(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006018
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】流体制御弁及び建設機械
(51)【国際特許分類】
F15B 11/08 20060101AFI20240110BHJP
F15B 21/044 20190101ALI20240110BHJP
F16K 11/07 20060101ALI20240110BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F15B11/08 A
F15B21/044
F16K11/07 M
E02F9/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106550
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小林 正幸
【テーマコード(参考)】
2D003
3H067
3H082
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB00
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
3H067AA17
3H067CC54
3H067DD02
3H067DD12
3H067DD33
3H067EC01
3H067ED04
3H067FF12
3H067FF17
3H067GG15
3H067GG22
3H082AA13
3H082AA22
3H082BB17
3H082BB21
3H082CC02
3H082DA46
3H082DB11
3H082DB34
3H082EE02
3H089AA60
3H089BB14
3H089BB24
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC11
3H089DA01
3H089DA13
3H089DB43
3H089DB75
3H089EE05
3H089EE22
3H089EE36
3H089GG02
3H089HH05
3H089HH16
3H089HH18
3H089HH23
3H089JJ02
(57)【要約】
【課題】簡素な構造によりパイロット室に滞留したエアを除去することができる流体制御弁と、この流体制御弁を備えた建設機械を提供する。
【解決手段】流体制御弁1は、パイロット室20を有するパイロットケーシング12と、パイロットケーシング12の内部の少なくとも一部に配置されたスプール30と、パイロットケーシング12に設けられた電磁比例弁50とを備える。パイロットケーシング12は、パイロット室20より上方に位置する流路40を有する。流路40は、タンクTに接続される排出ポートと、電磁比例弁50の弁排出口51に接続される第1開口部25と、パイロット室20に接続される第2開口部27とを有する。第1開口部25は、電磁比例弁50よりも上下方向で上方に設けられている。第2開口部27は、パイロット室20よりも上下方向で上方に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイロット室を有するパイロットケーシングと、
前記パイロット室内に生じる流体圧により駆動され、前記パイロットケーシングの上下方向に移動可能であり、前記パイロットケーシングの内部の少なくとも一部に配置されたスプールと、
前記パイロットケーシングに設けられ、流体供給源からの作動流体を前記パイロット室に供給し、前記スプールを移動させ、弁排出口を有する電磁比例弁と、
を備え、
前記パイロットケーシングは、前記パイロット室より上方に位置する流路を有し、
前記流路は、
タンクに接続される排出ポートと、
前記電磁比例弁の前記弁排出口に接続される第1開口部と、
前記パイロット室に接続される第2開口部と、
を有し、
前記第1開口部は、前記電磁比例弁よりも前記上下方向で上方に設けられ、
前記第2開口部は、前記パイロット室よりも前記上下方向で上方に設けられている、
流体制御弁。
【請求項2】
前記パイロットケーシングは、前記流体供給源に接続される供給ポートを備え、
前記供給ポートは、前記流路よりも下方に設けられている、
請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項3】
前記パイロットケーシングは、前記上下方向において前記パイロット室に面する上端面を有し、
前記第2開口部は、前記スプールの軸方向において前記スプールに対向するとともに前記上端面に設けられ、
前記流路は、前記第2開口部に通じる分岐流路を有し、
前記分岐流路には、ネジが嵌め合わされている、
請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項4】
各々が前記パイロット室に対応する、複数のパイロット室と、
各々が前記電磁比例弁に対応する、複数の電磁比例弁と、
各々が前記第1開口部に対応する、複数の第1開口部と、
各々が前記第2開口部に対応する、複数の第2開口部と、
各々が前記分岐流路に対応する、複数の分岐流路と、
を有し、
前記流路は、第1流路と、第2流路と、接続流路とを有し、
前記接続流路は、前記複数の第1開口部の各々と前記第1流路とに接続されており、前記複数の第1開口部の各々から排出される前記作動流体を前記接続流路に合流させながら前記第1流路に流し、
前記第1流路は、前記接続流路と前記第2流路とに接続されており、前記接続流路から排出された前記作動流体を前記第2流路に流し、
前記第2流路は、前記複数の分岐流路の各々と、前記第1流路と、前記排出ポートとに接続されており、
前記第2流路は、前記複数の分岐流路の各々から排出される前記作動流体と前記第1流路から排出された前記作動流体とを合流させながら、前記排出ポートに前記作動流体を流す、
請求項3の流体制御弁。
【請求項5】
流体制御弁であって、
パイロット室を有するパイロットケーシングと、
前記パイロット室内に生じる流体圧により駆動され、前記パイロットケーシングの上下方向に移動可能であり、前記パイロットケーシングの内部の少なくとも一部に配置されたスプールと、
前記パイロットケーシングに設けられ、流体供給源からの作動流体を前記パイロット室に供給し、前記スプールを移動させ、弁排出口を有する電磁比例弁と、
を備え、
前記パイロットケーシングは、前記パイロット室より上方に位置する流路を有し、
前記流路は、
タンクに接続される排出ポートと、
前記電磁比例弁の前記弁排出口に接続される第1開口部と、
前記パイロット室に接続される第2開口部と、
を有し、
前記第1開口部は、前記電磁比例弁よりも前記上下方向で上方に設けられ、
前記第2開口部は、前記パイロット室よりも前記上下方向で上方に設けられており、
前記パイロットケーシングは、前記流体供給源に接続される供給ポートを備え、
前記供給ポートは、前記流路よりも下方に設けられており、
前記パイロットケーシングは、前記上下方向において前記パイロット室に面する上端面を有し、
前記第2開口部は、前記スプールの軸方向において前記スプールに対向するとともに前記上端面に設けられ、
前記流路は、前記第2開口部に通じる分岐流路を有し、
前記分岐流路には、ネジが嵌め合わされており、
前記流体制御弁は、
各々が前記パイロット室に対応する、複数のパイロット室と、
各々が前記電磁比例弁に対応する、複数の電磁比例弁と、
