(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060350
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】料金算出装置、料金算出方法、料金算出プログラム及び成果量算出装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240424BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167673
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】河南 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】村山 雅美
(72)【発明者】
【氏名】小西 祐介
(72)【発明者】
【氏名】佐倉谷 一郎
(72)【発明者】
【氏名】中井 玲
(72)【発明者】
【氏名】鍋倉 慎治
(72)【発明者】
【氏名】細谷 良徳
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】所望の成果を得るための付帯手段の適用を促す。
【解決手段】料金算出装置1は、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造設備82に、結果物を得る際に発生する結果物とは別の排出発生物を削減するための削減設備84A1を適用することよって削減された排出発生物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部2と、情報取得部2により取得された指標値を用いて、成果量を得る削減成果量取得部3と、成果量を料金に換算する料金換算部4と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料物を受け入れて前記原料物から結果物を生む製造手段に、前記結果物を得る際に発生する前記結果物とは別の排出発生物を削減するための付帯手段を適用することよって削減された前記排出発生物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得る成果量取得部と、
前記成果量を料金に換算する料金換算部と、を備える、料金算出装置。
【請求項2】
前記成果量取得部は、
前記付帯手段の適用前において、前記排出発生物の量を示す第1の排出量を得る第1の排出量演算部と、
前記付帯手段の適用後において、前記排出発生物の量を示す第2の排出量を得る第2の排出量演算部と、
前記第1の排出量と前記第2の排出量の差分を前記成果量として得る成果量演算部と、を有する、請求項1に記載の料金算出装置。
【請求項3】
原料物及び前記原料物とは別の消費物を受け入れて前記原料物から結果物を生むと共に前記消費物に基づく排出消費物を排出する製造手段に、前記排出消費物を回収消費物として回収するための付帯手段を適用することによって前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得る成果量取得部と、
前記成果量を料金に換算する料金換算部と、を備える、料金算出装置。
【請求項4】
前記成果量取得部は、
前記付帯手段の適用前において、前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を示す第1の回収量を得る第1の回収量演算部と、
前記付帯手段の適用後において、前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を示す第2の回収量を得る第2の回収量演算部と、
前記第1の回収量と前記第2の回収量の差分を前記成果量として得る回収成果量演算部と、を有する、請求項3に記載の料金算出装置。
【請求項5】
原料物を受け入れて前記原料物から結果物を生む製造手段に、前記結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための付帯手段を適用することよって削減された前記エネルギの量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得る成果量取得部と、
前記成果量を料金に換算する料金換算部と、を備える、料金算出装置。
【請求項6】
前記成果量取得部は、
前記付帯手段の適用前において、前記製造手段に要求される前記エネルギの量を示す第1のエネルギ量を得る第1のエネルギ量演算部と、
前記付帯手段の適用後において、前記製造手段に要求される前記エネルギの量を示す第2のエネルギ量を得る第2のエネルギ量演算部と、
前記第1のエネルギ量と前記第2のエネルギ量との差分を前記成果量として得る省エネルギ成果量演算部と、を有する、請求項5に記載の料金算出装置。
【請求項7】
前記料金換算部は、契約単価情報を用いて前記成果量を料金に換算し、
契約単価前提条件が変更されたときに、前記契約単価情報を更新する契約単価情報更新部をさらに備える、請求項1~6の何れか一項に記載の料金算出装置。
【請求項8】
前記製造手段に前記付帯手段を適用するとは、前記製造手段に設けられていた第1の付帯手段を前記第1の付帯手段とは別の第2の付帯手段に交換することであり、
前記付帯手段は、前記第2の付帯手段である、請求項1~6の何れか一項に記載の料金算出装置。
【請求項9】
前記製造手段に前記付帯手段を適用するとは、前記付帯手段が設けられていなかった前記製造手段に、前記付帯手段を新たに設けることをいう、請求項1~6の何れか一項に記載の料金算出装置。
【請求項10】
原料物を受け入れて前記原料物から結果物を生む製造手段に、前記結果物を得る際に発生する前記結果物とは別の排出発生物を削減するための付帯手段を適用することよって削減された前記排出発生物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、
前記指標値を得るステップにより取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得るステップと、
前記成果量を料金に換算するステップと、を有する、料金算出方法。
【請求項11】
原料物及び前記原料物とは別の消費物を受け入れて前記原料物から結果物を生むと共に前記消費物に基づく排出消費物を排出する製造手段に、前記排出消費物を回収消費物として回収するための付帯手段を適用することによって前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、
前記指標値を得るステップにより取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得るステップと、
前記成果量を料金に換算するステップと、を有する、料金算出方法。
【請求項12】
原料物を受け入れて前記原料物から結果物を生む製造手段に、前記結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための付帯手段を適用することよって削減された前記エネルギの量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、
前記指標値を得るステップにより取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得るステップと、
前記成果量を料金に換算するステップと、を有する、料金算出方法。
【請求項13】
原料物を受け入れて前記原料物から結果物を生む製造手段に、前記結果物を得る際に発生する前記結果物とは別の排出発生物を削減するための付帯手段を適用することよって削減された前記排出発生物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、
前記指標値を得るステップにより取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得るステップと、
前記成果量を料金に換算するステップと、をコンピュータに実行させる、料金算出プログラム。
【請求項14】
原料物及び前記原料物とは別の消費物を受け入れて前記原料物から結果物を生むと共に前記消費物に基づく排出消費物を排出する製造手段に、前記排出消費物を回収消費物として回収するための付帯手段を適用することによって前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、
前記指標値を得るステップにより取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得るステップと、
前記成果量を料金に換算するステップと、をコンピュータに実行させる、料金算出プログラム。
【請求項15】
原料物を受け入れて前記原料物から結果物を生む製造手段に、前記結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための付帯手段を適用することよって削減された前記エネルギの量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、
