(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006028
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】弾性波装置、高周波モジュール及び通信装置
(51)【国際特許分類】
H03H 9/25 20060101AFI20240110BHJP
H03H 9/17 20060101ALI20240110BHJP
H03H 9/02 20060101ALI20240110BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H9/17 F
H03H9/02 G
H01L25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106564
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】豊田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】福島 正宏
(72)【発明者】
【氏名】豊永 元寛
【テーマコード(参考)】
5J097
5J108
【Fターム(参考)】
5J097AA25
5J097BB15
5J097EE08
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5J108AA07
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5J108GG03
5J108GG05
5J108GG18
(57)【要約】
【課題】特性劣化を抑制する。
【解決手段】支持層2は、第1方向D1において基板1とカバー層3との間に配置されている。カバー層3は、樹脂32及びフィラー33を含む。第2方向を法線方向とする一断面CS1において、第3方向D3における支持層2の周縁221とカバー層3との接点P11と、フィラー33と、が第1方向D1で重なっている。一断面CS1の第1方向D1において、支持層2のうち第3方向D3の長さが最小長さm4となる第1位置P1は、支持層2のうち第3方向D3の長さが最大長さm5となる第2位置P2と支持層2のうちカバー層3と接触している第3位置P3との間に位置している。一断面CS1の第3方向D3において、フィラー33の長さm1は、支持層2の最大長さm5と最小長さm4との差分の1/2の長さm3よりも長い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
カバー層と、
前記基板の厚さ方向である第1方向において前記基板と前記カバー層との間に配置されている支持層と、を備え、
前記基板と前記支持層と前記カバー層とで中空空間が形成されており、
前記カバー層は、樹脂及びフィラーを含み、
前記第1方向と直交する第2方向を法線方向とする一断面において、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向における前記支持層の周縁と前記カバー層との接点と、前記フィラーと、が前記第1方向で重なっており、
前記一断面の前記第1方向において、前記支持層のうち前記第3方向の長さが最小長さとなる第1位置は、前記支持層のうち前記第3方向の長さが最大長さとなる第2位置と前記支持層のうち前記カバー層と接触している第3位置との間に位置しており、
前記一断面の前記第3方向において、前記フィラーの長さは、前記支持層の前記最大長さと前記最小長さとの差分の1/2の長さよりも長い、
弾性波装置。
【請求項2】
前記カバー層は、前記フィラーである第1フィラーとは異なる第2フィラーを更に含み、
前記一断面の前記第3方向において、前記第2フィラーの長さである第2長さは、前記第1フィラーの長さである第1長さよりも短い、
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項3】
前記カバー層は、前記支持層と接触する領域を含む主面を有し、
前記一断面の前記第1方向において、前記第2フィラーは、前記カバー層の前記主面と前記第1フィラーとの間に位置している、
請求項2に記載の弾性波装置。
【請求項4】
前記一断面の前記第3方向において、前記第2長さは、前記差分の1/2の前記長さよりも短い、
請求項2又は3に記載の弾性波装置。
【請求項5】
前記一断面の前記第3方向において、前記第2長さは、前記第1長さの1/4以下である、
請求項2又は3に記載の弾性波装置。
【請求項6】
前記第1フィラーは、2μm以上の直径を有する球体である、
請求項2又は3に記載の弾性波装置。
【請求項7】
前記第1フィラーは、4μm以上の直径を有する球体である、
請求項6に記載の弾性波装置。
【請求項8】
前記カバー層は、前記フィラーを複数含み、
前記複数のフィラーは、
第1特定フィラーと、
前記第1特定フィラーとは異なる第2特定フィラーと、を含み、
前記支持層は、前記周縁として、
第1周縁と、
前記第1周縁とは異なる第2周縁と、を有し、
前記一断面において、
前記第1特定フィラーは、前記第1周縁と前記カバー層との接点である第1接点と前記第1方向で重なっており、
前記第2特定フィラーは、前記第2周縁と前記カバー層との接点である第2接点と前記第1方向で重なっている、
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項9】
前記中空空間に位置するように前記基板に配置されている機能電極を更に備え、
前記支持層は、前記第1方向からの平面視において前記機能電極を囲んでいる枠状部を含む、
請求項8に記載の弾性波装置。
【請求項10】
前記機能電極を複数備え、
前記支持層は、前記第3方向において、前記複数の機能電極のうち隣接する2つの機能電極の間に配置されている柱状部を更に含む、
請求項9に記載の弾性波装置。
【請求項11】
前記枠状部は、前記第1周縁及び前記第2周縁を有し、
前記第1周縁及び前記第2周縁は、前記第3方向において前記機能電極側に位置している、
請求項9又は10に記載の弾性波装置。
【請求項12】
前記基板は、圧電性基板であり、
前記機能電極は、IDT電極である、
請求項9又は10に記載の弾性波装置。
【請求項13】
前記機能電極を複数備え、
前記基板に配置されており、前記複数の機能電極のうち少なくとも1つの機能電極に接続されている配線部を更に備え、
前記配線部は、前記第3方向において、前記複数の機能電極のうち隣接する2つの機能電極の間に位置しており、
前記第1方向において、前記配線部の厚さは、前記隣接する2つの機能電極の各々の厚さよりも厚い、
請求項9又は10に記載の弾性波装置。
【請求項14】
前記配線部は、第1配線層及び第2配線層を有し、
前記第1配線層は、前記第1方向において前記基板と前記第2配線層との間に配置されており、
前記第3方向において、前記第2配線層の長さは、前記第1配線層の長さよりも短い、
請求項13に記載の弾性波装置。
【請求項15】
前記配線部は、前記第1方向において前記第1配線層と前記第2配線層との間に位置している絶縁層を更に有する、
請求項14に記載の弾性波装置。
【請求項16】
前記第1配線層の材料と前記複数の機能電極の各々の材料とは同じである、
請求項14に記載の弾性波装置。
【請求項17】
請求項1に記載の弾性波装置と、
前記弾性波装置が配置されている実装基板と、を備える、
高周波モジュール。
【請求項18】
請求項17に記載の高周波モジュールと、
前記高周波モジュールに接続されている信号処理回路と、を備える、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に弾性波装置、高周波モジュール及び通信装置に関し、より詳細には、基板と支持層とカバー層とを備える弾性波装置、弾性波装置を備える高周波モジュール、及び高周波モジュールを備える通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧電基板と、外周枠支持層(支持層)と、カバー層と、を備える弾性表面波装置(弾性波装置)が記載されている。外周枠支持層は、圧電基板の主面に配置されている。カバー層は、支持層上に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の弾性表面波装置(弾性波装置)では、当該弾性表面波装置をモジュール化する際に外部から加わる応力によって特性が劣化する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、特性劣化を抑制することが可能な弾性波装置、高周波モジュール及び通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る弾性波装置は、基板と、カバー層と、支持層と、を備える。前記支持層は、前記基板の厚さ方向である第1方向において前記基板と前記カバー層との間に配置されている。前記基板と前記支持層と前記カバー層とで中空空間が形成されている。前記カバー層は、樹脂及びフィラーを含む。一断面において、第3方向における前記支持層の周縁と前記カバー層との接点と、前記フィラーと、が前記第1方向で重なっている。前記一断面は、前記第1方向と直交する第2方向を法線方向とする断面である。前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向である。前記一断面の前記第1方向において、前記支持層のうち前記第3方向の長さが最小長さとなる第1位置は、前記支持層のうち前記第3方向の長さが最大長さとなる第2位置と前記支持層のうち前記カバー層と接触している第3位置との間に位置している。前記一断面の前記第3方向において、前記フィラーの長さは、前記支持層の前記最大長さと前記最小長さとの差分の1/2の長さよりも長い。
【0007】
本発明の一態様に係る高周波モジュールは、前記弾性波装置と、実装基板と、を備える。前記実装基板は、前記弾性波装置が配置されている。
【0008】
本発明の一態様に係る通信装置は、前記高周波モジュールと、信号処理回路と、を備える。前記信号処理回路は、前記高周波モジュールに接続されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る弾性波装置、高周波モジュール及び通信装置によれば、特性劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る通信装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の弾性波装置を備える高周波モジュールの断面図である。
【
図3】
図3は、同上の弾性波装置に関し、
