(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060182
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】半導体装置、電子機器、車両
(51)【国際特許分類】
H03K 17/06 20060101AFI20240424BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240424BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H03K17/06 063
H01L27/06 102A
H01L27/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167365
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョイタ エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】宅間 徹
(72)【発明者】
【氏名】奥田 肇
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5J055
【Fターム(参考)】
5F038AC03
5F038AC05
5F038AC10
5F038BG05
5F048AA05
5F048AB10
5F048AC03
5F048AC06
5F048AC10
5F048BB19
5J055AX34
5J055BX16
5J055CX28
5J055DX22
5J055DX53
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY10
5J055EY12
5J055EY13
5J055EY21
5J055EY29
5J055EZ03
5J055EZ04
5J055EZ11
5J055EZ28
5J055EZ55
5J055EZ57
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX05
5J055GX07
5J055GX09
(57)【要約】
【課題】素子耐圧を確保する。
【解決手段】半導体装置1は、電源電圧VBの印加端と出力電圧VOUTの印加端との間に接続されて制御電圧VGにより駆動される出力トランジスタ9と、電源電圧VBよりも高い昇圧電圧VCPを生成するように構成された昇圧回路と、昇圧電圧VCPの印加端と制御電圧VGの印加端との間に接続された第1電流源24Xと、制御電圧VGの印加端と出力電圧VOUTの印加端との間に接続された第2電流源24Yと、昇圧電圧VCPと出力電圧VOUTとの間の中間電圧VMを生成する中間電圧生成回路40と、第1電流源24Xに掛かる印加電圧を昇圧電圧VCPと中間電圧VMとの差分電圧以下に制限するとともに第2電流源24Yに掛かる印加電圧を中間電圧VMと出力電圧VOUTとの差分電圧以下に制限する電圧クランプ回路50と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧の印加端と出力電圧の印加端との間に接続されて制御電圧により駆動されるように構成された出力トランジスタと、
前記電源電圧よりも高い昇圧電圧を生成するように構成された昇圧回路と、
前記昇圧電圧の印加端と前記制御電圧の印加端との間に接続された第1電流源と、
前記制御電圧の印加端と前記出力電圧の印加端との間に接続された第2電流源と、
前記昇圧電圧と前記出力電圧との間の中間電圧を生成するように構成された中間電圧生成回路と、
前記第1電流源に掛かる印加電圧を前記昇圧電圧と前記中間電圧との差分電圧以下に制限するとともに前記第2電流源に掛かる印加電圧を前記中間電圧と前記出力電圧との差分電圧以下に制限するように構成された電圧クランプ回路と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
前記第1電流源、前記第2電流源及び前記電圧クランプ回路をそれぞれ形成する素子の耐圧は、前記出力トランジスタのオン期間に印加される前記制御電圧と前記出力電圧との差分電圧よりも低い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記中間電圧生成回路は、前記昇圧電圧の印加端と前記出力電圧の印加端との間に接続されて前記中間電圧を生成するように構成された抵抗分圧回路を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電圧クランプ回路は、前記第1電流源と前記制御電圧の印加端との間に接続された第1トランジスタと、前記制御電圧の印加端と前記第2電流源との間に接続された第2トランジスタと、を含み、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタそれぞれの制御端には、前記中間電圧が印加されるように構成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1電流源及び第2電流源は、所定の基準電流を生成するように構成された基準電流源と、前記基準電流に応じて第1電流を生成するように構成された第1カレントミラーと、前記基準電流に応じて第2電流を生成するように構成された第2カレントミラーと、を含み、前記第1電流を前記第1電流源の出力とし、前記第2電流を前記第2電流源の出力とするように構成されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電圧クランプ回路は、前記基準電流源と前記第1カレントミラーとの間に接続された第3トランジスタをさらに含み、前記第3トランジスタの制御端には、前記中間電圧が印加されるように構成されている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記昇圧回路は、キャパシタを駆動して前記昇圧電圧を生成するように構成されたチャージポンプを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記キャパシタは、縦型トランジスタのゲート・ボディ間容量を含む、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置から電力供給を受けるように構成された負荷と、
