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特開2024-60179データ管理プログラム、データ管理方法、データ管理装置及び基板検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060179
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】データ管理プログラム、データ管理方法、データ管理装置及び基板検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20240424BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
G01N21/956 B
H05K13/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167360
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草次 良樹
【テーマコード(参考)】
2G051
5E353
【Fターム(参考)】
2G051AA65
2G051AB14
2G051AC04
2G051BA01
2G051CA04
2G051EA14
5E353AA02
5E353CC01
5E353CC03
5E353CC04
5E353EE24
5E353EE61
5E353GG01
5E353KK01
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】チューニングされる可能性が高い検査データのチューニング用データについてはデータ量が削減されないようにしつつ、記憶部の空き容量を確保できること。
【解決手段】部品Eが実装されている基板Pの検査に用いられる部品検査データのチューニングに用いられるフィルタリング前画像33を管理するデータ管理プログラムであって、部品検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしたか否かを判定する判定処理(S203)と、判定処理で所定の条件を満たしたと判定した場合に、記憶部22に記憶されているフィルタリング前画像33を削除する削減処理(S304)と、を管理コンピュータ3に実行させる、データ管理プログラム。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装されている基板の検査に用いられる検査データのチューニングに用いられるチューニング用データを管理するデータ管理プログラムであって、
前記検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしたか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理で前記所定の条件を満たしたと判定した場合に、記憶部に記憶されている前記チューニング用データのデータ量を削減する削減処理と、
をコンピュータに実行させる、データ管理プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ管理プログラムであって、
前記削減処理は、前記チューニング用データを削除する処理、前記チューニング用データを圧縮する処理、及び、前記チューニング用データを他の記憶部に移動させる処理の少なくとも1つである、データ管理プログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のデータ管理プログラムであって、
前記検査データは前記部品の部品形状を検査するためのデータであり、
前記チューニング用データは前記部品の二次元形状及び三次元形状の少なくとも一方を表す画像データである、データ管理プログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のデータ管理プログラムであって、
前記記憶部には、前記画像データとして、ノイズ除去処理が施される前の前記画像データ、及び、当該画像データに前記ノイズ除去処理を施して作成された前記画像データが記憶され、
当該データ管理プログラムは、前記削減処理において、前記ノイズ除去処理が施される前の前記画像データのデータ量を削減する、データ管理プログラム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のデータ管理プログラムであって、
オペレータから前記所定の条件の設定を受け付ける設定処理を前記コンピュータに実行させる、データ管理プログラム。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のデータ管理プログラムであって、
前記削減処理において、前記検査データを用いた検査の状況が前記所定の条件を満たした場合に、前記チューニング用データのデータ量を削減するか否かの選択をオペレータから受け付け、削減する選択がされた場合にデータ量を削減する、データ管理プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のデータ管理プログラムであって、
前記削減処理において、前記チューニング用データのデータ量を削減するか否かの選択をオペレータから受け付けるとき、前記検査データを用いて前記基板を検査したときの検査の状況をオペレータに報知する、データ管理プログラム。
【請求項8】
請求項6に記載のデータ管理プログラムであって、
前記制御部は、前記削減処理において、オペレータが前記チューニング用データの削減権限を有している場合に、前記チューニング用データのデータ量を削減するか否かの選択を受け付ける、データ管理プログラム。
【請求項9】
部品が実装されている基板の検査に用いられる検査データのチューニングに用いられるチューニング用データを管理するデータ管理方法であって、
前記検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしたか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記所定の条件を満たしたと判定した場合に、記憶部に記憶されている前記チューニング用データのデータ量を削減する削減工程と、
を含む、データ管理方法。
【請求項10】
部品が実装されている基板の検査に用いられる検査データのチューニングに用いられるチューニング用データを管理するデータ管理理装置であって、
