(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060199
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240424BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B41J2/165 207
B41J2/165 501
B41J2/01 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167406
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】井藤 寛之
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA27
2C056EB40
2C056EC41
2C056EC54
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】走査方向のうちいずれか一方向にキャリッジが移動するときに1つの液体吐出ヘッドが備える各ノズルからフラッシングを行うと、記録実行時のスループットが低下する虞がある。
【解決手段】液体吐出装置10は、第2ノズル群Ng2および第2ノズル群Ng2の+X方向側に位置する第1ノズル群Ng1を構成する複数のノズル44からインクを吐出することで、記録領域RAにおいて記録を行う液体吐出ヘッド41と、液体吐出ヘッド41を搭載するキャリッジ43と、X軸方向において記録領域RAの外に配置され、ノズル44からのフラッシングを受ける受容部108と、制御部90と、を備え、制御部90は、キャリッジ43が-X方向に移動しているときに、第1ノズル群Ng1から受容部108にフラッシングを実行させ、キャリッジ43が+X方向に移動しているときに、第2ノズル群Ng2から受容部108にフラッシングを実行させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録領域において媒体に複数のノズルから液体を吐出して記録を行う液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを搭載した状態で走査方向に往復移動可能なキャリッジと、
前記ノズルから前記記録とは関係のないフラッシングとして吐出された液体を受けることが可能な受容部であって、前記走査方向において前記記録領域の外に設けられる前記受容部と、
前記液体吐出ヘッドおよび前記キャリッジを制御可能な制御部と、
を備え、
前記複数のノズルは、前記走査方向において隣り合う第1ノズル群および第2ノズル群を構成し、前記キャリッジが前記走査方向における一方側から他方側に向かうときに、前記第1ノズル群は前記第2ノズル群に対して前記一方側に位置し、
前記制御部は、
前記キャリッジが前記走査方向における前記一方側から前記他方側に向かって移動しているときに、前記第1ノズル群から前記受容部に向かって前記フラッシングを実行させ、
前記キャリッジが前記走査方向における前記他方側から前記一方側に向かって移動しているときに、前記第2ノズル群から前記受容部に向かって前記フラッシングを実行させる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記受容部は、前記記録領域に対して前記一方側に配置され、
前記走査方向における前記受容部の前記一方側の端と前記記録領域との間の距離は、前記複数のノズルのうち前記走査方向における両端に位置する前記ノズルどうしの前記走査方向における距離よりも長い、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記受容部は、前記走査方向における幅が前記第1ノズル群の前記走査方向における幅および前記第2ノズル群の前記走査方向における幅よりも短く、
前記制御部は、前記キャリッジを移動させながら、前記受容部と対向する位置にある前記ノズルから前記フラッシングを実行させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1ノズル群および前記第2ノズル群のうち前記フラッシングを実行させたノズル群による前記記録を開始する前に、前記ノズル群の吐出不良検知を実行する、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記受容部を第1受容部とした場合に、前記記録領域に対して前記他方側に配置される第2受容部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1ノズル群から前記第1受容部に向かって前記フラッシングを実行させ、
前記第2ノズル群から前記第2受容部に向かって前記フラッシングを実行させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記走査方向における前記第2受容部の前記他方側の端と前記記録領域との間の距離は、前記複数のノズルのうち前記走査方向における両端に位置する前記ノズルどうしの前記走査方向における距離よりも長い、
ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第2受容部は、前記走査方向における幅が前記第1ノズル群の前記走査方向における幅および前記第2ノズル群の前記走査方向における幅よりも短く、
前記制御部は、前記キャリッジを移動させながら、前記第2受容部と対向する位置にある前記ノズルから前記フラッシングを実行させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のノズルにより形成されるノズル列を走査方向に間隔を置いて複数有する記録ヘッドと、記録ヘッドを搭載した状態で走査方向に往復移動可能なキャリッジと、記録制御装置とを備える記録装置が開示されている。記録制御装置は、記録ヘッドを被記録材に対して走査方向に移動させながらノズルから被記録材の記録面にインクを噴射することで記録を行う制御を実行する。また、記録装置は、走査方向において、被記録材への記録が行われる記録領域の外に配置されるキャップを備える。記録装置は液体吐出装置の一例である。また、ノズル列はノズル群の一例である。また、記録制御装置は制御部の一例である。記録制御装置は、キャップに対して、走査方向のうちいずれか一方向にキャリッジが移動するときに各ノズル列の各ノズルからフラッシングを行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の記録装置では、走査方向のうちいずれか一方向にキャリッジが移動するときに、1つの記録ヘッドが備える各ノズル列の各ノズルからフラッシングを行う。このため、キャリッジの移動量が大きくなり記録実行時のスループットが低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体吐出装置は、記録領域において媒体に複数のノズルから液体を吐出して記録を行う液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを搭載した状態で走査方向に往復移動可能なキャリッジと、前記ノズルから前記記録とは関係のないフラッシングとして吐出された液体を受けることが可能な受容部であって、前記走査方向において前記記録領域の外に設けられる前記受容部と、前記液体吐出ヘッドおよび前記キャリッジを制御可能な制御部と、を備え、前記複数のノズルは、前記走査方向において隣り合う第1ノズル群および第2ノズル群を構成し、前記キャリッジが前記走査方向における一方側から他方側に向かうときに、前記第1ノズル群は前記第2ノズル群に対して前記一方側に位置し、前記制御部は、前記キャリッジが前記走査方向における前記一方側から前記他方側に向かって移動しているときに、前記第1ノズル群から前記受容部に向かって前記フラッシングを実行させ、前記キャリッジが前記走査方向における前記他方側から前記一方側に向かって移動しているときに、前記第2ノズル群から前記受容部に向かって前記フラッシングを実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1に係る液体吐出装置の概略構成を示す斜視図。
【
図4】液体吐出装置が備えるメンテナンス部を示す模式平面図。
【
図5】キャッピングされた状態の液体吐出ヘッドを示す模式断面図。
【
図6】液体吐出ヘッドの振動板の残留振動に基づく信号を示すグラフ。
【
図7】記録中に行われるフラッシングおよび吐出異常検査において制御部が実行する処理の流れを示すフローチャート。
【
図8】キャリッジが走査方向に移動する様子を示す模式平面図。
【
図9】キャリッジが走査方向に移動する様子を示す模式平面図。
【
図10】キャリッジが走査方向に移動する様子を示す模式平面図。
【
図11】キャリッジが走査方向に移動する様子を示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示を実施形態に基づいて説明する。実施形態に係る液体吐出装置は、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出することで文字及び画像を記録するインクジェットプリンターである。
【0008】
各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。尚、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、完全に同じであることのみを指さない。例えば、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、測定誤差を考慮して同じである場合を含むものとする。また、例えば、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合を含むものとする。また、例えば、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
