(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060336
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】回転電機及び回転電機システム
(51)【国際特許分類】
H02K 3/34 20060101AFI20240424BHJP
H02K 9/02 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H02K3/34 Z
H02K9/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167649
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】郡 大祐
(72)【発明者】
【氏名】藤井 克彦
(72)【発明者】
【氏名】土谷 摂
(72)【発明者】
【氏名】里 水里
【テーマコード(参考)】
5H604
5H609
【Fターム(参考)】
5H604BB03
5H604BB08
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC13
5H604PB04
5H609BB01
5H609BB13
5H609BB18
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP09
5H609QQ02
5H609QQ08
(57)【要約】
【課題】
回転電機内に流入する粉塵からコイルエンドを効果的に保護してコイルの損傷を低減し、信頼性及び寿命の向上を図ること。
【解決手段】
本発明の回転電機は、上記課題を解決するために、回転子と、該回転子と所定のギャップを介して対向配置されている固定子と、を備えた回転電機であって、前記回転電機の軸方向片側から前記回転子及び前記固定子を冷却するための冷媒が軸方向端部に向かって流れ、かつ、前記回転子及び固定子は、それぞれコイルを備えていると共に、前記回転子及び固定子のそれぞれの前記コイルには絶縁材が被覆され、前記固定子のコイルの前記冷媒が流出する側の固定子コイルエンドの前記回転子のコイルと対向する部分に被覆されている前記絶縁材の厚みが、他の部分の前記固定子のコイルに被覆されている前記絶縁材の厚みより厚く形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と、該回転子と所定のギャップを介して対向配置されている固定子と、を備えた回転電機であって、
前記回転電機の軸方向片側から前記回転子及び前記固定子を冷却するための冷媒が軸方向端部に向かって流れ、かつ、前記回転子及び固定子は、それぞれコイルを備えていると共に、前記回転子及び固定子のそれぞれの前記コイルには絶縁材が被覆され、前記固定子のコイルの前記冷媒が流出する側の固定子コイルエンドの前記回転子のコイルと対向する部分に被覆されている前記絶縁材の厚みが、他の部分の前記固定子のコイルに被覆されている前記絶縁材の厚みより厚く形成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記固定子のコイルの前記冷媒が流出する側の前記固定子コイルエンドの前記回転子のコイルと対向する部分は、回転子コイルエンドからと前記ギャップから通過した前記冷媒が合流する面に位置する前記固定子コイルエンドの部分であることを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電機であって、
前記絶縁材はマイカテープ、シリコン、樹脂のいずれかで構成され、
前記固定子のコイルの前記冷媒が流出する側の前記固定子コイルエンドの前記回転子のコイルと対向する部分に被覆されている前記絶縁材の厚みが、他の部分の前記固定子のコイルに被覆されている前記絶縁材の厚みより厚く形成されている前記絶縁材は、前記マイカテープの、シリコン、樹脂のいずれかの巻き数を、その他の部位の巻き数より多くして形成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項2に記載の回転電機であって、
前記固定子のコイルの前記冷媒が流出する側の前記固定子コイルエンドの前記回転子のコイルと対向する部分に被覆されている前記絶縁材の厚みが、他の部分の前記固定子のコイルに被覆されている前記絶縁材の厚みより厚く形成されている前記絶縁材は、中心部分の内径側に向うに従い順次厚くなる凸形状に形成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項2に記載の回転電機であって、
前記回転子の軸方向端部にコアクランプが配置され、前記コアクランプには軸方向に前記冷媒を流すための通風孔が設けられ、前記冷媒が流出する側の前記コアクランプの通風孔の形状は、前記冷媒が流出する側に向かって断面積が漸増していることを特徴とする回転電機。
【請求項6】
請求項2に記載の回転電機であって、
前記冷媒が流出する側の前記回転子のコイルエンドの軸方向長さは、前記冷媒が流入する側の前記回転子のコイルエンドの軸方向長さより長く形成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項7】
