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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060220
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】除湿剤収容具
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
B01D53/26 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167455
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】小金井 隆志
(72)【発明者】
【氏名】長野 雄行
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA09
4D052CA03
4D052CA06
4D052CA08
4D052HA12
4D052HA39
(57)【要約】
【課題】除湿剤の使用終期、すなわち、交換時期を簡単に判断できる除湿剤収容具を提供すること。
【解決手段】空気中の水分を吸収する除湿薬剤1201を含む除湿剤12と、除湿剤12を収容する収容袋14と、収容袋14の上端を支持しハンガーロッドなどの被係止部に吊り下げ可能な支持部材16とを備えた除湿剤収容具10Aである。被係止部に支持部材16が吊り下げられた状態で、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収する前の状態では支持部材16を第1の形態に維持させると共に除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収した状態では吸収した水分の重量により支持部材16を第1の形態から第2の形態に変形させる変形誘発部24Aが支持部材16に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の水分を吸収する除湿薬剤を含む除湿剤と、前記除湿剤を収容する収容袋と、前記収容袋を支持し被係止部に吊り下げ可能な支持部材とを備えた除湿剤収容具であって、
前記被係止部に前記支持部材が吊り下げられた状態で、前記除湿薬剤が所定の水分量を吸収する前の状態では前記支持部材を第1の形態に維持させると共に前記除湿薬剤が所定の水分量を吸収した状態では吸収した水分の重量により前記支持部材を前記第1の形態から第2の形態に変形させる変形誘発部が前記支持部材に設けられている、
ことを特徴とする除湿剤収容具。
【請求項2】
前記支持部材は、前記収容袋を支持する支持体と、前記支持体から突設され前記被係止部に係止可能なフックとを有し、
前記変形誘発部は前記支持体に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の除湿剤収容具。
【請求項3】
前記収容袋は、幅と高さとを有し、
前記支持体は前記収容袋の前記高さ方向の上端で前記幅方向に沿って延在し、
前記フックは、前記支持体の長手方向の中央に設けられ、
前記変形誘発部は、前記支持体の長手方向において前記フックが設けられた箇所の両側に一対設けられ、
前記一対の変形誘発部の間の前記支持体の箇所を静止部とし、前記支持体の長手方向において前記静止部よりも外側の箇所を一対の変位部とすると、
前記支持体が前記収容袋を支持する支持部は、前記変位部にそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載の除湿剤収容具。
【請求項4】
前記変形誘発部は、前記静止部に対して前記一対の変位部を水平方向または上下方向に変位させるように構成されている、
ことを特徴とする請求項3記載の除湿剤収容具。
【請求項5】
前記支持部材は、前記収容袋を支持する支持体と、前記支持体から突設され前記被係止部に係止可能なフックとを有し、
前記変形誘発部は前記フックに設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の除湿剤収容具。
【請求項6】
前記変形誘発部は、前記変形誘発部に接続され前記変形誘発部が設けられていない他の箇所に比べて剛性を小さくすることで形成されている、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の除湿剤収容具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガーロッドなどの被係止部に吊り下げられて使用される除湿剤収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
洋服ダンスのハンガーロッドや、更衣室のロッカーの内面に貼着されたL字状の係止具などの被係止部に吊り下げられて使用される除湿剤収容具が提供されている。
この種の除湿剤収容具は、空気中の水分を吸収する除湿剤と、除湿剤を収容する収容袋と、被係止部に係止可能なフックを有し収容袋を支持する支持部材とを備えている。
