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特開2024-60234コンクリートカッター用ブレードカバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060234
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】コンクリートカッター用ブレードカバー
(51)【国際特許分類】
   B28D 1/04 20060101AFI20240424BHJP
   B28D 7/02 20060101ALI20240424BHJP
   E01C 23/09 20060101ALN20240424BHJP
【FI】
B28D1/04 A
B28D7/02
E01C23/09 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167480
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】596105208
【氏名又は名称】第一カッター興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河野 允告
(72)【発明者】
【氏名】内田 健
【テーマコード(参考)】
2D053
3C069
【Fターム(参考)】
2D053AA26
2D053BA03
3C069AA01
3C069BA04
3C069BC05
3C069CA07
3C069DA07
3C069EA01
(57)【要約】
【課題】コンクリートカッターによるコンクリートの施工面の切断施工中にブレードカバー内で発生する切断粉や切削屑などを効率良く排出する。
【解決手段】ブレードカバーCの吸引口2は、円筒形の筒部21からなり、一端から軸方向に向けてスリット210を有し、吸引口2は、一端がブレードカバーC内でブレード37により施工面が切削される際にブレード37により掻き出される粉塵の掻き出し位置に近接して、ブレード37の外周の一部をスリット210を通して吸引口2内に挿通されて、ブレードカバーC内に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートカッターにブレードを包囲して取り付けられ、集塵機から延ばされる集塵用のホースを連結されて、コンクリートカッターによるコンクリートの施工面から発生する粉塵を吸引する吸引口を有するコンクリートカッター用ブレードカバーにおいて、
前記吸引口は、
任意の外形を有する筒部からなり、
一端は粉塵の吸引側の開口で、前記筒部の周面に前記一端から軸方向に向けて前記ブレードの外周の一部を挿入可能にスリットを有し、
他端は粉塵の排出側の開口で、前記集塵用のホースが接続可能に形成され、
前記吸引口は、
前記一端が、ブレードカバー内で、前記ブレードによりコンクリートの施工面が切削される際に前記ブレードにより掻き出される粉塵の掻き出し位置に近接されて、前記ブレードの外周の一部を前記スリットを通して前記吸引口内に挿通され、
前記他端がブレードカバーの外部に開口されて、
ブレードカバー内に配置される、
ことを特徴とするコンクリートカッター用ブレードカバー。
【請求項2】
ブレードカバーの外面に、前記ブレードカバーの内部に連通し、吸引口を前記ブレードの外周の一部に向けて案内可能に前記ブレードカバーの外方に突出される筒形の取付部を有し、前記吸引口は前記取付部を通して前記ブレードカバー内に配置され、前記吸引口の他端側が前記取付部の周面部からねじ込まれる固定用のボルトにより締め付け固定される請求項1に記載のコンクリートカッター用ブレードカバー。
【請求項3】
吸引口と取付部との間に、前記吸引口のスリットとブレードの外周の一部とを対向させ、かつ前記吸引口の一端をコンクリートの施工面に対して所定の位置で対向させて位置決めするガイドを有する請求項2に記載のコンクリートカッター用ブレードカバー。
【請求項4】
吸引口は円筒形又は断面多角形の角筒形を呈する請求項1に記載のコンクリートカッター用ブレードカバー。
【請求項5】