図2のX1部拡大図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る弾性波装置の要部拡大図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る弾性波装置に関し、
図2のX2部拡大図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る弾性波装置の支持層及びカバー層の拡大図である。
【
図7】
図7は、実施形態3に係る弾性波装置の貫通電極の拡大図である。
【
図8】
図8は、実施形態4に係る弾性波装置の貫通電極の拡大図である。
【
図9】
図9は、同上の弾性波装置に関し、
図8のX3部拡大図である。
【
図11】
図11は、実施形態5に係る弾性波装置の貫通電極の拡大図である。
【
図14】
図14は、実施形態6に係る弾性波装置の支持層の構成を示す平面図である。
【
図15】
図15は、同上の弾性波装置のダイシング工程を示す概念図である。
【
図16】
図16は、同上の弾性波装置に関し、ダイシング工程後の
図14のX7部断面図である。
【
図17】
図17は、同上の弾性波装置に関し、ダイシング工程後の
図14のX8部断面図である。
【
図18】
図18は、実施形態7に係る弾性波装置の支持層の構成を示す平面図である。
【
図19】
図19は、同上の弾性波装置に関し、ダイシング工程後の
図18のX9部断面図である。
【
図20】
図20は、同上の弾性波装置に関し、ダイシング工程後の
図18のX9部断面図である。
【
図21】
図21は、実施形態8に係る弾性波装置の断面図である。
【
図22】
図22は、実施形態9に係る弾性波装置の断面図である。
【
図23】
図23は、実施形態10に係る弾性波装置の断面図である。
【
図24】
図24は、実施形態11に係る弾性波装置の断面図である。
【
図25】
図25は、実施形態12に係る弾性波装置の断面図である。
【
図26】
図26は、実施形態13に係る弾性波装置の断面図である。
【
図27】
図27は、実施形態14に係る弾性波装置の断面図である。
【
図28】
図28は、同上の弾性波装置に関し、機能電極及び配線部の配置を示す平面図である。
【
図30】
図30は、同上の弾性波装置に関し、カバー層を透過した樹脂の流路を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態1~14に係る弾性波装置、高周波モジュール及び通信装置について、図面を参照して説明する。下記の実施形態1~14等において参照する
図2~
図30は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
(実施形態1)
(1)弾性波装置、高周波モジュール及び通信装置の構成
実施形態1に係る弾性波装置、高周波モジュール及び通信装置の構成について、図面を参照して説明する。
【0013】
(1.1)弾性波装置
実施形態1に係る弾性波装置10は、
図2に示すように、基板1と、支持層2と、カバー層3と、を備える。支持層2は、基板1の厚さ方向である第1方向D1において基板1とカバー層3との間に配置されている。弾性波装置10では、基板1と支持層2とカバー層3とで中空空間s1が形成されている。中空空間s1は、後述の機能電極4を配置するための空間である。カバー層3は、
図3に示すように、樹脂32及びフィラー33(以下、「第1フィラー33」ともいう)を含む。
【0014】
また、実施形態1に係る弾性波装置10は、
図2に示すように、複数(図示例では2つ)の機能電極4と、複数(図示例では2つ)の配線電極5と、複数(図示例では2つ)の貫通電極6と、複数(図示例では2つ)の外部接続電極7と、を更に備える。
【0015】
実施形態1に係る弾性波装置10は、WLP(Wafer Level Package)型の弾性波装置であり、例えば、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタとして用いられる。WLP型の弾性波装置10とは、支持層2、カバー層3、機能電極4、配線電極5、貫通電極6及び外部接続電極7を基板1に実装するための工程をウェハレベルで行い、最後に、ウェハを切断して得られる弾性波装置である。
【0016】
(1.2)高周波モジュール
高周波モジュール20は、例えば、
図1に示すように、通信装置100に用いられる。通信装置100は、例えば、携帯電話(例えば、スマートフォン)であるが、携帯電話であることに限らず、例えば、ウェアラブル端末(例えば、スマートウォッチ)であってもよい。高周波モジュール20は、例えば、4G(第4世代移動通信)規格、5G(第5世代移動通信)規格等に対応可能なモジュールである。4G規格は、例えば、3GPP(登録商標、Third Generation Partnership Project) LTE(登録商標、Long Term Evolution)規格である。5G規格は、例えば、5G NR(New Radio)である。
【0017】
高周波モジュール20は、
図2に示すように、弾性波装置10と、実装基板11と、を備える。実装基板11には、弾性波装置10が配置されている。また、高周波モジュール20は、樹脂層12と、金属電極層13と、を更に備える。ただし、高周波モジュール20において、樹脂層12及び金属電極層13は、必須の構成要素ではない。
【0018】
実装基板11は、
図2に示すように、第1主面111及び第2主面112を有する。第1主面111及び第2主面112は、実装基板11の厚さ方向(第1方向D1)において互いに対向する。上述の弾性波装置10は、実装基板11の第1主面111に配置されている。
図2の例では、弾性波装置10は、実装基板11の第1主面111に実装されている。なお、弾性波装置10において、弾性波装置10の一部が実装基板11の第1主面111に実装されており、弾性波装置10の残りが実装基板11に内装されていてもよい。
【0019】
樹脂層12は、
図2に示すように、実装基板11の第1主面111に配置されている。樹脂層12は、実装基板11の第1主面111に配置されている弾性波装置10を覆っている。樹脂層12は、電気絶縁性を有する。樹脂層12は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含む。樹脂層12は、樹脂の他にフィラーを含んでいてもよい。
【0020】
金属電極層13は、
図2に示すように、樹脂層12を覆っている。金属電極層13は、導電性を有する。高周波モジュール20では、金属電極層13は、例えば、高周波モジュール20の内外の電磁シールドを目的として設けられているシールド層である。金属電極層13は、複数の金属層を積層した多層構造を有しているが、多層構造に限らず、1つの金属層であってもよい。1つの金属層は、1又は複数種の金属を含む。金属電極層13は、樹脂層12における実装基板11側とは反対側の主面121と、樹脂層12の外周面(図示せず)と、実装基板11の外周面(図示せず)と、を覆っている。金属電極層13は、実装基板11のグランド層(図示せず)の外周面の少なくとも一部と接触している。これにより、金属電極層13の電位をグランド層の電位と同じにすることができる。
【0021】
(1.3)通信装置
通信装置100は、
図1に示すように、高周波モジュール20と、信号処理回路30と、を備える。信号処理回路30は、高周波モジュール20に接続されている。通信装置100は、アンテナ40を更に備える。通信装置100は、高周波モジュール20が実装された回路基板(図示せず)を更に備える。回路基板は、例えば、プリント配線板である。回路基板は、グランド電位が与えられるグランド電極を有する。
【0022】
アンテナ40は、高周波モジュール20のアンテナ端子(図示せず)に接続されている。アンテナ40は、高周波モジュール20から出力された送信信号を電波にて放射する送信機能と、受信信号を電波として外部から受信して高周波モジュール20に出力する受信機能と、を有する。
【0023】
信号処理回路30は、RF信号処理回路301と、ベースバンド信号処理回路302と、を含む。
【0024】
RF信号処理回路301は、例えば、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)である。RF信号処理回路301は、高周波信号(送信信号、受信信号)に対する信号処理を行う。RF信号処理回路301は、例えば、ベースバンド信号処理回路302から出力された高周波信号(送信信号)に対してアップコンバート等の信号処理を行い、信号処理が行われた高周波信号を高周波モジュール20に出力する。また、RF信号処理回路301は、例えば、高周波モジュール20から出力された高周波信号(受信信号)に対してダウンコンバート等の信号処理を行い、信号処理が行われた高周波信号をベースバンド信号処理回路302に出力する。
【0025】
ベースバンド信号処理回路302は、例えば、BBIC(Baseband Integrated Circuit)である。ベースバンド信号処理回路302は、外部からの受信信号に対して所定の信号処理を行う。ベースバンド信号処理回路302で処理された受信信号は、例えば、画像表示のための画像信号として使用され、又は、通話のための音声信号として使用される。
【0026】
(2)弾性波装置の各構成要素
次に、実施形態1に係る弾性波装置10の各構成要素について、図面を参照して説明する。
【0027】
(2.1)基板
基板1は、例えば、圧電性基板である。より具体的には、基板1は、例えば、圧電基板である。圧電基板の材料は、例えば、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、又は水晶である。
【0028】
基板1は、
図2に示すように、第1主面101及び第2主面102を有する。第1主面101及び第2主面102は、基板1の厚さ方向である第1方向D1において互いに対向する。基板1は、第1方向D1からの平面視において長方形状であるが、長方形状に限らず、例えば、正方形状であってもよい。基板1は、後述の支持層2の枠状部21及びカバー層3と共に中空空間s1を形成する。すなわち、中空空間s1は、基板1と支持層2とカバー層3とで形成されている。中空空間s1には、例えば、空気、不活性ガス(例えば、窒素ガス)等の気体が封入される。
【0029】
(2.2)支持層
支持層2は、
図2に示すように、基板1の第1主面101上に形成されており、第1方向D1において基板1とカバー層3との間に配置されている。支持層2は、
図2に示すように、枠状部21と、柱状部22と、を有する。
【0030】
枠状部21は、第1方向D1からの平面視において矩形の枠状であり、基板1の第1主面101に配置されている複数の機能電極4を囲んでいる。また、枠状部21は、第1方向D1からの平面視において基板1の外縁に沿って形成されている。
【0031】
