(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060268
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】マットレス
(51)【国際特許分類】
A47C 27/04 20060101AFI20240424BHJP
A47C 27/12 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
A47C27/04
A47C27/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167540
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】507358642
【氏名又は名称】株式会社ルービックJP
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】日野 淳一
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB07
3B096AB08
3B096AB09
3B096AD02
3B096AD04
3B096BA00
(57)【要約】
【課題】マットレスの寝心地を向上させること。
【解決手段】本発明では、横臥する人の身長方向となる前後方向及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体(3)をマットレスカバー(2)に収容したマットレス(1)において、マットレス本体(3)の上部に、マットレス本体(3)の上下方向の硬さよりも柔らかい複数のスプリング(18)を前後方向及び左右方向に並べたクッション体(4)を設けることにした。また、前記マットレス本体(3)をフィラメントの密度が異なる複数の層を上下に積層させて形成し、マットレス本体(3)の最上層(第1上部層8)の上下方向の硬さよりもクッション体(4)のスプリング(18)を柔らかくすることにした。さらに、前記クッション体(4)の厚みを前記最上層(第1上部層8)の厚みよりも薄くすることにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横臥する人の身長方向となる前後方向及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体をマットレスカバーに収容したマットレスにおいて、
マットレス本体の上部に、マットレス本体の上下方向の硬さよりも柔らかい複数のスプリングを前後方向及び左右方向に並べたクッション体を設けたことを特徴とするマットレス。
【請求項2】
前記マットレス本体をフィラメントの密度が異なる複数の層を上下に積層させて形成し、マットレス本体の最上層の上下方向の硬さよりもクッション体のスプリングを柔らかくしたことを特徴とする請求項1に記載のマットレス。
【請求項3】
前記クッション体の厚みを前記最上層の厚みよりも薄くしたことを特徴とする請求項2に記載のマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横臥する人の身長方向となる前後方向及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体をマットレスカバーに収容したマットレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マットレスの内部のクッション材として、横臥する人の身長方向となる前後方向、及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体が用いられている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来のマットレスでは、溶融状態にある複数の熱可塑性樹脂繊維からなるフィラメントを上方から降下させてフィラメント同士を立体的なネット状に融着させた後に冷却することで形成して、上下方向のフィラメントの密度が一定となるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来のマットレスでは、マットレス本体をフィラメントで形成しているために、マットレス本体の上端面に固まったフィラメントによって硬い平面が形成されてしまう。
そのため、フィラメント三次元結合体からなるマットレス本体をそのまま用いたマットレスでは、マットレス本体の硬い上端平面によって横臥者の身体を圧迫してしまい、寝心地が良好なものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、横臥する人の身長方向となる前後方向及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体をマットレスカバーに収容したマットレスにおいて、マットレス本体の上部に、マットレス本体の上下方向の硬さよりも柔らかい複数のスプリングを前後方向及び左右方向に並べたクッション体を設けることにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記マットレス本体をフィラメントの密度が異なる複数の層を上下に積層させて形成し、マットレス本体の最上層の上下方向の硬さよりもクッション体のスプリングを柔らかくすることにした。
