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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060183
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】無煙ロースター
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20240424BHJP
   B01D 45/06 20060101ALI20240424BHJP
   B01F 27/07 20220101ALI20240424BHJP
   B01F 27/072 20220101ALI20240424BHJP
   B01F 27/1121 20220101ALI20240424BHJP
   B01F 27/70 20220101ALI20240424BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20240424BHJP
   F24C 15/20 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
A47J37/06 316
B01D45/06
B01F27/07
B01F27/072
B01F27/1121
B01F27/70
F24C3/00 H
F24C15/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167376
(22)【出願日】2022-10-19
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】598177016
【氏名又は名称】株式会社野田ハッピー
(74)【代理人】
【識別番号】100166132
【弁理士】
【氏名又は名称】木船 英雄
(72)【発明者】
【氏名】珍田 米夫
【テーマコード(参考)】
4B040
4D031
4G078
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB12
4B040AC02
4B040AD04
4B040CA02
4B040CA16
4B040GA06
4B040LA02
4B040LA06
4B040LA11
4B040LA19
4B040NA16
4D031AB11
4D031DA01
4D031DA05
4D031EA01
4G078AB05
4G078BA01
4G078BA09
4G078DA03
(57)【要約】
【課題】信頼性やメンテナンス性をより向上させた新規な無煙ロースターの提供。
【解決手段】ロースター本体に、ガスコンロの燃焼炎の紫外線を検出するUVセンサーと、その内部温度を検出する熱電対センサーを備え、ガスコンロの着火後に前記UVセンサーで燃焼炎を検出しなくなったとき、または前記熱電対センサーで検出された排煙の温度が所定温度を超えたときに前記ガスコンロへのガスの供給を停止または警報を発する。これによって、従来のSiセンサーなどを用いた場合に比べてそれらのメンテナンスや交換作業を大幅に軽減できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロースター本体に、ガスコンロと、当該ガスコンロからの排煙を排気ダクトに案内する排煙通路と、前記ガスコンロを制御するコントロールユニットとを備えた無煙ロースターであって、
前記ロースター本体に、その内部温度を検出する温度センサーを備え、
前記コントロールユニットは、前記温度センサーで検出された排煙の温度が所定温度を超えたときに前記ガスコンロへのガスの供給を停止または警報を発することを特徴とする無煙ロースター。
【請求項2】
請求項1に記載の無煙ロースターにおいて、
前記温度センサーは、熱電対センサーであることを特徴とする無煙ロースター。
【請求項3】
請求項1に記載の無煙ロースターにおいて、
前記ガスコンロに、その燃焼炎からの紫外線を検出するUVセンサーを備え、
前記コントロールユニットは、前記ガスコンロの着火後に前記UVセンサーで燃焼炎を検出しなくなったときに前記ガスコンロへのガスの供給を停止または警報を発することを特徴とする無煙ロースター。
【請求項4】
請求項1に記載の無煙ロースターにおいて、
前記排煙通路に、前記排煙中の油分をミスト化して前記排気ダクトに排出する排煙改質器を備え、当該排煙改質器は、風車状の回転部材と、当該回転部材を前記排煙通路内に固定するフレームとからなると共に、
前記回転部材は、モーターと、前記モーターの回転軸に設けられたハブと、当該ハブから放射状に伸びる複数本のロッドとからなることを特徴とする無煙ロースター。
【請求項5】
請求項4に記載の無煙ロースターにおいて、
前記排煙通路をコ字形に屈曲させて形成すると共に、前記排煙改質器を前記排煙通路の前記排気ダクトの近傍に取り付けたことを特徴とする無煙ロースター。