柱状部22は、第1方向D1と直交する方向(
図2の紙面に垂直な方向)である第2方向D2からの平面視において矩形状であり、第2方向D2に沿って延びている。ここでいう「第2方向D2」は、後述の
図14の「第2方向D2」に相当する方向である。柱状部22は、例えば、第1方向D1及び第2方向D2と直交する第3方向D3に沿って並ぶ2つの機能電極4の間に位置し、中空空間s1を2つの空間に仕切っている。ここで、第2方向D2及び第3方向D3の各々は、基板1の第1主面101(又は第2主面102)と平行な方向である。
【0032】
支持層2は、電気絶縁性を有する。支持層2の材料は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の合成樹脂である。
【0033】
(2.3)カバー層
カバー層3は、例えば、平板状である。カバー層3は、第1方向D1からの平面視において長方形状であるが、長方形状に限らず、例えば、正方形状であってもよい。カバー層3は、第1方向D1からの平面視において基板1とほぼ同じ大きさである。カバー層3は、支持層2上に配置されている。カバー層3の厚さh1は、例えば、55μm~65μmである。
【0034】
カバー層3は、主面31を有する。主面31は、第1方向D1において、基板1の第1主面101と対向する面であって、支持層2と接触する第1領域311及び第2領域312を含む。第1領域311は、支持層2のうち枠状部21と接触する領域である。第2領域312は、支持層2のうち柱状部22と接触する領域である。
【0035】
カバー層3は、電気絶縁性を有する。カバー層3は、
図3に示すように、樹脂32を含む。また、カバー層3は、複数の第1フィラー33と、複数の第2フィラー34と、を更に含む。樹脂32は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はフェノール樹脂であるが、これらの材料に限定されない。複数の第1フィラー33及び複数の第2フィラー34の各々の材料は、例えば、無機材料である。複数の第1フィラー33及び複数の第2フィラー34の各々の材料は、例えば、酸化シリカ又はセラミックであるが、これらの材料に限定されない。
【0036】
(2.4)機能電極
図2に示すように、複数の機能電極4の各々は、例えば、IDT(Interdigital Transducer)電極である。IDT電極の材料は、例えば、アルミニウム、銅、白金、金、銀、チタン、ニッケル、クロム、モリブデン、若しくはタングステン、又はこれらの金属のいずれかを主体とする合金等の適宜の金属材料である。また、IDT電極は、これらの金属、又は合金からなる複数の金属膜を積層した構造を有していてもよい。
【0037】
IDT電極は、図示を省略するが、第1バスバーと、第2バスバーと、複数の第1電極指と、複数の第2電極指と、を含む。IDT電極は、基板1の第1主面101に配置されている。
【0038】
第1バスバーは、第3方向D3を長手方向とする長尺状に形成されており、複数の第1電極指と電気的に接続されている。第2バスバーは、第3方向D3を長手方向とする長尺状に形成されており、複数の第2電極指と電気的に接続されている。
【0039】
複数の第1電極指は、第3方向D3に沿って等間隔に並んでいる。複数の第1電極指の各々は、第2方向D2を長手方向とする長尺状に形成されている。複数の第2電極指は、第3方向D3において等間隔に並んでいる。複数の第2電極指の各々は、第2方向D2を長手方向とする長尺状に形成されている。複数の第1電極指及び複数の第2電極指は、第3方向D3において1本ずつ交互に並んでいる。
【0040】
第1電極指及び第2電極指の幅をWAとし、隣り合う第1電極指と第2電極指とのスペース幅をSAとした場合、IDT電極において、デューティ比は、WA/(WA+SA)で定義される。IDT電極のデューティ比は、例えば、0.5である。IDT電極の電極指周期で定まる弾性波の波長をλとしたとき、波長λは、電極指周期と等しい。電極指周期は、複数の第1電極指又は複数の第2電極指の繰り返し周期PλAで定義される。したがって、繰り返し周期PλAとλとは等しい。IDT電極のデューティ比は、電極指周期の2分の1の値(WA+SA)に対する第1電極指及び第2電極指の幅WAの比である。
【0041】
(2.5)配線電極
配線電極5は、外部接続電極7と機能電極4とを電気的に接続している。配線電極5の材料は、例えば、アルミニウム、銅、白金、金、銀、チタン、ニッケル、クロム、モリブデン、若しくはタングステン、又はこれらの金属のいずれかを主体とする合金等の適宜の金属材料である。また、配線電極5は、これらの金属、又は合金からなる複数の金属膜を積層した構造を有していてもよい。
図2の例では、配線電極5は2層構造である。
【0042】
(2.6)貫通電極
貫通電極6は、第1方向D1において、支持層2及びカバー層3を貫通している。貫通電極6は、配線電極5上に形成されており、配線電極5と電気的に接続されている。貫通電極6は、アンダーバンプメタル層を構成する。貫通電極6の材料は、例えば、銅、若しくはニッケル、又はこれらの金属のいずれかを主体とする合金等の適宜の金属材料である。
【0043】
貫通電極6は、
図2に示すように、例えば、円錐台形状である。
図2に示す貫通電極6では、第1底面の長さd1は、第2底面の長さd2よりも長い。長さd1は、例えば、100μm~110μmである。長さd2は、例えば、45μm~55μmである。
【0044】
(2.7)外部接続電極
複数の外部接続電極7の各々は、貫通電極6上に形成されている。外部接続電極7は、例えば、バンプである。外部接続電極7は、導電性を有する。外部接続電極7は、貫通電極6と接合されており、貫通電極6と電気的に接続されている。外部接続電極7の材料は、例えば、はんだ、金、又は銅等である。なお、外部接続電極7は、プローブ痕が残っていてもよい。プローブ痕は、弾性波装置10の電気的な異常を検査するためのプローブによる検査痕である。プローブ痕は、実装基板11への実装前の外部接続電極7に発生するが、実装基板11への実装後の外部接続電極7に残っていてもよい。
【0045】
(3)支持層及びカバー層の詳細
次に、支持層2及びカバー層3の詳細について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、
図2のX1部拡大図であって、第2方向D2(
図2の紙面に垂直な方向)を法線方向とする一断面CS1の拡大図である。
図4は、比較例に係る弾性波装置の一断面CS1の拡大図である。なお、
図3及び
図4では、樹脂32とフィラー33、34とを識別しやすいように、樹脂32にドットハッチングを付している。
【0046】
比較例に係る弾性波装置では、カバー層3は、
図4に示すように、複数のフィラー33を含む。複数のフィラー33の各々は、例えば、球体であって、ほぼ同じ大きさである。第3方向D3における各フィラー33の長さ、つまり各フィラー33の直径は、例えば、0.1μmである。
【0047】
比較例に係る弾性波装置は、高周波モジュールの製造工程において、実装基板の主面に実装された後、樹脂層によりモールドされるが、この際、樹脂層を形成する樹脂からの応力が基板1を介して支持層2に加えられる。これにより、
図4に示すように、支持層2の一部(先端部)がカバー層3内に入り込んだ状態になる。その結果、中空空間s1の形状が所望の形状にならず、弾性波装置の特性が劣化する可能性がある。
【0048】
一方、実施形態1に係る弾性波装置10では、カバー層3は、
図3に示すように、第1フィラー33と、第2フィラー34と、を含む。第1フィラー33及び第2フィラー34の各々は、例えば、球体である。第1フィラー33の直径m1は、例えば、4μmである。第2フィラー34の直径m2は、例えば、0.1μmである。すなわち、実施形態1に係る弾性波装置10では、一断面CS1の第3方向D3において、第2フィラー34の長さである第2長さ(以下、「第2長さm2」ともいう)は、第1フィラー33の長さである第1長さ(以下、「第1長さm1」ともいう)よりも短い。また、一断面CS1の第3方向D3において、第2長さm2は、第1長さm1の1/4以下である。このように、第1フィラー33よりも直径の小さい第2フィラー34がカバー層3に含まれていることにより、カバー層3の強度を高めることが可能となる。
【0049】
これに対し、カバー層3が、樹脂32及び第1フィラー33を含み、第2フィラー34を含まない場合(すなわち相対的に直径の大きい第1フィラー33のみを含む場合)、カバー層3の弾性率が低下する。これにより、枠状部21から遠い中空空間s1の中央部分で大きく撓み、中空空間s1の形成不良が生じる場合がある。
【0050】
ここで、
図3に示す第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3は、第1方向D1における支持層2の位置である。第2位置P2は、支持層2のうち第3方向D3における長さが最大長さm5となる位置である。第3位置P3は、支持層2のうちカバー層3と接触する位置である。第1位置P1は、第1方向D1において第2位置P2と第3位置P3との間であって、支持層2のうち第3方向D3における長さが最小長さm4となる位置である。
【0051】
また、
図3に示す接点P11は、第3方向D3における支持層2の周縁221とカバー層3の主面31とが接触する点である。ここで、「支持層の周縁」は、基板の厚さ方向である第1方向と直交する第2方向を法線方向とする一断面において、支持層の外周を形成する4つの周縁のうち、第1方向及び第2方向と直交する第3方向に並んでいる2つの周縁をいう。実施形態1に係る弾性波装置10では、
図3に示すように、一断面CS1において、複数の第1フィラー33のうち第1フィラー330と接点P11とが第1方向D1で重なっている。これにより、高周波モジュール20の製造工程において、樹脂層12を形成する樹脂からの応力が基板1を介して支持層2に加えられた場合でも、この応力を第1フィラー330が受けることにより、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となる。その結果、中空空間s1の形状が所望の形状となり、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0052】
また、実施形態1に係る弾性波装置10では、一断面CS1の第3方向D3において、第1フィラー33の第1長さm1は、長さm3よりも長い。長さm3は、支持層2の最大長さm5と最小長さm4との差分の1/2の長さである。長さm3は、例えば、1μmである。上述したように、第2フィラー34の第2長さm2は0.1μmであるため、一断面CS1の第3方向D3において、第2長さm2は、長さm3よりも短い。
【0053】
また、実施形態1に係る弾性波装置10では、