前記指標値を得るステップにより取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得るステップと、
前記成果量を料金に換算するステップと、をコンピュータに実行させる、料金算出プログラム。
【請求項16】
原料物を受け入れて前記原料物から結果物を生む製造手段に、前記結果物を得る際に発生する前記結果物とは別の排出発生物を削減するための付帯手段を適用することよって削減された前記排出発生物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得る成果量取得部と、を備え、
前記成果量取得部は、
前記付帯手段の適用前において、前記排出発生物の量を示す第1の排出量を得る第1の排出量演算部と、
前記付帯手段の適用後において、前記排出発生物の量を示す第2の排出量を得る第2の排出量演算部と、
前記第1の排出量と前記第2の排出量の差分を前記成果量として得る成果量演算部と、を有する、成果量算出装置。
【請求項17】
原料物及び前記原料物とは別の消費物を受け入れて前記原料物から結果物を生むと共に前記消費物に基づく排出消費物を排出する製造手段に、前記排出消費物を回収消費物として回収するための付帯手段を適用することによって前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得る成果量取得部と、を備え、
前記成果量取得部は、
前記付帯手段の適用前において、前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を示す第1の回収量を得る第1の回収量演算部と、
前記付帯手段の適用後において、前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を示す第2の回収量を得る第2の回収量演算部と、
前記第1の回収量と前記第2の回収量の差分を前記成果量として得る回収成果量演算部と、を有する、成果量算出装置。
【請求項18】
原料物を受け入れて前記原料物から結果物を生む製造手段に、前記結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための付帯手段を適用することよって削減された前記エネルギの量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得る成果量取得部と、を備え、
前記成果量取得部は、
前記付帯手段の適用前において、前記製造手段に要求される前記エネルギの量を示す第1のエネルギ量を得る第1のエネルギ量演算部と、
前記付帯手段の適用後において、前記製造手段に要求される前記エネルギの量を示す第2のエネルギ量を得る第2のエネルギ量演算部と、
前記第1のエネルギ量と前記第2のエネルギ量との差分を前記成果量として得る省エネルギ成果量演算部と、を有する、成果量算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金算出装置、料金算出方法、料金算出プログラム及び成果量算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な設備の導入や運用には、様々な場面においてコストが発生する。例えば、特許文献1、2は、水処理システムのコスト計算に関する技術を開示する。特許文献1は、水処理設備のメンテナンス料金に関する手法を開示する。特許文献2は、水処理システムのコスト算出に関する手法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-166373号公報
【特許文献2】特許第6781642号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工業製品を生産するといった事業の実施には、環境負荷の発生が伴う。環境負荷を低減するための対策の重要性は、ますます高まっている。また、環境負荷に関する目標も、年を追うごとに高まる傾向にある。このような目標を達成するために、省エネルギ設備、排出物を回収する設備及び排出物の量を削減する設備といった手段が用いられることがある。
【0005】
これらの手段を導入した当初は、数値目標を達成するといった所望の成果を得ることができる。しかし、様々な理由によって、所望の成果を得られなくなる場合がある。例えば、目標に変更がなくとも、導入した設備の性能の低下によって目標を達成できなくなる。また、例えば、導入した設備の性能を維持できたとしても、目標の数値が高まった場合も目標を達成できなくなる。
【0006】
目標が達成できない状況に立たされた顧客は、所望の成果を得るための新たな手段を検討する必要に迫られる。新たに導入した手段であっても、時間の経過や状況の変化によって、再び目標を達成することができなくなることも予想される。さらに、新たな手段の導入には、少なくないコストが発生する。つまり、顧客は、新たな手段の導入に際して複雑に関係し合う要因を考慮しながら検討を進める必要があった。これらの検討を要することは、所望の成果を得るための手段の導入を阻害する要因となり得た。
【0007】
そこで、本発明は、所望の成果を得るための手段の適用を促すことが可能な料金算出装置、料金算出方法、料金算出プログラム及び成果量算出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態である料金算出装置は、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造手段に、結果物を得る際に発生する結果物とは別の排出発生物を削減するための付帯手段を適用することよって削減された排出発生物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、情報取得部により取得された指標値を用いて、成果量を得る成果量取得部と、成果量を料金に換算する料金換算部と、を備える。
【0009】
この料金算出装置は、排出発生物を削減した量として示される成果量に応じて料金を算出する。このような算出によれば、付帯手段を導入する顧客は、多額の導入費用を準備する必要がないし、導入の結果として意図した削減効果が得られるか否かといった懸念から解放される。従って、所望の成果を得るための付帯手段の適用を促すことができる。
【0010】
上記の料金算出装置の成果量取得部は、付帯手段の適用前において、排出発生物の量を示す第1の排出量を得る第1の排出量演算部と、付帯手段の適用後において、排出発生物の量を示す第2の排出量を得る第2の排出量演算部と、第1の排出量と第2の排出量の差分を成果量として得る成果量演算部と、を有してもよい。
【0011】
本発明の別の形態である料金算出装置は、原料物及び原料物とは別の消費物を受け入れて原料物から結果物を生むと共に消費物に基づく排出消費物を排出する製造手段に、排出消費物を回収消費物として回収するための付帯手段を適用することによって排出消費物から回収された回収消費物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、情報取得部により取得された指標値を用いて、成果量を得る成果量取得部と、成果量を料金に換算する料金換算部と、を備える。
【0012】
この料金算出装置は、排出消費物から回収された回収消費物の量として示される成果量に応じて料金を算出する。このような算出によれば、付帯手段を導入する顧客は、多額の導入費用を準備する必要がないし、導入の結果として意図した回収効果が得られるか否かといった懸念から解放される。従って、所望の成果を得るための付帯手段の適用を促すことができる。
【0013】
別の形態における料金算出装置の成果量取得部は、付帯手段の適用前において、排出消費物から回収された回収消費物の量を示す第1の回収量を得る第1の回収量演算部と、付帯手段の適用後において、排出消費物から回収された回収消費物の量を示す第2の回収量を得る第2の回収量演算部と、第1の回収量と第2の回収量の差分を成果量として得る回収成果量演算部と、を有してもよい。
【0014】
本発明のさらに別の形態である料金算出装置は、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造手段に、結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための付帯手段を適用することよって削減されたエネルギの量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、情報取得部により取得された指標値を用いて、成果量を得る成果量取得部と、成果量を料金に換算する料金換算部と、を備える。
【0015】