吸引口の一端にブラシを有する請求項1又は4に記載のコンクリートカッター用ブレードカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートカッター用ブレードカバーに関し、特に、コンクリートカッターで施工面の切断中に発生する切断粉や切削屑などの排出に優れたコンクリートカッター用ブレードカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンクリートやアスファルトなどにより舗装された路面の切断の他、各種のコンクリート構造物やコンクリート製品の切断にコンクリートカッターが使用されている。
【0003】
一般に、この種のコンクリートカッターは、特許文献1などにより開示されているように、コンクリートの施工面を切断する切断装置と、この切断装置を送り駆動する送り装置とを備える。切断装置は、コンクリートの施工面に敷設される後述するレールに走行可能に支持されるベースと、ベース上に立ち上げられる門形の支持フレームと、支持フレームに回転可能に軸支されるねじ棒、及びこのねじ棒を回転操作するためのハンドルと、支持フレームにこの支持フレームの立ち上がり方向にスライド可能に支持され、ねじ棒に作動連結されて、ハンドルの回転操作によるねじ棒の回転によって駆動される支持台と、支持台に設置される減速機付きの駆動モーターと、駆動モーターに取り付けられ、この駆動モーターによって回転駆動される円盤形のブレードとを主要部として有し、この切断装置に、ブレードを包囲するブレードカバーを備え付けて構成される。送り装置はウォールソーイング(レール上を走行するカッター)などに用いられる自動走行式やフラットソーイング(道路カッター)などに用いられる手動走行式のものがある。例えば、前者の自動走行式の送り装置の場合、ベースを支持走行させるためのレールと、レールの一側に添設されるラックと、ベースに配設され、レールのラックに噛合されるピニオンと、ピニオンを回転駆動する送りモーターとを有する。
【0004】
かかるコンクリートカッターを用いたコンクリートの切断施工では、コンクリートの施工面にレールを敷設して走行装置を設置し、このレール上にベースを介して切断装置を取り付ける。そして、まず、駆動モーターを起動してブレードを回転させながら、ハンドルの回転操作でねじ棒を回転し、支持台上のブレードの駆動モーターを降下させて、ブレードをコンクリートの施工面に押し付け、切削する。続いて、走行モーターを起動してレール上で切断装置を走行させて、コンクリートの施工面上でブレードをレールに沿って回転走行させ、施工面を切削、切断する。
【0005】
ところで、このようなコンクリートカッターにおいては、ブレード上にブレードカバーを取り付けて、ブレードをブレードカバーで包囲することで、ブレードの万が一の破損により生じる破片から作業員を保護するなど作業員の安全を確保し、他面で、切断に伴い発生する切断粉や切削屑が粉塵となってコンクリートカッターの周囲に飛散するのを抑制する。
【0006】
一般に、この種のブレードカバーは、ブレード全体を包囲可能な大きさで、ブレードの外周に対向する一側面(コンクリートカッターのコンクリートの施工面への取り付けに際して施工面に対向される一側面)にブレードを出没可能に開口を有するケースからなる。また、他の一側面の一部には、切断粉や切削屑などの吸引口が併せて設けられる。このようにしてブレードカバーはブレードに被せられて、支持フレームとベースとに取り付けられる。そして、ブレードカバーに設けられた吸引口に集塵用のホースが連結されて、吸引口がこのホースを介して集塵機に接続される。
【0007】
このようにして、コンクリートの切断施工の際に、集塵機の作動により、集塵用のホースを通じて、ブレードカバーの吸引口からブレードカバーの内部を吸引し、ブレードの施工面の切削により発生する切断粉や切削屑などを吸引口から吸い出し、ホースを通じて、吸塵機により排出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-247434公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来のブレードカバーにおいては、吸引口に集塵機を接続することで、コンクリートカッターによるコンクリートの施工面の切断施工中に、ブレードカバー内で発生する切断粉や切削屑などを吸引口、ホースを通じて集塵機により排出するようにしているものの、ブレードカバーの吸引口は、ブレードカバーの一部に開口されるものすぎず、この吸引口とブレードが離れているために、ブレードにより切削されて掻き出される切断粉や切削屑がブレードと吸引口との間でブレードカバー内に飛散して、吸引漏れが少なくなく、これがブレードカバーの開口からブレードカバーの外部へ飛散して、集塵ロスが大きい、という問題がある。
