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特開2024-60299ネットワークシステムおよび基地局装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060299
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】ネットワークシステムおよび基地局装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/08 20090101AFI20240424BHJP
   H04W 92/14 20090101ALI20240424BHJP
【FI】
H04W88/08
H04W92/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167601
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】517121630
【氏名又は名称】APRESIA Systems株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣納 幸治
(72)【発明者】
【氏名】苅谷 和俊
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 宗幸
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
(57)【要約】
【課題】低遅延通信を実現可能なネットワークシステムおよび基地局装置を提供することにある。
【解決手段】分散局(DU)は、ソフトウェア処理部21bと、ハードウェア処理部21aと、を備える。ソフトウェア処理部21bは、RLC層処理部27およびMAC層処理部26を有し、ソフトウェア処理によって実現される。ハードウェア処理部21aは、UPF回路56、ユーザプレーン用のSDAP層処理回路54、ユーザプレーン用のPDCP層処理回路53、RLC層処理回路52、MAC層処理回路51、および上位物理層(High-PHY層)処理回路50を有し、ハードウェア処理によって実現される。MECサーバ5は、ハードウェア処理部21a内のUPF回路56に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UPF(User Plane Function)部およびSMF(Session Management Function)部を含む5Gコアネットワーク(5GC)と、
無線局(RU)、分散局(DU)、および前記分散局(DU)を集約する集約局(CU)を有する基地局装置(gNB)と、
MEC(Multi-access Edge Computing)サーバと、
を有するネットワークシステムであって、
前記集約局(CU)は、
ユーザプレーン用のSDAP(Service Data Adaption Protocol)層処理部およびPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層処理部と、
制御プレーン用のRRC(Radio Resource Control)層処理部およびPDCP層処理部と、
を備え、
前記分散局(DU)は、
RLC(Radio Link Control)層処理部およびMAC(Media Access Control)層処理部を有し、ソフトウェア処理によって実現されるソフトウェア処理部と、
UPF回路、前記ユーザプレーン用のSDAP層処理回路、前記ユーザプレーン用のPDCP層処理回路、RLC層処理回路、MAC層処理回路、および上位物理層(High-PHY層)処理回路を有し、ハードウェア処理によって実現されるハードウェア処理部と、
を備え、
前記MECサーバは、前記ハードウェア処理部内の前記UPF回路に接続されている、
ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記MAC層処理回路は、ユーザ端末(UE)から前記上位物理層(High-PHY層)処理回路を介して前記ユーザプレーン用のユーザデータを受信した場合、前記ユーザデータを、前記RLC層処理回路へ転送するか、前記ソフトウェア処理部内の前記MAC層処理部へ転送するかを、前記ユーザデータ内のMACサブヘッダ内に含まれる論理チャネルID(LCID)に基づいて判定する、
ネットワークシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワークシステムにおいて、
前記MAC層処理回路は、ユーザ端末(UE)から前記上位物理層(High-PHY層)処理回路を介して前記制御プレーン用の制御用データを受信した場合、前記制御用データを、前記ソフトウェア処理部内の前記MAC層処理部へ転送する、
ネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記ソフトウェア処理部は、前記5Gコアネットワーク(5GC)内の前記SMF部から送信された制御命令に応じて前記UPF回路を制御し、前記集約局(CU)内の前記RRC層処理部から送信された制御命令に応じて前記SDAP層処理回路、前記PDCP層処理回路、および前記RLC層処理回路を制御する制御部を備える、
ネットワークシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のネットワークシステムにおいて、
前記制御部は、前記5Gコアネットワーク(5GC)内の前記SMF部から送信されたQoSルールの登録、削除または変更命令に応じて、前記ハードウェア処理部内の前記UPF回路に対して前記QoSルールの登録、削除または変更を行い、
前記UPF回路は、登録された前記QoSルールに基づいてQoS制御を行う、
ネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記集約局(CU)は、前記5Gコアネットワーク(5GC)内の前記UPF部へ、GTP(General packet radio system Tunneling Protocol)に基づくカプセル化ヘッダを付加して前記ユーザプレーン用のユーザデータを転送するNG-uインタフェースを備え、
前記ハードウェア処理部は、前記SDAP層処理回路と前記UPF回路との間に、簡易GTP処理回路を備え、
前記簡易GTP処理回路は、前記UPF回路へ、前記カプセル化ヘッダに含まれる一部のパラメータであるトンネルエンドポイントID(TEID)およびQoSフローID(QFI)を付加して前記ユーザプレーン用のユーザデータを転送する、
ネットワークシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記ハードウェア処理部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)で実現される、
ネットワークシステム。
【請求項8】
UPF(User Plane Function)部およびSMF(Session Management Function)部を含む5Gコアネットワーク(5GC)と、
ユーザプレーン用のSDAP(Service Data Adaption Protocol)層処理部およびPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層処理部と、制御プレーン用のRRC(Radio Resource Control)層処理部およびPDCP層処理部と、を有する集約局(CU)と、
MEC(Multi-access Edge Computing)サーバと、
を有するネットワークシステムで用いられ、前記集約局(CU)で集約される分散局(DU)を構成する基地局装置であって、
