IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特開-改装建具 図1
  • 特開-改装建具 図2
  • 特開-改装建具 図3
  • 特開-改装建具 図4
  • 特開-改装建具 図5
  • 特開-改装建具 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060259
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167526
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
(72)【発明者】
【氏名】筒井 淳司
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KA02
2E011KA06
2E011KB03
2E011KC01
2E011KD26
2E011KD28
2E011KD35
2E011KH01
(57)【要約】
【課題】アタッチメントの形状を複雑化しないように構成した改装建具を提供すること。
【解決手段】改装建具1は、建物100の開口部11に設けられる既設枠21と、既設枠21の内周側に配置される新設枠31と、を備え、開口部11において既設枠21及び新設枠31の間に配置されるアタッチメント41を備え、アタッチメント41は、室内外方向に延びるベースアタッチメント40と、ベースアタッチメント40に固定されベースアタッチメント40よりも室外側に配置される室外側部分513を有する室外側アタッチメント50と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に配置される新設枠と、を備える改装建具であって、
前記開口部において前記既設枠及び前記新設枠の間に配置されるアタッチメントを備え、
前記アタッチメントは、室内外方向に延びるベースアタッチメントと、前記ベースアタッチメントに固定され前記ベースアタッチメントよりも室外側に配置される室外側部分を有する室外側アタッチメントと、を有する、改装建具。
【請求項2】
前記ベースアタッチメントは、室外側において前記既設枠の室外側に形成され見付方向の内側に向けて突出する室外側突出板の先端部に当接すると共に、室内側において前記既設枠の室内側に形成され見付方向の内側に向けて突出する室内側突出板の先端部に当接する、請求項1に記載の改装建具。
【請求項3】
前記室外側アタッチメントは、室内外方向に延びる室内外方向延在板と、前記室内外方向延在板から見付方向の内側に向けて突出すると共に室内外方向に間隔を空けて配置される複数の突出板と、を有し、
前記複数の突出板のうちの少なくとも1つの突出板には、前記室内外方向延在板との接続部において前記室内外方向延在板から切断可能な切断可能部が設けられる、請求項1又は2に記載の改装建具。
【請求項4】
前記室外側部分は、室外側の端部に配置され前記新設枠の室外側の端部の少なくとも一部を覆うカバー部を有し、
前記カバー部と前記新設枠との間には、気密材が配置される、請求項1又は2に記載の改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部をリフォーム等で改装する方法として開口部に新たな建具を設置するカバー工法が採用されている。カバー工法において、建物の開口部に設けられる既設枠と、既設枠の内周側に配置される新設枠と、既設枠と新設枠との間に配置されるアタッチメントと、を備える改装建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-121234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアタッチメントは、既設枠の室内側の見付面に当接する部分と、新設枠の室外側の見付面に当接する部分と、を有しており、形状が複雑化している。そのため、アタッチメントの形状が複雑化しないことが望まれる。
【0005】
本開示は、アタッチメントの形状を複雑化しないように構成した改装建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建物の開口部に設けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に配置される新設枠と、を備える改装建具であって、前記開口部において前記既設枠及び前記新設枠の間に配置されるアタッチメントを備え、前記アタッチメントは、室内外方向に延びるベースアタッチメントと、前記ベースアタッチメントに固定され前記ベースアタッチメントよりも室外側に配置される室外側部分を有する室外側アタッチメントと、を有する、改装建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の第1構造例の改装建具の正面図である。