この料金算出装置は、エネルギの低減量として示される成果量に応じて料金を算出する。このような算出によれば、付帯手段を導入する顧客は、多額の導入費用を準備する必要がないし、導入の結果として意図した省エネルギ効果が得られるか否かといった懸念から解放される。従って、所望の成果を得るための付帯手段の適用を促すことができる。
【0016】
さらに別の形態である料金算出装置の成果量取得部は、付帯手段の適用前において、製造手段に要求されるエネルギの量を示す第1のエネルギ量を得る第1のエネルギ量演算部と、付帯手段の適用後において、製造手段に要求されるエネルギの量を示す第2のエネルギ量を得る第2のエネルギ量演算部と、第1のエネルギ量と第2のエネルギ量との差分を成果量として得る省エネルギ成果量演算部と、を有してもよい。
【0017】
上記の料金算出装置の料金換算部は、契約単価情報を用いて成果量を料金に換算し、上記の料金算出装置は、契約単価前提条件が変更されたときに、契約単価情報を更新する契約単価情報更新部をさらに備えてもよい。
【0018】
上記において、製造手段に付帯手段を適用するとは、製造手段に設けられていた第1の付帯手段を第1の付帯手段とは別の第2の付帯手段に交換することであり、付帯手段は、第2の付帯手段であってもよい。
【0019】
上記において、製造手段に付帯手段を適用するとは、付帯手段が設けられていなかった製造手段に、付帯手段を新たに設けることであってもよい。
【0020】
本発明のさらに別の形態である料金算出方法は、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造手段に、結果物を得る際に発生する結果物とは別の排出発生物を削減するための付帯手段を適用することよって削減された排出発生物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、指標値を得るステップにより取得された指標値を用いて、成果量を得るステップと、成果量を料金に換算するステップと、を有する。
【0021】
本発明のさらに別の形態である料金算出方法は、原料物及び原料物とは別の消費物を受け入れて原料物から結果物を生むと共に消費物に基づく排出消費物を排出する製造手段に、排出消費物を回収消費物として回収するための付帯手段を適用することによって排出消費物から回収された回収消費物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、指標値を得るステップにより取得された指標値を用いて、成果量を得るステップと、成果量を料金に換算するステップと、を有する。
【0022】
本発明のさらに別の形態である料金算出方法は、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造手段に、結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための付帯手段を適用することよって削減されたエネルギの量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、指標値を得るステップにより取得された指標値を用いて、成果量を得るステップと、成果量を料金に換算するステップと、を有する。
【0023】
本発明のさらに別の形態である料金算出プログラムは、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造手段に、結果物を得る際に発生する結果物とは別の排出発生物を削減するための付帯手段を適用することよって削減された排出発生物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、指標値を得るステップにより取得された指標値を用いて、成果量を得るステップと、成果量を料金に換算するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0024】
本発明のさらに別の形態である料金算出プログラムは、原料物及び原料物とは別の消費物を受け入れて原料物から結果物を生むと共に消費物に基づく排出消費物を排出する製造手段に、排出消費物を回収消費物として回収するための付帯手段を適用することによって排出消費物から回収された回収消費物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、指標値を得るステップにより取得された指標値を用いて、成果量を得るステップと、成果量を料金に換算するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0025】
本発明のさらに別の形態である料金算出プログラムは、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造手段に、結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための付帯手段を適用することよって削減されたエネルギの量を成果として示す成果量を得るための指標値を得るステップと、指標値を得るステップにより取得された指標値を用いて、成果量を得るステップと、成果量を料金に換算するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0026】
本発明のさらに別の形態である成果量算出装置は、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造手段に、結果物を得る際に発生する結果物とは別の排出発生物を削減するための付帯手段を適用することよって削減された排出発生物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、情報取得部により取得された指標値を用いて、成果量を得る成果量取得部と、を備え、成果量取得部は、付帯手段の適用前において、排出発生物の量を示す第1の排出量を得る第1の排出量演算部と、付帯手段の適用後において、排出発生物の量を示す第2の排出量を得る第2の排出量演算部と、第1の排出量と第2の排出量の差分を成果量として得る成果量演算部と、を有する。
【0027】
本発明のさらに別の形態である成果量算出装置は、原料物及び原料物とは別の消費物を受け入れて原料物から結果物を生むと共に消費物に基づく排出消費物を排出する製造手段に、排出消費物を回収消費物として回収するための付帯手段を適用することによって排出消費物から回収された回収消費物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、情報取得部により取得された指標値を用いて、成果量を得る成果量取得部と、を備える。成果量取得部は、付帯手段の適用前において、排出消費物から回収された回収消費物の量を示す第1の回収量を得る第1の回収量演算部と、付帯手段の適用後において、排出消費物から回収された回収消費物の量を示す第2の回収量を得る第2の回収量演算部と、第1の回収量と第2の回収量の差分を成果量として得る回収成果量演算部と、を有する。
【0028】
本発明のさらに別の形態である成果量算出装置は、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造手段に、結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための付帯手段を適用することよって削減されたエネルギの量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、情報取得部により取得された指標値を用いて、成果量を得る成果量取得部と、を備える。成果量取得部は、付帯手段の適用前において、製造手段に要求されるエネルギの量を示す第1のエネルギ量を得る第1のエネルギ量演算部と、付帯手段の適用後において、製造手段に要求されるエネルギの量を示す第2のエネルギ量を得る第2のエネルギ量演算部と、第1のエネルギ量と第2のエネルギ量との差分を成果量として得る省エネルギ成果量演算部と、を有する。
【0029】
上記の料金算出方法、料金算出プログラム及び成果量算装置によっても、所望の成果を得るための付帯手段の適用を促すことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、所望の成果を得るための手段の適用を促すことが可能な料金算出装置、料金算出方法、料金算出プログラム及び成果量算出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、第1実施形態における料金算出装置の適用例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、製造設備と付帯設備との関係を示す概略図である。
【
図3】
