(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060218
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】クローラクレーンの輸送方法、クローラクレーンの吊下げ部材、クローラクレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
B66C23/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167448
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐聡
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205CA03
3F205CB02
3F205DA04
3F205FA01
3F205JA05
(57)【要約】
【課題】駆動ユニットを置くためのスペースの増加を抑制することが可能な、クローラクレーンの輸送方法、クローラクレーンの吊下げ部材、クローラクレーンを提供する。
【解決手段】走行部2と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置を備え、走行部2と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置に分解することが可能なクローラクレーンのうち、分解した状態の走行部2を複数の線状部材Wで吊り下げて輸送する際に、線状部材WL及び線状部材WRを、クローラユニット21の高さ方向に沿って配置し、線状部材WL及び線状部材WRの下端を、フレーム部22bに接続する取付部材25を介し走行部2に取り付け、線状部材WL及び線状部材WRの上端を、輸送に用いる機器に接続し、輸送に用いる機器を用いて、分解した状態の走行部2を、複数の線状部材Wで吊り下げて輸送する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用のクローラユニットと、前記クローラユニットを駆動する駆動装置及び前記駆動装置を下方から支持するフレーム部を含み、且つ前記クローラユニットよりも上方に配置される駆動ユニットと、を有する走行部と、
前記走行部の上に配置され、且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、
前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、
前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンのうち、分解した状態の前記走行部を複数の線状部材で吊り下げて輸送するクローラクレーンの輸送方法であって、
前記複数の線状部材のうち少なくとも二本の線状部材を、前記クローラユニットの高さ方向に沿って配列し、
前記二本の線状部材の下端を、前記フレーム部に接続する取付部材を介して前記走行部に取り付け、
前記二本の線状部材の上端を、前記輸送に用いる機器に接続し、
前記機器を用いて、分解した状態の前記走行部を前記複数の線状部材で吊り下げて輸送するクローラクレーンの輸送方法。
【請求項2】
前記複数の線状部材のうち前記二本の線状部材とは異なる線状部材の下端を、前記クローラユニットの上面に取り付け、
前記異なる線状部材の上端を、前記機器に接続する請求項1に記載したクローラクレーンの輸送方法。
【請求項3】
前記走行部を、前記クローラユニットと、前記駆動ユニットと、に分解し、
分解した状態の前記クローラユニットと前記駆動ユニットとを、異なる前記線状部材で別個に吊り下げて輸送する請求項1に記載したクローラクレーンの輸送方法。
【請求項4】
前記フレーム部に前記駆動ユニットよりも下方へ突出する支持部材を取り付けた状態で、前記駆動ユニットを吊り下げて輸送する請求項3に記載したクローラクレーンの輸送方法。
【請求項5】
走行用のクローラユニットと、前記クローラユニットを駆動する駆動装置及び前記駆動装置を下方から支持するフレーム部を含み、且つ前記クローラユニットよりも上方に配置される駆動ユニットと、を有する走行部と、
前記走行部の上に配置され、且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、
前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、
前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンのうち、分解した状態の前記走行部を輸送する際に複数の線状部材を介して走行部を吊り下げるクローラクレーンの吊下げ部材であって、
前記駆動ユニットの上方に配置する本体部と、
前記本体部に固定され、且つ前記複数の線状部材のうち少なくとも二本の線状部材の上端が接続される二つの第一接続部と、
前記本体部に固定され、且つ前記輸送に用いる機器に接続される第二接続部と、を備え、
前記二本の線状部材の下端は、前記フレーム部に接続する取付部材を介して前記走行部に取り付けられ、
前記二つの第一接続部は、前記二本の線状部材が前記クローラユニットの高さ方向に沿って配列される位置に配置されているクローラクレーンの吊下げ部材。
【請求項6】
前記本体部は、柱状又は筒状に形成され、且つ前記駆動ユニットの上方において前記分解した状態の走行部における前記クローラユニットの車幅方向と平行に配置される請求項5に記載したクローラクレーンの吊下げ部材。
【請求項7】
走行用のクローラユニットと、前記クローラユニットを駆動する駆動装置及び前記駆動装置を下方から支持するフレーム部を含み、且つ前記クローラユニットよりも上方に配置される駆動ユニットと、を有する走行部と、
前記走行部の上に配置され、且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、
前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、