図2図1のA-A線断面図であって、第1実施形態の第1構造例の改装建具の上方側の部分の縦断面図である。
図3】第1実施形態の第2構造例の改装建具の上方側の部分の縦断面図である。
図4】第1実施形態の第3構造例の改装建具の上方側の部分の縦断面図である。
図5】第1実施形態の第4構造例の改装建具の上方側の部分の縦断面図である。
図6】第2実施形態の改装建具の上方側の部分の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の第1実施形態の第1構造例及び第2構造例について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態の改装建具1は、例えば、マンション等のビルなどの建物100の開口部11に設けられる。図1は、改装建具1を室内側から見た様子を示している。改装建具1は、すでに設置されている既設枠2に、新設枠3を取り付ける改修を行って形成される。
【0009】
本明細書において、「見付方向」とは、建物100の壁に形成された開口部11に納められた改装建具1における障子12の面材の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見付面」は、改装建具1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、改装建具1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、改装建具1の見込方向の室外側を室外側X1とし、改装建具1の見込方向の室内側を室内側X2とする。改装建具1の見付方向における横方向を左右方向とする。
【0010】
改装建具1は、図1に示すように、建物100の開口部11に設置された既設枠2の内周側に、アタッチメント4(図2参照)を介して、新設枠3を取り付けることで構成される。改装建具1は、既設枠2と、新設枠3と、アタッチメント4(図2参照)と、を有する。新設枠3の内側には、障子12,12が開閉可能に納められる。
【0011】
既設枠2は、窓枠10と一体若しくは別体で構成され、開口部11に設けられる枠体である。既設枠2は、矩形の枠状に形成される。既設枠2は、アルミニウム製、アルミ樹脂複合製又は樹脂製の形材により構成される。既設枠2は、既設上枠21と、既設下枠22と、左右一対の既設縦枠23と、を有する。
【0012】
既設上枠21は、開口部11の上方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。既設下枠22は、開口部11の下方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の既設縦枠23は、開口部11の左右方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0013】
新設枠3は、アタッチメント4(図2参照)を介して、既設枠2の内周側に配置される。新設枠3は、矩形の枠状に形成される。新設枠3は、アルミニウム製の形材により構成される。新設枠3は、新設上枠31と、新設下枠32と、左右一対の新設縦枠33と、を有する。
【0014】
新設上枠31は、開口部11の上方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。新設下枠32は、開口部11の下方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の新設縦枠33は、開口部11の左右方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0015】
図2に示すように、アタッチメント4は、既設枠2と新設枠3の間に配置され、新設枠3を既設枠2に固定するための部材である。アタッチメント4は、アタッチメント上枠41(図2参照)と、アタッチメント下枠(図示せず)と、左右一対のアタッチメント縦枠と、を有する。アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠及び左右一対のアタッチメント縦枠は、それぞれ、例えば、アルミニウム製の形材により構成される。
【0016】
アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠、左右一対のアタッチメント縦枠は、それぞれ、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に沿って配置される。アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠、左右一対のアタッチメント縦枠は、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向において、間隔を空けて複数配置されてもよいし、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に延びる1部材により構成されていてもよい。
