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特開2024-603半導体装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000603
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/41 20060101AFI20231226BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20231226BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20231226BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L29/44 L
H01L29/80 H
H01L29/80 U
H01L21/288 E
H01L29/50 J
H01L29/44 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099360
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】堤 優也
(72)【発明者】
【氏名】江森 正臣
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB08
4M104BB09
4M104BB13
4M104BB36
4M104CC01
4M104DD37
4M104DD52
4M104FF02
4M104FF06
4M104HH20
5F102GB01
5F102GB02
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GV08
5F102HC01
(57)【要約】
【課題】材料コストを低減しても放熱性の低下を抑制できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有する基板と、前記第2主面を覆い、デンドライトを含む第1導電体層と、を有し、前記基板に、前記基板を貫通し、内壁面を有するビアホールが形成されており、前記第1導電体層は、前記内壁面を覆う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有する基板と、
前記第2主面を覆い、デンドライトを含む第1導電体層と、
を有し、
前記基板に、前記基板を貫通し、内壁面を有するビアホールが形成されており、
前記第1導電体層は、前記内壁面を覆う半導体装置。
【請求項2】
前記第1主面の上に設けられ、前記ビアホールに露出する第1面を有する第2導電体層を有し、
前記第1導電体層は、前記第1面を直接覆う請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1導電体層の前記第1面を覆う第1部分の平均厚さは0.2μm以上である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2主面は、
中央領域と、
前記中央領域の周辺に設けられ、一定の幅を有する環状の周辺領域と、
を有し、
前記環状の周辺領域の幅は40μm以内であり、
前記第1導電体層の前記中央領域において前記第2主面を覆う第2部分の平均厚さは、前記第1部分の平均厚さよりも大きい請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2部分の算術平均表面粗さは、1.5μm以上である請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2部分の算術平均表面粗さは、前記第1部分の算術平均表面粗さの5倍以上である請求項4または請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2導電体層に接続されたソース電極を備えたトランジスタを有する請求項2または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1導電体層は、銅を含有する請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記基板は、
前記第2主面を構成する炭化珪素基板と、
前記炭化珪素基板の上に設けられ、前記第1主面を構成する半導体層と、
を有する請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項10】
第3導電体層を有する実装基板と、
前記第1導電体層を前記第3導電体層に接合する接合材と、
を有する請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有する基板に、前記基板を貫通し、内壁面を有するビアホールを形成する工程と、