【0010】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種のブレードカバーにおいて、コンクリートカッターによるコンクリートの施工面の切断施工中にブレードカバー内で発生する切断粉や切削屑など(以下、粉塵という。)を効率良く排出して、粉塵のブレードカバー外への飛散を可及的に抑制して、集塵ロスを大幅に低減すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、
コンクリートカッターにブレードを包囲して取り付けられ、集塵機から延ばされる集塵用のホースを連結されて、コンクリートカッターによるコンクリートの施工面から発生する粉塵を吸引する吸引口を有するコンクリートカッター用ブレードカバーにおいて、
前記吸引口は、
任意の外形を有する筒部からなり、
一端は粉塵の吸引側の開口で、前記筒部の周面に前記一端から軸方向に向けて前記ブレードの外周の一部を挿入可能にスリットを有し、
他端は粉塵の排出側の開口で、前記集塵用のホースが接続可能に形成され、
前記吸引口は、
前記一端が、ブレードカバー内で、前記ブレードによりコンクリートの施工面が切削される際に前記ブレードにより掻き出される粉塵の掻き出し位置に近接されて、前記ブレードの外周の一部を前記スリットを通して前記吸引口内に挿通され、
前記他端がブレードカバーの外部に開口されて、
ブレードカバー内に配置される、
ことを要旨とする。
【0012】
また、このコンクリートカッター用ブレードカバーは各部が次のように具体化されることが好ましい。
(1)ブレードカバーの外面に、前記ブレードカバーの内部に連通し、吸引口を前記ブレードの外周の一部に向けて案内可能に前記ブレードカバーの外方に突出される筒形の取付部を有し、前記吸引口は前記取付部を通して前記ブレードカバー内に配置され、前記吸引口の他端側が前記取付部の周面部からねじ込まれる固定用のボルトにより締め付け固定される。
(2)上記(1)において、吸引口と取付部との間に、前記吸引口のスリットとブレードの外周の一部とを対向させ、かつ前記吸引口の一端をコンクリートの施工面に対して所定の位置で対向させて位置決めするガイドを有する。
(3)吸引口は円筒形又は断面多角形の角筒形を呈する。
(4)吸引口の一端にブラシを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンクリートカッター用ブレードカバーでは、吸引口が、上記の構成により、一端を、ブレードカバー内で、ブレードによりコンクリートの施工面が切削される際にブレードにより掻き出される粉塵の掻き出し位置に近接されて、ブレードの外周の一部をスリットを通して吸引口内に挿通され、他端がブレードカバーの外部に開口されて、ブレードカバー内に配置されるものとした。このようにしてコンクリートの施工面のブレードにより切削され掻き出される粉塵の掻き出し位置の周囲を吸引口で包囲したので、コンクリートの施工面でブレードにより切削され掻き出される粉塵は吸引口内に捕捉吸引され、かかる粉塵の吸引により集塵効率が顕著に向上し、集塵ロスを従来に比べて大幅に低減することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係るコンクリートカッター用ブレードカバーの構成を示す図((a)は左前方から見た斜視図(b)は右後方から見た斜視図)
図2】同ブレードカバーの特に内部の構成を示す一部省略分解斜視図
図3】同ブレードカバーの特に取付部における吸引口の取り付け構造を示す部分拡大斜視図
図4】同ブレードカバーを取り付けたコンクリートカッターの構成を示す側面図