【0017】
図2により、第1実施形態の第1構造例において、既設上枠21、新設上枠31及びアタッチメント上枠41の固定構造について説明する。第1実施形態の第1構造例においては、図2に示すように、例えばマンションやビルの納まりである鉄筋コンクリート造(RC構造)の納まりについて説明する。図2に示す鉄筋コンクリート造(RC構造)においては、建物100の天井が室内外方向に延びる下面を有して構成され、室内外方向に延びる天井の下面に窓枠10が取り付けられる構造である。
【0018】
既設上枠21は、図2に示すように、建物100の開口部11の上部側に取り付けられている。既設上枠21は、室内外方向に延びる室内外方向延在板211と、室内外方向延在板211の室外側X1の端部から下方に突出する室外側下方突出板212(室外側突出板)と、室内外方向延在板211の室内側X2の端部から下方に延びる室内側下方突出板213(室内側突出板)と、室内外方向延在板211の室内外方向の途中から下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール214、215と、室内外方向延在板211の室外側X1の端部から上方に突出する室外側L字片216と、室内外方向延在板211の室内側X2の端部から上方に突出する室内側L字片217と、室内側X2の端部に設けられるL字接続部材25と、を有する。ガイドレール214が室外側X1に設けられ、ガイドレール215が室内側X2に設けられる。
【0019】
既設上枠21は、開口部11の上方において、室内側X2の端部が、L字状のL字接続部材25を介して、建物100の上縁部材101に固定されていると共に、室外側L字片216及び室内側L字片217において、建物100に固定されている。なお、本実施形態では、既設上枠21の室内側X2の端部に別体のL字接続部材25を接続したが、これに限定されない。L字接続部材25を設けずに、既設上枠21と一体で既設上枠21から突出するリブを設けてもよい。
【0020】
室外側下方突出板212は、既設上枠21の室外側X1に形成され、上下方向の下方側(見付方向の内側)に向けて突出する。室内側下方突出板213は、既設上枠21の室内側X2に形成され、上下方向の下方側(見付方向の内側)に向けて突出する。
【0021】
アタッチメント上枠41は、既設上枠21と新設上枠31とを接続する。アタッチメント上枠41は、図2に示すように、開口部11の上方において、既設上枠21及び新設上枠31の間に配置される。アタッチメント上枠41は、ベースアタッチメント40と、ベースアタッチメント40とが別体で構成される室外側アタッチメント50と、を有する。本実施形態においては、アタッチメント上枠41は、ベースアタッチメント40及び室外側アタッチメント50それぞれが別体で構成される分割構造である。
【0022】
ベースアタッチメント40は、室内外方向に延びる。ベースアタッチメント40は、室内外方向に延びる室内外方向延在板411と、室内外方向延在板411の室内外方向の室外側X1の端部寄りに形成され上方に突出する突出片412と、室内側X2の端部に配置される室内側端部延出部413(室内側延出部)と、を有する。
【0023】
室内外方向延在板411は、室内外方向の途中において、ネジ111により、既設上枠21の室内外方向延在板211及び建物100に固定される。
【0024】
室内外方向延在板411の上面には、室外側X1において既設上枠21の室外側下方突出板212の下端部212a(先端部)が当接し、室内側X2において既設上枠21の室内側下方突出板213の下端部213a(先端部)が当接する。
【0025】
室内外方向延在板411は、室外側X1の端部側に配置される段差部414を有する。段差部414は、上段板部415と、下段板部417と、段差416と、を有する。上段板部415は、室外側X1の端部において室内外方向に延びる板状に形成される。下段板部417は、上段板部415の室内側X2に段差416を介して接続され、上段板部415よりも下方において、室内外方向に延びる板状に形成される。
【0026】
既設上枠21のガイドレール214、215の下端部214a,215aの長さは、室内外方向延在板411の上面において、室外側X1において既設上枠21の室外側下方突出板212の下端部212a(先端部)が当接しなかったり、室内側X2において既設上枠21の室内側下方突出板213の下端部213a(先端部)が当接しないことが無いように、所定長さ以内の長さに設定されている。