を備える、電子機器。
【請求項10】
請求項9に記載の電子機器を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、並びに、これを用いた電子機器及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、車載IPD[intelligent power device]などの半導体装置に関して、これまでに数多くの新技術を提案している(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の半導体装置は、素子耐圧の確保について検討の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書中に開示されている半導体装置は、電源電圧の印加端と出力電圧の印加端との間に接続されて制御電圧により駆動されるように構成された出力トランジスタと、前記電源電圧よりも高い昇圧電圧を生成するように構成された昇圧回路と、前記昇圧電圧の印加端と前記制御電圧の印加端との間に接続された第1電流源と、前記制御電圧の印加端と前記出力電圧の印加端との間に接続された第2電流源と、前記昇圧電圧と前記出力電圧との間の中間電圧を生成するように構成された中間電圧生成回路と、前記第1電流源に掛かる印加電圧を前記昇圧電圧と前記中間電圧との差分電圧以下に制限するとともに前記第2電流源に掛かる印加電圧を前記中間電圧と前記出力電圧との差分電圧以下に制限するように構成された電圧クランプ回路と、を備える。
【0006】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、素子耐圧を確保することのできる半導体装置、並びに、これを用いた電子機器及び車両を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、半導体装置を備えた電子機器の一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、半導体装置の全体構成を示す図である。
【
図3】
図3は、半導体装置の比較例を示す図である。
【
図4】
図4は、半導体装置の第1実施形態を示す図である。
【
図5】
図5は、半導体装置の第2実施形態を示す図である。
【
図7】
図7は、半導体装置の第3実施形態を示す図である。
【
図8】
図8は、キャパシタの一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<電子機器>
図1は、半導体装置を備えた電子機器の一構成例を示す図である。本構成例の電子機器Aは、半導体装置1と、直流電源2と、負荷3とを備える。直流電源2は、車載バッテリであってもよい。負荷3は、エンジン制御用ECU[electronic control unit]、エアコン、ボディ機器などであってもよい。
【0010】
半導体装置1は、直流電源2と負荷3との間を導通/遮断するハイサイドスイッチIC(IPDの一種)であり、出力トランジスタ9(例えばNMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor])と、コントローラ10と、を集積化して成る。
【0011】
また、半導体装置1は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、複数の外部電極を備える。本図に即して述べると、半導体装置1は、ドレイン電極11(=電源電極VBBに相当)と、ソース電極12(=出力電極OUTに相当)と、入力電極13(=入力電極INに相当)と、基準電圧電極14(=接地電極GNDに相当)を備える。
【0012】
出力トランジスタ9は、絶縁ゲート型パワートランジスタの一例である。本図に即して述べると、出力トランジスタ9は、ドレイン電極11(=電源電圧VBの印加端)と、ソース電極12(=出力電圧VOUTの印加端)との間に接続されている。出力トランジスタ9は、ゲートに入力される制御電圧VGに応じて駆動される。このように接続された出力トランジスタ9は、ドレイン電極11とソース電極12との間を導通/遮断するハイサイドスイッチ素子として機能する。
【0013】
コントローラ10は、種々の機能を実現する複数種の機能回路を含む。例えば、複数種の機能回路は、外部からの電気信号に基づいて出力トランジスタ9を駆動制御するための制御電圧VGを生成する回路を含む。
【0014】
ドレイン電極11は、出力トランジスタ9のドレインとコントローラ10の各種回路に電源電圧VBを伝える。ソース電極12は、出力トランジスタ9のソースに接続されており、出力電圧VOUT及び出力電流IOUTを負荷3に供給する。なお、ソース電極12と負荷3との間に敷設される信号線(例えばワイヤーハーネス)には、一般にインダクタンス成分L(及び抵抗成分)が付随する。入力電極13は、コントローラ10を駆動するための入力電圧(=入力信号IN)を伝達する。基準電圧電極14は、コントローラ10に基準電圧(例えば接地電圧)を伝達する。基準電圧電極14と接地端との間には、一般に抵抗成分Rが付随する。
【0015】
<半導体装置(全体構成)>
図2は、半導体装置1の全体構成(特にコントローラ10の具体的な内部構成の一例)を示す図である。
【0016】