【請求項6】
請求項4に記載の無煙ロースターにおいて、
前記回転部材は、前記ハブの軸方向前端に位置する第1ロッド群と、前記ハブの軸方向後端に位置する第2ロッド群とを有することを特徴とする無煙ロースター。
【請求項7】
請求項4に記載の無煙ロースターにおいて、
前記各ロッドの表面に螺旋状の溝を形成したことを特徴とする無煙ロースター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼肉店などに設置される無煙ロースターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の無煙ロースターは、例えば図10に示すようにテーブル板を構成する天板110と、これを床面F上に支持するロースター本体120と、天板110に設けられたコンロ収容部130と、このコンロ収容部130と連通する排煙通路150とから主に構成されている。
【0003】
そして、この排煙通路150には店外へ延びる排気ダクト170が接続されており、コンロ収容部130のコンロ131から発生した燃焼煙(排煙)がこのコンロ収容部130の底部から排煙通路150に引き込まれ、この排煙通路150を通過して排気ダクト170へ排気される。この排気ダクト170に流れた排煙はその後、電気集塵器や脱臭器によって煤塵や臭い成分が除去されて無色、無臭化処理された後、店外へ放出される。
【0004】
また、このような無煙ロースターで発生した排煙中から油分や臭気を除去する方法として例えば以下の特許文献1では、油脂濾過部と吸着脱臭部とHEPAフィルターからなる無煙脱臭装置を備える構成が提案されている。また、本出願人は以下の特許文献2に示すように、従来にない新規な排煙改質器を考案し、この排煙改質器を無煙ロースターに組み込むことで油分を多く含む排煙を効率的に処理できると共に、排気ダクトの清掃作業等の頻度大幅に削減することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3101755号公報
【特許文献2】登録実用新案第3226025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の無煙ロースターは、そのコンロ収容部130と排煙通路150の接続部にヒューズダンパー160が設置されており、コンロ収容部130から排煙通路150に流れる排煙の温度が異常に上昇したときにこれが作動することによってダクト火災の発生を未然に防ぐようになっている。しかし、このヒューズダンパー160が作動すると、排煙通路150が完全に塞がれてしまうため、コンロ131から発生した燃焼煙が行き場を失って一気に店内に充満してしまう結果となる。
【0007】
また、コンロ収容部130に収容されるコンロ131が都市ガスやプロパンガスを利用するガスコンロである場合には、その立ち消えを検出するためにバーナーの近傍にいわゆるSiセンサーが設けられているが、焼き網や鍋などから飛散した油などによる汚れや経年劣化などによってこのSiセンサーが故障したり誤作動したりする可能性もあることから、頻繁な点検やメンテナンスが必要となってくる。
【0008】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、信頼性やメンテナンス性をより向上させた新規な無煙ロースターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために第1の発明は、ロースター本体に、ガスコンロと、当該ガスコンロからの排煙を排気ダクトに案内する排煙通路と、前記ガスコンロを制御するコントロールユニットとを備えた無煙ロースターであって、前記ロースター本体に、その内部温度を検出する温度センサーを備え、前記コントロールユニットは、前記温度センサーで検出された排煙の温度が所定温度を超えたときに前記ガスコンロへのガスの供給を停止または警報を発することを特徴とする無煙ロースターである。
【0010】
このような構成によれば、温度センサーがロースター本体内の温度を常時正確に検出するため、ロースター本体内の温度が所定温度を超えたときには、コントロールユニットによってガスコンロへのガスの供給を直ちに停止または警報を発することができる。これによってヒューズダンパー160が作動する前に、適切な対応が可能となるため、信頼性がより向上する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記温度センサーは、熱電対センサーであることを特徴とする無煙ロースターである。熱電対センサーは例えばバイメタルなどの従来の温度センサーに比べて優れた検出精度と耐久性を有していることから、信頼性およびメンテナンス性も向上する。
【0012】
第3の発明は、第1の発明において、前記ガスコンロに、その燃焼炎からの紫外線を検出するUVセンサーを備え、前記コントロールユニットは、前記ガスコンロの着火後に前記UVセンサーで燃焼炎を検出しなくなったときに前記ガスコンロへのガスの供給を停止または警報を発することを特徴とする無煙ロースターである。