【0027】
既設上枠21のガイドレール214、215の下端部214a,215aは、室内外方向延在板411の上面に当接する長さに形成してもよいし、室内外方向延在板411の上面に当接する長さに形成してもよい。本実施形態においては、既設上枠21のガイドレール214の下端部214aは、室内外方向延在板411の上面に当接する長さに設定されている。既設上枠21のガイドレール215の下端部215aは、室内外方向延在板411の上面に当接せずに、室内外方向延在板411の上面から上方に離れる長さに設定されている。
【0028】
突出片412は、室外側X1及び下方側に開放するL字状に形成される。突出片412の先端は、既設上枠21の室外側下方突出板212の室内側X2の面に沿って配置される。
【0029】
室外側アタッチメント50は、ベースアタッチメント40の室内外方向延在板411の室外側X1の端部側に固定される。室外側アタッチメント50は、室内側X2の端部に形成され室内外方向に延びる室内外方向延在板511と、室内外方向延在板511の室外側X1の端部から上方に突出する気密材取付突出部512と、気密材取付突出部512の下端部の室外側X1に配置されるL字カバー部513(室外側部分)と、を有する。L字カバー部513は、ベースアタッチメント40よりも室外側X1に配置される。
【0030】
室内外方向延在板511は、ベースアタッチメント40の室内外方向延在板411の室外側X1の端部側に配置される段差部414の上段板部415の下面に沿って配置される。室外側アタッチメント50をベースアタッチメント40に取り付ける場合には、室外側アタッチメント50を、室外側X1から、ベースアタッチメント40に向けて室内外方向に移動させることで、室外側アタッチメント50の室内外方向延在板511を、ベースアタッチメント40の室内外方向延在板411の室外側X1の端部側の段差部414の上段板部415の下面に沿って、室外側X1から室内側X2に移動させて、室外側アタッチメント50をベースアタッチメント40に係合させて取り付けることができる。室内外方向延在板511は、ネジ112により、ベースアタッチメント40の室内外方向延在板411の室外側X1の端部側の部分に固定される。
【0031】
気密材取付突出部512は、既設上枠21の室外側下方突出板212の室外側X1の面に対向して配置される。気密材取付突出部512には、気密材514が取り付けられる。気密材514は、気密材取付突出部512と既設上枠21の室外側下方突出板212の室外側X1の面との間に配置される。
【0032】
L字カバー部513は、室外側アタッチメント50の室外側X1の端部に配置される。L字カバー部513は、既設上枠21よりも室外側X1に突出して配置され、室内側X2及び下方側に向けて開放するL字状に形成される。L字カバー部513は、新設上枠31の室外側X1に配置される。L字カバー部513は、新設上枠31の室外側X1の端部の少なくとも一部を覆うように配置される。
【0033】
新設上枠31は、図2に示すように、アタッチメント上枠41の内周側(アタッチメント上枠41の下方)に、スペーサ部材611を介して、取り付けられる。新設上枠31は、アタッチメント上枠41の室内外方向延在板411の下面との間に、板状のスペーサ部材611を挟んだ状態で、スペーサ部材611の下面に配置される。
【0034】
新設上枠31は、新設上枠室外側中空部311と、新設上枠室内側中空部312と、横樋構造部313と、室外側上下方向延出板部314と、室外側開放部317と、ガイドレール315、316と、を有する。
【0035】
新設上枠室外側中空部311及び新設上枠室内側中空部312は、いずれも室内外方向に延びる細長い長方形状の中空状に形成され、室内外方向に並んで配置される。新設上枠室外側中空部311が室外側X1に配置され、新設上枠室内側中空部312が室内側X2に配置されている。新設上枠室外側中空部311の室外側X1の上面には、止水パッキン311aが取り付けられる。止水パッキン311aは、新設上枠室外側中空部311の室外側X1の上面から上方に向けて突出する。止水パッキン311aは、室外側アタッチメント50の室内外方向延在板511(後述)の下面に近接又は当接した位置まで延びて形成され、室内側X2に水が流れることを防止する。
【0036】
新設上枠室外側中空部311は、ネジ113により、ベースアタッチメント40の室内外方向延在板411及びスペーサ部材611に固定される。新設上枠室内側中空部312は、ネジ114により、ベースアタッチメント40の室内外方向延在板411及びスペーサ部材611に固定される。
【0037】
