は電気ケーブル線等の第2電気伝達体205を介して本体と接続する。
発光部202は、
図2(c)の202aで示すようにLEDの場合、指向性が低く、ダイアライザの広範囲を照射することから、受光体204には、広範囲の透過光を受光し、光電変換され、第2電気伝達体205を介して
図1で示す受光電気信号入力部113に電気信号が伝達させることができる。
センサ支持体201、ダイアライザの側面101の周囲を覆うように固定され、取り外しの際は、くの字型の端部201dと逆くの字型の端部201cを外側方向に開くような力2bと2cを加えることで、ダイアライザの側面101を容易に取り外すことが可能となる。
【0043】
光源用発振部118から出力された光源用電気出力は、光源用電気出力部112において、上部光源106a、中間光源107a、下部光源108aの発光体に、選択信号出力ユニット117からの選択パルスに基づいて位相をずらして順番に供給され、透過した光は、それぞれ、上部受光体106b、中間受光体107b、下部受光体108bで受光され、
図1で示す受光電気信号入力部113に第2上部伝達体109b、第2中間伝達体110b、第2下部伝達体111bを介して電気信号が、受光電気信号入力部113に伝達される。
2dは、無線モジュールであり、WiFi、赤外線、blueTooth(登録商標)等を無線媒体とし、発光体への発光の指示データの受信、受光体で得られた受光信号の送信する変調、復調回路、制御用の回路及び場合によっては2次電池を含む構成を有し、透析治療時間の間駆動し、データを無線送受信機能を備えた信号処理回路115に送信する場合に、用いられるものである。
無線モジュール2eは、必要に応じ装着されるものであり、複数のセンサ帯を用いる場合、それぞれのセンサ帯に装着される他、各センサ帯は、有線で接続され、その一つのセンサ帯に装着される場合もある。尚、全体を有線にする場合は、不要な場合もある。
無線モジュールの仕様により、ダイアライザの側面に装着されるセンサ帯の構成を簡素化でき、医療従事者は、スマートフォン一台で、複数の患者のダイアライザ内血流状態をモニターできることから、負担の軽減になる。
【0044】
図3(a)は第2上部伝達体109bの出力信号が受光電気信号入力部113、第3電気伝達体113a、フィルタ114、及び第4電気伝達体114aを介して信号処理回路115へ供給される際の電気信号波形である。
図3(b)は第2中間伝達体110bの出力信号が受光電気信号入力部113、第3電気伝達体113a、フィルタ114、及び第4電気伝達体114aを介して信号処理回路115へ供給される際の電気信号波形である。
図3(c)は第2下部伝達体111bの出力信号が受光電気信号入力部113、第3電気伝達体113a、フィルタ114、及び第4電気伝達体114aを介して信号処理回路115へ供給される際の電気信号波形である。
【0045】
図3で示す時間間隔(302)は、ダイアライザ100へ生理食塩水を供給した時間であり、301は、血液をダイアライザ100へ注入を開始した時間であり、時間間隔303は、血液が注入された時間を示す。血中内の血球により遮光性が高まり、受光量も下がる。
上部光源106aに供給されたLED光は、ダイアライザを透過して、上部受光体106bに供給され、上部受光体106bは、これを光電変換し、第2上部伝達体109bを介して受光電気信号入力部113に供給される。
受光電気信号入力部113は、入力される各電気信号をフィルタ114へ供給し、フィルタ114は、受光電気信号に対し増幅、ろ波して雑音を削除し、信号処理回路115へ供給する。
【0046】
信号処理回路115は、入力された電圧値信号に最大電圧信号で除算することで、規格化して記憶する。
又、信号処理回路115は、FFT回路、又は関連するソフトウェアモジュールを備える場合は、入力された信号に対しフーリエ変換してスペクトルを求め、特定の波長におけるスペクトル値により、濃度値等、固有の値を求めても良い。センサの光源にレーザー光を用いる場合は、ドップラー干渉波を帯域フィルタ30Hzから30000Hzにより検出し、周波数(血球の速度に比例)とそのスペクトル値から、中空糸膜内(中空糸膜の断面積)の血流量を測定しても良い。
規格化した電圧値は、透過量に相当し、継続的に記憶されるメモリに記憶されると共に、信号処理回路115は、選択信号出力ユニット117にどの部位の受光信号を得るためにどの発光部を発光させるか、の信号を第6電気伝達体115bを介して出力する。