そして、除湿剤の多くは、空気中の水分を吸収する除湿薬剤と、除湿薬剤が吸湿した吸湿液の漏れを防止する目的の増粘剤が配合され、液状化した吸湿液を増粘剤がゼリー状に増粘させている。
また、除湿剤を収容する収容袋は、表面部と背面部とが接合されることで構成され、表面部の多くは、商品名や効用、広告などが印刷できるように水分の透過を不能とした透明な素材で形成され、背面部は、不透明な透湿性非透水シートで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-165693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、従来の除湿剤収容具では、除湿剤収容具の使用終期すなわち交換時期を判断するに際して、ハンガーロッドやL字状の係止具などの被係止部から除湿剤収容具を取り外し、収容袋の透明な表面部からゼリー状になっているか否かを視認する必要があり、除湿剤の使用終期、すなわち、交換時期を簡単に判断できない不具合があった。
本発明はこのような事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、除湿剤の使用終期、すなわち、交換時期を簡単に判断できる除湿剤収容具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の一実施の形態は、空気中の水分を吸収する除湿薬剤を含む除湿剤と、前記除湿剤を収容する収容袋と、前記収容袋を支持し被係止部に吊り下げ可能な支持部材とを備えた除湿剤収容具であって、前記被係止部に前記支持部材が吊り下げられた状態で、前記除湿薬剤が所定の水分量を吸収する前の状態では前記支持部材を第1の形態に維持させると共に前記除湿薬剤が所定の水分量を吸収した状態では吸収した水分の重量により前記支持部材を前記第1の形態から第2の形態に変形させる変形誘発部が前記支持部材に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記支持部材は、前記収容袋を支持する支持体と、前記支持体から突設され前記被係止部に係止可能なフックとを有し、前記変形誘発部は前記支持体に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記収容袋は、幅と高さとを有し、前記支持体は前記収容袋の前記高さ方向の上端で前記幅方向に沿って延在し、前記フックは、前記支持体の長手方向の中央に設けられ、前記変形誘発部は、前記支持体の長手方向において前記フックが設けられた箇所の両側に一対設けられ、前記一対の変形誘発部の間の前記支持体の箇所を静止部とし、前記支持体の長手方向において前記静止部よりも外側の箇所を一対の変位部とすると、前記支持体が前記収容袋を支持する支持部は、前記変位部にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記変形誘発部は、前記静止部に対して前記一対の変位部を水平方向または上下方向に変位させるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記支持部材は、前記収容袋を支持する支持体と、前記支持体から突設され前記被係止部に係止可能なフックとを有し、前記変形誘発部は前記フックに設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記変形誘発部は、前記変形誘発部に接続され前記変形誘発部が設けられていない他の箇所に比べて剛性を小さくすることで形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、除湿剤収容具の使用者は、除湿剤収容具の交換時期を判断するに際して、ハンガーロッドなどの被係止部から除湿剤収容具を取り外す必要がなく、また、粒状の除湿剤がゼリー状に変化しているか否かを視認する必要もなく、吊り下げられた状態の除湿剤収容具が第1の形態から第2の形態に変化したか否かを視認することで除湿剤収容具が使用終期に至り交換時期となったことを判断できる。
すなわち、除湿剤収容具の使用者は、ハンガーロッドなどの被係止部に吊り下げられた状態の除湿剤収容具の外観を単に見ることで、除湿剤収容具が交換時期となったことを簡単に判断できる。
また、本発明の一実施の形態では、収容袋を支持する支持体を第1の形態から第2の形態に変化させてもよく、あるいは、支持体から突設されたフックを第1の形態から第2の形態に変化させてもよく、あるいは、支持体とフックの双方を第1の形態から第2の形態に変化させてもよい。
また、第1の形態から第2の形態に変化させる変形誘発部を支持体に一対を設ける場合、フックを支持体の長手方向の中央に設け、フックが設けられた支持体の箇所の両側に変形誘発部を一対設け、支持体が収容袋を支持する支持部を両側の変位部にそれぞれ設けると、使用終期において一対の変位部をそれぞれ変形させた第2の形態にすることができる。
この場合、第2の形態では、静止部に対して一対の変位部を水平方向または上下方向に変位させることができる。