本構成例の半導体装置1において、コントローラ10は、制御ロジック20と、駆動電圧生成回路21と、発振回路22と、チャージポンプ23と、ゲート制御回路24と、アクティブクランプ回路25と、入力回路26と、内部電源回路27と、電源逆接続保護回路28と、センス電流生成回路29と、低入力保護回路30及び31と、温度保護回路32と、負荷オープン保護回路33と、電圧監視回路34と、過電流保護回路35と、クランプ回路36と、電流検出回路37と、を備える。
【0017】
制御ロジック20は、入力回路26で受け付けられる入力信号IN及びイネーブル信号SENと各種の異常保護信号(低入力保護信号、温度保護信号、負荷オープン保護信号など)に応じて、駆動電圧生成回路21の動作可否を制御する。
【0018】
駆動電圧生成回路21は、電源電圧VBに応じたハイ電圧VH(≒電源電圧VB)と、ハイ電圧VHよりも定電圧VREF(=例えば3V)だけ低いロー電圧VL(≒VB-VREF)とを生成して発振回路22及びチャージポンプ23に供給する。
【0019】
本図に即して述べると、駆動電圧生成回路21は、電流源21Aと、トランジスタ21B(例えばPMOSFET[P-channel type MOSFET])と、ツェナーダイオード21Cと、ダイオード21Dと、負電圧保護回路21Eと、カレントミラー回路21Fを含む。
【0020】
電流源21Aは、カレントミラー回路21Fに定電流を出力する。
【0021】
トランジスタ21Bのソース及びバッグゲートは、電源電圧VBの印加端に接続されている。トランジスタ21Bのドレインとツェナーダイオード21Cのカソードは、いずれもハイ電圧VHの印加端に接続されている。ツェナーダイオード21Cのアノードは、ダイオード21Dのアノードに接続されている。ダイオード21Dのカソードは、ロー電圧VLの印加端に接続されている。なお、トランジスタ21Bは、制御ロジック20からの指示に応じてオン/オフされる。
【0022】
負電圧保護回路21Eは、ロー電圧VLの印加端とカレントミラー回路21Fとの間に接続されている。負電圧保護回路21Eは、出力電圧VOUTが負電圧(<GND)であるときに、基準電圧電極14(=接地電極GND)からソース電極12(=出力電極OUT)に至る電流経路を遮断する。
【0023】
カレントミラー回路21Fは、電流源21Aから出力される定電流をミラーして、トランジスタ21B、ツェナーダイオード21C、ダイオード21D及び負電圧保護回路21Eに流れる駆動電流を生成する。なお、カレントミラー回路21Fは、制御ロジック20からの指示に応じて動作可否が制御されてもよい。
【0024】
発振回路22は、ハイ電圧VHとロー電圧VLの供給を受けて動作し、所定周波数のクロック信号CLKを生成してチャージポンプ23に出力する。なお、クロック信号CLKは、ハイ電圧VHとロー電圧VLとの間でパルス駆動される矩形波信号である。
【0025】
チャージポンプ23は、ハイ電圧VHとロー電圧VLの供給を受けて動作する昇圧回路の一種である。チャージポンプ23は、クロック信号CLKを用いてキャパシタを駆動することにより、ハイ電圧VH(≒電源電圧VB)よりも高い昇圧電圧VCP及びVCP2(ただしVCP>VCP2)を生成する。昇圧電圧VCPは、ゲート制御回路24に供給される。昇圧電圧VCP2は、過電流保護回路35に供給される。
【0026】
ゲート制御回路24は、昇圧電圧VCPの印加端と出力電圧VOUTの印加端との間に設けられており、制御電圧VGを生成して出力トランジスタ9のゲートに出力する。制御電圧VGは、基本的に、入力信号INがハイレベルであるときにハイレベル(=VCP)となり、入力信号INがローレベルであるときにローレベル(=VOUT)となる。
【0027】
アクティブクランプ回路25は、電源電圧VBの印加端と出力トランジスタ9のゲートとの間に設けられる。ソース電極12(=出力電極OUT)に誘導性の負荷3が接続されるアプリケーションでは、出力トランジスタ9がオン状態からオフ状態に切り替わる際、負荷3の逆起電力により出力電圧VOUTが負電圧となり得る。そのため、エネルギー吸収用にアクティブクランプ回路25が設けられている。
【0028】
入力回路26は、シュミットトリガ26A及び26Bを含む。シュミットトリガ26Aは、入力電極13に入力される入力信号INを受け付けて制御ロジック20に伝達する。シュミットトリガ26Bは、イネーブル電極15に入力されるイネーブル信号SENを受け付けて制御ロジック20に伝達する。
【0029】
内部電源回路27は、電源電圧VBから内部電源電圧VREGを生成して半導体装置1の各部(例えば温度保護回路32)に供給する。
【0030】
本図に即して述べると、内部電源回路27は、電流源27Aと、カレントミラー回路27Bと、ツェナーダイオード27Cと、ダイオード27Dと、を含む。
【0031】
電流源27Aは、カレントミラー回路27Bに定電流を出力する。なお、電流源27Aは、イネーブル信号SENに応じて動作可否が制御されてもよい。
【0032】
カレントミラー回路27Bは、電流源27Aから出力される定電流をミラーして、ツェナーダイオード27C及びダイオード27Dに流れる駆動電流を生成する。カレントミラー回路27Bは、電源電圧VBの供給を受けて動作する。
【0033】
カレントミラー回路27Bの出力端とツェナーダイオード27Cのカソードは、いずれも内部電源電圧VREGの印加端に接続されている。ツェナーダイオード27Cのアノードは、ダイオード27Dのアノードに接続されている。ダイオード27Dのカソードは、電源逆接続保護回路28に接続されている。
【0034】