順次、上部センサ帯106の上部光源106a 中間センサ帯107の中間光源107a、下部センサ帯108の下部光源108aを発光させて、各部の透過光を上部受光体106b 中間受光体107b 及び 下部受光体108bで受光して光電変換し、途中301のタイミングで生理食塩水の代わりに血液を注入を開始する。
図3の時間間隔303で示すように、パルスの高さは低下して、血球による遮光が行われていることが示される。
【0047】
図6は、本発明の他の実施例を示す図であり、
図2で示すセンサー対 を4対に増やし、ダイアライザの周囲に等角度で配置したものである。
601は、センサー環状体であり、
図2と同様にダイアライザ602の周囲に囲繞して固定するものであり、2つに別れ、一方の両端が回転軸体603bに結合し、他方の両端が左右に開閉させ、閉じた時、互いに係止固定される取手部603aが形成されており、取手部603aを両側に開く様に移動させることで、回転軸体603bが回転して両方向に分かれて開くことで、ダイアライザ602にセンサー環状体601を囲繞装着し、取手部603aを閉じて固定したり、取手部603aのロックを外し、開くことで、ダイアライザ602を離脱させたりする。
602は、ダイアライザであり、
図1で示すものと同じ構成を示す。
図6では、センサー環状体601をダイアライザ602に囲繞した状態で、
図1で示すダイアライザをセンサー環状体601と共に長軸方向に垂直な面を切断した断面を示す。
【0048】
センサー環状体601は、45度づつ等間隔に4組のLED及び受光用半導体が装着されている。
センサー環状体601に電気的な接続に用いる電気リード線、プリント配線等の伝達体は、省略した。
60aは、発光体Aであり、
図2でしめすものと同じであり、LED、レーザー光源、LEDチップ、レーザー光源チップ等から選ばれて形成されている。
60bは、受光体Aであり、
図2でしめすものと同じであり、フォトトランジスタ、等で構成され、発光体Aと対向する部分に固定されている。
【0049】
60cは、発光体A60aの発光範囲であり、15度から30度の放射角で発光している。
この場合の発光体Aは、LEDであるが、より直進性の高いレーザー光を用いる場合もある。61aは、発光体B、61bは受光体B、 62aは、発光体C、62bは受光体C、
63aは、発光体D、63bは受光体D、であり、発光体A、受光体A60aと同様の構成を示す。61cは、発光体B61aの発光範囲であり、放射角は、発光体A60aと同じである。
【0050】
62cは、発光体C62aの発光範囲であり、放射角は、発光体A60aと同じである。
63cは、発光体D63aの発光範囲であり、放射角は、発光体A60aと同じである。
図2で比べて4倍のセンサ数を持ち、ダイアライザ円周内の血球の状態を詳細に表示させるものであり、中心部は、4対のセンサの何れにも属するため、4つのセンサ全部で透過光量が低くなる場合は、ダイアライザの円周上の中心部の血球濃度が高くなっていることが示され、1対のセンサだけ、透過光量が低い場合は、その一対のセンサの装着された対角線上で血球濃度が高くなっていることが示され、より細部を表示することを可能とする。
例えば、発光体A60aと受光体A60b間の透過光量が低く、血球の停滞が見込まれる場合、発光体A60aから受光体A60b間全てで透過光量が低い状態であると考える必要があるが、例えば発光体C62aと受光体C62b間では、透過光量の低下が無いといった場合は、交差する部分に透過光量の低下は無いことがわかり、両側の何れかが透過光量が低い状態であるということがわかる。
【0051】
又、LEDの場合、照射放射角が30度と広角度であるため、対向する部位から拡張された部位への放射光の伝搬もあることから、例えば、発光体A60aからの発光に対し、受光体B61bで受光することで、もし、受光体B61bの透過光量が普通の値である場合は、発光体A60aと受光体A60b間のより狭い範囲で血球などの滞留が生じている部分を示すことができる。
受光体B61bの透過光量が低下している場合は、発光体A60aの放射角度の範囲内が滞留している範囲となる。
従って、対向する発光体と受光体間だけでセンシングするだけでなく、1つの発光体に対し、対向する受光体の周辺に配置された受光体による透過光量の検出を行うことでより正確な透過光量の低下場所を検出することができる場合がある。