各々が前記第1開口部に対応する、複数の第1開口部と、
各々が前記第2開口部に対応する、複数の第2開口部と、
各々が前記分岐流路に対応する、複数の分岐流路と、
を更に有し、
前記流路は、第1流路と、第2流路と、接続流路とを有し、
前記接続流路は、前記複数の第1開口部の各々と前記第1流路とに接続されており、前記複数の第1開口部の各々から排出される前記作動流体を前記接続流路に合流させながら前記第1流路に流し、
前記第1流路は、前記接続流路と前記第2流路とに接続されており、前記接続流路から排出された前記作動流体を前記第2流路に流し、
前記第2流路は、前記複数の分岐流路の各々と、前記第1流路と、前記排出ポートとに接続されており、
前記第2流路は、前記複数の分岐流路の各々から排出される前記作動流体と前記第1流路から排出された前記作動流体とを合流させながら、前記排出ポートに前記作動流体を流す、
流体制御弁。
【請求項6】
車体と、
前記車体を駆動するためのアクチュエータと、
前記アクチュエータに、前記アクチュエータの駆動源となる作動流体を供給するポンプと、
前記アクチュエータに供給する前記作動流体の流量を調整する流体制御弁と、
を備え、
前記流体制御弁は、
少なくとも1つのパイロット室を有するパイロットケーシングと、
前記パイロット室内に生じる流体圧により駆動され、前記パイロットケーシングの上下方向に移動可能であり、前記パイロットケーシングの内部の少なくとも一部に配置されたスプールと、
前記パイロットケーシングに設けられ、流体供給源からの前記作動流体を前記パイロット室に供給し、前記スプールを移動させ、弁排出口を有する電磁比例弁と、
を備え、
前記パイロットケーシングは、前記パイロット室より上方に位置する流路を有し、
前記流路は、
タンクに接続される排出ポートと、
前記電磁比例弁の前記弁排出口に接続される第1開口部と、
前記パイロット室に接続される第2開口部と、
を有し、
前記第1開口部は、前記電磁比例弁よりも前記上下方向で上方に設けられ、
前記第2開口部は、前記パイロット室よりも前記上下方向で上方に設けられており、
前記パイロットケーシングは、前記流体供給源に接続される供給ポートを備え、
前記供給ポートは、前記流路よりも下方に設けられており、
前記パイロットケーシングは、前記上下方向において前記パイロット室に面する上端面を有し、
前記第2開口部は、前記スプールの軸方向において前記スプールに対向するとともに前記上端面に設けられ、
前記流路は、前記第2開口部に通じる分岐流路を有し、
前記分岐流路には、ネジが嵌め合わされている、
建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御弁及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁比例弁を用いた油圧パイロット式制御弁が搭載された建設機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造においては、パイロット室からのエア抜きが可能であるが、パイロット室に滞留したエアを排出するためにスプールに切り欠きや弁ハウジングにタンク通路を設ける必要がある。このため、制御弁の大型化を招き、コントローラの制御を用いた油圧制御システムの構造が複雑となるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡素な構造によりパイロット室に滞留したエアを除去することができる流体制御弁と、この流体制御弁を備えた建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る流体制御弁は、パイロット室を有するパイロットケーシングと、前記パイロット室内に生じる流体圧により駆動され、前記パイロットケーシングの上下方向に移動可能であり、前記パイロットケーシングの内部の少なくとも一部に配置されたスプールと、前記パイロットケーシングに設けられ、流体供給源からの作動流体を前記パイロット室に供給し、前記スプールを移動させ、弁排出口を有する電磁比例弁と、を備える。前記パイロットケーシングは、前記パイロット室より上方に位置する流路を有する。前記流路は、タンクに接続される排出ポートと、前記電磁比例弁の前記弁排出口に接続される第1開口部と、前記パイロット室に接続される第2開口部とを有する。前記第1開口部は、前記電磁比例弁よりも前記上下方向で上方に設けられている。前記第2開口部は、前記パイロット室よりも前記上下方向で上方に設けられている。
【0007】
このような構成においては、パイロット室の作動流体内に含まれるエアは、浮力の作用によりパイロット室の上方に向けて移動する。さらに、パイロット室に発生する圧力の作用によってエアを含む作動流体が電磁比例弁に流れると、エアを含む作動流体は弁排出口に接続された第1開口部を通じて流路に流れ、流路を通り、排出ポートを経て、パイロットケーシングの外部に排出される。さらに、パイロット室に発生する圧力の作用によって、エアを含む作動流体は、パイロット室に接続される第2開口部を通じて流路に流れ、流路を通り、排出ポートを経て、パイロットケーシングの外部に排出される。言い換えると、第1開口部を経由して流路を流れる作動流体の移動と、第2開口部を経由して流路を流れる作動流体の移動とが生じる。第1開口部を経由した作動流体及び第2開口部を経由した作動流体は、流路において合流し、排出ポートを経て、パイロットケーシングの外部に排出される。
【0008】
したがって、パイロット室内にエアが長時間停滞してしまうことを防止し、エアを含む作動流体をパイロット室からスムーズに除去することができる。流路を通じてエアをパイロット室から除去することができる。このため、パイロット室からエアを除去するためだけの流体制御弁の操作や構造が不要となり、流体制御弁の構造を簡素化することができる。
【0009】
本発明の一態様に係る流体制御弁においては、前記パイロットケーシングは、前記流体供給源に接続される供給ポートを備えてもよい。この場合、前記供給ポートは、前記流路よりも下方に設けられてもよい。
【0010】
このような構成においては、流体供給源から供給ポートを通る作動流体にエアが含まれている場合に、作動流体に含まれるエアは、浮力の作用により、流路の下方に設けられている供給ポートを通じて上方に向けて移動する。エアを含む作動流体は、電磁比例弁に供給される。エアを含む作動流体は、第1開口部を経由して流路を流れる。または、エアを含む作動流体は、第2開口部を経由して流路を流れる。第1開口部を経由した作動流体及び第2開口部を経由した作動流体は、流路において合流し、排出ポートを経て、パイロットケーシングの外部に排出される。したがって、流体供給源から供給ポートを通じてパイロット室に供給される作動流体にエアが含まれている場合であっても、パイロット室内にエアが長時間停滞してしまうことを防止し、エアを含む作動流体をパイロット室からスムーズに除去することができる。流路を通じてエアをパイロット室から除去することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る流体制御弁においては、前記パイロットケーシングは、前記上下方向において前記パイロット室に面する上端面を有してもよい。この場合、前記第2開口部は、前記スプールの軸方向において前記スプールに対向するとともに前記上端面に設けられてもよい。前記流路は、前記第2開口部に通じる分岐流路を有してもよい。前記分岐流路には、ネジが嵌め合わされてもよい。