回転子と、該回転子と所定のギャップを介して対向配置されている固定子と、を備えた回転電機であって、
前記回転電機の軸方向片側から前記回転子及び前記固定子を冷却するための冷媒が軸方向端部に向かって流れ、かつ、前記回転子及び固定子は、それぞれコイルを備えていると共に、前記回転子及び固定子のそれぞれの前記コイルには絶縁材が被覆され、
前記固定子のスロット内に配置された前記固定子のコイルを抑止する固定子楔が前記固定子のコイルの内径側へ配置されており、前記固定子楔の軸方向長さを、前記固定子のコイルの前記冷媒が流出する側の固定子コイルエンドの前記回転子のコイルと対向する部分まで延伸させたことを特徴とする回転電機。
【請求項8】
エンジンで駆動された回転電機で発電し、この回転電機で発電した電力を電力変換機を介して負荷へ供給する回転電機システムであって、
前記回転電機は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の回転電機であることを特徴とする回転電機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転電機に係り、例えば、ダンプトラックのような過酷環境下で使用されるものに好適な回転電機及び回転電機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO2の排出量を抑えるために、回転電機の高効率化が図られている。また、自動車や鉄道等のビークル系に適用される回転電機に関しては、高効率化の他に小型・軽量化も求められている。回転電機の軽量化を図ることで、車体自体を軽くすることができることから燃費が向上し、結果的に自動車や鉄道システムとしての効率を向上することに繋がっている。
【0003】
一般的に、小型・軽量化と回転電機の効率とはトレードオフの関係になるため、小型・軽量化を優先させれば回転電機の効率は低下する。即ち、損失が大きくなることを意味している。つまり、出力密度の増加と同時に発熱密度も増加することになる。
【0004】
このため、小型・軽量化を優先して回転電機として成立させるためには、冷却性能の向上が必須となる。
【0005】
回転電機の冷却方式には様々な方式があるが、構造が単純で冷却性能が高い冷却方式は軸流開放型である。この軸流開放型の冷却方式の構造は、回転電機の内部と外部(外気)とがダイレクトに繋がっている。回転電機を冷却するための冷媒は、回転電機内の回転軸に配置される自励ファン、或いは回転電機とは別に設置される電動送風機により得ることができる。
【0006】
特に、回転電機が停止中でも冷却する必要がある場合等は、電動送風機により強制的に冷媒を回転電機内に流す方法(強制通風方式)が採用される。軸流開放型での強制通風方式では、外部の冷媒を回転電機内に送り込むため、冷媒中に粉塵等のゴミが回転電機内に混入することになる。粉塵の大きさや種類は、適用される環境によって変わってくる。
【0007】
例えば、ビークル系に適用される回転電機のうち、特に過酷環境下で使用されるものとして大型のダンプトラックが挙げられる。このダンプトラックに適用される回転電機の冷却方式は、上述したような軸流開放型の強制通風方式である。
【0008】
特に、ダンプトラックは、車高が高く電動送風機が高い位置に配置されるため、宙に舞った微細な粒子からなる土煙等の粉塵を含む冷媒が、ダンプトラックの回転電機内に送風されることになる。
【0009】
このため、ダンプトラックの回転電機内部の部品に微細な粉塵が衝突して、コイルの絶縁部等を損傷してしまい、これにより、回転電機の信頼性、寿命が低下することになる。
【0010】
このような技術に関連する先行技術文献としては、特許文献1を挙げることができる。
【0011】
この特許文献1には、電動機(回転電機)の固定子に施されているコイルの一部の絶縁膜を厚くし、この絶縁膜をディッピング(浸漬)により形成することが記載されている。ディッピング(浸漬)により絶縁膜を形成する時、絶縁塗装を斑、ピンホール等が無いようにディッピングするが、コイル全体を均一にディッピングすることは困難である。
【0012】
特許文献1では、成形後のコイルに対してディッピング塗装をする場合、コイルエンド部を積極的に絶縁塗料が溜まるようにすることで、鉄心の内部に収納されるコイル部の絶縁膜の厚みを抑えて占積率の低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、この特許文献1において、上述した冷却方式を適用した場合、絶縁膜を厚くする部位はコイルエンドの湾曲部であり、この湾曲部は、固定子鉄心から露出した状態となるため、粉塵が衝突する方向によりコイルエンドが損傷する可能性がある。
【0015】
しかも、特許文献1では、コイルを保護する観点から部分的に絶縁膜を厚くしているが、軸流開放形の冷却方式に対しての絶縁保護としては適切では無い。つまり、コイルを保護する観点では、回転電機内部の冷媒流れから粉塵が衝突する部位に対して絶縁膜を厚くして保護する必要がある。