電源逆接続保護回路28は、半導体装置1に直流電源2が逆接続されたとき、つまり、ドレイン電極11(=電源電極VBB)と基準電圧電極14(=接地電極GND)との間に逆バイアス電圧が印加されたときに内部回路を保護する。本図に即して述べると、電源逆接続保護回路28は、駆動電圧生成回路21と基準電圧電極14(=接地電極GND)との間に設けられている。電源逆接続保護回路28は、電源電圧VBが接地電圧GNDよりも低いときに基準電圧電極14(=接地電極GND)からドレイン電極11(=電源電極VBB)に至る電流経路を遮断する。
【0035】
センス電流生成回路29は、センストランジスタ29A及び29B(例えばNMOSFET)を含む。センストランジスタ29A及び29Bそれぞれのドレインは、いずれもドレイン電極11(=電源電極VBB)に接続されている。センストランジスタ29A及び29Bそれぞれのゲートは、いずれも出力トランジスタ9のゲート(=制御電圧VGの印加端)に接続されている。センストランジスタ29A及び29Bは、それぞれ、出力トランジスタ9に流れる出力電流IOUTに応じたセンス電流Is1及びIs2を生成する。出力トランジスタ9とセンストランジスタ29A及び29Bとのサイズ比は、m:1(ただしm>1)である。従って、センス電流Is1及びIs2は、出力電流IOUTを1/mに減じた大きさとなる。なお、センストランジスタ29A及び29Bは、それぞれ、出力トランジスタ9と同期して、制御電圧VGがハイレベルであるときにオン状態となり、制御電圧VGがローレベルであるときにオフ状態となる。
【0036】
低入力保護回路30は、いわゆるUVLO[under voltage lock out]回路である。低入力保護回路30は、内部電源電圧VREGが低入力状態であるか否かを検出し、その検出結果を制御ロジック20に伝達する。
【0037】
低入力保護回路31は、いわゆるUVLO回路である。低入力保護回路31は、ハイ電圧VHとロー電圧VLとの電位差(=定電圧VREF)が低入力状態であるか否かを検出し、その検出結果を制御ロジック20に伝達する。
【0038】
温度保護回路32は、半導体装置1の異常発熱が生じているか否かを検出し、その検出結果を制御ロジック20に伝達する。温度保護回路32の監視対象は、出力トランジスタ9の素子温度Tjであってもよい。また、温度保護回路32の監視対象は、出力トランジスタ9とその他の回路ブロック(例えば制御ロジック20)との温度差ΔTjであってもよい。なお、温度保護回路32は、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作する。
【0039】
負荷オープン保護回路33は、ソース電極12(=出力電極OUT)がオープン状態であるか否かを検出し、その検出結果を制御ロジック20に伝達する。
【0040】
電圧監視回路34は、ハイ電圧VHを監視する。
【0041】
過電流保護回路35は、センス電流Is1を監視して出力電流IOUTが過電流状態であるか否かを検出する。なお、過電流保護回路35は、昇圧電圧VCP2の供給を受けて動作する。
【0042】
クランプ回路36は、センストランジスタ29Bのソース電圧と出力電圧VOUTとを一致させる。このようなクランプ動作(バイアス動作)によれば、センス電流Is2の生成精度が高められる。
【0043】
電流検出回路37は、センス電流Is2を監視して出力電流IOUTに関する情報を検出し、その検出結果を制御ロジック20に伝達する。
【0044】
<半導体装置(比較例)>
図3は、半導体装置1の比較例(=後出の実施形態と対比される一般的な構成)を示す図である。本比較例の半導体装置1において、ゲート制御回路24は、トランジスタ24A、24B及び24C(例えばPMOSFET)と、トランジスタ24D及び24E(例えばNMOSFET)と、基準電流源24Fと、スイッチ24G及び24Hと、を含む。
【0045】
トランジスタ24A、24B及び24Cそれぞれのソースは、いずれも昇圧電圧VCPの印加端(=チャージポンプ23の出力端)に接続されている。トランジスタ24A、24B及び24Cそれぞれのゲートは、いずれもトランジスタ24Aのドレインに接続されている。トランジスタ24Aのドレインは、基準電流源24Fの第1端(=基準電流IREFの出力端)に接続されている。トランジスタ24Bのドレインは、トランジスタ24Dのドレインに接続されている。トランジスタ24Cのドレインは、スイッチ24Gの第1端に接続されている。トランジスタ24D及び24Eそれぞれのゲートは、いずれもトランジスタ24Dのドレインに接続されている。基準電流源24Fの第2端とトランジスタ24D及び24Eそれぞれのソースは、いずれもソース電極12(=出力電圧VOUTの印加端)に接続されている。トランジスタ24Eのドレインは、スイッチ24Hの第1端に接続されている。スイッチ24G及び24Hそれぞれの第2端は、いずれも出力トランジスタ9のゲート(=制御電圧VGの印加端)に接続されている。
【0046】
基準電流源24Fは、所定の基準電流IREFを生成する。
【0047】
トランジスタ24A、24B及び24Cとスイッチ24Gは、昇圧電圧VCPの印加端と制御電圧VGの印加端との間に接続された第1電流源24Xとして機能する。特に、トランジスタ24A、24B及び24Cは、基準電流IREFに応じて第1電流IX(=ゲート充電電流に相当)を生成する第1カレントミラーとして機能する。第1電流IXは、第1電流源24Xの出力となる。
【0048】
トランジスタ24D及び24Eとスイッチ24Hは、制御電圧VGの印加端と出力電圧VOUTの印加端との間に接続された第2電流源24Yとして機能する。特に、トランジスタ24D及び24Eは、基準電流IREF(より正確にはそのミラー電流)に応じて第2電流IYを生成する第2カレントミラーとして機能する。第2電流IY(=ゲート放電電流に相当)は、第2電流源24Yの出力となる。
【0049】
例えば、入力信号INがハイレベルであるときには、スイッチ24Gがオン状態になってスイッチ24Hがオフ状態になる。このとき、第1電流IXを用いて出力トランジスタ9のゲート容量が充電される。従って、制御電圧VGがハイレベル(≒VCP)に立ち上げられる。その結果、出力トランジスタ9がオン状態となる。