前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンのうち、分解した状態の前記走行部を、さらに、前記クローラユニットと、前記駆動ユニットとに分解し、分解した状態の前記駆動ユニットを輸送する際に複数の線状部材を介して駆動ユニットを吊り下げるクローラクレーンの吊下げ部材であって、
前記駆動ユニットの上方に配置する本体部と、
前記本体部に固定され、且つ前記複数の線状部材のうち少なくとも二本の線状部材の上端が接続される二つの第一接続部と、
前記本体部に固定され、且つ前記輸送に用いる機器に接続される第二接続部と、を備え、
前記二本の線状部材の下端は、前記フレーム部を介して前記駆動ユニットに取り付けられ、
前記二つの第一接続部は、前記二本の線状部材が前記クローラユニットの高さ方向に沿って配列される位置に配置されているクローラクレーンの吊下げ部材。
【請求項8】
前記本体部は、柱状又は筒状に形成され、且つ前記駆動ユニットの上方において前記分解した状態の走行部における前記クローラユニットの車幅方向と平行に配置される請求項7に記載したクローラクレーンの吊下げ部材。
【請求項9】
前記本体部は、柱状又は筒状に形成され、且つ前記駆動ユニットの上方において前記分解した状態の走行部における前記クローラユニットの前後方向と平行に配置される請求項7に記載したクローラクレーンの吊下げ部材。
【請求項10】
走行用のクローラユニットと、前記クローラユニットを駆動する駆動装置及び前記駆動装置を下方から支持するフレーム部を含み、且つ前記クローラユニットよりも上方に配置される駆動ユニットと、を有する走行部と、
前記走行部の上に配置され、且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられた機台フレームと、
前記コラムの先端部に取り付けられるブーム装置と、
前記機台フレームへの着脱が可能なアウトリガ装置と、を備え、前記走行部と、前記機台フレームと、前記ブーム装置と、前記アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンであって、
前記フレーム部に接続する少なくとも二つの取付部材をさらに備え、
前記二つの取付部材は、それぞれ、前記クローラユニットの車幅方向で両側に配置され、且つ前記クローラユニットの高さ方向に沿って配列した二本の線状部材の下端を取り付け可能であるクローラクレーン。
【請求項11】
前記フレーム部は、前記駆動ユニットよりも下方へ突出する支持部材を備える請求項10に記載したクローラクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立及び分解が可能なクローラクレーンの輸送方法と、クローラクレーンの吊下げに用いる吊下げ部材と、クローラクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
組立及び分解が可能なクローラクレーンとしては、例えば、特許文献1に開示されている構成のクローラクレーンがある。特許文献1に開示されているクローラクレーンは、走行部と、クレーン部を備える。走行部は、走行用のクローラユニットと、駆動ユニットとを有し、駆動ユニットは、クローラユニットを駆動する油圧モータと、油圧モータに圧油を供給する油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動するエンジン等の駆動装置と、運転席を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、走行部の重心が、クローラユニットよりも駆動ユニットに寄った位置となる。このため、分解した走行部を吊り下げて輸送する際には、吊り具(例えば、シャックル及びワイヤロープを含む)をクローラユニットに取り付けると共に、重心のバランスを保持するために、補助用の吊り具を駆動ユニットに取り付ける必要がある。
【0005】
ここで、駆動ユニットの上部構造物は、駆動装置のカバー(エンジンカバー)や、油圧モータや油圧ポンプに供給する圧油のタンク等、強度が低い構造物を含んで形成されているため、吊り下げる際の荷重を受けることが困難である。このため、駆動ユニットに取り付ける吊り具は、上部構造物よりも下に配置されており、駆動装置、油圧モータ、油圧ポンプ、タンク、上部構造物等を支持する、強度が高い下部構造物(フレーム部)に取り付ける必要がある。そして、駆動ユニットに取り付ける吊り具と上部構造物との干渉を回避するためには、下部構造物から走行部の車幅方向に沿って外側へ突出する治具に、吊り具を取り付ける必要がある。
【0006】
したがって、例えば、駆動ユニットの幅に対して余裕が少ないスペースに、駆動ユニットを置くことが困難であり、駆動ユニットを置くために、広いスペースを確保する必要があるという問題がある。
本発明は、上述した問題点を鑑み、駆動ユニットを置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能な、クローラクレーンの輸送方法、クローラクレーンの吊下げ部材、クローラクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るクローラクレーンの輸送方法は、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置を備え、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置に分解することが可能なクローラクレーンのうち、分解した状態の走行部を複数の線状部材で吊り下げて輸送する方法である。走行部は、走行用のクローラユニットと、クローラユニットを駆動する駆動装置及び駆動装置を下方から支持するフレーム部を含み、且つクローラユニットよりも上方に配置される駆動ユニットを有する。機台フレームは、走行部の上に配置され、且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられている。ブーム装置は、コラムの先端部に取り付けられる。アウトリガ装置は、機台フレームへの着脱が可能である。また、クローラクレーンの輸送方法では、複数の線状部材のうち少なくとも二本の線状部材を、クローラユニットの高さ方向に沿って配列する。さらに、二本の線状部材の下端を、フレーム部に接続する取付部材を介して走行部に取り付ける。そして、二本の線状部材の上端を、輸送に用いる機器に接続し、機器を用いて、分解した状態の走行部を複数の線状部材で吊り下げて輸送する。
