IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図1
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図2
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図3
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図4
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図5
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図6
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図7
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図8
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図9
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図10
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図11
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図12
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図13
  • 特開-印刷物および画像形成装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060289
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】印刷物および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/42 20060101AFI20240424BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20240424BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B41J3/42
G06K19/06 046
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167579
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 揚志
【テーマコード(参考)】
2C187
【Fターム(参考)】
2C187AC06
2C187AC08
2C187AD14
2C187AE11
2C187BG05
2C187CD07
2C187DB21
(57)【要約】
【課題】 条件によって異なる情報を示す画像を表示できる印刷物とその印刷物を作成できる画像形成装置とを提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、印刷物は、第1の画像と第2の画像と基材とを有する。第1の画像は、第1の条件において可視状態を維持する第1の材料を用いて形成される第1の情報を示す。第2の画像は、前記第1の条件において可視状態から不可視状態に変化する第2の材料を用いて形成され、前記第1の画像と合成した状態で第2の情報を示す。基材は、第1の画像と第2の画像とを保持する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の条件において可視状態を維持する第1の材料を用いて形成される第1の情報を示す第1の画像と、
前記第1の条件において可視状態から不可視状態に変化する第2の材料を用いて形成され、前記第1の画像と合成した状態で第2の情報を示す第2の画像と、
前記第1の画像と前記第2の画像とを保持する基材と、
を有する印刷物。
【請求項2】
前記第1の画像は、所定の映像表示プログラムを実行する情報処理装置に前記第1の情報としての第1のコンテンツを表示させる画像であり、
前記第2の画像は、前記所定の映像表示プログラムを実行する情報処理装置に前記第2の情報としての第2のコンテンツを表示させる画像である、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
さらに、前記第1の条件とは異なる第2の条件において可視状態から不可視状態に変化する第3の材料を用いて形成され、前記第1の画像と合成した状態で第3の情報を示す第3の画像を有し、
前記第1の材料は、前記第1の条件および前記第2の条件において可視状態を維持し、
前記基材は、前記第1の画像と前記第2の画像と前記第3の画像とを保持する、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項4】
前記第1の画像と前記第2の画像とを合成した画像は、前記第1の情報として認識される第1の画像コードであり、
前記第1の画像と前記第3の画像とを合成した画像は、前記第2の情報として認識される第2の画像コードである、
請求項3に記載の印刷物。
【請求項5】
前記第1の画像と前記第2の画像と前記第3の画像とを合成した画像は、画像コードとして認識不能となる、
請求項4に記載の印刷物。
【請求項6】
基材に、第1の条件において可視状態を維持する第1の材料を用いて第1の情報を示す第1の画像を形成する第1の画像形成ステーションと、
前記基材に、前記第1の条件において可視状態から不可視状態に変化する第2の材料を用いて前記第1の画像と合成した状態で第2の情報を示す第2の画像を形成する第2の画像形成ステーションと、
を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、印刷物および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2次元コードなどの画像コード、又は、特定のコンテンツを表示するためのトリガとなる画像を印刷した印刷物がある。従来の印刷物は、印刷されている画像が環境条件で変化することがないため、環境条件に関係なく1つの認識結果が得られるように構成される。しかしながら、近年、1つの印刷物で多様なサービスを提供できる技術のニーズが高まっている。このようなニーズによって、複数の用途で使用できたり、状況に合った情報を提供できたりする印刷物が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-162081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、条件によって異なる情報を示す画像を表示できる印刷物とその印刷物を作成できる画像形成装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、印刷物は、第1の画像と第2の画像と基材とを有する。第1の画像は、第1の条件において可視状態を維持する第1の材料を用いて形成される第1の情報を示す。第2の画像は、前記第1の条件において可視状態から不可視状態に変化する第2の材料を用いて形成され、前記第1の画像と合成した状態で第2の情報を示す。基材は、第1の画像と第2の画像とを保持する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る印刷物の第1の例である印刷物が第1の画像を表示した状態を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る印刷物の第1の例である印刷物が第1の画像と第2の画像とを表示した状態を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る印刷物の第1の例である印刷物が表示する第1の画像と第2の画像とを情報処理装置が読み取った状態を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る印刷物の第1の例である印刷物が表示する第1の画像を情報処理装置が読み取った状態を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物が表示する第1の画像パターンの例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物が表示する第2の画像パターンの例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物が共通画像を表示した状態を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物が共通画像と第2の画像とを表示した状態を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物が共通画像と第3の画像とを表示した状態を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物が共通画像と第2の画像と第3の画像とを表示した状態を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る印刷物を作成する画像形成装置の構成例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る印刷物を作成する画像形成装置における制御系の構成例を示すブロック図である。