【0050】
一方、入力信号INがローレベルであるときには、スイッチ24Gがオフ状態になってスイッチ24Hがオン状態になる。このとき、第2電流IYを用いて出力トランジスタ9のゲート容量が放電される。従って、制御電圧VGがローレベル(≒VOUT)に立ち下げられる。その結果、出力トランジスタ9がオフ状態となる。
【0051】
<考察>
NMOSFETは、同じ素子面積のPMOSFETと比べて2~3倍優れたオン抵抗を示す。そのため、出力トランジスタ9としては、NMOSFETが好適である。ただし、NMOSFETを完全にオン状態とするためには、電源電圧VBよりも高い昇圧電圧VCPが必要となる。そこで、半導体装置1には、比較的に低コストで昇圧電圧VCPを生成するための手段としてチャージポンプ23が組み込まれている。
【0052】
また、高電圧及び大電流を取り扱う半導体装置1では、出力トランジスタ9として、縦型構造のVDMOSFET[vertical double diffused MOSFET]が好適に用いられる。特に、高性能で低コストなデバイスを開発する上では、n型基板技術の採用が望ましい。
【0053】
ところで、ほぼ全てのモノリシック実装では、低耐圧素子(例えば3V耐圧又は5V耐圧)と高耐圧素子(40V耐圧)の組み合わせが使用され得る。高耐圧素子が用いられることにより、システムの堅牢性が高められる。ただし、システム全体のコストを削減するためには、低耐圧素子をできるだけ多く用いて回路設計を行うことが望ましい。
【0054】
また、出力トランジスタ9のオン抵抗を引き下げるためには、出力トランジスタ9のゲート・ソース間電圧Vgs(=VG-VOUT)ができるだけ高い方が良い。例えば、出力トランジスタ9が5V駆動される場合を考える。この場合、単純に考えると、ゲート制御回路24は、5V耐圧素子で形成されている必要がある。ただし、ゲート制御回路24の回路面積が大きくなる。
【0055】
一方、例えば、ゲート制御回路24が3V耐圧素子で形成されている場合を考える。この場合、単純に考えると、出力トランジスタ9は3V駆動せざるを得ない。ただし、出力トランジスタ9のオン抵抗を十分に引き下げることができなくなる。
【0056】
上記の考察に鑑み、以下では、ゲート制御回路24の回路面積を抑えつつ素子耐圧を確保することのできる半導体装置1を提案する。
【0057】
<半導体装置(第1実施形態)>
図4は、半導体装置1の第1実施形態を示す図である。本実施形態の半導体装置1は、先出の比較例(
図3)を基本としつつ、中間電圧生成回路40と、電圧クランプ回路50と、をさらに備える。
【0058】
中間電圧生成回路40は、昇圧電圧VCPと出力電圧VOUTとの間の中間電圧VM1及びVM2を生成する。
【0059】
本図に即して述べると、中間電圧生成回路40は、電圧源41及び42を含む。電圧源41は、昇圧電圧VCPよりも所定値V1だけ低い中間電圧VM1を生成する。電圧源42は、出力電圧VOUTよりも所定値V2だけ高い中間電圧VM2を生成する。なお、V1=V2=(VCP-VOUT)/2であってもよい。この場合、VM1=VM2=(VCP+VOUT)/2となる。例えば、VOUT基準(VOUT=0V)において、VCP=5Vである場合には、VM1=VM2=2.5Vとなる。
【0060】
電圧クランプ回路50は、第1電流源24Xに掛かる印加電圧を昇圧電圧VCPと中間電圧VM1との差分電圧以下(≦VCP-VM1)に制限する。また、電圧クランプ回路50は、第2電流源24Yに掛かる印加電圧を中間電圧VM2と出力電圧VOUTとの差分電圧以下(≦VM2-VOUT)に制限する。
【0061】
本図に即して述べると、電圧クランプ回路50は、トランジスタ51(例えばPMOSFET)と、トランジスタ52(例えばNMOSFET)と、を含む。
【0062】
トランジスタ51のソースは、第1電流源24Xに接続されている。トランジスタ51のドレインは、制御電圧VGの印加端に接続されている。トランジスタ51のゲートは、中間電圧VM1の印加端に接続されている。トランジスタ51のバックゲートは、昇圧電圧VCPの印加端に接続されている。このように接続されたトランジスタ51は、第1電流源24Xと制御電圧VGの印加端との間に接続された第1トランジスタに相当する。
【0063】
トランジスタ52のソースは、第2電流源24Yに接続されている。トランジスタ52のドレインは、制御電圧VGの印加端に接続されている。トランジスタ52のゲートは、中間電圧VM2の印加端に接続されている。トランジスタ52のバックゲートは、出力電圧VOUTの印加端に接続されている。このように接続されたトランジスタ52は、制御電圧VGの印加端と第2電流源24Yとの間に接続された第2トランジスタに相当する。
【0064】
このように、本実施形態の半導体装置1では、昇圧電圧VCPの印加端と出力電圧VOUTの印加端との間に、少なくとも4つのトランジスタ(第1電流源24X、トランジスタ51、トランジスタ52及び第2電流源24Y)が縦積みされている。
【0065】
例えば、出力トランジスタ9が5V駆動される場合を考える。この場合、VOUT基準(VOUT=0V)において、VCP=5Vである場合には、VM1=VM2=2.5Vとなる。従って、本図から分かるように、上記4つのトランジスタ(第1電流源24X、トランジスタ51、トランジスタ52及び第2電流源24Y)それぞれのゲート・ソース間、ゲート・ドレイン間及びソース・ドレイン間にそれぞれ印加される電圧は、いずれも3V未満となる。
【0066】
すなわち、第1電流源24X、第2電流源24Y及び電圧クランプ回路50をそれぞれ形成する素子の耐圧は、いずれも出力トランジスタ9のオン期間に印加される制御電圧VG(=VCP)と出力電圧VOUTとの差分電圧(=5V)より低くても足りる。