【0008】
また、本発明の一態様に係るクローラクレーンの吊下げ部材は、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置を備え、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置に分解することが可能なクローラクレーンのうち、分解した状態の走行部を輸送する際に複数の線状部材を介して走行部を吊り下げる部材である。走行部は、走行用のクローラユニットと、クローラユニットを駆動する駆動装置及び駆動装置を下方から支持するフレーム部を含み、且つクローラユニットよりも上方に配置される駆動ユニットを有する。機台フレームは、走行部の上に配置され、且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられている。ブーム装置は、コラムの先端部に取り付けられる。アウトリガ装置は、機台フレームへの着脱が可能である。また、クローラクレーンの吊下げ部材は、走行部の上方に配置する本体部と、本体部に固定され、且つ複数の線状部材のうち少なくとも二本の線状部材の上端が接続される二つの第一接続部を備える。これに加え、本体部に固定され、且つ輸送に用いる機器に接続される第二接続部を備える。そして、二本の線状部材の下端は、フレーム部に接続する取付部材を介して走行部に取り付けられ、二つの第一接続部は、二本の線状部材がクローラユニットの高さ方向に沿って配列される位置に配置されている。
【0009】
また、本発明の一態様に係るクローラクレーンの吊下げ部材は、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置を備え、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置に分解することが可能なクローラクレーンのうち、分解した状態の走行部を、さらに、クローラユニットと、駆動ユニットとに分解し、分解した状態の駆動ユニットを輸送する際に複数の線状部材を介して駆動ユニットを吊り下げる部材である。走行部は、走行用のクローラユニットと、クローラユニットを駆動する駆動装置及び駆動装置を下方から支持するフレーム部を含み、且つクローラユニットよりも上方に配置される駆動ユニットと、を有する。機台フレームは、走行部の上に配置され、且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられている。ブーム装置は、コラムの先端部に取り付けられる。アウトリガ装置は、機台フレームへの着脱が可能である。また、クローラクレーンの吊下げ部材は、走行部の上方に配置する本体部と、本体部に固定され、且つ複数の線状部材のうち少なくとも二本の線状部材の上端が接続される二つの第一接続部を備える。これに加え、本体部に固定され、且つ輸送に用いる機器に接続される第二接続部を備える。そして、二本の線状部材の下端は、フレーム部を介して駆動ユニットに取り付けられ、二つの第一接続部は、二本の線状部材がクローラユニットの高さ方向に沿って配列される位置に配置されている。
【0010】
また、本発明の一態様に係るクローラクレーンは、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置を備え、走行部と、機台フレームと、ブーム装置と、アウトリガ装置と、に分解することが可能なクローラクレーンである。走行部は、走行用のクローラユニットと、クローラユニットを駆動する駆動装置及び駆動装置を下方から支持するフレーム部を含み、且つクローラユニットよりも上方に配置される駆動ユニットを有する。機台フレームは、走行部の上に配置され、且つ上面にコラムの基端部が旋回自在に取り付けられている。ブーム装置は、コラムの先端部に取り付けられる。アウトリガ装置は、機台フレームへの着脱が可能である。また、クローラユニットは、フレーム部に接続する少なくとも二つの取付部材をさらに備える。そして、二つの取付部材は、それぞれ、クローラユニットの車幅方向で両側に配置され、且つクローラユニットの高さ方向に沿って配列した二本の線状部材の下端を取り付け可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駆動ユニットを置くためのスペースの増加を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】クローラクレーンの構成を示す側面図であり、クローラクレーンが走行姿勢である状態を示す図である。
【
図2】クローラクレーンの構成を示す側面図であり、クローラクレーンが作業姿勢である状態を示す図である。
【
図3】走行部の構成を示す側面図であり、走行部を輸送する状態を示す図である。
【
図4】走行部の構成を示す斜視図であり、走行部を輸送する状態を示す図である。
【
図7】機台フレームを輸送する状態を示す図である。
【
図8】ブーム装置の構成を示す側面図であり、ブーム装置を輸送する状態を示す図である。
【
図9】アウトリガ装置を輸送する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るクローラクレーンの輸送方法と、クローラクレーンの吊下げ部材と、クローラクレーンについて、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚さと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0014】
(実施形態)
(構成)
図1及び
図2に示すように、クローラクレーン1は、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、アウトリガ装置8を備える。また、クローラクレーン1は、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、アウトリガ装置8に分解することが可能である。