図13図13は、実施形態に係る印刷物の第1の例である印刷物を画像形成装置が作成する第1の作成処理の例を説明するためのフローチャートである。
図14図14は、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物を画像形成装置が作成する第2の作成処理の例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、実施形態に係る印刷物の第1の例である印刷物Aについて説明する。
図1および図2は、実施形態に係る印刷物の第1の例である印刷物Aを示す図である。図1および図2に示す印刷物Aは、条件によって表示する画像が変化する。図1は、第1の画像11が表示され、第2の画像12が表示されない状態の印刷物Aaを示す図である。図2は、第1の画像11と第2の画像12とが共に表示された状態の印刷物Abを示す図である。
【0008】
実施形態に係る印刷物の第1の例である印刷物Aは、図2に示すように、基材(媒体)10と第1の画像11と第2の画像12とを有する。第1の画像11は、第1の画像形成材料(第1の材料)で形成される。第2の画像12は、第2の画像形成材料(第2の材料)で形成される。基材10は、第1の材料で形成された第1の画像11と第2の材料で形成された第2の画像12とを保持する媒体である。
【0009】
第2の画像12を形成する第2の材料は、所定条件下において不可視状態(視認不能な状態)となる。また、第2の材料は、所定条件下でなくなると、可視状態(視認可能な状態)に戻る可逆性を有するものとする。第1の画像11を形成する第1の材料は、第2の材料が不可視となる所定条件下においても可視状態(視認可能な状態)である。
【0010】
以下の説明において、第2の画像12を形成する第2の材料は、所定条件としての消色条件(第1の条件)を満たす場合に消色する画像形成材料であるものとする。また、印刷物Aにおいて、第1の画像11を形成する第1の材料は、消色条件においても消色することがない非消色の画像形成材料であるものとする。なお、以下の説明において、消色とは、人間が不可視状態(視認不能な状態)であることを意味するものとする。消色とは、人間が視認不能な色に変色することを含むものとする。
【0011】
また、第2の材料としては、種々の消色条件によって消色する画像形成材料を用いることができる。例えば、第2の材料は、温度などにより消色する画像形成材料を用いることができる。温度によって消色する第2の材料は、印刷物が置かれた環境の温度が所定温度以上となると発色状態(可視状態)から消色状態(不可視状態)へ変化する。
【0012】
第2の材料としては、例えば、ロイコ染料が添加された可逆性を有する熱変色性のインク又はトナーがある。熱変色性のインク又はトナーは、所定の消色温度以上では着色が消えて肉眼では不可視の色(透明、消色)となる。また、熱変色性のインク又はトナーは、温度低下によって再び発色する。
また、条件によって消色又は発色する第2の材料として使用可能な材料は、温度によって消色する材料に限定されるものではない。例えば、第2の材料としては、水にぬれると消色又は発色する材料であっても良い。
【0013】
印刷物Aにおいて、基材10は、第1の画像11と第2の画像12とが印刷可能な面(印刷面)を有するものである。基材10は、第1の画像11を形成する第1の材料および第2の画像12を形成する第2の材料を保持(印刷)できる面を備えるものであれば良い。基材10は、紙などに限定されるものではなく、第1の画像11と第2の画像12とが印刷可能な素材で構成された印刷面を有する物体であれば良い。また、基材10の形状は、紙などの媒体に限定されるものではなく、箱、壁、柱、床などの第1の画像11と第2の画像12とが印刷可能な印刷面を有する物体であれば良い。
【0014】
印刷物Aは、基材10上に第1の材料で形成する第1の画像11と第2の材料で形成する第2の画像12とが印刷されたものである。第1の画像11は、第1の情報を示す画像である。第2の画像12と第1の画像11とを合わせた合成画像は、第1の画像が示す第1の情報とは異なる第2の情報を示す画像である。第2の画像12は、第1の画像11と合成画像との差分画像として印刷する画像であっても良いし、第1の画像11に重ねて印刷する画像であっても良い。
【0015】
図1に示す印刷物Aaが表示する第1の画像11は、第1の情報としての第1のコンテンツを示す第1のARマーカであるものとする。図1に示す印刷物Abが表示する第1の画像11と第2の画像12との合成画像は、第2の情報としての第2のコンテンツを示す第2のARマーカであるものとする。
【0016】
ここで、ARマーカとは、特定の映像表示プログラム(以下、ARマーカアプリとも称する)を実行する情報処理装置に特定のコンテンツを表示させるための画像である。第1のARマーカは、特定の映像表示プログラムを実行する情報処理装置に第1のコンテンツを表示させる画像である。第2のARマーカは、特定の映像表示プログラムを実行する情報処理装置に第2のコンテンツを表示させる画像である。なお、ARマーカについては、後で詳細に説明するものとする。
【0017】
図1は、基材10において第2の材料が消色された状態(消色条件を満たす状態)の印刷物Aaを示す図である。
消色条件を満たす状態にある印刷物Aaは、第2の材料が消色するため、基材10上にある第2の画像12が不可視状態(消色状態)となる。また、消色条件を満たす状態であっても第1の材料は消色しないため、基材10上にある第1の画像11が可視状態となる。このため、消色条件を満たす状態にある印刷物Aaは、図1に示すように、第2の画像12を表示せずに、第1の画像11だけを表示する。
【0018】
図2は、基材10において第2の材料が消色していない状態(消色条件下でない場合)の印刷物Abを示す図である。
消色条件を満たさない状態にある印刷物Abは、第2の材料が消色しないため、基材10上にある第2の画像12が可視状態(発色状態)となる。このため、消色条件を満たさない状態にある印刷物Abは、図2に示すように、第1の画像11と第2の画像12とが共に可視状態である。この結果として、図2に示す印刷物Abは、第1の画像11と第2の画像12とを合わせた合成画像を表示する。
【0019】
印刷物Aは、図1および図2に示すように、第2の材料が消色する消色条件を満たす状態であるか否かにより視認可能となる画像(表示する画像)が変化する。消色条件を満たす状態である印刷物Aaは、可視状態の画像として第1の画像11だけを表示する。消色条件を満たさない状態である印刷物Abは、可視状態の画像として第1の画像11と第2の画像12とを合わせた合成画像を表示する。
【0020】
なお、第2の画像12を形成する第2の材料は、消色条件を満たすか否かによって可視状態と不可視状態との間で可逆変化する可逆性の材料であっても良い。第2の材料が可逆性の材料である場合、第2の画像12は、消色条件下で不可視状態(非表示)となり、消色条件外で可視状態(表示)となるようにできる。例えば、第2の材料が所定の消色温度以上で消色する可逆性の材料である場合、第2の画像は、所定の消色温度以上で可視状態となり、所定の消色温度未満で不可視状態となるようにできる。
【0021】
次に、実施形態に係る印刷物の第1の例である印刷物Aに印刷する第1の画像11と第2の画像12との運用例について説明する。
図3および図4は、印刷物Aにおいて条件によって変化する複数種類の表示画像に対して複数のARマーカを設定する例を説明するための図である。
ARマーカとは、特定のコンテンツに紐づけられる画像である。AR(Augmented Reality;拡張現実)は、表示デバイスに表示した現実の映像にデジタルコンテンツを重ね合わせて表示する技術である。ARマーカは、ARとして表示する特定のコンテンツを呼び出すためのトリガとする画像である。
【0022】
情報処理装置Dは、特定の映像表示プログラム(ARマーカアプリ)を実行することにより、ARマーカとして設定した画像に紐づくコンテンツを取得(表示)できる。ARマーカアプリは、入力する画像に紐づけられているコンテンツを取得するアプリケーションプログラムである。例えば、ARマーカアプリは、カメラおよび表示デバイスを備える情報処理装置(例えば、スマートフォン、タブレットPC、スマートグラスなど)Dにインストールされる。
【0023】