【0067】
上記の例に即して述べると、第1電流源24X、第2電流源24Y及び電圧クランプ回路50をそれぞれ形成する素子としては、いずれも3V耐圧素子が使用可能である。
【0068】
従って、本実施形態の半導体装置1であれば、3V耐圧素子で形成される小規模なゲート制御回路24を用いて出力トランジスタ9を5V駆動することにより、出力トランジスタ9のオン抵抗を引き下げることが可能となる。
【0069】
なお、上記4つのトランジスタ(第1電流源24X、トランジスタ51、トランジスタ52及び第2電流源24Y)それぞれのボディからドレインへの降伏電圧は、ゲート酸化物の厚さではなく、pn接合の最大許容電界によって決まる。そのため、出力トランジスタ9の5V駆動は問題とならない。
【0070】
<半導体装置(第2実施形態)>
図5は、半導体装置1の第2実施形態を示す図である。本実施形態の半導体装置1は、先出の第1実施形態(
図4)を基本としつつ、中間電圧生成回路40に変更が加えられている。本図に即して述べると、中間電圧生成回路40は、先出の電圧源41及び42に代えて、抵抗43及び44とキャパシタ45を含む。
【0071】
抵抗43の第1端は、昇圧電圧VCPの印加端に接続されている。抵抗43の第2端と抵抗44の第1端は、いずれも中間電圧VMの印加端に接続されている。抵抗44の第2端は、出力電圧VOUTの印加端に接続されている。
【0072】
このように接続された抵抗43及び44は、昇圧電圧VCPの印加端と出力電圧VOUTの印加端との間に直列に接続されて中間電圧VMを生成する抵抗分圧回路として機能する。なお、抵抗43及び44それぞれの抵抗値をR1及びR2とすると、VM=(R1・VCP+R2・VOUT)/(R1+R2)となる。特に、R1=R2である場合には、VM=(VCP+VOUT)/2となる。
【0073】
なお、中間電圧生成回路40及び電圧クランプ回路50については、その他の回路形式も採用され得る。例えば、電圧レギュレータ又は負帰還オペアンプが用いられてもよい。
【0074】
また、本図で示すように、抵抗44にはキャパシタ45が並列に接続されてもよい。このような構成であれば、昇圧電圧VCPに重畳するリップル成分の影響を受け難くなる。
【0075】
また、本図で示すように、出力トランジスタ9のゲート及びソースには、静電保護素子として抵抗R1及びR2が接続されてもよい。
【0076】
図6は、第2実施形態における各部電圧の挙動を示す図である。なお、本図の上段には入力信号INが描写されている。また、本図の下段には、出力電圧VOUT(実線)、制御電圧VG(小破線)、昇圧電圧VCP(大破線)、及び、中間電圧VM(一点鎖線)が描写されている。
【0077】
入力信号INがハイレベルに立ち上げられると、昇圧電圧VCP及び中間電圧VMが出力電圧VOUTに対して上昇する。その後、ゲート制御回路24によるゲート充電が行われて制御電圧VGが上昇する。従って、出力トランジスタ9に出力電流IOUTが流れ始めるので、出力電圧VOUTが上昇する。出力電圧VOUTが所定値(=VB-Vx、例えばVx=4V)まで上昇すると、チャージポンプ23が起動される。その結果、昇圧電圧VCP及び中間電圧VMが電源電圧VBよりも高い電圧値まで昇圧される。その後、出力電圧VOUTが電源電圧VBに達すると、出力トランジスタ9がフルオン状態となる。一方、入力信号INがローレベルに立ち下げられると、内部電源電圧VREGが確保されつつ、ゲート制御回路24によるゲート放電が行われて制御電圧VGが低下する。
【0078】
<半導体装置(第3実施形態)>
図7は、半導体装置1の第3実施形態を示す図である。本実施形態の半導体装置1は、先出の比較例(
図3)と第2実施形態(
図5)を基本としつつ、電圧クランプ回路50の構成要素として、トランジスタ53(例えばNMOSFET)が追加されている。
【0079】
トランジスタ53のドレインは、トランジスタ24Aのドレインに接続されている。トランジスタ53のソースは、基準電流源24Fの第1端(=基準電流IREFの出力端)に接続されている。トランジスタ53のゲートは、中間電圧VMの印加端に接続されている。トランジスタ53のバックゲートは、出力電圧VOUTの印加端に接続されている。このように接続されたトランジスタ53は、基準電流源24Fと第1カレントミラー(特にトランジスタ24A)との間に接続された第3トランジスタに相当する。
【0080】
このようなトランジスタ53の導入により、トランジスタ24Aのゲート・ソース間、ゲート・ドレイン間及びソース・ドレイン間にそれぞれ印加される電圧は、いずれも3V未満となる。従って、トランジスタ24Aとしては、3V耐圧素子が使用可能となる。
【0081】
また、本図では、チャージポンプ23の回路構成が例示されている。本図に即して述べると、チャージポンプ23は、キャパシタC1~C3と、ダイオードD1~D3と、インバータINVと、を含む。
【0082】
ダイオードD1のアノードは、ハイ電圧VH(≒VB)の印加端に接続されている。ダイオードD1のカソードとダイオードD2のアノードは、いずれもキャパシタC1の第1端に接続されている。キャパシタC1の第2端とインバータINVの入力端は、いずれも発振回路22の出力端(=クロック信号CLKの印加端)に接続されている。
【0083】
ダイオードD2のカソードとダイオードD3のアノードは、いずれもキャパシタC2の第1端に接続されている。キャパシタC2の第2端は、インバータINVの出力端(=反転クロック信号CLKBの印加端)に接続されている。なお、反転クロック信号CLKBは、クロック信号CLKの論理レベルを反転させた信号である。ダイオードD3のカソードとキャパシタC3の第1端は、いずれも昇圧電圧VCPの印加端に接続されている。キャパシタC3の第2端は、出力電圧VOUTの印加端に接続されている。
