(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060217
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板の接続構造
(51)【国際特許分類】
H05K 3/36 20060101AFI20240424BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H05K3/36 B
H05K1/14 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167446
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 周三
(72)【発明者】
【氏名】中山 健一
(72)【発明者】
【氏名】金山 知樹
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA02
5E344AA19
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB05
5E344BB10
5E344CC05
5E344CC09
5E344CC14
5E344CC24
5E344CD38
5E344DD03
5E344DD05
5E344DD13
5E344DD16
5E344EE16
5E344EE17
5E344EE30
(57)【要約】
【課題】半田接続部を引き剥がす力が半田接続部に作用することを抑制しつつ、結露による短絡を抑制することのできるフレキシブルプリント配線板の接続構造を提供する。
【解決手段】接続対象基板に設けられた複数の接続対象配線に対して、FPC10に備えられる複数の配線がそれぞれ半田により接続されるFPC10の接合構造であって、前記複数の接続対象配線と前記複数の配線がそれぞれ半田により接合される複数の半田接続部から離れた位置で、かつ前記複数の半田接続部を取り囲むように設けられる隔壁920を備え、前記接続対象基板とFPC10と隔壁920によって、前記複数の半田接続部が内部に配される密閉空間が形成されることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象基板に設けられた複数の接続対象配線に対して、フレキシブルプリント配線板に備えられる複数の配線がそれぞれ半田により接続されるフレキシブルプリント配線板の接合構造であって、
前記複数の接続対象配線と前記複数の配線がそれぞれ半田により接合される複数の半田接続部から離れた位置で、かつ前記複数の半田接続部を取り囲むように設けられる隔壁を備え、
前記接続対象基板と前記フレキシブルプリント配線板と前記隔壁によって、前記複数の半田接続部が内部に配される密閉空間が形成されることを特徴とするフレキシブルプリント配線板の接続構造。
【請求項2】
前記隔壁は半田により構成されることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板の接続構造。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント配線板は、
ベースフィルムと、
前記ベースフィルムの一方の面側に配される複数の第1導体部と、
前記ベースフィルムの他方の面側に配され、前記複数の第1導体部とそれぞれスルーホールにより接続され、かつ前記複数の接続対象配線に半田接続される複数の第2導体部と、
を有し、前記複数の配線は、それぞれ第1導体部と前記スルーホールと第2導体部により構成されると共に、
前記隔壁が前記ベースフィルムの他方の面側に設けられることで、前記複数の配線と前記隔壁は絶縁状態となることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板の接続構造。
【請求項4】
前記隔壁は接着剤または両面テープにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板の接続構造。
【請求項5】
前記密閉空間の内部にアンダーフィルが充填されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のフレキシブルプリント配線板の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と称する)においては、製法上の理由から一つのFPCだけで長手方向の寸法を長くするのには限度がある。そのため、複数のFPCを接合することで、FPCの全長を長尺化することが行われている。また、FPCはリジッドな回路基板など、他の基板に対して接合されて利用されることがある。FPC同士を接合する場合、及びFPCと他の回路基板とを接合する場合においては、配線同士が半田により接続されるのが一般的である。隣り合う半田接続部の距離が短い場合には、結露などによる短絡を防ぐ対策が必要である。従来、様々な対策が取られているが、強度の面で難があるなど、未だ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5344018号公報