【0009】
また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用し、各図の矢印が向かう向きを+方向、矢印の反対方向を-方向として説明する。
【0010】
また、Z軸方向は、鉛直方向を示し、+Z方向は鉛直上向き、-Z方向は鉛直下向きを示す。また、X軸,Y軸を含む平面をX-Y面、X軸,Z軸を含む平面をX-Z面、Y軸,Z軸を含む平面をY-Z面として説明する。また、X-Y面は水平面となる。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
【0011】
尚、各図においてZ軸方向は液体吐出装置10の高さ方向である。X軸方向は液体吐出装置10の幅方向であり、媒体Mの幅方向である。X軸方向のうち-X方向は液体吐出装置10の前面をユーザーと対面させた際にユーザーから見て左方向となり、また+X方向は同右方向となる。尚、本実施形態において液体吐出装置10の周囲を構成する側面のうち案内部14が突き出るように設けられる側面が液体吐出装置10の前面となる。
【0012】
Y軸方向は液体吐出装置10の奥行方向である。Y軸方向のうち-Y方向は液体吐出装置10の背面から液体吐出装置10の前面に向かう方向である。また+Y方向は液体吐出装置10の前面から液体吐出装置10の背面に向かう方向である。
【0013】
1.実施形態1
図1に示すように液体吐出装置10は、一対の脚部11と、脚部11上に組み付けられる筐体12と、ロール体(不図示)に巻き重ねた媒体Mを筐体12内に向けて繰り出す繰出部13とを備える。また、液体吐出装置10は、筐体12から排出される媒体Mを案内する案内部14と、案内部14に案内される媒体Mをロール体に巻き取る巻取部15とを備える。また、液体吐出装置10は、巻取部15に巻き取られる媒体Mにテンションを付与するテンション付与機構16と、ユーザーによって操作される操作部17とを備える。
【0014】
また、液体吐出装置10は、後述する記録部40が有する液体吐出ヘッド41に液体収容体150に収容されるインクを供給する液体供給装置50と、制御部90と、を備える。制御部90は、記録部40、および搬送部30等の液体吐出装置10における各種構成部材の駆動や動作を制御する。
【0015】
図1、
図2に示すように、液体供給装置50は、装着部53と、液体供給流路51と、送液部52と、圧力調整部54とを備える。
【0016】
装着部53は、装着される液体収容体150を保持する。液体収容体150は、液体吐出ヘッド41に供給されるインクを貯留することが可能な収容容器である。液体収容体150は、収容容器を交換することでインクを補給するカートリッジであってもよいし、インクを補充可能なタンクタイプとしてもよい。尚、液体収容体150をカートリッジタイプとする場合、装着部53は、液体収容体150を着脱可能に保持する。また、液体収容体150を補充可能なタンクタイプとする場合、装着部53は、液体収容体150を着脱不能に保持する。
【0017】
図2に示すように、液体供給流路51は、装着部53に装着される液体収容体150から液体吐出ヘッド41に向けてインクを供給可能な態様で、装着部53と液体吐出ヘッド41とに接続される。液体供給流路51には、送液部52が設けられる。送液部52は、液体収容体150に収容されるインクを液体吐出ヘッド41に向けて送る。送液部52としては、例えば、ダイヤフラムポンプ、ロータリーポンプ等が採用できる。
【0018】
圧力調整部54は、液体供給流路51を介して液体吐出ヘッド41に供給されるインクの圧力を調整する。圧力調整部54は、液体供給流路51において、送液部52と液体吐出ヘッド41との間となる位置に配置される。本実施形態の圧力調整部54は、圧力調整部54より液体吐出ヘッド41側の圧力が所定の負圧、例えばゲージ圧で-1kPaになると開弁状態になる所謂減圧弁である。
【0019】
また、
図2、
図3に示すように、液体吐出装置10は、媒体Mを支持する支持台18と、媒体Mを搬送する搬送部30と、媒体Mに記録を行う記録部40と、記録部40のメンテナンスを行うメンテナンス部100とを備える。尚、媒体Mは、前後方向に沿った搬送方向に搬送される。
【0020】
支持台18は、媒体Mの搬送方向と直交する媒体Mの幅方向に延在している。また、
図2に示すように、搬送部30は、搬送モーター(不図示)を駆動することで、搬送ローラー対31,32に挟持された媒体Mを支持台18の表面に沿って搬送方向に搬送する。搬送モーターは、例えば、X軸方向における支持台18の両側に配置される。
【0021】
記録部40は、インクを吐出可能な液体吐出ヘッド41と、液体吐出ヘッド41を搭載した状態でX軸方向に往復移動可能なキャリッジ43と、を含む。液体吐出ヘッド41は、ノズル面44aに開口する複数のノズル44を有する。キャリッジ43は、X軸方向に沿って延びるように設けられるガイド軸42に案内される。キャリッジ43は、液体吐出ヘッド41、および圧力調整部54を搭載した状態で、キャリッジモーター(不図示)の駆動に伴いX軸方向に移動する。X軸方向は、走査方向の一例である。
【0022】
記録部40は、記録領域RAの+X方向側の外となる位置と記録領域RAの-X方向側の外となる位置との間をX軸方向に往復移動する。そして、記録部40は、X軸方向に往復移動しながら、記録領域RAにおいて液体吐出ヘッド41が有する複数のノズル44から媒体Mにインクを吐出することで記録する。記録領域RAは、支持台18に支持される媒体Mに対して液体吐出ヘッド41のノズル44からインクを吐出して着弾させる領域である。本実施形態では、記録領域RAのX軸方向における寸法は、媒体Mの幅寸法であるX軸方向における寸法と同じである。このため、記録領域RAのX軸方向における寸法は、使用する媒体Mの幅寸法に対応して変化する。
【0023】
記録部40は、記録領域RAの+X方向側の外となる位置から-X方向に移動する。そして、記録部40は、-X方向に移動しながら記録領域RAにおいてノズル44からインクを吐出することで、媒体Mに記録する。そして、記録部40は、記録領域RAの-X方向側の外となる位置まで-X方向に移動する。+X方向側は、X軸方向における一方側の一例である。また、X軸方向において-X方向に移動するキャリッジ43の移動方向を往路方向FDと呼ぶことがある。
【0024】
そして、記録部40は、記録領域RAの-X方向側の外となる位置から+X方向に移動する。そして、記録部40は、+X方向に移動しながら記録領域RAにおいてノズル44からインクを吐出することで、媒体Mに記録する。そして、記録部40は、記録領域RAの+X方向側の外となる位置まで+X方向に移動する。-X方向側は、X軸方向における他方側の一例である。また、X軸方向において+X方向に移動するキャリッジ43の移動方向を復路方向RDと呼ぶことがある。
【0025】
そして、記録部40は、記録領域RAの+X方向側の外となる位置から記録領域RAの-X方向側の外となる位置に向かって-X方向に移動する。そして、記録部40は、記録領域RAにおいてノズル44からインクを吐出することで、搬送部30によって搬送方向に所定量搬送された媒体Mに記録する。液体吐出装置10は、記録部40による記録領域RAでのノズル44からのインクの吐出と、搬送部30による媒体Mの搬送方向への搬送とを繰り返すことで、媒体Mに記録する。
【0026】
図3、
図4に示すように、液体吐出ヘッド41の複数のノズル44は、ノズル群Ngを構成する。ノズル群Ngでは、ノズル44の開口が一方向に一定の間隔で多数並ぶ。複数のノズル44は、複数のノズル列Naを構成する。本実施形態では、ノズル44の開口は、Y軸方向に間隔を置いて並び、ノズル列A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,Lを構成する。本実施形態では、ノズル列A,B,C,D,E,Fを第2ノズル群Ng2という。また、本実施形態では、ノズル列G,H,I,J,K,Lを第1ノズル群Ng1という。換言すると、ノズル群Ngは、X軸方向において隣り合う第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2により構成される。また、第1ノズル群Ng1は第2ノズル群Ng2に対して+X方向側に位置する。
【0027】
ノズル列Aからノズル列Lは、2列ずつX軸方向に接近して並ぶ。1つのノズル列Naを構成するノズル44は、同じ種類のインクを吐出する。1つのノズル列Naを構成するノズル44のうち、Y軸方向における+Y方向側に位置するノズル44とY軸方向における-Y方向側に位置するノズル44とは、X軸方向に位置をずらして配置される。本実施形態のノズル群Ngにおいて、一度のX軸方向へのキャリッジ43の移動によって媒体Mに記録可能なY軸方向の記録幅はNcとなる。
【0028】
また、複数のノズル44のうち-X方向側の端に配置されるノズル44は、-Y方向側に位置するノズル列Aを構成するノズル44である。また、複数のノズル44のうち+X方向側の端に配置されるノズル44は、+Y方向側に位置するノズル列Lを構成するノズル44である。よって、ノズル群NgのX軸方向における幅寸法は、複数のノズル44のうちX軸方向における両端に位置する上述のノズル44どうしのX軸方向における距離D1である。
【0029】
図5に示すように、液体吐出ヘッド41は、流路形成部材60と、振動板61と、流路形成部材62と、ノズルプレート63と、を備える。また、液体吐出ヘッド41には、流路形成部材60および振動板61によって共通液室64および収容室65が形成され、振動板61、流路形成部材62およびノズルプレート63によって個別液室66が形成される。さらに、液体吐出ヘッド41において、流路形成部材60には供給孔60aが形成され、振動板61には連通孔61aが形成され、ノズルプレート63には上述したノズル44が形成される。
