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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060312
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】電動把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20240424BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B25J15/00 B
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167616
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】林本 茂
(72)【発明者】
【氏名】葛 香澄
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET08
3C707EU08
3C707EU09
3C707EU13
3C707EV02
3C707EW07
3C707HS27
3C707KS16
3C707KV08
3C707KX07
3C707LV06
3C707MT06
(57)【要約】
【課題】好適にセルフロックできる電動把持装置を提供すること。
【解決手段】電動把持装置10は、コイルバネ23とフォロワ28の接触箇所と、コイルバネ23の第1端23aとの間でコイルバネ23を圧縮させることで一対の把持爪55によるワークWの把持を維持するセルフロックを可能とする。コイルバネ23とフォロワ28とが接触したときの摩擦係数をμとし、一対の把持爪55によってワークWを把持した場合にフォロワ28がコイルバネ23から受ける力の方向と、コイルバネ23とフォロワ28との接触箇所における垂直抗力の方向との間の角度をθとした場合に、電動把持装置10は、セルフロックの状態で、μ>tanθの関係式を満たすように構成されている。電動把持装置10では、接触箇所とコイルバネ23の第1端23aとの間でのコイルバネ23の圧縮に伴って、コイルバネ23を傾かせることにより角度θをゼロとする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸を有するモータと、
線材を螺旋状に巻いて形成され、前記モータ軸と一体に回転する回転部材に固定されたコイルバネと、
前記コイルバネの内側に配置され、前記コイルバネの中心軸線に沿う軸方向に移動する作動軸と、
前記作動軸の周面から突出するフォロワであって、前記フォロワの中心軸線を前記作動軸の中心軸線に対し交差させて設けられるとともに、前記フォロワの中心軸線を回転中心として回転可能に前記作動軸に支持され、前記軸方向に隣り合う前記線材の隙間に前記作動軸の周面からの突出部が配置された前記フォロワと、
前記作動軸の端部に連結される把持爪開閉機構であって、前記軸方向への前記作動軸の移動により一対の把持爪を開閉させ、かつ前記作動軸の中心軸線を回転中心とした前記作動軸の回転を規制する前記把持爪開閉機構と、
前記モータを制御する制御装置と、を有し、
前記コイルバネと前記フォロワとの接触箇所と、前記コイルバネと前記回転部材との固定端との間で前記コイルバネを圧縮させることで、前記一対の把持爪によるワークの把持を維持するセルフロックを可能とし、
前記コイルバネと前記フォロワとが接触したときの摩擦係数をμとし、前記一対の把持爪によって前記ワークを把持した場合に前記フォロワが前記コイルバネから受ける力の方向と、前記接触箇所における垂直抗力の方向との間の角度をθとした場合に、前記セルフロックの状態で、μ>tanθの関係式を満たすように構成されるとともに、前記接触箇所と前記固定端との間での前記コイルバネの圧縮に伴って、前記コイルバネを傾かせることにより前記角度θをゼロとすることを特徴とする電動把持装置。
【請求項2】
前記作動軸は、前記フォロワを回転可能に支持するベアリングを有する請求項1に記載の電動把持装置。
【請求項3】
前記回転部材は、前記コイルバネを外側から囲む円筒状の保護部材であり、
前記保護部材の第1端部には、前記コイルバネの第1端が前記固定端として固定されるとともに、前記コイルバネの第2端は自由端とされ、
前記保護部材の第2端部における内側には取付部材が固定されるとともに、前記取付部材には前記モータ軸が連結されている請求項1又は請求項2に記載の電動把持装置。
【請求項4】
前記作動軸は、前記フォロワを支持する作動軸本体と、前記把持爪開閉機構と連結されるロッドとを連結して形成され、
前記取付部材と、前記保護部材と、前記コイルバネと、前記作動軸本体とを一体化したユニット部を有する請求項3に記載の電動把持装置。
【請求項5】
前記作動軸には支持部材が固定され、当該支持部材は、前記保護部材の内周面に摺接する請求項3に記載の電動把持装置。
【請求項6】
前記コイルバネは、前記保護部材と前記支持部材との間で前記軸方向に圧縮されている請求項5に記載の電動把持装置。
【請求項7】
前記制御装置には、前記モータを作動させるドライバが信号接続されるとともに、前記軸方向での前記作動軸の位置を検出する位置検出センサが信号接続され、前記位置検出センサは、前記一対の把持爪による前記ワークの把持を開始する時点で、前記軸方向での前記作動軸の位置を検出した旨の把持開始信号を前記制御装置に出力し、前記制御装置は、前記把持開始信号を入力すると前記一対の把持爪による前記ワークの把持力を高めるために前記ドライバを制御する請求項1又は請求項2に記載の電動把持装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記把持開始信号を入力すると前記モータを減速させつつ、予め決められた回転量で前記モータが作動した後、前記モータを停止させるべく前記ドライバを制御する請求項7に記載の電動把持装置。
【請求項9】
前記制御装置には、前記モータを減速させる際の回転速度を複数の減速加速度に調節する減速加速度設定部が信号接続されている請求項8に記載の電動把持装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記モータが停止した時点で、前記軸方向での前記作動軸の位置を検出した旨の信号が入力されていない場合、前記ワークが無いことを示すエラー信号を出力する請求項8に記載の電動把持装置。
【請求項11】
前記一対の把持爪の開度を調節するために前記モータ軸を手動で回転させる把持爪操作部を備える請求項1又は請求項2に記載の電動把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図15に示すように、例えば特許文献1に開示の電動ハンド90は、第1のフィンガー91と、第2のフィンガー92と、ハウジング93と、ナット94と、駆動軸95と、第1の揺動アーム96と、第2の揺動アーム97と、ばね部材98と、電動モータ99と、を有する。
【0003】
ハウジング93には、ガイドレール93aが設けられている。ガイドレール93aは、第1のフィンガー91及び第2のフィンガー92の各々を案内する。ナット94は、ハウジング93に設けられた摺動孔93bに往復動自在に収容されている。ナット94の外周面と摺動孔93bの内周面には、互いに対向する平面部が形成されている。これら平面部は、ナット94の回り止め機構となっているとともに、送りナット機構を構成している。ナット94に設けられた雌ねじ部94aは、電動モータ99により回転されるねじ軸99aの雄ねじ部99bに結合されている。駆動軸95は、ナット94に設けられたガイド孔94bに軸方向に往復動自在に収容されている。
【0004】
駆動軸95は、ナット94とともにばね室100を形成している。第1の揺動アーム96は、ハウジング93内に揺動自在に支持されている。第1の揺動アーム96は、一端が駆動軸95に係合するとともに、他端が第1のフィンガー91に係合している。第2の揺動アーム97は、ハウジング93内に揺動自在に支持されている。第2の揺動アーム97は、一端が駆動軸95に係合するとともに、他端が第2のフィンガー92に係合している。
【0005】
ばね部材98は、ばね室100に収容されている。ばね部材98は、第1及び第2のフィンガー91,92の各々がワークに接触するまでは駆動軸95をナット94とともに駆動する。ばね部材98は、第1及び第2のフィンガー91,92の各々がワークを把持するときには弾性変形して第1及び第2のフィンガー91,92を付勢する。ワークは、付勢された第1のフィンガー91と第2のフィンガー92により把持されるため、電動モータ99を停止させた状態で、ワークを第1のフィンガー91と第2のフィンガー92により把持して搬送することができる。つまり、雄ねじ部99bと雌ねじ部94aとは、第1のフィンガー91と第2のフィンガー92とでワークを把持した場合にセルフロックを構成する。セルフロックにより、ワークから第1のフィンガー91と第2のフィンガー92が受ける反力によっては駆動軸95の位置が変化しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6277119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の電動ハンド90において、例えば、ワークを把持した際に受ける衝撃力によって、雄ねじ部99bと雌ねじ部94aとの接触箇所にかじり等が生じる場合がある。このようなかじり等によって、セルフロック時、雄ねじ部99bと雌ねじ部94aとの接触箇所に発生する摩擦係数が変化する。摩擦係数が変化すると、セルフロックが維持しにくくなる場合が生じるとともに、摩擦係数の変化によってセルフロックを解除できなくなる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための電動把持装置は、モータ軸を有するモータと、線材を螺旋状に巻いて形成され、前記モータ軸と一体に回転する回転部材に固定されたコイルバネと、前記コイルバネの内側に配置され、前記コイルバネの中心軸線に沿う軸方向に移動する作動軸と、前記作動軸の周面から突出するフォロワであって、前記フォロワの中心軸線を前記作動軸の中心軸線に対し交差させて設けられるとともに、前記フォロワの中心軸線を回転中心として回転可能に前記作動軸に支持され、前記軸方向に隣り合う前記線材の隙間に前記作動軸の周面からの突出部が配置された前記フォロワと、前記作動軸の端部に連結される把持爪開閉機構であって、前記軸方向への前記作動軸の移動により一対の把持爪を開閉させ、かつ前記作動軸の中心軸線を回転中心とした前記作動軸の回転を規制する前記把持爪開閉機構と、前記モータを制御する制御装置と、を有し、前記コイルバネと前記フォロワとの接触箇所と、前記コイルバネと前記回転部材との固定端との間で前記コイルバネを圧縮させることで、前記一対の把持爪によるワークの把持を維持するセルフロックを可能とし、前記コイルバネと前記フォロワとが接触したときの摩擦係数をμとし、前記一対の把持爪によって前記ワークを把持した場合に前記フォロワが前記コイルバネから受ける力の方向と、前記接触箇所における垂直抗力の方向との間の角度をθとした場合に、前記セルフロックの状態で、μ>tanθの関係式を満たすように構成されるとともに、前記接触箇所と前記固定端との間での前記コイルバネの圧縮に伴って、前記コイルバネを傾かせることにより前記角度θをゼロとすることを要旨とする。