図3は、料金算出装置の物理的な構成の例示である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における料金算出装置の機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態における料金算出方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態における料金算出装置の適用例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態における料金算出装置の機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態における料金算出方法のフローチャートである。
【
図9】
図9は、第3実施形態における料金算出装置の適用例を示す概略図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態における料金算出装置の機能ブロック図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態における料金算出方法のフローチャートである。
【
図12】
図12は、第4実施形態における料金算出装置の適用例を示す概略図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態における料金算出装置の機能ブロック図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態における料金算出方法のフローチャートである。
【
図16】
図16は、変形例の料金算出装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0033】
図1は、製造施設81に適用される料金算出装置1の機能を概念的に示す。なお、料金算出装置1の適用先は、製造施設81には限定されない。
【0034】
製造施設81は、製造設備82と、エネルギ供給設備83と、対象設備84と、を含む。まず、製造設備82と、対象設備84との関係について説明する。
図2に示すように、製造設備82は、原料物を受け入れて、結果物を生む。製造設備82は、この機能を実行するために、エネルギ供給設備83に所定のエネルギを要求する。そして、製造設備82は、稼働の結果として、結果物と共に結果物とは異なる排出発生物及び排出消費物を排出する。なお、料金算出装置1を適用するにあたり、原料物、結果物、エネルギ、排出発生物及び排出消費物の具体例は、特に限定されない。
【0035】
このような製造設備82に適用される対象設備84として、本実施形態では3つの態様を例示する。
【0036】
第1の例示として、対象設備84は、排出発生物を削減するための削減設備84A1である。例えば、削減設備84A1は、製造設備82から排気ガスを受け入れる。削減設備84A1は、排気ガスに含まれる排出発生物の一種である二酸化炭素を削減する。従って、削減設備84A1から排出されるガスは、製造設備82からの排気ガスと比べると、二酸化炭素の量が削減されている。従って、第1の例示では、排出発生物である二酸化炭素の削減を目的として、削減設備84A1が製造設備82に適用される。その結果、排出発生物の削減量が、削減設備84A1を適用した成果となる。なお、上記の二酸化炭素を用いた説明は、例示であるから、この内容には当然に限定されない。削減対象となる排出発生物は、二酸化炭素の他に、排水、汚泥、メタン、一酸化炭素及び廃溶剤などが例示できる。
【0037】
第2の例示として対象設備84は、排出消費物を回収するための回収設備84B1である。製造設備82は、稼働に際して、水や溶剤といった消費物を要求することがある。これらの消費物は、稼働の結果、汚水や廃溶剤といった排出消費物として排出される。回収設備84B1は、これらの排出消費物を再び製造設備82に提供が可能な回収消費物として回収する機能を有する。つまり、第2の例示では、回収設備84B1で回収されたものは、再び製造設備82に提供されてもよいし、製造設備82に提供されなくてもよい。従って、第2の例示では、排出消費物から回収消費物を回収すること目的として、回収設備84B1が製造設備82に適用される。その結果、回収消費物の量が、回収設備84Bを適用した成果となる。
【0038】
第3の例示として対象設備84は、要求されるエネルギの量を削減する省エネルギ設備84C1は、製造設備82とは別の設備であってもよいし、製造設備82に組み込まれることにより製造設備82の一部品として機能するものであってもよい。省エネルギ設備84C1を適用することによって、所定量の結果物を得るために要求されるエネルギの量を低減することができる。エネルギとしては、電力、重油及び天然ガスなどが例示できる。第3の例示では、要求されるエネルギの量の低減を目的として、省エネルギ設備84C1が製造設備82に適用される。その結果、要求されるエネルギの低減量が、省エネルギ設備84C1を適用した成果となる。
【0039】
製造設備82としては、例えば、リチウムイオン二次電池の電極(正極)を製造する電極製造設備が挙げられる。リチウムイオン二次電池等の電池の正極は、例えば、正極活物質をバインダーと共に分散媒に分散させてスラリーを生成し、そのスラリーを電極集電体の表面に塗布し、塗布後、蒸発気化により分散媒を除去することによって製造される。リチウムイオン二次電池の場合、正極活物質には、例えば、コバルト酸リチウムやリン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム等が使用される。バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン単量体単位を含む共重合体等が使用されている。分散媒としては、例えば、有機溶剤(NMP:N-メチル-2-ピロリドン)が使用される。
【0040】
製造設備82が上述した電極製造設備である場合、製造設備82に供給される原料物としては、正極活物質やバインダーが挙げられる。製造設備82に供給される消費物及び製造設備82から排出される排出消費物としては、有機溶剤が挙げられる。なお、製造設備82に供給される消費物としての有機溶剤は、精製等により不純物の含有量が低減された有機溶剤である。製造設備82から排出される排出消費物としての有機溶剤は、消費物としての有機溶剤に比べて不純物の含有量が高い有機溶剤である。製造設備82で製造された結果物としては、電極が挙げられる。
【0041】
回収設備84B1としては、製造設備82から排出される排出消費物としての有機溶剤を回収する有機溶剤回収設備が挙げられる。例えば、製造設備82に回収設備84B1が設けられていない場合、有機溶剤の供給源から製造設備82まで有機溶剤(消費物)を運搬して製造設備82に供給したり、製造設備82から所定の処理設備まで有機溶剤(排出消費物)を運搬して廃棄処理していた。これに対し、製造設備82に回収設備84B1を適用することにより、製造設備82から排出された有機溶剤(排出消費物)を回収・精製し、消費物として再び製造設備82に供給するすることができるようになる。これにより、有機溶剤の運搬が不要となり、製造設備82に回収設備84B1が設けられていない場合に比べてCO2を削減することができる。なお、製造設備82が上述した電極製造設備である場合、エネルギ供給設備83や削減設備84A1等は必ずしも設けられている必要はない。
【0042】
再び
図1を参照する。製造施設81の稼働によって利益を得る者を以下の説明において「顧客P1」と称する。製造施設81は、1又は複数の製造設備82を含む。これらの製造設備82が稼働した結果、製造の目的とする製品(結果物)のほかに、二酸化炭素、排水及び汚泥が発生する。以下の説明において、二酸化炭素、排水及び汚泥などをまとめて、「排出発生物」と称することがある。
【0043】
排出発生物は、環境に負荷を与える可能性がある。そこで、製造施設81には、排出発生物に起因する環境負荷を低減するための対策が要求される。例えば、稼働によって発生される排出発生物を削減する対策が挙げられる。また、製造設備82から発生される排出消費物を回収する対策も挙げられる。さらに、製造設備82が要求するエネルギを低減する対策も挙げられる。
【0044】
第1実施形態では、上記3つの態様のうち、排出発生物を削減する対策に注目した形態を説明する。つまり、対象設備84が、
図2に示す削減設備84A1である例に説明する。排出消費物を回収する対策に注目する場合として、対象設備84が回収設備84B1である形態は、第3実施形態として説明する。同様に、要求するエネルギを低減する対策に注目する場合として、対象設備84が省エネルギ設備84C1である形態は、第4実施形態として説明する。
【0045】
削減設備84A1は、削減設備84A1の稼働時間が増加するごとに排出発生物を削減する機能は低下することがある。さらに、排出発生物の量には、削減目標が課されることもある。
【0046】
その結果、顧客P1は、削減目標を達成するための対策を検討する必要がある。例えば、目標を達成できなくなった製造設備82を、目標を達成できる新たな製造設備82に置き換えることが挙げられる。また、目標を達成できなくなった削減設備84A2を、目標を達成できる削減設備84A1に置き換えることも挙げられる。さらに、目標を達成できなくなった製造設備82や削減設備84A2に対して、機能を回復させるような付加的な補助装置を付すこともあり得る。