【0030】
供給孔60aは、液体供給流路51によって液体収容体150と接続される。このため、共通液室64には、送液部52、および圧力調整部54によって、所定の負圧に調整されたインクが供給される。
【0031】
共通液室64は、複数の連通孔61aを介して、複数の個別液室66に連通する。このため、複数の個別液室66には、共通液室64から複数の連通孔61aを介して、インクが供給される。個別液室66は、振動板61を介して収容室65と区画される。収容室65には、振動板61を振動させる圧電素子等のアクチュエーター67が配設される。よって、アクチュエーター67は、複数のノズル44に対応して、複数設けられる。アクチュエーター67は、入力される駆動信号に基づいて伸長したり収縮したりすることで、個別液室66の容積が変化するように振動板61を振動させる。
【0032】
そして、液体吐出ヘッド41において、アクチュエーター67の駆動により、個別液室66の容積が増大されると共通液室64から個別液室66にインクが供給される。また、アクチュエーター67の駆動により、個別液室66の容積が縮小されると個別液室66内のインクがノズル44からインク滴として吐出される。尚、アクチュエーター67が圧電素子の場合、圧電素子への電圧の印加を停止することがアクチュエーター67の駆動に対応する。こうして、記録部40は、媒体Mに対して液体吐出ヘッド41のノズル44からインク滴を吐出することで、媒体Mに文字や画像を形成する記録を実行する。
【0033】
図3、
図4に示すように、メンテナンス部100は、X軸方向において、記録領域RAに対して+X方向側となる位置に設けられる。メンテナンス部100は、メンテナンス動作としての吸引クリーニング動作を行う吸引キャップ部101と、ワイピング動作を行うワイピング部103と、を備える。また、メンテナンス部100は、フラッシングにより生じた廃液を受容するフラッシング受け部104と、キャッピングを行う待機キャップ部105と、駆動源106と、を備える。
【0034】
尚、フラッシングとは、ノズル44の目詰まりを予防または解消する目的で、アクチュエーター67の駆動により液体吐出ヘッド41のノズル44から記録とは無関係のインク滴を吐出するメンテナンス動作のことをいう。駆動源106は、例えば、メンテナンス部100の各構成部材を駆動させるための1つまたは複数のモーターである。
【0035】
吸引キャップ部101および待機キャップ部105は、液体吐出ヘッド41に対して相対移動可能に構成される。そして、吸引キャップ部101および待機キャップ部105は、液体吐出ヘッド41に近づく方向に相対移動したときに、ノズル44が開口する閉空間を形成するキャッピングを行う。待機キャップ部105は、キャッピングを行うことによってノズル44の乾燥を抑制する。
【0036】
ワイピング部103は、吸引キャップ部101の+X方向側に配置される。ワイピング部103は、円弧状のワイパー103aを2個有する。そして、2個のワイパー103aが
図4の矢印方向に退避位置から移動することにより、ワイパー103a1個につき2つのノズル列Na、例えばノズル列K,Lを払拭することができる。すなわちワイピング部103の2個のワイパー103aにより4つのノズル列Naを払拭することができる。
【0037】
待機キャップ部105は、フラッシング受け部104の+X方向側に配置される。液体吐出装置10が記録を行わないとき、液体吐出ヘッド41は待機キャップ部105と対応する位置に移動して、待機キャップ部105にキャッピングされた状態で待機する。そのため、X軸方向において待機キャップ部105が配置される位置を液体吐出ヘッド41のホームポジションという。
【0038】
図5に示すように、昇降機構101aにより吸引キャップ部101を上昇させてキャッピングを行う。そして、吸引キャップ部101がキャッピングをした状態で吸引ポンプ102を駆動することにより、吸引キャップ部101が液体吐出ヘッド41との間に囲み形成する閉空間が負圧となる。そして、その負圧によってノズル44からインクが吸引排出される吸引クリーニングが実行される。吸引クリーニングによってノズル44から排出されたインクは、廃液として不図示の廃液回収体に収容される。
【0039】
メンテナンス部100は、ノズル44に対する吸引により液体吐出ヘッド41から排出されたインクを廃液として収集するヘッド吸引流路107を有する。ヘッド吸引流路107は、例えば吸引キャップ部101に連通する弾性変形可能なチューブである。そして、吸引ポンプ102は、例えばチューブであるヘッド吸引流路107の途中に設けられるチューブポンプである。
【0040】
図4に示すように、メンテナンス部100は、二色のインクに対応する4つのノズル列Na毎に吸引クリーニングを行うように、X軸方向およびY軸方向における位置が異なる2つの吸引キャップ部101を有する。また、2つの吸引キャップ部101は、その枠状の先端が液体吐出ヘッド41に接触することにより、ノズル44が開口する閉空間を形成する。
【0041】
フラッシング受け部104は、ワイピング部103の+X方向側に配置される。フラッシング受け部104は、フラッシングのために液体吐出ヘッド41が廃液として吐出したインクを受容する有底箱状の受容部108と、受容部108の開口を覆うための蓋部材109と、を備える。受容部108は、X軸方向において、記録領域RAの外のうち記録領域RAの+X方向側に設けられる。受容部108は、二色のインクに対応する4つのノズル列Na毎に行われたフラッシングで吐出されたインクを受容することができるように、4つのノズル列Naに対応する大きさに形成される。尚、本実施形態では、受容部108のX軸方向における幅D4は、第1ノズル群Ng1のX軸方向における幅および第2ノズル群Ng2のX軸方向における幅よりも短い。
【0042】
蓋部材109は、図示しない駆動機構により、受容部108の開口を覆う閉位置と、受容部108の開口を露出させる開位置と、の間で移動する。フラッシングを行わないときには、蓋部材109が閉位置に移動することにより、受容部108において、受容した廃液の乾燥や固化を抑制する。
【0043】
また、メンテナンス部100は、受容部108に対する吸引により廃液を収集する受容部吸引流路111を有する。受容部吸引流路111は、例えばチューブポンプである吸引ポンプ102から延びる弾性変形可能なチューブである。
【0044】
尚、メンテナンス部100は、記録領域RAの-X方向側となる位置に、フラッシング受け部104と同様の構成を有するフラッシング受け部204を備えてもよい。受容部208は、X軸方向において、記録領域RAの外のうち記録領域RAの-X方向側に設けられる。また、受容部208のX軸方向における幅D5は、第1ノズル群Ng1のX軸方向における幅および第2ノズル群Ng2のX軸方向における幅よりも短い。尚、メンテナンス部100がフラッシング受け部204を備える場合、受容部108を第1受容部FR1と呼び、受容部208を第2受容部FR2と呼ぶことがある。
【0045】
また、受容部108の+X方向側の端F1と記録領域RAの+X方向側の端との間のX軸方向における距離D2が、距離D1よりも長くなる位置に、受容部108は配置される。このため、
図9に示すように、最も-X方向側にあるノズル列Aのノズル44が記録領域RAの+X方向側の端に位置するとき、最も+X方向側にあるノズル列Lのノズル44は受容部108の+X方向側の端F1より-X方向側に位置する。
【0046】
これにより、記録部40は、ノズル群Ngを構成するノズル44が記録領域RAと対向する位置にないときに、受容部108と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを行うことが可能となる。すなわち、1つの液体吐出ヘッド41が有する複数のアクチュエーター67に対するフラッシングのための駆動信号の入力と記録のための駆動信号の入力とのタイミングが重なることを回避できる。尚、記録部40は、キャリッジ43をX軸方向に移動させながら、受容部108と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを行う。
【0047】
また、本実施形態では、X軸方向における受容部108の-X方向側の端F2と記録領域RAの+X方向側の端との間の距離が距離D1よりも長くなる位置に、受容部108は配置される。このため、最も-X方向側にあるノズル列Aのノズル44が記録領域RAの+X方向側の端に位置するとき、最も+X方向側にあるノズル列Lのノズル44が受容部108の幅D4内に位置しない。
【0048】
これにより、例えば、ノズル群Ngを構成するノズル44が受容部108の-X方向側の端F2より+X方向側に有る位置から記録領域RAに向かってキャリッジ43が-X方向に移動するとする。そして、キャリッジ43が-X方向に移動しながら、受容部108と対向する位置に到達したノズル44から順にフラッシングを行うとする。これによれば、最も-X方向側のノズル列Aを構成するノズル44による記録を開始するとき、最も+X方向側のノズル列Lを構成するノズル44からのフラッシングを終了させておくことが可能となる。
【0049】
また、例えば、記録領域RAから記録領域RAの+X方向側となる受容部108に向かってキャリッジ43が+X方向に移動するとする。そして、キャリッジ43が+X方向に移動しながら、受容部108と対向する位置に到達したノズル44から順にフラッシングを行うとする。これによれば、ノズル群Ngを構成するノズル44による記録を終了してから、ノズル群Ngを構成するノズル44からのフラッシングを開始することが可能となる。
【0050】