RLC(Radio Link Control)層処理部およびMAC(Media Access Control)層処理部を有し、ソフトウェア処理によって実現されるソフトウェア処理部と、
UPF回路、前記ユーザプレーン用のSDAP層処理回路、前記ユーザプレーン用のPDCP層処理回路、RLC層処理回路、MAC層処理回路、および上位物理層(High-PHY層)処理回路を有し、ハードウェア処理によって実現されるハードウェア処理部と、
を備え、
前記UPF回路は、前記MECサーバに接続される、
基地局装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基地局装置において、
前記MAC層処理回路は、ユーザ端末(UE)から前記上位物理層(High-PHY層)処理回路を介して前記ユーザプレーン用のユーザデータを受信した場合、前記ユーザデータを、前記RLC層処理回路へ転送するか、前記ソフトウェア処理部内の前記MAC層処理部へ転送するかを、前記ユーザデータ内のMACサブヘッダ内に含まれる論理チャネルID(LCID)に基づいて判定する、
基地局装置。
【請求項10】
請求項9に記載の基地局装置において、
前記MAC層処理回路は、ユーザ端末(UE)から前記上位物理層(High-PHY層)処理回路を介して前記制御プレーン用の制御用データを受信した場合、前記制御用データを、前記ソフトウェア処理部内の前記MAC層処理部へ転送する、
基地局装置。
【請求項11】
請求項8に記載の基地局装置において、
前記ソフトウェア処理部は、前記5Gコアネットワーク(5GC)内の前記SMF部から送信された制御命令に応じて前記UPF回路を制御し、前記集約局(CU)内の前記RRC層処理部から送信された制御命令に応じて前記SDAP層処理回路、前記PDCP層処理回路、および前記RLC層処理回路を制御する制御部を備える、
基地局装置。
【請求項12】
請求項11に記載の基地局装置において、
前記制御部は、前記5Gコアネットワーク(5GC)内の前記SMF部から送信されたQoSルールの登録、削除または変更命令に応じて、前記ハードウェア処理部内の前記UPF回路に対して前記QoSルールの登録、削除または変更を行い、
前記UPF回路は、登録された前記QoSルールに基づいてQoS制御を行う、
基地局装置。
【請求項13】
請求項8に記載の基地局装置において、
前記集約局(CU)は、前記5Gコアネットワーク(5GC)内の前記UPF部へ、GTP(General packet radio system Tunneling Protocol)に基づくカプセル化ヘッダを付加して前記ユーザプレーン用のユーザデータを転送するNG-uインタフェースを備え、
前記ハードウェア処理部は、前記SDAP層処理回路と前記UPF回路との間に、簡易GTP処理回路を備え、
前記簡易GTP処理回路は、前記UPF回路へ、前記カプセル化ヘッダに含まれる一部のパラメータであるトンネルエンドポイントID(TEID)およびQoSフローID(QFI)を付加して前記ユーザプレーン用のユーザデータを転送する、
基地局装置。
【請求項14】
請求項8に記載の基地局装置において、
前記ハードウェア処理部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)で実現される、
基地局装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステムおよび基地局装置に関し、例えば、5G(5th Generation)ネットワークの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の基地局と通信端末装置とを備えた、低遅延な通信システムが示される。複数の基地局のそれぞれは、複数のDU(Distributed Unit)と、これらを制御するCU(Central Unit)とを含む。通信端末装置は、直前に接続していたDU(DU#1-1)が、あるCU(CU#1)に属している前提で接続先DUを選択する際、当該あるCU(CU#1)に属する別のDU(DU#1-2)を、別のCU(CU#2)に属するDUよりも優先して選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/110825号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、5Gネットワークでは、低遅延通信が求められている。低遅延通信を実現するための技術の一つとして、MEC(Multi-access Edge Computing)が知られている。通常、ユーザ端末(UE)は、基地局と5Gコアネットワーク(5GC)とを介して、5GCの先のデータネットワーク(DN)内のサーバと通信する。一方、MECを用いると、例えば、基地局と5Gコアネットワーク(5GC)との間の位置にMECサーバが設置される。これにより、ユーザ端末(UE)は、データネットワーク(DN)内のサーバの代わりに、通信経路がより近いMECサーバと通信することができる。
【0005】
より詳細には、基地局と5Gコアネットワーク(5GC)との間の位置に、MECサーバと共に、ユーザデータの転送を担うUPF(User Plane Function)が設置される。そして、UPFにおける“Uplink Classifier”機能等を用いて、特定のIPアドレスを宛先とするパケットのみをMECサーバへ分岐させることで、MECが実現される。しかしながら、更なる低遅延通信を実現するためには、ユーザ端末(UE)により近い箇所にMECサーバを設置することが望まれる。
【0006】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、低遅延通信を実現可能なネットワークシステムおよび基地局装置を提供することにある。
【0007】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
一実施の形態によるネットワークシステムは、UPF部およびSMF部を含む5Gコアネットワーク(5GC)と、無線局(RU)、分散局(DU)、および分散局(DU)を集約する集約局(CU)を有する基地局装置(gNB)と、MECサーバと、を有する。集約局(CU)は、ユーザプレーン用のSDAP層処理部およびPDCP層処理部と、制御プレーン用のRRC層処理部およびPDCP層処理部と、を備える。分散局(DU)は、ソフトウェア処理部と、ハードウェア処理部と、を備える。ソフトウェア処理部は、RLC層処理部およびMAC層処理部を有し、ソフトウェア処理によって実現される。ハードウェア処理部は、UPF回路、ユーザプレーン用のSDAP層処理回路、ユーザプレーン用のPDCP層処理回路、RLC層処理回路、MAC層処理回路、および上位物理層(High-PHY層)処理回路を有し、ハードウェア処理によって実現される。MECサーバは、ハードウェア処理部内のUPF回路に接続されている。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すると、ネットワークシステムにおいて、低遅延通信を実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態によるネットワークシステムの構成例を示す概略図である。
図2図1におけるMAC層処理回路の主要な処理内容の一例を示すフロー図である。
図3図12におけるMACサブヘッダの構成例を示す概略図である。
図4図1における分散局(DU)のハードウェア構成例を示す概略図である。
図5図1に示される分散局(DU)において、ハードウェア処理部に関連する一部の箇所を抽出した構成例を示す図である。
図6図5に示されるRRC層処理部の概略的な処理内容の一例を示す模式図である。
図7A図5において、アップリンク用のユーザデータに対する簡易GTP処理回路およびUPF回路の動作例を説明する模式図である。