【0013】
このような構成によれば、UVセンサーが常時ガスコンロの燃焼炎から発生する紫外線を検出するため、立ち消えなどが発生して紫外線が検出されなくなったときは、コントロールユニットによってガスコンロへのガスの供給を直ちに停止または警報を発することができる。また、UVセンサーは、従来のSiセンサーに比べて精度が優れている上に燃焼炎から離れた位置に設置できるため、油汚れなどが付着し難くなり、そのメンテナンス作業を軽減できる。
【0014】
第3の発明は、第1の発明において、前記排煙通路に、前記排煙中の油分をミスト化して前記排気ダクトに排出する排煙改質器を備え、当該排煙改質器は、風車状の回転部材と、当該回転部材を前記排煙通路内に固定するフレームとからなると共に、前記回転部材は、モーターと、前記モーターの回転軸に設けられたハブと、当該ハブから放射状に伸びる複数本のロッドとからなることを特徴とする無煙ロースターである。
【0015】
このような構成によれば、コンロ収容部で発生した霧状の油分(オイルミスト)を含んだ排煙を排煙通路から排気ダクトに流す際に、その排煙改質器の回転部材を高速で回転させると、その複数のロッドが排煙中のオイルミストと激しく衝突することでこれがさらに細かく分解されてその粒子径が小さくなってミスト状からガス状に改質される。これによって、そのオイルミストが粉塵(0.3μm)となり、排気ダクト側に流れても排気ダクトなどへ付着することなく大気中に放出されるため、従来のオイルフィルターが不要または大幅に簡略化することができる。
【0016】
第4の発明は、第3の発明において、前記排煙通路をコ字形に屈曲させて形成すると共に、前記排煙改質器を前記排煙通路の前記排気ダクトの近傍に取り付けたことを特徴とする無煙ロースターである。このような構成によれば、排煙中のオイルミストのうち、粒子径が大きいものは、予めコ字形の排煙通路で捕捉することができるため、粒子径が小さいものだけを排煙改質器で効率よく改質することができる。
【0017】
第5の発明は、第3の発明において、前記回転部材は、前記ハブの軸方向前端に位置する第1ロッド群と、前記ハブの軸方向後端に位置する第2ロッド群とを有することを特徴とする無煙ロースターである。このような構成によれば、排煙中のオイルミストがより高頻度で各ロッドと衝突するため、ミスト状からガス状への改質が効率よく行われる。
【0018】
第6の発明は、第3の発明において、前記各ロッドの表面に螺旋状の溝を形成したことを特徴とする無煙ロースターである。このような構成によれば、ロッド表面に凹凸が形成されるため、ロッドの回転方向後側に発生するカルマン渦、すなわち空気抵抗が減って少ない駆動力でもロッドが高速で回転する。これによってロッドとオイルミストとの衝撃力および接触面積が大きくなるため、ガス状への改質が促進される。また、空気抵抗による回転部材の騒音も抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
1.UVセンサーが常時ガスコンロの燃焼炎から発生する紫外線の検出するため、立ち消えなどが発生して紫外線が検出されなくなったときは、コントロールユニットによって直ちにガスコンロへのガスの供給を停止または警報を発することができる。
2.熱電対センサーがロースター本体内の温度を常時検出するため、その温度が所定温度を超えたときにはコントロールユニットによって直ちに警報を発したり、ガスコンロへのガスの供給を停止または警報を発することができる。
3.UVセンサーや熱電対センサーは検出精度が高いだけでなく、耐久性や信頼性も高いため、従来のSiセンサーやバイメタルなどに比べてそれらのメンテナンスや点検作業を大幅に軽減できる。
4.排煙改質器が排煙中の油分を粉塵化して排出するため、ダクトの清掃作業やその頻度を大幅に減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る無煙ロースター100の実施の一形態を示す縦断面図である。
図2】本発明に係る無煙ロースター100に搭載されるコントロールユニット140の機能を示すブロック図である。
図3】本発明に係る無煙ロースター100に接続される排気ダクト170の構成を示した説明図である。
図4】本発明に係る無煙ロースター100に内蔵される排煙改質器200の実施の一形態を示す斜視図である。
図5】排煙改質器200の実施の一形態を示す正面図である。
図6図5中A-A線断面図である。
図7図6中S部を示す部分拡大図である。
図8図6中S部の分解図である。
図9】オイルミストの改質状況を示す概念図である。
図10】従来の無煙ロースターの一例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る無煙ロースター100の実施の一形態を示したものである。図示するようにこの無煙ロースター100は、テーブルを構成する天板110と、この天板110を床面F上に支持する箱状のロースター本体120と、この天板110の略中央部を凹ませて設けられたコンロ収容部130と、この無煙ロースター100全体を制御するコントロールユニット140から主に構成されている。