【0009】
電動把持装置について、前記作動軸は、前記フォロワを回転可能に支持するベアリングを有していてもよい。
電動把持装置について、前記回転部材は、前記コイルバネを外側から囲む円筒状の保護部材であり、前記保護部材の第1端部には、前記コイルバネの第1端が前記固定端として固定されるとともに、前記コイルバネの第2端は自由端とされ、前記保護部材の第2端部における内側には取付部材が固定されるとともに、前記取付部材には前記モータ軸が連結されていてもよい。
【0010】
電動把持装置について、前記作動軸は、前記フォロワを支持する作動軸本体と、前記把持爪開閉機構と連結されるロッドとを連結して形成され、前記取付部材と、前記保護部材と、前記コイルバネと、前記作動軸本体とを一体化したユニット部を有していてもよい。
【0011】
電動把持装置について、前記作動軸には支持部材が固定され、当該支持部材は、前記保護部材の内周面に摺接してもよい。
電動把持装置について、前記コイルバネは、前記保護部材と前記支持部材との間で前記軸方向に圧縮されていてもよい。
【0012】
電動把持装置について、前記制御装置には、前記モータを作動させるドライバが信号接続されるとともに、前記軸方向での前記作動軸の位置を検出する位置検出センサが信号接続され、前記位置検出センサは、前記一対の把持爪による前記ワークの把持を開始する時点で、前記軸方向での前記作動軸の位置を検出した旨の把持開始信号を前記制御装置に出力し、前記制御装置は、前記把持開始信号を入力すると前記一対の把持爪による前記ワークの把持力を高めるために前記ドライバを制御してもよい。
【0013】
電動把持装置について、前記制御装置は、前記把持開始信号を入力すると前記モータを減速させつつ、予め決められた回転量で前記モータが作動した後、前記モータを停止させるべく前記ドライバを制御してもよい。
【0014】
電動把持装置について、前記制御装置には、前記モータを減速させる際の回転速度を複数の減速加速度に調節する減速加速度設定部が信号接続されていてもよい。
電動把持装置について、前記制御装置は、前記モータが停止した時点で、前記軸方向での前記作動軸の位置を検出した旨の信号が入力されていない場合、前記ワークが無いことを示すエラー信号を出力してもよい。
【0015】
電動把持装置について、前記一対の把持爪の開度を調節するために前記モータ軸を手動で回転させる把持爪操作部を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、好適にセルフロックできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の電動把持装置を示す断面図。
図2】実施形態の電動把持装置を示す斜視図。
図3】初期位置でのフォロワとコイルバネとを示す部分拡大正面図。
図4】フォロワ及びベアリングを示す拡大断面図。
図5】把持爪開閉機構付近を示す部分断面図。
図6】ユニット部を示す断面図。
図7】把持開始位置での電動把持装置を示す断面図。
図8】把持位置での電動把持装置を示す断面図。
図9】電動把持装置の動作を説明する図。
図10】把持位置でのフォロワとコイルバネとを示す部分拡大正面図。
図11】内側把持用のユニット部を示す図。
図12】別例のユニット部を示す図。
図13】コイルバネを圧縮して収容したユニット部を示す図。
図14】支持部材を有する電動把持装置を示す断面図。
図15】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、電動把持装置を具体化した一実施形態を図1図10にしたがって説明する。
<電動把持装置の全体>
図1及び図2に示すように、電動把持装置10は、ボディ11と、モータ14と、ロッドガイド15と、第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bと、駆動機構20と、把持爪開閉機構50と、制御装置60と、ドライバ61と、減速加速度設定部63と、を有する。
【0019】
ボディ11は、略矩形ブロック状である。ボディ11は、ボディ本体11aと、ボディ本体11aから延出する一対の延出壁11bと、ガイドプレート52と、を有する。ボディ本体11aの中心軸線L1の延びる方向を軸方向Zとする。ボディ11を軸方向Zから見た平面視において、ボディ11の軸方向Zに直交する一つの方向を第1方向Xとする。また、ボディ11を軸方向Zから見た平面視において、ボディ11の軸方向Z、及び第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとする。
【0020】
ボディ本体11aには軸孔12が形成されている。軸孔12は、軸方向Zにボディ本体11aを貫通する円形の孔である。一対の延出壁11bの各々は、ボディ本体11aから軸方向Zに延出する。一対の延出壁11bは、第1方向Xに離れて対向する。一対の延出壁11bの間には、空間Sが画定されている。軸孔12の軸方向Zの第1端は、空間Sに開口するとともに、軸孔12の軸方向Zの第2端は、モータ14によって閉じられている。各延出壁11bにおける軸方向Zの先端には、ガイドプレート52が連結されている。空間Sは、ガイドプレート52によって延出壁11bの先端側から閉じられている。空間Sは、ボディ11における第2方向Yの両端に開口する。
【0021】
ボディ本体11aにおけるモータ14側の端部には、工具孔11dが形成されている。工具孔11dの第1端は、ボディ本体11aの外面のうちの第2方向Yの片方の端面に開口するとともに、工具孔11dの第2端は、軸孔12に開口する。工具孔11dは、工具の先端側を挿入できる孔である。工具孔11dの一部は、雌ねじである。工具孔11dの雌ねじには、閉鎖部材17が螺合されている。
【0022】
ロッドガイド15は、ボディ本体11aの内部における延出壁11b側に取り付けられている。ロッドガイド15は、環状である。ロッドガイド15は、軸孔12内に配置されている。ボディ本体11aの外面のうちの第2方向Yの両端面には取付溝11cが形成されている。取付溝11cの長手は、軸方向Zに延びる。
【0023】
第1位置検出センサ16aは、一対の取付溝11cの一方に挿入されているとともに、第2位置検出センサ16bは、一対の取付溝11cの他方に挿入されている。第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bはボディ11に取り付けられている。第1位置検出センサ16aの側面及び第2位置検出センサ16bの側面の各々は、取付溝11cから露出している。したがって、電動把持装置10を第2方向Yに見た側面視では、第1位置検出センサ16a又は第2位置検出センサ16bを視認できる。第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bの各々は、取付溝11cでの取付位置を軸方向Zに沿って変更可能である。第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bの機能は、後に説明する。
【0024】
モータ14は、ボディ本体11aにおける延出壁11bと反対側の端面に連結されている。モータ14は、ステッピングモータである。モータ14は、モータ軸14aを有する。モータ軸14aは、軸孔12内に挿入されている。
【0025】
モータ14には、モータ14を作動させるドライバ61が信号接続されている。ドライバ61には制御装置60が信号接続されている。制御装置60はパルス信号を生成したり、パルス信号の生成を停止したりする。制御装置60によって生成されたパルス信号に応じて、ドライバ61は、パルス信号に応じたモータ電流をモータ14に流す。すると、モータ14は作動する。モータ14は、正方向への回転と、逆方向への回転とに切り替え可能である。
【0026】
モータ14は、把持爪操作部14bを有する。把持爪操作部14bは、モータ14の外面から突出する。把持爪操作部14bは、モータ軸14aに連結されている。把持爪操作部14bを正方向又は逆方向に回転させると、モータ軸14aを手動で正方向又は逆方向へ回転させることができる。したがって、電動把持装置10は、モータ軸14aを手動で回転させる把持爪操作部14bを備える。把持爪操作部14bには操作部材14cが装着されているが、操作部材14cは無くてもよい。
【0027】
図1図7及び図8に示すように、駆動機構20は、取付部材21と、保護部材22と、コイルバネ23と、作動軸24と、フォロワ28と、を有する。