【0052】
図7は、
図6の実施例に対し更に発光体と受光体の対を更に増やして8対のセンサとした場合の実施例を示す。
701は、センサ環状体であり、回転軸部704を中心に取手部703を両側に開閉することで、
図6で示したセンサ環状体と同様にダイアライザを囲繞し、固定させることを可能とする。
702は、ダイアライザであり、
図1、
図6で示すダイアライザと同様に半透光性を備えた円柱体である。
図7では、センサ環状体700を囲繞した状態で長軸方向に垂直な断面を示している。尚、断面の表示は、構成及び説明用の引き出し線が込み入っている為、一部省略した。
【0053】
70aは、発光体Aであり、LED、レーザー光出力ダイオード、又はこれらのチップで形成され、70bは受光体Aであり、フォトトランジスタ、又はチップ状のものが例示され、発光体A70aと受光体A70bは、対向する面に配置されている。
71aは、発光体Bであり、LED、レーザー光出力ダイオード、又はこれらのチップで形成され、71bは受光体Bであり、フォトトランジスタ、又はチップ状のものが例示され、発光体B71aと受光体B71bは、対向する面に配置されている。
72aは、発光体Cであり、LED、レーザー光出力ダイオード、又はこれらのチップで形成され、72bは受光体Cであり、フォトトランジスタ、又はチップ状のものが例示され、発光体C72aと受光体C72bは、対向する面に配置されている。
【0054】
73aは、発光体Dであり、LED、レーザー光出力ダイオード、又はこれらのチップで形成され、73bは受光体Dであり、フォトトランジスタ、又はチップ状のものが例示され、発光体D73aと受光体D73bは、対向する面に配置されている。
74aは、発光体Eであり、LED、レーザー光出力ダイオード、又はこれらのチップで形成され、74bは受光体Eであり、フォトトランジスタ、又はチップ状のものが例示され、発光体E74aと受光体E74bは、対向する面に配置されている。
発光体E74aは、受光体A70bに隣接した場所に配置されるが、
図7で示す位置だけでなくその周囲であればよい。この場合、受光体E74bも同様に、発光体A70aの周囲で、発光体E74aと対になる部位が好ましい。
【0055】
75aは、発光体Fであり、LED、レーザー光出力ダイオード、又はこれらのチップで形成され、75bは受光体Fであり、フォトトランジスタ、又はチップ状のものが例示され、発光体F75aと受光体F75bは、対向する面に配置されている。
発光体F75aは、受光体B71bに隣接した場所に配置されるが、
図7で示す位置だけでなくその周囲であればよい。この場合、受光体F75bも同様に、発光体B71aの周囲で、発光体F75aと対になる部位が好ましい。
76aは、発光体Gであり、LED、レーザー光出力ダイオード、又はこれらのチップで形成され、76bは受光体Gであり、フォトトランジスタ、又はチップ状のものが例示され、発光体G76aと受光体G76bは、対向する面に配置されている。
発光体G76aは、受光体C72bに隣接した場所に配置されるが、
図7で示す位置だけでなくその周囲であればよい。この場合、受光体G76bも同様に、発光体C72aの周囲で、発光体G76aと対になる部位が好ましい。
【0056】
77aは、発光体Hであり、LED、レーザー光出力ダイオード、又はこれらのチップで形成され、77bは受光体Hであり、フォトトランジスタ、又はチップ状のものが例示され、発光体H77aと受光体H77bは、対向する面に配置されている。
発光体H77aは、受光体D73bに隣接した場所に配置されるが、
図7で示す位置だけでなくその周囲であればよい。この場合、受光体H77bも同様に、発光体D73aの周囲で、発光体H77aと対になる部位が好ましい。
尚、
図7で示す8対の発光体と受光体で形成されるセンサは、電気リード線、プリント配線板等で電源等と接続するか又は、無線モジュールより、信号処理回路と接続するが、図示は省略した。
【0057】
次に
図7で示す実施例の動作を説明する。
センサ環状体701は、回転軸部704を中心に、取手部703を左右に開いて、ダイアライザの周囲を幾分か強い力で締め付けるように囲繞した後、取手部703を閉じて固定する。具体的固定部については、説明を省略する。