【0047】
以下の説明では、「手段」とは、排出発生物の発生量を削減するための設備又は消費材、排出消費物の回収量を増加するための設備又は消費材、要求されるエネルギを低減するための設備又は消費材を含む概念であると定義する。さらに、「手段の導入」及び「手段の適用」とは、使用中の設備又は消費材を新たな設備又は消費材への置き換えることと、対策のための設備又は消費材が設けられていなかった製造設備82に対して、新たに対策のための設備又は消費材を設けることと、を含む概念であると定義する。
【0048】
これらの対策を実行するときには、いくつかの懸念事項が生じる。第1の懸念事項は、導入のためのコストである。第2の懸念事項は、対策を施した結果、想定したとおりの成果(削減効果)が得られるか否かという点である。対策の検討に迫られた顧客P1は、これらの事項を評価しながら、どのような対策を実行すべきか検討する必要があった。
【0049】
そこで、発明者らが鋭意検討した結果、導入コストの問題と不確定要素である削減効果の問題とを解消することによって、新たな対策を導入しやすくする手段を想到するに至った。以下、新たな対策を導入しやすくする手段について、詳細に説明する。また、詳細な説明において、排出発生物として、二酸化炭素(CO2)を例示する。また、削減目標を達成するための対策として、削減設備84A2から削減設備84A1への置き換えを例示する。つまり、顧客P1が削減目標を達成できなくなった削減設備84A2を、削減目標を達成できる削減設備84A1に置き換える場合をモデルケースとして説明する。
【0050】
なお、削減目標を達成するための対策として、そもそも削減設備84A1が設けられていなかった製造設備82に、新たに対象設備83A1を設ける場合は、第2実施形態として説明する。
【0051】
顧客P1は、削減設備84A1をサービス提供業者P2から導入する。このとき、サービス提供業者P2は、顧客P1から対価を受ける。ここで、通常であれば、サービス提供業者P2は、削減設備84A1そのものの価値や導入に伴う付帯作業などに基づいて対価を設定する。一方、発明者らが想到した手段によれば、サービス提供業者P2は、削減設備84A1そのものの価値や導入に伴う作業などに基づいて対価を設定しない。サービス提供業者P2は、削減設備84A1を置き換えることによって削減された二酸化炭素の量(削減成果量φ4)に基づいて対価を設定する。つまり、サービス提供業者P2は、削減設備84A1を置き換えることによって得た成果量(削減成果量φ4)に基づいて対価(料金φ5)を算出する。この対価(料金φ5)は、実施形態の料金算出装置1によって得ることができる。
【0052】
料金算出装置1は、削減目標を達成できなくなった削減設備84A2の稼働によって発生する二酸化炭素の量(以下「排出量」と称する)を想定する。削減設備84A2の発生量を以下の説明において「想定排出量」と称する。さらに、料金算出装置1は、置き換えられた削減設備84A1の稼働によって発生する二酸化炭素の量を得る。新手段である削減設備84A1の排出量を以下の説明において「実際排出量φ2」と称する。次に、料金算出装置1は、想定排出量と実際排出量φ2の差分を、成果量である削減成果量φ4として得る。そして、料金算出装置1は、削減成果量φ4を料金φ5に換算する。
【0053】
つまり、料金算出装置1は、削減成果量φ4といった排出発生物の削減量を料金φ5の算出に用いる。従って、料金φ5を算出するに際しては、対象とする排出発生物は、特定の物質に限定されない。同様に、料金φ5を算出するに際しては、対象とする排出発生物を削減するための手段も特定の手段に限定されない。例えば、対象とする排出発生物をCO2であると設定した場合には、CO2を削減する機能を奏するあらゆる手段について、料金算出装置1を適用することができる。
【0054】
対象とする排出発生物としては、二酸化炭素(CO2)の他に、排水、汚泥、メタン、一酸化二窒素等の温室効果ガスが例示できる。また、排出発生物を削減する機能を奏する手段としては、新たな設備への置き換え(全交換)、旧設備を構成する部品の交換(一部交換)、新たな装置の付加及び消費材の使用が挙げられる。なお、「新たな」との意味は、旧手段に比べて排出発生物の量を低減できるものを意味する。つまり、「新たな設備」とは、新品である必要はなく、排出量を削減する効果をできるという条件のもと、中古品であってもよい。
【0055】
さらに、排出発生物を削減する機能を奏する手段は、新たな装置への置き換え、新たな装置の付加、消費材の使用のいずれか一つを採用するものであってもよいし、複数の組み合わせを採用するものであってもよい。なぜならば、異なる手段を採用した場合であっても、評価の基準は削減成果量φ4であり、異なる手段を組み合わせて得たトータルの削減成果量φ4として評価が可能であるためである。装置の例示としては、冷凍機、排水処理設備が挙げられる。消費材の例示としては、冷凍機に用いられる冷却水複合処理材、排水処理設備に用いられる排水汚泥減容材が挙げられる。
【0056】
図3を参照して、料金算出装置1のハードウェア構成について説明する。料金算出装置1は、例えば、コンピュータ10が料金算出プログラムPGを実行することによって実現される。料金算出プログラムPGは、コンピュータ10に料金算出方法を実行させる。
【0057】
料金算出装置1は、1又は複数のコンピュータ10を含む。コンピュータ10は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)11と、主記憶部12と、補助記憶部13と、通信制御部14と、入力装置15と、出力装置16とを有する。料金算出装置1は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された1又は複数のコンピュータ10によって構成される。
【0058】
料金算出装置1が複数のコンピュータ10によって構成される場合には、これらのコンピュータ10はローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されてもよい。この接続によって、論理的に1つの料金算出装置1が構築される。
【0059】
CPU11は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行する。主記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)により構成される。補助記憶部13は、ハードディスク及びフラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。補助記憶部13は、一般的に主記憶部12よりも大量のデータを記憶する。通信制御部14は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。入力装置15は、キーボード、マウス、タッチパネル、及び、音声入力用マイクなどにより構成される。出力装置16は、ディスプレイ及びプリンタなどにより構成される。
【0060】
補助記憶部13は、予め、料金算出プログラムPG及び処理に必要なデータを格納している。料金算出プログラムPGは、料金算出装置1の各機能要素をコンピュータ10に実行させる。例えば、料金算出プログラムPGは、CPU11又は主記憶部12によって読み込まれ、CPU11、主記憶部12、補助記憶部13、通信制御部14、入力装置15、及び出力装置16の少なくとも1つを動作させる。例えば、料金算出プログラムPGは、主記憶部12及び補助記憶部13におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。
【0061】
料金算出プログラムPGは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に記録された上で提供されてもよい。料金算出プログラムPGは、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0062】
以下、料金算出装置1について詳細に説明する。
図4に示すように、料金算出装置1は、いくつかの機能構成要素を含む。料金算出装置1は、情報取得部2と、削減成果量取得部3(成果量取得部)と、料金換算部4と、情報出力部5と、を有する。これらの機能構成要素は、コンピュータ10によって料金算出プログラムPGが実行された結果、それぞれ実現される。
【0063】
情報取得部2は、料金φ5を算出するための情報として指標値φ1を受ける。指標値φ1の受け方には、いくつかの態様があり得る。
【0064】
情報取得部2は、有線通信又は無線通信によって指標値φ1を得てもよい。例えば、情報取得部2は、削減設備84A1に設けられているCO
2センサ86(