取付部材21は、円筒状である。取付部材21には、連結孔21aが形成されている。連結孔21aの第1端は、取付部材21の外周面に開口する。連結孔21aの第2端は、取付部材21の内周面に開口する。連結孔21aは雌ねじ孔である。連結孔21aには、連結部材18が螺合されている。連結孔21aに螺合された連結部材18は、モータ軸14aを取付部材21の内周面に押し付けている。これにより、取付部材21は、モータ軸14aに連結されている。取付部材21は、モータ軸14aと一体に回転する。取付部材21は、軸孔12内に配置されている。取付部材21の外径は軸孔12の孔径より小さい。
【0028】
保護部材22は、円筒状である。保護部材22の中心軸線L2の延びる方向は、ボディ11の軸方向Zと一致する。このため、保護部材22の中心軸線L2の延びる方向も軸方向Zとする。保護部材22の軸方向Zへの寸法は、ボディ本体11aの軸方向Zへの寸法より小さい。詳細には、保護部材22の軸方向Zへの寸法は、ボディ本体11aの軸方向Zへの寸法の半分より若干大きい。
【0029】
保護部材22の内側にはコイルバネ23が配置されている。つまり、保護部材22は、コイルバネ23を外側から囲む。保護部材22の軸方向Zの第1端部22aは、コイルバネ23を取り付けるための端部である。保護部材22の第2端部22bにおける内側には、取付部材21が固定されている。保護部材22は、取付部材21からロッドガイド15に向けて円筒状に延びる。保護部材22は、取付部材21と一体に回転する。したがって、保護部材22は、モータ軸14aと一体に回転する回転部材である。また、保護部材22は、コイルバネ23をモータ軸14aの反対側に位置決めし、かつ当該反対側からモータ軸14aの回転をコイルバネ23に伝達する伝達部材である。保護部材22の軸方向Zの第1端部22aは、ロッドガイド15から軸方向Zに沿ってモータ14側に離れている。
【0030】
保護部材22の第1端部22a側の端面と、ロッドガイド15の保護部材22側の端面と、ボディ本体11aの内周面との間には、磁石配置空間S1が画定されている。磁石配置空間S1は、保護部材22の径方向において第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bの内側に配置されている。
【0031】
保護部材22の内径のうち、第1端部22aでの内径は、第1端部22a以外での内径より小さい。保護部材22の外径は、軸方向Zに一定である。保護部材22の外径は、軸孔12の孔径より小さい。保護部材22の外周面と、軸孔12を画定したボディ本体11aの内周面との間には、クリアランスがある。
【0032】
図3及び図4に示すように、コイルバネ23は、中心軸線L3を中心に金属製の線材23cを螺旋状に巻いて形成されている。コイルバネ23の非圧縮状態では、コイルバネ23の中心軸線L3の延びる方向は、ボディ11及び保護部材22の軸方向Zと一致する。コイルバネ23の中心軸線L3の延びる方向も軸方向Zとする。
【0033】
コイルバネ23は、非圧縮状態で一定のピッチPを有するように線材23cを巻いて形成されている。ピッチPは、軸方向Zに隣り合う線材23cの間隔の大きさである。コイルバネ23の非圧縮状態では、ピッチPは軸方向Zのいずれの位置でも一定である。コイルバネ23の非圧縮状態では、任意の位置で、線材23cは、コイルバネ23の中心軸線L3に対し一定の角度で傾斜している。コイルバネ23が軸方向Zに圧縮されると、線材23cの間隔が狭くなって線材23cは軸方向Zに近づくため、ピッチPが狭くなる。コイルバネ23が軸方向Zに圧縮されるほど、ピッチPが狭くなるため、角度はゼロに近づいていく。
【0034】
図1図7及び図8に示すように、コイルバネ23の軸方向Zの第1端23aは、保護部材22の第1端部22aに固定されている。言い換えると、保護部材22の第1端部22aには、コイルバネ23の第1端23aが固定端として固定されている。コイルバネ23の軸方向Zの第2端23bは、自由端となっている。つまり、コイルバネ23の第2端23bは、固定されていない。保護部材22は、コイルバネ23を外側から囲む。コイルバネ23は、保護部材22と一体に回転する。したがって、モータ14によってモータ軸14aが回転すると、取付部材21及び保護部材22を介して、コイルバネ23がモータ軸14aの回転と一体に同じ方向に回転する。
【0035】
コイルバネ23は、第1端部22aを除いて保護部材22の内周面から離れているため、コイルバネ23は、軸方向Zへの圧縮に伴って、中心軸線L3に対する傾きが可能である。ただし、傾いたコイルバネ23が保護部材22の内周面に接触すると、コイルバネ23の傾きは規制される。
【0036】
作動軸24は、円柱状である。作動軸24は、コイルバネ23の内側に配置されている。作動軸24の中心軸線L4の延びる方向は、ボディ11、取付部材21、保護部材22及びコイルバネ23の軸方向Zと一致する。このため、作動軸24の中心軸線L4の延びる方向も軸方向Zとする。作動軸24は、作動軸本体25と、ロッド26と、を連結して形成されている。
【0037】
作動軸本体25は、軸方向Zの一端面に第1端面25aを有するとともに、軸方向Zの他端面に第2端面25bを有する。作動軸本体25の第1端面25aは、軸方向Zにおけるロッドガイド15側に配置されるとともに、第2端面25bは、軸方向Zにおけるモータ14側に配置されている。
【0038】
作動軸本体25は、第1端面25aから凹む雌ねじ25cを有する。また、作動軸本体25には、取着孔25dが形成されている。取着孔25dは、作動軸本体25の軸方向Zの中央よりも第2端面25b寄りに設けられている。取着孔25dは、作動軸本体25を径方向に貫通する。
【0039】
図4に示すように、作動軸本体25には、ベアリング27が設けられている。ベアリング27は、玉軸受けである。ベアリング27は、取着孔25dに取着されている。したがって、ベアリング27は、作動軸24に設けられている。ベアリング27は、外輪27aと、内輪27bと、複数の玉27cと、を有する。外輪27aは、取着孔25dを画定した作動軸本体25の内周面に取り付けられている。外輪27aは、回転不能である。内輪27bは、外輪27aの内周側に位置している。複数の玉27cは、外輪27aの内周面と内輪27bの外周面との間で転動する。内輪27bは、外輪27aに対し回転可能である。
【0040】
フォロワ28は、軸部28aと、頭部28bと、を有する。軸部28aは、内輪27bに取り付けられている。フォロワ28は内輪27bと一体に回転する。頭部28bは、円盤状である。頭部28bは、作動軸24の周面から突出する。したがって、頭部28bは、作動軸24の周面から突出する突出部である。頭部28bの周面には、環状溝28cが形成されている。環状溝28cにはコイルバネ23の線材23cが対向している。フォロワ28は、ベアリング27によって回転可能に作動軸24に支持されている。言い換えると、作動軸24は、フォロワ28を回転可能に支持するベアリング27を有する。
【0041】
フォロワ28は、中心軸線Mを回転中心として回転する。フォロワ28の中心軸線Mは、作動軸24の中心軸線L4に直交する。フォロワ28の中心軸線Mは、作動軸24の径方向に延びる。したがって、フォロワ28は、フォロワ28の中心軸線Mを作動軸24の中心軸線L4に対し交差させて設けられるとともに、フォロワ28の中心軸線Mを回転中心として回転可能に作動軸24に支持されている。フォロワ28の頭部28bは、作動軸24の周面から、作動軸24の径方向に突出している。
【0042】
頭部28bにおける環状溝28cでの直径は、非圧縮状態でのコイルバネ23において、軸方向Zに隣り合う線材23c間の隙間より小さい。頭部28bは、軸方向Zに隣り合う線材23c間の隙間に配置されている。したがって、フォロワ28における作動軸24の周面からの突出部が、軸方向Zに隣り合う線材23c間の隙間に配置されている。頭部28bの環状溝28cには線材23cの一部が入り込んでいる。
【0043】
図6に示すように、駆動機構20は、ユニット部201を含む。ユニット部201は、取付部材21と、保護部材22と、コイルバネ23と、作動軸24の作動軸本体25とが予め一体化されて形成されている。作動軸本体25には、ベアリング27及びフォロワ28が予め一体化されている。したがって、電動把持装置10は、上記ユニット部201を有する。ユニット部201の外形形状は、ほぼ保護部材22によって形成されている。ユニット部201の外形形状は、円柱状である。そして、ユニット部201は、ボディ11の軸孔12に挿入されている。ユニット部201は、取付部材21を連結部材18によってモータ軸14aに連結することで、モータ軸14aに一体化されている。これにより、ユニット部201がボディ11に一体化されるとともに、軸孔12内で回転可能になっている。
【0044】
図1図7及び図8に示すように、ロッド26は、第1ロッド部31と、第2ロッド部32と、一対の軸支部33と、を有する。第1ロッド部31と、第2ロッド部32と、一対の軸支部33とは、上記順序で軸方向Zに並んでいる。第1ロッド部31は、第2ロッド部32より小径である。第1ロッド部31は、モータ14側に位置するとともに、一対の軸支部33はロッドガイド15側に位置する。第1ロッド部31は、先端部に雄ねじ31aを有する。雄ねじ31aは、作動軸本体25の雌ねじ25cに螺合されている。雄ねじ31aと雌ねじ25cの螺合により、作動軸本体25とロッド26が一体化されるとともに、作動軸24が形成されている。
【0045】
第1ロッド部31のうち、雄ねじ31a以外の部分には、磁石ホルダ34が装着されている。磁石ホルダ34は、環状である。磁石ホルダ34は、磁石35を保持している。磁石35は環状である。磁石35は、ロッド26を囲む。磁石35は、磁石配置空間S1に配置されている。そして、磁石35は、磁石配置空間S1にて、作動軸24と一体に軸方向Zへ移動する。
【0046】
磁石配置空間S1で磁石35から発生する磁気は、第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bによって検出される。なお、第1位置検出センサ16aによって検出できる磁石35の位置と、第2位置検出センサ16bによって検出できる磁石35の位置とは、軸方向Zにずれている。また、第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bによって磁石35の磁気を検出できるように、軸方向Zでの第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bの位置が調節されている。