前記チューニング用データを記憶する記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしたか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理で前記所定の条件を満たしたと判定した場合に、前記記憶部に記憶されている前記チューニング用データのデータ量を削減する削減処理と、
を実行する、データ管理装置。
【請求項11】
部品が実装されている基板を検査する基板検査システムであって、
請求項10に記載のデータ管理装置と、
前記検査データを用いて前記基板を検査する基板検査装置と、
を備える、基板検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、部品が実装されている基板の検査に用いられる検査データのチューニングに用いられるチューニング用データを管理するデータ管理プログラム、データ管理方法、データ管理装置及び基板検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品が実装される基板を検査することが行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の基板検査装置は、計測対象領域の三次元計測を行い、当該計測結果を基にハンダの印刷状態を検査する。
特許文献1に記載の基板検査装置はハンダの印刷状態を検査するものであるが、部品が実装されている基板を検査する基板検査装置も知られている。部品が実装されている基板を検査する基板検査装置は、一般に実装後外観検査装置(あるいは実装後外観検査機)と称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-154664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板検査装置では、検査データを用いて基板を検査した結果、検査の状況が理想の状況から外れている場合は、検査データが適切でない可能性があるとして、記憶部に記憶されているチューニング用データを用いてオペレータが検査データをチューニング(調整)することがある。しかしながら、チューニング用データを記憶部に記憶させたままにすると記憶部の空き容量が低下する。
【0005】
本明細書では、チューニングされる可能性が高い検査データのチューニング用データについてはデータ量が削減されないようにしつつ記憶部の空き容量を確保できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
部品が実装されている基板の検査に用いられる検査データのチューニングに用いられるチューニング用データを管理するデータ管理プログラムであって、前記検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしたか否かを判定する判定処理と、前記判定処理で前記所定の条件を満たしたと判定した場合に、記憶部に記憶されている前記チューニング用データのデータ量を削減する削減処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、チューニングされる可能性が高い検査データのチューニング用データについてはデータ量が削減されないようにしつつ記憶部の空き容量を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る部品実装システムの構成を示すブロック図
図2】検査装置の構成を示す模式図
図3】サーバコンピュータ及び管理コンピュータの構成を示すブロック図
図4】部品検査データ作成画面の模式図
図5】部品検査データの作成を説明するための模式図
図6】部品検査データ登録画面の模式図
図7】検査状況集計画面の模式図
図8A】3D形状が潰れていないフィルタリング後画像の模式図
図8B】3D形状が潰れたフィルタリング後画像の模式図
図9】基板情報設定画面の模式図
図10】問い合わせ画面の模式図
図11】検査装置で実行される処理のフローチャート
図12】削除フラグをオンにする処理のフローチャート
図13】フィルタリング前画像を削除する処理のフローチャート
図14】実施形態2に係るフィルタリング前画像を削除する処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態の概要)
(1)実施形態に係るデータ管理プログラムは、部品が実装されている基板の検査に用いられる検査データのチューニングに用いられるチューニング用データを管理するデータ管理プログラムであって、前記検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしたか否かを判定する判定処理と、前記判定処理で前記所定の条件を満たしたと判定した場合に、記憶部に記憶されている前記チューニング用データのデータ量を削減する削減処理と、をコンピュータに実行させる。
【0010】
記憶部にチューニング用データが記憶されている場合、将来的にチューニングされる可能性が低い検査データのチューニングに用いられるチューニング用データのデータ量を削減すれば、チューニングされる可能性が高い検査データのチューニング用データについてはデータ量が削減されないようにしつつ、記憶部の空き容量を確保できる。しかしながら、チューニングされる可能性が低い検査データであるか否かをオペレータが判断することは難しかった。
これについて検討した本願発明者は、検査データを用いた検査の状況が理想の状況である場合は、将来的にその検査データがチューニングされる可能性が低いことを見出した。
【0011】
上記(1)に記載のデータ管理プログラムによると、検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たした場合にチューニング用データのデータ量を削減する。このため、理想の状況を所定の条件として設定し、検査の状況が理想の状況である検査データは将来的にチューニングされる可能性が低いとしてその検査データのチューニング用データのデータ量を削減することにより、チューニングされる可能性が高い検査データのチューニング用データについてはデータ量が削減されないようにしつつ、記憶部の空き容量を確保できる。
【0012】
(2)上記(1)に記載のデータ管理プログラムであって、前記削減処理は、前記チューニング用データを削除する処理、前記チューニング用データを圧縮する処理、及び、前記チューニング用データを他の記憶部に移動させる処理の少なくとも1つであってもよい。
【0013】
