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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060238
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】充電装置、および、充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240424BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240424BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240424BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
H02J50/10
B60L53/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167487
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】水島 光
(72)【発明者】
【氏名】宮浦 隆宏
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GB08
5H125AA01
5H125AC11
5H125AC24
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】各電気自動車に受電装置を取り付ける必要がなく、非接触充電用の送電装置を利用して充電を行うことが可能な充電装置を提供する。
【解決手段】蓄電池91の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体9の蓄電池91を充電する充電装置A1であって、送電コイル24から非接触で電力を受電する受電コイル11と、受電コイル11が受電した電力の電力変換を行う電力変換回路(整流回路12、インバータ回路13)と、電気移動体9に接続されて、電力変換回路が出力する電力を当該電気移動体9に供給する充電コネクタ191と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置であって、
送電コイルから非接触で電力を受電する受電コイルと、
前記受電コイルが受電した電力の電力変換を行う電力変換回路と、
前記電気移動体に接続されて、前記電力変換回路が出力する電力を当該電気移動体に供給する充電コネクタと、
を備えている、
充電装置。
【請求項2】
前記受電コイルおよび前記電力変換回路を収納し、かつ、使用者による可搬性を有する筐体と、
前記電力変換回路と前記充電コネクタとを導通接続する充電ケーブルと、
をさらに備え、
前記筐体は、前記充電ケーブルおよび前記充電コネクタを収納可能な収納部を備えている、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記電力変換回路は、
前記受電コイルが受電した電力を整流して直流電力を出力する整流回路と、
前記整流回路から入力される直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、
を備えている、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記電力変換回路は、
前記受電コイルが受電した電力を整流して直流電力を出力する整流回路と、
前記整流回路から入力される直流電力を変圧するコンバータ回路と、
を備えている、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の充電装置と、
前記充電装置に非接触で電力を伝送する送電装置と、
を備え、
前記送電装置は、
前記受電コイルに非接触で電力を伝送する前記送電コイルと、
前記送電コイルに高周波電力を供給する電源回路と、
を備えている、
充電システム。
【請求項6】
前記電源回路と前記送電コイルとを導通接続する送電ケーブルをさらに備え、
前記送電ケーブルおよび前記送電コイルは、埋設されている、
請求項5に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などを充電する充電装置、および、充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、電気自動車の蓄電池に充電をするための充電装置の整備が進んでいる。一般的に、充電装置は、充電ケーブルの先端に配置された充電コネクタを電気自動車のプラグインコネクタに接続され、充電ケーブルを介して電気自動車に電力を供給する。トラックまたはバスなどの大型の電気自動車に充電を行う場合、充電装置の配置位置と、電気自動車のプラグインコネクタの位置とが大きく離れてしまう場合がある。例えば、トラックは、荷物を積む際に、積み込み位置にバックで近づいて停車する。そして、荷物を積み込む間に充電を行うことが考えられる。充電装置は、駐車の邪魔にならないように、積み込み位置付近に配置される。一方、プラグインコネクタは、トラックの車体の前方(例えば車両の正面)に配置されている。したがって、充電装置とプラグインコネクタとが大きく離れてしまう。充電装置と充電コネクタとを接続する充電ケーブルは、様々な種類のトラックのいずれでも充電できるように、長さが決定される。充電ケーブルが長くなると、取り回しおよび片付けが大変になる。また、充電中の充電ケーブルが他の車に踏まれるおそれがあるし、作業者が充電ケーブルに足を引っかけるおそれがある。
【0003】