【特許文献2】特許第7078113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、半田接続部を引き剥がす力が半田接続部に作用することを抑制しつつ、結露による短絡を抑制することのできるフレキシブルプリント配線板の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0006】
本発明のフレキシブルプリント配線板の接続構造は、
接続対象基板に設けられた複数の接続対象配線に対して、フレキシブルプリント配線板に備えられる複数の配線がそれぞれ半田により接続されるフレキシブルプリント配線板の接合構造であって、
前記複数の接続対象配線と前記複数の配線がそれぞれ半田により接合される複数の半田接続部から離れた位置で、かつ前記複数の半田接続部を取り囲むように設けられる隔壁を備え、
前記接続対象基板と前記フレキシブルプリント配線板と前記隔壁によって、前記複数の半田接続部が内部に配される密閉空間が形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、複数の半田接続部は密閉空間内に配されるため、結露などによって配線同士が短絡してしまうことを抑制することができる。また、隔壁は、複数の半田接続部から離れた位置で、かつ複数の半田接続部を取り囲むように設けられている。これにより、半田接続部を引き剥がすような力が、どの方向から作用したとしても、半田接続部に作用する前に隔壁に作用する。これにより、半田接続部を引き剥がすような力が半田接続部に作用することを抑制することができる。
【0008】
前記隔壁は半田により構成されるとよい。
【0009】
これにより、複数の接続対象配線とフレキシブルプリント配線板に備えられる複数の配
線とを半田により接続する作業と同時に隔壁を設けることができる。また、隔壁の強度を高くすることができる。これにより、より確実に、半田接続部を引き剥がすような力が半田接続部に作用することを抑制することができる。
【0010】
前記フレキシブルプリント配線板は、
ベースフィルムと、
前記ベースフィルムの一方の面側に配される複数の第1導体部と、
前記ベースフィルムの他方の面側に配され、前記複数の第1導体部とそれぞれスルーホールにより接続され、かつ前記複数の接続対象配線に半田接続される複数の第2導体部と、
を有し、前記複数の配線は、それぞれ第1導体部と前記スルーホールと第2導体部により構成されると共に、
前記隔壁が前記ベースフィルムの他方の面側に設けられることで、前記複数の配線と前記隔壁は絶縁状態となるとよい。
【0011】
このような構成を採用することで、隔壁を半田で構成しても、複数の配線と隔壁を導通しないようにすることができる。
【0012】
前記隔壁は接着剤または両面テープにより構成されることもできる。
【0013】
前記密閉空間の内部にアンダーフィルが充填されているとよい。
【0014】
これにより、隣り合う配線同士の短絡をより確実に抑制することができる。
【0015】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、半田接続部を引き剥がすような力が半田接続部に作用することを抑制しつつ、結露による短絡を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の概略構成図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の概略構成図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の適用例を示す図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例2に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の概略構成図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例3に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定
する趣旨のものではない。以下に示すフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と称する)の接合構造は、自動車のEV・PHVのバッテリ監視モジュール用途に好適に適用可能である。ただし、本実施例に係る接合構造は各種用途に採用し得る。
【0019】
(実施例1)
図1~
図4を参照して、本発明の実施例1に係るFPC10の接合構造について説明する。
図1及び
図2は本発明の実施例1に係るFPC10の概略構成図であり、
図1はFPC10の平面図の一部であり、
図2は
図1中のAA断面図である。
図3及び
図4は本発明の実施例1に係るFPC10の接合構造の概略構成図であり、
図3はFPC10の接合構造の平面図の一部であり、
図4は
図3中のBB断面図である。なお、各図において、主要な構成については、透視して点線で示している。
【0020】
<FPC10>