すなわち、1つの液体吐出ヘッド41が有する複数のアクチュエーター67に対するフラッシングのための駆動信号の入力と記録のための駆動信号の入力とのタイミングが重なることを回避できる。
【0051】
また、
図3に示すように、X軸方向における受容部208の-X方向側の端F3と記録領域RAの-X方向側の端との間の距離D3が、距離D1よりも長くなる位置に、フラッシング受け部204の受容部208は配置される。このため、
図11に示すように、最も+X方向側にあるノズル列Lのノズル44が記録領域RAの-X方向側の端に位置するとき、最も-X方向側にあるノズル列Aのノズル44は受容部208の-X方向側の端F3より+X方向側に位置する。
【0052】
これにより、記録部40は、ノズル群Ngを構成するノズル44が記録領域RAと対向する位置にないときに、受容部208と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを行うことが可能となる。すなわち、1つの液体吐出ヘッド41が有する複数のアクチュエーター67に対するフラッシングのための駆動信号の入力と記録のための駆動信号の入力とのタイミングが重なることを回避できる。尚、記録部40は、キャリッジ43をX軸方向に移動させながら、受容部208と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを行う。
【0053】
また、本実施形態では、X軸方向における受容部208の+X方向側の端F4と記録領域RAの-X方向側の端との間の距離が距離D1よりも長くなる位置に、受容部208は配置される。このため、最も+X方向側にあるノズル列Lのノズル44が記録領域RAの-X方向側の端に位置するとき、最も-X方向側にあるノズル列Aのノズル44が受容部208の幅D5内に位置しない。
【0054】
これにより、例えば、ノズル群Ngを構成するノズル44が受容部208の+X方向側の端F4より-X方向側に有る位置から記録領域RAに向かってキャリッジ43が+X方向に移動するとする。そして、キャリッジ43が+X方向に移動しながら、受容部208と対向する位置に到達したノズル44から順にフラッシングを行うとする。これによれば、最も+X方向側のノズル列Lを構成するノズル44による記録を開始するとき、最も-X方向側のノズル列Aからのフラッシングを終了させておくことが可能となる。
【0055】
また、例えば、記録領域RAから記録領域RAの-X方向側となる受容部208に向かってキャリッジ43が-X方向に移動するとする。そして、キャリッジ43が-X方向に移動しながら、受容部208と対向する位置に到達したノズル44から順にフラッシングを行うとする。これによれば、ノズル群Ngを構成するノズル44による記録を終了してから、ノズル群Ngを構成するノズル44からのフラッシングを開始することが可能となる。
【0056】
すなわち、1つの液体吐出ヘッド41が有する複数のアクチュエーター67に対するフラッシングのための駆動信号の入力と記録のための駆動信号の入力とのタイミングが重なることを回避できる。
【0057】
制御部90は、不図示のCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等のメモリー(不図示)とを有する。メモリーは記憶部の一例である。CPUは、メモリーに記憶される各種プログラムを実行することができ、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。
【0058】
メモリーには、例えば、媒体Mを搬送するためのプログラム、媒体Mに記録するためのプログラム、記録部40に向けてインクを供給するためのプログラム、記録部40のメンテナンスを行うためのプログラム等の各種プログラムが記憶されている。また、メモリーには、キャリッジ43が往復移動するときの加減速テーブル、記録部40による媒体Mへの記録中に実行されるフラッシングの仕様、その他各種テーブル、各種カウンター値等が記憶されている。
【0059】
CPUを有する制御部90は、メモリーに格納される各種プログラムを実行することで液体吐出装置10の全体を制御する。例えば、制御部90は、搬送部30の搬送モーターを制御することで、媒体Mを搬送方向に搬送する。また、例えば、制御部90は、記録部40を制御することで、X軸方向に移動するキャリッジ43に搭載される液体吐出ヘッド41のノズル44から媒体Mにインクを吐出することで記録する。制御部90は、操作部17の表示部を制御することで、操作部17の表示部に液体吐出装置10の状態を表示する。
【0060】
また、制御部90は、液体供給装置50を制御することで、液体供給流路51を介して、液体収容体150から液体吐出ヘッド41に向けてインクを供給する。また、制御部90は、メンテナンス部100を制御することで、記録部40の液体吐出ヘッド41および液体供給流路51のいずれかのメンテナンスを行う。また、制御部90は、記録部40を制御することで、記録中にキャリッジ43がX軸方向に移動しているときに、液体吐出ヘッド41の第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2のいずれかからフラッシングを行う。
【0061】
また、制御部90は、アクチュエーター67の駆動態様に基づいて、ノズル44における吐出異常を検査する。ノズル44の吐出異常の有無を検査する吐出異常検査は、吐出不良検知の一例である。例えば、制御部90は、媒体Mへの記録中に、液体吐出ヘッド41の第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2のうちいずれかのノズル群からフラッシングを実行させる。そして、制御部90は、第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2のうちフラッシングを実行させたいずれかのノズル群による記録を開始する前に、そのノズル群の吐出異常検査を実行する。
【0062】
制御部90は、吐出異常検査を行う場合に、アクチュエーター67に対して吐出異常検査用の駆動信号を出力する。すると、個別液室66の壁部の一部を構成する振動板61が、駆動信号に応じて変位した後に、個別液室66内のインクの状態に応じて振動する。その後、制御部90は、上述の振動板61の振動、所謂残留振動に応じて、アクチュエーター67から出力される電気信号を残留振動情報として取得する。
【0063】
なお、吐出異常検査用の駆動信号とは、個別液室66の容積を変化させる駆動信号であればよい。例えば、駆動信号は、ノズル44からインクが吐出されない程度に振動板61を振動させる駆動信号でもよい。このため、吐出異常検査のためのアクチュエーター67の駆動は、駆動するアクチュエーター67に対応するノズル44がフラッシング受け部104の受容部108に対向する位置にないときに行ってもよい。
【0064】
図6には、アクチュエーター67が制御部90に出力する残留振動情報の一例を示している。
図6に示すグラフにおいて、横軸は時間Tを示し、縦軸はアクチュエーター67から出力される電気信号の電圧値Vを示している。
図6に示すように、ノズル44から正常にインクを吐出できる状態では、実線で示す基準信号Waが得られたとする。この基準信号Waに対し、例えば、個別液室66内のインクに気泡が発生して吐出異常が起きた場合には、一点鎖線で示す第1吐出不良信号Wbのように信号の周期が短くなる。一方、例えば、個別液室66内のインクが増粘して吐出異常が起きた場合には、破線で示す第2吐出不良信号Wcのように信号の周期が長くなる。
【0065】
そこで、本実施形態では、制御部90が第1吐出不良信号Wbの半周期の時間t1から第2吐出不良信号Wcの半周期の時間t2までの期間を、ノズル44からのインクの吐出状態が不良か否かを判断するための閾値時間Ttとしている。すなわち、制御部90は、取得した電気信号の半周期の時間が、閾値時間Ttの範囲内(t1<Tt<t2)であればノズル44に吐出異常が起きていないと判断する。
【0066】
一方、制御部90は、取得した電気信号の半周期の時間が、閾値時間Ttの範囲外(t1以下もしくはt2以上)であればノズル44に吐出異常が起きていると判断する。なお、閾値時間Ttは、個別液室66のサイズや形状、インクの種類によっても異なるため、液体吐出装置10毎に適切な値が設定されることが好ましい。
【0067】
こうして、本実施形態において、アクチュエーター67は、ノズル44からインクを吐出させる機能を有するとともに、ノズル44における吐出異常を検出する機能を有する。また、制御部90は、異常ノズルが発生している場合には、その異常ノズルから吐出されるべきインクを、正常ノズルから吐出するインクで補って記録を実行する補完処理を実行可能としている。
【0068】
本実施形態において、制御部90は、媒体Mへの記録中にフラッシングを実行した第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2のいずれかに対して吐出異常検査を行う。そして、制御部90は、記録中に実行した吐出異常検査において、異常ノズルが検出された場合であっても、その異常ノズルの数が許容ノズル数以下である場合には記録を継続する。一方、制御部90は、異常ノズル数が許容ノズル数よりも多い場合には、原則的に、記録を中断してメンテナンス部100によるメンテナンスを実行する。
【0069】
次に、
図7に示すフローチャートを参照して、液体吐出装置10の媒体Mへの記録中に行われるフラッシング、および吐出異常検査において制御部90が実行する処理について説明する。
【0070】
制御部90は、記録部40を制御することで、記録領域RAにおいて媒体Mに記録を行っている間に、ノズル群Ngからのフラッシングを行う。ノズル群Ngからのフラッシングは、例えば、記録が開始されてから設定される所定の時間が経過した場合に行われる。そして、例えば、その後のノズル群Ngからのフラッシングは、設定される所定の時間が経過する毎に行われる。