発光体A70aを発光範囲70cの範囲で発光させて、受光体A70bで受光する。その際の発光範囲は、発光体A70aの発光指向性により決定され、LEDの場合は、30度の範囲で放射発光する。
受光体A70bで受光した受光光は、光電変換により電気信号化されて
図1で示す受光電気信号入力部113へ供給される。
【0058】
次に発光体B71aを発光範囲71cの範囲で発光させ、受光体B71bで受光する。
その際の発光範囲は、71cで示すことができるが、発光範囲は、発光体B71aの発光指向性により決定され、LEDの場合は、およそ30度の範囲で放射発光する。
受光体B71bで受光した受光光は、光電変換により電気信号化されて
図1で示す受光電気信号入力部113へ供給される。
次に発光体C72aを発光範囲72cで発光させ、受光体C72bで受光する。
その際の発光範囲は、72cで示すことができるが、発光範囲は、発光体C72aの発光指向性により決定され、LEDの場合は、およそ30度の範囲で放射発光する。
受光体C72bで受光した受光光は、光電変換により電気信号化されて
図1で示す受光電気信号入力部113へ供給される。
【0059】
次に発光体D73aを発光範囲73cで発光させ、受光体D73bで受光する。
その際の発光範囲は、73cで示すことができるが、発光範囲は、発光体D73aの発光指向性により決定され、LEDの場合は、およそ30度の範囲で放射発光する。
受光体D73bで受光した受光光は、光電変換により電気信号化されて
図1で示す受光電気信号入力部113へ供給される。
次に発光体E74aを発光範囲74Cで発光させ、受光体E74bで受光する。
その際の発光範囲は、74cで示すことができるが、発光範囲は、発光体E74aの発光指向性により決定され、LEDの場合は、例えば30度の広角度の範囲で放射発光する。
【0060】
受光体E74bで受光した受光光は、光電変換により電気信号化されて
図1で示す受光電気信号入力部113へ供給される。
次に発光体F75aを発光範囲75cの範囲で発光させ、受光体F75bで受光する。
その際の発光範囲は、75cで示すことができるが、発光範囲は、発光体F75aの発光指向性により決定され、LEDの場合は、およそ30度の範囲で放射発光する。
受光体F75bで受光した受光光は、光電変換により電気信号化されて
図1で示す受光電気信号入力部113へ供給される。
【0061】
次に発光体G76aを発光範囲76cの範囲で発光させ、受光体G76bで受光する。
その際の発光範囲は、76cで示すことができるが、発光範囲は、発光体G76aの発光指向性により決定され、LEDの場合は、30度の範囲で放射発光する。
受光体G76bで受光した受光光は、光電変換により電気信号化されて
図1で示す受光電気信号入力部113へ供給される。
次に発光体G76aを発光範囲76cの範囲で発光させ、受光体G76bで受光する。
その際の発光範囲は、76cで示すことができるが、発光範囲は、発光体G76aの発光指向性により決定され、LEDの場合は、30度の範囲で放射発光する。
受光体G76bで受光した受光光は、光電変換により電気信号化されて
図1で示す受光電気信号入力部113へ供給される。
【0062】
次に発光体H77aを発光範囲77cの範囲で発光させ、受光体H77bで受光する。
その際の発光範囲は、77cで示すことができるが、発光範囲は、発光体H77aの発光指向性により決定され、LEDの場合は、およそ30度の範囲で放射発光する。
受光体H77bで受光した受光光は、光電変換により電気信号化されて
図1で示す受光電気信号入力部113へ供給される。
この一連の動作を順番に、又は、同時に行うことが、例示されるが、当該方法は、同一部位を180度方向が異なる形で、透過光を測定する。通常、同じ値となるが、指向性の広さや、異なる発光体と受光体の組み合わせにより、実際の血球の目詰まり部や、偏流部位を特定可能とするような組み合わせを用いても良い。
【0063】
実験例
図1及び
図2で示す構成に基づき、ダイアライザ(東レ社製 NV13Sを使用)に対し
図1の血液入力部102から生理食塩水 濃度 0.9%を流速150ml/300mlで流し、血液出力部103から取り出す。又透析液入力部104から透析液を流し、透析液出力部105で取り出す。
測定位置:
図8で示すようにダイアライザ100の長軸方向に対し、5等分に分けた測定環状部位を形成し、個々の測定環状部位について、