【0022】
コンロ収容部130には、焼肉調理用のガスコンロ131が収容されており、その底部は、ロースター本体120内に設けられた排煙通路150と連通している。このガスコンロ131にはガス管132が接続されており、都市ガスやプロパンガスなどの燃料ガスが供給される。また、このガスコンロ131上には通常焼き網や鍋置き(図示せず)などが取り付けられる。このガスコンロ131には本体コックバルブ133が設けられており、手動によって着火および消火ならびにガスの供給量を調整できると共に、コントロールユニット140によって適宜制御されている。
【0023】
コントロールユニット140は、図2に示すように主に電源回路141とUVコントローラー142とからなっており、各種センサーから入力される信号に基づいて各種デバイスを制御する。すなわち、このロースター本体120に備え付けられる主なセンサーとしては、図1に示すようにロースター本体120の排煙通路150内に設けられる熱電対センサー121と、ガスコンロ131の近傍に設けられるUVセンサー134とからなっている。
【0024】
この熱電対センサー121としては特に限定されないが、例えば電気抵抗が小さく熱起電力が安定していて低温での精密測定に優れたT型熱電対を用いれば、200℃以下の温度情報が電気信号(熱起電力)として高精度で検出が可能となる。そして、検出された電気信号はデジタル温度調整器122に入力され、その計測温度が予め設定した所定温度、例えば70℃に達したならば、電源回路141の内部リレーが作動してガス管132の電磁弁143と警報ブザー144を制御する。
【0025】
UVセンサー134は、図2に示すように紫外線を検出するUV受光部135とこれを制御するUV基板136とからなっており、ガスコンロ131の燃焼炎から発生する紫外線を常時検出し、検出中は常時UVコントローラー142にパルス出力する。そして、UVコントローラー142は、このUVセンサー134からのパルスを常時監視し、それが所定時間ないときには、立ち消えが発生したと判断して電源回路141を介して電磁弁143と警報ブザー144を制御する。
【0026】
本体コックバルブ133は、従来と同様に図示しないツマミ式のハンドルと点火部とスイッチとから構成されており、例えば店員などがハンドルを押しながら左に回すと回し切った位置でパッキンシャフトが押されてガス管132の電磁弁143が開いてガスが流れると同時に点火スパークが発生してガスコンロ131が着火する。また、着火と同時に電源スイッチもオンとなって前述したコントロールユニット140や各種デバイスが起動すると共に運転ランプ145が点灯するようになっている。
【0027】
このように本発明に係る無煙ロースター100は、従来のSiセンサーに代えてUVセンサー134を用い、そのガスコンロ131の燃焼炎から発生する紫外線を常時検出するようにしている。従って、ガスコンロ131で立ち消えが発生すると、このUVセンサー134によって紫外線が検出されなくなってパルス出力されなくなるため、コントロールユニット140は直ちに電磁弁143への電源をオフにしてパッキンシャフトを戻してこれを閉じると共に、警報ブザー144を作動する。これによって、ガス管132からガスコンロ131へのガスの供給が直ちに停止されると共に、周囲に警報を発することができる。
【0028】
また、ロースター本体120の温度を計測する温度センサーとして熱電対センサー121を用いたことからロースター本体120の温度を常時正確に検出することができる。従って、ロースター本体120の排煙通路150を流れる排煙の温度が上昇して所定温度、例えば70℃を超えたときにはコントロールユニット140によって直ちに警報を発したり、また、ガスコンロ131へのガスの供給を停止することもできる。
【0029】
そして、これらのUVセンサー134や熱電対センサー121は検出精度が高いだけでなく、耐久性や信頼性も高いため、従来のSiセンサーやバイメタルなどに比べてそれらのメンテナンスや点検作業を大幅に軽減できる。すなわち、UVセンサー134は鍋やガスの燃焼炎とは非接触状態でその燃焼炎の有無を検出できるため、劣化や誤作動が少なく、高精度の検出性能を長期に亘って維持できる。
【0030】
また、温度センサーとしては安価なバイメタルなどを用いてもよいが、熱電対センサーを用いれば、優れた応答性と耐久性が得られると共に、温度情報が電気信号(熱起電力)として検出されるので情報処理・解析がシンプルになる。そして、これらUVセンサー134や熱電対センサー121で異常が検知されてガスコンロ131へのガスの供給が直ちに停止されたときは、それを警報で知った店員や管理人などが立ち消えや温度上昇の原因を排除するなどの適切な対応を採った後、再び本体コックバルブ133を操作することで再稼働することができる。これによってヒューズダンパー160が作動する前に、適切な対応が可能となるため、機器の信頼性がより向上する。