【0012】
このような構成においては、パイロット室の作動流体内に含まれるエアは、浮力の作用によりパイロット室の上端面に向けて移動し、パイロット室に発生する圧力の作用によって、エアを含む作動流体は、第2開口部に流れる。エアを含む作動流体は、第2開口部を通じて分岐流路を流れ、流路に流れる。エアを含む作動流体は、流路を通り、排出ポートを経て、パイロットケーシングの外部に排出される。
【0013】
したがって、パイロット室内にエアが長時間停滞してしまうことを防止し、エアを含む作動流体をパイロット室からスムーズに除去することができる。第2開口部及び分岐流路を通じてエアをパイロット室から除去することができるので、パイロット室からエアを除去するためだけの流体制御弁の操作や構造が不要となり、流体制御弁の構造を簡素化することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る流体制御弁は、各々が前記パイロット室に対応する複数のパイロット室と、各々が前記電磁比例弁に対応する複数の電磁比例弁と、各々が前記第1開口部に対応する複数の第1開口部と、各々が前記第2開口部に対応する複数の第2開口部と、各々が前記分岐流路に対応する複数の分岐流路とを有してもよい。この場合、前記流路は、第1流路と、第2流路と、接続流路とを有してもよい。前記接続流路は、前記複数の第1開口部の各々と前記第1流路とに接続されており、前記複数の第1開口部の各々から排出される前記作動流体を前記接続流路に合流させながら前記第1流路に流してもよい。前記第1流路は、前記接続流路と前記第2流路とに接続されており、前記接続流路から排出された前記作動流体を前記第2流路に流してもよい。前記第2流路は、前記複数の分岐流路の各々と、前記第1流路と、前記排出ポートとに接続されてもよい。前記第2流路は、前記複数の分岐流路の各々から排出される前記作動流体と前記第1流路から排出された前記作動流体とを合流させながら、前記排出ポートに前記作動流体を流してもよい。
【0015】
このような構成においては、複数の流体制御弁を備えた多連流体制御弁を実現することができる。さらに、第1流路、第2流路、及び接続流路を備える流路構造を実現できる。複数のパイロット室の各々の作動流体内に含まれるエアは、浮力の作用により各々のパイロット室の上方に向けて移動する。複数のパイロット室の各々におけるエアを含む作動流体は、複数の第1開口部の各々から接続流路に流れる。接続流路においては、エアを含む作動流体が合流する。接続流路を流れる作動流体は、第1流路に流れる。
複数のパイロット室の各々におけるエアを含む作動流体は、複数の分岐流路の各々から第2流路に流れる。第2流路においては、複数の分岐流路の各々を流れたエアを含む作動流体と、第1流路を流れたエアを含む作動流体とが合流する。エアを含む作動流体は、最終的に、排出ポートを通じてタンクに排出される。
【0016】
したがって、パイロット室内にエアが長時間停滞してしまうことを防止し、エアを含む作動流体をパイロット室からスムーズに除去することができる。さらに、エアを含む作動流体を排出する構造の簡素化を図りつつ、複数のパイロット室の各々において発生したエアを含む作動流体を第2流路に合流させることができる。シンプルな構造により、エアを含む作動流体をパイロットケーシングの外部に効率的に排出することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る流体制御弁は、パイロット室を有するパイロットケーシングと、前記パイロット室内に生じる流体圧により駆動され、前記パイロットケーシングの上下方向に移動可能であり、前記パイロットケーシングの内部の少なくとも一部に配置されたスプールと、前記パイロットケーシングに設けられ、流体供給源からの作動流体を前記パイロット室に供給し、前記スプールを移動させ、弁排出口を有する電磁比例弁と、を備える。前記パイロットケーシングは、前記パイロット室より上方に位置する流路を有する。前記流路は、タンクに接続される排出ポートと、前記電磁比例弁の前記弁排出口に接続される第1開口部と、前記パイロット室に接続される第2開口部と、を有する。前記第1開口部は、前記電磁比例弁よりも前記上下方向で上方に設けられている。前記第2開口部は、前記パイロット室よりも前記上下方向で上方に設けられている。前記パイロットケーシングは、前記流体供給源に接続される供給ポートを備える。前記供給ポートは、前記流路よりも下方に設けられている。前記パイロットケーシングは、前記上下方向において前記パイロット室に面する上端面を有する。前記第2開口部は、前記スプールの軸方向において前記スプールに対向するとともに前記上端面に設けられている。前記流路は、前記第2開口部に通じる分岐流路を有する。前記分岐流路には、ネジが嵌め合わされている。前記流体制御弁は、各々が前記パイロット室に対応する、複数のパイロット室と、各々が前記電磁比例弁に対応する、複数の電磁比例弁と、各々が前記第1開口部に対応する、複数の第1開口部と、各々が前記第2開口部に対応する、複数の第2開口部と、各々が前記分岐流路に対応する、複数の分岐流路と、を更に有する。前記流路は、第1流路と、第2流路と、接続流路とを有する。前記接続流路は、前記複数の第1開口部の各々と前記第1流路とに接続されており、前記複数の第1開口部の各々から排出される前記作動流体を前記接続流路に合流させながら前記第1流路に流す。前記第1流路は、前記接続流路と前記第2流路とに接続されており、前記接続流路から排出された前記作動流体を前記第2流路に流す。前記第2流路は、前記複数の分岐流路の各々と、前記第1流路と、前記排出ポートとに接続されている。前記第2流路は、前記複数の分岐流路の各々から排出される前記作動流体と前記第1流路から排出された前記作動流体とを合流させながら、前記排出ポートに前記作動流体を流す。
【0018】
このような構成においては、パイロット室の作動流体内に含まれるエアは、浮力の作用によりパイロット室の上方に向けて移動する。さらに、パイロット室に発生する圧力の作用によってエアを含む作動流体が電磁比例弁に流れると、エアを含む作動流体は弁排出口に接続された第1開口部を通じて流路に流れ、流路を通り、排出ポートを経て、パイロットケーシングの外部に排出される。さらに、パイロット室に発生する圧力の作用によって、エアを含む作動流体は、パイロット室に接続される第2開口部を通じて流路に流れ、流路を通り、排出ポートを経て、パイロットケーシングの外部に排出される。つまり、第1開口部を経由して流路を流れる作動流体の移動と、第2開口部を経由して流路を流れる作動流体の移動とが生じる。第1開口部を経由した作動流体及び第2開口部を経由した作動流体は、流路において合流し、排出ポートを経て、パイロットケーシングの外部に排出される。
【0019】
さらに、複数の流体制御弁を備えた多連流体制御弁を実現することができる。さらに、第1流路、第2流路、及び接続流路を備える流路構造を実現できる。複数のパイロット室の各々の作動流体内に含まれるエアは、浮力の作用により各々のパイロット室の上方に向けて移動する。複数のパイロット室の各々におけるエアを含む作動流体は、複数の第1開口部の各々から接続流路に流れる。接続流路においては、エアを含む作動流体が合流する。接続流路を流れる作動流体は、第1流路に流れる。
複数のパイロット室の各々におけるエアを含む作動流体は、複数の分岐流路の各々から第2流路に流れる。第2流路においては、複数の分岐流路の各々を流れたエアを含む作動流体と、第1流路を流れたエアを含む作動流体とが合流する。エアを含む作動流体は、最終的に、排出ポートを通じてタンクに排出される。