変形誘発部は、具体的には、変形誘発部に接続され変形誘発部が設けられていない他の箇所に比べて剛性を小さくすることで簡単に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態の使用初期における除湿剤収容具の説明図で、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は側面図である。
図2】第1の実施の形態の使用終期における除湿剤収容具の説明図で、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は側面図である。
図3】第2の実施の形態の使用初期における除湿剤収容具の説明図で、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は側面図である。
図4】第2の実施の形態の使用終期における除湿剤収容具の説明図で、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は側面図である。
図5】第3の実施の形態の使用初期における除湿剤収容具の説明図で、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は側面図である。
図6】第3の実施の形態の使用終期における除湿剤収容具の説明図で、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は側面図である。
図7】第4の実施の形態の使用初期における除湿剤収容具の説明図で、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は側面図である。
図8】第4の実施の形態の使用終期における除湿剤収容具の説明図で、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
まず、図1図2を参照して第1の実施の形態から説明する。
第1の実施の形態の除湿剤収容具10Aは、図1に示すように、除湿剤12と、除湿剤12を収容する収容袋14と、収容袋14の上端を支持し被係止部に吊り下げ可能な支持部材16とを備えている。
除湿剤12は、本実施の形態では、空気中の水分を吸収する除湿薬剤1201と、除湿薬剤1201が吸湿した液状化した吸湿液をゼリー状に増粘させる増粘剤1202とを含んで構成されている。
無論、除湿剤12を除湿薬剤1201のみで構成するなど任意である。
除湿薬剤1201は空気中の水分を吸収するものであり、粒状を呈し、水分を吸収すると水溶液となり、増粘剤1202と混ざることでゼリー状になり、重量増となる。
除湿薬剤1201には、塩化カルシウムなどの潮解性薬剤を含む従来公知の様々な薬剤が使用可能である。
また、増粘剤1202には、でんぷんや、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ソーダ、ポリアクリルアミド、天然ガム類等水溶性ポリマーなど従来公知の様々なものが使用可能である。
【0009】
収容袋14は幅と高さとを有し、長方形状の表面部1402と背面部1404とが接合されることで構成されている。
詳細には、表面部1402の周囲と背面部1404の周囲、表面部1402と背面部1404の高さ方向の中間部とが接合され、表面部1402と背面部1404の間に除湿剤12が収容された収容部1406が2つ上下に並べられて設けられ、収容袋14の上端には上端接合部1408が幅方向に直線状に延在している。
表面部1402は、気体(空気)および水分の透過を不能とした素材で形成されている。このような素材として、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルなど従来公知の様々な材料が使用可能である。
表面部1402には、商品名や効用、広告などが印刷されている。
背面部1404は、除湿剤12が空気中の水分を吸収できるように透湿非透水性シートで形成されている。
透湿性非透水シートとしては、一般に透湿性非透水シートとして使用されている微多孔膜、例えばセルポア(住化積水フィルム(株))、NFシート((株)トクヤマ)、ブレスロン(日東電工(株))等の商品名で市販されているものや、ウレタンフィルムなど従来公知の様々なものを使用することができる。
なお、本発明では、除湿剤収容具10Aの使用終期すなわち交換時期を後述するように支持部材16の形態変化で判断することから、表面部1402と背面部1404が透明な素材で形成されているか否か不透明な素材で形成されているか否かを問わず、透明、不透明な素材の何れも採用可能である。
【0010】
支持部材16は、収容袋14の上端接合部1408を支持する支持体20と、支持体20から突設され被係止部に係止可能なフック22とを有している。
支持部材16は合成樹脂製であり、型により一体成形されている。
支持体20は、上下に細長の断面形状を有して直線状に延在している。
フック22は支持体20の長手方向の中央から上方に突設されている。
フック22は、洋服ダンスのハンガーロッドや、更衣室のロッカーの内面に貼着されたL字状の係止具などの被係止部に吊り下げられる箇所である。
【0011】
支持体20が収容袋14を支持する支持部2002は、支持体20の長手方向の両側にそれぞれ設けられている。