【0047】
軸方向Zにおける磁石ホルダ34の両面のうち、第2ロッド部32側の面には、クッションゴム37が装着されている。作動軸24は、クッションゴム37がロッドガイド15に接触するまで、ロッドガイド15に向けて移動できる。一方、作動軸24は、磁石ホルダ34が保護部材22の第1端部22a側の端面に接触するまでモータ14に向けて移動できる。
【0048】
第2ロッド部32は、ロッドガイド15に挿通されている。ロッドガイド15は、第2ロッド部32、ひいては作動軸24の軸方向Zへの移動を案内する。第2ロッド部32のうち、軸支部33寄りの一部分は、軸孔12から突出して空間Sに位置している。
【0049】
図5に示すように、一対の軸支部33は、第2ロッド部32から軸方向Zに突出する。一対の軸支部33は、第1方向Xに間隔を空けて対向している。一対の軸支部33には、回動軸36が取り付けられている。
【0050】
図1及び図5に示すように、把持爪開閉機構50は、回動軸36と、一対のマスタージョウ51と、一対のレバー53と、一対の支持軸54と、を有している。把持爪開閉機構50は、一対の把持爪55を開閉させる。把持爪開閉機構50は、作動軸24の端部となる軸支部33に回動軸36を介して連結されている。
【0051】
上記のユニット部201は、軸孔12に回転可能に挿入されている。このため、ユニット部201が含む作動軸24について、当該作動軸24の回り止め機構はユニット部201に内蔵されていない。一方、把持爪開閉機構50は、一対の支持軸54によって支持された各レバー53を、作動軸24の一対の軸支部33に挟んで保持することにより、作動軸24の回り止め機構として作用している。
【0052】
ボディ11の一部であるガイドプレート52には、ガイド凹部52aと、一対のレバー用貫通孔52bとが形成されている。ガイド凹部52aは、ガイドプレート52における一対の延出壁11bとの連結面とは反対側の端面に形成されている。ガイド凹部52aは、ガイドプレート52の第2方向Yの全体に亘って延びる。一対のレバー用貫通孔52bは、ガイドプレート52の第2方向Yの中央部を挟んだ両側に設けられている。一対のレバー用貫通孔52bの各々は、ガイドプレート52を板厚方向に貫通する。一対のレバー用貫通孔52bは、ガイド凹部52aに開口している。一対のレバー用貫通孔52bは、ガイド凹部52aに沿って形成されている。なお、ガイドプレート52の板厚方向は軸方向Zと一致する。
【0053】
一対のマスタージョウ51の各々の外面と、ガイド凹部52aを画定したガイドプレート52の内面との間には、ボール52cが介在している。一対のマスタージョウ51の各々は、ボール52cを介してガイドプレート52に連結されている。一対のマスタージョウ51の各々は、ボール52cの転動によって、第2方向Yへ移動可能に支持されている。
【0054】
一対のレバー53の各々は、略L字板状である。各レバー53の一部は、空間Sに配置されている。各レバー53の第1端部には、U字形状の掛止溝53aが形成されている。各レバー53の第1端部は、一対の軸支部33の間に配置されている。各掛止溝53aには、回動軸36が挿通されている。また、各レバー53のL字の屈曲部分には、支持軸54が貫通している。各支持軸54は、一対の延出壁11bに架け渡されている。各レバー53は、支持軸54によって揺動可能に支持されている。
【0055】
各レバー53の第2端部側は、各レバー用貫通孔52bに挿通されるとともに、ガイドプレート52における一対の延出壁11bとは反対側の端面から突出している。各レバー53の第2端部には、係合子53bが設けられている。各レバー53の係合子53bは、各マスタージョウ51に連結されている。係合子53bとマスタージョウ51との連結によって、レバー53の第2端部にマスタージョウ51が連結されている。把持爪55は、マスタージョウ51に連結されている。一対の把持爪55の各々は、矩形板状である。把持爪55は、マスタージョウ51における第2方向Yの外側面に連結されている。把持爪55は、軸方向Zにおいて、マスタージョウ51からボディ11と反対側へ突出する。
【0056】
ここで、電動把持装置10の組み付け方法を説明する。
まず、把持爪開閉機構50にロッド26が組み付けられた状態で、その把持爪開閉機構50がガイドプレート52に組み付けられる。このため、ボディ11と、把持爪開閉機構50と、ロッド26とが一体に組み付けられている。
【0057】
そして、ユニット部201の作動軸本体25の雌ねじ25cと、ロッド26の雄ねじ31aとを螺合させる。すると、ボディ11と、把持爪開閉機構50と、駆動機構20とが一体に組み付けられる。次に、モータ14をボディ本体11aに取り付ける。このとき、モータ軸14aを、取付部材21に挿通する。次に、閉鎖部材17を工具孔11dから取り外して、工具孔11dをボディ本体11aの端面に開口させる。なお、電動把持装置10を組み付ける前に、工具孔11dから閉鎖部材17を取り外しておいてもよい。
【0058】
そして、連結孔21aに連結部材18を挿入するとともに、工具孔11dに挿入した工具によって連結部材18を操作して、連結部材18を連結孔21aに螺合する。その結果、連結部材18によってモータ軸14aと取付部材21とが連結される。すると、ボディ11と、モータ14と、把持爪開閉機構50と、ユニット部201とが一体化されて電動把持装置10が形成される。
【0059】
逆に、連結部材18を連結孔21aから螺退させた後、取付部材21とモータ軸14aとの連結を解除することで、取付部材21と、保護部材22と、コイルバネ23と、作動軸本体25と、ベアリング27と、フォロワ28とを一括してモータ14から取り外すことができる。
【0060】
電動把持装置10において、ロッド26は、ユニット部201の作動軸本体25に連結されている。ロッド26の軸支部33には、回動軸36によって一対のレバー53の第1端部が連結されるとともに、各レバー53の第2端部には係合子53bによってマスタージョウ51が連結されている。ユニット部201の作動軸本体25にロッド26が連結されることにより、作動軸24と把持爪開閉機構50が一体化されている。したがって、作動軸24は、フォロワ28の軸部28aを支持する作動軸本体25と、把持爪開閉機構50と連結されるロッド26とを連結して形成されている。
【0061】
<電動把持装置の動作>
電動把持装置10において、モータ14が正方向又は逆方向に回転すると、モータ軸14aと一体に取付部材21及び保護部材22が正方向又は逆方向に回転する。同時に、コイルバネ23が正方向又は逆方向に回転する。コイルバネ23の回転に伴い、コイルバネ23の螺旋によってフォロワ28を介して作動軸24が、モータ14側又はロッドガイド15側に送り出される。なお、フォロワ28は、コイルバネ23との接触によって中心軸線Mを回転中心として回転する。フォロワ28は、ベアリング27によって円滑に回転するとともに、フォロワ28の周方向への回転は規制される。
【0062】
コイルバネ23とフォロワ28との接触により、作動軸24が周方向へ回転しようとする。このとき、上記したように、把持爪開閉機構50による回り止め機構により、作動軸24の周方向への回転が規制される。つまり、把持爪開閉機構50は、作動軸24の中心軸線L4を回転中心とした回転を規制する。
【0063】
作動軸24は、コイルバネ23の中心軸線L3に沿う軸方向Zに移動する。つまり、作動軸24は、軸方向Zに沿ってモータ14又はロッドガイド15に近付くように軸方向Zへ直線移動する。軸方向Zへの作動軸24の移動に伴い、一対のレバー53は、回動軸36からの力を受けて、支持軸54を揺動中心として揺動する。このとき、一対のレバー53は、レバー用貫通孔52bによって第2方向Yへ揺動する。一対のレバー53の揺動に伴って、マスタージョウ51がガイド凹部52aに沿って第2方向Yに移動するとともに、マスタージョウ51に連結された把持爪55が第2方向Yに移動する。つまり、把持爪開閉機構50は、軸方向Zへの作動軸24の移動により、一対の把持爪55を開閉させる。
【0064】
図1に示すように、電動把持装置10において、一対の把持爪55が第2方向Yに最も離れた位置を初期位置P1とする。初期位置P1では、クッションゴム37がロッドガイド15に接触している。
【0065】
電動把持装置10が初期位置P1にあるとき、モータ14が正方向に回転すると、モータ軸14aと一体に取付部材21及び保護部材22が正方向に回転する。同時に、コイルバネ23が正方向に回転する。コイルバネ23の正方向への回転に伴い、作動軸24が、モータ14に向けて送り出される。把持爪55がワークWに接触する前の状態では、一対のレバー53は、一対のマスタージョウ51を互いに近付ける方向に揺動するとともに、一対の把持爪55は互いに近付く。つまり、一対の把持爪55の開度が小さくなる。そして、一対の把持爪55がワークWに接触すると、一対のレバー53の揺動が停止する。一対の把持爪55がワークWに接触した位置を把持開始位置P2とする。ワークWが配置されていない場合は、一対の把持爪55は、把持開始位置P2で停止せずに、さらに近付いて開度を小さくする。
【0066】
図7に示すように、把持開始位置P2で一対の把持爪55がワークWに接触して一対のレバー53の揺動が停止した状態で、モータ14の正方向へ回転が継続されると、軸方向Zに作動軸24は移動しない。つまり、軸方向Zにフォロワ28は移動しない。その一方で、コイルバネ23は正方向へ回転する。
【0067】
このため、図8に示すように、コイルバネ23は、頭部28bとの接触箇所と、コイルバネ23と保護部材22との固定端である第1端23aとの間に入り込んでいく。その結果、コイルバネ23は、頭部28bとコイルバネ23との接触箇所と、第1端23aとの間で圧縮されていく。コイルバネ23の圧縮に伴い、作動軸24には、フォロワ28を介してモータ14に近付く方向への力が付与される。この力により、一対のレバー53は互いに近付く方向への力が付与されるため、一対の把持爪55にはワークWに近付く方向への力が付与される。その結果、一対の把持爪55は、ワークWを所定の把持力で把持する。所定の把持力でワークWを把持する位置を把持位置P3とする。