情報処理装置Dは、ARマーカアプリを起動し、カメラでARマーカとする画像を撮影する。情報処理装置Dは、カメラで撮影した画像に含まれるARマーカとする画像から特徴量を抽出し、抽出した特徴量に紐づく特定のコンテンツを取得する。情報処理装置Dは、取得した特定のコンテンツをカメラで撮影した画像に紐づく特定のコンテンツとして表示デバイスに表示する。
【0024】
図3は、図1に示す印刷物Aaが表示する画像をARマーカとして読み取った情報処理装置Dが表示する第1のコンテンツの例を模式的に示す図である。
図1に示す印刷物Aaが表示する第1の画像11は、図3に示す第1のコンテンツに紐づけたARマーカ(第1のARマーカ)として設定するものとする。図1に示すように、第2の材料が消色する消色条件下にある印刷物Aaは、第1の画像11が表示され、第2の画像が表示されない。情報処理装置Dは、消色条件下にある印刷物Aaをカメラで撮影すると、第1のARマーカである第1の画像11を読み取る。情報処理装置Dは、印刷物Aaから第1の画像11を読み取ると、図3に示すように、第1のARマーカである第1の画像11に紐づけられた第1のコンテンツを表示する。
【0025】
図4は、図2に示す印刷物Abが表示する画像をARマーカとして読み取った情報処理装置Dが表示する第2のコンテンツの例を模式的に示す図である。
図2に示す印刷物Abが表示する第1の画像11と第2の画像12との合成画像は、図4に示す第2のコンテンツに紐づけたARマーカ(第2のARマーカ)として設定するものとする。第2の材料が消色しない状態(消色条件を満たさない状態)の印刷物Abは、図2に示すように、第1の画像11と第2の画像12とが表示される。情報処理装置Dは、消色条件を満たさない状態の印刷物Abをカメラで撮影すると、第2のARマーカである第1の画像11と第2の画像12とを合わせた合成画像を読み取る。情報処理装置Dは、印刷物Abから第1の画像と第2の画像との合成画像を読み取ると、図4に示すように、合成画像に紐づけられた第2のコンテンツを表示する。
【0026】
上述したように、実施形態に係る印刷物の第1の例である印刷物Aは、条件に応じて複数のARマーカとして設定される複数の画像を表示することができる。言い換えると、第1の例である印刷物Aは、条件によって表示するARマーカを変えることができる。上述した例によれば、第1の例である印刷物Aは、消色条件を満たす状態であれば第1のARマーカを表示し、消色条件を満たさない状態であれば第2のARマーカを表示する。ARマーカアプリが動作する情報処理装置は、消色条件を満たす状態の印刷物と消色条件を満たさない状態の印刷物とを読み取ることで異なるコンテンツを表示できる。
【0027】
すなわち、情報処理装置は、印刷物が消色条件を満たす状態であれば消色する材料で形成された画像以外の画像に紐づけた第1のコンテンツを表示できる。情報処理装置は、当該印刷物が消色条件を満たさない状態であれば消色する材料で形成された画像を含む画像に紐づけた第2のコンテンツを表示できる。
【0028】
次に、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物Bについて説明する。
図5は、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物Bに印刷する第1の画像パターンPaの例を示す図である。図6は、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物Bに印刷する第2の画像パターンPbの例を示す図である。
図5に示す第1の画像パターンPaは、特定の文字情報(第1の情報)を示す2次元コード(画像コード)である画像の例である。図6に示す第2の画像パターンPbは、第1の画像パターンとは別の情報(第2の情報))を示す2次元コードである画像の例である。第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとは、同一サイズにして重ね合わせると、共通部分の画像(共通画像と称する)が存在する。例えば、第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとが所定の規格に準じて作成する画像パターンであれば、共通画像は多くなる。
【0029】
図7乃至10は、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物Bを示す図である。
図7乃至10に示す印刷物Bは、複数の画像形成材料を用いて第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとを重ねて基材20に印刷したものである。実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物Bは、図10に示すように、基材(媒体)20と共通画像21と第2の画像22と第3の画像23とを有する。
【0030】
基材20は、共通画像(第1の画像)21と第2の画像22と第3の画像23とを保持する媒体である。基材20は、共通画像21、第2の画像22および第3の画像23が印刷可能な面(印刷面)を有する。基材20は、第1の材料、第2の材料および第2の材料を保持(印刷)できる印刷面を備えるものであれば良い。基材20は、紙などに限定されるものではなく、共通画像21、第2の画像22と第3の画像23が印刷可能な素材で構成された印刷面を有する物体であれば良い。また、基材10の形状は、紙などの媒体に限定されるものではなく、箱、壁、柱、床などの第1の画像11と第2の画像12とが印刷可能な印刷面を有する物体であれば良い。
【0031】
共通画像(第1の画像)21は、第1の画像形成材料(第1の材料)で形成される。共通画像21は、第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとを重ね合わせた場合に共通する部分の画像である。共通画像21を形成する第1の材料は、後述する第1の条件下又は第2の条件下であっても可視状態(視認可能な状態)である画像形成材料である。例えば、第1の材料は、条件が変化しても変色しない(視認可能な状態である)画像形成材料である。
【0032】
第2の画像22は、第2の画像形成材料(第2の材料)で形成する。印刷物Bにおいて、第2の画像22と共通画像21とを合わせた合成画像が第1の画像パターンPaを形成する。第2の画像22を形成する第2の材料は、第3の材料の可視条件(第1の条件)を満たす場合に可視状態となる。また、第2の材料は、第1の条件である場合に可視状態となり、第1の条件でない場合に不可視状態となる可逆性を有する。例えば、第2の材料は、第1の条件である場合に発色し、第1の条件でない場合に消色する可逆の変色特性を有する画像形成材料である。
【0033】
第3の画像23は、第3の画像形成材料(第2の材料)で形成する。印刷物Bにおいて、第3の画像23と共通画像21とを合わせた合成画像が第2の画像パターンPbを形成する。第3の画像23を形成する第3の材料は、第2の材料の可視条件である第1の条件とは異なる第3の材料の可視条件(第2の条件)を満たす場合に可視状態となる。第3の材料は、第2の条件である場合に可視状態となり、第2の条件でない場合に不可視状態となる可逆性を有する。例えば、第3の材料は、第2の条件である場合に発色し、第2の条件を満たさない場合に消色する可逆の変色特性を有する画像形成材料である。
【0034】
印刷物Bは、基材20上に印刷された第2の画像22および第3の画像23が条件に応じて変化することにより表示する画像(可視状態となる画像)が変化する。
図7は、第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとの共通画像(第1の画像)21だけが表示された状態の印刷物Baを示す図である。
印刷物Bは、第2の画像22と第3の画像23とが共に不可視状態である場合、図7に示すように共通画像21だけを表示した印刷物Baとなる。第1の条件と第2の条件とが共に満たされていない場合、第2の材料と第3の材料とは、共に不可視状態となる。つまり、第1の条件と第2の条件とが共に満たされていない場合、印刷物Bは、共通画像21だけを表示する。
【0035】
図8は、第3の画像23が表示されず、共通画像21と第2の画像22とが表示された状態の印刷物Bbを示す図である。
印刷物Bは、第2の画像22が可視状態で、第3の画像23が不可視状態である場合、図8に示すように、共通画像21と第2の画像22とを表示した印刷物Bbとなる。第1の条件が満たされ、かつ、第2の条件が満たされていない場合、第2の材料が可視状態となり、かつ、第3の材料が不可視状態でなる。つまり、第1の条件が満たされ、かつ、第2の条件が満たされていない場合、印刷物Bは、共通画像21と第2の画像22とで構成される第1の画像パターンPaを表示する。
【0036】