図7B図5において、ダウンリンク用のユーザデータに対する簡易GTP処理回路およびUPF回路の動作例を説明する模式図である。
図8図5に示されるUPF回路におけるQoS制御方法の一例を示す模式図である。
図9図8に示されるUPF回路が保持するQoSテーブルの構成例を示す概略図である。
図10A図8において、転送アクションルール(FAR)でバッファリングを用いる場合の適用例を示す図である。
図10B図10Aに続く、適用例を示す図である。
図11】前提となる5Gネットワークシステムの一般的な構成例を示す概略図である。
図12図11におけるユーザデータの一部の構成例を示す概略図である。
図13図11におけるSDAP層処理部の処理内容の一例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
<5Gネットワークシステムの概略>
図11は、前提となる5Gネットワークシステムの一般的な構成例を示す概略図である。図11に示す5Gネットワークシステムは、ユーザ端末(UE)1と、基地局装置(gNB)2と、5Gコアネットワーク(5GC)3と、データネットワーク(DN)4とを備える。ユーザ端末(UE)1は、例えば、スマートフォン等のモバイル端末である。基地局装置(gNB)2は、ユーザ端末(UE)1との無線通信、および5Gコアネットワーク(5GC)3との有線通信を介して、ユーザ端末(UE)1と5Gコアネットワーク(5GC)3との間の通信を仲介する。データネットワーク(DN)4は、例えば、インターネット等であり、ユーザ端末(UE)1に所望のサービスを提供するサーバ45を含む。
【0014】
基地局装置(gNB)2は、無線局(RU:Radio Unit)20と、分散局(DU:Distributed Unit)21と、集約局(CU:Central Unit)22とを備える。無線局20は、各地域にそれぞれ設置される子局である。無線局20は、下位物理層(Low-PHY層)の処理、詳細には、無線信号の処理を行う。分散局(DU)21および集約局(CU)22は、子局である無線局(RU)20に対する親局であり、ベースバンド信号の処理を行う。
【0015】
分散局(DU)21は、無線局(RU)20、通常は複数の無線局(RU)20に、フロントホールと呼ばれる通信回線、例えば光ファイバ回線で接続される。無線局(RU)20と分散局(DU)21との間の通信は、eCPRI(evolved Common Public Radio Interface)規格に基づいて行われる。分散局(DU)21は、上位物理層(High-PHY層)処理部25と、MAC(Media Access Control)層処理部26と、RLC(Radio Link Control)層処理部27と、ユーザプレーン用のF1-uインタフェース28uと、制御プレーン用のF1-cインタフェース28cと、を備える。
【0016】
集約局(CU)22は、分散局(DU)21、通常は複数の分散局(DU)21に、ミッドホールと呼ばれる通信回線で接続される。集約局(CU)22は、ユーザプレーン用として、F1-uインタフェース30uと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)層処理部31uと、SDAP(Service Data Adaption Protocol)層処理部33と、NG-uインタフェース32uと、を備える。また、集約局(CU)22は、制御プレーン用として、F1-cインタフェース30cと、PDCP層処理部31cと、RRC(Radio Resource Control)層処理部34と、NG-cインタフェース32cと、を備える。
【0017】
5Gコアネットワーク(5GC)3は、UPF(User Plane Function)部40と、AMF(Access and Mobility Management Function)部41と、SMF(Session Management Function)部42とを含んでいる。5Gコアネットワーク(5GC)3は、バックホールと呼ばれる通信回線を介して集約局(CU)22に接続される。UPF部40は、ユーザプレーン用の処理を行い、AMF部41およびSMF部42は、制御プレーン用の処理を行う。
【0018】
例えば、ユーザ端末(UE)1が、データネットワーク(DN)4内のサーバ45にユーザデータDATuを送信する場合を想定する。この場合、ユーザデータDATuは、ユーザプレーンに含まれる分散局(DU)21内のF1-uインタフェース28u、集約局(CU)22内のF1-uインタフェース30uおよびNG-uインタフェース32u、5Gコアネットワーク(5GC)3内のUPF部40を介して転送される。UPF部40は、SMF部42からの設定に基づいて、ユーザデータDATuをIPパケットの形式でデータネットワーク(DN)4へ転送する。
【0019】
一方、ユーザ端末1は、このようなユーザデータDATuの送信に先立って、データネットワーク(DN)4との間で、PDU(Packet Data Unit)セッション、すなわち、トンネルのような通信経路を確立しておく必要がある。そこで、ユーザ端末(UE)1は、制御プレーンを用いて、5Gコアネットワーク(5GC)3内のSMF部42等との間で、NAS(Non Access Stratum)メッセージ等の制御用データDATcを通信することで、SMF部42にPDUセッションの確立を要求する。
【0020】
SMF部42は、PDUセッションの確立/削除といったセッション管理や、ユーザ端末(UE)1へのIPアドレスの割り当てや、UPF部40の選択および選択したUPF部40に対するIPパケットの転送設定や、QoS(Quality of Service)フローに関連するポリシーの決定等を行う。QoSフローとは、PDUセッション内に構築される単数または複数の論理的な通信経路であり、ユーザ端末(UE)1に許容する単数または複数種類の通信品質に応じて区別されるものである。SMF部42は、詳細には、5Gコアネットワーク(5GC)3内の図示しないPCF(Policy Control Function)部と連携して、QoSフロー毎のQoSフローID(QFI)値と、当該QFI値に対応するQoSルールを決定する。
【0021】
AMF部41は、ユーザ端末(UE)1の登録管理、接続管理、移動管理を行う。この際に、AMF部41は、ユーザ端末(UE)1の認証も行う。また、AMF部41は、制御プレーンを用いたユーザ端末(UE)1とSMF部42との通信に際し、セッション管理を行わせるSMF部42を選択し、選択したSMF部42とユーザ端末(UE)1との間のセッション管理用のメッセージ等を中継する。なお、SMF部42によって決定されたQFI値等は、AMF部41を介してユーザ端末(UE)1にも通知される。
【0022】
図12は、図11におけるユーザデータDATuの一部の構成例を示す概略図である。ユーザ端末(UE)1は、図11に示したSDAP層処理部33、PDCP層処理部31u、RLC層処理部27、MAC層処理部26、上位物理層(High-PHY層)処理部25、下位物理層(Low-PHY層)処理部にそれぞれ対応する複数の処理部を備える。これにより、層毎の論理的な通信が行われる。例えば、ユーザ端末(UE)1のSDAP層処理部は、基地局装置(gNB)2のSDAP層処理部33と論理的な通信を行い、ユーザ端末(UE)1のPDCP層処理部は、基地局装置(gNB)2のPDCP層処理部31uと論理的な通信を行う。
【0023】
図12において、ユーザ端末(UE)1は、まず、サーバ45を宛先とするアップリンク用のIPパケット70を生成する。続いて、ユーザ端末(UE)1は、生成したIPパケット70を、内部のSDAP層処理部で処理することで、IPパケット70をSDAP SDU(Service Data Unit)として、それにSDAPサブヘッダ75を付加したSDAP PDU(Protocol Data Unit)71を生成する。次いで、ユーザ端末(UE)1は、生成したSDAP PDU71を内部のPDCP層処理部で処理することで、SDAP PDU71をPDCP SDUとして、それにPDCPサブヘッダ76を付加したPDCP PDU72を生成する。