【0068】
所定の把持力とは、一対の把持爪55によってワークWを把持した状態で、電動把持装置10ごとワークWを移動させた際、一対の把持爪55の間からワークWを離脱させることなく搬送できる力である。このような所定の把持力は、一対の把持爪55によってワークWを把持した状態で電動把持装置10ごとワークWを移動させる検証を行って設定される。
【0069】
把持力は、軸方向Zへのコイルバネ23の圧縮変位量によって設定できる。軸方向Zへのコイルバネ23の圧縮変位量が多いほど、把持力は大きくなる。軸方向Zにコイルバネ23を最大量で圧縮したとき、把持力は最大となる。コイルバネ23の圧縮変位量は、一対の把持爪55をワークWに接触させた時点からのモータ14の回転量によって制御できる。
【0070】
電動把持装置10が把持位置P3にあるとき、モータ14が逆方向に回転すると、モータ軸14aと一体に取付部材21及び保護部材22が逆方向に回転する。同時に、コイルバネ23が逆方向に回転する。コイルバネ23の逆方向への回転に伴い、作動軸24が、ロッドガイド15に向けて送り出される。一対のレバー53は、一対のマスタージョウ51を互いに離れる方向に揺動するとともに、一対の把持爪55は互いに離れる。つまり、一対の把持爪55の開度が大きくなる。そして、クッションゴム37がロッドガイド15に接触するまで作動軸24が移動すると、一対のレバー53の揺動が停止するとともに、電動把持装置10は初期位置P1に配置される。
【0071】
<把持爪の位置>
図9に示すように、電動把持装置10が初期位置P1にあるとき、モータ14にモータ電流が流れると、モータ14は、初期位置P1から把持開始位置P2に向けて、最低速度からリニアに回転速度を速くした加速度で作動する。モータ14は、最大速度に到達した後、把持開始位置P2まで一定の最大速度で作動する。モータ14は、把持開始位置P2からリニアに回転速度を減速した減速加速度で作動する。モータ14は、把持開始位置P2から所定の作動時間を経過すると、停止する。初期位置P1から把持位置P3に向けたモータ14の回転速度の制御は、制御装置60によるドライバ61の制御によって行われる。
【0072】
初期位置P1は、一定位置であるが、把持開始位置P2及び把持位置P3の各々は、第2方向YへのワークWの寸法によって変える。把持開始位置P2及び把持位置P3の各々は、第2方向YへのワークWの寸法に応じて適宜設定される。
【0073】
図7及び図8に示すように、一対の把持爪55の位置に着目すると把持開始位置P2と把持位置P3は同じ位置であるが、コイルバネ23の長さのうち、コイルバネ23と頭部28bとの接触箇所から第1端23aまでの長さは、把持開始位置P2と把持位置P3とで異なっている。以下、コイルバネ23の長さのうち、コイルバネ23と頭部28bとの接触箇所から第1端23aまでの線材23cに沿う長さを「有効バネ長さ」とする。
【0074】
図7に示すように、把持開始位置P2は、一対の把持爪55がワークWに接触した時点での位置である。把持開始位置P2では、クッションゴム37がロッドガイド15からモータ14側へ若干離れている。把持爪開閉機構50では、一対のマスタージョウ51は、初期位置P1に比べて第2方向Yに沿って互いに接近している。把持開始位置P2での有効バネ長さは、初期位置P1での有効バネ長さより長くなっているが、把持開始位置P2でのコイルバネ23の圧縮変位量はゼロである。このため、把持開始位置P2において、一対の把持爪55による把持力はゼロである。そして、把持開始位置P2から把持位置P3に向かうに従い、コイルバネ23の圧縮変位量が増加していく。
【0075】
図8に示すように、把持位置P3は、一対の把持爪55がワークWに接触するとともに、ワークWを所定の把持力で把持した時点での位置である。把持位置P3では、クッションゴム37がロッドガイド15から若干離れている。把持爪開閉機構50では、一対のマスタージョウ51は、初期位置P1に比べて第2方向Yに沿って互いに接近している。これらの部分は、図8に示す把持開始位置P2と同じ状態にある。
【0076】
把持位置P3では、コイルバネ23と頭部28bとの接触箇所と、第1端23aとの間には、コイルバネ23が把持開始位置P2での状態からさらに入り込んでいる。その結果、把持位置P3でのコイルバネ23の圧縮変位量は、把持開始位置P2でのコイルバネ23の圧縮変位量より多くなっている。コイルバネ23は、圧縮変位量が多いほど、有効バネ長さは長くなる。把持位置P3での圧縮変位量は、初期位置P1及び把持開始位置P2での圧縮変位量より多い。把持位置P3での圧縮変位量では、一対の把持爪55による把持力はゼロより大きい。そして、把持位置P3では、一対の把持爪55により、上記の所定の把持力でワークWが把持されている。そして、把持開始位置P2及び把持位置P3は、ワークWの寸法に応じて調節できる。
【0077】
上記したように、把持位置P3での所定の把持力は、把持開始位置P2からのモータ14の回転角度によって設定できる。モータ14の回転角度は、モータ14のステップ角と、パルス信号の数に応じて決まる。モータ14の回転角度は、パルス信号の数に比例して大きくなる。単位時間当たりのパルス信号の数は、パルスレートである。パルスレートが大きくなるほど、モータ14の回転速度は速くなる。把持位置P3で、所望するモータ14の回転角度を得るに当たり、モータ14の回転速度が速くなるほど、把持開始位置P2からのモータ14の作動時間は短くなる。言い換えると、把持位置P3で、所望するモータ14の回転角度を得るに当たり、モータ14の回転速度が遅くなるほど、把持開始位置P2からのモータ14の作動時間は長くなる。
【0078】
図9の異なる線種の破線で示すように、把持開始位置P2からのモータ14の作動時間が長くなるほど、コイルバネ23の圧縮変位量が多くなっていくとともに、一対の把持爪55によるワークWの締付時間が長くなる。このため、一対の把持爪55による把持力が大きくなる。なお、モータ14の作動時間は、把持開始位置P2にてモータ14の減速を開始してから停止するまでにモータ14が作動した時間である。
【0079】
制御装置60は、モータ14を制御する。モータ14はステッピングモータであるため、モータ14は、オープンループ制御によって制御される。制御装置60は、プロセッサと記憶部とを有している。記憶部は、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。本実施形態では、記憶部は、電動把持装置10を作動させるためのプログラムコードを記憶している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置60は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置60は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0080】
図1に示すように、制御装置60は、ドライバ61及び減速加速度設定部63と信号接続されている。制御装置60は、図示しないパルス発振器を有する。制御装置60は、パルス発振器により、モータ14の作動を制御するためのパルス信号を生成したり、パルス信号の生成を停止させたりする。制御装置60の生成したパルス信号は、ドライバ61に入力される。ドライバ61にパルス信号が入力されると、パルス毎にモータ14の電流が流れる磁極が切り替わり、モータ14が位置決めされる。
【0081】
図9の回転速度のグラフに示すように、モータ14は加減速運転制御によって作動する。加減速運転制御によってモータ14が制御されると、モータ14は、停止状態から最低速度で作動を開始する。モータ14は、一定の加速度で加速した後、最高速度に到達すると、その最高速度で作動する。モータ14は、最高速度から減速を開始すると、一定の減速加速度で減速した後、最低速度に到達すると停止する。
【0082】
加減速運転制御において、最低速度は、モータ14が作動を開始するモータ14の回転速度及びモータ14の停止直前の回転速度である。最低速度は、最低パルスレートでモータ14を作動させることで得られる。加減速運転制御において、最高速度は、モータ14の回転速度の最大値である。最高速度は、最高パルスレートでモータ14を作動させることで得られる。
【0083】
加減速運転制御において、モータ14が一定の加速度で作動するとき、パルスレートは徐々に増加されていく。このパルスレートの増加率は、一定に設定されている。加減速運転制御において、モータ14が一定の減速加速度で作動するとき、パルスレートは徐々に減少されていく。このパルスレートの減少率は、複数設定されている。
【0084】
加減速運転制御において、最高速度、最低速度、パルスレートの増加率、及びパルスレートの減少率が設定されると、モータ14における加速時間及び減速時間が決まる。制御装置60は、算出された加速時間及び減速時間でモータ14が作動するように、算出した間隔でパルス信号を生成する。すると、ドライバ61によってモータ14が加減速運転制御される。加減速運転制御は、所謂台形制御である。また、加減速運転制御は、ドライバ61でモータ14を回転させるにあたり、現在の回転位置を把握しない。最低速度及び最高速度は、制御装置60によって設定できる。また、パルスレートの増加率は、制御装置60によって設定できる。
【0085】
制御装置60の記憶部には、モータ14が回転を停止する際の減速加速度が予め複数記憶されている。減速加速度は、パルスレートの減少率として設定されている。減速加速度設定部63は、複数の減速加速度のうちの1つを選択して設定できる。減速加速度は、モータ14を停止させるために、把持開始位置P2からモータ14の回転を減速していくときの加速度である。減速加速度が大きいほど、把持開始位置P2からモータ14が停止するまでに要する作動時間が短くなる。言い換えると、減速加速度が小さいほど、把持開始位置P2からモータ14が停止するまでに要する作動時間が長くなる。つまり、把持開始位置P2からモータ14が停止するまでのモータ14の回転角度が大きくなる。制御装置60は、減速加速度設定部63で選択された減速加速度を用いてドライバ61にパルス信号を出力する。なお、減速加速度設定部63は、具体的にはロータリスイッチである。