印刷物Bにおいて、基材20上に印刷される共通画像21と第2の画像22とは、第1の画像パターンPaを示す画像となる。図8に示す第2の画像22は、第1の画像パターンPaから共通画像21の部分を除いた画像である。例えば、第2の画像22は、第1の画像パターンPaと共通画像21との差分画像を第2の材料で形成することにより基材20上に印刷される。また、第2の画像22は、第2の材料で形成した第1の画像パターンPaを第1の材料で形成した共通画像21に重ねて印刷することで基材20上に印刷されるようにしても良い。
【0037】
図9は、第2の画像22が表示されず、共通画像21と第3の画像23とが表示された状態の印刷物Bcを示す図である。
印刷物Bは、第2の画像22が不可視状態で、第3の画像23が可視状態である場合、図9に示すように共通画像21と第3の画像23とを表示した印刷物Bcとなる。第1の条件が満たされず、かつ、第2の条件が満たされている場合、第2の材料が不可視状態となり、第3の材料が可視状態となる。つまり、第1の条件が満たされず、かつ、第2の条件が満たされている場合、印刷物Bは、共通画像21と第3の画像23とで構成される第2の画像パターンPbを表示する。
【0038】
印刷物Bにおいて、基材20上に印刷される共通画像21と第3の画像23とは、第2の画像パターンPbを示す画像となる。図9に示す第3の画像23は、第2の画像パターンPbから共通画像21の部分を除いた画像である。例えば、第3の画像23は、第2の画像パターンPbと共通画像21との差分画像を第3の材料で形成することにより基材20上に印刷される。また、第3の画像23は、第1の材料で形成した共通画像21に重ねて第3の材料で形成した第2の画像パターンPbを印刷することで基材20上に印刷されるようにしても良い。
【0039】
図10は、共通画像21、第2の画像22および第3の画像23が表示された状態の印刷物Bdを示す図である。
印刷物Bは、第2の画像22と第3の画像23とが可視状態である場合、図10に示すように共通画像21と第2の画像22と第3の画像23とを表示した印刷物Bdとなる。第1の条件と第2の条件とが共に満たされている場合、第2の材料と第3の材料とが共に可視状態となる。つまり、第1の条件と第2の条件とが共に満たされている場合、印刷物Bは、共通画像21と第2の画像22と第3の画像23とを表示する。
【0040】
印刷物Bにおいて、共通画像21と第2の画像22とは第1の画像パターンPaを形成し、共通画像21と第3の画像23とは第2の画像パターンPbを形成する。従って、図10に示す印刷物Bdが表示する画像は、第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbが重なった画像である。
【0041】
次に、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物Bが表示する共通画像(第1の画像)21と第2の画像22と第3の画像23との構成例について説明する。
上述したように、印刷物Bは、条件に応じて表示する画像が変化する。図7乃至10に示す例のように、印刷物Bは、2つの条件によって4通りの画像を表示(可視状態に変化)させることができる。
【0042】
第1の条件と第2の条件とが共に満たされていない場合(状態a)、印刷物Bは、第1の画像としての共通画像21を表示する。共通画像21は、画像コードである第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとの共通部分の画像であるため、特定の情報として認識されない。ただし、第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとは、共通画像21が特定の情報(第3の情報)として認識されるように設計(作成)しても良い。この場合、印刷物Bは、第1の条件と第2の条件とが共に満たされていない状態(状態a)において第3の情報を示す画像を表示するようにできる。
【0043】
第1の条件が満たされ、かつ、第2の条件が満たされていない場合(状態b)、印刷物Bは、共通画像(第1の画像)21と第2の画像22とを表示する。共通画像(第1の画像)21と第2の画像22とは、特定の情報を示す画像コードである第1の画像パターンPaとして表示される。第1の画像パターンPaは、特定の情報(第1の情報)に認識される画像コード(例えば、2次元コード)である。従って、印刷物Bは、第1の条件が満たされ、かつ、第2の条件が満たされていない状態(状態b)において第1の情報を示す画像を表示する。
【0044】
第1の条件が満たされず、かつ、第2の条件が満たされている場合(状態c)、印刷物Bは、共通画像(第1の画像)21と第3の画像23とを表示する。共通画像(第1の画像)21と第3の画像23とは、第2の画像パターンPbとして表示される。第2の画像パターンPbは、第1の情報とは異なる特定の情報(第2の情報)として認識される画像コード(例えば、2次元コード)である。従って、印刷物Bは、第1の条件が満たされず、かつ、第2の条件が満たされている状態(状態c)において第2の情報を示す画像を表示する。
【0045】
第1の条件と第2の条件とが共に満たされている場合(状態d)、印刷物Bは、共通画像(第1の画像)21と第2の画像22と第3の画像23とを表示する。共通画像(第1の画像)21と第3の画像23とは、第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとを重ね合わせた状態の画像として表示される。画像コードである第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとを重ね合わせた画像は、一般には、特定の情報として認識されない。ただし、第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとは、重ね合わせた状態の画像が特定の情報(第4の情報)として認識されるように設計(作成)しても良い。この場合、印刷物Bは、第1の条件と第2の条件とが共に満たされている状態(状態d)において第4の情報を示す画像を表示するようにできる。
【0046】
第1の条件および第2の条件は、画像形成材料として使用可能な種々の材料から第2の材料および第3の材料を選択することにより様々な設定が可能である。例えば、第1、第2の材料は、温度で状態が変化(発色又は消色)する材料、水又は特定の水溶液で状態が変化する材料、特定の光で状態が変化する材料などが選択可能である。ただし、第1の条件と第2の条件とは、異なる条件であることが前提である。
【0047】
運用の一例としては、第1の条件を温度とし、第2の条件を温度以外の条件とする印刷物Bが実現できる。このような具体例としては、第1の材料を所定温度以上(第1の条件)で発色する材料とし、第2の材料を水にぬれること(第2の条件)で発色する材料とする印刷物Bが考えられる。ここで、第1の条件を所定温度以上とし、かつ、第2の条件を水にぬれることとにした複数の条件の組み合わせを第1の条件群とする。
【0048】
第1の条件群の印刷物Bは、所定温度以上であるか否かと水にぬれているか否かにより表示する画像が変化する。第1の条件群の印刷物Bは、所定温度以上で、かつ、水にぬれていない状態において、第1の情報として認識される画像(第1の画像パターン)を表示する。第1の条件群の印刷物Bは、所定温度未満で、かつ、水にぬれた状態において、第2の情報として認識される画像(第2の画像パターン)を表示する。また、第1の条件群の印刷物Bは、所定温度未満で、かつ、水にぬれていない状態において、特定の情報として認識されない画像(又は、第3の情報として認識される画像)を表示する。また、第1の条件群の印刷物Bは、所定温度以上で、かつ、水にぬれている状態において、特定の情報として認識されない画像(又は、第4の情報として認識される画像)を表示する。
【0049】
また、印刷物Bは、異なる温度を第1の条件と第2の条件とにしても良い。例えば、印刷物Bは、第2の材料および第3の材料が異なる温度で発色(又は消色)するものとしても良い。
温度による条件の組み合わせの例として、第1の条件を第1温度未満とし、かつ、第2の条件を第1温度よりも高い第2温度以上とすることを第1の温度条件群とする。第1の温度条件群の印刷物Bは、第1温度未満で第2の画像を表示し、第2温度以上で第3の画像を表示する。また、第1の温度条件群の印刷物Bは、第1温度以上かつ第2温度未満で共通画像21のみを表示する。
【0050】
第2の温度条件群としては、第1の条件を第1温度未満とし、かつ、第2の条件を第1温度よりも低い第3温度以上とすることとする。第2の温度条件群の印刷物Bは、第3温度未満で第2の画像を表示し、第3温度以上で第3の画像を表示する。また、第2の温度条件群の印刷物Bは、第3温度未満かつ第3温度以上第1温度以上かつ第2温度未満で共通画像と第2の画像と第3の画像とを表示する。
【0051】