特許文献1には、充電ケーブルのための巻取装置が開示されている。当該巻取装置は、支持ワイヤに取り付けられた吊り具で充電ワイヤを吊り下げ、巻取部が支持ワイヤを巻き取ることで充電ワイヤを巻き戻した状態とし、支持ワイヤを引き出すことで充電ワイヤを延ばした状態とする。当該巻取装置を用いることで、充電ケーブルの取り回しおよび片付けが容易になる。しかしながら、充電装置と電気自動車のプラグインコネクタの位置とが大きく離れてしまう場合でも充電ケーブルが地面に這わないようにするためには、充電装置および巻取装置を高い位置に配置する必要がある。また、充電ケーブルを天井からスプリングバランサなどで吊り下げる方法もあるが、設備が大掛かりになり、天井の有無や強度も問題になる。また、これらの方法では、充電ケーブルは、長いものを使用する必要があるので、内部抵抗による電力の損失が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-82594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触充電(ワイヤレス充電)の技術を用いると、上記した問題を解消できる。しかし、各電気自動車に受電コイルを備えた受電装置を取り付ける必要がある。また、適切に充電を行うためには、受電コイルの位置を送電コイルの位置に合わせする様に駐車する必要がある。また、電気自動車によって車高が異なるので、受電コイルの高さ位置も異なってくる。受電コイルの高さ位置が異なっても充電を行えるように、送電装置を調整する必要がある。
【0006】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、各電気自動車に受電装置を取り付ける必要がなく、非接触充電用の送電装置を利用して充電を行うことが可能な充電装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される充電装置は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置であって、送電コイルから非接触で電力を受電する受電コイルと、前記受電コイルが受電した電力の電力変換を行う電力変換回路と、前記電気移動体に接続されて、前記電力変換回路が出力する電力を当該電気移動体に供給する充電コネクタと、を備えている、
【0009】
なお、「電気移動体」は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する移動体であって、いわゆる電気自動車だけでなく、ハイブリッド車なども含まれる。また、「電気移動体」は、いわゆる自動車だけでなく、二輪車、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体も含まれる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記受電コイルおよび前記電力変換回路を収納し、かつ、使用者による可搬性を有する筐体と、前記電力変換回路と前記充電コネクタとを導通接続する充電ケーブルと、をさらに備え、前記筐体は、前記充電ケーブルおよび前記充電コネクタを収納可能な収納部を備えている。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記電力変換回路は、前記受電コイルが受電した電力を整流して直流電力を出力する整流回路と、前記整流回路から入力される直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、を備えている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記電力変換回路は、前記受電コイルが受電した電力を整流して直流電力を出力する整流回路と、前記整流回路から入力される直流電力を変圧するコンバータ回路と、を備えている。
【0013】
本発明の第2の側面によって提供される充電システムは、本発明の第1の側面によって提供される充電装置と、前記充電装置に非接触で電力を伝送する送電装置と、を備え、前記送電装置は、前記受電コイルに非接触で電力を伝送する前記送電コイルと、前記送電コイルに高周波電力を供給する電源回路と、を備えている。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記電源回路と前記送電コイルとを導通接続する送電ケーブルをさらに備え、前記送電ケーブルおよび前記送電コイルは、埋設されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る充電装置は、送電コイルから非接触で電力を受電する受電コイルを備えている。これにより、本発明に係る充電装置は、受電コイルが受電できるように送電コイル上に配置されることで、充電コネクタが接続された電気移動体を充電できる。したがって、電気移動体に受電装置を取り付ける必要がなく、電気移動体に設けられているプラグインコネクタを用いて充電を行うことが可能である。また、充電装置を送電コイル上に配置するだけなので、送電コイルと受電コイルとの位置合わせは容易であり、受電コイルの高さ位置は一定である。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は第1実施形態に係る充電装置を備える充電システムの全体構成を示す斜視図であり、(b)は充電システムの内部構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る充電装置の簡略化した斜視図である。
図3】第2実施形態に係る充電装置を備える充電システムの内部構成を示すブロック図である。
図4】第3実施形態に係る充電システムの全体構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1および図2は、第1実施形態に係る充電装置A1を備える充電システムB1を説明するための図である。図1(a)は、充電システムB1の全体構成を示す斜視図である。図1(b)は、充電システムB1の内部構成を示すブロック図である。図2は、充電装置A1の簡略化した斜視図である。