前記第2主面および前記内壁面を覆い、デンドライトを含む第1導電体層を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記ビアホールを形成する工程の前に、前記第1主面に接する第1面を有する第2導電体層を形成する工程を有し、
前記ビアホールは、前記第1面が前記ビアホールに露出するように形成され、
前記第1導電体層は、前記第1面を直接覆うように形成される請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1導電体層を形成する工程は、
電気めっき法により第1電流密度で第1めっき層を形成する工程と、
電気めっき法により前記第1電流密度よりも高い第2電流密度で前記第1めっき層の上にデンドライトを含む第2めっき層を形成する工程と、
を有する請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1導電体層を形成する工程は、
電気めっき法により第2電流密度でデンドライトを含む第2めっき層を形成する工程と、
電気めっき法により前記第2電流密度よりも低い第1電流密度で前記第2めっき層の上に第1めっき層を形成する工程と、
を有する請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電界効果トランジスタのソース電極に接続される導電体層がエピタキシャル基板の上面に形成され、エピタキシャル基板に導電体層に達するビアホールが形成され、エピタキシャル基板の下面にビアホールを通じて導電体層に接続される金めっき層が形成された半導体装置が知られている。このような半導体装置では、銀ペーストを用いて、金めっき層が実装基板の導電体層に接続され、電界効果トランジスタで発生した熱が金めっき層を介して実装基板に放出される。また、実装基板の導電体層が接地されると、銀ペースト、金めっき層および導電体層を通じてソース電極も接地される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第01/07687号
【特許文献2】特開2019-145546号公報
【特許文献3】特開2020-17647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
材料コストの低減のために、めっき層に金よりも安価な材料を用いることが考えられる。しかしながら、金より安価な材料を用いると、放熱性が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、材料コストを低減しても放熱性の低下を抑制できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有する基板と、前記第2主面を覆い、デンドライトを含む第1導電体層と、を有し、前記基板に、前記基板を貫通し、内壁面を有するビアホールが形成されており、前記第1導電体層は、前記内壁面を覆う。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、材料コストを低減しても放熱性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図2図2は、基板の第2主面の概要を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る半導体装置の使用例を示す断面図である。
図4図4は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その1)である。
図5図5は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その2)である。
図6図6は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その3)である。
図7図7は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その4)である。
図8図8は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その5)である。
図9図9は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その6)である。
図10図10は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その7)である。
図11図11は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第2例を示す断面図(その1)である。
図12図12は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第2例を示す断面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有する基板と、前記第2主面を覆い、デンドライトを含む第1導電体層と、を有し、前記基板に、前記基板を貫通し、内壁面を有するビアホールが形成されており、前記第1導電体層は、前記内壁面を覆う。