上記(2)に記載のデータ管理プログラムによると、チューニング用データを削除、圧縮あるいは移動させることにより、記憶部の空き容量を確保できる。
【0014】
(3)上記(1)又は(2)に記載のデータ管理プログラムであって、前記検査データは前記部品の部品形状を検査するためのデータであり、前記チューニング用データは前記部品の二次元形状及び三次元形状の少なくとも一方を表す画像データであってもよい。
【0015】
一般に画像データはデータ量が多いので、記憶部の空き容量を確保できる効果が顕著となる。
【0016】
(4)上記(3)に記載のデータ管理プログラムであって、前記記憶部には、前記画像データとして、ノイズ除去処理が施される前の前記画像データ、及び、当該画像データに前記ノイズ除去処理を施して作成された前記画像データが記憶され、当該データ管理プログラムは、前記削減処理において、前記ノイズ除去処理が施される前の前記画像データのデータ量を削減してもよい。
【0017】
上記(4)に記載のデータ管理プログラムによると、検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしていた場合であっても、ノイズ除去処理を施して作成された画像データについては削除しない。このため、検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしていた場合であっても、オペレータは記憶部に記憶されているノイズ除去処理を施して作成された画像データを用いた検査データのチューニングは引き続き可能となる。
【0018】
(5)上記(1)又は(2)に記載のデータ管理プログラムであって、オペレータから前記所定の条件の設定を受け付ける設定処理を前記コンピュータに実行させてもよい。
【0019】
どの程度の検査の状況であれば理想の状況であるかはその時々によって異なる。このため、所定の条件が固定で設定されていると、チューニング用データのデータ量を削減すべきであるのに削減されなかったり、逆に、削減すべきでないのに削減されたりする可能性がある。
上記(5)に記載のデータ管理プログラムによると、オペレータが所定の条件を設定できるので、チューニング用データのデータ量を削減すべきであるのに削減されなかったり、逆に、削減すべきでないのに削減されたりする可能性を低減できる。
【0020】
(6)上記(1)又は(2)に記載のデータ管理プログラムであって、前記削減処理において、前記検査データを用いた検査の状況が前記所定の条件を満たした場合に、前記チューニング用データのデータ量を削減するか否かの選択をオペレータから受け付け、削減する選択がされた場合にデータ量を削減してもよい。
【0021】
オペレータは、検査の状況が所定の条件を満たした場合でも、チューニング用データのデータ量を削減しないようにしたい場合もある。
上記(6)に記載のデータ管理プログラムによると、検査の状況が所定の条件を満たした場合でも、チューニング用データのデータ量を削減するか否かをオペレータが選択できる。
【0022】
(7)上記(6)に記載のデータ管理プログラムであって、前記削減処理において、前記チューニング用データのデータ量を削減するか否かの選択をオペレータから受け付けるとき、前記検査データを用いて前記基板を検査したときの検査の状況をオペレータに報知してもよい。
【0023】
上記(7)に記載のデータ管理プログラムによると、オペレータは、チューニング用データのデータ量を削減するか否かを、検査の状況に基づいて判断できる。
【0024】
(8)上記(6)に記載のデータ管理プログラムであって、前記制御部は、前記削減処理において、オペレータが前記チューニング用データの削減権限を有している場合に、前記チューニング用データのデータ量を削減するか否かの選択を受け付けてもよい。
【0025】
どのオペレータであってもチューニング用データのデータ量を削減できると、データ量を削減すべきでないチューニング用データのデータ量まで削減されることが起こり得る。
上記(8)に記載のデータ管理プログラムによると、オペレータがチューニング用データの削減権限を有している場合に、チューニング用データのデータ量を削減するか否かの選択を受け付けるので、データ量を削減すべきでないチューニング用データのデータ量が削減されることを抑制できる。
【0026】
(9)実施形態に係るデータ管理方法は、部品が実装されている基板の検査に用いられる検査データのチューニングに用いられるチューニング用データを管理するデータ管理方法であって、前記検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしたか否かを判定する判定工程と、前記判定工程で前記所定の条件を満たしたと判定した場合に、記憶部に記憶されている前記チューニング用データのデータ量を削減する削減工程と、を含む。
【0027】
上記(9)に記載のデータ管理方法によると、チューニングされる可能性が高い検査データのチューニング用データについてはデータ量が削減されないようにしつつ、記憶部の空き容量を確保できる。
【0028】
(10)実施形態に係るデータ管理装置は、部品が実装されている基板の検査に用いられる検査データのチューニングに用いられるチューニング用データを管理するデータ管理理装置であって、前記チューニング用データを記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしたか否かを判定する判定処理と、前記判定処理で前記所定の条件を満たしたと判定した場合に、前記記憶部に記憶されている前記チューニング用データのデータ量を削減する削減処理と、を実行する。
【0029】
上記(10)に記載のデータ管理装置によると、チューニングされる可能性が高い検査データのチューニング用データについてはデータ量が削減されないようにしつつ、記憶部の空き容量を確保できる。
【0030】
(11)実施形態に係る基板検査システムは、部品が実装されている基板を検査する基板検査システムであって、上記(10)に記載のデータ管理装置と、前記検査データを用いて前記基板を検査する基板検査装置と、を備える。
【0031】
上記(11)に記載の基板検査システムによると、チューニングされる可能性が高い検査データのチューニング用データについてはデータ量が削減されないようにしつつ、記憶部の空き容量を確保できる。
【0032】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本開示の実施形態は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0033】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図13に基づいて説明する。以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0034】