【0020】
したがって、パイロット室内にエアが長時間停滞してしまうことを防止し、エアを含む作動流体をパイロット室からスムーズに除去することができる。エアを含む作動流体を排出する構造の簡素化を図りつつ、複数のパイロット室の各々において発生したエアを含む作動流体を第2流路に流れる作動流体に合流させることができる。シンプルな構造により、エアを含む作動流体をパイロットケーシングの外部に効率的に排出することができる。
【0021】
本発明の一態様に係る建設機械は、車体と、前記車体を駆動するためのアクチュエータと、前記アクチュエータに、前記アクチュエータの駆動源となる作動流体を供給するポンプと、前記アクチュエータに供給する前記作動流体の流量を調整する流体制御弁と、を備える。前記流体制御弁は、少なくとも1つのパイロット室を有するパイロットケーシングと、前記パイロット室内に生じる流体圧により駆動され、前記パイロットケーシングの上下方向に移動可能であり、前記パイロットケーシングの内部の少なくとも一部に配置されたスプールと、前記パイロットケーシングに設けられ、流体供給源からの前記作動流体を前記パイロット室に供給し、前記スプールを移動させ、弁排出口を有する電磁比例弁と、を備える。前記パイロットケーシングは、前記パイロット室より上方に位置する流路を有する。前記流路は、タンクに接続される排出ポートと、前記電磁比例弁の前記弁排出口に接続される第1開口部と、前記パイロット室に接続される第2開口部とを有する。前記第1開口部は、前記電磁比例弁よりも前記上下方向で上方に設けられている。前記第2開口部は、前記パイロット室よりも前記上下方向で上方に設けられている。前記パイロットケーシングは、前記流体供給源に接続される供給ポートを備える。前記供給ポートは、前記流路よりも下方に設けられている。前記パイロットケーシングは、前記上下方向において前記パイロット室に面する上端面を有する。前記第2開口部は、前記スプールの軸方向において前記スプールに対向するとともに前記上端面に設けられている。前記流路は、前記第2開口部に通じる分岐流路を有する。前記分岐流路には、ネジが嵌め合わされている。
【0022】
このような構成においては、パイロット室内にエアが長時間停滞してしまうことを防止し、エアを含む作動流体をパイロット室からスムーズに除去することができる建設機械を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
上述した態様に係る流体制御弁及び建設機械によれば、簡素な構造によりパイロット室に滞留したエアを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る建設機械の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る油圧制御装置、油圧ポンプ、及び油圧アクチュエータの概略構成と、油圧制御装置を構成する流体制御弁の断面構成とを示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る流体制御弁の概略構成を示す図であって、重力方向に見た平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る流体制御弁から排出される作動油の排出経路の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る流体制御弁に供給される作動油の供給経路の概略構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る流体制御弁を示す断面図であって、流体制御弁の動作を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る流体制御弁を示す断面図であって、流体制御弁の動作を説明するための図である。
【
図8】本発明の実施形態の変形例に係る流体制御弁を示す断面図であって、流体制御弁の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態に係る流体制御弁と、流体制御弁を備える建設機械とを図面に基づいて説明する。流体制御弁の構造を説明する
図2~
図3及び
図6~
図8においては、XYZ直交座標系を設定して流体制御弁の各構成の位置関係を説明する。流体制御弁を構成するスプールが移動する上下方向をZ方向と称する。Z方向のうち重力方向を-Z方向と称する。すなわち、-Z方向は、下方又は下方向である。-Z方向とは反対の方向を+Z方向と称する。すなわち、+Z方向は、上方又は上方向である。+Z方向と-Z方向とを区別しない場合は、単にZ方向と称する。Z方向は、スプールの軸方向に相当する。
【0026】
Z方向に垂直な方向のうち、複数の流体制御弁が並ぶ方向をY方向と称する。Y方向のうち一方の方向を+Y方向と称する。+Y方向とは反対の方向を-Y方向と称する。+Y方向と-Y方向とを区別しない場合は、単にY方向と称する。Y方向は、複数の流体制御弁の配列方向と称することもできる。
Z方向及びY方向の双方に垂直な方向を、X方向と称する。X方向のうち一方の方向を+X方向と称する。+X方向とは反対の方向を-X方向と称する。
【0027】
<建設機械>
図1に示すように、建設機械100は、例えば、油圧ショベルである。建設機械100は、旋回体101と、走行体102とを備えている。旋回体101は、走行体102の上に旋回可能に設けられている。旋回体101には、油圧ポンプと、油圧ポンプから吐出される作動油の流量制御を行う油圧制御装置1によって構成されている。ここで、旋回体101は、「車体」の一例である。走行体102は、「車体」の一例である。作動油は、「作動流体」の一例である。油圧制御装置1は、「流体制御弁」の一例である。
【0028】
旋回体101は、キャブ103と、ブーム104と、アーム105と、バケット106とを備えている。建設機械100を操作する操作者は、キャブ103に搭乗可能である。ブーム104は、キャブ103に揺動自在に連結されている一端と、キャブ103とは反対側において揺動自在にアーム105に連結されている他端(先端)とを有する。バケット106は、ブーム104とは反対側のアーム105の端部(先端)に揺動自在に連結されている。走行体102、キャブ103、ブーム104、アーム105、及びバケット106は、種々の油圧アクチュエータ111によって駆動される。油圧アクチュエータ111は、油圧制御装置1を介して供給される油圧ポンプからの作動油によって駆動される。ここで、油圧アクチュエータ111は、「アクチュエータ」の一例である。
【0029】
<油圧ポンプ及び油圧アクチュエータ>
図2に示すように、油圧アクチュエータ111は、例えば、走行体102を走行させたりキャブ103を旋回させたりするための油圧モータ(図示せず)と、ブーム104、アーム105、及びバケット106を駆動させるための油圧シリンダとにより構成されている。
【0030】
<油圧制御装置>
油圧制御装置1は、油圧アクチュエータ111に供給される作動油の流量を制御する制御弁である。
油圧制御装置1は、第1油流路5と第2油流路6に接続されている。第1油流路5は、油圧ポンプ110の吐出ポートに接続されている。第2油流路6は、タンクTに接続されている。タンクTは、油圧制御装置1の外部に設けられている。油圧ポンプ110は、「流体供給源」の一例である。