【0086】
制御装置60は、制御装置60とは別体の上位制御装置62と信号接続されている。上位制御装置62は、制御装置60に対し開始信号を出力する。開始信号は、一対の把持爪55によるワークWの把持動作の開始を指示する信号である。
【0087】
制御装置60は、上位制御装置62からの開始信号を入力すると、ドライバ61にパルス信号を出力する。制御装置60からのパルス信号をドライバ61が入力すると、モータ14には、パルス信号に応じてモータ電流が流れるとともに、励磁されるコイルの位相が進んでいく。
【0088】
制御装置60は、第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bと信号接続されている。第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bの各々は、作動軸24と一体の磁石35からの磁気を検出する。この磁気の検出により、第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bの各々は、軸方向Zでの作動軸24の位置を検出する。
【0089】
第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bは、磁気を検出すると磁気検出信号を出力する。第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bは、磁気を検出できなくなると磁気検出信号を出力しない。制御装置60には、磁気検出信号が入力される。
【0090】
図9に示すように、第1位置検出センサ16aは、初期位置P1では、磁気検出信号を制御装置60に出力するとともにオンとされている。オンとされた第1位置検出センサ16aは点灯する。なお、第1位置検出センサ16aの点灯及び消灯は、ボディ本体11aの端面から視認できる。
【0091】
作動軸24が移動して、初期位置P1から把持開始位置P2に向けて把持爪55が移動すると、磁石35が第1位置検出センサ16aから離れる。すると、第1位置検出センサ16aは、把持開始位置P2に到達する前に、磁気検出信号を出力せずオフとされる。オフとされた第1位置検出センサ16aは消灯する。このとき、制御装置60には、磁気検出信号は入力されない。したがって、把持開始位置P2及び把持位置P3では、第1位置検出センサ16aは、磁気検出信号を出力せずオフとされている。
【0092】
第2位置検出センサ16bは、初期位置P1では、磁気検出信号を出力せずオフとされている。作動軸24が移動して、初期位置P1から把持開始位置P2に向けて把持爪55が移動すると、磁石35が第2位置検出センサ16bに近付く。把持開始位置P2に位置すると、第2位置検出センサ16bは、磁気検出信号を出力するとともにオンとされる。オンとされた第2位置検出センサ16bは点灯する。なお、第2位置検出センサ16bの点灯及び消灯は、ボディ本体11aの端面から視認できる。
【0093】
制御装置60は、一対の把持爪55が把持開始位置P2に到達して、磁気検出信号を入力すると、減速加速度設定部63によって選択された減速加速度でモータ14を減速させる減速動作を開始させつつ、予め決められた回転角度でモータ14を作動させた後、把持位置P3でモータ14を停止させる。つまり、制御装置60は、一対の把持爪55が把持開始位置P2に到達して、把持開始信号(磁気検出信号)を入力すると、減速加速度設定部63によって選択された減速加速度でモータ14を減速させつつ、予め決められた回転量でモータ14が作動した後、把持位置P3でモータ14を停止させるべくドライバ61を制御する。
【0094】
したがって、電動把持装置10において、第2位置検出センサ16bは、一対の把持爪55によるワークWの把持を開始する時点で、軸方向Zでの作動軸24の位置を検出した磁気検出信号を、把持開始信号として制御装置60に出力する。制御装置60は、磁気検出信号を入力すると一対の把持爪55によるワークWの把持力を高めるためにモータ14を制御する。
【0095】
制御装置60は、一対の把持爪55が把持開始位置P2に到達した時点から減速加速度制御を開始する。モータ14は、減速加速度制御の開始に伴い、減速動作を開始する。制御装置60が減速加速度制御を開始するための契機は、第2位置検出センサ16bからの磁気検出信号(把持開始信号)が、制御装置60に入力されたことである。制御装置60は、第2位置検出センサ16bからの磁気検出信号を入力すると、減速加速度制御では、最高パルスレートから最低パルスレートの状態に到達するまで、パルスレートが減少されていく。このときのパルスレートの減少率は、減速加速度設定部63によって選択された減速加速度に設定されている。減速加速度制御によって最低パルスレートまでパルスレートが低下すると、制御装置60はパルス信号の生成を停止する。すると、その位置で、保持電流が流れた状態でモータ14は停止するとともに、モータ14の減速動作が終了する。ここで、セルフロック条件を満足する場合、保持電流を停止することができる。
【0096】
そして、減速加速度制御によって、把持開始位置P2からパルスレートが減少していき、パルス信号が出力されなくなるまで、モータ14は減速動作で作動し続けるとともに、コイルバネ23は圧縮されていく。つまり、把持力は、把持開始位置P2から把持位置P3に向けて大きくなっていく。なお、ワークWに対する把持爪55の接触により、軸方向Zに作動軸24は移動しないため、磁石35の位置も軸方向Zに移動しない。このため、把持開始位置P2から把持位置P3に至るまで、第2位置検出センサ16bはオンのままであるとともに、第2位置検出センサ16bは点灯し続ける。
【0097】
なお、把持開始位置P2及び把持位置P3がワークWの寸法に応じて調節された場合、把持開始位置P2及び把持位置P3での磁石35の位置も変更される。磁石35の位置が変更された場合、把持開始位置P2及び把持位置P3を第2位置検出センサ16bで検出するため、第2位置検出センサ16bの位置が調節される。第2位置検出センサ16bの位置は、ボディ11の取付溝11cに沿って第2位置検出センサ16bを移動させることで行われる。
【0098】
制御装置60は、把持完了信号を上位制御装置62に出力する。把持完了信号は、パルスレートが減少していき、モータ14が停止したとき、第2位置検出センサ16bによる磁気検出信号が出力されていると制御装置60から出力される。つまり、制御装置60は、把持開始位置P2から減速加速度制御が完了して把持位置P3が維持されていると、把持状態と判断して把持完了信号を出力する。したがって、制御装置60は、一対の把持爪55が把持位置P3に位置すると、把持完了信号を上位制御装置62に出力する。把持完了信号が出力された時点は、モータ14の減速動作が終了してモータ14の回転速度がゼロになった時点である。また、把持完了信号が出力された時点では、モータ14は保持電流に切り替わる。セルフロック条件を満足する場合、モータ14の保持電流を停止することができる。
【0099】
なお、図9の異なる線種の破線で示すように、減速加速度設定部63によって選択された減速加速度に応じて、モータ電流が流れなくなってモータ14が停止する回転角度が異なるため、把持完了信号が出力される時点も異なる。
【0100】
<アラーム処理>
次に、一対の把持爪55の間にワークWが配置されていない場合について説明する。
初期位置P1から把持開始位置P2に向けて把持爪55が移動して把持爪55がワークWに接触する予定の位置まで移動すると、第2位置検出センサ16bは、磁気検出信号を出力するとともにオンとされる。
【0101】
ワークWが配置されていなくても、把持力制御開始時点として減速動作が開始される。モータ14は設定された条件で減速動作を行う。このとき、作動軸24は、軸方向Zへ移動して、一対の把持爪55は互いに近付いていく。このため、フォロワ28の位置もモータ14に近付いていくため、コイルバネ23は圧縮されない。つまり、コイルバネ23の圧縮変位量はゼロである。その結果、図9の2点鎖線に示すように、オンとされた第2位置検出センサ16bは、磁気検出信号を出力せずオフとされる。オフとされた第2位置検出センサ16bは消灯する。
【0102】
そして、把持開始位置P2から把持位置P3に至るまで、第2位置検出センサ16bはオフのままであるとともに、第2位置検出センサ16bは消灯し続ける。そして、把持開始位置P2において、第2位置検出センサ16bが磁気検出信号を出力した時点から、設定された動作が完了すると、制御装置60は、ドライバ61によるパルス信号の生成を停止させる。すると、モータ14は停止位置に保持電流にて位置決めされる。その後、制御装置60は、モータ14の保持電流を停止する。把持開始位置P2から磁気検出信号を入力しないと、上位制御装置62にエラー信号を出力する。つまり、制御装置60は、モータ14が停止した時点で、軸方向Zの作動軸24の位置を検出した信号が入力されていない場合、ワークWが無いことを示すエラー信号を出力する。上位制御装置62は、図示しない報知手段を用いて、アラームを報知する。
【0103】
<セルフロック及び作用>
電動把持装置10のセルフロック状態は、把持位置P3において、モータ14にモータ電流が流れなくなった場合、一対の把持爪55によるワークWの把持を維持する機構である。電動把持装置10は、コイルバネ23とフォロワ28との接触箇所と、コイルバネ23の第1端23aとの間でコイルバネ23を圧縮させることで、一対の把持爪55によるワークWの把持を維持するセルフロック状態を可能としている。
【0104】
電動把持装置10において、一対の把持爪55の開閉時、コイルバネ23に対し頭部28bが接触している。頭部28bは、コイルバネ23の表面に対し、軸方向Zから接触している。コイルバネ23に対して頭部28bが接触したまま、作動軸24は、コイルバネ23の回転とともに軸方向Zに移動する。