【0008】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記クッション体の厚みを前記最上層の厚みよりも薄くすることにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明では、横臥する人の身長方向となる前後方向及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体をマットレスカバーに収容したマットレスにおいて、マットレス本体の上部に、マットレス本体の上下方向の硬さよりも柔らかい複数のスプリングを前後方向及び左右方向に並べたクッション体を設けることにしているために、フィラメント三次元結合体からなるマットレス本体の硬い上端平面と横臥者の身体との間にマットレス本体よりも柔らかいスプリングからなるクッション体が介在することになり、横臥者の身体への圧迫感が無くなり、寝心地を向上させることができる。
【0011】
特に、前記マットレス本体をフィラメントの密度が異なる複数の層を上下に積層させて形成し、マットレス本体の最上層の上下方向の硬さよりもクッション体のスプリングを柔らかくすることにした場合には、横臥した際にクッション体からマットレス本体の最上層へと円滑に身体が沈み込むことになり、より一層寝心地を向上させることができる。
【0012】
また、前記クッション体の厚みを前記最上層の厚みよりも薄くすることにした場合にも、横臥した際にクッション体からマットレス本体の最上層へと円滑に身体が沈み込むことになり、より一層寝心地を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】マットレス本体及びクッション体の断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るマットレスの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1及び
図2に示すように、マットレス1は、矩形箱型袋状のマットレスカバー2の内部にマットレス本体3及びクッション体4を収容している。マットレス1では、マットレス本体3の上部にクッション体4を配置して、横臥者とマットレス本体3との間にクッション体4が介在するようにしている。
【0016】
マットレス本体3は、フィラメント三次元結合体によって、横臥する人の身長方向となる前後方向(
図1では左右方向)とそれに直交する左右方向及び上下方向に伸延する矩形板形状に形成されている。ここで、フィラメント三次元結合体は、溶融状態にある複数の熱可塑性樹脂繊維からなるフィラメント同士を立体的なネット状に融着させた後に冷却することで形成される。フィラメントとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂材料が用いられる。
【0017】
このマットレス本体3は、上部側に形成される上部層5と下部側に形成される下部層6とを有するとともに、上部層5と下部層6との間に中間層7を一体的に密着させて形成している。なお、上部層5と下部層6は、1層で形成してもよく、複数層で形成してもよい。ここでは、6層からなる上部層5と、2層からなる下部層6との間に、1層からなる中間層7を設けている。
【0018】
上部層5は、上から順に第1~第6上部層8~13で構成されており、第1上部層8のフィラメントの密度が上部層5の中で最も低く、第6上部層13のフィラメントの密度が上部層5の中で最も高く、第1~第6上部層8~13の順に中間層7に近くなるほどフィラメントの密度が漸次(段階的に)高くなるようにしている。
【0019】
また、上部層5は、第1上部層8の上下方向の厚みが上部層5の中で最も薄く、第6上部層13の上下方向の厚みが上部層5の中で最も厚く、第1~第6上部層8~13の順に中間層7に近くなるほど上下方向の厚みが同一又は順に漸次(段階的に)厚くなるようにしている。
【0020】
このように、上部層5を複数層(第1~第6上部層8~13)で形成した場合には、上部層5を形成する各層(第1~第6上部層8~13)のフィラメントの密度を中間層7側へ向けて漸次高くなるようにし、また、上部層5を形成する各層(第1~第6上部層8~13)の上下方向の厚み(高さ)を中間層7側へ向けて同一又は漸次厚くなるようにしている。
【0021】
下部層6は、下から順に第1・第2下部層14,15で構成されており、第1下部層14のフィラメントの密度が下部層6の中で最も低く、第2下部層15のフィラメントの密度が下部層6の中で最も高く、第1・第2下部層14,15の順に中間層7に近くなるほどフィラメントの密度が漸次(段階的に)高くなるようにしている。
【0022】
また、下部層6は、第1下部層14の上下方向の厚みが下部層6の中で最も薄く、第2下部層15の上下方向の厚みが下部層6の中で最も厚く、第1・第2下部層14,15の順に中間層7に近くなるほど上下方向の厚みが同一又は順に漸次(段階的に)厚くなるようにしている。