【0024】
以降、同様な処理を順次行うことで、ユーザ端末(UE)1は、RLC PDU73、MAC PDU74を順次生成する。RLC PDU73には、RLCサブヘッダ77が含まれ、MAC PDU74には、MACサブヘッダ78が含まれる。ユーザ端末(UE)1は、生成したMAC PDU74を、内部の上位物理層(High-PHY層)処理部および下位物理層(Low-PHY層)処理部を介して無線信号に変換する。そして、ユーザ端末(UE)1は、変換した無線信号を、予め設定されたスケジュール情報、すなわち、時間・周波数領域の割り当て情報に基づき、アンテナを介して基地局装置(gNB)2へ送信する。
【0025】
基地局装置(gNB)2は、無線通信で受信した無線信号を無線局(RU)20を介してベースバンド信号に変換することで、図12に示したようなMAC PDU74を取得する。そして、基地局装置(gNB)2は、MAC PDU74を、各サブヘッダ78~75等に基づいて、MAC層処理部26、RLC層処理部27、PDCP層処理部31u、SDAP層処理部33を用いて順に処理したのち、UPF部40へ送信する。そして、UPF部40からデータネットワーク(DN)4へIPパケット70が送信される。
【0026】
一方、その逆方向として、サーバ45が、ユーザ端末(UE)1を宛先とするダウンリンク用のIPパケット70を送信した場合を想定する。基地局装置(gNB)2は、当該ダウンリンク用のIPパケット70を、UPF部40を介して受信する。基地局装置(gNB)2は、受信したIPパケット70に対し、SDAP層処理部33、PDCP層処理部31u、RLC層処理部27、MAC層処理部26を用いて各サブヘッダ75~78を順に付加しながら処理することで、MAC PDU74を生成する。そして、基地局装置(gNB)2は、生成したMAC PDU74を、上位物理層(High-PHY層)処理部25および無線局(RU)20を介して無線信号に変換し、予め設定されたスケジュール情報に基づき、アンテナを介した無線通信によってユーザ端末(UE)1へ送信する。
【0027】
ここで、基地局装置(gNB)2内の各部の詳細について説明する。無線局(RU)20は、データに対してOFDM変調/復調等を行う下位物理層(Low-PHY層)処理回路や、アンテナを介して無線信号を送信/受信するRF(Radio Frequency)回路を含む。分散局(DU)21内の上位物理層(High-PHY層)処理部25は、符号化/復号化や、変調/復調や、データを時間・周波数領域に対応付けるリソースエレメントマッピング等を行う。
【0028】
分散局(DU)21内のMAC層処理部26は、論理チャネルとトランスポートチャネルとの間のマッピング、共有チャネル(SCH)リソースのスケジューリング、RLC PDU73に対する多重化/逆多重化、論理チャネルの優先付け、HARQ(Hybrid Automatic Repeat ReQuest)による誤り訂正等を行う。論理チャネルは、MAC層処理部26とRLC層処理部27との間のインタフェースを担う。トランスポートチャネルは、MAC層処理部26と上位物理層(High-PHY)処理部25との間のインタフェースを担う。
【0029】
論理チャネルは、報知制御チャネル(BCCH)、ページング制御チャネル(PCCH)、共有制御チャネル(CCCH)、専用制御チャネル(DCCH)、専用転送チャネル(DTCH)を含む。この内、専用転送チャネル(DTCH)は、ユーザ端末(UE)1との間でユーザデータDATuを転送する際の専用チャネルである。トランスポートチャネルは、ページングチャネル(PCH)、報知チャネル(BCH)、ダウンリンク用共有チャネル(DL-SCH)、アップリンク用共有チャネル(UL-SCH)を含む。
【0030】
例えば、トランスポートチャネルに含まれるアップリンク用共有チャネル(UL-SCH)は、論理チャネルに含まれる共有制御チャネル(CCCH)、専用制御チャネル(DCCH)、専用転送チャネル(DTCH)にマッピングされる。また、論理チャネルに含まれる報知制御チャネル(BCCH)、共有制御チャネル(CCCH)、専用制御チャネル(DCCH)、専用転送チャネル(DTCH)は、トランスポートチャネルに含まれるダウンリンク用共有チャネル(DL-SCH)にマッピングされる。
【0031】
分散局(DU)21内のRLC層処理部27は、通信種別に適したRLCモード毎に再送制御等を行う。詳細には、RLC層処理部27は、透過モード(TM)、非確認モード(UM)、確認モード(AM)で動作する。透過モード(TM)において、RLC層処理部27は、RLCサブヘッダ77の処理を行わず、通信相手となるRLC層へのACK/NACKの応答を行わず、データのバッファリングのみを行う。非確認モード(UM)において、RLC層処理部27は、RLCサブヘッダ77の処理を行い、ACK/NACKの応答を行わず、データのバッファリングを行う。確認モード(AM)において、RLC層処理部27は、RLCサブヘッダ77の処理を行い、ACK/NACKの応答を行い、データのバッファリングを行う。RLCモードは、論理チャネルの種類に応じて定められる。
【0032】
集約局(CU)22内のPDCP層処理部31u,31cは、シーケンス番号を用いたデータの重複検出や、データの暗号化/復号化等を行う。また、制御プレーン用のPDCP層処理部31cは、制御用データDATcの完全性保護や完全性検証等を行う。集約局(CU)22内のSDAP層処理部33は、データ無線ベアラへのQoSフローのマッピングを行う。図13は、図11におけるSDAP層処理部33の処理内容の一例を説明する模式図である。
【0033】
図13に示されるように、ユーザ端末(UE)1とUPF部40との間には、SMF部42によって、PDUセッション80が確立される。PDUセッション80において、基地局装置(gNB)2とUPF部40との間の通信経路は、NG-uトンネル81によって確立される。NG-uトンネル81は、PDUセッション80に1対1で対応する。一方、PDUセッション80において、ユーザ端末(UE)1と基地局装置(gNB)2との間の通信経路は、単数または複数のデータ無線ベアラ(DRB)82によって確立される。SDAP層処理部33は、当該単数または複数のデータ無線ベアラ(DRB)82に、PDUセッション80内に設けられる各QoSフロー83をマッピングする。
【0034】
集約局(CU)22内のRRC層処理部34は、すべての無線リソースを制御することで、ユーザ端末(UE)1と基地局装置(gNB)2との間にデータ無線ベアラ(DRB)82を確立し、また、確立したデータ無線ベアラ(DRB)82を必要に応じて解放する。無線リソースには、無線局(RU)20内の下位物理層(Low-PHY層)処理部と、分散局(DU)内の上位物理層(High-PHY層)処理部25、MAC層処理部26およびRLC層処理部27と、集約局(CU)内のユーザプレーン用のPDCP層処理部31uおよびSDAP層処理部33とが含まれる。さらに、RRC層処理部34は、ユーザ端末(UE)1の状態を、接続状態、アイドル状態、非活性状態を用いて管理する。
【0035】
集約局(CU)22内のユーザプレーン用のNG-uインタフェース32uは、GTP(General packet radio system Tunneling Protocol)を用いて、図13に示したようなNG-uトンネル81を確立する。具体的には、NG-uインタフェース32uは、例えば、基地局装置(gNB)2およびUPF部40を送信元および宛先として、それにトンネルエンドポイントID(TEID)等を付加したカプセル化ヘッダでIPパケットをカプセル化し、UPF部40へ送信する。また、NG-uインタフェース32uは、UPF部40からのカプセル化されたIPパケットを受信し、それをデカプセル化する。すなわち、図示は省略されるが、UPF部40も、NG-uインタフェースを備える。