ガイドレール315、316は、新設上枠室外側中空部311及び新設上枠室内側中空部312から、下方に向けて立設される。ガイドレール315,316は、障子12,12(図1参照)の上部をガイドする。ガイドレール315が室外側X1に設けられ、ガイドレール316が室内側X2に設けられる。
【0038】
ガイドレール315とガイドレール316との間において、新設上枠室外側中空部311及び新設上枠室内側中空部312の下面には、新設上枠室外側中空部311及び新設上枠室内側中空部312のアルミニウムが露出された部分を覆うように、樹脂カバー材320が取り付けられている。樹脂カバー材320は、新設上枠室外側中空部311及び新設上枠室内側中空部312の下面において、ガイドレール315とガイドレール316との間のレール間を覆うカバーである。
【0039】
横樋構造部313は、新設上枠室外側中空部311の室外側X1に形成される。横樋構造部313は、下方に凹む凹状に形成されることで、上方に向けて開放する。これにより、横樋構造部313は、水を貯留して流すことができ、樋の機能を有する。横樋構造部313に浸入した水は、新設上枠31の長手方向の両端部に流れる。これにより、横樋構造部313を設けることにより、排水性能を向上できる。
【0040】
室外側上下方向延出板部314は、横樋構造部313の室外側X1の端部から下方に延出する板状に形成される。
【0041】
室外側開放部317は、新設上枠31の室外側X1の端部において、室外側X1に向けて開放して形成される。室外側開放部317には、気密材配置部材318が取り付けられる。気密材配置部材318の室外側X1には、気密材319が取り付けられる。気密材319は、新設上枠31の室外側X1の端部の室外側X1の面と、室外側アタッチメント50のL字カバー部513の下方(見付方向の内側)に突出する突出板513aの室内側X2の面との間に配置される。これにより、室外側X1において、室外側アタッチメント50のL字カバー部513と新設上枠31との間には、気密材319が配置される。
【0042】
新設上枠31の室内側X2の下部には、樹脂アングル部材612が取り付けられる。樹脂アングル部材612には、上枠室内側化粧カバー613が取り付けられる。上枠室内側化粧カバー613は、室外側X1及び上方側が開放されたL字状に形成され、アタッチメント上枠41の室内側X2の端部側及び新設上枠31の室内側X2の端部側を覆うように配置される。
【0043】
次に、図3により、第1実施形態の第2構造例について説明する。第2構造例では、第1構造例と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、第2構造例では、第1構造例と重複する説明を適宜に省略する。
【0044】
第1実施形態の第2構造例においては、図3に示すように、例えば軽量気泡コンクリートを用いたALC構造の納まりについて説明する。図3に示す軽量気泡コンクリートを用いたALC構造の納まりにおいては、建物100Aの天井の下面と、天井の下面の室外側の端部から上方に延びる側面とが、直角に形成された直角面を有して構成され、直角面に窓枠10Aが取り付けられる構造である。
【0045】
第2構造例は、第1構造例と比べて、室外側アタッチメント50A及び既設上枠21Aの形状が主に異なる。第2構造例のベースアタッチメント40は、第1構造例のベースアタッチメント40と同様の形状である。室外側アタッチメント50A及び既設上枠21Aについて主に説明する。
【0046】
第2構造例の既設上枠21Aは、室内外方向に延びる室内外方向延在板211Aと、室内外方向延在板211の室外側X1の端部から下方に延びる室外側下方突出板212(室外側突出板)と、室内外方向延在板211の室内側X2の端部から下方に延びる室内側下方突出板213(室内側突出板)と、室内外方向延在板211の室内外方向の途中から下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール214、215と、室内外方向延在板211の室外側X1の端部から上方に突出する室外側L字片216と、室内外方向延在板211の室内側X2の端部から上方に突出する室内側L字片217と、室外側L字片216の上端に接続される室外側既設上枠上方延出枠218と、を有する。
【0047】
室外側既設上枠上方延出枠218は、建物100の天井の直角面の側面に沿って上方に延びる。室外側既設上枠上方延出枠218は、室外側L字片216の室外側X1の端部から上方に所定長さ延びる上下方向延在部218aと、上下方向延在部218aの上端部から室内側X2に所定長さ延びる室内外方向延在部218bと、室内外方向延在部218bの室内側X2の端部から上方に所定長さ突出する上端突出部218cと、を有する。
【0048】