【0071】
本実施形態におけるノズル群Ngからのフラッシングは、第1ノズル群Ng1から受容部108に向けてのフラッシングと、第2ノズル群Ng2から受容部108に向けてのフラッシングと、に分けて行われる。第1ノズル群Ng1から受容部108に向けてのフラッシングは、キャリッジ43の-X方向への移動中に行われる。第2ノズル群Ng2から受容部108に向けてのフラッシングは、キャリッジ43の+X方向への移動中に行われる。
【0072】
尚、本実施形態では、メンテナンス部100が行うメンテナンス動作としてのフラッシングは、フラッシング受け部104の受容部108に向けて行われる。このため、本実施形態のメンテナンス部100は、フラッシング受け部204を備えなくてもよい。
【0073】
媒体Mへの記録中にフラッシングを行う場合、ステップS101において、制御部90は、キャリッジ43の移動方向は往路方向FDか否かを確認する。例えば、
図9に示すように、キャリッジ43が受容部108の-X方向側となる位置にあり、減速しながら移動領域の+X方向側の端となる位置に向けて+X方向に移動中であるとする。この場合、ステップS101はNOになる。
【0074】
ステップS101がNOの場合、制御部90は、処理をステップS105に移行する。ステップS105において、制御部90は、記録部40に、第2ノズル群Ng2から受容部108に向かってフラッシングを実行させる。尚、第2ノズル群Ng2から受容部108に向けてのフラッシングは、キャリッジ43がX軸方向における-X方向側から+X方向側に向かって+X方向に移動しているときに行われる。
【0075】
制御部90は、第2ノズル群Ng2を構成するノズル44のうち受容部108と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを実行させる。この場合、例えば、フラッシングは、ノズル列F,Eを構成するノズル44、ノズル列D,Cを構成するノズル44、ノズル列B,Aを構成するノズル44の順に実行される。また、例えば、フラッシングは、ノズル列Fを構成するノズル44、ノズル列Eを構成するノズル44、ノズル列Dを構成するノズル44、ノズル列Cを構成するノズル44、ノズル列Bを構成するノズル44、ノズル列Aを構成するノズル44の順に実行される。
【0076】
あるいは、制御部90は、キャリッジ43の+X方向への移動によって、受容部108と対向する位置に到達したノズル44から順にフラッシングを実行させる。この場合、例えば、フラッシングは、+Y方向側のノズル列Fを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Eを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Fを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Eを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Dを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Cを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Dを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Cを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Bを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Aを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Bを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Aを構成するノズル44の順に実行される。
【0077】
ステップS105を実行すると、制御部90は、処理をステップS106に移行する。ステップS106において、制御部90は、第2ノズル群Ng2の吐出異常検査を行う。制御部90は、ステップS105においてフラッシングを行った第2ノズル群Ng2による記録を開始する前に、第2ノズル群Ng2の吐出異常検査を行う。第2ノズル群Ng2の吐出異常検査は、キャリッジ43が移動領域の+X方向側の端となる位置に向かって+X方向に移動しているときに行われる。具体的には、制御部90は、第2ノズル群Ng2のアクチュエーター67に記録のための駆動信号の入力を開始する前に、第2ノズル群Ng2のアクチュエーター67に吐出異常検査を行うための駆動信号の入力を行う。尚、第2ノズル群Ng2のアクチュエーター67は、第2ノズル群Ng2を構成するノズル44に対応するアクチュエーター67を意味する。ステップS106を実行すると、制御部90は、処理をステップS107に移行する。
【0078】
ステップS107において、制御部90は、フラッシングおよび吐出異常検査は第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2において実行されたか否かを確認する。本例では、第1ノズル群Ng1からのフラッシング、および第1ノズル群Ng1の吐出異常検査が実行されていないので、ステップS107は、NOになる。このため、制御部90は、処理をステップS101に移行する。
【0079】
制御部90は、ステップS105において第2ノズル群Ng2から受容部108に向けてフラッシングを行い、ステップS106において第2ノズル群Ng2の吐出異常検査を行う。そして、引き続き減速しながら+X方向に移動するキャリッジ43は、受容部108を通過し、移動領域の+X方向側の端となる位置に到達する。
【0080】
そして、例えば、
図8に示すように、キャリッジ43が受容部108の+X方向側となる位置にあり、記録領域RAに向けて加速しながら-X方向に移動中であるとする。この場合、ステップS101はYESになる。
【0081】
ステップS101がYESの場合、制御部90は、処理をステップS102に移行する。ステップS102において、制御部90は、記録部40に、第1ノズル群Ng1から受容部108に向かってフラッシングを実行させる。尚、第1ノズル群Ng1から受容部108に向けてのフラッシングは、キャリッジ43がX軸方向における+X方向側から-X方向側に向かって-X方向に移動しているときに行われる。
【0082】
制御部90は、第1ノズル群Ng1を構成するノズル44のうち受容部108と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを実行させる。この場合、例えば、フラッシングは、ノズル列G,Hを構成するノズル44、ノズル列I,Jを構成するノズル44、ノズル列K,Lを構成するノズル44の順に実行される。また、例えば、フラッシングは、ノズル列Gを構成するノズル44、ノズル列Hを構成するノズル44、ノズル列Iを構成するノズル44、ノズル列Jを構成するノズル44、ノズル列Kを構成するノズル44、ノズル列Lを構成するノズル44の順に実行される。
【0083】
あるいは、制御部90は、キャリッジ43の-X方向への移動によって、受容部108と対向する位置に到達したノズル44から順にフラッシングを実行させる。この場合、例えば、フラッシングは、-Y方向側のノズル列Gを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Hを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Gを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Hを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Iを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Jを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Iを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Jを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Kを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Lを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Kを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Lを構成するノズル44の順に実行される。
【0084】
ステップS102を実行すると、制御部90は、処理をステップS104に移行する。ステップS104において、制御部90は、第1ノズル群Ng1の吐出異常検査を行う。制御部90は、ステップS102においてフラッシングを行った第1ノズル群Ng1による記録を開始する前に、第1ノズル群Ng1の吐出異常検査を行う。第1ノズル群Ng1の吐出異常検査は、キャリッジ43が記録領域RAに向かって-X方向に移動しているときに行われる。具体的には、制御部90は、第1ノズル群Ng1のアクチュエーター67に記録のための駆動信号の入力を開始する前に、第1ノズル群Ng1のアクチュエーター67に吐出異常検査を行うための駆動信号の入力を行う。尚、第1ノズル群Ng1のアクチュエーター67は、第1ノズル群Ng1を構成するノズル44に対応するアクチュエーター67を意味する。ステップS104を実行すると、制御部90は、処理をステップS107に移行する。
【0085】