図2で示すセンサ帯を45度づつ360度回転させて、その際の透過光量を測定した。その計測結果を
図9に示す。
更に
図8に、
図9で示す計測結果を立体的に点で表示した。
最初に
図8に基づいて測定操作を説明する。
図8において801は、ダイアライザの模式図であり、802は、血液流入部、803は、血液流出部を省略して示している。
【0064】
DAからDEは、測定の為の
図2で示すセンサ帯をダイアライザの長軸方向に等間隔で5カ所装着する装着部位を示す。
装着部位DAにおいて、a1からg1は、
図2で示す発光部202、受光体204が対向して配置される部分を示し、a1→e1 は、a1に発光部202、e1に受光体204が配置された状態、。
逆にe1 → a1は、e1に発光部202、a1に受光体204が配置された状態を示す。
図8では、実線で、発光部202と受光体204が対向してダイアライザの表面に配置されたところの位置関係を示している。
【0065】
この順番通りに、b1→f1は、b1に発光部202、f1に受光体204が配置された状態、 c1→g1は、c1に発光部202、g1に受光体204が配置された状態、d1→h1は、d1に発光部202、h1に受光体204が配置された状態、e1→a1は、上記に記載したとおり、e1に発光部202、a1に受光体204が配置された状態、f1→b1は、f1に発光部202、b1に受光体204が配置された状態、g1→c1は、g1に発光部202、c1に受光体204が配置された状態、 h1→d1は、h1に発光部202、d1に受光体204が配置された状態、としてその透過光量を求めた。透過光量は、ここでは、受光体204の出力電圧で示した。
図9(a)が、装着部位DAで上述のように
図2で示すセンサ帯を回転移動させて得られた透過光量を示す。
【0066】
DBにおいてもDAと同様に、a2→e2 は、a2に発光部202、e2に受光体204が配置された状態、b2→f2は、b2に発光部202、f2に受光体204が配置された状態、 c2→g2は、c2に発光部202、g2に受光体204が配置された状態、d2→h2は、d2に発光部202、h2に受光体204が配置された状態、e2→a2は、上記に記載したとおり、e2に発光部202、a2に受光体204が配置された状態、f2→b2は、f2に発光部202、b2に受光体204が配置された状態、g2→c2は、g2に発光部202、c2に受光体204が配置された状態、 h2→d2は、h2に発光部202、d2に受光体204が配置された状態を示す。
図9(b)が、装着部位DBで上述のように
図2で示すセンサ帯を回転移動させて得られた透過光量を示す。
【0067】
DCにおいてa3→e3 は、a3に発光部202、e3に受光体204が配置された状態 、c3→g3は、c3に発光部202、g3に受光体204が配置された状態、d3→h3は、d3に発光部202、h3に受光体204が配置された状態、e3→a3は、上記に記載したとおり、e3に発光部202、a3に受光体204が配置された状態、f3→b3は、f3に発光部202、b3に受光体204が配置された状態、g3→c3は、g3に発光部202、c3に受光体204が配置された状態、 h3→d3は、h3に発光部202、d3に受光体204が配置された状態、としてその透過光量を求めた。透過光量は、ここでは、受光体204の出力電圧で示した。
図9(c)が、装着部位DCで上述のように
図2で示すセンサ帯を回転移動させて得られた透過光量を示す。
【0068】
DDにおいてa4→e4 は、a4に発光部202、e4に受光体204が配置された状態 、c4→g4は、c4に発光部202、g4に受光体204が配置された状態、d4→h4は、d4に発光部202、h4に受光体204が配置された状態、e4→a4は、上記に記載したとおり、e4に発光部202、a4に受光体204が配置された状態、f4→b4は、f4に発光部202、b4に受光体204が配置された状態、g4→c4は、g4に発光部202、c4に受光体204が配置された状態、 h4→d4は、h4に発光部202、d4に受光体204が配置された状態、としてその透過光量を求めた。透過光量は、ここでは、受光体204の出力電圧で示した。
図9(d)が、装着部位DDで上述のように
図2で示すセンサ帯を回転移動させて得られた透過光量を示す。
【0069】