図5】同ブレードカバーを用いたコンクリートカッターによるコンクリートの切断施工の状態を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1乃至図4にコンクリートカッター用ブレードカバーを示している。
【0016】
図1図2に示すように、コンクリートカッター用ブレードカバーC(以下、単に本ブレードカバーCという。)は、コンクリートカッターМにブレード37を包囲して取り付けられ、集塵機から延ばされる集塵用のホースを連結して、コンクリートカッターМによるコンクリートの施工面から発生する粉塵を吸引する吸引口2を有するもので、カバー本体1と、吸引口2とにより構成される。
【0017】
なお、ここでコンクリートカッターМは、図4に示すように、コンクリートの施工面を切断する切断装置3と、この切断装置3を送り駆動する送り装置4とを備えて構成される。切断装置3は、主要部として、コンクリートの施工面に敷設される後述するレール41に走行可能に支持されるベース31と、ベース31上に立ち上げられる門形の支持フレーム32と、支持フレーム32に回転可能に軸支されるねじ棒33、及びこのねじ棒33を回転操作するためのハンドル34と、支持フレーム32にこの支持フレーム32の立ち上がり方向にスライド可能に支持され、ねじ棒33に作動連結されて、ハンドル34の回転操作によるねじ棒33の回転によって駆動される支持台35と、支持台35に設置される減速機付きの駆動モーター36と、駆動モーター36に取り付けられ、この駆動モーター36によって回転駆動される円盤形のブレード37とを備え、この切断装置3に、本ブレードカバーCが備え付けられる。送り装置4は自動走行式で、ベース21を支持走行させるためのレール41と、レール41の一側に添設されるラック42と、ベース31に配設され、レール41のラック42に噛合されるピニオン43と、ピニオン43を回転駆動する送りモーター44とを備える。
【0018】
図1図2に示すように、本ブレードカバーCのカバー本体1は、ブレード37全体を包囲可能な大きさのケースからなり、その外周で、コンクリートカッターМのコンクリートの施工面への取り付け時に施工面に対向される一側面に、ブレード37の外周の一部を出没可能な開口10を有する。この場合、カバー本体1は、多角形のケースからなる。上面部101は平面視前後に長い長方形を呈する上方に凸の湾曲面で、その一端が前後方向水平に延びる四角形の平面(以下、上部平面部101eという。)になっている。後面部102は上部平面部101eの端部から上下方向に延びる上下に長い長方形の平面になっている。前面部103は上面部101の他端から上下方向に延びる上下に長い長方形の平面になっている。右側面部104は上面部101、後面部102、前面部103に囲まれた多角形の平面になっている。なお、この右側面部104には、前後方向中央に下端から上端に向けて、本ブレードカバーCを切断装置に取り付けたときに、コンクリートカッターの支持フレームの駆動モーターを上下方向にスライド可能に、スリット104Sが形成される。左側面部105は全体として右側面部104と同じ形状になっているが、その外形(外周形状)の内側に沿って、この場合、上面部101、後面部102、前面部103、下面部106に沿って切り欠かれて多角形の開口部105Bを有し、この開口部105Bに、この開口部105Bよりも少し大きくこの開口部105Bと同じ多角形状の蓋105Aが複数の取付ボルトB1により開閉可能に取り付けられる。下面部106は全面を開口されて、ブレード37の外周の一部が出没可能な開口になっている。このカバー本体1の下部には全周にゴムシート106Rが枠状に取り付けられてカバー本体1の下方に突出される。
【0019】
また、本ブレードカバーCの外面には、本ブレードカバーCの内部に連通し、吸引口2をブレード37の外周の一部に向けて案内可能に、本ブレードカバーCの外方に突出される筒形の取付部107を有し、吸引口2はこの取付部107を通して本ブレードカバーC内に配置され、吸引口2の他端側が取付部107の周面部からねじ込まれる固定用のボルトB2により締め付け固定される。さらに、図3に示すように、吸引口2と取付部107との間に、吸引口2の後述するスリット210とブレード37の外周の一部とを対向させ、かつ吸引口2の一端をコンクリートの施工面に対して所定の位置で対向させて位置決めするガイド108が併せて設けられる。