本例では、第2ノズル群Ng2からのフラッシング、第2ノズル群Ng2の吐出異常検査、第1ノズル群Ng1からのフラッシング、および第1ノズル群Ng1の吐出異常検査が実行されているので、ステップS107は、YESになる。これにより、制御部90は、フローを終了する。
【0086】
以上述べたように、実施形態1に係る液体吐出装置10によれば、以下の効果を得ることができる。
【0087】
液体吐出装置10は、記録領域RAにおいて媒体Mに複数のノズル44からインクを吐出して記録を行う液体吐出ヘッド41を備える。さらに、液体吐出装置10は、液体吐出ヘッド41を搭載した状態でX軸方向に往復移動可能なキャリッジ43を備える。さらに、液体吐出装置10は、ノズル44から記録とは関係のないフラッシングとして吐出されたインクを受けることが可能な受容部108を備える。受容部108は、X軸方向において記録領域RAの外に設けられる。さらに、液体吐出装置10は、液体吐出ヘッド41およびキャリッジ43を制御可能な制御部90を備える。そして、複数のノズル44は、X軸方向において隣り合う第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2を構成する。また、キャリッジ43がX軸方向における+X方向側から-X方向側に向かうときに、第1ノズル群Ng1は第2ノズル群Ng2に対して+X方向側に位置する。そして、制御部90は、キャリッジ43がX軸方向における+X方向側から-X方向側に向かって移動しているときに、第1ノズル群Ng1から受容部108に向かってフラッシングを実行させる。そして、制御部90は、キャリッジ43がX軸方向における-X方向側から+X方向側に向かって移動しているときに、第2ノズル群Ng2から受容部108に向かってフラッシングを実行させる。これによれば、走査方向のうちいずれか一方向にキャリッジ43が移動するときに各ノズル列A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,Lの各ノズル44からフラッシングを行うのに比べてキャリッジ43の移動量を小さくできる。よって、これによれば、媒体Mへの記録実行時のスループット低下を抑制できる。
【0088】
受容部108は、X軸方向において記録領域RAの+X方向側に配置される。そして、X軸方向における受容部108の+X方向側の端F1と記録領域RAとの間の距離D2は、複数のノズル44のうちX軸方向における両端に位置するノズル44どうしのX軸方向における距離D1よりも長い。これによれば、ノズル44からインクを吐出可能に駆動されるアクチュエーター67に対して、フラッシングのための駆動信号の入力と記録のための駆動信号の入力とのタイミングが重なることを回避できる。
【0089】
受容部108は、X軸方向における幅D4が第1ノズル群Ng1のX軸方向における幅および第2ノズル群Ng2のX軸方向における幅よりも短い。そして、制御部90は、キャリッジ43を移動させながら、受容部108と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを実行させる。これによれば、受容部108のサイズ縮小が可能になる。よって、受容部108、および液体吐出装置10のコストダウンが可能になる。
【0090】
制御部90は、第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2のうちフラッシングを実行させたノズル群による記録を開始する前に、そのノズル群の吐出異常検査を実行する。これによれば、フラッシングを実行させたノズル群による記録の前に、そのノズル群を構成するノズル44の状態を検知することができる。
【0091】
2.実施形態2
実施形態2に係る液体吐出装置10は、媒体Mへの記録中に実行されるフラッシングが、フラッシング受け部104の受容部108、およびフラッシング受け部204の受容部208に向けて行われる。この点において、実施形態2に係る液体吐出装置10は、実施形態1に係る液体吐出装置10と異なる。実施形態2に係る液体吐出装置10が備える構成は、実施形態1に係る液体吐出装置10が備える構成と同じである。
【0092】
次に、実施形態1と同様に、
図7に示すフローチャートを参照して、液体吐出装置10の媒体Mへの記録中に行われるフラッシング、および吐出異常検査において制御部90が実行する処理について説明する。
【0093】
媒体Mへの記録中にフラッシングを行う場合、ステップS101において、制御部90は、キャリッジ43の移動方向は往路方向FDか否かを確認する。例えば、
図8に示すように、キャリッジ43が受容部108の+X方向側となる位置にあり、記録領域RAに向けて加速しながら-X方向に移動中であるとする。この場合、ステップS101はYESになる。
【0094】
ステップS101がYESの場合、制御部90は、処理をステップS102に移行する。ステップS102において、制御部90は、記録部40に、第1ノズル群Ng1から受容部108に向かってフラッシングを実行させる。尚、第1ノズル群Ng1から受容部108に向けてのフラッシングは、キャリッジ43がX軸方向における+X方向側から-X方向側に向かって-X方向に移動しているときに行われる。
【0095】
制御部90は、第1ノズル群Ng1を構成するノズル44のうち受容部108と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを実行させる。この場合、例えば、フラッシングは、ノズル列G,Hを構成するノズル44、ノズル列I,Jを構成するノズル44、ノズル列K,Lを構成するノズル44の順に実行される。また、例えば、フラッシングは、ノズル列Gを構成するノズル44、ノズル列Hを構成するノズル44、ノズル列Iを構成するノズル44、ノズル列Jを構成するノズル44、ノズル列Kを構成するノズル44、ノズル列Lを構成するノズル44の順に実行される。
【0096】
あるいは、制御部90は、キャリッジ43の-X方向への移動によって、受容部108と対向する位置に到達したノズル44から順にフラッシングを実行させる。この場合、例えば、フラッシングは、-Y方向側のノズル列Gを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Hを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Gを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Hを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Iを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Jを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Iを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Jを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Kを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Lを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Kを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Lを構成するノズル44の順に実行される。
【0097】
ステップS102を実行すると、制御部90は、処理をステップS104に移行する。ステップS104において、制御部90は、第1ノズル群Ng1の吐出異常検査を行う。制御部90は、ステップS102においてフラッシングを行った第1ノズル群Ng1による記録を開始する前に、第1ノズル群Ng1の吐出異常検査を行う。第1ノズル群Ng1の吐出異常検査は、キャリッジ43が記録領域RAに向かって-X方向に移動しているときに行われる。具体的には、制御部90は、第1ノズル群Ng1のアクチュエーター67に記録のための駆動信号の入力を開始する前に、第1ノズル群Ng1のアクチュエーター67に吐出異常検査を行うための駆動信号の入力を行う。尚、第1ノズル群Ng1のアクチュエーター67は、第1ノズル群Ng1を構成するノズル44に対応するアクチュエーター67を意味する。ステップS104を実行すると、制御部90は、処理をステップS107に移行する。
【0098】
ステップS107において、制御部90は、フラッシングおよび吐出異常検査は第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2において実行されたか否かを確認する。本例では、第2ノズル群Ng2からのフラッシング、および第2ノズル群Ng2の吐出異常検査が実行されていないので、ステップS107は、NOになる。このため、制御部90は、処理をステップS101に移行する。
【0099】
制御部90は、ステップS102において第1ノズル群Ng1から受容部108に向けてフラッシングを行い、ステップS104において第1ノズル群Ng1の吐出異常検査を行う。そして、移動領域の-X方向側の端となる位置に向けてキャリッジ43が-X方向に移動する。キャリッジ43が-X方向に移動する過程における記録領域RAにおいて、制御部90は、液体吐出ヘッド41のノズル44からインクを吐出させることで、媒体Mに記録する。そして、記録領域RA側から減速しながらキャリッジ43が-X方向に移動し、移動領域の-X方向側の端となる位置に到達する。
【0100】
そして、例えば、
図10に示すように、キャリッジ43が受容部208の-X方向側となる位置にあり、移動領域の-X方向側の端となる位置から加速しながら記録領域RAに向けて+X方向に移動中であるとする。この場合、ステップS101はNOになる。