【0015】
なお、以降の説明及び図面では、クローラクレーン1が前進する方向を、「前方」と記載する場合がある。同様に、以降の説明及び図面では、クローラクレーン1が後退する方向を、「後方」と記載する場合がある。
また、以降の説明及び図面では、クローラクレーン1の運転者が運転席に座っているときの左手側を「左側」と示し、運転者が運転席に座っているときの右手側を「右側」と示す。したがって、以降の説明及び図面では、クローラクレーン1を左側から見た視点を「左側面視」とし、クローラクレーン1を右側から見た視点を「右側面視」とする。また、以降の説明では、「左側面視」と「右側面視」とをまとめて、「側面視」と記載する場合がある。
【0016】
クローラクレーン1は、
図1に示す走行姿勢で、走行用のクローラユニット21により走行して作業場所へ移動した後、作業場所で前後左右のアウトリガ装置8を張り出して機台フレーム4の安定を確保し、
図2に示す作業姿勢となる。そして、ブーム装置6を起立・伸長させた後、ブーム装置6が備えるフック61で荷を吊り、荷役作業を行う。
また、クローラクレーン1は、搬入するための道路が存在しない山中等の工事現場で使用する場合には、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、アウトリガ装置8に分解した状態で、ヘリコプター等により吊り下げて工事現場へ運搬される。
【0017】
分解した状態の走行部2等を工事現場へ運搬する際には、複数の線状部材で吊り下げて工事現場へ輸送する。
例えば、分解した状態の走行部2を工事現場へ運搬する際には、
図3及び
図4に示すように、走行部2を複数の線状部材Wで吊り下げて工事現場へ輸送する。また、分解した状態の走行部2を、複数の線状部材Wで吊り下げる際には、クローラクレーンの吊下げ部材10(以降の説明では、「吊下げ部材10」と記載する)を用いる。すなわち、吊下げ部材10は、分解した状態の走行部2を輸送する際に、複数の線状部材Wを介して走行部2を吊り下げる部材である。
【0018】
なお、
図3及び
図4には、一例として、走行部2を、八本の線状部材Wで吊り下げる場合を示す。また、
図3及び
図4では、八本の線状部材Wのうち六本を、構成を簡略化して図示している。さらに、以降の説明及び図中では、構成を簡略化せずに図示している二本の線状部材Wを、「線状部材WL」及び「線状部材WR」と記載して説明する場合がある。
【0019】
線状部材Wは、例えば、
図5及び
図6に示すように、ワイヤロープW1と、シンブルW2と、クランプ管W3を備える吊り具である。なお、線状部材Wの構成は、例えば、ナイロン(登録商標)製のスリング(スリングロープ、スリングベルト)等を備える構成としてもよい。
ワイヤロープW1には、両端部を折り返すことで、二箇所の環状部分が形成されている。
シンブルW2は、ワイヤロープW1に形成された環状部分の内周面を覆うように、環状部分に取り付けられている。
クランプ管W3は、円筒状に形成されており、ワイヤロープW1のうち、環状部分よりも中心側において、折り返した端部と中間部分とを締め付けて固定している。
【0020】
<吊下げ部材>
吊下げ部材10は、本体部11と、二つの第一接続部12aと、二つの第二接続部12bを備える。
本体部11は、角柱状に形成されており、分解した状態の走行部2を輸送する際に、長さ方向をクローラユニット21の車幅方向と平行に向けた状態で、駆動ユニット22の上方に配置する。
第一接続部12a及び第二接続部12bは、半円形状に形成されており、直線部分が本体部11に固定されている。
【0021】
二つの第一接続部12aには、二本の線状部材W(線状部材WL及び線状部材WR)の、上端を接続する。線状部材WL及び線状部材WRは、クローラユニット21の長さ方向から見て、クローラユニット21の高さ方向に沿って配置し、後述する取付部材25に下端を接触させた状態で、走行部2に取り付ける。なお、
図3及び
図4には、説明のために、第一接続部12aと線状部材WL及び線状部材WRとを接続していない状態を示す。
また、線状部材WL及び線状部材WRは、例えば、
図4に示すように、クローラユニット21の高さ方向に沿って側面視で平行に配置し、取付部材25に下端を接触させた状態で、走行部2に取り付ける。
【0022】
二つの第一接続部12aは、それぞれ、クローラユニット21の長さ方向から見て、フレーム部22bよりも外側に配置されている。
したがって、二つの第一接続部12aは、線状部材WL及び線状部材WRがクローラユニット21の高さ方向に沿って側面視で平行に配列される位置に配置されている。
二つの第二接続部12bには、線状部材WL及び線状部材WRとは異なる線状部材Wであり、輸送に用いる機器(ヘリコプター等)に接続される線状部材Wの、下端を接続する。
また、二つの第二接続部12bは、それぞれ、クローラユニット21の長さ方向から見て、フレーム部22bよりも外側に配置されている。
【0023】
<走行部>
走行部2は、クローラユニット21と、駆動ユニット22を有する。
クローラユニット21は、クローラフレーム21aと、履帯21bと、駆動輪21cと、従動輪21dを備えており、駆動輪21c及び従動輪21dの回転によって履帯21bを移動(回転)させることで、クローラクレーン1を走行させる。
なお、クローラフレーム21aには、線状部材Wを取り付ける複数箇所(四箇所)のクローラ側吊り下げ部23aが形成されている。また、クローラフレーム21aには、機台フレーム4をクローラユニット21に取り付ける際に、位置決めのガイドとなるフレームピン24が固定されている。
【0024】
駆動ユニット22は、クローラユニット21よりも上方(鉛直方向で上方)に配置されており、油圧モータ(図示略)と、油圧ポンプ(図示略)と、駆動装置(図示略)と、運転席22aと、フレーム部22bを含む。すなわち、駆動装置は、クローラユニット21を駆動する装置である。
なお、駆動ユニット22とクローラユニット21とを接続するホース(油圧ホース)は、カプラー(図示略)を介して、着脱自在に接続される。