(1)部品実装システム
図1を参照して、実施形態1に係る部品実装システム1について説明する。部品実装システム1は基板に電子部品などの部品を実装するシステムである。
部品実装システム1は、基板に部品を実装する1以上の実装ラインL、サーバコンピュータ2、及び、管理コンピュータ3(コンピュータ及びデータ管理装置の一例)を備えている。実装ラインL、サーバコンピュータ2及び管理コンピュータ3は通信ネットワーク5を介して通信可能に接続されている。
【0035】
実装ラインLはローダー70、スクリーン印刷装置71、印刷検査装置72、ディスペンサ73、1以上の部品実装装置74、実装後外観検査装置4(基板検査装置の一例)、リフロー装置75、硬化後外観検査装置76、及び、アンローダー77を備えている。これらの装置は複数のコンベア装置78を介して一列に並んでいる。
実装後外観検査装置4は、部品実装装置74によって基板に実装された部品の部品形状の良/不良を、部品検査データ(検査データの一例)を用いて検査する装置である。以降の説明では実装後外観検査装置4のことを単に検査装置4という。
【0036】
サーバコンピュータ2は基板の生産に関する各種の情報を記憶するコンピュータである。
管理コンピュータ3は部品検査データの作成、記憶、チューニング、部品検査データのチューニングに用いられるチューニング用データの記憶、管理などを行うコンピュータである。
検査装置4と管理コンピュータ3とは、実施形態1に係る基板検査システムを構成している。
【0037】
(2)検査装置の構成
図2を参照して、検査装置4の構成について概略的に説明する。検査装置4は基板Pを検査位置に搬送する搬送コンベア、検査位置の上方に配されているメインカメラ11、基板Pに斜め上方向から正弦波パターンを投影する4つのプロジェクタ12(12N、12E、12S、12W)、メインカメラ11やプロジェクタ12を基板Pの板面に平行な方向に移動させる移動部、検査装置4の各部を制御する制御部などを備えている。検査装置4による部品形状の検査についての説明は後述する。
【0038】
(3)サーバコンピュータ及び管理コンピュータの構成
図3を参照して、サーバコンピュータ2及び管理コンピュータ3の構成について説明する。サーバコンピュータ2の構成と管理コンピュータ3の構成とは実質的に同一であるので、ここでは管理コンピュータ3を例に説明する。管理コンピュータ3は所謂パーソナルコンピュータであり、制御部21、記憶部22、通信部23、表示部24及び操作部25を備えている。
【0039】
制御部21はCPU21AやRAM21Bを有している。CPU21Aは記憶部22に記憶されている各種のプログラムを実行することによって管理コンピュータ3の各部を制御する。記憶部22にはCPU21Aによって実行される各種のプログラムやデータが記憶されている。通信部23はCPU21Aが通信ネットワーク5を介してサーバコンピュータ2などと通信するための通信回路である。表示部24は液晶ディスプレイなどの表示装置、表示装置を駆動する駆動回路などで構成されている。操作部25はキーボード、マウス、タッチパネルなどで構成されている。
【0040】
管理コンピュータ3の記憶部22に記憶されているプログラムには、部品検査データのチューニングに用いられるチューニング用データ(後述するフィルタリング前画像33やフィルタリング後画像34)を管理するデータ管理プログラムが含まれる。管理コンピュータ3の記憶部22に記憶されているデータには、部品検査データ、チューニング用データなどが含まれる。
【0041】
(4)部品検査データ、及び、部品検査データの作成
図4を参照して、部品検査データについて説明する。図4に示す部品検査データ作成画面30は、データ管理プログラムを実行する管理コンピュータ3によって表示される画面である。部品検査データ作成画面30には部品Eの三次元形状(以下、3D形状という)が表示される。図4では上面視で矩形状の部品Eを上から見た場合を示している。部品検査データ作成画面30には部品Eを左右から見たときの部品形状や前後から見たときの部品形状などを表示することもできる。
図4において二点鎖線で示す輪郭線31は部品検査データを示している。部品検査データは部品Eの3D形状を表すデータであり、部品Eの種類毎に作成される。
【0042】
図2を参照して、部品検査データの作成について説明する。部品検査データは、検査装置4が備えるメインカメラ11と4つのプロジェクタ12とを用いた位相シフト法によって作成される。位相シフト法は、撮像対象の領域(ここでは基板Pにおいて部品検査データの作成の対象となる部品Eが実装されている位置を含む領域)にプロジェクタ12で正弦波パターンを投影してメインカメラ11で撮像し、撮像した画像を解析することによって高さを計測する方法である。
【0043】
ここで、撮像対象の領域に1方向だけから正弦波パターンを投影すると部品Eの陰になって死角となる部分が生じる。このため、検査装置4は4つのプロジェクタ12によって4方向(N、S、W、E方向)から正弦波パターンを順に投影し、1つのプロジェクタ12によって正弦波パターンを投影する毎にメインカメラ11で部品Eを撮像する。これにより4つの画像が取得される。検査装置4は取得した4つの画像を管理コンピュータ3に送信する。
【0044】
管理コンピュータ3の制御部21は、検査装置4から受信した4つの画像のそれぞれについて、その画像に写り込んでいる正弦波パターンに基づいて、その画像を構成している画素毎に、その画素に対応する基板P上の位置の高さを求める。そして、図5に示すように、制御部21は求めた高さを画素値とする3D画像32(32N、32E、32S、32W)を作成する。例えば画素値の1単位が0.1mmを表しているとすると、画素値が10である画素が表す高さは1mmとなる。
【0045】
制御部21は、4つの画像のそれぞれについて作成した3D画像32に統合処理(Merge処理)を施して統合画像33を作成する。統合処理は、ある3D画像32で死角となっている部分の高さを別の3D画像32で補うことにより、撮像対象の領域の全ての位置の高さを表す1つの3D画像(統合画像33)を作成する処理である。
次に、制御部21は、統合画像33に対してノイズを除去するノイズ除去処理を施すことにより、ノイズが除去された統合画像34を作成する。ノイズ除去処理としては、膨張・収縮処理を施す方法、空間フィルタを用いる方法などの様々な方法が知られている。ノイズ除去処理としては適宜の方法を用いることができる。