【0036】
以上のような5Gネットワークシステムにおいて、分散局(DU)21および集約局(CU)22は、図11に示されるように、通常、ソフトウェア処理によって実現される。また、ユーザ端末(UE)1からサーバ45へのユーザデータDATuの転送を低遅延化するため、MECサーバが設けられる場合がある。MECサーバは、通常、基地局装置(gNB)2と5Gコアネットワーク(5GC)3との間に箇所に、別途設けるUPF部と一体的に設置される。しかしながら、更なる低遅延通信を実現するためには、ユーザ端末(UE)1により近い箇所にMECサーバを設置することが望まれる。
【0037】
<ネットワークシステム(実施の形態)の概略>
図1は、本発明の一実施の形態によるネットワークシステムの構成例を示す概略図である。図1に示されるネットワークシステムは、図11に示した構成例とは基地局装置(gNB)2の構成が異なっている。さらに、図11の場合と異なり、MECサーバ5が設けられる。集約局(CU)22は、図11の場合と同じく、ユーザプレーン用のSDAP層処理部33およびPDCP層処理部31uと、制御プレーン用のRRC層処理部34およびPDCP層処理部31cと、を備える。一方、分散局(DU)21は、図11の場合と異なり、ハードウェア処理部21aとソフトウェア処理部21bとを備える。
【0038】
ハードウェア処理部21aは、UPF回路56、簡易GTP処理回路55、ユーザプレーン用のSDAP層処理回路54、ユーザプレーン用のPDCP層処理回路53、RLC層処理回路52、MAC層処理回路51、および上位物理層(High-PHY層)処理回路50を有する。ハードウェア処理部21aは、ハードウェア処理によって実現され、詳細には、FPGA(Field Programmable Gate Array)によって実現される。ただし、ハードウェア処理部21aは、必ずしもFPGAに限らず、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現されてもよい。
【0039】
ソフトウェア処理部21bは、図11の場合と同様のRLC層処理部27、MAC層処理部26、ユーザプレーン用のF1-uインタフェース28u、および制御プレーン用のF1-cインタフェース28cに加えて、制御部(APS-CP)60を有する。ソフトウェア処理部21bは、ソフトウェア処理、すなわち、プロセッサを用いたプログラム処理によって実現される。制御部(APS-CP)60は、概略的には、SMF部42から送信された制御命令に応じてUPF回路56を制御し、RRC層処理部34からF1-cインタフェース28cを介して送信された制御命令に応じて、SDAP層処理回路54、PDCP層処理回路53、およびRLC層処理回路52等を制御する。
【0040】
MAC層処理回路51は、MAC層処理部26と異なり、ユーザプレーンの処理のみを行う。一方、MAC層処理部26は、ユーザプレーンの処理と、制御プレーンの処理の両方を行う。図2は、図1におけるMAC層処理回路51の主要な処理内容の一例を示すフロー図である。図3は、図12におけるMACサブヘッダ78の構成例を示す概略図である。
【0041】
MACサブヘッダ78には、図3に示されるような2種類の構成が用いられる。MACサブヘッダ78は、“R”領域100、“F”領域101、論理チャネルID(LCID)領域102、eLCID領域103、“L”領域104を備える。“R”領域100は、1ビットの予約領域である。“F”領域101は、1ビットのフォーマット領域であり、“L”領域104のサイズが8ビットであるか16ビットであるかを表す。図3には、“L”領域104のサイズが8ビットである場合が例示される。
【0042】
8ビットまたは16ビットの“L”領域104は、MAC SDUのサイズをバイト単位で示す領域である。論理チャネルID(LCID)領域102は、6ビットの論理チャネルID(LCID)を定める領域である。論理チャネルID(LCID)の値の中には、制御用の固定値も含まれる。eLCID領域103は、論理チャネルID(LCID)領域102を拡張するための領域である。例えば、論理チャネルID(LCID)領域102の値が“34”の場合、8ビットのeLCID領域103を用いて、論理チャネルID(LCID)を定めることができる。
【0043】
図2において、MAC層処理回路51は、上位物理層(High-PHY層)処理回路50を介して、アップリンク用のデータを受信する(ステップS101)。続いて、MAC層処理回路51は、受信したデータがユーザデータDATuであるか、制御用データDATcであるかを判定する(ステップS102)。受信したデータがユーザデータDATuである場合(ステップS102:Yes)、MAC層処理回路51は、ユーザデータDATuに含まれる論理チャネルID(LCID)が、予めRRC層処理部34から、低遅延用として通知された特定値であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0044】
論理チャネルID(LCID)が特定値である場合(ステップS103:Yes)、MAC層処理回路51は、ユーザデータDATuをRLC処理回路52へ転送する(ステップS104)。一方、論理チャネルID(LCID)が特定値でない場合(ステップS103:No)、MAC層処理回路51は、ユーザデータDATuをソフトウェア処理部21b、すなわちMAC層処理部26を介してRLC層処理部27へ転送する(ステップS105)。また、MAC層処理回路51は、受信したデータが制御用データDATcである場合(ステップS102:No)も、制御用データDATcをソフトウェア処理部21b、すなわちMAC層処理部26へ転送する(ステップS105)。
【0045】
ここで、図1に示したネットワークシステムの概略的な動作について説明する。まず、ユーザ端末(UE)1は、ユーザデータDATuの送信に先立ち、制御用データDATc、すなわち制御プレーンを用いて、データネットワーク(DN)4への低遅延スライスを用いたPDUセッション80の確立要求を送信する。低遅延スライスを用いるか否かは、スライスIDによって識別される。MAC層処理回路51は、受信したデータが制御用データDATcであるため、制御用データDATcをMAC層処理部26へ転送する。言い換えれば、MAC層処理回路51は、上位物理層(High-PHY層)処理回路50と、MAC層処理部26とをバイパスする。
【0046】
SMF部42は、制御用データDATcを受け、ネットワークスライシング等の設定に基づいて、データネットワーク(DN)4ではなく、MECサーバ5へのPDUセッション80を確立する。この際に、RRC層処理部34は、MECサーバ5へのPDUセッション80を確立するための論理チャネルID(LCID)、詳細には、ユーザ端末(UE)1と基地局装置(gNB)2との間で使用するデータ無線ベアラ82を識別するための論理チャネルID(LCID)を定める。そして、RRC層処理部34は、定めた論理チャネルID(LCID)、例えば#ID1を、制御プレーンを用いてMAC層処理回路51とユーザ端末(UE)1とに通知する。
【0047】
その後、ユーザ端末(UE)1は、データネットワーク(DN)4内のサーバ45と低遅延スライスを用いて通信するため、RRC層処理部34から通知された論理チャネルID(LCID)の特定値#ID1を含んだアップリンク用のユーザデータDATu、すなわち図12に示したMAC PDU74を生成する。そして、ユーザ端末(UE)1は、生成したアップリンク用のユーザデータDATuを、基地局装置(gNB)2へ送信する。