支持部2002は、支持体20の長手方向の両側から下方に突設された前アーム2002Aと、支持体20の背面の上端を支点として揺動可能に設けられた後アーム2002Bとを備えている。
そして、前アーム2002Aの下部から突設されたピン2002Cを収容袋14の上端接合部1408に貫通させ、上端接合部1408から突出するピン2002Cの先部を後アーム2002Bの不図示の嵌合孔に嵌合し、この状態で前アーム2002Aと後アーム2002Bとにより上端接合部1408を挟持することで上端接合部1408を支持する。なお、支持体20が収容袋14を支持する支持部2002の構造は、上記構造に限定されず、従来公知の様々な構造が採用可能である。
【0012】
そして、ハンガーロッドやL字状の係止具などの被係止部にフック22を介して支持部材16が吊り下げられた状態で、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収する前の状態では支持部材16を図1に示す第1の形態に維持させると共に、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収した状態では吸収した水分の重量により支持部材16を第1の形態から図2に示す第2の形態に変形させる変形誘発部24Aが支持部材16に設けられている。
ここで、除湿薬剤1201が吸収する所定の水分量とは、例えば、除湿薬剤1201の吸湿量が飽和状態に達している状態の他、除湿薬剤1201の吸湿量が飽和状態の8割程度の吸湿量、あるいは、除湿薬剤1201の吸湿量が飽和状態の9割程度の吸湿量となり、増粘剤1202によりゼリー状になった状態に設定するなど、任意に設定可能である。
本実施の形態では、変形誘発部24Aは支持体20に設けられている。
詳細には、変形誘発部24Aは、支持体20の長手方向においてフック22が設けられた箇所の両側に一対設けられている。
ここで、一対の変形誘発部24Aの間の支持体20の箇所を静止部2004とし、支持体20の長手方向において静止部2004よりも外側の箇所を一対の変位部2006とすると、収容袋14を支持する支持部2002は、変位部2006にそれぞれ設けられている。
すなわち、除湿薬剤1201が水分を吸収することで重量増となった荷重が、一対の変形誘発部24Aに均等に作用するように設けられている。
【0013】
変形誘発部24Aは、図1(A)、(B)に示すように、収容袋14の表面部1402の前方に開放状の欠部2402を設けることで薄肉部2404を形成し、変形誘発部24Aに接続され変形誘発部24Aが設けられていない他の支持体20の箇所に比べて剛性を小さくすることで形成されている。
本実施の形態では、変形誘発部24Aは、静止部2004に対して一対の変位部2006をほぼ水平方向変位させるように構成されている。
詳細には、変形誘発部24Aは、一対の変位部2006が変形誘発部24Aから離れるにつれて次第に下方に変位する傾斜で収容袋14の背面部1404方向に延在させるように構成されている。
【0014】
次に、第1の実施の形態の除湿剤収容具10Aの使用方法について説明する。
市場流通時には、除湿剤収容具10Aは非透湿性の袋や容器内に、除湿剤12に湿気や水が接することがない状態に封入されており、除湿剤収容具10Aの購入者は、非透湿性の袋や容器から除湿剤収容具10Aを取り出し、フック22を被係止部に係止させて除湿剤収容具10Aを吊り下げる。
この状態で除湿剤収容具10Aは、図1に示すように支持体20が直線状に延在する第1の形態を呈している。
使用に伴って除湿薬剤1201が空気中の水分を吸収することで、除湿剤収容具10Aの体積と重量は増えていき、その重量が変形誘発部24Aに作用するものの、支持体20が直線状に延在する第1の形態は、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収する前の状態まで維持される。
やがて、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収すると、吸収した水分の重量が変形誘発部24Aに作用することで、変形誘発部24Aが次第に変形していき、支持体20が直線状に延在する第1の形態から、図2に示すように静止部2004に対して一対の変位部2006を収容袋14の背面部1404方向に変位させ、支持体20が屈曲状に延在する第2の形態に変形させる。
【0015】
すなわち、静止部2004は静止した姿勢を維持しつつ、変形誘発部24Aの欠部2402が開いていき、一対の変位部2006が薄肉部2404を支点として収容袋14の背面部1404方向に揺動する方向に変位していく。
図2に示すように、第2の形態では、静止部2004は静止した姿勢を維持しており、一対の変位部2006は変形誘発部24Aから離れるにつれて次第に下方に変位する傾斜で薄肉部2404を支点として左右対称に収容袋14の背面部1404方向に揺動する。
したがって、除湿剤収容具10Aの購入者、すなわち使用者は、除湿剤収容具10Aの外観を見ることで、第1の形態から第2の形態に変形したことを簡単に認識できる。
したがって、使用者は、除湿剤収容具10Aを被係止部から取り外す作業と、収容袋14に収容されている除湿薬剤1201がゼリー状であるか否かを視認する作業の双方の作業を省略でき、被係止部に吊り下げられた状態の除湿剤収容具10Aの外観を単に見ることで、除湿剤収容具10Aが使用終期に至り交換時期となったことを簡単に判断できる。