【0023】
このように、下部層6を複数層(第1・第2下部層14,15)で形成した場合には、下部層6を形成する各層(第1・第2下部層14,15)のフィラメントの密度を中間層7側へ向けて漸次高くなるようにし、また、下部層6を形成する各層(第1・第2下部層14,15)の上下方向の厚み(高さ)を中間層7側へ向けて同一又は漸次厚くなるようにしている。
【0024】
中間層7は、上部層5を形成する第1~第6上部層8~13や下部層6を形成する第1・第2下部層14,15よりも、フィラメントの密度を高くするとともに、上下方向の厚みを厚くしている。
【0025】
マットレス本体3は、以上に説明したように構成しており、上部層5の層数を下部層6の層数よりも多くし、また、上部層5の厚みを下部層6の厚みよりも厚くしており、マットレス1として使用される際には、横臥者からの荷重(体重)を上部層5で受けて上部層5が伸縮する一方、ベッド台からの荷重(反力)を下部層6で受けて下部層6伸縮することになる。
【0026】
そのため、マットレス本体3では、横臥者からの荷重に応じて中間層7を挟んで上部層5と下部層6とが伸縮し、ポケットコイルと同様の荷重に応じて滑らかに変化するN値を示すクッション性を有することになり、横臥者の寝心地を向上させることができる。
【0027】
このマットレス本体3(第1上部層8)の上端面には、固まったフィラメントによって硬い平面が形成されている。
【0028】
そこで、マットレス1では、マットレス本体3の硬い上端平面の上部にマットレス本体3の上面と平面視で同一サイズの矩形薄板状のクッション体4を敷設している。
【0029】
クッション体4は、矩形状の上下シート16,17の間にコイル型のスプリング18を前後左右それぞれに間隔をあけて配置し、隣り合うスプリング18,18の間と外周部において上下シート16,17を貼着している。これにより、各スプリング18は、上下シート16,17の間に形成されたポケット19に収容された状態(ポケットコイル)となっている。
【0030】
このクッション体4は、マットレス本体3の上下方向の平均の硬さよりも柔らかいスプリング18を前後方向及び左右方向に並べている。しかも、スプリング18は、マットレス本体3の最上層(第1上部層8)の上下方向の平均の硬さよりも柔らかくしている。
【0031】
また、クッション体は、マットレス本体3の最上層(第1上部層8)の厚み(高さ)よりも薄く(低く)なるようにしている。
【0032】
以上に説明したように、上記マットレス1は、マットレス本体3が、1層又は複数層からなる上部4層と、1層又は複数層からなる下部層6とを設けるとともに、上部層5と下部層6との間に中間層7を設けた構成となっているために、横臥時における上下方向のクッション性が荷重に応じて滑らかなものとなり、寝心地を向上させることができる。
【0033】
また、上記マットレス1は、上部層5及び下部層6よりも中間層7のフィラメントの密度を高くなるように構成することにより、或は、複数層からなる上部層5又は複数層からなる下部層6を形成する各層(第1~第6上部層8~13、第1・第2下部層14,15)のフィラメントの密度を中間層7へ向けて漸次高くなるように構成することにより、横臥時における上下方向のクッション性が荷重に応じて滑らかなものとなり、寝心地を向上させることができる。
【0034】
さらに、上記マットレス1は、マットレス本体3の上部に、マットレス本体3の上下方向の硬さよりも柔らかい複数のスプリング18を前後方向及び左右方向に並べたクッション体4を設けた構成となっている。
【0035】
そのため、上記マットレス1では、フィラメント三次元結合体からなるマットレス本体3の硬い上端平面と横臥者の身体との間にマットレス本体3よりも柔らかいスプリング18からなるクッション体4が介在することになり、横臥者の身体への圧迫感が無くなり、寝心地を向上させることができる。
【0036】
また、上記マットレス1は、マットレス本体3をフィラメントの密度が異なる複数の層(上部層5、中間層7、下部層6)を上下に積層させて形成し、マットレス本体3の最上層(第1上部層8)の上下方向の硬さよりもクッション体4のスプリング18を柔らかくするように構成している。
【0037】
そのため、上記構成のマットレス1では、横臥した際にクッション体4からマットレス本体3の最上層(第1上部層8)へと円滑に身体が沈み込むことになり、より一層寝心地を向上させることができる。
【0038】
また、上記マットレス1は、クッション体4の厚みを最上層(第1上部層8)の厚みよりも薄くするように構成している。
【0039】
そのため、上記構成のマットレス1では、横臥した際にクッション体4からマットレス本体3の最上層(第1上部層8)へと円滑に身体が沈み込むことになり、より一層寝心地を向上させることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 マットレス 2 マットレスカバー
3 マットレス本体 4 クッション体
5 上部層 6 下部層
7 中間層 8~13 第1~第6上部層
14,15 第1・第2下部層 16,17 上下シート
18 スプリング 19 ポケット