【0020】
充電システムB1は、電気自動車9の充電を行うための設備である。電気自動車9は、動力源としての電動機および電動機に電力を供給する蓄電池91を備えた自動車であり、電動機のみを動力源とするいわゆる電気自動車だけでなく、内燃機関が併設されたハイブリッド車なども含まれる。充電システムB1は、送電装置2および充電装置A1を備えている。
【0021】
送電装置2は、充電装置A1に非接触で電力を伝送する。送電装置2は、整流回路21、インバータ回路22、制御回路23、送電コイル24、および送電ケーブル25を備えている。
【0022】
整流回路21は、電力系統から供給される三相交流電力を直流電力に変換する。整流回路21は、例えば、6個の半導体整流素子をブリッジ接続した全波整流回路と、全波整流後の電圧レベルを平滑化する平滑回路とを備えている。なお、整流回路21の構成は限定されない。また、送電装置2は、整流回路21の前段に、電力系統より入力される交流電力からノイズや高調波を除去する例えばローパスフィルタなどのフィルタ回路を備えてもよい。
【0023】
インバータ回路22は、制御回路23から入力される駆動信号に基づいて、整流回路21から入力される直流電力を、所定周波数の高周波電力に変換する。インバータ回路22は、例えば、4個のスイッチング素子をブリッジ接続した、周知の電圧制御型インバータ回路で構成される。スイッチング素子としては、例えば、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、サイリスタ、IGBT、MOSFET等の半導体スイッチング素子が用いられる。インバータ回路22は、制御回路23から入力される駆動信号によって、各スイッチング素子のオン状態とオフ状態とが切り替られることで、整流回路21から入力される直流電力を高周波電力に変換する。インバータ回路22は、送電ケーブル25を介して、送電コイル24に高周波電力を供給する。なお、インバータ回路22の構成は限定されない。
【0024】
制御回路23は、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されており、インバータ回路22を制御する。制御回路23は、検出されたインバータ回路22の出力電流などが目標値になるようにフィードバック制御を行う。制御回路23は、例えば出力電流とその目標値との偏差に基づいて、駆動信号を生成して、インバータ回路22に出力する。なお、制御回路14が行う制御方法は限定されない。
【0025】
送電コイル24は、インバータ回路22より供給される高周波電力を、充電装置A1(後述る受電コイル11)に非接触で伝送する。送電コイル24は、例えば、渦巻状に巻回された平面コイルであり、コイル面が床面に対して略平行になるように、配置されている。なお、送電コイル24の種類および形状は限定されない。また、送電コイル24には、共振回路を構成するための共振コンデンサ(図示なし)が直列または並列に接続されてもよい。送電ケーブル25は、インバータ回路22と送電コイル24とを導通接続する。本実施形態では、図1に示すように、送電ケーブル25および送電コイル24は、床面の下に埋設されている。したがって、送電ケーブル25は、他の車に踏まれるおそれがないし、作業者が足を引っかけるおそれもない。床面には、埋設されている送電コイル24の位置を示す印が表示されている。
【0026】
なお、送電装置2の構成は上記したものに限定されない。例えば、電力系統から送電装置2に供給される交流電力は、三相交流電力に限定されず、単相交流電力であってもよい。送電装置2は、既設の一般的なワイヤレス充電用の送電装置を利用することができる。
【0027】
充電装置A1は、電気自動車9の充電を行う。充電装置A1は、使用者が持ち運んだり移動させたりすることが可能であり、送電装置2の送電コイル24が埋設されている位置に配置されて使用される。充電装置A1は、送電装置2から非接触で電力を受電して、受電した電力を充電に適した電力に変換して、電気自動車9に供給する。充電装置A1は、受電コイル11、整流回路12、インバータ回路13、制御回路14、充電ケーブル19、充電コネクタ191、および筐体16を備えている。
【0028】
受電コイル11は、送電コイル24から非接触で電力を受電する。受電コイル11は、例えば、渦巻状に巻回された平面コイルであり、コイル面が床面に対して略平行になるように配置される。なお、受電コイル11の種類および形状は限定されない。また、受電コイル11には、共振回路を構成するための共振コンデンサ(図示なし)が直列または並列に接続されてもよい。
【0029】
整流回路12は、受電コイル11が受電した高周波電力を整流して直流電力に変換する。整流回路12は、例えば、4個の半導体整流素子をブリッジ接続した全波整流回路と、全波整流後の電圧レベルを平滑化する平滑回路とを備えている。なお、整流回路12の構成は限定されない。
【0030】
インバータ回路13は、制御回路14から入力される駆動信号に基づいて、整流回路12から入力される直流電力を、所定周波数(例えば、電力系統の系統周波数である50Hzまたは60Hz)の交流電力に変換する。インバータ回路13は、例えば、4個のスイッチング素子をブリッジ接続した、周知の電圧制御型インバータ回路で構成される。スイッチング素子としては、例えば、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、サイリスタ、IGBT、MOSFET等の半導体スイッチング素子が用いられる。インバータ回路13は、制御回路14から入力される駆動信号によって、各スイッチング素子のオン状態とオフ状態とが切り替られることで、整流回路12から入力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ回路13は、充電ケーブル19を介して、充電コネクタ191が接続された電気自動車9に、交流電力を供給する。なお、インバータ回路13の構成は限定されない。