【0084】
ダイオードD1~D3は、いずれも電荷転送スイッチとして使用される整流器である。ダイオードD1~D3としては、pn接合ダイオード又はMOSダイオードが使用され得る。また、ダイオードD1~D3に代えてMOSスイッチが用いられてもよい。
【0085】
キャパシタC1及びC2は、いずれもフライングキャパシタに相当する。キャパシタC3は、平滑キャパシタに相当する。
【0086】
チャージポンプ23の動作は、次の通りである。第1フェイズφ1では、クロック信号CLKがローレベル(VL=VH-VREF)となり、反転クロック信号CLKBがハイレベル(VH)となる。
【0087】
このとき、キャパシタC1には、ハイ電圧VHの印加端からダイオードD1を介して充電電流が流れる。従って、ダイオードD1の順方向降下電圧Vfを無視した場合、キャパシタC1は、その両端間電圧が定電圧VREF(=VH-VL)となるまで充電される。
【0088】
また、キャパシタC2は、直前の第2フェイズφ2において、その両端間電圧が定電圧VREFの2倍(=2VREF)となるまで充電されている。従って、第2フェイズφ2から第1フェイズφ1への遷移により、キャパシタC2の第2端がハイレベル(VH)に引き上げられると、キャパシタC2の第1端は、キャパシタC2の電荷保存則に従い、第2端よりも両端間電圧分だけ高い電圧(=VH+2VREF)に引き上げられる。
【0089】
このとき、キャパシタC2とキャパシタC3との間では、ダイオードD3を介して電荷の転送が行われる。その結果、ダイオードD3の順方向降下電圧Vfを無視した場合、キャパシタC3は、その両端間電圧が定電圧VREFの2倍(=2VREF)となるまで充電される。
【0090】
なお、第1フェイズφ1では、ダイオードD2が逆バイアス状態となる。従って、ダイオードD2を介する経路で電流が逆流することはない。
【0091】
一方、第2フェイズφ2では、クロック信号CLKがハイレベル(VH)となり、反転クロック信号CLKBがローレベル(VL=VH-VREF)となる。
【0092】
キャパシタC1は、直前の第1フェイズφ1において、その両端間電圧が定電圧VREFとなるまで充電されている。従って、第2フェイズφ2への遷移により、キャパシタC1の第2端がハイレベル(=VH)に引き上げられると、キャパシタC1の第1端は、キャパシタC1の電荷保存則に従い、第2端よりも両端間電圧分だけ高い電圧(=VH+VREF=2VREF)に引き上げられる。
【0093】
このとき、キャパシタC1とキャパシタC2との間では、ダイオードD2を介して電荷の転送が行われる。その結果、ダイオードD2の順方向降下電圧Vfを無視した場合、キャパシタC2は、その両端間電圧が定電圧VREFの2倍(=2VREF)となるまで充電される。
【0094】
また、キャパシタC3は、直前の第2フェイズφ2において、その両端間電圧が定電圧VREFの2倍(=2VREF)となるまで充電されている。
【0095】
なお、第2フェイズφ2では、ダイオードD1及びD3がいずれも逆バイアス状態となる。従って、ダイオードD1及びD3を介する経路で電流が逆流することはない。
【0096】
チャージポンプ23では、クロック信号CLKのパルス駆動に同期して上記の第1フェイズφ1と第2フェイズφ2が交互に繰り返される。その結果、キャパシタC3の両端間から、定電圧VREFの2倍に相当する昇圧電圧VCP(=2VREF)が出力される。
【0097】
このように、チャージポンプ23では、2段のディクソンチャージポンプトポロジーが採用されている。ただし、チャージポンプ23の段数及びトポロジーは、何らこれに限定されるものではない。
【0098】
ところで、先にも述べたように、キャパシタC2及びC3それぞれの両端間には、定電圧VREFの2倍に相当する電圧が印加される。例えば、定電圧VREFが3Vである場合には、キャパシタC2及びC3として、少なくとも6V耐圧素子(ダイオードD1~D3それぞれの順方向降下電圧Vfを考慮した場合であれば5V耐圧素子)が必要となる。
【0099】
図8は、先出のキャパシタC2及びC3として好適に用いられるキャパシタCの一構成例を示す図である。
【0100】
本構成例のキャパシタCは、N型基板subをドレインとするVDMOSFET(縦型トランジスタの一種)のゲート・ボディ間容量に相当する。すなわち、VDMOSFETのゲートGは、キャパシタCの第1端(トッププレート)として機能する。また、VDMOSFETのボディB(=高濃度P型半導体領域)は、キャパシタCの第2端(ボトムプレート)として機能する。このように、VDMOSFETのゲート・ボディ間容量を利用することにより、比較的低コストで耐圧の高いキャパシタCが得られる。
【0101】
また、本構成例のVDMOSFETでは、一般的なVDMOSFETと異なり、ソースSとなる高濃度N型半導体領域が省略されている。このようなソースレスのVDMOSFETでは、チャネルの形成が防止される。従って、一般的なVDMOSFETよりも理論的なオン閾値電圧が高くなる。その結果、N型基板subとボディBとのソフト短絡が防止され得る。なお、ソースレスのVDMOSFETは、ソースSが省略されている以外、一般的なVDMOSFETと同様の製造プロセス(マスク処理)で形成され得る。
【0102】
<車両への適用>
図9は、車両の外観を示す図である。本構成例の車両Xは、バッテリから電力供給を受けて動作する種々の電子機器を搭載している。
【0103】
車両Xには、エンジン車のほか、電動車(BEV[battery electric vehicle]、HEV[hybrid electric vehicle]、PHEV/PHV(plug-in hybrid electric vehicle/plug-in hybrid vehicle]、又は、FCEV/FCV(fuel cell electric vehicle/fuel cell vehicle]などのxEV)も含まれる。