【0016】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、回転電機内に流入する粉塵からコイルエンドを効果的に保護してコイルの損傷を低減し、信頼性及び寿命の向上を図ることができる回転電機及び回転電機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の回転電機は、上記目的を達成するために、回転子と、該回転子と所定のギャップを介して対向配置されている固定子と、を備えた回転電機であって、前記回転電機の軸方向片側から前記回転子及び前記固定子を冷却するための冷媒が軸方向端部に向かって流れ、かつ、前記回転子及び固定子は、それぞれコイルを備えていると共に、前記回転子及び固定子のそれぞれの前記コイルには絶縁材が被覆され、前記固定子のコイルの冷媒が流出する側の固定子コイルエンドの前記回転子のコイルと対向する部分に被覆されている前記絶縁材の厚みが、他の部分の前記固定子のコイルに被覆されている前記絶縁材の厚みより厚く形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の回転電機システムは、上記目的を達成するために、エンジンで駆動された回転電機で発電し、この回転電機で発電した電力を電力変換機を介して負荷へ供給する回転電機システムであって、前記回転電機は、上記構成の回転電機であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、回転電機内に流入する粉塵からコイルエンドを効果的に保護してコイルの損傷を低減し、信頼性及び寿命の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の回転電機の実施例1の全体構成を示す半断面図である。
【
図3】
図1のA矢視図であり、回転子コイルエンドを示す図である。
【
図4】本発明の回転電機の実施例1における固定子コイルエンドと回転子コイルエンドの拡大図であり、冷媒の合流点を示す図である。
【
図5】本発明の回転電機の実施例1における絶縁膜の変形例を用いた固定子コイルエンドと回転子コイルエンドの拡大図であり、冷媒の合流点を示す図である。
【
図6】本発明の回転電機の実施例2における固定子のスロット部分の断面図である。
【
図8】本発明の回転電機の実施例3における回転子を示す断面図である。
【
図9】本発明の回転電機の実施例4における回転子を示す断面図である。
【
図10】本発明の回転電機の実施例4における回転子コイルエンドの空閑面積と粉塵の衝突エネルギーの関係を示す特性図である。
【
図11】本発明の回転電機システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の回転電機及び回転電機システムを説明する。なお、以下に説明する各実施例において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例0022】
図1に、本発明の回転電機100の実施例1の全体構成を半分断面して示す。この回転電機100は、主にエンジンと接続して使用する回転電機100で、出力は数千kVA、電圧数はkV、回転速度は数千min
-1クラスの回転電機100であり、特に、大型ダンプトラックの電源として適用される。
【0023】
図1に示すように、本実施例の回転電機100は、フレーム1内に、回転子2と、この回転子2と所定のギャップ14を介して対向して固定子3が配置されている。フレーム1には、回転子2が回転するための軸受4が設けてあり、
図1では、上述したように、エンジンと接続するため軸受4が無い方は、エンジン側の軸受で支えることとなる。無論、回転電機100の両側に軸受4を設けても問題は無い。
【0024】
回転子2はシャフト5に締結され、回転子2には回転子鉄心7のスロット(図示せず)内に配置された回転子コイル12を備えており、この回転子コイル12は軸方向両端部から軸方向に回転子コイルエンド6が突出し、回転子鉄心7を軸方向から面圧を加え抑えるために回転子コアクランプ8が軸方向両端に接続されている。
【0025】
一方、固定子3はフレーム1に固定され、固定子3には固定子鉄心9のスロット(図示せず)内に配置された固定子コイル13を備えており、この固定子コイル13は軸方向両端部から軸方向に固定子コイルエンド10が突出し、固定子鉄心9を軸方向から面圧を加え抑えるために固定子コアクランプ11が軸方向両端に接続されている。
【0026】
図1のA-A´断面を
図2に示す。
図2は回転子2及び固定子3の1極分の断面を示している。
【0027】
図2に示すように、回転子2及び固定子3を構成する主な部品として、回転子鉄心7、固定子鉄心9、回転子コイル12、固定子コイル13、ギャップ14、ダンパーバー15、回転子コイル12の飛び出しを防止する回転子楔16、固定子コイル13の飛び出しを防止する固定子楔17で概略構成されている。
【0028】
そして、回転子鉄心7の内径側に軸方向に冷媒を流すためのアキシャルダクト18が設けられており、固定子3の更に外径側には、固定子3と固定されるフレーム1が配置され、固定子3とフレーム1の固定部は周方向に所定の間隔で固定されており、その固定部の間には軸方向に冷媒を流すための背面ダクト19が設けられている。
【0029】
次に、本実施例の回転電機100における冷媒の流れについて、
図1を用いて説明する。
【0030】
図1に示す矢印は冷媒20の流れを示しており、冷媒20が流れる流路は
図1の左側から冷媒20が流入し、この冷媒20が背面ダクト19を流れる冷媒20a、ギャップ14を流れる冷媒20b、アキシャルダクト18を流れる冷媒20cに分岐して流れる。