【0046】
以降の説明では、ノイズ除去処理を施す前の統合画像33のことをフィルタリング前画像33(ノイズ除去処理が施される前の画像データの一例)といい、フィルタリング前画像33にノイズ除去処理を施すことによって作成された統合画像34のことをフィルタリング後画像34(フィルタリング前画像33にノイズ除去処理を施して作成された画像データの一例)という。フィルタリング前画像33及びフィルタリング後画像34はチューニング用データの一例である。
【0047】
ここで、フィルタリング前画像33が作成された後は、方向毎に撮像した4つの画像や、それら4つの画像から作成した4つの3D画像32は不要になる。制御部21は、これらの画像についてはフィルタリング前画像33を作成した後に記憶部22から削除する。
フィルタリング後画像34を作成した後はフィルタリング前画像33が不要になるが、実施形態1では、基板Pの生産が開始された後にフィルタリング前画像33を用いて部品検査データがチューニングされる場合がある。このため、制御部21は、フィルタリング後画像34を作成してもフィルタリング前画像33を直ぐには削除せず、基板Pの検査の状況が後述する所定の条件を満たした場合に削除する。
【0048】
図4に示すように、オペレータは、作成されたフィルタリング後画像34が表す部品Eの3D形状を部品検査データ作成画面30に表示させる。オペレータは表示された部品Eの3D形状を見ながら部品Eを囲む輪郭線31を設定することによって部品検査データを作成する。
【0049】
ここで、部品形状には公差があるため、フィルタリング後画像34によって表される3D形状をそのまま部品検査データとすると、公差の範囲内で部品形状に違いがあった場合に、本来は良と判定されるべき部品Eが不良と判定される可能性がある。このため、オペレータは、部品検査データによって表される3D形状が、フィルタリング後画像34によって表される3D形状より一回り大きくなるようにマージンを持たせて部品検査データを作成する。
【0050】
ただし、マージンが大き過ぎると、不良と判定されるべき部品Eまで良と判定される可能性がある。このため、オペレータは、公差を許容しつつ、不良と判定されるべき部品Eは不良と判定されるようにマージンを設定する。このため、一般に適切な部品検査データの作成には高いスキルや経験が求められる。高いスキルや経験を有するオペレータでも常に適切な部品検査データを作成できるとは限らず、適切でない部品検査データが作成されることもある。
【0051】
(5)部品検査データの登録
図6を参照して、作成された部品検査データの登録について説明する。図6に示す部品検査データ登録画面40は、データ管理プログラムを実行する管理コンピュータ3によって表示される画面である。部品検査データ登録画面40は、基板Pの機種毎に、その機種の基板Pに実装される部品Eの検査に用いる部品検査データをオペレータが登録するための画面である。部品検査データ登録画面40に登録された部品検査データは管理コンピュータ3から検査装置4に送信されて検査に用いられる。
【0052】
(6)部品検査データを用いた部品の検査
検査装置4は、基板Pに実装されている部品Eを検査するとき、部品検査データを作成するときと同様にメインカメラ11と4つのプロジェクタ12とを用いた位相シフト法によって部品Eの3D形状を検出し、検出した3D形状が、部品検査データによって表される3D形状内に収まっているか否かを判定することによって部品形状の良/不良を判定する。
【0053】
検査装置4は、1つの機種の生産が終了すると、当該1つの機種を生産したときの検査に関する情報をサーバコンピュータ2に送信する。検査に関する情報は、具体的には検査した基板Pの枚数、良と判定した基板Pの枚数、不良と判定した基板Pの枚数、検査した部品Eの数、良と判定した部品Eの数、不良と判定した部品Eの数などである。検査に関する情報はこれらに限定されず、後述する検査の状況の集計に必要な適宜の情報が送信される。
サーバコンピュータ2は受信した検査に関する情報を記憶部22に記憶する。
【0054】
(7)検査の状況の集計
図7を参照して、検査の状況の集計について説明する。管理コンピュータ3の制御部21は、1つの機種の生産が終了すると、サーバコンピュータ2からその機種の検査に関する情報を取得して部品検査データ毎に検査の状況を集計し、集計した検査の状況をデータベースに登録する。検査の状況は、具体的には基板検査数、直行率、不良率、過判定率、不良基板枚数、不良部品数、工程能力CPK、繰り返し性GR&Rなどである。検査の状況はこれらに限定されず、適宜に決定できる。
【0055】
直行率は検査した部品Eの数に占める1回で良になった部品Eの割合(%)である。直行率にはオペレータが部品形状を手直しして良に復活した部品Eは含まれない。
不良率は検査した部品Eの数に占める不良になった部品Eの数の割合(%)である。
過判定率は不良と判定した部品Eのうちオペレータが目視で確認して良となった部品Eの割合(%)である。
不良基板枚数は検査で不良となった基板Pの枚数である。例えば、基板Pに実装される部品Eの数に占める不良となった部品Eの数の割合が所定値以上である場合は不良基板となる。
不良部品数は検査で不良になった部品Eの数である。
工程能力CPKは工程の管理状態を表す数値である。
繰り返し性GR&Rは検査装置4の精度と偏りを表す統計的手法である。
【0056】
図7に示す検査状況集計画面50は、生産が終了した機種について、その機種の検査の状況を表示する画面である。検査状況集計画面50は、データ管理プログラムを実行する管理コンピュータ3によって表示される画面である。管理コンピュータ3の制御部21は、検査の状況を集計した後、オペレータが検査状況集計画面50の表示を指示すると、データベースから集計結果を読み出して検査状況集計画面50に表示する。検査状況集計画面50には生産した基板Pの検査に用いた部品検査データがリスト表示される。リストには部品検査データ毎に検査の状況が表示される。
【0057】
(8)部品検査データのチューニング
前述したように、部品検査データは適切でないこともある。適切でない部品検査データを用いると、検査の状況が理想の状況から外れることがある。このため、オペレータは、検査状況集計画面50で検査の状況を確認し、検査の状況が理想の状況から外れている場合は、部品検査データが適切でない可能性があると判断して部品検査データをチューニングする。
【0058】