【0031】
油圧制御装置1は、メインケーシング11及びパイロットケーシング12によって構成されたケーシング10と、パイロットケーシング12に設けられたパイロット室20と、パイロットケーシング12の内部の少なくとも一部に配置されたスプール30と、電磁比例弁50とを備えた流体制御装置である。
【0032】
<ケーシング>
ケーシング10は、少なくとも、メインケーシング11と、パイロットケーシング12とによって構成されている。パイロットケーシング12は、メインケーシング11から見て+Z方向の端面に接続されている。このため、パイロットケーシング12を上ケーシングと称することができる。
図2には示されていないが、油圧制御装置1は、メインケーシング11から見て-Z方向の端面に接続された下ケーシングを備えてもよい。
メインケーシング11は、スプール孔13とシリンダポート7とを有する。スプール孔13及びシリンダポート7は、メインケーシング11の内部に設けられている。スプール孔13は、Z方向においてスライド可能なようにスプール30を保持する。シリンダポート7には油圧アクチュエータ111が接続されている。
【0033】
<スプール>
スプール30は、パイロット室20のスプール孔13に配置されている。スプール30は、パイロット室20内に生じる流体圧(作動流体の圧力)により駆動され、Z方向においてスライド移動可能にスプール孔13に収納されている。スプール30の構成は特に限定されない。公知のスプールの構造が適用される。言い換えると、スプール30は、縦型スプールと称することができる。
【0034】
<パイロットケーシング>
パイロットケーシング12は、パイロット室20を有する。パイロット室20は、Z方向に延びている。パイロットケーシング12に形成されているパイロット室20を上パイロット室と称することもできる。パイロット室20は、Z方向において、スプール30を保持するスプール孔13の上方側に位置する。
パイロットケーシング12は、Z方向においてパイロット室20に面する上端面12Eを有する。
パイロットケーシング12の内部においては、圧縮された状態でスプリング14が配置されている。スプリング14は、スプール30の周囲を囲んでいる。スプリング14の復元力は、スプール30に作用する。
【0035】
不図示の下部ケーシングもY方向に並ぶ複数のパイロット室を有する。下部ケーシングに形成されているパイロット室を下パイロット室と称することもできる。下パイロット室は、Z方向において、スプール30を保持するスプール孔13の下方側に位置する。
図2においては、下パイロット室の図示が省略されている。
【0036】
Z方向におけるパイロットケーシング12の上面12Uには、上面穴15Uが形成されている。X方向におけるパイロットケーシング12の側面12Sには、側面穴15Sが形成されている。上面穴15Uは、Z方向において、パイロット室20に到達しない深さを有する。上面12Uには、上面穴15Uを塞ぐ上部プラグ16が埋め込まれている。具体的には、上面12Uに形成されたネジ穴に対して、上部プラグ16がねじ止めされている。上部プラグ16を、埋め込みボルトと称することができる。
【0037】
上部プラグ16と上面12Uの上面穴15Uとの間にはOリング等のシール部材17が配置されている。シール部材17は、上面穴15Uを密閉している。上部プラグ16と上面穴15Uの底部15Bとの間には隙間が形成されている。この隙間は、後述する第2流路22であり、Y方向に延びている。
【0038】
側面穴15Sは、X方向において、側面12Sからパイロット室20まで延びている。側面穴15Sは、パイロットケーシング12を貫通するように形成されている。
側面穴15Sには、側部プラグ18が埋め込まれている。側部プラグ18と側面12Sの側面穴15Sとの間にはOリング等のシール部材19が配置されている。シール部材19は、側面穴15Sを密閉している。側部プラグ18を、埋め込みボルトと称することができる。
【0039】
<流路>
パイロットケーシング12は、パイロット室20とパイロットケーシング12の外部のタンクTとに通じる流路40を有する。流路40は、パイロットケーシング12の内部に形成されている。流路40は、パイロット室20より上方に位置する。流路40は、第1開口部25と、第2開口部27と、排出ポート26と、分岐流路24とを有する。
【0040】
<第1開口部>
第1開口部25は、後述する電磁比例弁50の弁排出口51に接続されている。
Z方向において、第1開口部25は、電磁比例弁50よりも上方に設けられている。
【0041】
<第2開口部>
パイロットケーシング12においては、パイロット室20は、第2開口部27を有する。第2開口部27は、上端面12Eに設けられている。スプール30の軸方向において、第2開口部27は、スプール30に対向している。Z方向において、第2開口部27は、パイロット室20よりも上方に設けられている。
【0042】
<排出ポート>
後述するように、排出ポート26は、不図示の油流路を通じて、タンクTに接続されている。Z方向において、排出ポート26は、第1開口部25よりも上方に設けられている。
【0043】
<分岐流路>
分岐流路24は、第2開口部27に通じている。言い換えると、分岐流路24は、Z方向に延びるように、流路40とパイロット室20との間に形成されている。分岐流路24には、ネジ28が嵌め合わされている。分岐流路24は、パイロットケーシング12に設けられたネジ溝である。ネジ28と分岐流路24のネジ溝との間には、隙間が形成されている。エアを含む作動油は、エアの浮力の作用によって、+Z方向に向けて分岐流路24の隙間を流れ、流路40に到達することが可能である。
【0044】
<供給ポート>
パイロットケーシング12は、供給ポート29を備える。供給ポート29は、第1油流路5を介して油圧ポンプ110に接続されている。Z方向において、供給ポート29は、パイロット室20よりも下方に設けられており、かつ、流路40よりも下方に設けられている。このような構造においては、作動油は、油圧ポンプ110から供給ポート29に向けて第1油流路5を流れ、供給ポート29を通じて、パイロット室20に供給される。
【0045】
<電磁比例弁>
電磁比例弁50は、可動弁体(不図示)とコイル部52とによって構成されている。電磁比例弁50は、パイロット室20に通じるようにパイロットケーシング12に設けられている。電磁比例弁50は、油圧ポンプ110からの作動油をパイロット室20に供給し、スプール30を移動させるように構成されている。
電磁比例弁50の可動弁体は、パイロットケーシング12の内部に収められように設けられており、パイロット室20に対向している。言い換えると、電磁比例弁50の可動弁体及びパイロット室20は、作動油が流れる一つの空間を形成している。
【0046】
コイル部52は、例えば、ソレノイドである。電磁比例弁50は、操作部からの操作信号を電気信号として受信し、この受信信号に基づいてコイル部52が駆動し、コイル部52の駆動によって可動弁体がX方向に移動するよう構成されている。これにより、電磁比例弁50は、パイロット室20に圧力(作動流体の圧力)を発生させるよう構成されている。
電磁比例弁50は、第1開口部25に接続される弁排出口51を有する。Z方向において、第1開口部25の位置は、Z方向における排出ポート26の位置よりも低い。
【0047】