DEにおいてa5→e5 は、a5に発光部202、e5に受光体204が配置された状態 、c5→g5は、c5に発光部202、g5に受光体204が配置された状態、d5→h5は、d5に発光部202、h5に受光体204が配置された状態、e5→a5は、上記に記載したとおり、e5に発光部202、a5に受光体204が配置された状態、f5→b5は、f5に発光部202、b5に受光体204が配置された状態、g5→c5は、g5に発光部202、c5に受光体204が配置された状態、 h5→d5は、h5に発光部202、d5に受光体204が配置された状態、としてその透過光量を求めた。透過光量は、ここでは、受光体204の出力電圧で示した。
図9(e)が、装着部位DEで上述のように
図2で示すセンサ帯を回転移動させて得られた透過光量を示す。
【0070】
今回
図8で示す受光量の測定は、
図2で示す発光部202と受光体204の組み合わせを45度ずつ手動で回転させて測定したものであるが、これを自動化する回転装置を用いてもよく、
図7で示すように8個のLEDを装着したセンサ帯を形成してもよい。
図8、
図9で示す透過光量は、受光体204の受光値を示しており、生理食塩水を流して得られる値は、規格化する最大透過光量としてもよい。
【0071】
図8で示す立体表示は、コンピュータモニター。携帯電話、スマートフォン、タブレットの画面に表示してもよい。
804aは、DAの最大受光量であり、今回の実験で得られた
図9で示す透過光量から得られたものを曲線補完したものであり、生理食塩水を流した場合の値をおおよそで曲線により繋いだ領域を示す。
804bは、DBでの最大受光量であり、804aと同様、今回の実験で得られた透過光量から得られたものを曲線補完したものであり、生理食塩水を流した場合の値をおおよそで曲線により繋いだ領域を示す。
804cは、DCでの最大受光量であり、804aと同様、今回の実験で得られた透過光量から得られたものを曲線補完したものであり、生理食塩水を流した場合の値をおおよそで曲線により繋いだ領域を示す。
【0072】
804dは、DDでの最大受光量であり、804aと同様、今回の実験で得られた透過光量から得られたものを曲線補完したものであり、生理食塩水を流した場合の値をおおよそで曲線により繋いだ領域を示す。
804eは、DEでの最大受光量であり、804aと同様、今回の実験で得られた透過光量から得られたものを曲線補完したものであり、生理食塩水を流した場合の値をおおよそで曲線により繋いだ領域を示す。
実際、生理食塩水を流した場合の透過光量は、製造元によって相違するため、事前に測定して、メーカー毎の最大透過光量に相当する透過光量を計測しておくことが好ましい。この最大透過光量値で、測定値を除することで、規格化して、比較可能な値に変換することが好ましい。
【0073】
図10は、
図1の表示部116の一例を示し、ダイアライザ内の血流の透過光量から、血液の流れが滞った場合の注意表示をスマートフォン、パソコン、タブレット端末等の液晶モニター等のコンピュータデイスプレイ上で行う一例を示した。ダイアライザに囲繞固定するセンサ帯は、5個で、1つのセンサ帯に装着した発光体及び受光体の対は
図7で示す8とした。
更に
図10で示す実施例は、例えば、指向範囲が30度と広角度の発光体を使用した場合、対向する受光体の受光光量だけでなく対向する受光体に隣接する受光体の受光光量を測定し、血流が滞留する部位をある程度狭い範囲に特定することを示す。
図10において、1000は、コンピュータのモニター画面であり、スマートフォン、携帯電話の画面、タブレット画面を示すものであり、
図1の表示部116の一例を示す。
1001は、ダイアライザの仮想表示であり、
図5で示すダイアライザの仮想表示と同様の略式表示であり、2次元的、又は3次元的に示す。
1002は、血液入力部であり、単に位置を示す他、仮想表示として一見入力部を示す程度の表示を示してもよい。
1003は、血液取出部であり、単に位置を示す他、一見して、透析後の血液を外部へ取り出すための部分である表示で示しても良い。
【0074】
1004は、滞留部位Aを表示した部分であり、一見して、その部分が認識できるような色合いで着色された、2次元以上の表示が好ましい。滞留部位A1004は、その範囲は、測定部位に対し予め決められた領域を示し、見やすい面を強調しているものであって、正確な滞留部を示してはいないが、その近辺で、滞留、残血が生じている範囲を示す。