ここで、部品検査データが適切でない原因としては種々の原因が考えられる。例えばマージンが小さ過ぎたり大き過ぎたりすることが原因であることが考えられる。それ以外にも、フィルタリング後画像34を作成するときのノイズ除去処理のパラメータが適切でなかったことによって部品Eの一部の3D形状が潰れてしまい、一部の3D形状が潰れたフィルタリング後画像34に基づいて部品検査データが作成されたことが原因であることも考えられる。
【0059】
図8A及び図8Bを参照して、ノイズ除去処理の際の3D形状の潰れについて概念的に説明する。ノイズ除去処理は予め設定されているパラメータに従って行われる。そのパラメータが適切でないとノイズでない部分までがノイズとして除去されることにより、部品Eの一部の3D形状が潰れることがある。
例えば図8Aは本来作成されるべきフィルタリング後画像34を概念的に表している。図8Aに示す部品Eは円板状の台座部の中心から円柱部が立ち上がっている形状である。図8Bはノイズ除去処理の際に部品Eの一部の3D形状が潰れたフィルタリング後画像34を概念的に表している。図8Bに示す例ではパラメータが適切でないことによって一部の部品Eの円柱部が潰れて低くなっている。
【0060】
部品Eの一部の3D形状が潰れているフィルタリング後画像34に基づいて作成された部品検査データを用いると、検出した部品Eの3D形状が、部品検査データによって表される3D形状内に収まらないことにより、良と判定されるべき部品Eであっても不良と誤判定される。これにより、検査の状況が理想の状況から外れてしまうことが起こり得る。
【0061】
このため、オペレータは、検査の状況が理想の状況から外れている場合は、部品検査データ作成画面30で部品検査データをチューニングする。具体的には、オペレータは部品検査データ作成画面30にフィルタリング後画像34が表す3D形状を表示させ、マージンが適切であるか、3D形状が潰れていないかなどを確認する。そして、オペレータは、3D形状が潰れている場合は、ノイズ除去処理のパラメータを調整してフィルタリング前画像33からフィルタリング後画像34を作成し直す。そして、オペレータは作成し直したフィルタリング後画像34が表す3D形状を見ながら部品検査データをチューニングする。部品検査データのチューニングでは、オペレータは輪郭線31の修正やマージンの修正などを行う。
【0062】
(9)フィルタリング前画像の記憶と削除
上述したように、検査の状況が理想の状況から外れている場合は、部品検査データのチューニングのためにフィルタリング前画像33からフィルタリング後画像34が作成し直されることがある。この場合、記憶部22にフィルタリング前画像33が記憶されていないと、検査装置4で部品Eを再撮像してフィルタリング前画像33を作成し直さなければならず、作業効率が低下する。このため、制御部21は、フィルタリング後画像34を作成した後もフィルタリング前画像33を削除せずに記憶部22に記憶させておく。
【0063】
そして、制御部21は、記憶部22に記憶されているフィルタリング前画像33を削除(削減の一例)するか否かを検査の状況に基づいて判定する。具体的には、制御部21は、検査の状況が理想の状況であるか否かを、検査の状況が所定の条件を満たしているか否かを判定することによって判定する。制御部21は、検査の状況が所定の条件を満たしている場合はフィルタリング前画像33を削除すると判断する。実施形態1では、次に説明する基板情報設定画面60でオペレータが所定の条件を設定できる。
【0064】
図9を参照して、基板情報設定画面60について説明する。基板情報設定画面60は、データ管理プログラムを実行する管理コンピュータ3によって表示される画面である。基板情報設定画面60は、基板Pの機種毎に、その機種の基板Pに関する各種の情報をオペレータが設定するための画面である。各種の情報には基板サイズや、所定の条件などが含まれる。例えば直行率が90%以上の場合は検査の状況が理想の状況であるとする。この場合、所定の条件として「直行率が90%以上」が設定される(設定処理の一例)。あるいは、過判定率が5%以下の場合は検査の状況が理想の状況であるとする。この場合、所定の条件として「過判定率が5%以下」が設定される(設定処理の一例)。
【0065】
所定の条件は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。所定の条件が2つ以上の場合は、それら2つ以上の所定の条件のうちいずれか1つの条件が満たされた場合にフィルタリング前画像33を削除してもよいし、それら2つ以上の条件の全てが満たされた場合にフィルタリング前画像33を削除してもよい。
【0066】
ただし、実施形態1では、制御部21は、検査の状況が所定の条件を満たしても直ぐにはフィルタリング前画像33を削除せず、そのフィルタリング前画像33を用いて作成された部品検査データが、その後に生産される機種の検査に用いる部品検査データとして部品検査データ登録画面40に登録されたタイミングで削除する。
具体的には、前述したように、制御部21は、1つの機種の生産が終了すると、部品検査データ毎に検査の状況を集計してデータベースに登録する。このとき、制御部21は、部品検査データ毎に、その部品検査データの検査の状況が、基板情報設定画面60で設定された所定の条件を満たしているか否かを判定する。そして、制御部21は、検査の状況が所定の条件を満たしている場合は、その部品検査データの削除フラグをオンにする。削除フラグは部品検査データに付加されているフラグであり、オンはその部品検査データの作成に用いたフィルタリング前画像33を削除してもよいことを意味しており、オフは削除できないことを意味している。削除フラグのデフォルト値はオフである。
【0067】
そして、制御部21は、部品検査データ登録画面40に部品検査データが登録されると、登録された部品検査データの削除フラグがオンであるか否かを判定する。例えば、部品検査データ登録画面40に登録された部品検査データが過去にある機種の検査に用いられており、当該ある機種を生産したときのその部品検査データの検査の状況が、当該ある機種に設定されている所定の条件を満たしていたとする。その場合、その部品検査データの削除フラグにオンが設定される。このため、当該ある機種の生産が終了した後、その部品検査データが別の機種の検査に用いられる部品検査データとして部品検査データ登録画面40に登録されたとき、削除フラグがオンであると判定される。
【0068】