【0048】
MAC層処理回路51は、アップリンク用のユーザデータDATuを無線局(RU)20および上位物理層(High-PHY層)処理回路50を介して受信し、ユーザデータDATuに含まれる論理チャネルID(LCID)を参照する。ここで、MAC層処理回路51は、論理チャネルID(LCID)が予めRRC層処理部34から通知された特定値#ID1である場合には、当該ユーザデータDATuを、ソフトウェア処理部21b内のRLC層処理部27ではなく、ハードウェア処理部21a内のRLC層処理回路52へ転送する。これにより、当該ユーザデータDATuは、MECサーバ5へ転送される。
【0049】
一方、その逆方向の通信として、MECサーバ5がダウンリンク用のユーザデータDATu、すなわち図12に示したIPパケット70を生成し、ユーザ端末(UE)1へ送信した場合を想定する。ハードウェア処理部21aは、当該IPパケット70を、UPF回路56を用いて受信する。そして、ハードウェア処理部21aは、受信したIPパケット70を、SDAP層処理回路54、PDCP層処理回路53、RLC層処理回路52を用いて順次処理したのち、MAC層処理回路51へ転送する。
【0050】
MAC層処理回路51は、RLC層処理回路52からのRLC PDU73に対して、特定値#ID1となる論理チャネルID(LCID)を含んだMACサブヘッダ78を付加することで、MAC PDU74を生成する。そして、MAC層処理回路51は、生成したMAC PDU74を、上位物理層(High-PHY層)処理回路50および無線局(RU)20を介してユーザ端末(UE)1へ送信する。
【0051】
なお、ここでは、SMF部42は、ユーザ端末(UE)1とMECサーバ5との間で低遅延スライスを用いたPDUセッション80を確立した。一方、SMF部42は、ユーザ端末(UE)1からの要求に基づき、低遅延スライスが必要とされない場合には、ユーザ端末(UE)1とデータネットワーク(DN)4内のサーバ45との間にPDUセッション80を確立してもよい。この際に、RRC層処理部34は、別の論理チャネルID(LCID)、例えばID#2を定める。MAC層処理回路51は、ユーザ端末(UE)1から送信されたユーザデータDATuに含まれる論理チャネルID(LCID)が#ID2の場合には、当該ユーザデータDATuを、ソフトウェア処理部21bへ転送する。
【0052】
図4は、図1における分散局(DU)21のハードウェア構成例を示す概略図である。分散局(DU)21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ90と、FPGA91と、メモリ92と、通信インタフェース93と、これらを接続するバス94とを備える。図1に示したソフトウェア処理部21bは、プロセッサ90がメモリ92に格納されたプログラムを実行することで、すなわちソフトウェア処理によって実現される。一方、ハードウェア処理部21aは、FPGA91によって実現される。通信インタフェース93は、集約局(CU)22との間のミッドホールを介した通信や、無線局(RU)20との間のフロントホールを介した通信を制御する。
【0053】
<分散局(DU)の詳細>
図5は、図1に示される分散局(DU)において、ハードウェア処理部21aに関連する一部の箇所を抽出した構成例を示す図である。図5において、集約局(CU)22は、RRC層処理部34と、F1-cインタフェース30cとを含む。分散局(DU)21内のソフトウェア処理部21bは、F1-cインタフェース28cと、制御部(APS-CP)60とを備える。F1-cインタフェース28cは、集約局(CU)22内のF1-cインタフェース30cを介してRRC層処理部34に接続される。制御部(APS-CP)60は、5Gコアネットワーク(5GC)内のSMF部42に接続される。また、制御部(APS-CP)60は、F1-cインタフェース28cにも接続される。
【0054】
分散局(DU)21内のハードウェア処理部21aは、RLC層処理回路52と、PDCP層処理回路53と、SDAP層処理回路54と、簡易GTP処理回路55と、UPF回路56とを含む。UPF回路56は、MECサーバ5に接続される。ソフトウェア処理部21b内の制御部(APS-CP)60は、SMF部42から送信された制御命令に応じてUPF回路56を制御する。この際に、制御部(APS-CP)60は、主に、SMF部42から制御命令を、UPF回路56に適した形式にフォーマット変換する。
【0055】
また、制御部(APS-CP)60は、RRC層処理部34からF1-cインタフェース28cを介して送信された制御命令に応じて、簡易GTP処理回路55、SDAP層処理回路54、PDCP層処理回路53、RLC層処理回路52を制御する。さらに、制御部(APS-CP)60は、RRC層処理部34からの制御命令に応じて、図示されないMAC層処理回路51および上位物理層(High-PHY層)処理回路50も制御する。この際に、制御部(APS-CP)60は、主に、RRC層処理部34からの制御命令を、制御対象の各回路に適した形式にフォーマット変換する。
【0056】
なお、例えば、5Gコアネットワーク(5GC)内のUPF部40は、SMF部42から、パケット転送制御プロトコル(PFCP)に基づく制御命令を受信する。これに伴い、制御部(APS-CP)60も、パケット転送制御プロトコル(PFCP)に基づく制御命令を受信する。パケット転送制御プロトコル(PFCP)では、ユーザデータDATuの処理に加えて、例えば、ハートビートといったユーザデータDATuの処理に無関係な処理も必要とされる。制御部(APS-CP)60は、このようなユーザデータDATuの処理に無関係な処理も行う。
【0057】
[無線リソースの制御について]
図6は、図5に示されるRRC層処理部34の概略的な処理内容の一例を示す模式図である。上位物理層(High-PHY層)処理回路50、MAC層処理回路51、RLC層処理回路52、PDCP層処理回路53およびSDAP層処理回路54は、全ての無線リソースを制御する集約局(CU)22内のRRC層処理部34によって制御される。図6において、物理層処理部110は、分散局(DU)内の上位物理層(High-PHY層)処理回路50と、無線局(RU)20内の下位物理層(Low-PHY層)処理部とを含んでいる。
【0058】
上位物理層(High-PHY層)処理回路50、MAC層処理回路51、RLC層処理回路52、PDCP層処理回路53およびSDAP層処理回路54は、RRC層処理部34からの制御命令に応じて、図6に示されるように、各エンティティを生成する。すなわち、図13にも示したデータ無線ベアラ(DRB)82上に、PHYエンティティ110e1,110e2、MACエンティティ51e、RLCエンティティ52e、PDCPエンティティ53e、SDAPエンティティ54eが生成される。これらのエンティティは、データ無線ベアラ(DRB)82毎に生成される。ユーザデータDATuに対する実際の処理は、これらの各エンティティによって実行される。
【0059】
図6に示される例では、RLCエンティティ52eとして、前述した確認モード(AM)で動作するエンティティが生成される。また、MACエンティティ51eとして、前述した論理チャネルの一つである専用転送チャネル(DTCH)での処理を行うエンティティが生成される。さらに、PHYエンティティ110e1として、前述したトランスポートチャネルの一つであるダウンリンク用共有チャネル(DL-SCH)での処理を行うエンティティが生成される。PHYエンティティ110e2として、トランスポートチャネルの他の一つであるアップリンク用共有チャネル(UL-SCH)での処理を行うエンティティが生成される。
【0060】
[簡易GTP処理回路およびUPF回路について]