【0031】
背面ダクト19に流れる冷媒20aは軸方向に分岐することなく流れ、主に固定子鉄心9に発生する鉄損、固定子コイル13に発生する銅損による温度上昇を低減させている。背面ダクト19に流れた冷媒20aは、そのまま軸方向に流れて大気へ開放される。
【0032】
また、ギャップ14に流れる冷媒20bは軸方向に分岐することなく流れ、主に固定子鉄心9に発生する鉄損、固定子コイル13に発生する銅損、回転子コイル12に発生する銅損による温度上昇を低減させている。
【0033】
一方、アキシャルダクト18を流れる冷媒20cは、回転子コイル12に発生する銅損による温度上昇を低減させ、流出側のアキシャルダクト18から流れた冷媒20cは、回転子2から流れてくるため、回転によるファンアクション(後述するオイラーヘッド圧力)により、冷媒20cが径方向へ流れることになる。この径方向に流れた冷媒20cは、回転子コイルエンド6の空隙(詳細形状は後述する)22を流れて、ギャップ14から通過してきた冷媒20bと合流することになる(
図1の合流点21)。
【0034】
この時、上述したように、冷媒20には微細な粉塵が含まれるため、冷媒20bと冷媒20cの合流点21に位置する固定子コイルエンド10の絶縁が損傷する恐れがある。つまり、言い換えると、粉塵によるブラスト効果により、固定子コイルエンド10の絶縁層が削れ、一定部位の絶縁性能を低下させることになる。
【0035】
図3に、回転子の回転子コイルエンド6の
図1のA矢視の図を示す。
【0036】
図3に示すように、回転子コイルエンド6は内径側に空隙22が形成される。本実施例の回転子2は円筒界磁形のため、回転子コイルエンド6は軸方向に重なるように施され、軸方向の回転子コイルエンド6の空隙22には緩衝材23が装填されている。回転子鉄心7に近接(軸方向中心側に近接)する回転子コイルエンド6は、回転子鉄心7を跨らせ、かつ、空隙22が形成されるようにしている。
【0037】
このように構成することで、回転子コイル12及び回転子コイルエンド6は冷媒20に接触する伝熱面積を増やすことができ、冷却性能を向上させることができる。上述したアキシャルダクト18から流れてきた冷媒20cは、回転子コイルエンド6で形成された空隙22を通風路として合流点21に流れることになる。これは、回転子コイル12及び回転子コイルエンド6の冷却性能を向上させるためであり、円筒界磁形回転子特有の構造と言える。
【0038】
次に、冷媒20bと冷媒20cの合流点21の拡大図を
図4に示す。
【0039】
図4に示すように、本実施例では、回転子コイルエンド6からの冷媒20cと、ギャップ14を通過した冷媒20bが合流する面に位置する固定子コイルエンド10の絶縁膜24の厚みを厚くしている。即ち、固定子コイル13の冷媒が流出する側の固定子コイルエンド10の回転子コイルエンド6と対向する部分(特に空隙22と対向している部分)に被覆されている絶縁膜24の厚みが、他の部分の固定子コイル13に被覆されている絶縁膜の厚みより厚く形成されている。しかも、固定子鉄心9の内径面と絶縁膜24の内径面が略同じ位置となっている。
【0040】
このように、冷媒20が流れて合流する部位にのみの絶縁膜24を厚くすることで、固定子コイル13の全部の絶縁膜を厚くするが必要ないため、固定子コイル13の占積率の低下が抑制でき、コイル絶縁の材料、工数を低減しつつ、コイル絶縁の損傷を防止することができる。
【0041】
コイル絶縁は、高電圧(数kVクラス)の場合にはマイカ絶縁が適用される。
図4で図示した部位だけマイカテープを他の部位よりも多く巻くことで、
図4の構成を形成できる。また、固定子コイル13を固定子鉄心9に組み込んだ後に保護する場合は、シリコンや樹脂(ポリカーボネート等)の絶縁材料にて絶縁膜24を厚くすることでも同様の効果が得られる。
【0042】
更に、
図5に示すように、絶縁膜の形状を、中心部分の内径側に向うに従い順次厚くなる凸形状に形成した絶縁膜24aとし、粉塵が衝突する面に傾斜を設ける構成としても良い。
【0043】
このような形状にすることで、上記した
図4の絶縁膜24の構成で得られる効果は勿論、粉塵が衝突するエネルギーを分散させることができ、絶縁膜24aを削れにくくすることができる。
【0044】
このような本実施例の構成によれば、回転電機100内に流入する粉塵から固定子コイルエンド10を効果的に保護してコイルの損傷を低減し、信頼性及び寿命の向上を図ることができる。
【0045】
尚、本実施例で説明した回転電機100は、極数10極、固定子3のスロット数は90であるが、他の極数、スロット数としても本実施例と同様な効果が得られる。
固定子楔17は、固定子鉄心9に配置した固定子コイル13がギャップ14に脱落しない(飛び出さない)ように拘束する部品であり、この固定子楔17を固定子鉄心9より軸方向に合流点21を含む部分まで延伸させることで、固定子コイルエンド10を保護することができる。
このような本実施例の構成とすることで、回転電機100内に流入する粉塵から固定子コイルエンド10を効果的に保護してコイルの損傷を低減し、信頼性及び寿命の向上を図ることができることは勿論、コイルの絶縁材料を使用しなくても、粉塵に対してのコイルを保護することができる。