制御部21は、削除フラグがオンである場合は、図10に示す問い合わせ画面41を表示する。問い合わせ画面41は、登録された部品検査データの作成に用いられたフィルタリング前画像33(チューニング用データ)を削除するか否かの選択をオペレータから受け付ける画面である。問い合わせ画面41には上述したある機種を生産したときのその部品検査データの検査の状況(言い換えると削除フラグがオンにされたときの検査の状況)も表示(報知の一例)される。
【0069】
オペレータは、表示された検査の状況を見て、将来的にその部品検査データをチューニングする可能性の高低を判断する。オペレータは、チューニングする可能性が低いと判断した場合は[Yes]を選択する。オペレータが[Yes]を選択すると、制御部21はその部品検査データの作成に用いられたフィルタリング前画像33(チューニング用データ)を記憶部22から削除する。オペレータが[No]を選択した場合は、フィルタリング前画像33は削除されない。
【0070】
(10)検査装置で実行される処理
図11を参照して、検査装置4で実行される処理のフローについて説明する。本処理は基板Pの生産が開始されると開始される。
S101では、検査装置4は生産する機種の検査に用いる部品検査データを読み込む。
S102では、検査装置4は基板Pに実装されている部品Eの部品形状の良/不良を、S101で読み込んだ部品検査データを用いて判定する。
【0071】
S103では、検査装置4は1つの機種の生産が終了したか否かを判定し、終了した場合はS104に進み、終了していない場合はS102に戻って処理を繰り返す。
S104では、検査装置4は検査に関する情報をサーバコンピュータ2に送信する。サーバコンピュータ2は受信した検査に関する情報を記憶部22に記憶する。
S105では、検査装置4は別の機種の基板Pを生産するか否かを判定し、生産しない場合は処理を終了し、生産する場合はS101に戻って処理を繰り返す。
【0072】
(11)管理コンピュータによって実行される処理
データ管理プログラムを実行する管理コンピュータ3によって実行される処理として、部品検査データの削除フラグをオンにする処理、及び、フィルタリング前画像33を削除する処理について説明する。
【0073】
(11―1)部品検査データの削除フラグをオンにする処理
図12を参照して、削除フラグをオンにする処理について説明する。前述したように、検査装置4は、1つの機種の生産が終了すると、検査に関する情報をサーバコンピュータ2に送信する。1つの機種の生産が終了したことはサーバコンピュータ2から管理コンピュータ3に通知される。本処理は1つの機種の生産が終了したことがサーバコンピュータ2から管理コンピュータ3に通知されると開始される。
【0074】
S201では、管理コンピュータ3の制御部21はサーバコンピュータ2から検査に関する情報を取得する。
S202では、制御部21は、検査に関する情報に基づいて、同一の部品検査データの単位、且つ、検査の状況を表す数値の種別(直行率、不良率、過判定率など)の単位で検査の状況を集計する。
【0075】
S203では、制御部21は集計した検査の状況が所定の条件を満たしているか否かを判定する(判定処理の一例)。制御部21は、所定の条件を満たしている場合はS204に進み、満たしていない場合は処理を終了する。
S204では、制御部21は部品検査データの削除フラグをオンにする。
【0076】
(11-2)フィルタリング前画像を削除する処理
図13を参照して、フィルタリング前画像33を削除する処理について説明する。本処理は、部品検査データ登録画面40に部品検査データが登録される毎に実行される。
【0077】
S301では、制御部21は登録された部品検査データの削除フラグがオンであるか否かを判定し、オンである場合はS302に進み、オフである場合は処理を終了する。
S302では、制御部21は問い合わせ画面41を表示する。
S303では、制御部21は、問い合わせ画面41で[Yes]が選択された場合はS304に進み、[No]が選択された場合は処理を終了する。
S304では、制御部21は登録された部品検査データの作成に用いたフィルタリング前画像33(すなわち登録された部品検査データのチューニングに用いられるチューニング用データ)を記憶部22から削除する(削減処理の一例)。
【0078】
(12)実施形態の効果
実施形態1に係るデータ管理プログラムによると、部品検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たした場合(S203で所定の条件を満たしていると判定した場合)にフィルタリング前画像33を削除する(S304)。このため、理想の状況を所定の条件として設定し、検査の状況が理想の状況である部品検査データは将来的にチューニングされる可能性が低いとしてその部品検査データのフィルタリング前画像33を削除することにより、チューニングされる可能性が高い部品検査データのフィルタリング前画像33については削除されないようにしつつ、記憶部22の空き容量を確保できる。
【0079】
データ管理プログラムによると、フィルタリング前画像33を削除することにより、記憶部22の空き容量を確保できる。
【0080】
データ管理プログラムによると、チューニング用データは部品Eの3D形状を表すフィルタリング前画像33(画像データ)である。一般に画像データはデータ量が多いので、記憶部22の空き容量を確保できる効果が顕著となる。
【0081】
データ管理プログラムによると、部品検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしていた場合は、フィルタリング前画像33を削除する一方、フィルタリング後画像34については削除しない。このため、部品検査データを用いた検査の状況が所定の条件を満たしていた場合であっても、オペレータはフィルタリング後画像34を用いた部品検査データのチューニングについては引き続き可能となる。
記憶部22の空き容量を確保するために、フィルタリング前画像33及びフィルタリング後画像34は圧縮されて記憶部22に記憶されてもよい。フィルタリング前画像33はノイズが多いため、フィルタリング後画像34に比べて圧縮が効き難く、圧縮後のデータ量がフィルタリング後画像34の30倍近くになるような場合もある。このため、フィルタリング前画像33を削除するだけでも、記憶部22の空き容量を確保する上で大きな効果が得られる。
【0082】
データ管理プログラムによると、オペレータが所定の条件を設定できるので、フィルタリング前画像33を削除すべきであるのに削除されなかったり、逆に、削除すべきでないのに削除されたりする可能性を低減できる。
【0083】
データ管理プログラムによると、検査の状況が所定の条件を満たした場合でも、フィルタリング前画像33を削除するか否かをオペレータが選択できる。