電磁比例弁50の動作により、スプール孔13内でスプール30がスライド移動される。スプール30は、中立位置(センター位置)と、この中立位置に対してZ方向の位置との3つの位置に位置決めされる。電磁比例弁50がスプール30を移動させない無負荷状態では、スプリング14によってスプール30の位置が中立位置に維持される。
電磁比例弁50の構成は特に限定されない。公知の電磁比例弁が用いられる。
【0048】
<多連流体制御装置>
上述した構成を有する油圧制御装置1は、多連流体制御装置である。
本実施形態では、上述した構成を有するパイロット室20、スプール30、及び電磁比例弁50の各々の個数が4個である場合を説明する。
【0049】
具体的に、
図3に示すように、パイロットケーシング12は、複数のパイロット室20と、複数のスプール30と、複数の電磁比例弁50とを有する。
複数のパイロット室20であるパイロット室20A、20B、20C、20Dは、Y方向に並んでいる。複数のパイロット室20の各々は、
図2及び
図3に示すようにZ方向に延びている。
複数のスプール30であるスプール30A、30B、30C、30Dは、Y方向に並んでいる。複数のスプール30の各々は、
図2及び
図3に示すようにZ方向に延びている。
複数の電磁比例弁50である電磁比例弁50A、50B、50C、50Dは、Y方向に並んでいる。複数の電磁比例弁50の各々は、
図2及び
図3に示すようにパイロットケーシング12に取り付けられており、パイロットケーシング12から-Z方向に突出している。
【0050】
図3において、符号21は、第1流路である。符号22は、第2流路である。符号41は、接続流路である。符号23は、第1供給流路である。符号42は、第2供給流路である。符号43は、ネジ穴である。符号44は、ネジである。ネジ穴43は、第2流路22に通じている。ネジ44は、ネジ穴43に嵌め合わされている。排出ポート26は、パイロットケーシング12の-Y方向の端面に設けられている。第2流路22は、排出ポート26に通じている。排出ポート26は、不図示のドレン流路に接続されている。
【0051】
<作動油の排出経路>
次に、
図4を参照して、多連流体制御装置における作動油の排出経路を説明する。
上述した流路40は、電磁比例弁50及びパイロット室20の各々から排出ポート26に向けて作動油が流れる排出経路を構成する。
図4に示すように、パイロット室20Aは、電磁比例弁50Aに通じている。電磁比例弁50Aの弁排出口51Aには、第1開口部25Aが接続されている。パイロット室20Aには、第2開口部27Aが設けられている。第2開口部27Aは、分岐流路24Aに通じている。
パイロット室20Bは、電磁比例弁50Bに通じている。電磁比例弁50Bの弁排出口51Bには、第1開口部25Bが接続されている。パイロット室20Bには、第2開口部27Bが設けられている。第2開口部27Bは、分岐流路24Bに通じている。
パイロット室20Cは、電磁比例弁50Cに通じている。電磁比例弁50Cの弁排出口51Cには、第1開口部25Cが接続されている。パイロット室20Cには、第2開口部27Cが設けられている。第2開口部27Cは、分岐流路24Cに通じている。
パイロット室20Dは、電磁比例弁50Dに通じている。電磁比例弁50Dの弁排出口51Dには、第1開口部25Dが接続されている。パイロット室20Dには、第2開口部27Dが設けられている。第2開口部27Dは、分岐流路24Dに通じている。
【0052】
パイロット室20A、20B、20C、20Dの各々は、上述したパイロット室20に対応する。電磁比例弁50A、50B、50C、50Dの各々は、上述した電磁比例弁50に対応する。第1開口部25A、25B、25C、25Dの各々は、上述した第1開口部25に対応する。第2開口部27A、27B、27C、27Dの各々は、上述した第2開口部27に対応する。分岐流路24A、24B、24C、24Dの各々は、上述した分岐流路24に対応する。
図4に示すように、流路40は、接続流路41、第1流路21、及び第2流路22を有する。
【0053】
<接続流路>
接続流路41は、第1開口部25A、25B、25C、25Dと第1流路21とに接続されている。接続流路41は、第1開口部25A、25B、25C、25Dの各々から排出される作動油を接続流路41に合流させる。接続流路41は、合流した作動油を第1流路21に向けて流す。言い換えると、接続流路41は、第1開口部25A、25B、25C、25Dの各々から排出された作動油を一つの流路に合流させる合流流路である。
【0054】
<第1流路>
第1流路21は、接続流路41と第2流路22とに接続されている。第1流路21においては、接続流路41によって合流された作動油が流れる。第1流路21は、接続流路41から排出された作動油L1を第2流路22に流す。言い換えると、第1流路21は、接続流路41と第2流路22との間に形成された中継流路である。
【0055】
<第2流路>
第2流路22は、分岐流路24A、24B、24C、24Dの各々と、第1流路21と、排出ポート26とに接続されている。第2流路22は、分岐流路24A、24B、24C、24Dの各々から排出される作動油L2と、第1流路21から排出された作動油L1とを合流させる。このため、第2流路22においては、作動油L1、L2が合流した作動油L3が流れる。第2流路22は、作動油L3を、排出ポート26を通じて、タンクTに排出する。言い換えると、第2流路22は、作動油L1、L2を一つの流路に合流させる合流流路である。
【0056】
図3に示すように、接続流路41は、複数のパイロット室20が並ぶY方向に延びている。第2流路22は、複数のパイロット室20が並ぶY方向に延びている。言い換えると、接続流路41は、第2流路22に平行に延びている。また、接続流路41は、Z方向において第2流路22と並んでいる。
Z方向に見て、第1流路21は、接続流路41と第2流路22との間に設けられている。
図3においては、第1流路21は、Y方向に対して斜め方向に延びているが、第1流路21が延びる方向は限定されない。さらに、Z方向における接続流路41の位置は、Z方向における第1流路21の位置よりも下方にある。Z方向における第1流路21の位置は、Z方向における第2流路22の位置よりも下方にある。つまり、接続流路41、第1流路21、及び第2流路22を流れる作動油L1、L2に含まれるエアに浮力が生じても、エアは、接続流路41、第1流路21、及び第2流路22の内部に滞ることがない。したがって、排出ポート26を通じて、作動油L1、L2が合流した作動油L3に含まれるエアをタンクTに排出することが可能である。
【0057】
<作動油の供給経路>
次に、
図5を参照して、多連流体制御装置における作動油の供給経路を説明する。
上述した第1油流路5、第1供給流路23、及び第2供給流路42は、油圧ポンプ110から電磁比例弁50に向けて作動油が流れる供給経路を構成する。
【0058】
<第1供給流路、第2供給流路>
図5に示すように、第1供給流路23は、第1油流路5に接続された供給ポート29を有する。第2供給流路42は、第2供給流路42は、電磁比例弁50A、50B、50C、50Dの各々と第1供給流路23とに接続されている。
図3に示すように、Z方向において、供給ポート29は、ネジ穴43に並んでいる。
【0059】
油圧ポンプ110から第1油流路5に向けて吐出された作動油は、供給ポート29に流れる。作動油は、供給ポート29を通じて、第1供給流路23に流れる。第1供給流路23は、作動油を第2供給流路42に流す。言い換えると、第1供給流路23は、第1油流路5と第2供給流路42との間に形成された中継流路である。