【0011】
第1導電体層が第2主面を覆い、デンドライトを含むため、半導体装置が接合材を用いて実装基板に実装されたときに第1導電体層と接合材との間に大きな接触面積が得られる。このため、第1導電体層から接合材へと熱を伝達しやすい。従って、第1導電体層に金よりも安価な材料を用いて材料コストを低減しても、放熱性の低下を抑制できる。また、大きな接触面積が得られることで、第1導電体層と実装基板との間に優れた接合強度が得られる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第1主面の上に設けられ、前記ビアホールに露出する第1面を有する第2導電体層を有し、前記第1導電体層は、前記第1面を直接覆ってもよい。この場合、第1導電体層を通じて第2導電体層へと電位を付与することができる。
【0013】
〔3〕 〔2〕において、前記第1導電体層の前記第1面を覆う第1部分の平均厚さは0.2μm以上であってもよい。この場合、第1導電体層を通じて第2導電体層へとより安定して電位を付与することができる。
【0014】
〔4〕 〔3〕において、前記第2主面は、中央領域と、前記中央領域の周辺に設けられ、一定の幅を有する環状の周辺領域と、を有し、前記環状の周辺領域の幅は40μm以内であり、前記第1導電体層の前記中央領域において前記第2主面を覆う第2部分の平均厚さは、前記第1部分の平均厚さよりも大きくてもよい。第1導電体層を通じて第2導電体層へと安定して電位を付与するためには、第1導電体層の第2主面を覆う部分が第1部分よりも厚いことが好ましい。ただし、第1導電体層の第2主面を覆う部分が第1部分よりも厚くても、中央領域で第1導電体層が薄い場合には、安定して電位を付与しにくくなるおそれがある。第2部分の平均厚さが第1部分の平均厚さより大きいことで、安定した電位の付与を実現しやすい。
【0015】
〔5〕 〔4〕において、前記第2部分の算術平均表面粗さは、1.5μm以上であってもよい。この場合、放熱性の低下を抑制しやすく、また、第1導電体層と実装基板との間に優れた接合強度を得やすい。
【0016】
〔6〕 〔4〕または〔5〕において、前記第2部分の算術平均表面粗さは、前記第1部分の算術平均表面粗さの5倍以上であってもよい。この場合、放熱性の低下を抑制しやすく、また、第1導電体層と実装基板との間に優れた接合強度を得やすい。
【0017】
〔7〕 〔2〕から〔6〕のいずれかにおいて、前記第2導電体層に接続されたソース電極を備えたトランジスタを有してもよい。この場合、第1導電体層および第2導電体層を通じてソース電極に接地電位等の電位を付与できる。
【0018】
〔8〕 〔1〕から〔7〕のいずれかにおいて、前記第1導電体層は、銅を含有してもよい。この場合、材料コストを低減しやすい。
【0019】
〔9〕 〔1〕から〔8〕のいずれかにおいて、前記基板は、前記第2主面を構成する炭化珪素基板と、前記炭化珪素基板の上に設けられ、前記第1主面を構成する半導体層と、を有してもよい。この場合、優れた耐圧を得やすい。
【0020】
〔10〕 〔1〕から〔9〕のいずれかにおいて、第3導電体層を有する実装基板と、前記第1導電体層を前記第3導電体層に接合する接合材と、を有してもよい。この場合、第1導電体層から第3導電体層へと熱を伝達できる。
【0021】
〔11〕 本開示の一態様に係る半導体装置の製造方法は、第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有する基板に、前記基板を貫通し、内壁面を有するビアホールを形成する工程と、前記第2主面および前記内壁面を覆い、デンドライトを含む第1導電体層を形成する工程と、を有する。
【0022】
第1導電体層が第2主面を覆い、デンドライトを含むため、半導体装置が接合材を用いて実装基板に実装されたときに第1導電体層と接合材との間に大きな接触面積が得られる。このため、第1導電体層から接合材へと熱を伝達しやすい。従って、第1導電体層に金よりも安価な材料を用いて材料コストを低減しても、放熱性の低下を抑制できる。また、大きな接触面積が得られることで、第1導電体層と実装基板との間に優れた接合強度が得られる。
【0023】
〔12〕 〔11〕において、前記ビアホールを形成する工程の前に、前記第1主面に接する第1面を有する第2導電体層を形成する工程を有し、前記ビアホールは、前記第1面が前記ビアホールに露出するように形成され、前記第1導電体層は、前記第1面を直接覆うように形成されてもよい。この場合、第1導電体層を通じて第2導電体層へと電位を付与することができる。
【0024】
〔13〕 〔12〕において、前記第1導電体層を形成する工程は、電気めっき法により第1電流密度で第1めっき層を形成する工程と、電気めっき法により前記第1電流密度よりも高い第2電流密度で前記第1めっき層の上にデンドライトを含む第2めっき層を形成する工程と、を有してもよい。この場合、第1導電体層にデンドライトを含ませながら、第1導電体層の第2導電体層を覆う部分を厚く形成しやすい。第1導電体層の第2導電体層を覆う部分を厚く形成することで、第1導電体層を通じて第2導電体層へと安定して電位を付与しやすくなる。