【0105】
そして、把持開始位置P2で、一対の把持爪55がワークWに接触すると、作動軸24の軸方向Zへの移動は停止する。その後、把持開始位置P2から把持位置P3に向けて、コイルバネ23は圧縮されていく。
【0106】
図8及び図10に示すように、コイルバネ23において、ねじのリードに相当するコイルバネ23のなす角度は徐々に小さくなっていく。なお、コイルバネ23を単純に軸方向Zに圧縮しただけでは、角度はゼロにならない。
【0107】
本実施形態では、把持開始位置P2から把持位置P3に変化していくと、頭部28bとコイルバネ23との接触箇所を起点として、コイルバネ23が頭部28bの先端に近づくように傾いていく。
【0108】
図8に示すように、コイルバネ23は、中心軸線L3を円弧状に変形させるように傾いていく。このようなコイルバネ23の傾きに伴い、コイルバネ23と頭部28bの接触箇所は、コイルバネ23の内径側へ移動していく。把持位置P3において、フォロワ28がコイルバネ23から受ける力F1の方向と、コイルバネ23と頭部28bとの接触箇所での垂直抗力F2の方向との間の角度を「θ」とする。そして、図10に示すように、把持位置P3では、頭部28bとコイルバネ23との接触箇所を境に角度θの正負が反転する結果、角度θをゼロとすることができる。角度θがゼロではセルフロック条件が満足されるため、確実なセルフロック状態となる。
【0109】
把持位置P3において、コイルバネ23と頭部28bとが接触し、フォロワ28が摺動又は軸回転するときの摩擦係数を「μ」とする。把持位置P3でのセルフロック時、「μ>tanθ」の関係式が満たされている。なお、把持開始位置P2から把持位置P3に向かうに従い、角度θは小さくなっていく。つまり、把持開始位置P2から把持位置P3に向かうに従い、μ>tanθを満たす状態に近付いていき、把持位置P3ではμ>tanθを満たす状態となる。
【0110】
図3に示すように、コイルバネ23の非圧縮状態では、角度θは、コイルバネ23の螺旋の延びる方向とほぼ同じであり、送りねじ機構のように一定である。つまり、角度θはゼロより大きい。この場合、「μ>tanθ」の関係式においてセルフロック状態とするには、コイルバネ23と頭部28bとの間に摩擦が発生する条件で使用する必要があることがわかる。このため、摩擦が発生しないボールねじ機構によるセルフロックは使用できず、滑りねじ機構によるセルフロックを使用することになる。滑りねじ機構によるセルフロックを使用した場合、摩擦による損失による、エネルギーのロスが生じることや、角度θの変化に伴う摩擦係数μの変化によりセルフロックの解除が困難な場合が発生する虞がある。
【0111】
本実施形態では、フォロワ28が回転可能に作動軸24に支持されている。さらには、フォロワ28は、ベアリング27によって円滑に回転可能に作動軸24に支持されている。このため、フォロワ28が回転不能の場合と比べると、頭部28bとコイルバネ23との接触箇所での摩擦によるエネルギーのロスは最小限に抑えられている。つまり、フォロワ28が回転不能の場合と比べると摩擦係数μが小さく抑えられている。そして、把持開始位置P2から把持位置P3に向けてコイルバネ23が圧縮されていくと、角度θはゼロに近付いていく。
【0112】
図10に示すように、コイルバネ23の圧縮が続くと、コイルバネ23と頭部28bとの接触箇所の方向にコイルバネ23が傾いていき、角度θがゼロとなる。つまり、コイルバネ23の圧縮が続くと、コイルバネ23と頭部28bとの接触箇所と第1端23aとの間でのコイルバネ23の圧縮に伴って、コイルバネ23が傾いていき、角度θがゼロになる。なお、角度θがゼロとは、コイルバネ23の製造誤差等によってゼロに対し±で僅かに異なる場合を含む。
【0113】
このため、摩擦係数μが小さくても、μ>tanθを維持できる。つまり、摩擦係数μが小さくても、セルフロック状態を維持できる。そして、頭部28bとコイルバネ23との接触箇所と、コイルバネ23の第1端23aとの間でコイルバネ23が圧縮された状態が維持されて、コイルバネ23が非圧縮方向に回転することが抑制される。つまり、コイルバネ23が圧縮状態から巻き戻されることが抑制される。その結果、セルフロック状態が維持される。したがって、コイルバネ23の回転に伴って、一対の把持爪55が把持位置P3から把持開始位置P2へ変位することを抑止できる。よって、滑りねじ機構によるセルフロックでは実現できない転がり軸受による低摩擦条件であっても、セルフロック状態を維持できる。
【0114】
一方、一対の把持爪55によるワークWの把持を解除させるため、セルフロック状態を解除する際、制御装置60によってモータ14を逆方向に回転させる。すると、角度θがゼロであることから、コイルバネ23は、非圧縮方向に速やかに回転して、セルフロック状態が解除される。
【0115】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)フォロワ28は、作動軸24に回転可能に支持されている。把持位置P3では、コイルバネ23は、当該コイルバネ23の中心軸線L3に対しフォロワ28側に傾いた状態で圧縮されている。このコイルバネ23の傾きによって、フォロワ28とコイルバネ23との接触箇所での角度θをゼロにできる。このため、把持位置P3では、摩擦係数μが小さい場合であっても、μ>tanθを維持できるため、セルフロック状態を維持できる。また、セルフロック状態では、角度θがゼロであることから、コイルバネ23とフォロワ28との間での摩擦係数μを小さく抑えている。よって、フォロワ28とコイルバネ23との摩擦によるエネルギーのロスを抑制できる。その結果、摩擦係数μの変化によりセルフロック状態の解除が困難な場合が発生することを抑制できる。よって、電動把持装置10によれば、好適にセルフロックできる。
【0116】
(2)フォロワ28は、ベアリング27によって回転可能に支持されている。このため、フォロワ28とコイルバネ23との摩擦によるエネルギーのロスをより抑制できる。
(3)コイルバネ23は、保護部材22の内側に配置されている。保護部材22の内周面にコイルバネ23が接触することにより、コイルバネ23の過度の傾き、つまり座屈を規制できる。このため、角度θがゼロから大きく離れた数値になるまでコイルバネ23が傾くことを抑制できる。また、保護部材22の内径を調節することで、コイルバネ23の傾きを調節できるため、電動把持装置10の把持力の調節を保護部材22の変更で容易に対応できる。
【0117】
(4)コイルバネ23は、保護部材22の内側に配置されている。このため、保護部材22によって、コイルバネ23の座屈条件など、コイルバネ23の適応範囲を広くできる。
【0118】
(5)第2位置検出センサ16bは、把持開始位置P2を検出する。制御装置60は、第2位置検出センサ16bからの磁気検出信号を入力すると、把持開始位置P2の検出に合わせて、モータ14を減速加速度で作動させる。したがって、第2位置検出センサ16bの1つによって、把持開始位置P2の検出と、把持爪55の位置制御から力制御への転換とを行うことができる。把持開始位置P2の検出と、把持爪55の位置制御から力制御への転換とを別々のセンサで行う場合と比べて、電動把持装置10の構成を簡素化できるとともに、制御装置60の制御負荷を軽減できる。
【0119】
(6)減速加速度設定部63は、パルスレートの減少率、つまり減速加速度を複数に設定できる。減速加速度設定部63によって選択された減速加速度に設定することで、一対の把持爪55による把持力を調節できる。したがって、把持力の調節は、減速加速度設定部63によるモータ14の減速加速度で達成できるため、把持力の調節が容易となる。つまり、制御装置60による制御プログラムの変更が不要になるため、電動把持装置10の汎用性が高まる。
【0120】
また、減速加速度設定部63によって、予め設定した減速加速度の選択が可能であるため、把持力設定が容易になる。そして、把持位置P3にある電動把持装置10において、搬送時の加速度でワークWが落下するような場合には、減速加速度設定部63によって減速加速度を一段増加させるといった事後調節が容易となるとともに、電動把持装置10の使用現場でも調節が可能となる。
【0121】
(7)第2位置検出センサ16bによって磁気検出信号が検出されると、制御装置60は、モータ14の減速加速度制御を開始させるとともに、パルスレートが最低パルスレートにまで低下するとモータ14を停止させる。すると、把持爪55は把持位置P3に位置する。このモータ14の停止時、一対の把持爪55によってワークWを把持していると、第2位置検出センサ16bは磁気検出信号を出力するとともに、オンとされて点灯している。よって、例えば、モータ14の回転数を検出する機器等を用いることなく、一対の把持爪55によるワークWの把持を検出できる。また、一対の把持爪55によってワークWを把持した状態では、第2位置検出センサ16bは点灯するため、視覚的にも確認ができる。
【0122】
(8)モータ14の停止時、一対の把持爪55によってワークWを把持していないと、第2位置検出センサ16bは磁気検出信号を出力せずに、オフとされて消灯している。よって、例えば、モータ14の回転数を検出する機器等を用いることなく、一対の把持爪55によるワークWの非把持状態を検出できる。また、一対の把持爪55によるワークWの非把持状態では、第2位置検出センサ16bは消灯しているため、視覚的にも確認ができる。
【0123】
また、モータ14の停止時、一対の把持爪55によってワークWを把持していないと、制御装置60はエラー信号を上位制御装置62に出力する。上位制御装置62は、エラー信号を入力すると、ワークWを把持していないアラームを報知させる。したがって、作業員は、一対の把持爪55によるワークWの非把持状態を容易に確認ができる。
【0124】