油圧モータは、クローラユニット21(駆動輪21c)を駆動するモータである。油圧ポンプは、油圧モータに圧油を供給するポンプである。駆動装置は、油圧ポンプを駆動する装置である。
【0025】
運転席22aは、クローラクレーン1の操縦者が座る座席である。
フレーム部22bは、クローラユニット21よりも上方に配置されており、駆動装置を下方(鉛直方向で下方)から支持する。さらに、フレーム部22bは、駆動ユニット22のうち、強度が高い下部構造物を形成している。なお、フレーム部22bには、前方及び後方に、例えば、溶接等を用いて、線状部材Wを取り付ける複数箇所(四箇所)のフレーム側吊り下げ部23bが形成されている。
また、フレーム部22bには、二つの取付部材25が接続される。すなわち、クローラクレーン1は、少なくとも二つの取付部材25を備える。
【0026】
二つの取付部材25は、それぞれ、線状部材WL及び線状部材WRの下端を取り付けることが可能な部材である。
また、二つの取付部材25は、それぞれ、クローラユニット21の長さ方向から見て、クローラユニット21の車幅方向で両側(右側及び左側)に配置されている。
また、取付部材25は、
図5及び
図6に示すように、ボス25aと、カラー部材25bと、ワッシャ25cと、ボルト25dを備える。
【0027】
ボス25aは、角柱にタップ穴を空けて形成されている。ボス25aの軸方向は、クローラユニット21の車幅方向と平行である。なお、ボス25aは、例えば、円筒状に形成してもよい。
ボス25aの外径面は、溶接により、フレーム部22bに固定されている。ボス25aの内径面には、雌ねじ(図示略)が形成されている。
【0028】
カラー部材25bは、一体成型によって、外径の異なる二つの円環状部材を重ねた形状に形成されており、外径が大きい部分の端面をフレーム部22bに接触させた状態で、ボス25aよりもクローラユニット21の車幅方向で外側に配置されている。
カラー部材25bのうち、外径が大きい部分の外径は、シンブルW2を含む環状部分の内径よりも大きい。
また、カラー部材25bのうち、外径が小さい部分は、シンブルW2を介してワイヤロープW1に形成された環状部分により包囲されている。
カラー部材25bの軸方向は、クローラユニット21の車幅方向と平行である。
【0029】
ワッシャ25cは、円環状に形成されており、厚さ方向をクローラユニット21の車幅方向と平行に向けた状態で、カラー部材25bよりもクローラユニット21の車幅方向で外側に配置されている。
また、ワッシャ25cは、カラー部材25bの外径が小さい部分の端面と面接触している。
ワッシャ25cの外径は、シンブルW2を含む環状部分の内径よりも大きい。
【0030】
ボルト25dは、例えば、頭部が六角柱状に形成され、ねじ部の外径面に雄ねじが形成されたボルトである。
ボルト25dのねじ部は、ワッシャ25cの貫通孔、カラー部材25bの貫通孔、フレーム部22bの貫通孔の順番で挿入して、雄ねじをボス25aの雌ねじに嵌めることで、取付部材25により、線状部材WL及び線状部材WRを、フレーム部22bに取り付ける。
【0031】
<機台フレーム>
機台フレーム4は、クローラクレーン1が備えるクレーン部の機台を形成している。
また、機台フレーム4の上面には、コラム41の基端部が、機台フレーム4に対して旋回自在に配置されている。
コラム41は、ウインチ42を備えている。
コラム41の先端部には、ブーム装置6が取り付けられている。
また、コラム41とブーム装置6との間には、後述するブーム62を起伏させるための起伏シリンダ43が取付けられている。
なお、機台フレーム4には、線状部材Wを取り付けるために、複数箇所の機台側吊り下げ部44が形成されている。
【0032】
<ブーム装置>
ブーム装置6は、伸縮可能且つ起伏可能なブーム62を備えており、コラム41の先端部に取り付けられている。
また、ブーム装置6は、滑車(図示略)を備える。
滑車は、ウインチ42に基端が固定されているワイヤロープが巻き付けられている。ワイヤロープの先端には、フック61が取付けられている。なお、滑車に巻き付けられているワイヤロープは、線状部材Wが備えるワイヤロープW1とは異なる。
なお、ブーム62には、線状部材Wを取り付けるために、複数箇所のブーム側吊り下げ部63が形成されている。
【0033】
<アウトリガ装置>
四つのアウトリガ装置8は、機台フレーム4に形成された四箇所のアウトリガ取付ブラケット45に対し、着脱自在に取付けられている。四箇所のアウトリガ取付ブラケット45は、それぞれ、平面視で、機台フレーム4のうち、クローラクレーン1の前後方向及び車幅方向に沿った四隅に配置されている。
なお、アウトリガ装置8には、線状部材Wを取り付けるために、複数箇所のアウトリガ側吊り下げ部81が形成されている。
【0034】
<クローラクレーンの輸送方法>
次に、
図1から
図6を参照しつつ、
図7から
図9を用いて、クローラクレーン1の輸送方法について説明する。
クローラクレーン1を輸送する際には、まず、工場等において、クローラクレーン1を、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、アウトリガ装置8に分解する。
分解した機台フレーム4は、
図7に示すように、機台側吊り下げ部44に線状部材Wを取り付け、ヘリコプター等により吊り下げて工事現場へ輸送する。なお、
図7では、線状部材Wを、構成を簡略化して図示している。
【0035】
分解したブーム装置6は、
図8に示すように、ブーム側吊り下げ部63に線状部材Wを取り付け、ヘリコプター等により吊り下げて工事現場へ輸送する。なお、
図8では、線状部材Wを、構成を簡略化して図示している。
分解したアウトリガ装置8は、
図9に示すように、アウトリガ側吊り下げ部81に線状部材Wを取り付け、ヘリコプター等により吊り下げて工事現場へ輸送する。なお、
図9では、線状部材Wを、構成を簡略化して図示している。
【0036】
また、分解した走行部2は、
図3及び