FPC10は、ベースフィルム100と、ベースフィルム100の一方の面側に配される複数の第1導体部200と、複数の第1導体部200を保護する第1カバーレイ300とを備えている。第1カバーレイ300は、接着剤層400によって、第1導体部200及びベースフィルム100に接着される。なお、銅箔などの金属箔がエッチングされることで、所望の第1導体部200が形成される。
【0021】
また、本実施例に係るFPC10は、ベースフィルム100の他方の面側に配される複数の第2導体部510と、ベースフィルム100の他方の面側に配される第3導体部520と、第2カバーレイ600とを備えている。第2カバーレイ600は、接着剤層700によって、ベースフィルム100に接着される。なお、銅箔などの金属箔がエッチングされることで、所望の第2導体部510及び第3導体部520が形成される。複数の第1導体部200と複数の第2導体部510は、それぞれスルーホール800により接続されている。第1導体部200とスルーホール800と第2導体部510によって配線が構成される。FPC10には、それぞれ第1導体部200とスルーホール800と第2導体部510によって構成される複数の配線が設けられる。なお、
図1では5本の配線が設けられる場合が示されている。
【0022】
第2カバーレイ600には、複数の第2導体部510のそれぞれの一部を露出するために、個別にそれぞれ開口部610が設けられ、かつ、第3導体部520を露出するための開口部620も設けられている。
【0023】
なお、ベースフィルム100、第1カバーレイ300及び第2カバーレイ600の材料としては、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、及びポリエチレンテレフタレート等を適用することができる。
【0024】
<FPC10の接合構造>
以上のように構成されるFPC10を複数接合して長尺化する方法について説明する。ここでは、便宜上、接合する2つのFPCを、それぞれ、第1のFPC10A、第2のFPC10Bと称する。なお、第1のFPC10Aと第2のFPC10Bについては、少なくとも、接合に関連する構成(
図1及び
図2に示す構成)は同一であり、第2導体部510と第3導体部520の配置及び幅寸法、及び開口部610,620の配置及び寸法形状は同一である。
【0025】
まず、例えば、第1のFPC10Aにおける複数の第2導体部510の各露出部と第3導体部520に半田ペーストが塗布される。そして、第1のFPC10Aにおける複数の第2導体部510の各露出部及び第3導体部520と、第2のFPC10Bにおける複数の第2導体部510の各露出部及び第3導体部520が重なるように、これら第1のFP
C10Aと第2のFPC10Bが重ね合わされる(
図3参照)。その後、ヒーターツールで加圧されつつ加熱されることで、半田付けが行われる。なお、荷重をかける治具を用いて半田付け部を加圧しつつ、リフロー炉内で加熱されることで、いわゆるリフロー半田付けを行ってもよい。これにより、第1のFPC10Aにおける複数の第2導体部510と第2のFPC10Bにおける複数の第2導体部510が、それぞれ半田910によって接続される(
図4参照)。また、同時に、第1のFPC10Aにおける第3導体部520と第2のFPC10Bにおける第3導体部520が半田によって接続され、半田により構成される隔壁920が設けられる。
【0026】
この隔壁920は、複数の接続対象配線(本実施例では第1のFPC10A及び第2のFPC10Bのうちの一方の配線)と複数の配線(本実施例では第1のFPC10A及び第2のFPC10Bのうちの他方の配線)がそれぞれ半田910により接合される複数の半田接続部から離れた位置で、かつ複数の半田接続部を取り囲むように設けられる(
図3参照)。なお、本実施例において、半田接続部は、第1のFPC10Aにおける第2導体部510と第2のFPC10Bにおける第2導体部510が半田910によって接続される部位に相当する。そして、接続対象基板(本実施例では第1のFPC10A及び第2のFPC10Bのうちの一方)とFPC(本実施例では第1のFPC10A及び第2のFPC10Bのうちの他方)と隔壁920によって、複数の半田接続部が内部に配される密閉空間が形成される(
図3及び
図4参照)。
【0027】
また、半田により構成される隔壁920は、ベースフィルム100の他方の面側(FPC10の長手方向に伸びる複数の第1導体部200が設けられる面とは反対側の面側)に設けられることで、複数の配線と隔壁920は絶縁状態となる。
【0028】
<本実施例に係るFPCの接合構造の優れた点>
本実施例に係るFPCの接続構造によれば、複数の半田接続部は密閉空間内に配されるため、結露などによって配線同士が短絡してしまうことを抑制することができる。例えば、バッテリ監視モジュール用途に用いられる場合、FPCは結露し易い環境下に曝されるものの、本実施例に係る接続構造を採用することで、効果的に配線同士の短絡を抑制することができる。この点について、
図5を参照して説明する。