室外側アタッチメント50Aは、室内外方向に延びる室内外方向延在板511と、室内外方向延在板511の室外側X1の端部から上方に突出する気密材取付突出部512と、気密材取付突出部512の下端部の室外側X1に配置されるL字カバー部513と、L字カバー部513の上端部に接続される室外側アタッチメント上方延出枠515と、を有する。
【0049】
室外側アタッチメント上方延出枠515は、L字カバー部513の上端部から上方に延びる上下方向延在板515aと、上下方向延在板515aの室内側X2の面から室内側X2に突出する複数の突出板515bと、を有する。
【0050】
室外側アタッチメント50Aをベースアタッチメント40に取り付ける場合には、第1構造例と同様に、室外側アタッチメント50Aを、室外側X1から、ベースアタッチメント40に向けて室内外方向に移動させることで、室外側アタッチメント50Aの室内外方向延在板511を、ベースアタッチメント40の室内外方向延在板411の室外側X1の端部側の段差部414の上段板部415の下面に沿って、室外側X1から室内側X2に移動させて、室外側アタッチメント50Aをベースアタッチメント40に係合させて取り付けることができる。
【0051】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。第1実施形態の第1構造例の改装建具1においては、アタッチメント上枠41を、ベースアタッチメント40と、室外側アタッチメント50と、を備える分割構造により構成した。第1実施形態の第2構造例の改装建具1Aにおいては、アタッチメント上枠41を、ベースアタッチメント40と、室外側アタッチメント50Aと、を備える分割構造により構成した。
【0052】
そのため、第1実施形態の第1構造例及び第2構造例においては、ベースアタッチメント40を同じ形状で形成しつつ、室外側アタッチメント50,50Aについては、様々な納まり(マンションやビルの納まりである鉄筋コンクリート造(RC構造)の納まり、軽量気泡コンクリートを用いたALC構造の納まり)に対応させた形状に構成できる。これにより、ベースアタッチメント40をシンプルな形状に形成して共通化すると共に、室外側アタッチメント50,50Aの形状を異ならせることで、アタッチメント上枠41を、様々な納まり(マンションやビルの納まりである鉄筋コンクリート造(RC構造)の納まり、軽量気泡コンクリートを用いたALC構造の納まり)に対応させることが可能である。
【0053】
また、第1実施形態の第1構造例及び第2構造例において、ベースアタッチメント40は、室外側X1において既設上枠21の室外側X1に形成され下方側(見付方向の内側)に向けて突出する室外側下方突出板212の先端部212aに当接すると共に、室内側X2において既設上枠21の室内側X2に形成され下方側(見付方向の内側)に向けて突出する室内側下方突出板213の先端部213aに当接する。
【0054】
これにより、ベースアタッチメント40を、複雑な形状に形成せずに、室外側X1において室外側下方突出板212の先端部212aに当接させ、室内側X2において室内側下方突出板213の先端部213aに当接させることが可能なシンプルな形状に形成している。よって、ベースアタッチメント40の形状をシンプルな形状に形成して、アタッチメント上枠41のベースとなる部材として、共通化しやすい。
【0055】
また、第1実施形態の第1構造例及び第2構造例において、L字カバー部513と新設上枠31との間には、気密材319が配置される。これにより、室外側アタッチメント50と新設上枠31との間の気密性を確保できる。
【0056】
次に、図4及び図5により、第1実施形態の第3構造例及び第4構造例について説明する。第1実施形態の第3構造例及び第4構造例は、第1構造例及び第2構造例と比べて、室外側アタッチメント50x,50Axをベースアタッチメント40Aに取り付ける場合において、室外側アタッチメント50x,50Axとベースアタッチメント40Aとが係合する方向が異なる。
【0057】
第3構造例について説明する。第3構造例は、第1構造例の変形例であって、図4に示すように、アタッチメント上枠41x(アタッチメント)は、ベースアタッチメント40Aと、室外側アタッチメント50xと、を備える。第3構造例の説明において、第1構造例と同様の構成については説明を省略する。
【0058】
ベースアタッチメント40Aは、第1実施形態の第1構造例の室内外方向延在板411に代えて、室内外方向延在板411Aを有する。室内外方向延在板411Aは、室外側X1の端部側に配置される段差部414Aと、段差部414Aの上段板部415aの室外側X1の端部から下方に突出する下方突出突起418と、を有する。段差部414Aの上段板部415aは、第1実施形態の段差部414の上段板部415よりも室外側X1の長さが短く形成される。段差部414Aの段差416と下方突出突起418との間には、下方に向けて開放する下方開放凹部419が形成される。