図4に示すように、クローラユニット21の長さ方向から見て、複数の線状部材Wのうち二本の線状部材W(線状部材WL及び線状部材WR)を、クローラユニット21の高さ方向に沿って配置する。さらに、線状部材WL及び線状部材WRの下端を、取付部材25を介して走行部2に取り付ける。具体的には、
図5に示すように、線状部材WL及び線状部材WRが備えるワイヤロープW1の下端に形成されている環状部分とシンブルW2に、カラー部材25bの外径が小さい部分を挿入する。さらに、カラー部材25bとワッシャ25cにより、シンブルW2を含む環状部分を挟む。そして、ボルト25dのねじ部を、ワッシャ25cの貫通孔、カラー部材25bの貫通孔、フレーム部22bの貫通孔の順番で挿入して、雄ねじをボス25aの雌ねじに嵌めることで、取付部材25により、線状部材WL及び線状部材WRをフレーム部22bに取り付ける。すなわち、線状部材WL及び線状部材WRの下端を、フレーム部22bに接続する取付部材25を介して、走行部2に取り付ける。
【0037】
これに加え、線状部材WL及び線状部材WRとは異なる線状部材Wの下端を、クローラユニット21の上面に取り付ける。具体的には、線状部材WL及び線状部材WRとは異なる線状部材Wの下端を、クローラ側吊り下げ部23aに取り付ける。
したがって、二つの取付部材25は、それぞれ、クローラユニット21の車幅方向で両側に配置され、且つクローラユニット21の高さ方向に沿って配列した線状部材WL及び線状部材WRの下端を取り付け可能である。また、二つの取付部材25は、それぞれ、クローラユニット21の車幅方向で両側に配置され、且つクローラユニット21の高さ方向に沿って側面視で平行に配列した線状部材WL及び線状部材WRの下端を取り付け可能である。
【0038】
さらに、線状部材WL及び線状部材WRの上端を、シャックル等を用いて、二つの第一接続部12aに接続する。これに加え、二つの第二接続部12bに、線状部材WL及び線状部材WRとは異なる線状部材Wを接続する。そして、走行部2を、ヘリコプター等により吊り下げて工事現場へ輸送する。すなわち、線状部材WL及び線状部材WRの上端を、輸送に用いる機器(ヘリコプター等)に接続し、ヘリコプター等を用いて、分解した状態の走行部2を複数の線状部材Wで吊り下げて輸送する。
【0039】
実施形態では、分解した走行部2を吊り下げる複数の線状部材Wのうち二本の線状部材W(線状部材WL及び線状部材WR)を、クローラユニット21の高さ方向に沿って配置する。これに加え、線状部材WL及び線状部材WRの下端を、フレーム部22bに接続する取付部材25を介して、走行部2に取り付ける。
したがって、実施形態の構成であれば、強度が高いフレーム部22bに線状部材WL及び線状部材WRを取り付けて、走行部2を吊り下げて輸送する。このため、工事現場の走行部2を置くスペースが、走行部2の幅に対して余裕が少ないスペースであっても、走行部2を置くことが可能となる。これにより、走行部2を置くために、広いスペースを確保する必要が無く、走行部2を置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能となる。
【0040】
<実施形態の作用及び効果>
実施形態のクローラクレーン1の輸送方法であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(1)複数の線状部材Wのうち少なくとも二本の線状部材W(線状部材WL及び線状部材WR)を、クローラユニット21の高さ方向に沿って配置する。これに加え、線状部材WL及び線状部材WRの下端を、フレーム部22bに接続する取付部材25を介して走行部2に取り付ける。さらに、線状部材WL及び線状部材WRの上端を、輸送に用いる機器に接続する。そして、輸送に用いる機器を用いて、分解した状態の走行部2を、複数の線状部材Wで吊り下げて輸送する。
【0041】
その結果、駆動ユニット22を置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能な、クローラクレーン1の輸送方法を提供することが可能となる。
また、駆動ユニット22を含めた、走行部2を置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能な、クローラクレーン1の輸送方法を提供することが可能となる。
また、クローラクレーン1に既存の構成であり、強度が高い下部構造物であるフレーム部22bに、取付部材25を介して、線状部材WL及び線状部材WRを取り付ける。
このため、走行部2を吊り下げるために、走行部2を補強するための新たな構成を追加する必要が無く、重量の増加を抑制することが可能となる。
【0042】
(2)線状部材WL及び線状部材WRとは異なる線状部材Wの下端を、クローラユニット21の上面に取り付ける。
その結果、駆動ユニット22に加え、クローラユニット21も線状部材Wで吊り下げることで、走行部2を輸送する際のバランスを向上させることが可能となる。
【0043】
実施形態の吊下げ部材10であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(3)駆動ユニット22の上方に配置する本体部11と、本体部11に固定され、線状部材WL及び線状部材WRの上端が接続される第一接続部12aと、本体部11に固定され、且つ輸送に用いる機器に接続される第二接続部12bを備える。そして、線状部材WL及び線状部材WRの下端は、フレーム部22bに接続する取付部材25を介して走行部2に取り付けられる。さらに、二つの第一接続部12aは、線状部材WL及び線状部材WRがクローラユニット21の高さ方向に沿って配列される位置に、配置されている。
【0044】
その結果、駆動ユニット22を置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能な、クローラクレーン1の吊下げ部材10を提供することが可能となる。
また、駆動ユニット22を含めた、走行部2を置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能な、クローラクレーン1の吊下げ部材10を提供することが可能となる。