図1参照)から送信された測定データを指標値φ1として受けてもよい。情報取得部2は、削減設備84A1の稼働状況を示す情報を指標値φ1として削減設備84A1から受けてもよい。さらに、情報取得部2は、稼働状況を示す情報を指標値φ1として外部情報源91から受けてもよい。さらに、情報取得部2は、オペレータの入力操作によって指標値φ1を受けてもよい。
【0065】
削減成果量取得部3は、指標値φ1やそのほかの情報を利用して削減成果量φ4を算出する。そして、料金換算部4は、削減成果量φ4を料金φ5に換算する。料金φ5を算出するタイミングにも特に制限はない。例えば、削減成果量取得部3及び料金換算部4は、1か月ごとに料金φ5を算出してもよいし、6か月ごとに料金φ5を算出してもよい。
【0066】
情報出力部5は、算出した料金φ5を出力する。例えば、情報出力部5は、外部記憶装置92に料金φ5を出力してもよい。情報出力部5は、ディスプレイといった表示装置93に料金φ5を出力してもよい。さらに、情報出力部5は、インターネットなどの通信回線Nを介して所定のサーバ94に料金φ5を出力してもよい。
【0067】
料金算出装置1の各機能構成要素について、さらに詳細に説明する。
【0068】
情報取得部2は、指標値φ1を受ける。通信によって指標値φ1を受ける場合には、情報取得部2は、
図3に示す通信制御部14であってもよい。オペレータの入力によって指標値φ1を受ける場合には、情報取得部2は、キーボードやマウスといった入力装置15であってもよい。
【0069】
情報取得部2は、受けた指標値φ1を削減成果量取得部3に渡す。指標値φ1の具体例を以下に列記する。情報取得部2は、列記したすべての値を受ける必要はないし、列記されていない値を受けることも可能である。なお、設備稼働率は、製造設備82の生産能力、稼働時間及び負荷率などから算出してよい。
CO2排出係数。
消費電力。
重油の使用量。
ガスの使用量。
水の使用量。
水の回収量。
溶剤の使用量。
溶剤の回収量。
汚泥の発生量。
メタンの発生量。
設備稼働率。
【0070】
削減成果量取得部3(成果量取得部)は、実際排出量演算部31(第2の排出量演算部)と、想定排出量演算部32(第1の排出量演算部)と、削減成果量演算部33(成果量演算部)と、を有する。
【0071】
実際排出量演算部31は、削減設備84A1が排出したCO2の量を得る。実際排出量演算部31は、指標値φ1に対して四則演算を施したものを実際排出量φ2として得てもよい。実際排出量演算部31は、指標値φ1を学習済みモデルへの適用によって得られる推論結果を実際排出量φ2として得てもよい。また、実際排出量演算部31は、指標値φ1が排出量そのものである場合には、指標値φ1を実際排出量φ2として得てもよい。この場合には、四則演算のような計算処理は実行されないが、ある数値に振られた指標値φ1というラベルを、実際排出量φ2というラベルに付け替える処理も、「演算」に含める。実際排出量演算部31は、実際排出量φ2を削減成果量演算部33に渡す。
【0072】
実際排出量演算部31は、実際に稼働する削減設備84A1が排出する発生量を対象としていた。つまり、実際排出量φ2は、直接に計測することもできるし、稼働する製造設備82及び削減設備84A1の様々な稼働情報を用いて算出することができる。
【0073】
これに対して、旧手段である削減設備84A2は、新手段である削減設備84A1に置き換えられているので、実際に排出するCO2の量を計測することはできない。そこで、新手段である削減設備84A1の稼働情報を用いて、旧手段である削減設備84A2が排出したであろう想定排出量を得る。例えば、新手段である削減設備84A1がその稼働のために所定の電力を消費した結果、ある実際排出量φ2を生じたとする。このとき、新手段が消費した電力と同じ量の電力を旧手段である削減設備84A2が消費したと仮定したとき、削減設備84A2が排出したであろうCO2の発生量を、想定排出量φ3として得る。
【0074】
想定排出量演算部32の構成の一例を説明する。なお、以下に説明する想定排出量演算部32の構成は、あくまで例示であるから、この構成に限定されることはない。想定排出量演算部32は、旧手段が発生したであろう想定排出量φ3が得られる任意の手段を採用してよい。
【0075】
想定排出量演算部32は、稼働時排出量演算部321と、停止時排出量演算部322と、合算部323と、を有する。稼働時排出量演算部321は、いくつかの指標値φ1を用いて削減設備84A2が稼働しているときに発生するであろう稼働時排出量を得る。同様に、停止時排出量演算部322は、いくつかの指標値φ1を用いて削減設備84A2が停止しているときに発生するであろう停止時排出量を得る。そして、合算部323は、稼働時排出量と停止時排出量とを足し合わせることによって、想定排出量φ3を得る。想定排出量演算部32は、想定排出量φ3を削減成果量演算部33に渡す。
【0076】
稼働時排出量演算部321は、例えば、下記式(1)を用いて稼働時排出量を得てもよい。
稼働時排出量(トン/月)=(A×a+B×b+C×c+D×d+E×e)×X×Z…(1)
A:削減設備84A2の稼働時における1時間当たりの消費電力。
a:単位消費電力(1kWh)あたりのCO2算定基準。
B:削減設備84A2の稼働時における1時間当たりの消費重油。
b:単位消費重油(1kL)あたりのCO2算定基準。
C:削減設備84A2の稼働時における1時間当たりの使用水量。
c:単位使用水量(1kL)あたりのCO2算定基準。
D:削減設備84A2の稼働時における1時間当たりの排水量。
d:単位排水量(1kL)あたりのCO2算定基準。
E:削減設備84A2の稼働時における1時間当たりの汚泥量。
e:単位汚泥量(1t)あたりのCO2算定基準。
X:1日あたりの削減設備84A2の稼働時間。
Z:1か月あたりの削減設備84A2の稼働日数。
【0077】
なお、係数a、b、c、d、eは、環境省によって設定される値を採用してよい。
【0078】
停止時排出量演算部322は、例えば、下記式(2)を用いて停止時排出量を得てもよい。
停止時排出量(トン/月)=(A’×a+B’×b+C’×c+D’×d+E’×e)×X×Z…(2)
A’:削減設備84A2の停止時における1時間当たりの消費電力。
a:単位消費電力(1kWh)あたりのCO2算定基準。
B’:削減設備84A2の停止時における1時間当たりの消費重油。
b:単位消費重油(1kL)あたりのCO2算定基準。
C’:削減設備84A2の停止時における1時間当たりの使用水量。
c:単位使用水量(1kL)あたりのCO2算定基準。
D’:削減設備84A2の停止時における1時間当たりの排水量。
d:単位排水量(1kL)あたりのCO2算定基準。
E’:削減設備84A2の停止時における1時間当たりの汚泥量。
e:単位汚泥量(1t)あたりのCO2算定基準。
X:1日あたりの削減設備84A2の停止時間。
Z:1か月あたりの削減設備84A2の停止日数。
【0079】
なお、上記の算出手法に代えて、想定排出量演算部32は、学習済みモデルに指標値φ1を適用することによって得られる推論結果を想定排出量φ3として得てもよい。
【0080】
また、実際排出量演算部31が、削減設備84A1が消費した電力等の間接情報を用いて実際排出量φ2を得る場合には、想定排出量演算部32と同様に、稼働時排出量演算部321、停止時排出量演算部322及び合算部323に相当する機能構成要素を備えてよい。
【0081】
削減成果量演算部33は、実際排出量演算部31から実際排出量φ2を受ける。削減成果量演算部33は、想定排出量演算部32から想定排出量φ3を受ける。削減成果量演算部33は、下記式(3)に基づき、実際排出量φ2と想定排出量φ3との差分を削減成果量φ4として得る。
削減成果量φ4=想定排出量φ3-実際排出量φ2…(3)
【0082】
なお、実際排出量φ2と想定排出量φ3を記憶部に格納しておき、削減成果量演算部33は、必要に応じて(削減量を算出する際など)、実際排出量φ2と想定排出量φ3を記憶部から読み取るようにしても良い。
【0083】
削減成果量演算部33は、削減成果量φ4を料金換算部4に渡す。また、削減成果量演算部33は、削減成果量φ4を情報出力部5に渡す。
【0084】
料金換算部4は、削減成果量演算部33から削減成果量φ4を受ける。料金換算部4は、下記式(4)に基づき、削減成果量φ4を料金φ5に換算する。料金換算部4は、料金φ5を情報出力部5に渡す。
【0085】
料金換算部4が利用する換算式を例示する。なお、料金換算部4は、削減成果量φ4を独立変数とし、料金φ5を従属変数とする任意の関数を換算式として利用してよい。
料金=削減成果量×契約単価…(4)
【0086】
契約単価は、下記式(5)を利用して得てもよい。変動係数は、例えば、先月のEU発生量取引相場の価格(Q1)と今月のEU発生量取引相場の価格(Q2)との比率(Q2/Q1)であってもよい。
契約単価=固定単価+変動単価×変動係数…(5)
【0087】