第3の温度条件群としては、第1の条件を第4温度以上かつ第1温度未満とし、かつ、第2の条件を第4温度から第1温度までの第2温度以上とすることとする。第3の温度条件群の印刷物Bは、第4温度以上かつ第2温度未満で第2の画像を表示し、第1温度以上で第3の画像を表示する。また、第3の温度条件群の印刷物Bは、第4温度未満で共通画像だけを表示し、第2温度以上かつ第1温度未満で共通画像と第2の画像と第3の画像とを表示する。
【0052】
なお、上述した図7乃至10の例では、共通画像、第2の画像および第3の画像の組み合わせで複数の画像コードを構成する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、印刷物Bは、共通画像、第2の画像および第3の画像の組み合わせによって複数のARマーカを表示するようにしても良い。印刷物Bは、共通画像を第1のARマーカ、共通画像と第2の画像との合成画像を第2のARマーカ、共通画像と第3の画像との合成画像を第3のARマーカとしても良い。さらに、印刷物Bは、上述の第1、第2および第3のARマーカに加えて、共通画像と第2の画像と第3の画像との合成画像を第4のARマーカとしても良い。
【0053】
上述したように、実施形態に係る印刷物の第2の例である印刷物Bは、複数の条件の組み合わせによって表示する画像が変化する。印刷物Bは、第1および第2の条件によらずに可視状態である共通画像と第1の条件で可視状態となる第2の画像と第2の条件で可視状態となる第3の画像とを有する。印刷物Bは、第1の条件を満たし、第2の条件を満たさない場合、第2の画像が可視状態となり、第3の画像が不可視状態となる。また、印刷物Bは、第1の条件を満たさず、第2の条件を満たす場合、第2の画像が不可視状態となり、第3の画像が可視状態となる。これにより、印刷物Bは、共通画像と第2の画像とで構成する第1の画像パターンと共通画像と第3の画像とで構成する第2の画像パターンとを条件によって選択的に表示できる。
【0054】
また、印刷物Bは、第1の画像パターンに設定した第1の画像コードと第2の画像パターンに設定した第2の画像コードとを複数の条件で選択的に表示できる。この場合、画像コードを認識する情報処理装置は、条件に応じて表示する画像コードが変化する印刷物Bから種々の情報を読み取ることができる。すなわち、情報処理装置は、第1の条件を満たし、第2の条件を満たさない状態の印刷物Bから第1の情報を読み取るようにできる。情報処理装置は、第1の条件を満たさず、第2の条件を満たす状態の印刷物Bから第2の情報を読み取るようにできる。
【0055】
次に、実施形態に係る印刷物A、Bを作成する画像形成装置の一例である印刷システム100の構成例について説明する。
図11は、実施形態に係る印刷物A、Bを作成する画像形成装置としての印刷システム100の構成例を説明するための図である。
図11に示す印刷システム100は、ワークプレイス等に置かれる画像形成装置の一例である。図11は、第1の材料で画像を印刷する第1の印刷部、第2の材料で画像を印刷する第2の印刷部および第3の材料で画像を印刷する第3の印刷部を備える構成例を示す。ただし、実施形態に係る画像形成装置は、複数の材料を用いて複数の画像を印刷する構成を備えるものであれば良い。例えば、実施形態に係る画像形成装置は、2つの印刷部(第1の材料で画像を印刷する第1の印刷部および第2の材料で画像を印刷する第2の印刷部)を備えるものであっても良いし、4個以上の印刷部を備えるものであっても良い。
【0056】
印刷システム100は、印刷対象物OBが載置される搬送ベルトBEを備える。搬送ベルトBEは、印刷対象物OBを搬送する搬送機を構成する。例えば、搬送ベルトBEは、一定速度で移動動作する。搬送ベルトBEは、図11に白抜き矢印で示すように、複数の画像形成位置へ印刷対象物OBを搬送する。図11に示す例において、印刷システム100は、搬送ベルトBEは、印刷対象物OBを第1の印刷位置、第2の印刷位置、および、第3の印刷位置へ搬送する。
【0057】
なお、搬送ベルトBEは、図11に示すような4個のベルトで構成するものに限定されない。例えば、搬送ベルトBEは、各画像形成位置をカバーする1個のベルトで構成しても良いし、4個以外の複数個のベルトで構成しても良い。
【0058】
また、図11に示す印刷対象物OBは、画像を印刷する印刷面を備える箱状の物体である。印刷対象物OBは、印刷領域を含む印刷面を印刷対象物OBの搬送方向と直交する方向に向けて搬送ベルトBE上に載置される。印刷対象物OBは、基材の一例であり、印刷面において画像を印刷する領域(印刷領域)が設けられるものであれば良い。例えば、印刷対象物OBは、印刷領域に画像が印刷される基材とするラベルLAが貼付されているものであっても良い。
【0059】
印刷システム100は、制御部101、タイミングセンサ102、対象物センサ103、第1のプリンタ(第1の画像形成ステーション)104、第2のプリンタ(第2の画像形成ステーション)105、第3のプリンタ(第3の画像形成ステーション)106、ユーザインターフェース107および3個のモータ108を備える。タイミングセンサ102、対象物センサ103、第1のプリンタ104、第2のプリンタ105、第3のプリンタ106およびユーザインターフェース107は、搬送ベルトBEに沿って配置する。
【0060】
制御部101は、印刷システム100の各構成部の動作を制御するコンピュータである。制御部101は、印刷情報に基づいて印刷対象物OBに画像を印刷する。2つの材料を用いて画像を印刷する場合、制御部101は、第1の材料で形成する第1の画像のデータ(第1の画像データ)と第2の材料で形成する第2の画像のデータ(第2の画像データ)とを取得する。制御部101は、第1の画像データに基づいて第1のプリンタを制御することにより第1の材料で形成した第1の画像を印刷対象物OBに印刷する。また、制御部101は、第2の画像データに基づいて第2のプリンタ105を制御することにより第2の材料で形成した第2の画像を印刷対象物OBに印刷する。
【0061】
また、3つの材料を用いて画像を印刷する場合、印刷システム100は、第1、第2および第3の材料で形成する第1、第2および第3の画像のデータを取得する。制御部101は、第1の画像データに基づいて第1のプリンタを制御することにより第1の材料で形成した第1の画像を印刷対象物OBに印刷する。制御部101は、第2の画像データに基づいて第2のプリンタ105を制御することにより第2の材料で形成した第2の画像を印刷対象物OBに印刷する。制御部101は、第3の画像データに基づいて第3のプリンタ106を制御することにより第3の材料で形成した第3の画像を印刷対象物OBに印刷する。
【0062】
タイミングセンサ102は、印刷対象物OBを検知する。タイミングセンサ102は、搬送ベルトBEにより搬送される印刷対象物OBが所定位置に到達したことを検出する。タイミングセンサ102は、例えば、光電センサで構成される。タイミングセンサ102が印刷対象物OBの到達を検出した時点を基準として、制御部101は、各部の動作タイミングを制御する。
【0063】
対象物センサ103は、印刷対象物OBを撮影する。対象物センサ103は、例えばカメラ等の画像センサで構成する。対象物センサ103および制御部101は、印刷対象物OBにおける印刷領域のサイズおよび位置を検出する印刷領域検出部を構成する。制御部101は、対象物センサ103が撮影した印刷対象物OBの画像に基づいて印刷対象物OBにおける印刷領域の位置を検出する。
【0064】
印刷対象物OBの印刷面において印刷領域が指定されている場合、制御部101は、印刷対象物OBにおける印刷領域の位置およびサイズを検出する。例えば、印刷対象物OBに画像印刷用のラベルが貼り付けられている場合、制御部101は、画像印刷用のラベルの位置およびサイズを検出する。また、制御部101は、印刷領域の位置として、印刷対象物OBの印刷面における搬送方向の前端部からの距離および印刷面の上端部からの距離(載置面と対向する面からの距離)を検出する。
【0065】
また、制御部101は、対象物センサ103が撮影した印刷対象物OBの画像に基づいて印刷対象物OBにおける印刷領域のサイズおよび位置を決定しても良い。例えば、印刷対象物OB上に特定の印刷領域が指定されていない場合、制御部101は、印刷対象物OBの印刷面のサイズを検出する。制御部101は、印刷対象物OBの印刷面のサイズに基づいて印刷領域のサイズおよび位置を決定する。
【0066】
第1のプリンタ104は、第1の材料を用いて画像を形成する。第1のプリンタ104および制御部101は、印刷対象物OBの印刷面における印刷領域に第1の画像を形成する第1の印刷部を構成する。例えば、第1のプリンタ104は、第1の材料を用いたインクジェットプリンタで構成される。第1のプリンタ104は、図11に実線の矢印で示すように、モータ108によって高さ方向に移動可能な状態で支柱POに支持される。
【0067】