【0031】
なお、この本体コックバルブ133にはイグナイター用リミットスイッチがあり、ハンドルを回して再点火した際に点火スパークがパルス出力することでコントロールユニット140をリセットすることができる。また、立ち消えの主な原因は鍋からの液体の吹きこぼれであることから、再稼働時には吹きこぼれが起きないようにガスの火力を弱めることで再発を防止できる。また、ロースター本体120の温度上昇もガスの火力が強すぎたり、焼肉の油分が燃焼することが主な原因であることから、警報があった後は、その本体温度が上昇しないようにガスの火力を弱めたり、稼働時間を短縮するなどで再発を防止できる。
【0032】
一方、このロースター本体120内の排煙通路150は、図1に示すように側面から見て複数箇所で屈曲するように上下方向にコ字形に形成された箱形となっており、その下流側は、床面F下に設置された排気ダクト170と連通している。そして、この排煙通路150の下流側であって排気ダクト170の近傍には、その排煙通路150を流れる排煙中に含まれるオイルミストを改質するための排煙改質器200が収納されている。
【0033】
この排気ダクト170には、図3に示すように電気集塵機300と、送風機400と、消臭器500とが順に繋げるように取り付けられており、この送風機400を駆動することで、図1に示すようにガスコンロ131で発生した排煙が店内の空気と共にコンロ収容部130に吸い込まれ、これを通過してその底部から排煙通路150側に流れた後、これを通過して排気ダクト170側に流れるようになっている。
【0034】
電気集塵機300は、この排煙中に含まれる煤塵などの各種ダストの微粒子に電荷を与え、集塵極に引き寄せることで捕集するように機能する。送風機400は、前記のように店内や厨房で発生した煙をその室内空気と共に排気ダクト170内に吸引して外に放出するものであり、例えばモーターで駆動するシロッコファンなどから構成されている。消臭器500は、排煙中の臭い成分を吸着または分解して消臭するものであり、例えば多孔質板に活性炭や空気触媒などを担持させた脱臭フィルターを多層に積層して構成されている。
【0035】
従って、図1および図3に示すようにこの無煙ロースター100のガスコンロ131でで発生した燃焼煙は店内に拡散することなく、図中矢印に示すように排煙として排煙通路150へ吸引されるように流れ、その排煙改質器200を通過することで含まれているオイルミストが改質された後、排気ダクト170に流れ込み、電気集塵機300を通過することで煤塵などの各種ダストの微粒子が除去されて無色・透明の排ガスに清浄化される。そして、この電気集塵機300を出た排ガスは、チャンバー410、送風機400を順に通過して消臭器500に送られ、ここで臭い成分が除去または分解された後、無色・無臭のガスとなって店外(大気中)に放出されることになる。
【0036】
図4乃至図8は、この排煙通路150内に収容される排煙改質器200の構造を示したものである。この排煙改質器200は、この排煙通路150内を横断するように設けられており、図4および図5に示すように筒状のフレーム210と、このフレーム210内を横断するように位置する風車状の回転部材220とから構成されている。このフレーム210は、両端が開口しており、その一方が排煙通路150の上流側に位置する排煙入口211、他方が排煙通路150の上流側に位置する排煙出口212となっている。
【0037】
そして、この排煙入口211の周縁には環状のフランジ213が設けられており、図6に示すようにこのフランジ213が排煙通路150の区画壁151に形成された円形の開口部152に取り付けられている。従って、排煙通路150を通過する排煙のすべてがこの開口部152から排煙改質器200に流れ、これを通過するようになっている。
【0038】
一方、回転部材220は図6に示すように、モーター221と、このモーター221の回転軸222に設けられたハブ223と、このハブ223から放射状に伸びる複数のロッドRから構成されている。そして、この回転部材220は、さらに図7に示すようにハブ223の軸方向前端(排煙入口211側)に設けられた第1ロッド群R1と、このハブ223の軸方向後端(排煙出口212側)に設けられた第2ロッド群R2を有している。
【0039】
このロッド群R1、R2を構成する各ロッドRは、例えばステンレススチールのような高強度・高耐食性の金属棒(丸棒)から構成されており、そのサイズは例えば直径1~1.5mm、長さ100~200mm程度になっている。そして、各ロッド群R1ごとに約100本づつほぼ同角度で合計約200本、ハブ223にそれぞれ放射状に取り付けられている。また、図示するようにこれら各ロッドRの表面には、螺旋状の溝gがそれぞれ形成されている。
【0040】