料金換算部4が利用する別の換算式を例示する。式(4)に示す換算式は、削減成果量φ4のみに基づいて料金φ5が変動する仕組みであった。例えば、式(6)に示すように、削減成果量φ4に加えて、目標の達成度合いを料金φ5に反映させてもよい。
料金=削減成果量×契約単価×(1±達成係数)…(6)
【0088】
達成係数は、例えば、下記式(7)によって定義してよい。
達成係数=削減成果量/目標削減成果量・・・(7)
【0089】
また、下記式(8)に示すように、達成率に応じたCO2単価係数を固定単価に乗算してもよい。
契約単価=(固定単価×CO2単価係数)+変動単価×変動係数…(8)
この場合の達成係数は、以下に列記するように、達成率に応じて段階的に設定してもよい。
達成率: 80%未満 ・・・CO2単価係数:0.7。
達成率: 80%以上120%未満・・・CO2単価係数:1.0。
達成率:120%以上150%未満・・・CO2単価係数:1.2。
達成率:150%以上 ・・・CO2単価係数:1.5。
【0090】
情報出力部5は、料金φ5を料金換算部4から受ける。情報出力部5は、削減成果量φ4を削減成果量取得部3から受ける。情報出力部5は、料金φ5及び/又は削減成果量φ4を料金算出装置1の外部に出力する。情報出力部5は、料金φ5を出力するための料金出力部51を有してもよい。情報出力部5は、削減成果量φ4を出力するための削減成果量出力部52を有してもよい。
【0091】
料金算出装置1の基本的な構成は、以上のとおりである。指標値φ1をもとに料金φ5を算出する過程では、様々な変動要因を含む。そこで、料金算出装置1は、変動要因の影響を料金φ5に反映させるための構成要素を付加的に備えてよい。
【0092】
料金算出装置1は、付加的な構成要素として、想定排出量取得情報更新部6を備えることができる。さらに、料金算出装置1は、付加的な別の構成要素として契約単価情報更新部7を備えてもよい。これらの付加的な構成要素は、いずれか一方だけを料金算出装置1に適用することもできるし、両方を適用することもできる。さらに、これらの構成要素は、付加的なものであるから、省略することもできる。
【0093】
想定排出量取得情報更新部6は、所定の前提条件が変更されたことをきっかけとして、想定排出量情報を更新する。つまり、想定排出量取得情報更新部6は、前提条件に関する情報を受ける。前提条件に関する情報は、情報取得部2が外部情報源91などから受け取ってよい。そして、情報取得部2は、前提条件に関する情報を想定排出量取得情報更新部6に渡す。想定排出量取得情報更新部6は、受け取った前提条件に関する情報に基づいて、更新された想定排出量情報を想定排出量演算部32に渡す。
【0094】
前提条件に関する情報とは、発生量を算出するためのシステムやプロセスの変更、その他CO2に関する条件の変更が例示できる。発生量を算出するためのシステムやプロセスの変更の要因としては、顧客P1の設備や対象設備の変更や更新が挙げられる。また、顧客P1が製造する製品の変更や製造量の変更も挙げられる。また、その他CO2に関する条件には、情勢等の変化や政治的な背景の変化が挙げられる。
【0095】
具体的な一例として、想定排出量取得情報更新部6は、前提条件に関する情報としてプロセスが変更されたことを受けたとき、式(1)及び式(2)に含まれる係数a~eの値を更新することとしてよい。この場合には、想定排出量情報とは、式(1)及び式(2)に含まれる係数a~eを意味する。
【0096】
契約単価情報更新部7も、想定排出量取得情報更新部6と同様に所定の前提条件が変更されたことをきっかけとして、契約単価情報を更新する。前提条件に関する情報とは、例えば、CO2単価の変化が挙げられる。
【0097】
さらに、前提条件に関する項目を以下に列記する。
政府による排出量取引。
政府による炭素税。
国際的な炭素国境調整措置。
エネルギー税。
環境規制。
固定価格取引制度(FIT)。
付加価値税。
民間によるクレジット取引。
インターナルカーボンプライシング。
GHG排出量と限界削減コストとの関係から導かれたCO2削減コスト単価。
為替。
【0098】
また、式(9)に示されるCO2削減ポテンシャルと、式(10)に示されるCO2削減コストも例示できる。なお、「固有単位」とは、電力量(Wh)、熱量(J)が例示できる。
CO2削減ポテンシャル[tCO2]=導入量[固有単位]×(従来技術の排出原単位-革新技術の排出原単位)[tCO2/固有単位]…(9)
CO2削減コスト[円/tCO2]=(革新技術の単価-従来技術の単価[円/固有単位])/(従来技術のCO2排出原単位-革新技術のCO2排出原単位)[tCO2/固有単位]…(10)
【0099】
なお、CO2削減ポテンシャル[tCO2]とは、従来設備から革新設備に置き換えることで期待できるCO2削減量である。CO2削減ポテンシャル[tCO2]は、従来設備と比較して改善できる量である。
【0100】
また、CO2削減コスト[円/tCO2]とは、従来設備と革新設備での1トンのCO2を削減するためのコストの差分を表している。
【0101】
次に、
図5のフローチャートを参照しながら、料金算出方法について説明する。料金算出方法は、上述した料金算出装置1によって実行される。
【0102】
まず、料金φ5を算出する期間を設定する(ステップS1)。この期間は、任意の期間に設定してよい。次に、指標値φ1を得る(ステップS2)。このステップS2は、情報取得部2が実行する。次に、実際排出量φ2を得る(ステップS3)。このステップS3は、実際排出量演算部31が実行する。次に、想定排出量φ3を得る(ステップS4)。このステップS4は、想定排出量演算部32が実行する。次に、削減成果量φ4を得る(ステップS5)。このステップS5は、削減成果量演算部33が実行する。次に、削減成果量φ4を料金φ5に換算する(ステップS6)。このステップS6は、料金換算部4が実行する。そして、料金φ5を出力する(ステップS7)。このステップS7は、情報出力部5の料金出力部51が実行する。なお、ステップS7では、情報出力部5の料金出力部51が削減成果量φ4を出力してもよい。上述したステップS2~S7をステップS1で設定した期間ごとに実行する。
【0103】
上述してきた料金算出装置1、料金算出方法及び料金算出プログラムPGを要約すると以下のとおりである。
【0104】
料金算出装置1は、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造設備82に、結果物を得る際に発生する結果物とは別の排出発生物を削減するための削減設備84A1を適用することよって削減された排出発生物の量を成果として示す削減成果量φ4を得るための指標値φ1を得る情報取得部2と、情報取得部2により取得された指標値φ1を用いて、削減成果量φ4を得る削減成果量取得部3と、削減成果量φ4を料金φ5に換算する料金換算部4と、を備える。
【0105】
料金算出方法は、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造設備82に、結果物を得る際に発生する結果物とは別の排出発生物を削減するための削減設備84A1を適用することよって削減された排出発生物の量を成果として示す削減成果量φ4を得るための指標値φ1を得るステップS2と、指標値φ1を得るステップS2により取得された指標値φ1を用いて、削減成果量φ4を得るステップS3~S5と、削減成果量φ4を料金φ5に換算するステップS6と、を有する。
【0106】
料金算出プログラムPGは、上記の料金算出方法をコンピュータ10に実行させる。
【0107】
この料金算出装置1及び料金算出方法は、排出発生物を削減した量として示される削減成果量φ4に応じて料金φ5を算出する。このような算出によれば、削減設備84A1を導入する顧客は、多額の導入費用を準備する必要がないし、導入の結果として意図した削減効果が得られるか否かといった懸念から解放される。従って、所望の成果を得るための削減設備84A1の適用を促すことができる。
【0108】
削減成果量取得部3は、削減設備84A1の適用前において、排出発生物の量を示す想定排出量φ3を得る想定排出量演算部32と、削減設備84A1の適用後において、排出発生物の量を示す実際排出量φ2を得る実際排出量演算部31と、想定排出量φ3と実際排出量φ2の差分を削減成果量φ4として得る削減成果量演算部33と、を有する。
【0109】
料金換算部4は、契約単価情報φ7を用いて削減成果量φ4を料金φ5に換算する。料金算出装置1は、契約単価前提条件が変更されたときに、契約単価情報φ7を更新する契約単価情報更新部7をさらに備える。
【0110】
製造設備82に削減設備84A1を適用するとは、製造設備82に設けられていた削減設備84A2を削減設備84A2とは別の削減設備84A1に交換することである。
【0111】
<第2実施形態>
次に、
図6~
図8を参照しながら、第2実施形態の料金算出装置1Aについて説明する。
図6に示すように、第2実施形態では、製造施設81Aがそもそも削減設備84A1を備えておらず、新たに削減設備84A1を設けることを対象とする。
【0112】