図7Aは、図5において、アップリンク用のユーザデータに対する簡易GTP処理回路55およびUPF回路56の動作例を説明する概略図である。まず、前提として、図13等に示したように、基地局装置(gNB)2とUPF部40との通信は、NG-uトンネル81を用いて行われる。具体的には、図1に示した集約局(CU)22内のNG-uインタフェース32uと、UPF部40内の図示しないNG-uインタフェースとは、ユーザデータDATuの転送に際し、GTPに基づくカプセル化ヘッダの付加/削除、すなわちカプセル化/デカプセル化を行う。
【0061】
集約局(CU)22内のNG-uインタフェース32uは、ハードウェア処理部21aにおける簡易GTP処理回路55に対応する。ただし、簡易GTP処理回路55は、NG-uインタフェース32uと異なり、通信相手であるUPFが特定されているため、カプセル化を行う必要はない。そこで、簡易GTP処理回路55は、図7Aに示されるように、UPF回路56へユーザデータDATuを転送する際に、IPパケットに、カプセル化ヘッダに含まれる一部のパラメータであるトンネルエンドポイントID(TEID)およびQoSフローID(QFI)を付加する。すなわち、カプセル化ヘッダに含まれる、その他のパラメータ、例えば送信元/宛先アドレスやポート番号等は付加されない。
【0062】
ここで、付加されるトンネルエンドポイントID(TEID)値およびQoSフローID(QFI)値は、予め、制御部(APS-CP)60から指示される。具体的には、PDUセッションを確立する際に、SMF部42は、RRC層処理部34と連携してTEID値およびQFI値を定める。そして、RRC層処理部34は、定めたTEID値およびQFI値を制御部(APS-CP)60へ送信する。これに基づいて、制御部(APS-CP)60は、簡易GTP処理回路55に、付加すべきTEID値およびQFI値を指示する。
【0063】
このようにして、簡易GTP処理回路55は、TEID値およびQFI値が付加されたIPパケットをUPF回路56へ送信する。UPF回路56は、TEID値およびQFI値が付加されたIPパケットを受信し、詳細は後述するが、予めSMF部42から指示されたQoSルールに基づいてQoS制御を行う。その後、UPF回路56は、TEID値およびQFI値を削除することで得られたIPパケットを、MECサーバ5へ送信する。
【0064】
図7Bは、図5において、ダウンリンク用のユーザデータに対する簡易GTP処理回路55およびUPF回路56の動作例を説明する概略図である。UPF回路56は、MECサーバ5からのIPパケットを受信し、詳細は後述するが、予めSMF部42から指示されたQoSルールに基づいてQoS制御を行う。UPF回路56は、当該QoS制御の中で、IPパケットに対して、トンネルエンドポイントID(TEID)、QoSフローID(QFI)、反射型QoSフローID(RQI)、およびRDI(Reflective QoS flow to DRB mapping Indication)を付加する。RQIおよびRDIは、アップリンクと同じQoSフローをダウンリンクで確立させるためのものである。
【0065】
ここで、TEID値およびQFI値は、図7Aの場合と同様に、予めSMF部42とRRC層処理部34との連携によって定められる。また、RQI値およびRDI値も、予め、SMF部42によって定められる。SMF部42は、定めたTEID値、QFI値、RQI値およびRDI値を、制御部(APS-CP)60へ送信する。これに基づいて、制御部(APS-CP)60は、UPF回路56に、付加すべきTEID値、QFI値、RQI値およびRDI値を指示する。
【0066】
このようにして、UPF回路56は、TEID値、QFI値、RQI値およびRDI値が付加されたIPパケットを、簡易GTP処理回路55へ送信する。簡易GTP処理回路55は、UPF回路56からTEID値、QFI値、RQI値およびRDI値が付加されたIPパケットを受信し、不要なパラメータ値を削除する。
【0067】
[QoS制御について]
図8は、図5に示されるUPF回路におけるQoS制御方法の一例を示す模式図である。まず、前提として、SMF部42は、PDUセッションを確立する際に、5Gコアネットワーク(5GC)内の図示されないPCF(Policy Control Function)部と連携して、当該PDUセッションに適用するQoSフローID(QFI)値と、当該QFI値に対応するQoSルールを決定する。また、前述したように、SMF部42は、RRC層処理部34とも連携して、QFI値を定める。
【0068】
SMF部42は、定めたQoSルールを、パケット転送制御プロトコル(PFCP)に基づいて制御部(APS-CP)60へ送信する。制御部(APS-CP)60は、SMF部42から送信された、QoSルールの登録、削除または変更命令に応じて、UPF回路56に対して当該QoSルールの登録、削除または変更を行う。なお、パケット転送制御プロトコル(PFCP)は、IPパケットの転送、廃棄、書換え、滞留、優先処理、カウント等のパケット処理を、予め設定されたルールに基づいて行うためのプロトコルである。
【0069】
図8において、UPF回路56には、QoSルールとして、パケット検出ルール(PDR)、QoS施行ルール(QER)、転送アクションルール(FAR)、バッファリングアクションルール(BAR)が登録される。パケット検出ルール(PDR)は、ルールの適用対象とするIPパケットの検出条件と、検出したIPパケットに何を適用するか、すなわち、QERの適用有無およびFARの適用有無を規定する。IPパケットの検出条件として、例えば、ユーザ端末(UE)1のIPアドレス、すなわち、アップリンク時の送信元IPアドレス、ダウンリンク時の宛先IPアドレスや、トンネルエンドポイントID(TEID)値等が挙げられる。
【0070】
QoS施行ルール(QER)は、許容する通信帯域を規定する。具体的には、最大ビットレート(MBR)の値や、保証ビットレート(GBR)の値等が定められる。さらに、QoSフローID(QFI)値、反射型QoSフローID(RQI)値、RDI(Reflective QoS flow to DRB mapping Indication)値も定められる。
【0071】
転送アクションルール(FAR)は、IPパケットの転送、破棄またはバッファリングといったIPパケットに対する処理内容を規定する。また、転送アクションルール(FAR)は、IPパケットの受信時に制御プレーンへ通知を行うか否かや、ダウンリンクのIPパケットにTEID値を付与するか否かも定める。なお、転送アクションルール(FAR)は、IPパケットをバッファリングする際には、どのバッファリングアクションルール(BAR)を適用するかを指定する。バッファリングアクションルール(BAR)は、バッファリングする最大パケット数を規定する。
【0072】
図8に示される例では、1個のPFCPセッション#1内に、2個のパケット検出ルール(PDR)#1,#2が登録される。例えば、PDR#1は、アップリンク用のルールであり、PDR#2は、ダウンリンク用のルールである。PDR#1には、2個のQoS施行ルール(QER)#1,#2と、1個の転送アクションルール(FAR)#1とが紐づけられる。転送アクションルール(FAR)#1では、バッファリングアクションルール(BAR)#1に基づいてバッファリングを行うか、または、転送を行うかが定められる。
【0073】
PDR#2には、1個のQoS施行ルール(QER)#3と、1個の転送アクションルール(FAR)#2とが紐づけられる。転送アクションルール(FAR)#2では、転送を行うことが定められる。このように、UPF回路56は、アップリンク用のIPパケットおよびダウンリンク用のIPパケット共に、パケット検出ルール(PDR)、QoS施行ルール(QER)、転送アクションルール(FAR)、バッファリングアクションルール(BAR)の順で、ルール毎の処理を行う。