図3に示すように、一断面CS1の第1方向D1において、第2フィラー34は、複数の第1フィラー33のうち第1フィラー330とカバー層3の主面31との間に位置している。これにより、支持層2がカバー層3内に入り込むことを更に抑制することが可能となる。
【0054】
さらに、
図3に示すように、複数の第1フィラー33のうち第1フィラー330の表面とカバー層3の主面31との最短距離m0は、支持層2の高さh2よりも短い。
【0055】
ところで、実施形態1に係る弾性波装置10では、上述したように、カバー層3の厚さh1(
図2参照)は、55μm~65μmである。また、実施形態1に係る弾性波装置10では、上述したように、カバー層3は、相対的に直径の大きい第1フィラー33を含んでいる。このため、カバー層3の透過率が低くなっている。
【0056】
なお、第1フィラー33の直径(第1長さ)m1は4μmであることに限らず、2μm以上であればよい。すなわち、第1フィラー33の直径m1は、2μm以上、4μm未満であってもよい。より好ましくは、第1フィラー33の直径m1は、4μm以上であることが好ましい。また、第1フィラー33の直径m1の上限値は、カバー層3の厚さh1と同じであることが好ましい。
【0057】
(4)貫通電極の詳細
次に、貫通電極6の詳細について、
図5を参照して説明する。貫通電極6は、上述したように、第1底面の長さd1が第2底面の長さd2よりも大きい円錐台形状である(
図2参照)。貫通電極6は、
図5に示すように、複数の凹凸部611を有する。複数の凹凸部611の各々は、貫通電極6の外周面61に設けられている。ここで、カバー層3は、上述したように、第2フィラー34よりも直径の大きい第1フィラー33を含んでいる。このため、カバー層3と貫通電極6との境界部分に存在する第1フィラー33によって、貫通電極6の外周面61に複数の凹凸部611が形成される。そして、複数の凹凸部611の各々の凹部に入り込んだ第1フィラー33によるアンカー効果によって、カバー層3に対する貫通電極6の密着性が向上するという利点がある。
【0058】
ここで、各凹凸部611における凹凸寸法の最大値は、弾性波装置10を通過する高周波信号の通過帯域の下端周波数における表皮深さの3倍以下であることが好ましい。一例として、上記下端周波数が2GHzである場合には表皮深さは3.5μmであるため、凹凸寸法の最大値は10.5μm以下である。また、各凹凸部611における凹凸寸法の最大値は、弾性波装置10を通過する高周波信号の通過帯域よりも高周波側の減衰帯域の上端周波数における表皮深さの3倍以上であることが好ましい。ここで、「高周波信号の通過帯域よりも高周波側の減衰帯域の上端周波数」は、高周波信号の通過帯域よりも高周波側にある1以上の減衰帯域のうち任意の減衰帯域の上限周波数をいう。一例として、上記上端周波数が40GHzである場合には表皮深さは0.8μmであるため、凹凸寸法の最大値は2.4μm以上である。すなわち、凹凸寸法の最大値は、2.4μm以上、10.5μm以下である。これにより、高周波信号の不要な周波数成分を減衰させることが可能となり、結果的にフィルタ特性が向上するという利点がある。
【0059】
図5の例では、凹凸部611が貫通電極6の外周面61の一部に設けられているが、凹凸部611は、貫通電極6の外周面61の全体に設けられていてもよい。これにより、フィルタ特性が更に向上するという利点がある。
【0060】
(5)効果
実施形態1に係る弾性波装置10では、
図3に示すように、第1フィラー33の第1長さm1は、長さm3よりも長く、一断面CS1において、第3方向D3における支持層2の周縁221とカバー層3との接点P11と、第1フィラー33と、が第1方向D1で重なっている。これにより、高周波モジュール20の製造工程において、樹脂層12を形成する樹脂からの応力が基板1を介して支持層2に加えられた場合でも、この応力を第1フィラー33が受けることができるので、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となる。その結果、中空空間s1が所望の形状となり、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0061】
また、実施形態1に係る弾性波装置10では、カバー層3は、第1フィラー33とは異なる第2フィラー34を更に含んでおり、第2フィラー34の第2長さm2は、第1フィラー33の第1長さm1よりも短い。また、第2フィラー34の第2長さm2は、長さm3よりも短い。さらに、第2フィラー34の第2長さm2は、第1フィラー33の第1長さm1の1/4以下である。これにより、第2フィラー34がカバー層3に含まれていない場合に比べて、カバー層3の強度を高めることが可能となる。
【0062】
また、実施形態1に係る弾性波装置10では、一断面CS1の第1方向D1において、第2フィラー34は、カバー層3の主面31と第1フィラー33との間に位置している。これにより、支持層2がカバー層3内に入り込むことを更に抑制することが可能となる。
【0063】
ここで、「要素は、基板の第1主面に配置されている」は、要素が基板の第1主面上に直接実装されている場合だけでなく、基板で隔された第1主面側の空間及び第2主面側の空間のうち、第1主面側の空間に要素が配置されている場合を含む。つまり、「要素は、基板の第1主面に配置されている」は、要素が基板の第1主面上に、他の回路素子又は電極等を介して実装されている場合を含む。要素は、例えば、機能電極4である。要素が機能電極4である場合、基板は基板1であり、第1主面は第1主面101であり、第2主面は第2主面102である。また、要素は、例えば、弾性波装置10である。要素が弾性波装置10である場合、基板は実装基板11であり、第1主面は第1主面111であり、第2主面は第2主面112である。なお、以下の実施形態2~14においても同様である。
【0064】
(実施形態2)
実施形態2に係る弾性波装置10について、
図6を参照して説明する。実施形態2に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
実施形態2に係る弾性波装置10は、
図6に示すように、第1方向D1において、支持層2とカバー層3との間に空隙v1が形成されている点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。
【0066】
実施形態2に係る弾性波装置10においても、実施形態1に係る弾性波装置10と同様、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となり、その結果、中空空間s1を所望の形状にすることが可能となる。これにより、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0067】
(実施形態3)
実施形態3に係る弾性波装置10について、
図7を参照して説明する。実施形態3に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
実施形態3に係る弾性波装置10は、
図7に示すように、貫通電極6の形状が異なっている点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。
【0069】
貫通電極6は、
図7に示すように、第1部分6aと、第2部分6bと、を含む。第1部分6aと第2部分6bとは、第1方向D1に沿って並んでいる。第1部分6aの最大長さd3は、第2部分6bの最大長さd4よりも大きい。また、第2部分6bの最大長さd4は、第1部分6aの最小長さd31と同じである。すなわち、第2部分6bは、第1部分6aの一端(
図7の上端)において第1部分6aと一体に形成されている。
【0070】
また、貫通電極6は、
図7に示すように、複数の凹凸部611を有する。複数の凹凸部611は、カバー層3と貫通電極6との境界部分に存在する第1フィラー33によって、貫通電極6の外周面61に形成される。そして、複数の凹凸部611の各々の凹部に入り込んだ第1フィラー33によるアンカー効果によって、カバー層3に対する貫通電極6の密着性が向上するという利点がある。
【0071】
実施形態3に係る弾性波装置10においても、実施形態1に係る弾性波装置10と同様、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となり、その結果、中空空間s1を所望の形状にすることが可能となる。これにより、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0072】
(実施形態4)
実施形態4に係る弾性波装置10について、
図8~
図10を参照して説明する。実施形態4に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、
図8では、配線電極5の図示を省略している。
【0073】
実施形態4に係る弾性波装置10は、
図8に示すように、貫通電極6の形状が異なっている点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。また、実施形態4に係る弾性波装置10は、
図9に示すように、フィラー33の形状がくさび形状、又は板状である点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。
【0074】
貫通電極6は、
図8に示すように、第1部分6cと、第2部分6dと、を含む。第1部分6cは、貫通電極6のうち支持層2に対応する部分である。第2部分6dは、貫通電極6のうちカバー層3に対応する部分である。
【0075】
第1部分6cは、例えば、円錐台形状である。より詳細には、第1部分6cは、第1方向D1における第1端(
図8の下端)から第2端(
図8の上端)に向けて、第3方向D3の長さが徐々に短くなるような円錐台形状である。第1部分6cでは、第1端の長さd5は第2端の長さd6よりも大きい。長さd5は、例えば、68μm~73μmである。長さd6は、例えば、65μm~70μmである。
【0076】
第2部分6dは、例えば、円錐台形状である。より詳細には、第2部分6dは、第1方向D1における第1端(
図8の上端)から第2端(
図8の下端)に向けて、第3方向D3の長さが徐々に短くなるような円錐台形状である。第2部分6dでは、第1端の長さd7は第2端の長さd8よりも大きい。長さd7は、例えば、78μm~83μmである。長さd8は、例えば、72μm~77μmである。
【0077】
カバー層3は、
図9に示すように、樹脂32及び複数のフィラー33を含む。フィラー33の形状は、例えば、くさび形状(先細り形状)、又は板状である。
【0078】
また、支持層2は、