【0025】
〔14〕 〔12〕において、前記第1導電体層を形成する工程は、電気めっき法により第2電流密度でデンドライトを含む第2めっき層を形成する工程と、電気めっき法により前記第2電流密度よりも低い第1電流密度で前記第2めっき層の上に第1めっき層を形成する工程と、を有してもよい。この場合も、第1導電体層にデンドライトを含ませながら、第1導電体層の第2導電体層を覆う部分を厚く形成しやすい。第1導電体層の第2導電体層を覆う部分を厚く形成することで、第1導電体層を通じて第2導電体層へと安定して電位を付与しやすくなる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0027】
(半導体装置の構成)
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図1に示すように、実施形態に係る半導体装置100は、主として、基板10と、ソース電極31と、ドレイン電極32と、ゲート電極33とを有する。
【0028】
基板10はエピタキシャル基板であり、炭化珪素(SiC)基板11と、半導体層12とを有する。半導体層12は炭化珪素基板11の上に設けられている。半導体層12は、例えばガリウム(Ga)を含む窒化物半導体層である。窒化物半導体層は、電子走行層(チャネル層)および電子供給層(バリア層)等の高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)101の一部を構成する。基板10は、第1主面1と、第1主面1とは反対の第2主面2とを有する。第1主面1は基板10の上面であり、第2主面2は基板10の下面である。炭化珪素基板11が第2主面2を構成し、半導体層12が第1主面1を構成する。
【0029】
ソース電極31、ドレイン電極32およびゲート電極33が半導体層12の上に設けられている。ソース電極31およびドレイン電極32は、例えば、順に積層された、タンタル(Ta)層と、アルミニウム(Al)層とを有する。ソース電極31およびドレイン電極32は半導体層12にオーミック接触する。ゲート電極33は、例えば、順に積層された、ニッケル(Ni)層と、パラジウム(Pd)層と、金(Au)層とを有する。ゲート電極33は半導体層12にショットキー接触する。
【0030】
ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極33および半導体層12を覆う絶縁膜41が設けられている。絶縁膜41は、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。
【0031】
基板10に、基板10を貫通するビアホール60が形成されている。ビアホール60は内壁面61を有する。ビアホール60はソース電極31に達する。ソース電極31は、ビアホール60に露出する第1面34を有する。第1面34はビアホール60の底面ともいえる。ソース電極31は第2導電体層の一例である。
【0032】
第1導電体層50は、めっき下地層51と、めっき層52とを有する。めっき下地層51は、基板10の第2主面2と、ビアホール60の内壁面61と、ビアホール60の第1面34とを直接覆う。めっき層52は、めっき下地層51を覆う。めっき下地層51は、例えば、順に積層されたニッケルクロム合金(NiCr)層と、金(Au)層とを有する。金層に代えて銅層が用いられてもよい。めっき層52はめっき下地層51を覆う。めっき層52の材料は、例えば金よりも安価な材料である。めっき層52は、例えば銅層である。めっき層52はデンドライトを含み、めっき層52の表面には大きな凹凸が存在する。
【0033】
ここで、第1導電体層50について詳細に説明する。図2は、基板10の第2主面2の概要を示す図である。図2に示すように、第2主面2の外形は、例えば長方形状である。第2主面2は、中央領域2Aと、周辺領域2Bとを有する。中央領域2Aは第2主面2の外形と相似の形状を有する。周辺領域2Bは、中央領域2Aの周辺に設けられ、一定の幅を有する。周辺領域2Bの幅は、例えば40μm以内である。周辺領域2Bの幅が40μmであってもよい。図1に示すように、第1導電体層50は、第1部分50Aと、第2部分50Bとを有する。第1部分50Aは第1面34を覆う。第2部分50Bは中央領域2Aにおいて第2主面2を覆う。
【0034】
第1部分50Aの平均厚さは、例えば0.2μm以上である。第1部分50Aの平均厚さとは、第1面34を基準とした第1導電体層50の厚さの平均値である。
【0035】
第2部分50Bの平均厚さは、第1部分50Aの平均厚さよりも大きく、例えば1.0μm以上である。第2部分50Bの平均厚さとは、第2主面2を基準とした第1導電体層50の厚さの平均値である。
【0036】