第1のプリンタ104は、印刷対象物OBの搬送方向と垂直な方向(搬送方向の側面側)から印刷領域に第1の画像を形成できるように支柱POに支持される。制御部101は、対象物センサ103を用いて判定した印刷領域のサイズおよび位置に基づいてモータ108を制御する。制御部101は、モータ108を制御することにより第1のプリンタ104の高さ位置を印刷領域に合致するよう調整する。また、制御部101は、タイミングセンサ102による検出時点を基準として算出した印刷領域が通過するタイミングで第1のプリンタ104を動作させる。第1のプリンタ104は、制御部101による制御によって、第1の材料を用いて形成した第1の画像を印刷領域が通過するタイミングで印刷対象物OBに印刷する。
【0068】
第2のプリンタ105は、第2の材料を用いて画像を形成する。第2のプリンタ105は、搬送方向に沿って第1のプリンタ104より後段に配置される。第2のプリンタ105および制御部101は、印刷対象物OBの印刷面における印刷領域に第2の画像を形成する第2の印刷部を構成する。例えば、第2のプリンタ105は、第2の材料を用いたインクジェットプリンタで構成される。第2のプリンタ105は、図11に実線の矢印で示すように、モータ108によって高さ方向に移動可能な状態で支柱POに支持される。
【0069】
第2のプリンタ105は、印刷対象物OBの搬送方向と垂直な方向(搬送方向の側面側)から印刷領域に第2の画像を形成できるように支柱POに支持される。制御部101は、モータ108を制御することにより第2のプリンタ105の高さ位置を印刷領域に合致するよう調整する。また、制御部101は、タイミングセンサ102による検出時点を基準として算出した印刷領域が通過するタイミングで第2のプリンタ105を動作させる。第2のプリンタ105は、制御部101による制御によって、第2の材料を用いて形成した第2の画像を印刷領域が通過するタイミングで印刷対象物OBに印刷する。
【0070】
第3のプリンタ106は、第3の材料を用いて画像を形成する。第3のプリンタ106は、搬送方向に沿って第2のプリンタ105より後段に配置される。第3のプリンタ106および制御部101は、印刷対象物OBの印刷面における印刷領域に第3の画像を形成する第3の印刷部を構成する。例えば、第3のプリンタ106は、第3の材料を用いたインクジェットプリンタで構成される。第3のプリンタ106は、図11に実線の矢印で示すように、モータ108によって高さ方向に移動可能な状態で支柱POに支持される。
【0071】
第3のプリンタ106は、印刷対象物OBの搬送方向と垂直な方向(搬送方向の側面側)から印刷領域に第3の画像を形成できるように支柱POに支持される。制御部101は、モータ108を制御することにより第3のプリンタ106の高さ位置を印刷領域に合致するよう調整する。また、制御部101は、タイミングセンサ102による検出時点を基準として算出した印刷領域が通過するタイミングで第3のプリンタ106を動作させる。第3のプリンタ106は、制御部101による制御によって、第3の材料を用いて形成した第3の画像を印刷領域が通過するタイミングで印刷対象物OBに印刷する。
【0072】
なお、印刷システム100は、第1のプリンタ104が第1の材料で印刷対象物OBの印刷面に印刷した第1の画像を読み取る第1のスキャナを設けても良い。制御部101は、第1のスキャナが読み取った画像を認識することにより印刷対象物OBの印刷面に第1の画像が正確に印刷されたかを確認するようにして良い。また、印刷システム100は、第2のプリンタ105が第2の材料で印刷対象物OBの印刷面に印刷した第2の画像を読み取る第2のスキャナを設けても良い。また、印刷システム100は、第3のプリンタ106が第3の材料で印刷対象物OBの印刷面に印刷した第3の画像を読み取る第3のスキャナを設けても良い。
【0073】
ユーザインターフェース(UI)107は、表示部および操作部などを有する。例えば、ユーザインターフェース107は、制御部101から各種情報を表示するためのシステムモニタ(表示部)を含む。また、ユーザインターフェース107は、制御部101に各種指示を入力するためのキー又はボタンなどを備える操作部を含む。ユーザインターフェース107は、表示部としての液晶表示器などのモニタ画面上にタッチキーを配置した操作部としてのタッチパネルを備えるデバイスで構成しても良い。
【0074】
図11に示す構成例において、印刷システム100は、搬送方向の両側に搬送ベルトBEを挟んで、突き当て板BPと押圧板PPとを備える。突き当て板BPは、搬送ベルトBEに沿って延設される。突き当て板BPは、連続する複数枚の板によって構成してもよい。押圧板PPは、図11に一点鎖線の矢印で示すように、突き当て板BPに向けて移動する。押圧板PPは、搬送ベルトBEにより搬送される印刷対象物OBに当接して印刷対象物OBを突き当て板BPに向けて押圧する。押圧板PPは、印刷対象物OBの印刷面を突き当て板BPに突き当てさせる。
【0075】
印刷対象物OBの印刷面は、搬送方向と平行に揃えられた状態で搬送される。突き当て板BPの印刷対象物OBと当接する当接面は、印刷対象物OBの搬送に影響を及ぼさないように、低摩擦の材質で形成される。印刷対象物OBの印刷面が突き当て板BPに突き当たった場合、押圧板PPは、初期位置に待避される。印刷対象物OBの印刷面が突き当て板BPに突き当たったか否かは、例えば、反発力の変化として検出したり、カメラで撮影した画像から判断したりする。
【0076】
なお、押圧板PPの動作タイミングは、例えば印刷対象物OBを搬送ベルトBE上に作業員が載置するのであれば、その作業員による動作指示に応じたタイミングとなる。また、ピックアップ機構により印刷対象物OBが載置される場合には、ピックアップ機構の載置動作を基準にして、制御部101がタイミング制御を行うことも可能である。
【0077】
図12は、実施形態に係る画像形成装置の一例である印刷システム100の制御系の構成例を示すブロック図である。
制御部101は、CPU111、ROM112、RAM113、ストレージ114、インターフェース(I/F)115、センサ回路116、第1の駆動回路117、第2の駆動回路118、第3の駆動回路119およびモータ駆動回路120を備える。CPU111は、バス121を介して、ROM112、RAM113、ストレージ114、インターフェース(I/F)115、センサ回路116、第1の駆動回路117、第2の駆動回路118、第3の駆動回路119およびモータ駆動回路120に接続する。
【0078】
CPU111は、印刷システム100全体の動作を制御する機能を有するプロセッサである。CPU111は、ROM112が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の機能を実現する。CPU111は、マルチコアおよびマルチスレッドのものを用いることで、同時に複数の情報処理を実行することができる。なお、CPU111がプログラムを実行することにより実現する機能のうちの一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(field-Programmable Gate Array)およびGPU(Graphics Processing Unit)、等のハードウエア回路により実現されるものであっても良い。この場合、CPU111は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0079】
ROM112は、制御プログラムおよび制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。
RAM113は、揮発性のメモリである。RAM113は、CPU111の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM113は、プログラムの実行に必要なデータおよびプログラムの実行結果などを格納してもよい。例えば、RAM113は、印刷情報として、第1の材料により印刷対象物OBに第1の画像を形成する第1の画像データを一時的に格納する。RAM113は、第2の材料により印刷対象物OBに第2の画像を形成する第2の画像データを一時的に格納する。RAM113は、第3の材料により印刷対象物OBに第3の画像を形成する第3の画像データを一時的に格納する。
【0080】
ストレージ114は、EEPROM(登録商標)(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)等の補助記憶デバイスである。ストレージ114は、CPU111が各種の処理を行う上で使用するデータおよびCPU111での処理によって生成されるデータを不揮発に記憶する。
【0081】
例えば、ストレージ114は、印刷物A、Bが表示する種々の画像に紐づける種々の情報を記憶しても良い。複数のARマーカを表示する印刷物を作成する場合、ストレージ114は、各ARマーカに紐づける種々のコンテンツを記憶しても良い。また、複数の画像コードを表示する印刷物を作成する場合、ストレージ114は、各画像コードが示す種々の情報を記憶しても良い。
【0082】