【0020】
この場合、図2図3に示すように、本ブレードカバーCのカバー本体1の上部平面部101eの外面に取付部107が設けられる。ここでカバー本体1は、一端側が、既述のとおり、上部平面部101eと後面部102と上部平面部101eの左右両側から延びる左右の各側面部104、105の一部とにより略角筒形に形成されて、その内部空間が吸引口2の配置部P2になっている。そして、この上部平面部101eの中央に吸引口2を挿通可能に穴107aが穿たれ、この上部平面部101eの外面に穴107aの全周縁から連続して取付部107が筒形に突設される。この場合、取付部107は後述する吸引口2の形状に合わせて、吸引口2を取付部107の内周に沿って嵌合可能に円筒形又は断面多角形の角筒形を呈し、ここでは、円筒形をなす。この取付部107は吸引口2の他端側の一部が嵌合可能に所定の長さを有する。なお、この取付部107には上端の開口に蓋107bが着脱可能に設けられ、上端の開口が蓋107bで閉塞可能になっている。
【0021】
また、この場合、取付部107の周面部のカバー本体1の上部平面部101e側の端部に周方向に所定の間隔で複数のねじ挿通孔を形成され、この端部の周面部に各ねじ挿通孔に連通して複数のナットNが固着される。ここでは、この端部の周面部に90°間隔で2つのねじ挿通孔が形成され、各ねじ挿通孔上に4つのナットNが設けられる。これらのナットNのうち、少なくとも一つのナットNを除いて他の各ナットNに固定用のボルトB2が各ねじ挿通孔に向けて締め込まれ、一つのナットNにガイド用のボルトB3がねじ挿通孔に向けて締め込まれるようになっている。この一つのナットN、ガイド用のボルトB3がガイド108の一部をなす。
【0022】
図2図3に示すように、本ブレードカバーCの吸引口2は、任意の外形を有する筒部21からなり、一端は粉塵の吸引側の開口211で、筒部21の周面部に一端から軸方向に向けてブレード37の外周の一部を挿入可能にスリット210を有し、他端は粉塵の排出側の開口212になっている。
【0023】
この場合、吸引口2は円筒形又は断面多角形の角筒形を呈し、ここでは円筒形になっている。一端、他端の各開口211、212は円形をなす。スリット210は吸引口2の周面部において一端から他端に向けて、ブレード37の外周の一部の所定の範囲が挿通可能に所定の長さでブレード37の厚さよりも少し大きい幅に、細長い長方形状に切り欠き形成される。この吸引口2の一端にはブラシ213が装着される。
【0024】
また、吸引口2の周面部(筒部21の周面部)の他端側には、吸引口2のスリット210とブレード37の外周の一部が対向される状態で、本ブレードカバーCの取付部107に設けられたガイド用のボルトB3を締め込むためのねじ挿通孔に一致して対向可能に、吸引口2の軸方向に延びるガイド孔214が切り欠き形成される。このガイド孔214は吸引口2の他端側で取付部107の上下両端間に対応する範囲に吸引口2の軸方向に延びる細長い略長方形状の長孔でガイド用のボルトB3を挿入可能に形成される。このガイド孔214がガイド108の残部をなす。このガイド孔214に、取付部107のナットNにねじ込みボルト挿通孔を挿通したガイド用のボルトB3が挿入されるようになっている。
【0025】
このようにして吸引口2は、一端が、本ブレードカバーC内の下部で、ブレード37によりコンクリートの施工面が切削される際にブレード37により掻き出される粉塵の掻き出し位置に近接して、ブレード37の外周の一部をスリット210を通して吸引口2内に挿通され、他端が本ブレードカバーCの外部に開口されて、本ブレードカバーC内に配置される。
【0026】
この場合、吸引口2は、本ブレードカバーCの上部平面部101eから本ブレードカバーCの外方へ突出される取付部107を通して、本ブレードカバーC内に配置される。吸引口2の一端(開口211)は本ブレードカバーC内の下部に配置され、一端のブラシ213が本ブレードカバーC下部のゴムシート106Rと同じ位置(高さ)に配置される。吸引口2の他端(開口212)は本ブレードカバーCの取付部107の外部開口端に開口される。