第2部分50Bの算術平均表面粗さRaは、例えば1.5μm以上である。また、第2部分50Bの算術平均表面粗さは、第1部分50Aの算術平均表面粗さRaよりも大きく、例えば5倍以上である。
【0037】
(半導体装置の使用例)
次に、実施形態に係る半導体装置100の使用例について説明する。図3は、実施形態に係る半導体装置100の使用例を示す断面図である。
【0038】
例えば、半導体装置100は、図3に示すように、実装基板70に実装されて使用される。実装基板70は、基部71と、基部71の上に設けられた第3導電体層72とを有する。第1導電体層50が接合材73により第3導電体層72に接合されている。接合材73は、例えば銀を含む。接合材73はビアホール60内にも存在する。接合材73は、第1導電体層50の第3導電体層72に対向する面と、第3導電体層72の第1導電体層50に対向する面とに接する。
【0039】
第3導電体層72には、接地電位等の電位が付与される。この電位は、接合材73および第1導電体層50を通じてソース電極31に付与される。従って、第3導電体層72の電位がソース電極31に付与される。
【0040】
本実施形態では、第1導電体層50が第2主面2を覆い、デンドライトを含む。このため、実装基板70に実装されたときに第1導電体層50と接合材73との間に大きな接触面積が得られる。従って、第1導電体層50から接合材73へと熱を伝達しやすい。このため、めっき層52に金よりも安価な材料、例えば銅を用いて材料コストを低減しても、放熱性の低下を抑制できる。
【0041】
また、第1導電体層50と接合材73との間に大きな接触面積が得られることで、第1導電体層50と実装基板70との間に優れた接合強度が得られる。すなわち、いわゆるアンカー効果が得られることで優れた接合強度が得られる。
【0042】
第1導電体層50がソース電極31の第1面34を直接覆うことで、第1導電体層50を通じてソース電極31へと電位を付与することができる。
【0043】
第1部分50Aの平均厚さが0.2μm以上であることで、第1導電体層50を通じてソース電極31へとより安定して電位を付与することができる。第1部分50Aの平均厚さは、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは1.0μm以上である。
【0044】
第2部分の平均厚さ50Bが第1部分50Aの平均厚さより大きいことで、ソース電極31への安定した電位の付与を実現しやすい。第1導電体層50を通じてソース電極31へと安定して電位を付与するためには、第1導電体層50の第2主面2を覆う部分が第1部分50Aよりも厚いことが好ましい。ただし、第1導電体層50の第2主面2を覆う部分が第1部分50Aよりも厚くても、第1導電体層50が周辺領域2Bでのみ厚く、中央領域2Aで薄い場合には、安定して電位を付与しにくくなるおそれがある。
【0045】
第2部分50Bの算術平均表面粗さRaが1.5μm以上であることで、放熱性の低下を抑制しやすく、また、第1導電体層50と実装基板70との間に優れた接合強度を得やすい。第2部分50Bの算術平均表面粗さRaは、好ましくは2.0μm以上であり、より好ましくは3.0μm以上である。
【0046】
第2部分50Bの算術平均表面粗さRaが第1部分50Aの算術平均表面粗さRaの5倍以上であることで、放熱性の低下を抑制しやすく、また、第1導電体層50と実装基板70との間に優れた接合強度を得やすい。第2部分50Bの算術平均表面粗さRaは第1部分50Aの算術平均表面粗さRaの、好ましくは7倍以上であり、より好ましくは10倍以上である。
【0047】
ソース電極31を備えたHEMT101が構成されていることで、ソース電極31には、第1導電体層50を通じて接地電位等の電位を付与できる。本実施形態では、ソース電極31が第2導電体層の一例であるが、ソース電極31が第2導電体層から離れて設けられ、ソース電極31が第2導電体層に電気的に接続されていてもよい。
【0048】
第1導電体層50が銅を含有することで、材料コストを低減しやすい。
【0049】
基板10が炭化珪素基板11および半導体層12を有することで、優れた耐圧を得やすい。例えば、半導体装置100を高耐圧が要求される用途に用いることができる。
【0050】
(半導体装置の製造方法の第1例)
次に、実施形態に係る半導体装置100の製造方法の第1例について説明する。図4から図10は、実施形態に係る半導体装置100の製造方法の第1例を示す断面図である。
【0051】
第1例では、まず、図4に示すように、例えば有機金属気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法により、炭化珪素基板11の上に半導体層12を形成する。この結果、エピタキシャル基板である基板10が得られる。
【0052】
次に、図5に示すように、ソース電極31、ドレイン電極32およびゲート電極33を半導体層12の上に形成する。
【0053】
次に、図6に示すように、ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極33および半導体層12を覆う絶縁膜41を形成する。