インターフェース115は、LAN等のネットワークを介して外部装置とデータを送受信するためのインターフェースである。また、インターフェース115は、USBメモリやメモリカード等の取り外し可能なメモリ媒体との間でデータを読み書きするためのインターフェースであっても良い。
【0083】
センサ回路116は、タイミングセンサ102と接続するインターフェースとしての回路を含む。センサ回路116は、タイミングセンサ102が検知した信号をCPU111に伝達する。センサ回路116は、対象物センサ103と接続するインターフェースとしての回路を含む。センサ回路116は、対象物センサ103が検知した信号をCPU111に伝達する。
【0084】
第1の駆動回路117は、第1のプリンタ104に接続するインターフェースとしての回路を含む。例えば、CPU111は、RAM113に格納した第1の画像データに基づく画像形成用の信号を第1の駆動回路117へ供給する。第1の駆動回路117は、CPU111から入力される信号によって第1のプリンタ104を駆動する。これにより、第1のプリンタ104は、第1の材料を用いて第1の画像を形成する。第1のプリンタ104の一例であるインクジェットプリンタは、第1の駆動回路117からの信号に応じて第1の材料としてのインクを吐出することで第1の画像を形成する。
【0085】
第2の駆動回路118は、第2のプリンタ105に接続するインターフェースとしての回路を含む。第2のプリンタ105がインクジェット方式のプリンタである場合、第2の駆動回路118は、CPU111から入力される信号によって第2のプリンタ105を駆動する。例えば、CPU111は、RAM113に格納した第2の画像データに基づく画像形成用の信号を第2の駆動回路118へ供給する。これにより、第2のプリンタ105は、第2の材料を用いて第3の画像を形成する。
【0086】
第3の駆動回路119は、第3のプリンタ106に接続するインターフェースとしての回路を含む。CPU111は、RAM113に格納した第3の画像データに基づく画像形成用の信号を第3の駆動回路119へ供給する。第3の駆動回路119は、CPU111から入力される信号によって第3のプリンタ106を駆動する。これにより、第3のプリンタ106は、第3の材料を用いて第3の画像を形成する。
【0087】
モータ駆動回路120は、CPU111からの信号に従って、モータ108、ベルトモータ109および押圧モータ110の駆動を制御する。モータ駆動回路120は、モータ108を、第1のプリンタ104用のモータ、第2のプリンタ105用のモータおよび第3のプリンタ106用のモータとして独立して制御する。ベルトモータ109は、搬送ベルトBEを駆動するためのモータである。ベルトモータ109は、複数のモータで構成しても良い。押圧モータ110は、押圧板PPを移動動作させるモータである。
【0088】
また、ユーザインターフェース(UI)107は、バス121を介してCPU111に接続される。ユーザインターフェース107は、バス121を介してCPU111とデータの送受信を行う。例えば、ユーザインターフェース107は、CPU111から受信する表示データに基づいて表示部の表示内容を制御する。また、ユーザインターフェース107は、タッチパネルなどの操作部にオペレータが入力した情報をCPU111へ供給したりする。
【0089】
なお、上述した図11および図12に示す構成の印刷システム100は、実施形態に係る印刷物A又はBを作成するための画像形成装置の一例である。実施形態に係る画像形成装置は、図11および図12に示すインクジェット方式の複数のプリンタ(画像形成ステーション)を有する印刷システム100の構成に限定されない。実施形態に係る画像形成装置は、第1の材料、第2の材料および第3の材料で画像をそれぞれ形成する複数の画像形成ステーションを備えるものであれば良い。また、画像形成装置が各画像を形成するための第1の材料、第2の材料および第3の材料としての画像形成材料は、インクに限定されず、トナーなどであっても良い。
実施形態に係る画像形成装置は、第1の材料、第2の材料および第3の材料で画像を形成する複数の画像形成ステーションがインクジェット以外の画像形成方式であっても良い。言い換えると、実施形態に係る画像形成装置が備える複数の画像形成ステーションは、インクジェット方式に限定されず、全部又は一部が電子写真方式又は熱転写方式などであっても良い。例えば、実施形態に係る画像形成装置は、非消色のトナーで画像を形成する第1の画像形成ステーションと消色トナーで画像を形成する第2の画像形成ステーンとを備えるものでも良い。さらに、実施形態に係る画像形成装置は、第2の画像形成ステーションが使用する消色トナーとは異なる特性の消色トナーで画像を形成する第3の画像形成ステーションを備えても良い。
【0090】
次に、実施形態に係る画像形成装置としての印刷システム100の動作例について説明する。
図12は、実施形態に係る画像形成装置としての印刷システム100が印刷物Aを作成する作成処理(第1の作成処理)の例を説明するためのフローチャートである。
図12に示す第1の作成処理は、図1および図2に示すような印刷物の第1の例である印刷物Aを作成する作成処理の動作例である。図1および図2に示す印刷物Aは、上述したように、第1の材料で形成する第1の画像11と第2の材料で形成する第2の画像12とを基材10に印刷したものである。印刷システム100は、第1の材料で形成する第1の画像11を基材10に印刷し、第2の材料で形成する第2の画像12を基材10に印刷することで印刷物Aを作成する。
【0091】
CPU111は、印刷物Aの基材10に印刷する第1の画像11を示す第1の画像データを取得する(ACT11)。例えば、CPU111は、インターフェース115を介して外部装置から第1の画像データを取得する。また、CPU111は、ユーザインターフェース107などから第1の画像データを取得しても良い。CPU111は、取得した第1の画像データをRAM113に保持する。また、CPU111は、第1の画像データと第1の画像データが示す第1の画像に紐づいた第1のコンテンツとをストレージ114に保存するようにしても良い。第1の画像データが示す第1の画像は、第1のコンテンツに紐づけられる画像(第1のARマーカ)である。任意の情報処理装置Dは、ARマーカアプリを実行することにより、カメラで第1の画像を撮影すると、第1の画像に紐づいた第1のコンテンツが取得(表示)できる。
【0092】
また、CPU111は、印刷物Aとなる基材10に印刷する第2の画像12を示す第2の画像データを取得する(ACT12)。例えば、CPU111は、インターフェース115を介して外部装置から第2の画像データを取得する。また、CPU111は、ユーザインターフェース107などから第2の画像データを取得しても良い。CPU111は、取得した第2の画像データをRAM113に保持する。また、CPU111は、第2の画像データと第1の画像と第2の画像とを合成した合成画像に紐づいた第2のコンテンツとをストレージ114に保存しても良い。
【0093】
CPU111は、第1の画像データを取得すると、第1のプリンタ104により第1の材料で形成する第1の画像11を基材10上に印刷する(ACT13)。例えば、CPU111は、第1の画像データに基づく画像形成用の信号を第1の駆動回路117へ供給する。第1の駆動回路117は、CPU111から入力される画像形成用の信号に基づく駆動信号を第1のプリンタ104へ供給する。第1のプリンタ104は、第1の駆動回路117からの駆動信号によって駆動することにより第1の材料を用いて形成する第1の画像11を基材10(印刷対象物OBの印刷面)に印刷する。
【0094】
CPU111は、第2の画像データを取得すると、第2のプリンタ105により第2の材料で形成する第2の画像12を基材10上に印刷する(ACT14)。例えば、CPU111は、第2の画像データに基づく画像形成用の信号を第2の駆動回路118へ供給する。第2の駆動回路118は、CPU111から入力される画像形成用の信号に基づく駆動信号を第2のプリンタ105へ供給する。第2のプリンタ105は、第2の駆動回路118からの駆動信号によって駆動することにより第2の材料で形成する第2の画像12を基材10(印刷対象物OBの印刷面)に印刷する。
【0095】
また、CPU111は、基材10上に印刷する第1の画像と位置を合わせて第2の画像データに基づく第2の画像を基材10上に印刷する。例えば、CPU111は、第2のARマーカとする画像(合成画像)と第1の画像との差分画像のデータを第2の画像データとして取得する。この場合、CPU111は、第2の画像データに基づく第2の画像を第1の画像に加えて印刷する。また、CPU111は、第2のARマーカとする画像(合成画像)全体のデータを第2の画像データとして取得しても良い。この場合、CPU111は、第2の画像データに基づく第2の画像を第1の画像に重ね合わせて印刷する。これにより、印刷システム100は、第1のARマーカとする第1の画像および第1の画像と組み合わせた合成画像が第2のARマーカとなる第2の画像とを基材に印刷できる。この結果、印刷システム100は、条件によって第1のARマーカ又は第2のARマーカの何れかを表示する印刷物を作成できる。