(9)電動把持装置10は、把持爪操作部14bを有する。把持爪操作部14bは、一対の把持爪55の開度を調節するためにモータ軸14aを手動で回転させることができる。よって、把持開始位置P2及び把持位置P3の調節を手動で行うことができる。その結果、把持開始位置P2及び把持位置P3の調節は、制御装置60のプログラム変更を必要としなくて済むため、電動把持装置10の使用現場で容易に設定できる。また、把持開始位置P2及び把持位置P3の調節は、ワークWの寸法に合わせて容易に行うことができる。
【0125】
(10)電動把持装置10は、1つのコイルバネ23を回転させることによって一対の把持爪55によってワークWを把持する。このため、一対の把持爪55は、同期して開閉する。例えば、電動把持装置が、2つのコイルバネを用い、かつ各コイルバネの回転それぞれで把持爪を開閉させる場合、一対の把持爪は個別に動いて開閉する。この場合と比べると、ワークWを把持したときにセンタリング精度を向上できるとともに、把持力の制御が容易になる。
【0126】
(11)把持爪開閉機構50は、作動軸24の回動軸36と、レバー53と、支持軸54と、ガイドプレート52と、マスタージョウ51とを有する。このような把持爪開閉機構50により、一対の把持爪55のセンタリング精度を向上できる。
【0127】
(12)駆動機構20は、ユニット部201を含む。ユニット部201は、取付部材21と、保護部材22と、コイルバネ23と、作動軸24の作動軸本体25と、ベアリング27と、フォロワ28とが予め一体化されて形成されている。したがって、ユニット部201をロッド26及びモータ軸14aに連結することで、取付部材21と、保護部材22と、コイルバネ23と、作動軸本体25と、ベアリング27と、フォロワ28とを一括してボディ11に設けることができる。逆に、取付部材21とモータ軸14aとの連結を解除することでボディ11からモータ14を外すことができるとともに、ロッド26と作動軸本体25との連結を解除することで、取付部材21と、保護部材22と、コイルバネ23と、作動軸本体25と、ベアリング27と、フォロワ28とを一括してボディ11から取り外すことができる。
【0128】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図11に示すように、ユニット部201において、コイルバネ23の第1端23aを自由端とするとともに、コイルバネ23の第2端23bを固定端として取付部材21に固定してもよい。この場合、コイルバネ23の螺旋の延びる方向は、実施形態と逆になっている。また、取付部材21は、コイルバネ23の固定される回転部材となる。
【0129】
図11に示すユニット部201を有する電動把持装置10では、ワークWを把持しない初期位置P1では、一対の把持爪55は互いに接触している。電動把持装置10では、モータ14を正方向に回転させると、初期位置P1にある一対の把持爪55は互いに離れるように第2方向Yへ移動する。そして、把持位置P3では、一対の把持爪55の外面をワークWに接触させて把持する。所謂、内側把持によってワークWを把持する。
【0130】
把持開始位置P2からモータ14を正方向へ回転させると、コイルバネ23は、取付部材21とフォロワ28との間に入り込んでいき、圧縮される。把持位置P3では、圧縮されたコイルバネ23によって、一対の把持爪55を離す方向への力が付与される。
【0131】
なお、図11に示す形態において、保護部材22は無くてもよい。この場合、コイルバネ23は、モータ軸14a及び取付部材21と一体に回転する。
図12に示すように、ユニット部201において、コイルバネ23の第1端23aを保護部材22の第1端部22aに固定するとともに、コイルバネ23の第2端23bを取付部材21に固定してもよい。この場合、保護部材22及び取付部材21は、コイルバネ23の固定端が固定される回転部材となる。コイルバネ23の螺旋の延びる方向は、実施形態と同じでもよいし、逆でもよい。つまり、把持開始位置P2から把持位置P3に向けて一対の把持爪55を移動させる際に、コイルバネ23のモータ14側で圧縮させるか、ロッドガイド15側で圧縮させるかに応じて、コイルバネ23の螺旋の向きを選択する。
【0132】
したがって、図12に示すユニット部201を有する電動把持装置10では、ワークWを把持する方向を選択できる。
図13に示すように、実施形態において、コイルバネ23の第2端23bは、圧縮された状態で取付部材21に接触していてもよい。このように構成すると、コイルバネ23は予め圧縮されているため、把持位置P3での把持力を発揮するためにモータ14を作動させる時間を短縮できる。
【0133】
図14に示すように、電動把持装置10は、作動軸24と一体の支持部材29を有していてもよい。支持部材29は、作動軸24において、作動軸本体25の第2端面25bに固定されている。支持部材29は円盤状である。支持部材29の周面には、摺接リング29aが装着されている。摺接リング29aは、保護部材22の内周面に接触している。軸方向Zに作動軸24が移動する際、支持部材29の摺接リング29aは、保護部材22の内周面に摺接する。支持部材29の摺接により、軸方向Zへの作動軸24の移動時、作動軸24の傾きを抑制できる。
【0134】
なお、初期位置P1では、コイルバネ23の第2端23bは、支持部材29に接触している。初期位置P1では、コイルバネ23は圧縮されている。このため、モータ14の振動により、コイルバネ23が振動することを抑制できる。よって、コイルバネ23の回転によって作動軸24を移動させるとき、モータ14の振動の影響によって作動軸24の移動が妨げることを抑制できる。また、コイルバネ23が予め圧縮されているため、把持開始位置P2から把持位置P3に移動するときに、把持力を発生するのに要する時間を短縮できる。
【0135】
さらに、コイルバネ23は、圧縮されると中心軸線L3に対し傾きやすい。コイルバネ23の傾きは、作動軸24を傾かせる。しかし、支持部材29によって、コイルバネ23が圧縮されても作動軸24の傾きを抑制できる。その結果、作動軸24の傾きを原因としてモータ14に加わる負荷も低減できる。よって、ワークWの大型化による把持爪55の移動距離の長大化にも対応できる。
【0136】
なお、図14に示す形態において、コイルバネ23の第1端23aは、保護部材22に固定されるとともに、コイルバネ23の第2端23bは、支持部材29に固定されていてもよい。
【0137】
この場合、コイルバネ23は、両端で支持されるため、見かけ上のバネ定数が上がる。このため、高い把持力を小さなコイルバネ23で発生することができるため、電動把持装置10を小型化できる。また、コイルバネ23の小型化に伴い、モータ14の回転量を少なくできるため、ワークWを把持するために要するモータ14の作動時間を短縮できる。
【0138】
○把持爪55は、3つであってもよい。この場合、把持爪開閉機構50は、3つの把持爪55を開閉させるために滑りカム機構を採用する。
○把持爪操作部14b及び操作部材14cは無くてもよい。この場合、把持開始位置P2及び把持位置P3の調節は、制御プログラムの変更によって行う。
【0139】
○把持開始位置P2から把持位置P3への減速加速度は調節できなくてもよい。この場合、減速加速度設定部63は削除される。
○フォロワ28が回転可能に作動軸24に支持されていれば、ベアリング27は無くてもよい。
【0140】
○フォロワ28は、円柱状であってもよい。この場合、フォロワ28は、軸部28aのみで形成されている。つまり、フォロワ28は、頭部28bを有していない。この場合、軸部28aにおいて、作動軸24の周面からの突出部が線材23cの間に入り込む。なお、軸部28aのみのフォロワ28において、作動軸24の周面からの突出部に環状溝28cが形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
【0141】
○把持開始位置P2は、一対の把持爪55がワークWに接触した時点としたが、把持開始位置P2は、一対の把持爪55がワークWに接触する直前としてもよい。このように構成した場合、ワークWに把持爪55が接触する直前から、モータ14を減速させることができる。このため、把持開始直前の把持速度が低減されるため、ワークWをソフトに把持できる。
【0142】
○フォロワ28の中心軸線Mは、コイルバネ23の中心軸線L3に対し斜めであってもよい。
○第1位置検出センサ16a及び第2位置検出センサ16bの片方又は両方は、例えば、作動軸24の移動を検出するフォトセンサであってもよい。
【0143】
○一対の把持爪55の間にワークWが配置されていない場合、制御装置60は、エラー信号を出力してなくてもよい。
○把持開始位置P2から把持位置P3でモータ14を停止させるまでの制御は、モータ14の回転数で制御してもよい。
【0144】
○制御装置60は、把持開始位置P2で把持開始信号を入力した後、モータ14を減速させずに、一定の回転速度でモータ14を作動させた後、減速させることなくモータ14を停止させてもよい。
【0145】
○実施形態では、オープンループ制御によるモータ14の制御を示したが、ロータリエンコーダ等の回転角度検出によるクローズドループ制御によるモータ14の制御としてもよい。
【0146】
○電動把持装置10において、作動軸24は、作動軸本体25とロッド26とに分離できなくてもよい。
○電動把持装置10は、ユニット部201を有していなくてもよい。
【0147】
○電動把持装置10は、保護部材22を有していなくてもよい。この場合、取付部材21、コイルバネ23、及び作動軸24は、軸孔12に直接挿入されている。
【符号の説明】
【0148】
10…電動把持装置、14…モータ、14a…モータ軸、14b…把持爪操作部、16b…第2位置検出センサ、21…回転部材としての取付部材、22…回転部材としての保護部材、22a…第1端部、22b…第2端部、23…コイルバネ、23a…第1端、23b…第2端、23c…線材、24…作動軸、25…作動軸本体、26…ロッド、27…ベアリング、28…フォロワ、29…支持部材、50…把持爪開閉機構、55…把持爪、60…制御装置、61…ドライバ、63…減速加速度設定部、201…ユニット部。
図1
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