【0084】
データ管理プログラムによると、フィルタリング前画像33を削除するか否かの選択をオペレータから受け付けるとき、部品検査データを用いて基板Pを生産したときの検査の状況をオペレータに報知する。このため、オペレータは、フィルタリング前画像33を削除するか否かを、検査の状況に基づいて判断できる。
【0085】
<実施形態2>
実施形態2は実施形態1の変形例である。前述した実施形態1では、管理コンピュータ3の制御部21は、フィルタリング前画像33を削除する処理のS301で部品検査データの削除フラグがオンであると判定した場合は、フィルタリング前画像33を削除するか否かの選択を受け付ける問い合わせ画面41を表示する(S302)。
これに対し、実施形態2に係る制御部21は、管理コンピュータ3にログインしているオペレータがフィルタリング前画像33の削除権限(削減権限の一例)を有している場合に問い合わせ画面41を表示する。
【0086】
図14を参照して、実施形態2に係るフィルタリング前画像33を削除する処理のフローについて説明する。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
S401では、制御部21は、管理コンピュータ3にログインしているオペレータが、フィルタリング前画像33の削除権限を有しているか否かを判断する。制御部21は、オペレータが削除権限を有している場合はS302に進み、有していない場合は処理を終了する。
【0088】
実施形態2に係るデータ管理プログラムによると、オペレータがフィルタリング前画像33の削除権限を有している場合に、フィルタリング前画像33を削除するか否かの選択を受け付けるので、削除すべきでないフィルタリング前画像33が削除されることを抑制できる。
【0089】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0090】
(1)上記実施形態では、部品検査データとして部品Eの3D形状を検査するためのデータを例示したが、部品検査データはこれに限られない。例えば、部品検査データは部品Eを上から見た二次元形状(2D形状)を検査するためのデータであってもよい。
【0091】
(2)上記実施形態では、チューニング用データとしてフィルタリング前画像33とフィルタリング後画像34とを例示した。これに対し、フィルタリング前画像33の作成に用いられた4つの画像や4つの3D画像32もチューニング用データとして記憶部22に記憶してもよい。部品検査データの作成に用いたどの画像をチューニング用データとして記憶部22に記憶しておくかは適宜に決定できる。
部品検査データは部品Eの二次元形状(2D形状)を検査するための二次元画像(2D画像)であってもよい。その場合、チューニング用データとして2D画像を記憶してもよい。
【0092】
(3)上記実施形態では検査の状況が所定の条件を満たした場合に、フィルタリング前画像33を削除する一方、フィルタリング後画像34については削除しない場合を例示した。これに対し、検査の状況が所定の条件を満たした場合はフィルタリング後画像34も削除するようにしてもよい。
【0093】
(4)上記実施形態ではフィルタリング前画像33のデータ量を削減する例としてフィルタリング前画像33を削除する場合を例示した。これに対し、フィルタリング前画像33を圧縮することによってデータ量を削減してもよいし、フィルタリング前画像33を他のコンピュータの記憶部に移動させることによってデータ量を削減してもよい。例えば、フィルタリング前画像33が圧縮されずに記憶部22に記憶されている場合は、圧縮することによってデータ量を削減できる。圧縮は可逆圧縮であってもよいし、不可逆圧縮であってもよい。一般に不可逆圧縮の方が可逆圧縮よりも圧縮率が高いので、フィルタリング前画像33のデータ量を削減する効果が大きい。
【0094】
(5)上記実施形態ではオペレータから所定の条件の設定を受け付ける場合を例示したが、所定の条件は予めデータ管理プログラムに固定で設定されていてもよい。
【0095】
(6)上記実施形態では、検査の状況が所定の条件を満たした場合に、フィルタリング前画像33を削除するか否かの選択をオペレータから受け付ける場合を例示した。これに対し、検査の状況が所定の条件を満たした場合は、フィルタリング前画像33を削除するか否かの選択を受け付けることなくフィルタリング前画像33を削除してもよい。
【0096】
(7)上記実施形態では、フィルタリング前画像33を削除するか否かの選択を受け付ける問い合わせ画面41に検査の状況を表示する場合を例示したが、検査の状況は表示されなくてもよい。
【0097】
(8)上記実施形態では、検査の状況が所定の条件を満たしても直ぐにはフィルタリング前画像33を削除せず、そのフィルタリング前画像33を用いて作成された部品検査データが部品検査データ登録画面40に登録されたタイミングで削除する場合を例示した。これに対し、検査の状況が所定の条件を満たした時点で直ちにフィルタリング前画像33を削除してもよい。
【0098】
(9)上記実施形態では、部品Eが実装されている基板Pの検査に用いられる検査データとして、実装されている部品Eの部品形状の検査に用いられる部品検査データを例示した。しかしながら、検査データは、部品Eが実装されている基板Pの検査に用いられるデータであれば部品検査データ以外のデータであってもよい。
【0099】
(10)上記実施形態ではチューニング用データとして画像データを例示したが、チューニング用データは画像データに限定されず、任意の形式のデータであってよい。
【0100】
(11)上記実施形態では部品Eの高さを位相シフト法によって検出する場合を例示したが、部品Eの高さを検出する方法は適宜に決定できる。例えば光切断法によって部品Eの高さを検出してもよい。
【0101】
(12)上記実施形態ではサーバコンピュータ2と管理コンピュータ3とが別々のコンピュータである場合を例示したが、これらは1つのコンピュータであってもよい。
【符号の説明】
【0102】
3: 管理コンピュータ(コンピュータ、データ管理装置及び基板検査システムの一例)
4: 実装後外観検査装置(基板検査装置及び基板検査システムの一例)
21: 制御部
22: 記憶部
33: フィルタリング前画像(ノイズ除去処理が施される前の画像データの一例)
34: フィルタリング後画像(ノイズ除去処理を施して作成された画像データの一例)
E: 部品
P: 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14