【0096】
以上の第1の作成処理によって、実施形態に係る画像形成装置は、第1の材料で形成する第1の画像と第2の材料で形成する第2の画像とを基材に印刷した印刷物を作成する。第1の作成処理で作成した印刷物は、第2の材料が不可視状態である場合、第1のARマーカである第1の画像を表示する。また、第1の作成処理で作成した印刷物は、第2の材料が可視状態である場合、第2のARマーカである第1の画像と第2の画像との合成画像とを表示する。つまり、実施形態に係る画像形成装置は、第2の材料の状態によって第1のARマーカ(第1の画像)又は第2のARマーカ(第1の画像と第2の画像)の何れかを選択的に表示する印刷物を作成できる。
【0097】
また、実施形態に係る画像形成装置は、第1の材料を非消色の画像形成材料とし、第2の材料を所定の消色条件で消色する画像形成材料として第1の作成処理を実行しても良い。これにより、画像形成装置は、消色条件を満たす状態で第1のARマーカを表示し、消色条件を満たさない状態で第2のARマーカを表示する印刷物を作成することができる。
【0098】
次に、実施形態に係る画像形成装置としての印刷システム100による印刷物Bの作成処理(第2の作成処理)について説明する。
図13は、実施形態に係る画像形成装置としての印刷システム100が印刷物Bを作成するための作成処理(第2の作成処理)の例を説明するためのフローチャートである。
図13に示す処理例によって、印刷システム100は、図7乃至10に示すような印刷物Bを作成する作成処理を実行するものとする。図7乃至10に示す印刷物Bは、上述したように、第1、第2および第3の材料で形成した第1、第2および第3の画像が基材に印刷されたものである。
【0099】
CPU111は、印刷物Bが表示する第1の画像パターンPaを示す第1の画像データを取得する(ACT21)。例えば、CPU111は、インターフェース115を介して外部装置から第1の画像パターンPaである第1の画像データを取得する。また、CPU111は、ユーザインターフェース107などから第1の画像データを取得しても良い。CPU111は、取得した第1の画像データをRAM113に保持する。また、CPU111は、第1の画像パターンPaと第1の画像パターンPaが示す第1の情報とをストレージ114に保存するようにしても良い。
【0100】
また、CPU111は、印刷物Bが表示する第1の画像パターンPaとは異なる第2の画像パターンPbを示す第2の画像データを取得する(ACT22)。例えば、CPU111は、インターフェース115を介して外部装置から第1の画像パターンPaである第2の画像データを取得する。また、CPU111は、ユーザインターフェース107などから第2の画像データを取得しても良い。CPU111は、取得した第2の画像データをRAM113に保持する。また、CPU111は、第2の画像パターンPbと第2の画像パターンPbが示す第2の情報とをストレージ114に保存しても良い。
【0101】
第1の画像パターンPaおよび第2の画像パターンPbは、例えば、特定の情報にデコードされる画像コード(例えば2次元コード)である。任意の情報処理装置は、画像コードを認識するプログラムを実行することで各画像パターン(画像コード)が示す情報を認識できる。例えば、情報処理装置は、第1の画像パターンPaを第1の情報として認識でき、第2の画像パターンPaを第2の情報として認識できる。
【0102】
CPU111は、第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとを取得すると、第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとの共通画像を特定する(ACT23)。例えば、CPU111は、第1の画像パターンPaと第2の画像パターンPbとを同一のサイズとして重ね合わせて、両方の画像に共通な画素群を共通画像21として作成する。
【0103】
CPU111は、共通画像を取得すると、第1のプリンタ104により第1の材料で形成する共通画像を基材上に印刷する(ACT24)。CPU111は、第1のプリンタ104により共通画像21を基材20上に印刷させる。例えば、CPU111は、共通画像の画像データに基づく画像形成用の信号を第1の駆動回路117へ供給する。第1の駆動回路117は、CPU111から入力される画像形成用の信号に基づく駆動信号を第1のプリンタ104へ供給する。第1のプリンタ104は、第1の駆動回路117からの駆動信号によって駆動することにより第1の材料を用いて形成する共通画像21を基材20(印刷対象物OBの印刷面)に印刷する。
【0104】
また、CPU111は、第2のプリンタ105により第2の材料で形成する第2の画像を基材上に印刷する(ACT25)。CPU111は、基材20上に印刷する共通画像21と位置を合わせて第2のプリンタ105により第2の画像22を基材20上に印刷させる。例えば、CPU111は、第1の画像パターンPaと共通画像21との差分画像を第2の画像22として生成する。この場合、CPU111は、第2の画像22の画像データに基づく画像形成用の信号を第2の駆動回路118へ供給する。第2の駆動回路118は、CPU111から入力される画像形成用の信号に基づく駆動信号を第2のプリンタ105へ供給する。第2のプリンタ105は、第2の駆動回路118からの駆動信号によって駆動することにより第2の材料を用いて形成する第2の画像22を基材20(印刷対象物OBの印刷面)に印刷する。なお、CPU111は、第2の画像22として第1の画像パターンPa全体の画像を共通画像21に重ね合わせて印刷するようにしても良い。
【0105】
また、CPU111は、第3のプリンタ106により第3の材料で形成する第3の画像23を基材20上に印刷する(ACT26)。また、CPU111は、基材20上に印刷する共通画像21と位置を合わせて第3のプリンタ106により第3の画像23を基材10上に印刷させる。例えば、CPU111は、第2の画像パターンPbと共通画像21との差分画像を第3の画像23として生成する。この場合、CPU111は、第3の画像23の画像データに基づく画像形成用の信号を第3の駆動回路119へ供給する。第3の駆動回路119は、CPU111から入力される画像形成用の信号に基づく駆動信号を第3のプリンタ106へ供給する。第3のプリンタ106は、第3の駆動回路119からの駆動信号によって駆動することにより第3の材料を用いて形成する第3の画像23を基材20(印刷対象物OBの印刷面)に印刷する。なお、CPU111は、第3の画像23として第2の画像パターンPb全体の画像を共通画像21に重ね合わせて印刷するようにしても良い。
【0106】
以上のように、実施形態に係る画像形成装置は、第2の作成処理によって共通画像(第1の画像)と第2の画像と第3の画像とを基材に印刷した印刷物を作成する。画像形成装置は、第1および第2の条件によらずに可視状態を維持する第1の材料を用いて共通画像を形成する。画像形成装置は、第1の条件で可視状態(又は不可視状態)に変化する第2の材料を用いて第2の画像を形成する。画像形成装置は、第1の条件とは異なる第2の条件で可視状態(又は不可視状態)に変化する第3の材料を用いて第3の画像を形成する。
【0107】
これにより、第2の作成処理で作成した印刷物は、第2の材料が可視状態かつ第3の材料が不可視状態である場合、第1の画像パターンを表示する。また、第2の作成処理で作成した印刷物は、第2の材料が不可視状態かつ第3の材料が可視状態である場合、第2の画像パターンを表示する。つまり、第2の作成処理で作成した印刷物は、第2の材料および第3の材料の状態によって第1の画像パターン又は第2の画像パターンの何れかを選択的に表示できる。
【0108】
また、実施形態に係る画像形成装置は、第1の材料を非消色とし、第2の材料を第1の条件で発色(又は消色)する材料とし、第3の材料を第2の条件で発色(又は消色)する材料とする。この場合、画像形成装置は、第1の条件を満たし、第2の条件を満たさない状態で第1の画像パターンを表示する印刷物を作成できる。また、画像形成装置は、第1の条件を満たさず、第2の条件を満たす状態で第2の画像パターンを表示する印刷物を作成できる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
A、B…印刷物、10、20…基材、11…第1の画像、12…第2の画像、21…共通画像(第1の画像)、22…第2の画像、23…第3の画像、100…印刷システム(画像形成装置)、104…第1のプリンタ(第1の画像形成ステーション)、105…第2のプリンタ(第2の画像形成ステーション)、106…第3のプリンタ(第3の画像形成ステーション)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14