第2供給流路42は、電磁比例弁50A、50B、50C、50Dの各々に作動油を供給する。言い換えると、第2供給流路42は、第1供給流路23を流れる作動油を電磁比例弁50A、50B、50C、50Dの各々に分配する分配流路である。
【0060】
図3に示すように、第2供給流路42は、複数のパイロット室20が並ぶY方向に延びている。言い換えると、第2供給流路42は、接続流路41に平行に延びている。また、第2供給流路42は、Z方向において接続流路41及び第2流路22と並んでいる。
Z方向に見て、第1供給流路23は、供給ポート29と第2供給流路42との間に設けられている。
図3においては、第1供給流路23は、Y方向に対して斜め方向に延びているが、第1供給流路23が延びる方向は限定されない。
【0061】
Z方向における供給ポート29の位置は、Z方向における流路40の位置よりも下方にある。言い換えると、Z方向における供給ポート29の位置は、Z方向における接続流路41の位置、Z方向における第1流路21の位置、及びZ方向における第2流路22の位置よりも下方にある。
つまり、供給ポート29を流れる作動油に含まれるエアに浮力が生じても、エアは、第1供給流路23及び第2供給流路42の内部に滞ることがない。
【0062】
<油圧制御装置の作用>
次に、
図6及び
図7を参照し、油圧制御装置1の作用について説明する。
以下に述べる油圧制御装置1の作用に関し、複数のパイロット室20のうちの1つのパイロット室20における作用を説明する。他のパイロット室においても同様の作用が得られるため、説明を省略する場合がある。
【0063】
まず、
図6を参照し、電磁比例弁50が励磁された場合の油圧制御装置1の動作について説明する。
電磁比例弁50のコイル部52が励磁されると、電磁比例弁50の可動弁体は、+X方向に移動する。これにより、作動油が油圧ポンプ110から第1油流路5を通じてパイロット室20に流れ、パイロット室20に圧力が付与される。この圧力がスプリング14の復元力よりも大きくなると、スプール30が-Z方向に移動する。
【0064】
パイロット室20に滞留しているエア80は、浮力の作用によりパイロット室20の上端面12Eに向けて移動する。パイロット室20に発生する圧力の作用によってエアを含む作動油が電磁比例弁50に流れると、作動油は弁排出口51に接続された第1開口部25を通じて接続流路41に流れる。接続流路41においては、4つの第1開口部25を通じて接続流路41を流れる作動油が合流する。接続流路41によって合流された作動油L1は、第1流路21に流れる。さらに、作動油L1は、第2流路22に流れる。
【0065】
さらに、パイロット室20に発生する圧力の作用によって、エアを含む作動油は、第2開口部27に流れる。エアを含む作動油は、ネジ28が嵌め合わされている分岐流路24のネジ溝を通り、第2流路22に流れる。第2流路22においては、4つの分岐流路24を流れる作動油が合流する。合流された作動油L2は、第2流路22をY方向に流れる。さらに、第2流路22においては、作動油L1と作動油L2とが合流する。作動油L1と作動油L2とが合流した作動油L3は、排出ポート26を経て、パイロットケーシング12の外部に排出される。
【0066】
言い換えると、パイロットケーシング12においては、接続流路41によって合流された後に第1流路21を流れて第2流路22に達する作動油L1の移動と、第2流路22によって合流されて第2流路22を流れる作動油L2の移動とが生じる。作動油L1、L2の合流により生じた作動油L3は、第2流路22を流れる。この作動油L3は、ドレン流路を通じて、タンクTに向けて流れる。作動油は、タンクTによって回収される。
【0067】
次に、
図7を参照し、電磁比例弁50が消磁された場合の油圧制御装置1の動作について説明する。
電磁比例弁50のコイル部52が消磁されると、パイロット室20の圧力が小さくなり、この圧力がスプリング14の復元力よりも小さくなる。この場合、スプリング14の復元力によって、スプール30が+Z方向に移動する。このため、電磁比例弁50の可動弁体は、-X方向に移動する。
【0068】
パイロット室20に滞留しているエア80は、浮力の作用によりパイロット室20の上端面12Eに向けて移動する。パイロット室20に発生する圧力の作用によってエアを含む作動油が電磁比例弁50に流れると、作動油は弁排出口51に接続された第1開口部25を通じて接続流路41に流れる。接続流路41においては、4つの第1開口部25を通じて接続流路41を流れる作動油が合流する。接続流路41によって合流された作動油L1は、第1流路21に流れる。さらに、作動油L1は、第2流路22に流れる。
【0069】
さらに、パイロット室20に発生する圧力の作用によって、エアを含む作動油は、第2開口部27に流れる。エアを含む作動油は、ネジ28が嵌め合わされている分岐流路24のネジ溝を通り、第2流路22に流れる。第2流路22においては、4つの分岐流路24を流れる作動油が合流する。合流された作動油L2は、第2流路22をY方向に流れる。さらに、第2流路22においては、作動油L1と作動油L2とが合流する。作動油L1と作動油L2とが合流した作動油L3は、排出ポート26を経て、パイロットケーシング12の外部に排出される。
【0070】
言い換えると、パイロットケーシング12においては、接続流路41によって合流された後に第1流路21を流れて第2流路22に達する作動油L1の移動と、第2流路22によって合流されて第2流路22を流れる作動油L2の移動とが生じる。作動油L1、L2の合流により生じた作動油L3は、第2流路22を流れる。この作動油L3は、ドレン流路を通じて、タンクTに向けて流れる。作動油は、タンクTによって回収される。
【0071】
第1開口部25のZ方向における位置は、排出ポート26のZ方向における位置よりも低い。このため、電磁比例弁50に滞留しているエア90は、作動油に混ざり、エアを含む作動油は、弁排出口51及び第1開口部25を通じ、接続流路41に流れる。接続流路41においては、4つの電磁比例弁50からの作動油が合流する。合流した作動油L1は、第2流路22において作動油L2と合流する。作動油L1、L2の合流により生じた作動油L3は、ドレン流路を通じて、タンクTに向けて流れる。作動油は、タンクTによって回収される。
【0072】
<効果>
したがって、本実施形態に係る油圧制御装置1によれば、パイロット室20内にエア80が長時間停滞してしまうことを防止し、パイロット室20からエア80をスムーズに除去することができる。接続流路41、第1流路21、第2流路22、及び分岐流路24を通じてエアをパイロット室20から除去することができる。
【0073】
さらに、第2開口部27を通じて、エアをパイロット室20から除去することができる。また、弁排出口51、第1開口部25、接続流路41、第1流路21、第2流路22、及び排出ポート26を通じて、エア90を電磁比例弁50から除去することができる。
このため、パイロット室20からエア80を除去するためだけの油圧制御装置の操作や構造が不要となり、油圧制御装置の構造を簡素化することができる。
【0074】
さらに、本実施形態に係る油圧制御装置1によれば、多連流体制御弁を実現することができる。さらに、Y方向に延びた接続流路41及び第2流路22を備える構造を実現できる。複数のパイロット室20の各々の作動油内に含まれるエア80は、浮力の作用により各々のパイロット室20の上方に向けて移動する。複数のパイロット室20の各々におけるエアを含む作動油は、第1開口部25を通じて、接続流路41において合流し、合流した作動油L1は、第2流路22において作動油L2と合流する。