【0027】
このように吸引口2は、本ブレードカバーC上部の取付部107を通して本ブレードカバーC内に配置され、吸引口2の他端側が取付部107の周面部からねじ込まれる固定用のボルトB2により締め付け固定される。この場合、吸引口2を本ブレードカバーC上部の取付部107に通したときに、取付部107においてガイド用のボルトB3のナットNと吸引口2の他端側のガイド孔214とを合わせることにより、吸引口2のスリット210とブレード37の外周の一部が対向される。このとき、ガイド用のボルトB3を取付部107のナットNからねじ挿通孔へねじ込み、吸引口2の他端側のガイド孔214に挿入する。この状態から、吸引口2の一端の本ブレードカバーC内での位置を調整し、吸引口2を位置決めする。そして、取付部107の周面部の各ナットNから固定用のボルトB1を締結し、ねじ挿通孔を通じて、吸引口2を締め込むことで、吸引口2が取付部107に位置決め固定される。
【0028】
しかして吸引口2は、一端が、本ブレードカバーC内で、ブレード37によりコンクリートの施工面が切削される際にブレード37により掻き出される粉塵の掻き出し位置で、ブレード37の外周の一部をスリット210を通して吸引口2内に挿通され、他端が取付部107を通じて本ブレードカバーCの外部に開口されて、本ブレードカバーC内に配置される。
【0029】
かかる構成を有する本ブレードカバーCは、図4に示すように、コンクリートカッターМに、従来と同様に、ブレード37に被せられて、支持フレーム32とベース31とに取り付けられる。そして、コンクリートカッターМの使用に際して、本ブレードカバーCに設けられた吸引口2に取付部107の上から集塵用のホースが連結されて、吸引口2がこのホースを介して集塵機に接続される。
【0030】
このようにして、コンクリートの切断施工の際に、集塵機の作動により、集塵用のホースを通じて、本ブレードカバーCの吸引口2から、本ブレードカバーC内でブレード37によりコンクリートの施工面が切削されて掻き出された粉塵が吸引され、ホースを通じて、吸塵機により排出されるようになっている。
【0031】
図5にコンクリートカッターМに本ブレードカバーCを用いたコンクリートの切断施工の状態を示している。
【0032】
図5に示すように、コンクリートカッターМによるコンクリートの施工面の切断施工中、集塵機9の作動により、集塵用のホース91を通じて、本ブレードカバーCの吸引口2から、本ブレードカバーC内でブレード37によりコンクリートの施工面が切削されて掻き出される粉塵の掻き出し位置で吸引し、この掻き出し位置で発生する粉塵を吸引口2から吸い出し、ホース91を通じて、吸塵機9により排出する。このとき、吸引口2の一端のブラシ213が本ブレードカバーCの下部のゴムシート106Rとともに施工面に接していて、ブレード37で掻き出された粉塵は施工面上で吸引口2内に取り込まれ、吸引される。これにより、本ブレードカバーC内で粉塵が吸引口2の外に漏れ出すことがなく又は漏れ出してもその漏れは著しく少なく、ブレード37の施工面の切削により発生する粉塵は本ブレードカバーC内に飛散することがなく又は飛散してもその飛散量は極めて少ない。その結果、粉塵は本ブレードカバーCの外部に漏れて飛散することがなく又は漏れてもその漏れは著しく少ない。
【0033】
以上説明したように、本ブレードカバーCでは、既述のとおり、吸引口2が、一端を、本ブレードカバーC内で、ブレード37によりコンクリートの施工面が切削される際にブレード37により掻き出される粉塵の掻き出し位置に近接されて、ブレード37の外周の一部をスリット210を通して吸引口2内に挿通され、他端が本ブレードカバーCの外部に開口されて、本ブレードカバーC内に配置されるものとした。このようにしてコンクリートの施工面のブレード37により切削され掻き出される粉塵の掻き出し位置の周囲を吸引口2で包囲したので、コンクリートの施工面でブレード37により切削され掻き出される粉塵は吸引口2内に捕捉吸引され、かかる粉塵の吸引により集塵効率が顕著に向上し、集塵ロスは従来に比べて大幅に低減することができる。
【0034】