図10に示すように、第1方向D1における第1端P4から第2端P5に向けて、第3方向D3の長さが徐々に長くなっている。第3方向D3において、第1端P4の長さと第2端P5の長さとの差分m6は、例えば、1.5μmである。
【0079】
実施形態4に係る弾性波装置10では、第1部分6cにおいて長さが短くなる向き(
図8の上向き)と、第2部分6dにおいて長さが短くなる向き(
図8の下向き)とが互いに逆向きである。これにより、支持層2及びカバー層3に対する貫通電極6の密着性が向上するという利点がある。より詳細には、第1部分6cでは、第1端の長さd5が第2端の長さd6よりも長くなっており、第1端から第2端に向かう向き(
図8の上向き)の抜けが規制される。また、第2部分6dでは、第1端の長さd7が第2端の長さd8よりも長くなっており、第1端から第2端に向かう向き(
図8の下向き)の抜けが規制される。
【0080】
また、実施形態4に係る弾性波装置10においても、実施形態1に係る弾性波装置10と同様、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となり、その結果、中空空間s1を所望の形状にすることが可能となる。これにより、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0081】
(実施形態5)
実施形態5に係る弾性波装置10について、
図11~
図13を参照して説明する。実施形態5に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
実施形態5に係る弾性波装置10は、
図11に示すように、貫通電極6の形状が異なっている点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。また、実施形態5に係る弾性波装置10は、
図12に示すように、フィラー33の形状がくさび形状、又は板状である点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。
【0083】
貫通電極6は、
図11に示すように、第1部分6eと、第2部分6fと、第3部分6gと、を含む。第1部分6eは、貫通電極6のうち支持層2に対応する部分である。第2部分6f及び第3部分6gは、貫通電極6のうちカバー層3に対応する部分である。
【0084】
第1部分6eは、例えば、円錐台形状である。より詳細には、第1部分6eは、第1方向D1における第1端(
図11の下端)から第2端(
図11の上端)に向けて、第3方向D3の長さが徐々に短くなるような円錐台形状である。第1部分6eでは、第1端の長さd9は第2端の長さd10よりも長い。長さd9は、例えば、41μm~45μmである。長さd10は、例えば、38μm~42μmである。
【0085】
第2部分6fは、例えば、円錐台形状である。より詳細には、第2部分6fは、第1方向D1における第1端(
図11の上端)から第2端(
図11の下端)に向けて、第3方向D3の長さが徐々に短くなるような円錐台形状である。第2部分6fでは、第1端の長さd11は第2端の長さd12よりも長い。長さd11は、例えば、58μmである。長さd12は、例えば、42μmである。
【0086】
第3部分6gは、例えば、円錐台形状である。より詳細には、第3部分6gは、第1方向D1における第1端(
図11の上端)から第2端(
図11の下端)に向けて、第3方向D3の長さが徐々に長くなるような円錐台形状である。また、第1方向D1における第3部分6gの表面(
図11の下面)は、下向き(第2部分6fとは反対向き)に凸となる曲面形状である。第2部分6fでは、第1端の長さd12は第2端の長さd13よりも短い。長さd12は、例えば、42μmである。長さd13は、例えば、53μmである。
【0087】
カバー層3は、
図12に示すように、樹脂32及びフィラー33を含む。フィラー33の形状は、例えば、くさび形状、又は板状である。
【0088】
また、支持層2は、
図13に示すように、第1方向D1における第1端P6から第2端P7に向けて、第3方向D3の長さが徐々に長くなっている。第3方向D3において、第1端P6の長さと第2端P7の長さとの差分m7は、例えば、1.5μmである。さらに、支持層2は、第3方向D3における貫通電極6の第1部分6eとの境界部分に、「だれ」が生じている。
【0089】
実施形態5に係る弾性波装置10では、第1部分6eにおいて長さが短くなる向き(
図11の上向き)と、第2部分6fにおいて長さが短くなる向き(
図11の下向き)とが互いに逆向きである。これにより、支持層2及びカバー層3に対する貫通電極6の密着性が向上するという利点がある。より詳細には、第1部分6eでは、第1端の長さd9が第2端の長さd10よりも長くなっており、第1端から第2端に向かう向き(
図11の上向き)の抜けが規制される。また、第2部分6fでは、第1端の長さd11が第2端の長さd12よりも長くなっており、第1端から第2端に向かう向き(
図11の下向き)の抜けが規制される。
【0090】
また、実施形態5に係る弾性波装置10においても、実施形態1に係る弾性波装置10と同様、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となり、その結果、中空空間s1を所望の形状にすることが可能となる。これにより、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0091】
(実施形態6)
実施形態6に係る弾性波装置10について、
図14~
図17を参照して説明する。実施形態6に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、
図14の二点鎖線50は、弾性波装置10のパッケージの外縁(以下、「パッケージ外縁50」ともいう)である。
【0092】
実施形態6に係る弾性波装置10は、
図14に示すように、支持層2が複数(図示例では3つ)の柱状部22を含む点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。
【0093】
支持層2は、
図14に示すように、枠状部21と、複数(図示例では3つ)の柱状部22と、を含む。枠状部21は、第1方向D1(紙面に垂直な方向)からの平面視において、第2方向D2に比べて第3方向D3に長い矩形の枠状である。また、枠状部21は、第1方向D1からの平面視において、全体的にパッケージ外縁50よりも内側に位置しているが、四隅においてはパッケージ外縁50まで延びている。
【0094】
複数の柱状部22は、第1方向D1からの平面視において、枠状部21で囲まれた領域である中空空間s1において、第3方向D3に沿って等間隔に並んでいる。これにより、中空空間s1が4つの空間に仕切られている。
【0095】
ここで、
図15は、実施形態6に係る弾性波装置10のダイシング工程を示す概念図である。
図15の例では、ダイシング工程において、矢印A1の方向から第1ダイシングブレード201にてカバー層3、支持層2、基板1の一部(
図15の下端部)の順に切削した後、矢印A2の方向から第2ダイシングブレード202にて基板1の残部を切削する。これにより、複数の弾性波装置10を含むウェハから複数の弾性波装置10がチップ化される。
【0096】
図14のX7部では、支持層2の枠状部21がパッケージ外縁50よりも内側に位置しており、上述のダイシング工程において、基板1及びカバー層3が切削され、支持層2の枠状部21は切削されない。これにより、
図14のX7部では、
図16に示すような切削面60になる。一方、
図14のX8部では、支持層2の枠状部21がパッケージ外縁50まで延びており、上述のダイシング工程において、基板1、支持層2の枠状部21及びカバー層3のすべてが切削される。これにより、
図14のX8部では、
図17に示すような切削面60になる。
【0097】
実施形態6に係る弾性波装置10では、第1ダイシングブレード201及び第2ダイシングブレード202を用いて2段階で切削しており、1つのダイシングブレードにて切削する場合に比べてチッピングを改善することが可能となる。
【0098】
上述のダイシング工程において、例えば、第1ダイシングブレード201にてカバー層3及び支持層2を切削した後、第2ダイシングブレード202にて基板1を切削してもよい。また、上述のダイシング工程において、例えば、第1ダイシングブレード201にてカバー層3を切削した後、第2ダイシングブレード202にて基板1及び支持層2を切削してもよい。いずれの場合でも、1つのダイシングブレードにて切削する場合に比べてチッピングを改善することが可能となる。
【0099】
(実施形態7)
実施形態7に係る弾性波装置10について、
図18~
図20を参照して説明する。実施形態7に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、
図18の二点鎖線50は、弾性波装置10のパッケージの外縁(以下、「パッケージ外縁50」ともいう)である。
【0100】
実施形態7に係る弾性波装置10は、
図18に示すように、機能電極4が配置されている領域R1~R6を除いた残りの領域に支持層2が設けられている点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。
【0101】
実施形態7に係る弾性波装置10では、
図18に示すように、機能電極4が配置されている複数(図示例では6つ)の領域R1~R6を除いた残りの領域に支持層2が設けられている。
【0102】
図18のX9部では、上述のダイシング工程において、1つのダイシングブレードにて切削した場合、
図19に示すように、基板1、支持層2及びカバー層3の積層方向(
図19の上下方向)に沿った直線状の切削面60になる。
【0103】
一方、上述のダイシング工程において、第1ダイシングブレードにてカバー層3、支持層2、基板1の一部(
図20の下端部)の順に切削した後、第2ダイシングブレードにて基板1の残部を切削した場合、
図20に示すように、第1ダイシングブレード及び第2ダイシングブレードの形状に沿った切削面60になる。
【0104】
(実施形態8)
実施形態8に係る弾性波装置10について、
図21を参照して説明する。実施形態8に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0105】
実施形態8に係る弾性波装置10は、基板1の代わりに、支持基板91と圧電体層92とを備えている点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。
【0106】
実施形態8に係る弾性波装置10は、
図21に示すように、支持基板91と、圧電体層92と、機能電極4と、を備える。また、実施形態8に係る弾性波装置10は、支持層2と、カバー層3と、複数の配線電極5と、複数の貫通電極6と、複数の外部接続電極7と、を更に備える。