【0054】
次に、図7に示すように、基板10に、基板10を貫通するビアホール60を形成する。ビアホール60は内壁面61を有する。ビアホール60はソース電極31に達するように形成する。ソース電極31の第1面34がビアホール60に露出する。第1面34はビアホール60の底面ともいえる。
【0055】
次に、図8に示すように、基板10の第2主面2と、ビアホール60の内壁面61と、ビアホール60の第1面34とを覆うめっき下地層51を形成する。めっき下地層51の形成では、例えばスパッタ法により、ニッケルクロム合金層と、金層とをこの順で積層する。金層に代えて銅層を形成してもよい。
【0056】
次に、図9に示すように、電気めっき法により、めっき下地層51を覆う第1めっき層53を形成する。第1めっき層53は、その算術平均表面粗さRaが比較的小さくなる条件で形成する。第1めっき層53の材料は、例えば金よりも安価な材料である。第1めっき層53は、例えば銅層である。
【0057】
次に、図10に示すように、電気めっき法により、第1めっき層53の上に第2めっき層54を形成することで、第1めっき層53および第2めっき層54を含むめっき層52を形成する。第2めっき層54の材料は、例えば金よりも安価な材料である。第2めっき層54は、例えば銅層である。第2めっき層54はデンドライトを含むように形成する。第2めっき層54は、その算術平均表面粗さRaが第1めっき層53の算術平均表面粗さRaよりも大きくなる条件で形成する。例えば、第2めっき層54の形成時の第2電流密度を、第1めっき層53の形成時の第1電流密度よりも高くする。電気めっき法では、電流密度が高いほど、対極に近い部分でのめっき速度が高くなり、対極から遠い部分でのめっき速度が低くなる。このため、第2めっき層54の基板10の第2主面2を覆う部分上での局所的な析出が促進される一方で、ビアホール60の内側では析出が生じにくい。この結果、デンドライトを含む第2めっき層54を形成できる。
【0058】
このようにして、実施形態に係る半導体装置100を製造できる。
【0059】
第1例によれば、第1導電体層50にデンドライトを含ませながら、第1導電体層50の第1部分50Aを厚く形成しやすい。第1部分50Aを厚く形成することで、第1導電体層50を通じてソース電極31へと安定して電位を付与しやすくなる。
【0060】
(半導体装置の製造方法の第2例)
次に、実施形態に係る半導体装置100の製造方法の第2例について説明する。図11から図12は、実施形態に係る半導体装置100の製造方法の第2例を示す断面図である。
【0061】
第2例では、まず、第1例と同じ手順でめっき下地層51の形成までの処理を行う(図8参照)。次に、図11に示すように、電気めっき法により、めっき下地層51を覆う第2めっき層54を形成する。第2めっき層54の材料は、例えば金よりも安価な材料である。第2めっき層54は、例えば銅層である。第2めっき層54はデンドライトを含むように形成する。第2めっき層54は、その算術平均表面粗さRaが比較的大きくなる条件で形成する。
【0062】
次に、図12に示すように、電気めっき法により、第2めっき層54の上に第1めっき層53を形成することで、第1めっき層53および第2めっき層54を含むめっき層52を形成する。第1めっき層53の材料は、例えば金よりも安価な材料である。第1めっき層53は、例えば銅層である。第1めっき層53は、第1めっき層53自体の厚さのばらつきが第2めっき層54の厚さのばらつきよりも小さくなる条件で形成する。例えば、第1めっき層53の形成時の第1電流密度を、第2めっき層54の形成時の第2電流密度よりも低くする。
【0063】
このようにして、実施形態に係る半導体装置100を製造できる。
【0064】
第2例によっても、第1導電体層50にデンドライトを含ませながら、第1導電体層50の第1部分50Aを厚く形成しやすい。第1部分50Aを厚く形成することで、第1導電体層50を通じてソース電極31へと安定して電位を付与しやすくなる。
【0065】
なお、算術平均表面粗さは、原子間力顕微鏡(atomic force microscope:AFM)を用いて測定できる。
【0066】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1:第1主面
2:第2主面
2A:中央領域
2B:周辺領域
10:基板
11:炭化珪素基板
12:半導体層
31:ソース電極
32:ドレイン電極
33:ゲート電極
34:第1面
41:絶縁膜
50:第1導電体層
50A:第1部分
50B:第2部分
51:下地層
52:めっき層
53:第1めっき層
54:第2めっき層
60:ビアホール
61:内壁面
70:実装基板
71:基部
72:第3導電体層
73:接合材
100:半導体装置
101:高電子移動度トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図12