また、クローラクレーン1に既存の構成であり、強度が高い下部構造物であるフレーム部22bに、取付部材25を介して、線状部材WL及び線状部材WRを取り付ける。
このため、走行部2を吊り下げるために、走行部2を補強するための新たな構成を追加する必要が無く、重量の増加を抑制することが可能となる。
【0045】
(4)本体部11は、柱状又は筒状に形成され、且つ駆動ユニット22の上方において、分解した状態の走行部2におけるクローラユニット21の車幅方向と平行に配置される。
その結果、線状部材WL及び線状部材WRが、駆動ユニット22の上部構造物に接触することなく、吊り上げ作業を行うことが可能となる。
【0046】
実施形態のクローラクレーン1であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(5)フレーム部22bに接続する少なくとも二つの取付部材25を備える。そして、二つの取付部材25は、それぞれ、クローラユニット21の車幅方向で両側に配置され、且つクローラユニット21の高さ方向に沿って配列した線状部材WL及び線状部材WRの下端を取り付け可能である。
その結果、駆動ユニット22を置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能な、クローラクレーン1を提供することが可能となる。
また、駆動ユニット22を含めた、走行部2を置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能な、クローラクレーン1を提供することが可能となる。これに加え、取付部材25が着脱可能な構造であるため、吊り上げ作業が不要な状況では取付部材25を取り外しておくことにより、機体の全幅が増加することを回避することが可能となる。
また、クローラクレーン1に既存の構成であり、強度が高い下部構造物であるフレーム部22bに、取付部材25を介して、線状部材WL及び線状部材WRを取り付ける。
このため、走行部2を吊り下げるために、走行部2を補強するための新たな構成を追加する必要が無く、重量の増加を抑制することが可能となる。
【0047】
<変形例>
(1)実施形態では、走行部2を吊り下げて輸送したが、これに限定するものではない。すなわち、走行部2を、クローラユニット21と、駆動ユニット22とに分解し、例えば、
図10から
図12に示すように、分解した状態のクローラユニット21と駆動ユニット22とを、異なる線状部材Wで別個に吊り下げて輸送してもよい。なお、駆動ユニット22の吊り下げに用いる吊下げ部材10の構成は、走行部2の吊り下げに用いる吊下げ部材10の構成と同様である。
この場合であっても、駆動ユニット22を置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能な、クローラクレーン1の輸送方法を提供することが可能となる。
【0048】
さらに、クローラユニット21と駆動ユニット22とを、別個に吊り下げて輸送することで、走行部2を輸送する際に発生する負荷を分散させることが可能となる。このため、例えば、クローラユニット21の重量が約860[kg]であり、駆動ユニット22の重量が約550[kg]である場合、走行部2の重量は約1410[kg]となるところ、重量を分散させて輸送することが可能となる。
したがって、クローラユニット21と駆動ユニット22に分解しない状態の走行部2を吊り下げて輸送する場合と比較して、小型のヘリコプターを輸送に用いることが可能となり、輸送の自由度を向上させることが可能となる。
【0049】
また、分解した状態のクローラユニット21と駆動ユニット22とを、異なる線状部材Wで別個に吊り下げて輸送する場合、
図10に示すように、フレーム部22bに支持部材26を取り付けた状態で、駆動ユニット22を吊り下げて輸送してもよい。
支持部材26は、例えば、角柱状に形成されており、駆動ユニット22よりも下方へ突出する部材である。
この場合、支持部材26により、フレーム部22bを接地させずに駆動ユニット22を工事現場等に置くことが可能となるため、クローラユニット21と駆動ユニット22を組み立てて走行部2を形成する際の、作業効率を向上させることが可能となる。
【0050】
(2)実施形態では、吊下げ部材10の構成を、複数の線状部材Wを介して走行部2を吊り下げる構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、分解した状態の走行部2を、さらに、クローラユニット21と、駆動ユニット22とに分解し、例えば、
図10に示すように、分解した状態の駆動ユニット22を輸送する際に、複数の線状部材Wを介して駆動ユニット22を吊り下げる構成としてもよい。
【0051】
この場合、吊下げ部材10の構成は、駆動ユニット22の上方に配置する本体部11と、本体部11に固定され、前方に配置される二本の線状部材Wの上端が接続され、前方に配置される第一接続部12aと、後方に配置される二本の線状部材Wの上端が接続され、後方に配置される第一接続部12aとを備える構成とする。これに加え、本体部11に固定され、輸送に用いる機器に接続される第二接続部12bを備える構成とする。そして、前方に配置される二本の線状部材Wの下端が、二箇所のフレーム側吊り下げ部23bを介して駆動ユニット22に取り付けられているとともに、後方に配置される二本の線状部材Wの下端が、二箇所のフレーム側吊り下げ部23bに取り付けられている構成とする。さらに、二つの第一接続部12aが、線状部材Wがクローラユニット21の高さ方向に沿って配列される位置に配置されている構成とする。また、前方に配置される二本の線状部材Wと、後方に配置される二本の線状部材Wは、共に、クローラユニット21の高さ方向に沿って側面視で平行に配置する。
【0052】
この場合であっても、駆動ユニット22を置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能な、吊下げ部材10を提供することが可能となる。
さらに、クローラユニット21と駆動ユニット22とを、別個に吊り下げて輸送することで、走行部2を輸送する際に発生する負荷を分散させることが可能となる。