また、作業現場に飛散される粉塵が従来に比べて大幅に減少することで、コンクリートの切断中又は切断後における粉塵の清掃作業の負担を従来に比べて大幅に低減することができる。併せて、この集塵ロスの顕著な低減により、作業員の粉塵暴露リスクもまた大きく低減することができ、作業員の安全も十分に確保することができる。
【0035】
本ブレードカバーCはまた、さらに次のような利点がある。
(1)本ブレードカバーCの外面に、本ブレードカバーCの内部に連通し、吸引口2をブレード37の外周の一部に向けて案内可能に本ブレードカバーCの外方に突出される筒形の取付部107を有し、吸引口2は取付部107を通して本ブレードカバーC内に配置され、吸引口2の他端側が取付部107の周面部からねじ込まれる固定用のボルトB1により締め付け固定されるので、本ブレードカバーCへの吸引口2の取り付けを確実にかつ容易に行うことができる。
(2)吸引口2と取付部107との間に、吸引口2のスリット210とブレード37の外周の一部とを対向させ、かつ吸引口2の一端をコンクリートの施工面に対して所定の位置で対向させて位置決めするガイド108を有するので、本ブレードカバーCへの吸引口2の取り付けをさらに確実にかつ容易に行うことができる。
(3)吸引口2は円筒形を呈するので、吸引口2を簡単な構造で低コストに製作することができ、全体として低コストで上記の各効果を実現することができる。
(4)吸引口2の一端にブラシ213を有するので、吸引口2はコンクリートの施工面にブラシ213を介して接し、既述のとおり、コンクリートカッターによるコンクリートの施工面の切断施工中、本ブレードカバーC内でブレード37によりコンクリートの施工面が切削されて掻き出される粉塵の掻き出し位置で、ブレード37で掻き出された粉塵を施工面上で吸引口2内に直接、確実に取り込み、吸引することができる。
【0036】
なお、この実施の形態では、吸引口2は円筒形をなすものとしたが、断面楕円形や断面長円形に形成されてもよい。さらに、この吸引口2は断面三角形、断面四角形、断面六角形など断面多角形の角筒形にしてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0037】
また、この実施の形態では、本ブレードカバーCの取付部107が本ブレードカバーCの上部に外方に向けて突設されたものとして例示したが、この取付部107は本ブレードカバーCの上部以外の他の位置に設けられてもよく、また、本ブレードカバーCから外方に突出されるのに代えて、本ブレードカバーCの内部に設けられてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
さらに、この実施の形態では、コンクリートカッターМを、レール41、ラック42、ピニオン43、送りモーター44からなる送り装置4により自動走行式としたが、コンクリートカッターが自走式の台車の一側に取り付けられて、自走式としてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。コンクリートカッターが手動走行式のものであっても、同様である。
【0039】
また、集塵機の集塵用のホースは、本ブレードカバーの取付部に連結されるものでもよく、吸引口の他端に連結されるものでもよい。その連結方式は既存のものから適宜選択される。
【符号の説明】
【0040】
C コンクリートカッター用ブレードカバー(本ブレードカバー)
1 カバー本体
10 開口
101 上面部
101e 上部平面部
102 後面部
103 前面部
104 右側面部
104S スリット
105 左側面部
105A 蓋
105B 開口部
B1 取付ボルト
106 下面部
106R ゴムシート
107 取付部
107a 穴
107b 蓋
B2 ボルト
N ナット
108 ガイド
P2 吸引口の配置部
2 吸引口
21 筒部
210 スリット
211 吸引側の開口
212 排出側の開口
213 ブラシ
214 ガイド孔
М コンクリートカッター
3 切断装置
31 ベース
32 支持フレーム
33 ねじ棒
34 ハンドル
35 支持台
36 駆動モーター
37 ブレード
4 送り装置
41 レール
42 ラック
43 ピニオン
44 送りモーター
9 集塵機
91 集塵用のホース
図1
図2
図3
図4
図5