図5は本発明の実施例1に係るFPCの接合構造の適用例を示す図であり、FPCがバッテリ監視モジュールとして用いられた場合を簡易的に示した図である。自動車のEV・PHVに用いられるバッテリは複数のセル20を備えている。これら複数のセル20が正常であるか否かを常時監視するために、バッテリ監視モジュールが複数のセル20の上部に取り付けられる。バッテリ監視モジュール自体は公知技術であるので、その詳細な説明は省略するが、バッテリ監視モジュールは、FPCと、FPCを支持し、かつ複数のセル20に固定されるプレート30とを備えている。これら複数のセル20とバッテリ監視モジュールは、ケース40内に収容される。
【0029】
以上のような構成によれば、バッテリが使用される状態においては、ケース40内の温度は高くなり、ケース40の内外の温度差が大きくなり、ケース40内において結露が生じ易い状態となる。しかしながら、本実施例に係るFPCの接続構造を採用することで、水滴等が半田接続部に付着してしまうことを抑制することができる。また、複数の半田接続部は狭い密閉空間内に配されており、かつ、FPC自体はセル20に接触しており、密閉空間内外の温度差も生じ難いことから、密閉空間内では結露は生じ難い。バッテリ停止後に、温度が低下する状況においても同様である。
【0030】
また、隔壁920は、複数の半田接続部から離れた位置で、かつ複数の半田接続部を取り囲むように設けられている。これにより、半田接続部を引き剥がすような力が、どの方向から作用したとしても、半田接続部に作用する前に隔壁920に作用する。これにより
、半田接続部を引き剥がすような力が半田接続部に作用することを抑制することができる。
【0031】
本実施例に係る隔壁920は半田により構成されるため、隔壁920の強度を高くすることができる。これにより、より確実に、半田接続部を引き剥がすような力が半田接続部に作用することを抑制することができる。
【0032】
また、本実施例に係る隔壁920は半田により構成されるため、複数の接続対象配線とFPC10に備えられる複数の配線とを半田により接続する作業と同時に隔壁920を設けることができる。
【0033】
(実施例2)
図6には、本発明の実施例2が示されている。本実施例においては、実施例1の構成に対して、密閉空間の内部にアンダーフィルが充填される場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0034】
図6は本発明の実施例2に係るFPCの接合構造の概略構成図である。
図6(a)はFPCの接合構造の平面図の一部であり、同図(b)は同図(a)中のCC断面図である。なお、主要な構成については、透視して点線で示している。
【0035】
本実施例では、第1のFPC10Aと第2のFPC10Bのうちの一方(ここでは、第2のFPC10B)の第1カバーレイ300の2か所に密閉空間内に通じる穴310,320が設けられている。これら2つの穴310,320のうちの一方から注入器具などを用いてアンダーフィルを注入することで、密閉空間内にアンダーフィルを充填することができる。なお、密閉空間内の気体は、アンダーフィルの充填に伴って、2つの穴のうちの他方から排気される。これにより、密閉空間内はアンダーフィル950が充填された状態となる。2つの穴310,320とアンダーフィル950以外の構成については、実施例1と同一である。
【0036】
本実施例によれば、実施例1の効果に加えて、隣り合う配線同士の短絡をより確実に抑制することができる。
【0037】
(実施例3)
図7には、本発明の実施例3が示されている。本実施例においては、隔壁として接着剤または両面テープが採用される場合の構成を示す。
図7は本発明の実施例3に係るFPCの接合構造の説明図であり、
図7(a)はFPCの平面図の一部であり、同図(b)は同図(a)中のDD断面図であり、同図(c)はFPCの接合構造の断面図である。なお、主要な構成については、透視して点線で示している。
【0038】
<FPC10C>
FPC10Cは、ベースフィルム100Cと、ベースフィルム100Cの一方の面側に配される複数の導体部200Cと、複数の導体部200Cを保護するカバーレイ300Cとを備えている。カバーレイ300Cは、接着剤層400Cによって、導体部200C及びベースフィルム100Cに接着される。なお、銅箔などの金属箔がエッチングされることで、所望の導体部200Cが形成される。
【0039】
上記実施例1,2では、いわゆる両面FPCであったのに対して、本実施例に係るFPC10Cは片面FPCである。本実施例においては、導体部200Cのみによって配線が構成される。FPC10Cには、複数の配線が設けられる。なお、
図7(a)では5本の
配線が設けられる場合が示されている。
【0040】
カバーレイ300Cには、複数の導体部200Cのそれぞれの一部を露出するために、個別にそれぞれ開口部310Cが設けられている。
【0041】
なお、ベースフィルム100C、及びカバーレイ300Cの材料としては、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、及びポリエチレンテレフタレート等を適用することができる。
【0042】
<FPC10Cの接合構造>
以上のように構成されるFPC10Cを複数接合して長尺化する方法について説明する。ここでは、便宜上、接合する2つのFPCを、それぞれ、第1のFPC10C1、第2のFPC10C2と称する。なお、第1のFPC10C1と第2のFPC10C2については、少なくとも、接合に関連する構成(