【0101】
ステップS101がNOの場合、制御部90は、処理をステップS105に移行する。ステップS105において、制御部90は、記録部40に、第2ノズル群Ng2から受容部208に向かってフラッシングを実行させる。尚、第2ノズル群Ng2から受容部208に向けてのフラッシングは、キャリッジ43がX軸方向における-X方向側から+X方向側に向かって+X方向に移動しているときに行われる。
【0102】
制御部90は、第2ノズル群Ng2を構成するノズル44のうち受容部208と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを実行させる。この場合、例えば、フラッシングは、ノズル列F,Eを構成するノズル44、ノズル列D,Cを構成するノズル44、ノズル列B,Aを構成するノズル44の順に実行される。また、例えば、フラッシングは、ノズル列Fを構成するノズル44、ノズル列Eを構成するノズル44、ノズル列Dを構成するノズル44、ノズル列Cを構成するノズル44、ノズル列Bを構成するノズル44、ノズル列Aを構成するノズル44の順に実行される。
【0103】
あるいは、制御部90は、キャリッジ43の+X方向への移動によって、受容部208と対向する位置に到達したノズル44から順にフラッシングを実行させる。この場合、例えば、フラッシングは、+Y方向側のノズル列Fを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Eを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Fを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Eを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Dを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Cを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Dを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Cを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Bを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Aを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Bを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Aを構成するノズル44の順に実行される。
【0104】
ステップS105を実行すると、制御部90は、処理をステップS106に移行する。ステップS106において、制御部90は、第2ノズル群Ng2の吐出異常検査を行う。制御部90は、ステップS105においてフラッシングを行った第2ノズル群Ng2による記録を開始する前に、第2ノズル群Ng2の吐出異常検査を行う。第2ノズル群Ng2の吐出異常検査は、キャリッジ43が記録領域RAに向かって+X方向に移動しているときに行われる。具体的には、制御部90は、第2ノズル群Ng2のアクチュエーター67に記録のための駆動信号の入力を開始する前に、第2ノズル群Ng2のアクチュエーター67に吐出異常検査を行うための駆動信号の入力を行う。尚、第2ノズル群Ng2のアクチュエーター67は、第2ノズル群Ng2を構成するノズル44に対応するアクチュエーター67を意味する。ステップS106を実行すると、制御部90は、処理をステップS107に移行する。
【0105】
ステップS107において、制御部90は、フラッシングおよび吐出異常検査は第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2において実行されたか否かを確認する。本例では、第1ノズル群Ng1からのフラッシング、第1ノズル群Ng1の吐出異常検査、第2ノズル群Ng2からのフラッシング、および第2ノズル群Ng2の吐出異常検査が実行されているので、ステップS107は、YESになる。これにより、制御部90は、フローを終了する。
【0106】
以上述べたように、実施形態2に係る液体吐出装置10によれば、以下の効果を得ることができる。
【0107】
液体吐出装置10は、受容部108を第1受容部FR1とした場合に、X軸方向において記録領域RAの-X方向側に配置される第2受容部FR2をさらに備える。そして、制御部90は、第1ノズル群Ng1から第1受容部FR1に向かってフラッシングを実行させる。そして、制御部90は、第2ノズル群Ng2から第2受容部FR2に向かってフラッシングを実行させる。これによれば、キャリッジ43がX軸方向における-X方向側から+X方向側に向かうときの移動量を更に小さくすることが可能になるため、媒体Mへの記録実行時のスループット低下を抑制できる。
【0108】
X軸方向における第2受容部FR2の-X方向側の端F3と記録領域RAとの間の距離D3は、複数のノズル44のうちX軸方向における両端に位置するノズル44どうしのX軸方向における距離D1よりも長い。これによれば、第2受容部FR2に向けてフラッシングを実行させる場合においても、ノズル44からインクを吐出可能に駆動されるアクチュエーター67に対して、フラッシングのための駆動信号の入力と記録のための駆動信号の入力とのタイミングが重なることを回避できる。
【0109】
第2受容部FR2は、X軸方向における幅D5が第1ノズル群Ng1のX軸方向における幅および第2ノズル群Ng2のX軸方向における幅よりも短い。そして、制御部90は、キャリッジ43を移動させながら、第2受容部FR2と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを実行させる。これによれば、第2受容部FR2のサイズ縮小が可能になる。よって、第2受容部FR2、および液体吐出装置10のコストダウンが可能になる。
【0110】
3.実施形態3
実施形態3に係る液体吐出装置10は、媒体Mへの記録中に実行されるフラッシングが、フラッシング受け部104の受容部108、およびフラッシング受け部204の受容部208に向けて行われる。この点において、実施形態3に係る液体吐出装置10は、実施形態1に係る液体吐出装置10と異なる。実施形態3に係る液体吐出装置10が備える構成は、実施形態1に係る液体吐出装置10が備える構成と同じである。
【0111】
次に、実施形態1と同様に、
図7に示すフローチャートを参照して、液体吐出装置10の媒体Mへの記録中に行われるフラッシング、および吐出異常検査において制御部90が実行する処理について説明する。尚、最初のステップS101、ステップS105、ステップS106、および最初のステップS107において、本実施形態の制御部90が実行する処理は実施形態1と同じである。このため、ここでは、最初のステップS101からステップS106までの説明は省略する。
【0112】
ステップS107において、制御部90は、フラッシングおよび吐出異常検査は第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2において実行されたか否かを確認する。本例では、第1ノズル群Ng1からのフラッシング、および第1ノズル群Ng1の吐出異常検査が実行されていないので、ステップS107は、NOになる。このため、制御部90は、処理をステップS101に移行する。
【0113】
制御部90は、ステップS105において第2ノズル群Ng2から受容部108に向けてフラッシングを行い、ステップS106において第2ノズル群Ng2の吐出異常検査を行う。そして、引き続き減速しながら+X方向に移動するキャリッジ43は、受容部108を通過し、移動領域の+X方向側の端となる位置に到達する。そして、キャリッジ43は、移動領域の+X方向側の端となる位置から加速しながら-X方向に移動し、受容部108を通過する。
【0114】
キャリッジ43は、引き続き、移動領域の-X方向側の端となる位置に向けて-X方向に移動する。キャリッジ43が-X方向に移動する過程における記録領域RAにおいて、制御部90は、液体吐出ヘッド41のノズル44からインクを吐出させることで、媒体Mに記録する。そして、例えば、
図11に示すように、キャリッジ43が受容部208の+X方向側となる位置にあり、移動領域の-X方向側の端となる位置に向けて減速しながら-X方向に移動中であるとする。この場合、ステップS101はYESになる。
【0115】
ステップS101がYESの場合、制御部90は、処理をステップS102に移行する。ステップS102において、制御部90は、記録部40に、第1ノズル群Ng1から受容部208に向かってフラッシングを実行させる。尚、第1ノズル群Ng1から受容部208に向けてのフラッシングは、キャリッジ43がX軸方向における+X方向側から-X方向側に向かって-X方向に移動しているときに行われる。
【0116】
制御部90は、第1ノズル群Ng1を構成するノズル44のうち受容部208と対向する位置にあるノズル44からフラッシングを実行させる。この場合、例えば、フラッシングは、ノズル列G,Hを構成するノズル44、ノズル列I,Jを構成するノズル44、ノズル列K,Lを構成するノズル44の順に実行される。また、例えば、フラッシングは、ノズル列Gを構成するノズル44、ノズル列Hを構成するノズル44、ノズル列Iを構成するノズル44、ノズル列Jを構成するノズル44、ノズル列Kを構成するノズル44、ノズル列Lを構成するノズル44の順に実行される。
【0117】