【0107】
支持基板91は、例えば、シリコン基板である。支持基板91は、支持基板91の厚さ方向(
図21の上下方向)からの平面視において長方形状であるが、長方形状に限らず、例えば、正方形状であってもよい。支持基板91の厚さは、例えば、120μmである。支持基板91では、圧電体層92を伝搬する弾性波の音速よりも、支持基板91を伝搬するバルク波の音速が高速である。
【0108】
支持基板91の材料は、シリコンに限定されない。支持基板91は、シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、水晶、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、マグネシア及びダイヤモンドからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含んでいればよい。
【0109】
圧電体層92は、支持基板91に支持されている。圧電体層92の材料は、例えば、リチウムタンタレートである。圧電体層92の厚さは、例えば、IDT電極(機能電極4)の電極指ピッチ(電極指周期)P0で定まる弾性波の波長をλとしたとき、3.5λ以下である。なお、圧電体層92の厚さは、3.5λ以下であることに限定されず、3.5λより大きくてもよい。
【0110】
圧電体層92の材料は、リチウムタンタレートに限定されない。圧電体層92の材料は、例えば、リチウムニオベイト、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、又はチタン酸ジルコン酸鉛であってもよい。
【0111】
実施形態8に係る弾性波装置10においても、実施形態1に係る弾性波装置10と同様、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となり、その結果、中空空間s1を所望の形状にすることが可能となる。これにより、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0112】
(実施形態9)
実施形態9に係る弾性波装置10について、
図22を参照して説明する。実施形態9に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、実施形態9に係る弾性波装置10に関し、実施形態8に係る弾性波装置10(
図21参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0113】
実施形態9に係る弾性波装置10は、低音速膜93を更に備えている点で、実施形態8に係る弾性波装置10と相違する。
【0114】
実施形態9に係る弾性波装置10は、
図22に示すように、支持基板91と、圧電体層92と、低音速膜93と、機能電極4と、を備える。また、実施形態9に係る弾性波装置10は、支持層2と、カバー層3と、複数の配線電極5と、複数の貫通電極6と、複数の外部接続電極7と、を更に備える。
【0115】
低音速膜93は、支持基板91の厚さ方向(
図22の上下方向)において支持基板91と圧電体層92との間に配置されている。低音速膜93の材料は、例えば、酸化ケイ素である。低音速膜93は、圧電体層92を伝搬するバルク波の音速よりも、低音速膜93を伝搬するバルク波の音速が低速となる膜である。低音速膜93の厚さは、例えば、IDT電極(機能電極4)の電極指ピッチ(電極指周期)P0で定まる弾性波の波長をλとしたとき、2.0λ以下であることが好ましい。
【0116】
低音速膜93の材料は、酸化ケイ素に限定されない。低音速膜93の材料は、例えば、ガラス、酸窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化ケイ素にフッ素、炭素、若しくはホウ素を加えた化合物、又は、上記各材料を主成分とする材料であってもよい。
【0117】
実施形態9に係る弾性波装置10においても、実施形態1に係る弾性波装置10と同様、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となり、その結果、中空空間s1を所望の形状にすることが可能となる。これにより、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0118】
(実施形態10)
実施形態10に係る弾性波装置10について、
図23を参照して説明する。実施形態10に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、実施形態10に係る弾性波装置10に関し、実施形態9に係る弾性波装置10(
図22参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0119】
実施形態10に係る弾性波装置10は、高音速膜94を更に備えている点で、実施形態9に係る弾性波装置10と相違する。
【0120】
実施形態10に係る弾性波装置10は、
図23に示すように、支持基板91と、圧電体層92と、低音速膜93と、高音速膜94と、機能電極4と、を備える。また、実施形態10に係る弾性波装置10は、支持層2と、カバー層3と、複数の配線電極5と、複数の貫通電極6と、複数の外部接続電極7と、を更に備える。
【0121】
高音速膜94は、支持基板91の厚さ方向(
図23の上下方向)において支持基板91と低音速膜93との間に配置されている。高音速膜94の材料は、例えば、窒化ケイ素である。高音速膜94は、圧電体層92を伝搬する弾性波の音速よりも、高音速膜94を伝搬するバルク波の音速が高速となる膜である。高音速膜94の厚さは、例えば、200nm、300nm、400nm、600nmである。高音速膜94の厚さは、厚いほど好ましい。
【0122】
高音速膜94の材料は、窒化ケイ素に限定されない。高音速膜94の材料は、例えば、ダイヤモンドライクカーボン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、シリコン、サファイア、圧電体(リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、又は水晶)、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、マグネシア、及びダイヤモンドからなる群から選択される少なくとも1種の材料であってもよい。また、高音速膜94の材料は、上述したいずれかの材料を主成分とする材料、又は、上述したいずれかの材料を含む混合物を主成分とする材料であってもよい。
【0123】
実施形態10に係る弾性波装置10においても、実施形態1に係る弾性波装置10と同様、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となり、その結果、中空空間s1を所望の形状にすることが可能となる。これにより、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0124】
(実施形態11)
実施形態11に係る弾性波装置10について、
図24を参照して説明する。実施形態11に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0125】
実施形態11に係る弾性波装置10は、BAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタである点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。
【0126】
実施形態11に係る弾性波装置10は、
図24に示すように、支持基板91と、電気絶縁膜95と、下部電極96と、圧電体膜97と、上部電極98と、を備える。また、実施形態11に係る弾性波装置10は、支持層2と、カバー層3と、複数の配線電極5と、複数の貫通電極6と、複数の外部接続電極7と、を更に備える。実施形態11に係る弾性波装置10は、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)型のBAWフィルタである。
【0127】
支持基板91は、例えば、シリコン基板又はスピネル基板である。電気絶縁膜95は、支持基板91上に配置されている。電気絶縁膜95は、例えば、シリコン酸化膜である。下部電極96、圧電体膜97及び上部電極98は、支持基板91に支持されている。圧電体膜97は、下部電極96上に配置されている。上部電極98は、圧電体膜97上に配置されている。圧電体膜97の材料は、例えば、窒化アルミニウム、窒化スカンジウムアルミニウム、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト又はチタン酸シルコン酸鉛である。また、実施形態11に係る弾性波装置10では、電気絶縁膜95と下部電極96との間に空洞99が設けられている。
【0128】
実施形態11に係る弾性波装置10においても、実施形態1に係る弾性波装置10と同様、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となり、その結果、中空空間s1を所望の形状にすることが可能となる。これにより、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0129】
(実施形態12)
実施形態12に係る弾性波装置10について、
図25を参照して説明する。実施形態12に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、実施形態12に係る弾性波装置10に関し、実施形態11に係る弾性波装置10(
図24参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0130】
実施形態12に係る弾性波装置10は、SMR(Solid Mounted Resonator)型のBAWフィルタである点で、実施形態11に係る弾性波装置10と相違する。
【0131】
実施形態12に係る弾性波装置10は、
図25に示すように、支持基板91と、音響多層膜95Aと、下部電極96と、圧電体膜97と、上部電極98と、を備える。また、実施形態12に係る弾性波装置10は、支持層2と、カバー層3と、複数の配線電極5と、複数の貫通電極6と、複数の外部接続電極7と、を更に備える。実施形態12に係る弾性波装置10は、SMR型のBAWフィルタである。
【0132】
音響多層膜95Aは、圧電体膜97で発生したバルク弾性波を反射する。音響多層膜95Aは、複数の高音響インピーダンス層951と複数の低音響インピーダンス層952とが支持基板91の厚さ方向(