図7(a)(b)に示す構成)は同一であり、導体部200Cの配置及び幅寸法、及び開口部310Cの配置及び寸法形状は同一である。
【0043】
まず、例えば、第1のFPC10C1における複数の導体部200Cの各露出部に半田ペーストが塗布され、かつ、第1のFPC10C1に対して、複数の導体部200Cの各露出部を取り囲むように、接着剤が塗布されるか、または、両面テープが貼り付けられる。そして、第1のFPC10C1における複数の導体部200Cの各露出部と、第2のFPC10C2における複数の導体部200Cの各露出部が重なるように、これら第1のFPC10C1と第2のFPC10C2が重ね合わされる。その後、ヒーターツールで加圧されつつ加熱されることで、半田付けが行われる。なお、荷重をかける治具を用いて半田付け部を加圧しつつ、リフロー炉内で加熱されることで、いわゆるリフロー半田付けを行ってもよい。これにより、第1のFPC10C1における複数の導体部200Cと第2のFPC10C2における複数の導体部200Cが、それぞれ半田960によって接続される(
図4参照)。また、第1のFPC10C1と第2のFPC10C2が接着剤または両面テープにより接着される。この接着剤または両面テープより隔壁970が形成される。なお、
図7(a)(b)には、後に隔壁970となる接着剤または両面テープを符号970にて示している。
【0044】
この隔壁970は、複数の接続対象配線(本実施例では第1のFPC10C1及び第2のFPC10C2のうちの一方の配線)と複数の配線(本実施例では第1のFPC10C1及び第2のFPC10C2のうちの他方の配線)がそれぞれ半田960により接合される複数の半田接続部から離れた位置で、かつ複数の半田接続部を取り囲むように設けられる。なお、本実施例において、半田接続部は、第1のFPC10C1における導体部200Cと第2のFPC10C2における導体部200Cが半田960によって接続される部位に相当する。そして、接続対象基板(本実施例では第1のFPC10C1及び第2のFPC10C2のうちの一方)とFPC(本実施例では第1のFPC10C1及び第2のFPC10C2のうちの他方)と隔壁970によって、複数の半田接続部が内部に配される密閉空間が形成される。
【0045】
以上のように構成される本実施例に係るFPC10Cの接合構造においては、隔壁970の強度は実施例1に比べて劣るものの、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、本実施例においては、片面FPCを採用するため、実施例1に比べてコストを抑制することができる。なお、本実施例においても、実施例2と同様に、密閉空間の内部にアンダーフィルが充填される構成を採用することもできる。
【0046】
(その他)
上記各実施例においては、FPC同士を接合する場合の構成について説明したが、本発明に係るFPCの接合構造においては、FPCとリジッドな回路基板などFPC以外の回路基板とを接合する構造においても適用可能である。すなわち、本発明においては、上記のように構成されたFPCの配線と、各種回路基板に備えられる複数の配線(複数の接続対象配線)とが半田により接続される接合構造に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
10,10C:FPC
20:セル
30:プレート
40:ケース
100,100C:ベースフィルム
200:第1導体部
200C:導体部
300:第1カバーレイ
300C:カバーレイ
310,320:穴
310C:開口部
400,400C:接着剤層
510:第2導体部
520:第3導体部
600:第2カバーレイ
610,620:開口部
700:接着剤層
800:スルーホール
910,960:半田
920,970:隔壁
950:アンダーフィル
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
まず、例えば、第1のFPC10C1における複数の導体部200Cの各露出部に半田ペーストが塗布され、かつ、第1のFPC10C1に対して、複数の導体部200Cの各露出部を取り囲むように、接着剤が塗布されるか、または、両面テープが貼り付けられる。そして、第1のFPC10C1における複数の導体部200Cの各露出部と、第2のFPC10C2における複数の導体部200Cの各露出部が重なるように、これら第1のFPC10C1と第2のFPC10C2が重ね合わされる。その後、ヒーターツールで加圧されつつ加熱されることで、半田付けが行われる。なお、荷重をかける治具を用いて半田付け部を加圧しつつ、リフロー炉内で加熱されることで、いわゆるリフロー半田付けを行ってもよい。これにより、第1のFPC10C1における複数の導体部200Cと第2のFPC10C2における複数の導体部200Cが、それぞれ半田960によって接続される(図
7参照)。また、第1のFPC10C1と第2のFPC10C2が接着剤または両面テープにより接着される。この接着剤または両面テープより隔壁970が形成される。なお、
図7(a)(b)には、後に隔壁970となる接着剤または両面テープを符号970にて示している。