【0074】
図9は、図8に示されるUPF回路56が保持するQoSテーブルの構成例を示す概略図である。UPF回路56は、QoSテーブルとして、例えば、図9に示されるようなPDRテーブル120、FARテーブル121およびQERテーブル122を、メモリまたはレジスタに保持する。各テーブルへの登録内容は、予め、SMF部42から制御部(APS-CP)60を介して指示される。UPF回路56は、当該各テーブルを用いてQoS制御を行う。
【0075】
図9において、UPF回路56が、ユーザ端末(UE)1から、送信元IPアドレスを“IPA1”とし、トンネルエンドポイントID(TEID)値を“TID1”とするアップリンク用のIPパケットを受信した場合を想定する。この場合、PDRテーブル120において、有効なエントリであるPDR ID#1のエントリがヒットし、当該エントリには、QER ID#1と、FAR ID#1とが紐づけられている。
【0076】
そこで、UPF回路56は、QERテーブル122におけるQER ID#1のエントリを参照する。QER ID#1のエントリは、有効であり、MBRに“xxx”が定められている。これに応じて、UPF回路56は、IPパケットに対する最大ビットレートを“xxx”に帯域制限する。また、UPF回路56は、FARテーブル121におけるFAR ID#1のエントリを参照する。FAR ID#1のエントリは、有効であり、アクションとして“転送”が定められている。これに応じて、UPF回路56は、帯域制限されたIPパケットを、MECサーバ5へ転送する。
【0077】
また、UPF回路56が、ユーザ端末(UE)1から、送信元IPアドレスを“IPA2”とし、トンネルエンドポイントID(TEID)値を“TID2”とするアップリンク用のIPパケットを受信した場合を想定する。この場合も同様にして、UPF回路56は、PDRテーブル120、QERテーブル122およびFARテーブル121を順に参照することで、当該IPパケットを、帯域制限を行わずに破棄する。
【0078】
一方、UPF回路56が、ユーザ端末(UE)1から、宛先IPアドレスを“IPA3”とし、トンネルエンドポイントID(TEID)値を“TID3”とするダウンリンク用のIPパケットを受信した場合を想定する。なお、当該IPパケットのTEID値は、図7Bに示したように、SMF部42から予め通知される。この場合、PDRテーブル120において、有効なエントリであるPDR ID#4のエントリがヒットし、当該エントリには、QER ID#3と、FAR ID#4とが紐づけられている。
【0079】
UPF回路56は、QERテーブル122におけるQER ID#3のエントリを参照する。QER ID#3のエントリは、有効であり、GBRに“yyy”が定められている。これに応じて、UPF回路56は、IPパケットに対するビットレートを保証ビットレートである“yyy”に帯域保証する。さらに、UPF回路56は、当該QER ID#3のエントリに基づいて、IPパケットにQFI値として“QID3”を付加する。
【0080】
また、UPF回路56は、FARテーブル121におけるFAR ID#4のエントリを参照する。FAR ID#4のエントリは、有効であり、アクションとして“転送”が定められ、TEID値として“TID3”が定められている。これに応じて、UPF回路56は、帯域保証され、かつ“QID3”が付加されたIPパケットに、更に、“TID3”を付加して、簡易GTP処理回路55へ転送する。なお、より詳細には、RQI値およびRDI値も、QERテーブル122に基づいて付加される。図9に示した例では、ユーザ端末(UE)1のIPアドレスおよびTEID値に基づいて帯域制限または帯域保証が行われたが、QFI値に基づいて帯域制限または帯域保証が行われるように、各テーブルが構成されてもよい。
【0081】
図10Aは、図8において、転送アクションルール(FAR)でバッファリングを用いる場合の適用例を示す図である。図10Bは、図10Aに続く、適用例を示す図である。例えば、ユーザ端末(UE)1は、電波状況等によってはユーザデータDATuを受信不可能な状態、すなわちPDUセッションが切断された状態になり得る。この場合、ダウンリンク用のユーザデータDATuが破棄されないようにすることが望まれる。例えば、このような場合に、バッファリングが用いられる。
【0082】
図10Aにおいて、UPF回路56は、MECサーバ5からIPパケットを受信する。UPF回路56は、QoS施行ルール(QER)に基づく帯域制限後のIPパケットを、転送アクションルール(FAR)に基づいてバッファ125へ格納する。また、これと共に、UPF回路56は、転送アクションルール(FAR)に基づいて、制御部(APS-CP)60を介してSMF部42へIPパケットの受信通知を送信する。詳細には、制御部(APS-CP)60は、例えば、IPパケットの受信有無を表すステータスレジスタをポーリングによって監視し、監視結果に基づいてSMF部42へIPパケットの受信通知を送信する。
【0083】
その後、SMF部42は、PDUセッションの復旧、すなわち、ユーザ端末(UE)1によるPDUセッションの再確立を検知する。この場合、図10Bに示されるように、SMF部42は、制御部(APS-CP)60を介してUPF回路56に、復旧通知を送信する。これに応じて、UPF回路56は、バッファ125に格納していたIPパケットを、簡易GTP処理回路55へ転送する。この際に、UPF回路56は、当該IPパケットに、TEID値、QFI値、RQI値およびRDI値を付加する。また、SMF部42は、バッファリングの停止を、制御部(APS-CP)60を介してUPF回路56に指示する。
【0084】
<実施の形態の主要な効果>
以上、実施の形態の方式では、分散局(DU)21内において、MECサーバ5にユーザデータDATuを転送するためのハードウェア処理部21aが設けられる。これにより、低遅延通信が実現可能になる。具体的には、一般的なMEC技術のように、基地局装置(gNB)2と5Gコアネットワーク(5GC)3との間に、UPF部を含んだMECサーバを設置するのではなく、分散局(DU)21の先にMECサーバ5が設置されるため、集約局(CU)22を経由しない分、低遅延化が図れる。さらに、MECサーバ5へのユーザデータDATuを、ソフトウェアではなくハードウェアによって処理するため、更なる低遅延化が図れる。
【0085】
また、実施の形態の方式は、例えば、図11に示したようなソフトウェア処理による分散局(DU)21を、そのままハードウェア処理に置き換えたのではなく、MECサーバ5へのユーザデータDATuの転送に必要な部分を抽出し、それをハードウェア処理部21aに搭載した方式となっている。これにより、限られたハードウェアリソースを用いて、低遅延通信を実現することが可能になる。
【0086】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1:ユーザ端末(UE)、2:基地局装置(gNB)、20:無線局(RU)、21:分散局(DU)、21a:ハードウェア処理部、21b:ソフトウェア処理部、22:集約局(CU)、3:5Gコアネットワーク(5GC)、31u,31c:PDCP層処理部、32u:NG-uインタフェース、33:SDAP層処理部、34:RRC層処理部、40:UPF部、42:SMF部、5:MECサーバ、50:上位物理層(High-PHY層)処理回路、51:MAC層処理回路、52:RLC層処理回路、53:PDCP層処理回路、54:SDAP層処理回路、55:簡易GTP処理回路、56:UPF回路、60:制御部(APS-CP)、DATc:制御用データ、DATu:ユーザデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13