図25の上下方向)において一層ごとに交互に並んだ構造である。複数の高音響インピーダンス層951の各々は、相対的に音響インピーダンスの高い層である。複数の低音響インピーダンス層952の各々は、相対的に音響インピーダンスの低い層である。高音響インピーダンス層951の材料は、例えば、白金である。低音響インピーダンス層952の材料は、例えば、酸化ケイ素である。
【0133】
実施形態12に係る弾性波装置10においても、実施形態1に係る弾性波装置10と同様、支持層2がカバー層3内に入り込むことを抑制することが可能となり、その結果、中空空間s1を所望の形状にすることが可能となる。これにより、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0134】
(実施形態13)
実施形態13に係る弾性波装置10について、
図26を参照して説明する。実施形態13に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0135】
実施形態13に係る弾性波装置10は、
図26に示すように、第1接点P21と第1特定フィラー331とが第1方向D1で重なっており、かつ、第2接点P22と第2特定フィラー332とが第1方向D1で重なっている点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。
【0136】
実施形態13に係る弾性波装置10は、
図26に示すように、基板1と、支持層2と、カバー層3と、機能電極4と、を備える。また、実施形態13に係る弾性波装置10は、複数の配線電極5と、複数の貫通電極6と、複数の外部接続電極7と、を更に備える。
【0137】
支持層2は、
図26に示すように、枠状部21を含む。枠状部21は、第1周縁211、及び第1周縁211とは異なる第2周縁212を有する。第1周縁211及び第2周縁212は、第3方向D3において機能電極4側に位置している。
図26の例では、第1周縁211と第2周縁212とは、第3方向D3において互いに対向している。第1周縁211は、第1接点P21においてカバー層3に接触している。第2周縁212は、第2接点P22においてカバー層3に接触している。
【0138】
カバー層3は、
図26に示すように、複数(図示例では2つ)のフィラー33を含む。複数のフィラー33は、第1特定フィラー331と、第1特定フィラー331とは異なる第2特定フィラー332と、を含む。第1特定フィラー331は、第1接点P21と第1方向D1で重なっている。第2特定フィラー332は、第2接点P22と第1方向D1で重なっている。
【0139】
実施形態13に係る弾性波装置10では、支持層2の第1周縁211とカバー層3との第1接点P21と、第1特定フィラー331とが第1方向D1で重なっており、かつ、支持層2の第2周縁212とカバー層3との第2接点P22と、第2特定フィラー332とが第1方向D1で重なっている。これにより、支持層2がカバー層3内に入り込むことを更に抑制することが可能となり、その結果、弾性波装置10の特性劣化を更に抑制することが可能となる。
【0140】
(実施形態14)
実施形態14に係る弾性波装置10について、
図27~
図30を参照して説明する。実施形態14に係る弾性波装置10に関し、実施形態1に係る弾性波装置10(
図2参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0141】
実施形態14に係る弾性波装置10は、
図27に示すように、第3方向D3に沿って並んでいる2つの機能電極4の間に配線部8が位置している点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。また、実施形態14に係る弾性波装置10は、縦結合型の弾性波フィルタである点で、実施形態1に係る弾性波装置10と相違する。
【0142】
実施形態14に係る弾性波装置10は、
図27に示すように、基板1と、支持層2と、カバー層3と、複数(図示例では2つ)の機能電極4と、を備える。また、実施形態14に係る弾性波装置10は、複数の配線電極5と、複数の貫通電極6と、複数の外部接続電極7と、配線部8と、を更に備える。実施形態14では、支持層2は、枠状部21を含む。
【0143】
配線部8は、
図27に示すように、基板1の第1主面101に配置されている。配線部8は、第3方向D3に沿って並んでいる2つの機能電極4の間に位置している。配線部8は、例えば、2つの機能電極4のうち少なくとも一方の機能電極4に接続されている。
【0144】
配線部8は、第1配線層81及び第2配線層82を有する。第1配線層81は、例えば、グランド配線である。第2配線層82は、例えば、高周波信号が通過する信号配線である。第1配線層81は、第1方向D1において基板1と第2配線層82と間に配置されている。また、配線部8は、絶縁層83を更に有する。絶縁層83は、第1配線層81と第2配線層82とを絶縁するための層である。絶縁層83は、第1方向D1において第1配線層81と第2配線層82との間に位置している。すなわち、配線部8では、基板1の第1主面101から離れる向き(
図27の下向き)に、第1配線層81、絶縁層83、第2配線層82の順に積層されている。なお、第1配線層81の材料は、複数の機能電極4の各々の材料と同じであることが好ましい。これにより、第1配線層81及び複数の機能電極4を同一行程で形成することが可能となる。
【0145】
第1方向D1において、配線部8の厚さt1は、複数の機能電極4の各々の厚さt2よりも厚い。このため、高周波モジュールの製造工程において樹脂層を形成する樹脂からの応力によって基板1が変形しても、配線部8がカバー層3に接触するので、各機能電極4がカバー層3に接触することを抑制することが可能となる。その結果、各機能電極4がカバー層3に接触することによる特性劣化を抑制することが可能となる。また、基板1が変形した場合には、配線部8によって支持することができるので、支持層2の幅寸法を小さくすることも可能となる。
【0146】
図28は、各機能電極4が配置されている領域R7,R8と、配線部8が配置されている領域R9との位置関係を示す平面図である。
図28の領域R10は、中空空間s1の領域を示している。
図28において、「c1」は中空空間s1の重心であり、「c2」は領域R9に配置されている配線部8の重心であり、「c3」は領域R7に配置されている機能電極4の重心であり、「c4」は領域R8に配置されている機能電極4の重心である。ここで、「中空空間s1の重心c1」とは、中空空間s1内に物体が充填されているとした場合における当該物体の重心をいう。また、「配線部8の重心c2」とは、第1方向D1からの平面視において、配線部8における第2方向D2の2つの外縁に沿った2つの直線と、配線部8における第3方向D3の2つの外縁に沿った2つの直線と、で囲まれた領域の重心(中心)をいう。また、「機能電極4の重心c3,c4」とは、第1方向D1からの平面視において、機能電極4に含まれるすべての電極指における第2方向D2の2つの外縁に沿った2つの直線と、すべての電極指における第3方向D3の2つの外縁に沿った2つの直線と、で囲まれた領域の重心(中心)をいう。
【0147】
図28の例では、中空空間s1の重心c1と配線部8の重心c2との距離m8は、中空空間s1の重心c1と機能電極4の重心c3との距離m9よりも短く、かつ、中空空間s1の重心c1と機能電極4の重心c4との距離m10よりも短い。すなわち、配線部8の重心c2が、中空空間s1の重心c1に最も近い。
【0148】
第3方向D3において、第2配線層82の長さm13は、第1配線層81の長さm11よりも短い。また、第3方向D3において、第2配線層82の長さm13は、絶縁層83の長さm12よりも短い。また、第3方向D3において、絶縁層83の長さm12は、第1配線層81の長さm11よりも短い。すなわち、第3方向D3において、第1配線層81の長さm11が最も長く、第2配線層82の長さm13が最も短い。これにより、配線部8は、
図29に示すような階段形状になっている。このため、例えば、高周波モジュールの製造工程において、樹脂層12を形成する樹脂120がカバー層3を透過して中空空間s1内に漏れ出した場合でも、
図29の矢印A3に示すように、第2配線層82、絶縁層83、第1配線層81の外周面に沿って樹脂120が基板1側(
図29の上側)に移動するので、樹脂120が機能電極4に伝わりにくいという利点がある。結果として、弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。また、第1方向D1からの平面視においても、
図30の矢印A4に示すように、例えば、絶縁層83の表面に沿って第2方向D2に樹脂120が移動するので、樹脂120が機能電極4に伝わりにくく、結果的に弾性波装置10の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0149】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0150】
第1の態様に係る弾性波装置(10)は、基板(1)と、カバー層(3)と、支持層(2)と、を備える。支持層(2)は、第1方向(D1)において基板(1)とカバー層(3)との間に配置されている。第1方向(D1)は、基板(1)の厚さ方向である。弾性波装置(10)では、基板(1)と支持層(2)とカバー層(3)とで中空空間(s1)が形成されている。カバー層(3)は、樹脂(32)及びフィラー(33)を含む。第2方向(D2)を法線方向とする一断面(CS1)において、第3方向(D3)における支持層(2)の周縁(221)とカバー層(3)との接点(P11)と、フィラー(33)と、が第1方向(D1)で重なっている。第2方向(D2)は、第1方向(D1)と直交する方向である。第3方向(D3)は、第1方向(D1)及び第2方向(D2)と直交する方向である。一断面(CS1)の第1方向(D1)において、支持層(2)のうち第3方向(D3)の長さが最小長さ(m4)となる第1位置(P1)は、支持層(2)のうち第3方向(D3)の長さが最大長さ(m5)となる第2位置(P2)と支持層(2)のうちカバー層(3)と接触している第3位置(P3)との間に位置している。一断面(CS1)の第3方向(D3)において、フィラー(33)の長さ(m1)は、支持層(2)の最大長さ(m5)と最小長さ(m4)との差分の1/2の長さ(m3)よりも長い。
【0151】
この態様によれば、フィラー(33)の長さ(m1)は、長さ(m3)よりも長く、一断面(CS1)において、第3方向(D3)における支持層(2)の周縁(221)とカバー層(3)との接点(P11)と、フィラー(33)と、が第1方向(D1)で重なっている。これにより、高周波モジュール(20)の製造工程において、樹脂層(12)を形成する樹脂からの応力が基板(1)を介して支持層(2)に加えられた場合でも、この応力をフィラー(33)が受けることができるので、支持層(2)がカバー層(3)内に入り込むことを抑制することが可能となる。その結果、中空空間(s1)を所望の形状にすることが可能となり、弾性波装置(10)の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0152】