【0016】
(第2の実施の形態)
次に、図3図4を参照して第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な箇所、部材について同一の符号を付してその説明を簡略または省略し、異なった箇所を重点的に説明する。
第2の実施の形態の除湿剤収容具10Bでは、変形誘発部24Bの構造が第1の実施の形態と異なっている。
図3(A)、(B)に示すように、一対の変形誘発部24Bのうちの一方は、収容袋14の表面部1402の前方に開放状の欠部2402と薄肉部2404とで形成され、一対の変形誘発部24Bのうちの他方は、収容袋14の背面部1404の後方に開放状の欠部2402と薄肉部2404とで形成され、共に、変形誘発部24Bに接続され変形誘発部24Bが設けられていない他の支持体20の箇所に比べて剛性を小さくすることで形成されている。
本実施の形態では、図4に示すように、変形誘発部24Bは、静止部2004に対して一対の変位部2006を互いに逆向きでほぼ水平方向変位させるように構成されている。
第2の実施の形態でも第1の実施の形態と同様に、使用に伴って除湿薬剤1201が空気中の水分を吸収することで、除湿剤収容具10Bの体積と重量は増えていき、その重量が変形誘発部24Bに作用するものの、支持体20が直線状に延在する第1の形態は、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収する前の状態まで維持される。
【0017】
やがて、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収すると、吸収した水分の重量が変形誘発部24Bに作用することで、変形誘発部24Bが次第に変形していき、支持体20が直線状に延在する第1の形態から図4に示す屈曲状に延在する第2の形態に変形させる。
すなわち、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収すると、静止部2004は静止した姿勢を維持しつつ、変形誘発部24Bの欠部2402が開いていき、一対の変位部2006のうちの一方の変位部2006は変形誘発部24Bから離れるにつれて薄肉部2404を支点として次第に下方に変位する傾斜で収容袋14の表面部1402方向に揺動する方向に変位し、他方の変位部2006は変形誘発部24Bから離れるにつれて薄肉部2404を支点として次第に下方に変位する傾斜で収容袋14の背面部1404方向に揺動する方向に変位する。
したがって、除湿剤収容具10Bの購入者、すなわち使用者は、被係止部に吊り下げられた状態の除湿剤収容具10Bの外観を単に見ることで、第1の形態から第2の形態に変形したことを簡単に認識でき、このような第2の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0018】
(第3の実施の形態)
次に、図5図6を参照して第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態の除湿剤収容具10Cでは、変形誘発部24Cの構造が第1、第2の実施の形態と異なっている。
図5(A)、(B)に示すように、一対の変形誘発部24Cは、上方に開放状の欠部2412と、下方に開放状の欠部2412と、それら欠部2412の底部の間に位置すると薄肉部2414とで形成され、一対の変形誘発部24Cは、変形誘発部24Cに接続され変形誘発部24Cが設けられていない他の支持体20の箇所に比べて剛性を小さくすることで形成されている。
本実施の形態では、図6に示すように、変形誘発部24Cは、静止部2004に対して一対の変位部2006を下方に変位させるように構成されている。
第3の実施の形態でも第1、第2の実施の形態と同様に、使用に伴って除湿薬剤1201が空気中の水分を吸収することで、除湿剤収容具10Cの体積と重量は増えていき、その重量が変形誘発部24Cに作用するものの、支持体20が直線状に延在する第1の形態は、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収する前の状態まで維持される。
【0019】
やがて、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収すると、吸収した水分の重量が変形誘発部24Cに作用することで、変形誘発部24Cが次第に変形していき、支持体20が直線状に延在する第1の形態から、図6に示す屈曲状に延在する第2の形態に変形させる。
すなわち、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収すると、静止部2004は静止した姿勢を維持しつつ、変形誘発部24Cの上側の欠部2412が開いていくと共に下側の欠部2412が閉じていき、一対の変位部2006は変形誘発部24Cから離れるにつれて薄肉部2414を支点として次第に下方に変位する傾斜で揺動する方向に変位する。