1004aは、滞留部位A1004の説明ウィンドウであり、例えば、滞留発生時間、滞留継続時間、等、どの程度の滞留の可能性を示し、滞留の理由を導き出す為の情報が表示されていることが好ましい。
【0075】
1005は、滞留部位Bの説明部であり、滞留部位Aに対応する部位である。滞留部位の判定は、透過光量の変化により表示するものであるが、この場合、透過光量電圧の異常から自動的に表示されるものである。
DAからDEは、測定部位を示し、実線部が、
図2で示すセンサユニットを配置した部位であり、
図6、
図7で示すような複数のLED、受光素子を装着したセンサ環状体を用いるほか、一対のLEDと受光素子のセンサ環状体を、例えばサーボコントロールにより、 例えば45度間隔で、自動的に回動させて測定する構成や、手動で回動させる構成を取り得る。
DAaは、測定部DAにおける最大透過光量のラインであり、DBaは測定部DBにおける最大透過光量のライン、DCaは測定部DCにおける最大透過光量のラインであり、DDaは、測定部DDにおける最大透過光量のラインであり、DEaは測定部DEにおける最大透過光量のラインである。
ここで示す最大透過光量とは、ダイアラザに生理食塩水を流した場合の、各測定部における8カ所で測定した透過光量であり、最大透過光量のラインとは、これらの透過光量を曲線で補完したものを示す。
更に透過光量が所定の閾値を下回る値になった場合、血液滞留を表示する(図示せず)。
この所定の閾値とは、例えば、実験によって、滞留した状態を示す透過光量値から得られたものである。
【0076】
今回、DAとDBの計測部位での血球滞留状態を表示する状態を説明する。
DAは、最上部計測部位であり、
10a1は、
図8で示すa1→e1間での計測値、であり、10e1は、
図8で示す発光体をe1に受光体をa1としたときの計測値を示す。
10b1は、
図8で示すb1→f1間での計測値、であり、10f1は、
図8で示す発光体をf1に受光体をb1としたときの計測値を示す。
10c1は、
図8で示すc1→g1間での計測値、であり、10g1は、
図8で示す発光体をg1に受光体をc1としたときの計測値を示す。
【0077】
10d1は、
図8で示すd1→h1間での計測値、であり、10h1は、
図8で示す発光体をh1に受光体をd1としたときの計測値を示す。
10a2は、
図8で示すa2→e2間での計測値、であり、10e2は、
図8で示す発光体をe2に受光体をa2としたときの計測値を示す。
10b2は、
図8で示すb2→f2間での計測値、であり、10f2は、
図8で示す発光体をf2に受光体をb2としたときの計測値を示す。
10c2は、
図8で示すc2→g2間での計測値、であり、10g2は、
図8で示す発光体をg2に受光体をc2としたときの計測値を示す。
10d2は、
図8で示すd2→h2間での計測値、であり、10h2は、
図8で示す発光体をh2に受光体をd2としたときの計測値を示す。
【0078】
血液透析中、ダイアライザの最上部DA と上部2番目のDBのそれぞれ8カ所で順次、透過光量を測定し、その値を表示する。途中、透過光量が所定の閾値を下回り、受光電圧がより低くなり、低くなった電圧値が所定時間継続した場合、血球の流れの滞りと判断され(計測値10a1と計測値10e1の三角を黒く塗りつぶした部分)その周辺に血液の滞留部が形成された表示を行う。
計測値10b1と、計測値10f1間では血流の滞りがない値が、表示された場合、両者が交わる領域に、血流の滞りが無いことが判定される。
【0079】
更に測定部DBで、計測値10a2と計測値10E2(三角を黒く塗りつぶした部分)でしめす)に血液の滞留が確認されたが、測定値10b2と測定値10f2で滞る部分が無く、10a2と対向しない10f2との間で、透過光量が計測され、更に、10a2と10c2間で透過光量が計測され、いずれも異常のない値である場合は、計測値10a2の周囲に血液の滞りが無いことが推定され、
図10の滞留部位B1005の領域に血流の滞る部分があるとの表示を行う。
本発明は、人工腎臓を構成するダイアライザの内部の動作を監視し、透析効率を下げる血液の滞りをリアルタイムで検出することから、透析治療の間であって脱血、及び返血用に穿刺された中空針を抜くまでの間に、透析治療を補う機会がえられ、十分な透析治療を患者にストレスを与える機会を抑えながら、行うことを可能とする。