【0031】
制御回路14は、インバータ回路13を制御する。制御回路14は、検出されたインバータ回路13の出力電流などが目標値になるようにフィードバック制御を行う。制御回路14は、例えば出力電流とその目標値との偏差に基づいて、駆動信号を生成して、インバータ回路13に出力する。なお、制御回路14が行う制御方法は限定されない。
【0032】
充電ケーブル19は、先端に配置された充電コネクタ191を電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続することで、電気自動車9と接続される。充電ケーブル19は、インバータ回路13が出力する電力を、接続された電気自動車9に供給する。電気自動車9は、供給される電力によって、蓄電池91を充電される。
【0033】
なお、充電装置A1は、電気自動車9との間で信号の送受信を行う通信部を備えてもよい。この場合は、充電ケーブル19は、電力を送電するための電力線の他に、信号の送受信を行うための信号線が配置される。
【0034】
筐体16は、図2に示すように、受電コイル11、電力変換ユニット15、充電ケーブル19、および充電コネクタ191を収納し、かつ、使用者による可搬性を有する。電力変換ユニット15は、整流回路12、インバータ回路13、および制御回路14を搭載したプリント基板を、磁束を通過させない例えば金属製の箱で覆った回路ユニットである。なお、整流回路12、インバータ回路13、および制御回路14がそれぞれ個別に、筐体16に収納されてもよい。
【0035】
筐体16は、本体161、蓋162、持ち手163、および収納部164を備えている。本体161は、例えば中空の円柱形状であり、内部に、受電コイル11および電力変換ユニット15が収納されている。受電コイル11は、本体161の最も底面側に、コイル面が底面に対して略平行になるように配置されている。電力変換ユニット15は、受電コイル11の上側に収納されている。本体161の上側は開放されており、充電ケーブル19および充電コネクタ191を収納可能な収納部164が配置されている。蓋162は、本体161の開放されている上側の部分(収納部164)を覆うものであり、本体161に対して開閉自在に固定されている。使用者は、図示しない固定具で、蓋162を閉鎖状態で本体161に固定し、蓋162に固定されている持ち手163を把持して、充電装置A1を持ち運ぶことができる。また、使用者は、蓋162を開放して、収納部164に収納されている充電ケーブル19および充電コネクタ191を取り出して使用する。
【0036】
筐体16の材料は特に限定されないが、本体161の少なくとも底面は、磁束を通過させる材料である必要がある。なお、筐体16の構成は、上記したものに限定されない。例えば、本体161の形状は円柱形状に限定されず、四角柱形状であってもよい。また、本体161は下側(底面側)も開放されており、当該開放部分に受電コイル11がはめ込まれてもよい。
【0037】
充電装置A1は、図1(a)に示すように、送電装置2の送電コイル24の真上に配置される。これにより、受電コイル11は、上方から見て、送電コイル24に重なり合うように配置される。送電コイル24に高周波電流が流れることで磁束が変化し、この磁束に鎖交する受電コイル11に高周波電流が流れる。これにより、送電装置2から充電装置A1に、非接触で電力を伝送することができる。充電システムB1は、送電装置2が電力系統から電力を供給され、充電装置A1が系統周波数と同じ周波数の交流電力を電気自動車9に供給する、いわゆる普通充電装置である。
【0038】
次に、本実施形態に係る充電装置A1および充電システムB1の作用および効果について説明する。
【0039】
本実施形態によると、充電装置A1は、送電コイル24から非接触で電力を受電する受電コイル11を備えている。これにより、充電装置A1は、受電コイル11が受電できるように送電コイル24上に配置されることで、充電コネクタ191が接続された電気自動車9を充電できる。したがって、電気自動車9に受電装置を取り付ける必要がなく、充電装置A1は、電気自動車9に設けられているプラグインコネクタ92を用いて充電を行うことが可能である。
【0040】
また、充電システムB1では、充電装置A1を送電コイル24上に配置するだけなので、送電コイル24と受電コイル11との位置合わせは容易であり、受電コイル11の高さ位置は一定である。したがって、充電システムB1は、送電コイル24と受電コイル11との結合係数を大きくできるので、電流の損失を低減できる。また、充電システムB1では、電気自動車9を送電コイル24の近くに駐車して充電できるので、充電ケーブル19を長くする必要はない。したがって、充電ケーブル19の取り回しおよび片付けは容易である。また、充電装置A1は、充電ケーブル19が他の車に踏まれるおそれ、および、作業者が充電ケーブル19に足を引っかけるおそれを抑制できる。
【0041】
また、本実施形態によると、充電装置A1は筐体16を備え、筐体16は、充電装置A1の各構成部材を収納し、かつ、使用者による可搬性を有する。したがって、使用者は、充電装置A1を容易に持ち運んで、送電コイル24が埋設されている位置に配置できる。また、筐体16は、収納部164を備えている。したがって、使用者は、充電ケーブル19および充電コネクタ191を収納部164に収納した状態で、充電装置A1を持ち運ぶことができ、収納部164から充電ケーブル19および充電コネクタ191を取り出して使用することができる。