【0059】
室外側アタッチメント50xは、第1実施形態の第1構造例の室内外方向延在板511に代えて、室内外方向延在板511Aを有する。室内外方向延在板511Aは、段差状に形成される段差部518と、上方突出突起519と、を有する。段差部518は、上段板部518aと、下段板部518cと、段差518bと、を有する。
【0060】
上段板部518aは、室内側X2の端部において室内外方向に延びる板状に形成される。上段板部518aは、ベースアタッチメント40Aの室内外方向延在板411Aの下方開放凹部419に配置される。
【0061】
下段板部518cは、上段板部518aの室外側X1に段差518bを介して接続され、上段板部518aよりも下方において、室内外方向に延びる板状に形成される。
【0062】
上方突出突起519は、段差518bの室外側X1において下段板部518cの上面から上方に突出する。段差518bと上方突出突起519との間には、上方に向けて開放する上方開放凹部520が形成される。上方開放凹部520には、ベースアタッチメント40Aの室内外方向延在板411Aの室外側X1の端部に形成される下方突出突起418が配置される。
【0063】
室外側アタッチメント50xをベースアタッチメント40Aに取り付ける場合には、室外側アタッチメント50xを、ベースアタッチメント40Aに向けて下方側から上方側に移動させることで、室外側アタッチメント50xの段差部518の上段板部518aをベースアタッチメント40Aの下方開放凹部419に係合させると共に、室外側アタッチメント50xの上方開放凹部520にベースアタッチメント40Aの室内外方向延在板411Aの室外側X1の下方突出突起418を係合させて、室外側アタッチメント50xをベースアタッチメント40Aに取り付けることができる。
【0064】
以上のように、第1実施形態の第1構造例と第3構造例とにおいて、図2に示す第1構造例では室外側アタッチメント50を室内外方向に移動させることで、室外側アタッチメント50をベースアタッチメント40に係合させて取り付けるのに対して、図4に示す第3構造例においては、室外側アタッチメント50xを上下方向(見付方向)に移動させることで室外側アタッチメント50xをベースアタッチメント40Aに係合させて取り付けている。そのため、第1実施形態の第1構造例と第3構造例とにおいて、室外側アタッチメント50,50xをベースアタッチメント40,40Aに係合させて取り付ける方向が異なっている。
【0065】
次に、第4構造例について説明する。第4構造例は、第2構造例の変形例であって、図5に示すように、アタッチメント上枠41Ax(アタッチメント)は、ベースアタッチメント40Aと、室外側アタッチメント50Axと、を備える。第4構造例は、第2構造例に、第1構造例から第3構造例に変形した場合と同じ内容の変更を追加した変形例である。第4構造例の説明において、第1構造例及び第3構造例と同様の構成については説明を省略する。
【0066】
第4構造例においても、第3構造例と同様に、室外側アタッチメント50Axをベースアタッチメント40Aに取り付ける場合に、室外側アタッチメント50Axを、ベースアタッチメント40Aに向けて下方側から上方側に移動させることで、室外側アタッチメント50xの段差部518の上段板部518aをベースアタッチメント40Aの下方開放凹部419に係合させると共に、室外側アタッチメント50xの上方開放凹部520にベースアタッチメント40Aの室内外方向延在板411Aの下方突出突起418を係合させて、室外側アタッチメント50Axをベースアタッチメント40Aに取り付けることができる。
【0067】
以上のように、第1実施形態の第2構造例と第4構造例とにおいて、図3に示す第2構造例では室外側アタッチメント50Aを室内外方向に移動させることで、室外側アタッチメント50Aをベースアタッチメント40に係合させて取り付けるのに対して、図5に示す第4構造例においては、室外側アタッチメント50Axを上下方向(見付方向)に移動させることで室外側アタッチメント50Axをベースアタッチメント40Aに係合させて取り付けている。そのため、第1実施形態の第2構造例と第4構造例とにおいて、室外側アタッチメント50A,50Axをベースアタッチメント40,40Aに係合させて取り付ける方向が異なっている。
【0068】
図5に示す第4構造例において、既設上枠21Aの室外側既設上枠上方延出枠218の上端突出部218cの室外側X1の面には、バックアップ材102が配置される。バックアップ材102の室外側X1には、建物100Aと既設上枠21Aとの間を止水するシーリング材103が施されている。
【0069】