さらに、複数のパイロット室20の各々におけるエアを含む作動油は、第2開口部27を通じて、分岐流路24のネジ溝を通り、第2流路22において合流する。合流した作動油L2は、第2流路22において作動油L1と合流する。
作動油L1、L2の合流により生じた作動油L3は、排出ポート26を経て、パイロットケーシング12の外部のタンクTに排出される。
【0075】
したがって、パイロット室20内にエア80が長時間停滞してしまうことを防止し、パイロット室20からエア80をスムーズに除去することができる。さらに、エアを含む作動油を排出する構造の簡素化を図りつつ、複数のパイロット室20の各々において発生したエアを含む作動油を第2流路22に流れる作動油に合流させることができる。シンプルな構造により、エアを含む作動油をパイロットケーシング12の外部のタンクTに効率的に排出することができる。
【0076】
<パイロットケーシングの変形例>
上述した実施形態においては、パイロットケーシング12の-Y方向の端面に排出ポート26が設けられている。排出ポート26は、ドレン流路を通じて、タンクTに接続されている。排出ポートの位置は、本実施形態に限定されない。ネジ穴43を排出ポートに用いてもよい。この場合、ネジ穴43は、油流路を通じてタンクTに接続される。この場合であっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0077】
<油圧制御装置の変形例1>
次に、
図8を参照し、油圧制御装置の変形例1について説明する。
本変形例に係る油圧制御装置は、下部ケーシングのパイロット室に通じるように接続された電磁比例弁を有する。さらに、スプール30にはノッチ31が配設されている。ノッチ31は、第2油流路6に繋がっている。ノッチ31は、スプール30が+Z方向に移動した際に、パイロット室20と第2油流路6を繋げる位置に配設されている。
【0078】
下部ケーシングにおいて電磁比例弁を励磁すると、下部ケーシングのパイロット室に圧力が付与される。この圧力がスプリング14の復元力よりも大きくなると、スプール30が+Z方向に移動する。ノッチ31によって下部ケーシングのパイロット室と第2油流路6とが繋がると、第2油流路6から作動油がパイロット室20に流れる。作動油内に含まれるエアは、浮力の作用によりパイロット室20の上方に向けて移動する。エアを含む作動油が電磁比例弁50に流れると、作動油は弁排出口51に接続された第1開口部25を通じて接続流路41に流れる。接続流路41においては、4つの第1開口部25を通じて接続流路41を流れる作動油が合流する。接続流路41によって合流された作動油L1は、第1流路21に流れる。さらに、作動油L1は、第2流路22に流れる。
【0079】
さらに、エアを含む作動油は、第2開口部27に流れる。エアを含む作動油は、ネジ28が嵌め合わされている分岐流路24のネジ溝を通り、第2流路22に流れる。第2流路22においては、4つの分岐流路24を流れる作動油が合流する。合流された作動油L2は、第2流路22をY方向に流れる。さらに、第2流路22においては、作動油L1と作動油L2とが合流する。作動油L1と作動油L2とが合流した作動油L3は、排出ポート26を経て、パイロットケーシング12の外部に排出される。
【0080】
言い換えると、パイロットケーシング12においては、接続流路41によって合流された後に第1流路21を流れて第2流路22に達する作動油L1の移動と、第2流路22によって合流されて第2流路22を流れる作動油L2の移動とが生じる。作動油L1、L2の合流により生じた作動油L3は、第2流路22を流れる。この作動油L3は、ドレン流路を通じて、タンクTに向けて流れる。作動油は、タンクTによって回収される。
【0081】
第1開口部25のZ方向における位置は、排出ポート26のZ方向における位置よりも低い。このため、電磁比例弁50に滞留しているエア90は、作動油に混ざり、エアを含む作動油は、弁排出口51及び第1開口部25を通じ、接続流路41に流れる。接続流路41においては、4つの電磁比例弁50からの作動油が合流する。合流した作動油L1は、第2流路22において作動油L2と合流する。作動油L1、L2の合流により生じた作動油L3は、ドレン流路を通じて、タンクTに向けて流れる。作動油は、タンクTによって回収される。
【0082】
したがって、本変形例に係る油圧制御装置によれば、第2油流路6からパイロット室20に作動油が入る場合であっても、エアを含む作動油を回収することができる。すなわち、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
<油圧制御装置の変形例2>
上述した実施形態においては、複数の電磁比例弁50を備える油圧制御装置の例として、4個の電磁比例弁50及び4個のパイロット室20を有する油圧制御装置1について説明した。電磁比例弁及びパイロット室の各々の個数は、1個であってもよいし、2個、3個、又は5個以上であってもよい。
【0084】
また、上述の実施形態では、作動流体として作動油を用いた場合を説明した。流体制御弁として油圧制御装置1を用いた場合を説明した。しかしながら、本発明は、このような実施形態に限定されない。例えば、油以外の作動流体を用いてもよい。
【0085】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、及びその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
【0086】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0087】
1・・・油圧制御装置(流体制御弁)、5・・・第1油流路、6・・・第2油流路、7・・・シリンダポート、10・・・ケーシング、11・・・メインケーシング、12・・・パイロットケーシング、12E・・・上端面、12S・・・側面、12U・・・上面、13・・・スプール孔、14・・・スプリング、15B・・・底部、15S・・・側面穴、15U・・・上面穴、16・・・上部プラグ、17・・・シール部材、18・・・側部プラグ、19・・・シール部材、20、20A、20B、20C、20D・・・パイロット室、21、21A、21B、21C、21D・・・第1流路、22・・・第2流路、23・・・第1供給流路、24、24A、24B、24C、24D・・・分岐流路、25、25A、25B、25C、25D・・・第1開口部、26・・・排出ポート、27、27A、27B、27C、27D・・・第2開口部、28・・・ネジ、29・・・供給ポート、30、30A、30B、30C、30D・・・スプール、31・・・ノッチ、40・・・流路、41・・・接続流路、42・・・第2供給流路、43・・・ネジ穴、44・・・ネジ、50、50A、50B、50C、50D・・・電磁比例弁、51、51A、51B、51C、51D・・・弁排出口、52・・・コイル部、80、90・・・エア、100・・・建設機械、101・・・旋回体、102・・・走行体、103・・・キャブ、104・・・ブーム、105・・・アーム、106・・・バケット、110・・・油圧ポンプ、111・・・油圧アクチュエータ、111a・・・油圧モータ、L1、L2、L3・・・作動油、T・・・タンク