したがって、除湿剤収容具10Cの購入者、すなわち使用者は、被係止部に吊り下げられた状態の除湿剤収容具10Cの外観を単に見ることで、第1の形態から第2の形態に変形したことを簡単に認識でき、このような第3の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
なお、第1から第3の実施の形態において、除湿薬剤1201と増粘剤1202との配合分布などによっては、図2図4図6に示す形態とは異なった形態で変形する場合も考えられる。例えば、第1の実施の形態では、図2に示すように静止部2004に対して一対の変位部2006が収容袋14の背面部1404方向に変位せずに、一方の変位部2006が収容袋14の表面部1402方向に変位したり、第2の実施の形態では、図4に示すように一対の変位部2006が互いに逆方向に変位せずに、同じ方向に変位したり、第3の実施の形態では、図6に示すように一対の変位部2006が下方に変位せずに、一方の変位部2006のみが下方に変位するなどである。
【0020】
(第4の実施の形態)
次に、図7図8を参照して第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態の除湿剤収容具10Dでは変形誘発部24Dを支持体20ではなく、フック22に設けている点が第1~第3の実施の形態と異なっている。
図7(A)に示すように、フック22は、ハンガーロッドやL字状の係止具などの被係止部に係止可能な開口部2202Aを有し一つの円の円周の3/4程度延在する円弧部2202と、円弧部2202の上端の直下に位置する円弧部2202の下端から下方に突設され静止部2004に接続される直線部2204とを有している。
第4の実施の形態では、図7(A)に示す一つの円の円周の3/4程度延在する円弧部2202と、円弧部2202の下端から下方に突設された直線部2204とからなるフック22の形状が第1の形態である。
変形誘発部24Dは、円弧部2202の側部と、円弧部2202と直線部2204との境の箇所の2箇所に設けられている。
それら変形誘発部24Dは、円弧部2202の半径方向外側に開放状の欠部2422と、欠部2422の底部に位置すると薄肉部2424とで形成され、一対の変形誘発部24Dは、変形誘発部24Dに接続され変形誘発部24Dが設けられていない他のフック22の箇所に比べて剛性を小さくすることで形成されている。
【0021】
第4の実施の形態でも第1~第3の実施の形態と同様に、使用に伴って除湿薬剤1201が空気中の水分を吸収することで、除湿剤収容具10Dの体積と重量は増えていき、その重量が変形誘発部24Dに作用するものの、フック22は、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収する前の状態まで第1の形態に維持される。
やがて、除湿薬剤1201が所定の水分量を吸収すると、吸収した水分の重量が2つの変形誘発部24Dに作用することで、2つの変形誘発部24Dが次第に変形していき、フック22に設けられた上側と下側の変形誘発部24Dの欠部2422が開いていき、また、開口部2202Aも開いていく。
そして、円弧部2202の上端の下方に位置していた円弧部2202の下端はなくなり、円弧部2202は一つの円の円周の1/2程度延在する円弧部2202となり、円弧部2202と直線部2204との境の屈曲形状も緩やかな屈曲形状となり、第2の形態では、一つの円の円周の1/2程度延在する円弧部2202の部分以外は、緩やかに伸ばされた屈曲形状となる。
したがって、除湿剤収容具10Dの購入者、すなわち使用者は、被係止部に吊り下げられた状態の除湿剤収容具10Dの外観を単に見ることで、除湿剤収容具10Dの外観を見ることで、第1の形態から第2の形態に変形したことを簡単に認識でき、このような第4の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0022】
なお、本発明では、変形誘発部24A~24Dを欠部2402、2412、2422と薄肉部2404、2414、2424で構成した場合について説明したが、変形誘発部24は、支持体20やフック22に設けた切れ目などで構成してもよく、変形誘発部には従来公知の様々な構造が採用可能である。
また、本発明の一実施の形態によれば、変形誘発部24A~24Dを、支持体20に設けた場合とフック22に設けた場合について説明したが、変形誘発部24A~24Dを支持体20とフック22の双方に設けるなど任意である。
【符号の説明】
【0023】
10A、10B、10C、10D 除湿剤収容具
12 除湿剤
1201 除湿薬剤
1202 増粘剤
14 収容袋
1402 表面部
1404 背面部
1406 収容部
1408 上端接合部
16 支持部材
20 支持体
2002 支持部
2002A 前アーム
2002B 後アーム
2002C ピン
2004 静止部
2006 変位部
22 フック
2202 円弧部
2202A 開口部
2204 直線部
24A、24B、24C、24D 変形誘発部
2402、2412、2422 欠部
2404、2414、2424 薄肉部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8