【0104】
なお、先に説明した半導体装置1は、車両Xに搭載される電子機器のいずれにも組み込むことが可能である。
【0105】
<総括>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
【0106】
本明細書中に開示されている半導体装置は、電源電圧の印加端と出力電圧の印加端との間に接続されて制御電圧により駆動されるように構成された出力トランジスタと、前記電源電圧よりも高い昇圧電圧を生成するように構成された昇圧回路と、前記昇圧電圧の印加端と前記制御電圧の印加端との間に接続された第1電流源と、前記制御電圧の印加端と前記出力電圧の印加端との間に接続された第2電流源と、前記昇圧電圧と前記出力電圧との間の中間電圧を生成するように構成された中間電圧生成回路と、前記第1電流源に掛かる印加電圧を前記昇圧電圧と前記中間電圧との差分電圧以下に制限するとともに前記第2電流源に掛かる印加電圧を前記中間電圧と前記出力電圧との差分電圧以下に制限するように構成された電圧クランプ回路と、を備える構成(第1の構成)とされている。
【0107】
なお、上記第1の構成による半導体装置において、前記第1電流源、前記第2電流源及び前記電圧クランプ回路をそれぞれ形成する素子の耐圧は、前記出力トランジスタのオン期間に印加される前記制御電圧と前記出力電圧の差分電圧よりも低い構成(第2の構成)としてもよい。
【0108】
また、上記第1又は第2の構成による半導体装置において、前記中間電圧生成回路は、前記昇圧電圧の印加端と前記出力電圧の印加端との間に接続されて前記中間電圧を生成するように構成された抵抗分圧回路を含む構成(第3の構成)としてもよい。
【0109】
また、上記第1~第3いずれかの構成による半導体装置において、前記電圧クランプ回路は、前記第1電流源と前記制御電圧の印加端との間に接続された第1トランジスタと、前記制御電圧の印加端と前記第2電流源との間に接続された第2トランジスタとを含み、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタそれぞれの制御端には、前記中間電圧が印加されるように構成されている構成(第4の構成)としてもよい。
【0110】
また、上記第4の構成による半導体装置において、前記第1電流源及び第2電流源は、所定の基準電流を生成するように構成された基準電流源と、前記基準電流に応じて第1電流を生成するように構成された第1カレントミラーと、前記基準電流に応じて第2電流を生成するように構成された第2カレントミラーとを含み、前記第1電流を前記第1電流源の出力とし、前記第2電流を前記第2電流源の出力とするように構成されている構成(第5の構成)としてもよい。
【0111】
また、上記第5の構成による半導体装置において、前記電圧クランプ回路は、前記基準電流源と前記第1カレントミラーとの間に接続された第3トランジスタをさらに含み、前記第3トランジスタの制御端には、前記中間電圧が印加されるように構成されている構成(第6の構成)としてもよい。
【0112】
また、上記第1~第6いずれかの構成による半導体装置において、前記昇圧回路は、キャパシタを駆動して前記昇圧電圧を生成するように構成されたチャージポンプを含む構成(第7の構成)としてもよい。
【0113】
また、上記第7の構成による半導体装置において、前記キャパシタは、縦型トランジスタのゲート・ボディ間容量を含む構成(第8の構成)としてもよい。
【0114】
また、本明細書中に開示されている電子機器は、上記第1~第8いずれかの構成による半導体装置と、前記半導体装置から電力供給を受けるように構成された負荷と、を備える構成(第9の構成)とされている。
【0115】
また、本明細書中に開示されている車両は、上記第9の構成による電子機器を備える構成(第10の構成)とされている。
【0116】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、本開示の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0117】
1 半導体装置(ハイサイドスイッチIC)
2 直流電源
3 負荷
9 出力トランジスタ(NMOSFET)
10 コントローラ
11 ドレイン電極(電源電極)
12 ソース電極(出力電極)
13 入力電極
14 基準電圧電極
15 イネーブル電極
20 制御ロジック
21 駆動電圧生成回路
21A 電流源
21B トランジスタ(PMOSFET)
21C ツェナーダイオード
21D ダイオード
21E 負電圧保護回路
21F カレントミラー回路
22 発振回路
23 チャージポンプ
24 ゲート制御回路
24A、24B、24C トランジスタ(PMOSFET)
24D、24E トランジスタ(NMOSFET)
24F 基準電流源
24G、24H スイッチ
24X 第1電流源
24Y 第2電流源
25 アクティブクランプ回路
26 入力回路
26A、26B シュミットトリガ
27 内部電源回路
27A 電流源
27B カレントミラー回路
27C ツェナーダイオード
27D ダイオード
28 電源逆接続保護回路
29 センス電流生成回路
29A、29B センストランジスタ
30、31 低入力保護回路
32 温度保護回路
33 負荷オープン保護回路
34 電圧監視回路
35 過電流保護回路
36 クランプ回路
37 電流検出回路
40 中間電圧生成回路
41、42 電圧源
43、44 抵抗
45 キャパシタ
50 電圧クランプ回路
51 トランジスタ(PMOSFET)
52、53 トランジスタ(NMOSFET)
A 電子機器
C、C1、C2、C3 キャパシタ
D1、D2、D3 ダイオード
INV インバータ
L インダクタンス成分
R 抵抗成分
X 車両