したがって、クローラユニット21と駆動ユニット22に分解しない状態の走行部2を吊り下げて輸送する場合と比較して、小型のヘリコプターを輸送に用いることが可能となり、輸送の自由度を向上させることが可能となる。
また、
図10に示すように、駆動ユニット22を吊り下げて輸送する場合、本体部11を、駆動ユニット22の上方において、分解した状態の走行部2におけるクローラユニット21の前後方向と平行に配置してもよい。この場合であっても、線状部材WL及び線状部材WRが、駆動ユニット22の上部構造物に接触することなく、吊り上げ作業を行うことが可能となる。
【0053】
(3)実施形態では、駆動ユニット22の構成を、油圧モータと、油圧ポンプと、駆動装置と、運転席22aと、フレーム部22bを含む構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、駆動ユニット22の構成を、例えば、
図13に示すように、油圧モータと、油圧ポンプと、駆動装置と、運転席22aと、フレーム部22bに加え、制御盤28を含む構成としてもよい。そして、例えば、
図13に示すように、分解した状態の駆動ユニット22を輸送する際に、複数の線状部材Wを介して駆動ユニット22を吊り下げる構成としてもよい。
【0054】
制御盤28は、箱型のカバーで覆われており、運転席22aの後方に配置されている。
この場合、吊下げ部材10の構成は、駆動ユニット22の上方に配置する本体部11と、本体部11に固定され、前方に配置される二本の線状部材Wの上端が接続され、前方に配置される第一接続部12aと、後方に配置される一本の線状部材Wの上端が接続され、後方に配置される第一接続部12aとを備える構成とする。これに加え、本体部11に固定され、輸送に用いる機器に接続される第二接続部12bを備える構成とする。そして、前方に配置される二本の線状部材Wの下端が、二箇所のフレーム側吊り下げ部23bを介して駆動ユニット22に取り付けられているとともに、後方に配置される一本の線状部材Wの下端が、吊り上げ用後方ブラケット27を介して駆動ユニット22に取り付けられている構成とする。さらに、二つの第一接続部12aが、線状部材Wがクローラユニット21の高さ方向に沿って配列される位置に配置されている構成とする。なお、吊り上げ用後方ブラケット27は、後方に配置されている二箇所のフレーム側吊り下げ部23bに、シャックル等(図示略)を介して接続されている。また、吊り上げ用後方ブラケット27には、線状部材Wを取り付け可能な孔である吊り上げ用引掛け穴部が形成されている。
【0055】
この場合であっても、駆動ユニット22を置くために必要なスペースの増加を抑制することが可能な、吊下げ部材10を提供することが可能となる。
さらに、クローラユニット21と駆動ユニット22とを、別個に吊り下げて輸送することで、走行部2を輸送する際に発生する負荷を分散させることが可能となる。
したがって、クローラユニット21と駆動ユニット22に分解しない状態の走行部2を吊り下げて輸送する場合と比較して、小型のヘリコプターを輸送に用いることが可能となり、輸送の自由度を向上させることが可能となる。
【0056】
(4)実施形態では、駆動ユニット22の構成を、油圧モータと、油圧ポンプと、駆動装置と、運転席22aと、フレーム部22bを含む構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、駆動ユニット22の構成を、例えば、
図10や
図13に示すように、油圧モータと、油圧ポンプと、駆動装置と、運転席22aと、フレーム部22bに加え、支持部材26を含む構成としてもよい。
支持部材26は、例えば、角柱状に形成されている。また、支持部材26は、フレーム部22bが備えており、駆動ユニット22よりも下方へ突出する部材である。
この場合、支持部材26により、フレーム部22bを接地させずに駆動ユニット22を工事現場等に置くことが可能となるため、クローラユニット21と駆動ユニット22を組み立てて走行部2を形成する際の、作業効率を向上させることが可能となる。
【0057】
(5)実施形態では、吊下げ部材10の構成を、複数の線状部材Wを介して走行部2を吊り下げる構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、分解した状態の走行部2を、さらに、クローラユニット21と、駆動ユニット22とに分解し、例えば、
図14に示すように、分解した状態の駆動ユニット22を輸送する際に、フレーム部22bに四つの取付部材25を接続し、複数の線状部材Wを介して駆動ユニット22を吊り下げる構成としてもよい。なお、
図14には、四つの取付部材25のうち、二つの取付部材25のみを図示している。また、
図14では、一部の構成を簡略化して図示している。
また、
図14に示すように、駆動ユニット22を吊り下げて輸送する場合、本体部11を、駆動ユニット22の上方において、分解した状態の走行部2におけるクローラユニット21の車幅方向と平行に配置してもよい。この場合であっても、線状部材WL及び線状部材WRが、駆動ユニット22の上部構造物に接触することなく、吊り上げ作業を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 クローラクレーン
2 走行部
21 クローラユニット
21a クローラフレーム
21b 履帯
21c 駆動輪
21d 従動輪
22 駆動ユニット
22a 運転席
22b フレーム部
23a クローラ側吊り下げ部
23b フレーム側吊り下げ部
24 フレームピン
25 取付部材
25a ボス
25b カラー部材
25c ワッシャ
25d ボルト
26 支持部材
27 吊り上げ用後方ブラケット
28 制御盤
4 機台フレーム
41 コラム
42 ウインチ
43 起伏シリンダ
44 機台側吊り下げ部
45 アウトリガ取付ブラケット
6 ブーム装置
61 フック
62 ブーム
63 ブーム側吊り下げ部
8 アウトリガ装置
81 アウトリガ側吊り下げ部
10 吊下げ部材
11 本体部
12a 第一接続部
12b 第二接続部
W 線状部材
WL 線状部材
WR 線状部材
W1 ワイヤロープ
W2 シンブル
W3 クランプ管