図8は、このハブ223を分解した拡大断面図である。このハブ223は、モーター221の回転軸222が連結される円板状のハブ本体12aと、そのハブ本体12aの両面にそれぞれボルトBで取り付けられる一対の固定板12b、12bとから構成されており、ハブ本体12aの両面縁部に沿って形成された複数の取付溝12cにそれぞれロッドRの根元部分を嵌め込んでから各固定板12b、12bを取り付けることで各ロッドRをハブ本体12aを中心として放射状に取り付けて固定できるようになっている。なお、このロッドRの根元部分はL字状に屈曲しており、取付溝12cの穴内にその先端を挿入するように嵌め込むことでひっぱり力や遠心力が加わっても各ロッドRがハブ本体12aから抜け落ちたりしないようになっている。
【0041】
このような構成をした排煙改質器200は、霧状の油分(オイルミスト)を含んだ排煙を排気ダクト170に流す際に、その回転部材220を高速で回転させることでその機能を発揮する。すなわち、回転部材220を高速で回転させると、その複数のロッドRが排煙中のオイルミストと激しく衝突することで図9に示すようにこれがさらに細かく分解されてその粒子径がミスト状からガス状に改質される。
【0042】
焼肉調理の際に発生する排煙中のオイルミストの粒子径は、その発生源などによってまちまちであるが、一般におおよそ0.1~10μmのものが殆どである。このうち、特に粒子径が4μm以上の大きいものは慣性力や重力の影響を受けやすいため、その流路形状を複雑にすることで排ガスと共に流れる際にその内壁などに衝突して付着・分離することが知られている。この現象を利用したのが従来の邪魔板方式や反転バッフル方式を用いた油分離器である。
【0043】
このような現象に鑑みて本発明の無煙ロースター100は、排煙通路150を複数箇所で屈折するようなコ字形に形成することで粒子径が大きいオイルミストは、排煙通路150の上流側で予め捕捉し、捕捉しきれない残りの粒子径の小さいオイルミストは、排煙通路150の下流端側に設けた排煙改質器200によって図9に示すように多数のロッドRを有する風車状の回転部材220を高速回転させることでさらにそのオイルミストの粒子径を0.3μm以下に細かく分解するようにしたものである。
【0044】
これによって粒子径の小さいオイルミストが、さらにガス状までその粒子径が小さく改質されるため、そのまま排ガスの流れに沿って流れ易くなり、その後の排気ダクト170の内壁などに付着することがなくなるかあるいはその量を大幅に減少することができる。そして、この排気ダクト170に流れたオイルミストはそのまま粉塵と化して電気集塵機300や送風機400、消臭器500などを通過して排ガスと共に大気中に放出される。
【0045】
この結果、排気ダクト170へ付着する油の量が皆無となるため、それらの清掃作業などの頻度を大幅に削減できる。なお、この風車状の回転部材220などは特に限定するものでなく、また発生するオイルミストの量などによって異なってくるが、多数の実証実験の結果、無煙ロースターで発生する排煙の場合は、約1000~2000rpmの範囲で良好な改質結果が得られた。
【0046】
また、各ロッドRの表面に螺旋状の溝gを形成したことからロッドR表面全体に亘って凹凸が形成される。この結果、ロッドRの回転(移動)方向後側に発生する特殊な空気の流れ、すなわちカルマン渦の発生によって空気抵抗が減るため、少ない駆動力でもロッドRが高速で回転する。これによって、ロッドRとオイルミストとの衝突力および接触面積が大きくなるため、オイルミストがより細かく粉砕されてガス状への改質が促進される。また、空気抵抗が減ることによって回転部材220の騒音(風切り音)も抑えることができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、回転部材220のハブ223の軸方向前後端にそれぞれ第1ロッド群R1と、第2ロッド群R2を設け、ガスの流れ方向前後2回に亘って多段にオイルミストを粉砕するようにしているが、このロッド群をさらに増やし、3回以上に亘ってオイルミストを粉砕するようにすれば、より顕著な改質効果が得られる。また、第1ロッド群R1と第2ロッド群R2の各ロッドRを排煙の流れ方向にオフセットさせることでより効率よく改質することができる。
【符号の説明】
【0048】
100…無煙ロースター
110…天板
120…ロースター本体
121…熱電対センサー
122…デジタル温度調整器
130…コンロ収容部
131…ガスコンロ
132…ガス管
133…本体コックバルブ
134…UVセンサー
140…コントロールユニット
141…電源回路
142…UVコントローラー
143…電磁弁
144…警報ブザー
145…運転ランプ
150…排煙通路
160…ヒューズダンパー
161…グリスフィルター
170…排気ダクト
200…排煙改質器
300…電気集塵機
400…送風機
500…消臭器
F…床面
R…ロッド
g…溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10