あるいは、制御部90は、キャリッジ43の-X方向への移動によって、受容部208と対向する位置に到達したノズル44から順にフラッシングを実行させる。この場合、例えば、フラッシングは、-Y方向側のノズル列Gを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Hを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Gを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Hを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Iを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Jを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Iを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Jを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Kを構成するノズル44、-Y方向側のノズル列Lを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Kを構成するノズル44、+Y方向側のノズル列Lを構成するノズル44の順に実行される。
【0118】
ステップS102を実行すると、制御部90は、処理をステップS104に移行する。ステップS104において、制御部90は、第1ノズル群Ng1の吐出異常検査を行う。制御部90は、ステップS102においてフラッシングを行った第1ノズル群Ng1による記録を開始する前に、第1ノズル群Ng1の吐出異常検査を行う。具体的には、制御部90は、第1ノズル群Ng1のアクチュエーター67に記録のための駆動信号の入力を開始する前に、第1ノズル群Ng1のアクチュエーター67に吐出異常検査を行うための駆動信号の入力を行う。尚、第1ノズル群Ng1のアクチュエーター67は、第1ノズル群Ng1を構成するノズル44に対応するアクチュエーター67を意味する。ステップS104を実行すると、制御部90は、処理をステップS107に移行する。
【0119】
本例では、第2ノズル群Ng2からのフラッシング、第2ノズル群Ng2の吐出異常検査、第1ノズル群Ng1からのフラッシング、および第1ノズル群Ng1の吐出異常検査が実行されているので、ステップS107は、YESになる。これにより、制御部90は、フローを終了する。
【0120】
以上述べたように、実施形態3においても、制御部90は、キャリッジ43がX軸方向における+X方向側から-X方向側に向かって移動しているときに、第1ノズル群Ng1から受容部108に向かってフラッシングを実行させる。そして、制御部90は、キャリッジ43がX軸方向における-X方向側から+X方向側に向かって移動しているときに、第2ノズル群Ng2から受容部108に向かってフラッシングを実行させる。これによれば、実施形態3に係る液体吐出装置10は、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0121】
本開示の上記実施形態に係る液体吐出装置10は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
【0122】
上記実施形態において、液体吐出ヘッド41の複数のノズル44の開口は、十二のノズル列A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,Lを構成しなくてもよい。例えば、複数のノズル44の開口は、十のノズル列A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jを構成してもよいし、六つのノズル列A,B,C,D,E,Fを構成してもよい。
【0123】
上記実施形態において、第1ノズル群Ng1を構成するノズル列Naの数と第2ノズル群Ng2を構成するノズル列Naの数は同じなくてもよい。例えば、液体吐出ヘッド41の複数のノズル44の開口が、十一のノズル列A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,Kを構成するとする。このとき、六つのノズル列A,B,C,D,E,Fが第2ノズル群Ng2を構成し、五つのノズル列G,H,I,J,Kが第1ノズル群Ng1を構成してもよい。
【0124】
上記実施形態において、媒体Mへの記録中に行われるフラッシングは、記録が開始されてから設定される所定の時間が経過した場合に行わなくてもよい。また、媒体Mへの記録中に行われるフラッシングは、設定される所定の時間が経過する毎に行わなくてもよい。例えば、制御部90は、媒体Mへの記録中に行われるフラッシングを、第1ノズル群Ng1、および第2ノズル群Ng2に対して個別に実行される吐出異常検査の結果に基づいて実行してもよい。この場合、
図7に示すフローチャートにおけるステップS107はなくてもよい。
【0125】
上記実施形態1において、制御部90は、キャリッジ43の+X方向への移動によって、第2ノズル群Ng2において受容部108と対向する位置に到達したノズル44から順にフラッシングを実行させなくてもよい。この場合、X軸方向における受容部108の-X方向側の端F2と記録領域RAの+X方向側の端との間の距離は、距離D1よりも短くてもよい。
【0126】
上記実施形態2において、X軸方向における受容部108の-X方向側の端F2と記録領域RAの+X方向側の端との間の距離は、距離D1よりも短くてもよい。また、X軸方向における受容部208の+X方向側の端F4と記録領域RAの-X方向側の端との間の距離は、距離D1よりも短くてもよい。
【0127】
上記実施形態3において、距離D2は、第2ノズル群Ng2のX軸方向における幅より長ければ、距離D1より短くてもよい。また、距離D3は、第1ノズル群Ng1のX軸方向における幅より長ければ、距離D1より短くてもよい。これによっても、ノズル44からインクを吐出可能に駆動されるアクチュエーター67に対して、フラッシングのための駆動信号の入力と記録のための駆動信号の入力とのタイミングが重なることを回避できる。また、距離D2および距離D3が距離D1より長い場合と比較して、キャリッジ43の移動量を小さくできる。よって、距離D2および距離D3が距離D1より長い場合と比較して、媒体Mへの記録実行時のスループット低下を抑制できる。
【0128】
上記実施形態において、制御部90は、第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2のうちフラッシングを実行させたノズル群による記録を開始する前に、そのノズル群の吐出異常検査を実行しなくてもよい。例えば、制御部90は、第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2のうちフラッシングを実行させるノズル群に対して、フラッシングを実行させる前に吐出異常検査を実行してもよい。また、例えば、制御部90は、第1ノズル群Ng1および第2ノズル群Ng2のうちフラッシングを実行させたノズル群による記録中に、そのノズル群の吐出異常検査を実行してもよい。
【0129】
上記実施形態において、吐出異常検査用の駆動信号は、ノズル44からインクが吐出される程度に振動板61を振動させる駆動信号でもよい。例えば、制御部90は、フラッシングを実行させるためにアクチュエーター67に入力した駆動信号により発生する振動板61の残留振動を利用して、振動板61に対応するノズル44の吐出異常検査を実行してもよい。
【0130】
上記実施形態において、制御部90は、アクチュエーター67の駆動により発生する振動板61の残留振動を利用して吐出異常検査を実行しなくてもよい。例えば、X軸方向において、記録領域RAの外となる位置に、ノズル44から吐出されるインク滴を検出可能な光学式のセンサーが設けられる。そして、制御部90は、吐出異常検査を実行するノズル44に対応するアクチュエーター67を駆動する。そして、対応するアクチュエーター67を駆動したノズル44からインク滴が吐出されたか否かを光学式のセンサーにより検出することで吐出異常検査を実行してもよい。
【0131】
上記実施形態において、制御部90は、媒体Mへの記録中に、吐出異常検査を実行しなくてもよい。例えば、制御部90は、媒体Mへの記録の前後のいずれかにおいて、吐出異常検査を実行してもよい。
【符号の説明】
【0132】
10…液体吐出装置、11…脚部、12…筐体、13…繰出部、14…案内部、15…巻取部、16…テンション付与機構、17…操作部、18…支持台、30…搬送部、31,32…搬送ローラー対、40…記録部、41…液体吐出ヘッド、42…ガイド軸、43…キャリッジ、44…ノズル、44a…ノズル面、50…液体供給装置、51…液体供給流路、52…送液部、53…装着部、54…圧力調整部、60,62…流路形成部材、60a…供給孔、61…振動板、61a…連通孔、63…ノズルプレート、64…共通液室、65…収容室、66…個別液室、67…アクチュエーター、90…制御部、100…メンテナンス部、101…吸引キャップ部、102…吸引ポンプ、103…ワイピング部、103a…ワイパー、104,204…フラッシング受け部、105…待機キャップ部、106…駆動源、107…ヘッド吸引流路、108,208…受容部、109…蓋部材、150…液体収容体、D1…距離、D2…距離、D3…距離、D4…幅、D5…幅、F1…+X方向側の端、F2…-X方向側の端、F3…-X方向側の端、F4…+X方向側の端、FD…往路方向、FR1…第1受容部、FR2…第2受容部、M…媒体、RD…復路方向、S101,S102,S104,S105,S106,S107…ステップ、T…時間、t1…半周期の時間、t2…半周期の時間、Tt…閾値時間、V…電圧値、Wa…基準信号、Wb…第1吐出不良信号、Wc…第2吐出不良信号。