室外側アタッチメント上方延出枠515の上端部の室内側X2の面には、ヒレ部材515cが取り付けられている。ヒレ部材515cは、軟質樹脂製の材料で形成される。ヒレ部材515cは、室外側アタッチメント上方延出枠515の上端部と室外側既設上枠上方延出枠218の上下方向延在部218aとの間から、シーリング材103の室外側X1の面に沿って上方側にヒレ状に延出する。これにより、ヒレ部材515cは、建物100Aと既設上枠21Aとをシーリング材103により止水している箇所を隠すことができる。シーリング材103が経年劣化した場合には、軟質樹脂製のヒレ部材515cを取り外し、又は、軟質樹脂製のヒレ部材515cをカットすることで、新たなシーリング材103を施すことができる。
【0070】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の第1構造例と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、第2実施形態では、第1実施形態の第1構造例と重複する説明を適宜に省略する。
【0071】
第2実施形態は、第1実施形態の第1構造例と比べて、室外側アタッチメント50Bの構成が主に異なる。第2実施形態のベースアタッチメント40は、第1実施形態のベースアタッチメント40と同様の形状である。室外側アタッチメント50Bについて主に説明する。
【0072】
第2実施形態においては、図6に示すように、室外側アタッチメント50Bにおいて、第1実施形態の第1構造例の室外側アタッチメント50のL字カバー部513の室外側X1に、L字カバー部516が設けられている。
【0073】
第2実施形態において、室外側アタッチメント50Bの2つのL字カバー部513,516は、室内外方向に並んで配置される。室内側X2にL字カバー部513が設けられ、L字カバー部513の室外側X1にL字カバー部516が接続されている。
【0074】
言い方を換えると、室外側アタッチメント50Bは、室内外方向に延びる室内外方向延在板517と、室内外方向延在板517から上下方向の下方側(見付方向の内側)に向けて突出すると共に室内外方向に間隔を空けて配置される2つの突出板513a,516aと、を有する。突出板516aは、室外側X1に配置され、突出板513aは室内側X2に配置される。
【0075】
2つの突出板513a,516aのうちの突出板513aの基端側には、室内外方向延在板517との接続部において室内外方向延在板517から切断可能なカット溝513b(切断可能部)が設けられる。これにより、新設上枠31の室内外方向の長さが違う場合においても、新設上枠31の室内外方向の長さの違いに応じて、カット溝513bにおいて突出板513aをカットしたり、又は、カット溝513bにおいて突出板513aをカットしないことができる。よって、新設上枠31の室内外方向の長さの違いに対応することができる。
【0076】
第2実施形態によれば、ベースアタッチメント40を第1実施形態のベースアタッチメント40と同じ形状で形成しつつ、室外側アタッチメント50Bについては、カット溝513bを設けた形状に構成して、新設上枠31の室内外方向の長さの違いに応じてカット溝513bにより切断することができる。これにより、ベースアタッチメント40をシンプルな形状に形成して共通化すると共に、室外側アタッチメント50Bの形状を異ならせることで、アタッチメント上枠41Bを、様々な形状に対応させることが可能である。
【0077】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0078】
例えば、前記実施形態においては、改装建具1を引違い窓タイプの改装サッシに適用した場合について説明した。しかし、これに限定されない。改装建具を、例えば、回転軸を中心に戸体が回転して開閉する開閉式の改装建具や、縦辷り出し式の改装建具に適用してもよい。また、改装建具を、例えば、枠に対して開閉しないで固定してガラスが取り付けられるFIX式の改装建具に適用してもよい。
【0079】
前記実施形態においては、アタッチメントを、アタッチメント上枠とした場合について説明したが、これに限定されない。アタッチメントは、アタッチメント縦枠でもよいし、アタッチメント下枠でもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 改装建具、2 既設枠、3 新設枠、4 アタッチメント、11 開口部、21 既設上枠(既設枠)、31 新設上枠(新設枠)、41 アタッチメント上枠(アタッチメント)、40 ベースアタッチメント、50,50A,50B 室外側アタッチメント、100 建物、212 室外側下方突出板(室外側突出板)、213 室内側下方突出板(室内側突出板)、319 気密材、513 L字カバー部(室外側部分、カバー部)、513c 切断可能部
図1
図2
図3
図4
図5
図6