第2の態様に係る弾性波装置(10)では、第1の態様において、カバー層(3)は、第2フィラー(34)を更に含む。第2フィラー(34)は、フィラー(33)である第1フィラー(33)とは異なる。一断面(CS1)の第3方向(D3)において、第2フィラー(34)の長さである第2長さ(m2)は、第1フィラー(33)の長さである第1長さ(m1)よりも短い。
【0153】
この態様によれば、カバー層(3)の強度を高めることが可能となる。
【0154】
第3の態様に係る弾性波装置(10)では、第2の態様において、カバー層(3)は、支持層(2)と接触する領域(311,312)を含む主面(31)を有する。一断面(CS1)の第1方向(D1)において、第2フィラー(34)は、カバー層(3)の主面(31)と第1フィラー(33)との間に位置している。
【0155】
この態様によれば、支持層(2)がカバー層(3)内に入り込むことを更に抑制することが可能となる。
【0156】
第4の態様に係る弾性波装置(10)では、第2又は第3の態様において、一断面(CS1)の第3方向(D3)において、第2長さ(m2)は、上記差分の1/2の長さ(m3)よりも短い。
【0157】
この態様によれば、カバー層(3)の強度を高めることが可能となる。
【0158】
第5の態様に係る弾性波装置(10)では、第2又は第3の態様において、一断面(CS1)の第3方向(D3)において、第2長さ(m2)は、第1長さ(m1)の1/4以下である。
【0159】
この態様によれば、カバー層(3)の強度を高めることが可能となる。
【0160】
第6の態様に係る弾性波装置(10)では、第2~第5の態様のいずれか1つにおいて、第1フィラー(33)は、2μm以上の直径を有する球体である。
【0161】
この態様によれば、第1フィラー(33)が2μm未満の直径を有する球体である場合に比べて、支持層(2)がカバー層(3)内に入り込むことを抑制することが可能となる。
【0162】
第7の態様に係る弾性波装置(10)では、第6の態様において、第1フィラー(33)は、4μm以上の直径を有する球体である。
【0163】
この態様によれば、第1フィラー(33)が、4μm未満の直径を有する球体である場合に比べて、支持層(2)がカバー層(3)内に入り込むことを抑制することが可能となる。
【0164】
第8の態様に係る弾性波装置(10)では、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、カバー層(3)は、フィラー(33)を複数含む。複数のフィラー(33)は、第1特定フィラー(331)と、第1特定フィラー(331)とは異なる第2特定フィラー(332)と、を含む。支持層(2)は、周縁として、第1周縁(211)と、第1周縁(211)とは異なる第2周縁(212)と、を有する。一断面(CS1)において、第1特定フィラー(331)は、第1周縁(211)とカバー層(3)との接点である第1接点(P21)と第1方向(D1)で重なっている。一断面(CS1)において、第2特定フィラー(332)は、第2周縁(212)とカバー層(3)との接点である第2接点(P22)と第1方向(D1)で重なっている。
【0165】
この態様によれば、支持層(2)がカバー層(3)内に入り込むことを更に抑制することが可能となる。
【0166】
第9の態様に係る弾性波装置(10)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、機能電極(4)を更に備える。機能電極(4)は、中空空間(s1)に位置するように基板(1)に配置されている。支持層(2)は、枠状部(21)を含む。枠状部(21)は、第1方向(D1)からの平面視において機能電極(4)を囲んでいる。
【0167】
この態様によれば、機能電極(4)を配置するための中空空間(s1)を形成することが可能となる。
【0168】
第10の態様に係る弾性波装置(10)は、第9の態様において、機能電極(4)を複数備える。支持層(2)は、柱状部(22)を更に含む。柱状部(22)は、第3方向(D3)において、複数の機能電極(4)のうち隣接する2つの機能電極(4)の間に配置されている。
【0169】
この態様によれば、隣接する2つの機能電極(4)を柱状部(22)によって仕切ることが可能となる。
【0170】
第11の態様に係る弾性波装置(10)では、第9又は第10の態様において、枠状部(21)は、第1周縁(211)及び第2周縁(212)を有する。第1周縁(211)及び第2周縁(212)は、第3方向(D3)において機能電極(4)側に位置している。
【0171】
この態様によれば、中空空間(s1)の変形を抑制することが可能となる。
【0172】
第12の態様に係る弾性波装置(10)では、第9~第11の態様のいずれか1つにおいて、基板(1)は、圧電性基板である。機能電極(4)は、IDT電極である。
【0173】
この態様によれば、弾性波装置(10)の薄型化を図ることが可能となる。
【0174】
第13の態様に係る弾性波装置(10)は、第9~第12の態様のいずれか1つにおいて、機能電極(4)を複数備える。弾性波装置(10)は、配線部(8)を更に備える。配線部(8)は、基板(1)に配置されており、複数の機能電極(4)のうち少なくとも1つの機能電極(4)に接続されている。配線部(8)は、第3方向(D3)において、複数の機能電極(4)のうち隣接する2つの機能電極(4)の間に位置している。第1方向(D1)における配線部(8)の厚さ(t1)は、第1方向(D1)における隣接する2つの機能電極(4)の各々の厚さ(t2)よりも厚い。
【0175】
この態様によれば、中空空間(s1)が第1方向(D1)に変形した場合には配線部(8)がカバー層(3)に接触するので、機能電極(4)がカバー層(3)に接触することによる特性劣化を抑制することが可能となる。
【0176】
第14の態様に係る弾性波装置(10)では、第13の態様において、配線部(8)は、第1配線層(81)及び第2配線層(82)を有する。第1配線層(81)は、第1方向(D1)において基板(1)と第2配線層(82)との間に配置されている。第3方向(D3)において、第2配線層(82)の長さ(m13)は、第1配線層(81)の長さ(m11)よりも短い。
【0177】
この態様によれば、高周波モジュール(20)の樹脂層(12)を形成する際に、樹脂層(12)を形成する樹脂(120)が中空空間(s1)内に漏れ出した場合でも、第1配線層(81)及び第2配線層(82)の外周面に沿って基板(1)側に移動し、機能電極(4)側に移動しにくくなっている。これにより、樹脂(120)による弾性波装置(10)の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0178】
第15の態様に係る弾性波装置(10)では、第14の態様において、配線部(8)は、絶縁層(83)を更に備える。絶縁層(83)は、第1方向(D1)において第1配線層(81)と第2配線層(82)との間に位置している。
【0179】
この態様によれば、第1配線層(81)と第2配線層(82)とを絶縁することが可能となる。
【0180】
第16の態様に係る弾性波装置(10)では、第14又は第15の態様において、第1配線層(81)の材料と複数の機能電極(4)の各々の材料とは同じである。
【0181】
この態様によれば、第1配線層(81)と複数の機能電極(4)とを同時に形成することができるので、第1配線層(81)と複数の機能電極(4)とを別々に形成する場合に比べて、製造時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0182】
第17の態様に係る高周波モジュール(20)は、第1~第16の態様のいずれか1つの弾性波装置(10)と、実装基板(11)と、を備える。実装基板(11)は、弾性波装置(10)が配置されている。
【0183】
この態様によれば、弾性波装置(10)の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0184】
第18の態様に係る通信装置(100)は、第17の態様に係る高周波モジュール(20)と、信号処理回路(30)と、を備える。信号処理回路(30)は、高周波モジュール(20)に接続されている。
【0185】
この態様によれば、弾性波装置(10)の特性劣化を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0186】
1 基板
2 支持層
3 カバー層
4 機能電極
5 配線電極
6 貫通電極
6a 大径部
6b 小径部
6c 第1部分
6d 第2部分
6e 第1部分
6f 第2部分
6g 第3部分
7 外部接続電極
8 配線部
10 弾性波装置
11 実装基板
12 樹脂層
13 金属電極層
20 高周波モジュール
21 枠状部
22 柱状部
30 信号処理回路
31 主面
32 樹脂
33 第1フィラー(フィラー)
34 第2フィラー
40 アンテナ
50 パッケージ外縁
60 切削面
61 外周面
81 第1配線層
82 第2配線層
83 絶縁層
91 支持基板
92 圧電体層
93 低音速膜
94 高音速膜
95 電気絶縁膜
95A 音響多層膜
100 通信装置
101 第1主面
102 第2主面
111 第1主面
112 第2主面
120 樹脂
200 貫通孔
201 第1ダイシングブレード
202 第2ダイシングブレード
211 第1周縁(周縁)
212 第2周縁(周縁)
221 周縁
301 RF信号処理回路
302 ベースバンド信号処理回路
311 第1領域(領域)
312 第2領域(領域)
330 第1フィラー
331 第1特定フィラー
332 第2特定フィラー
611 凹凸部
951 高音響インピーダンス層
952 低音響インピーダンス層
c1~c4 重心
CS1 一断面
d1~d13 長さ
D1 第1方向(厚さ方向)
D2 第2方向
D3 第3方向
h1 厚さ
m1 第1長さ(長さ、直径)
m2 第2長さ(直径)
m3 長さ
m4 最小長さ
m5 最大長さ
m6,m7 差分
m8~m10 距離
m11~m13 長さ
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
P4,P6 第1端点
P5,P7 第2端点
P11 接点
P21 第1接点(接点)
P22 第2接点(接点)
R1~R10 領域
s1 中空空間
t1,t2 厚さ
v1 空隙