【0042】
また、本実施形態によると、充電装置A1は、インバータ回路13によって、所定周波数(例えば、電力系統の系統周波数である50Hzまたは60Hz)の交流電力を出力できる。したがって、充電装置A1は、普通充電装置として、電気自動車9が備える普通充電のための構成を利用して、電気自動車9の充電を行うことができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、送電コイル24が埋設されている場合について説明したが、これに限られない。送電コイル24は、床面上に配置されてもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、充電装置A1が電気自動車9を充電する場合について説明したが、これに限られない。充電装置A1は、電気自動車9以外の移動体を充電してもよい。この移動体の他の例として、たとえば二輪車(電動オートバイ、電動アシスト自転車)、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体などが考えられる。
【0045】
〔第2実施形態〕
図3は、第2実施形態に係る充電装置A2を備える充電システムB2の内部構成を示すブロック図である。図3において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る充電装置A2は、インバータ回路13の代わりにコンバータ回路17を備えている点で、第1実施形態に係る充電装置A1と異なる。
【0046】
コンバータ回路17は、制御回路14から入力される駆動信号に基づいて、整流回路12から入力される直流電力を所定電圧に変圧する。コンバータ回路17は、例えば昇降圧チョッパを備え、入力される直流電圧を昇圧または降圧して出力する。コンバータ回路17は、充電ケーブル19を介して、充電コネクタ191が接続された電気自動車9に、直流電力を供給する。なお、コンバータ回路17の構成は限定されない。
【0047】
制御回路14は、コンバータ回路17を制御する。制御回路14は、検出されたコンバータ回路17の出力電圧などが目標値になるようにフィードバック制御を行う。制御回路14は、例えば出力電圧とその目標値との偏差に基づいて、駆動信号を生成して、コンバータ回路17に出力する。なお、制御回路14が行う制御方法は限定されない。
【0048】
なお、充電装置A2は、電気自動車9との間で信号の送受信を行う通信部を備えてもよい。この場合は、充電ケーブル19は、電力を送電するための電力線の他に、信号の送受信を行うための信号線が配置される。
【0049】
充電システムB2は、送電装置2が電力系統から電力を供給され、充電装置A2が所定電圧の直流電力を電気自動車9に供給する、いわゆる急速充電装置である。
【0050】
本実施形態においても、充電装置A2は、送電コイル24から非接触で電力を受電する受電コイル11を備えている。これにより、充電装置A2は、受電コイル11が受電できるように送電コイル24上に配置されることで、充電コネクタ191が接続された電気自動車9を充電できる。したがって、電気自動車9に受電装置を取り付ける必要がなく、充電装置A2は、電気自動車9に設けられているプラグインコネクタ92を用いて充電を行うことが可能である。また、充電装置A2および充電システムB2は、充電装置A1および充電システムB1と共通する構成により、充電装置A1および充電システムB1と同様の効果を奏する。さらに、充電装置A2は、整流回路12およびコンバータ回路17によって、所定電圧の直流電力を出力できる。したがって、充電装置A2は、急速充電装置として、電気自動車9が備える急速充電のための構成を利用して、電気自動車9の充電を行うことができる。
【0051】
〔第3実施形態〕
図4は、第3実施形態に係る充電システムB3の全体構成を示す斜視図である。なお、図4において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る充電システムB3は、送電装置2の送電コイル24の構成が、第1実施形態に係る充電システムB1と異なる。
【0052】
第3実施形態に係る送電装置2は、並んで配置された平面視矩形状の複数の送電コイル24を備えている。複数の送電コイル24は、床面の領域5に埋設されている。充電装置A1は、領域5上であればどこに配置されても、受電コイル11がいずれかの送電コイル24に重なるので、送電装置2から受電可能である。
【0053】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によると、充電装置A1が領域5上のどこに配置されても送電装置2から受電可能なので、送電コイル24と受電コイル11との位置合わせがより容易である。また、電気自動車9の駐車位置の自由度が大きくなる。
【0054】
なお、本実施形態では、複数の送電コイル24が一直線に並んで配置されている場合について説明したが、これに限られない。複数の送電コイル24の配置方法は限定されず、例えば格子状に配置されてもよい。
【0055】
本発明に係る充電装置および充電システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る充電装置および充電システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0056】
A1,A2:充電装置、11:受電コイル、12:整流回路、13:インバータ回路、14:制御部、16:筐体、164:収納部、17:コンバータ回路、19:充電ケーブル、191:充電コネクタ、2:送電装置、22:インバータ回路、24:送電コイル、9:電気自動車、91:蓄電池、B1,B3:充電システム
図1
図2
図3
図4