削減設備84A1を備える前は、製造施設81Aからは、製造設備82が排出する排出発生物がそのまま外部に排出されていた。そして、削減設備84A1の設置によって、製造施設81Aからは、削減設備84A1によって減量された排出発生物が排出される。従って、製造設備82が排出する排出発生物がそのまま外部に排出されていた場合の排出発生物の量(設置後排出量φ2A)と、削減設備84A1によって減量された場合の排出発生物の量(設置前排出量φ3A)と、の差分が、削減成果量φ4となる。
【0113】
図7に示すように、料金算出装置1Aは、情報取得部2と、削減成果量取得部3Aと、料金換算部4と、情報出力部5と、を有する。さらに、料金算出装置1Aは、設置前排出量取得情報更新部6Aと、契約単価情報更新部7と、を有してもよい。情報取得部2、料金換算部4、情報出力部5、設置前排出量取得情報更新部6A及び契約単価情報更新部7は、第1実施形態の料金算出装置1と同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0114】
削減成果量取得部3Aは、設置後排出量演算部31Aと、設置前排出量演算部32Aと、削減成果量演算部33と、を有する。
【0115】
設置後排出量演算部31Aは、新たな削減設備84A1を設置した後の排出発生物の排出量(設置後排出量φ2A)を得る。設置後排出量演算部31Aは、第1実施形態の実際排出量演算部31と同様の処理によって設置後排出量φ2Aを得ることができる。設置後排出量演算部31Aは、設置後排出量φ2Aを削減成果量演算部33に渡す。
【0116】
設置前排出量演算部32Aは、製造設備82が排出する排出発生物がそのまま外部に排出されていた場合の排出発生物の量を得る。例えば、設置前排出量演算部32Aは、製造設備82から排出された排出発生物の量を計測した結果を指標値φ1として得てもよい。この場合には、指標値φ1によって示される値が、そのまま設置前排出量φ3Aとして扱うことができる。設置前排出量演算部32Aは、設置前排出量φ3Aを削減成果量演算部33に渡す。
【0117】
次に、
図8のフローチャートを参照しながら、第2実施形態の料金算出方法について説明する。料金算出方法は、上述した料金算出装置1Aによって実行される。まず、料金φ5を算出する期間の設定(ステップS1)及び指標値φ1の取得(ステップS2)は、第1実施形態とおおむね同様である。次に、設置後排出量φ2Aを得る(ステップS3A)。このステップS3Aは、設置後排出量演算部31Aが実行する。次に、設置前排出量φ3Aを得る(ステップS4A)。このステップS4Aは、設置前排出量演算部32Aが実行する。そして、削減成果量φ4の取得(ステップS5)、削減成果量φ4の料金φ5への換算(ステップS6)及び料金φ5の出力(ステップS7)も、第1実施形態とおおむね同様である。
【0118】
上記の構成によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。つまり、削減設備84A1の新設によって得た排出発生物の削減量を成果として、料金φ5が決まるので、所望の成果を得るための手段(削減設備84A1)の適用を促すことができる。
【0119】
<第3実施形態>
図9~
図11を参照しながら、第3実施形態の料金算出装置1Bについて説明する。
図9に示すように、第3実施形態では、製造施設81Bは、削減設備84A1に代えて、回収設備84B1を有する。製造設備82は、水や溶剤といった消費物を受け入れる。そして、製造設備82は、排水や廃溶剤といった排出消費物を排出する。回収設備84B1は、排出消費物を受け入れて、排水や廃溶剤を再び利用可能な状態に処理する。利用可能な状態に処理された水及び溶剤は、回収消費物として再び製造設備82に与えられてもよい。なお、回収設備84B1によって回収された水や溶剤は、回収消費物として再び製造設備82に必ずしも与えられる必要はない。
【0120】
第3実施形態では、回収設備84B2によって回収されていた排出消費物の量(想定回収量φ3B)と、回収設備84B1によって回収される排出消費物の量(実際回収量φ2B)と、の差分が、回収成果量φ4Bとなる。
【0121】
図10に示すように、料金算出装置1Bは、情報取得部2と、回収成果量取得部3Bと、料金換算部4と、情報出力部5Bと、を有する。さらに、料金算出装置1Bは、想定回収量取得情報更新部6Bと、契約単価情報更新部7と、を有してもよい。情報取得部2、料金換算部4、情報出力部5B、想定回収量取得情報更新部6B及び契約単価情報更新部7は、第1実施形態の料金算出装置1と同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0122】
回収成果量取得部3B(成果量取得部)は、実際回収量演算部31B(第2の回収量演算部)と、想定回収量演算部32B(第1の回収量演算部)と、回収成果量演算部33B(成果量演算部)と、を有する。
【0123】
実際回収量演算部31Bは、新たな回収設備84B1に置き換えた後の排出消費物の回収量(実際回収量φ2B)を得る。実際回収量演算部31Bは、回収設備84B1から排出される再利用可能な水や溶剤の量を、指標値φ1として受けてもよい。この場合には、指標値φ1によって示される値が、そのまま実際回収量φ2Bとして扱うことができる。また、実際回収量演算部31Bは、回収設備84B1の稼働状態を示す値を指標値φ1として受けてもよい。この場合には、指標値φ1によって示される値を用いた演算処理によって、実際回収量φ2Bを得ることができる。実際回収量演算部31Bは、実際回収量φ2Bを回収成果量演算部33Bに渡す。
【0124】
想定回収量演算部32Bは、置き換え前の回収設備84B2における排出消費物の回収量(想定回収量φ3B)を得る。想定回収量演算部32Bは、回収設備84B1の稼働状態を示す値を指標値φ1として受けてもよい。この場合には、指標値φ1によって示される値を用いて、置き換え前の回収設備84B2が回収したであろう想定回収量φ3Bを得てもよい。想定回収量演算部32Bは、想定回収量φ3Bを回収成果量演算部33Bに渡す。
【0125】
回収成果量演算部33Bは、実際回収量演算部31Bから実際回収量φ2Bを受ける。回収成果量演算部33Bは、想定回収量演算部32Bから想定回収量φ3Bを受ける。回収成果量演算部33Bは、下記式(11)に基づき、実際回収量φ2Bと想定回収量φ3Bとの差分を回収成果量φ4Bとして得る。
回収成果量φ4B=実際回収量φ2B-想定回収量φ3B…(11)
【0126】
回収成果量演算部33Bは、回収成果量φ4Bを料金換算部4に渡す。また、回収成果量演算部33Bは、削減成果量φ4を情報出力部5Bに渡す。
【0127】
次に、
図11のフローチャートを参照しながら、第3実施形態の料金算出方法について説明する。料金算出方法は、上述した料金算出装置1Bによって実行される。なお、料金算出装置1Bは、
図11のフローチャートに示す各ステップをコンピュータ10に実行させるための料金算出プログラムPGBを、補助記憶部13に保存している。
【0128】
まず、料金φ5を算出する期間の設定(ステップS1)及び指標値φ1の取得(ステップS2)は、第1実施形態とおおむね同様である。次に、実際回収量φ2Bを得る(ステップS3B)。このステップS3Bは、実際回収量演算部31Bが実行する。次に、想定回収量φ3Bを得る(ステップS4B)。このステップS4Bは、想定回収量演算部32Bが実行する。次に、回収成果量φ4Bを得る(ステップS5B)。このステップS5Bは、回収成果量演算部33Bが実行する。そして、回収成果量φ4Bの料金φ5への換算(ステップS6)及び料金φ5の出力(ステップS7)も、第1実施形態とおおむね同様である。
【0129】
上記の構成によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。つまり、回収設備84B2から新たな回収設備84B1の置き換えによって得た回収量を成果として、料金φ5が決まるので、所望の成果を得るための手段(回収設備84B1)の適用を促すことができる。
【0130】
なお、上記の第3実施形態では、回収設備84B2を新しい回収設備84B1に置き換えることを例に説明した。例えば、第2実施形態で例示したように、製造施設81Bがそもそも回収設備84B1を備えておらず、新たに回収設備84B1を設けることを対象とする態様であってもよい。
【0131】
料金算出装置1Bは、原料物及び原料物とは別の消費物を受け入れて原料物から結果物を生むと共に消費物に基づく排出消費物を排出する製造設備82に、排出消費物を回収消費物として回収するための回収設備84B1を適用することによって排出消費物から回収された回収消費物の量を成果として示す回収成果量φ4Bを得るための指標値φ1を得る情報取得部2と、情報取得部2により取得された指標値φ1を用いて、回収成果量φ4Bを得る回収成果量取得部3Bと、回収成果量φ4Bを料金φ5に換算する料金換算部4と、を備える。
【0132】
料金算出方法は、原料物及び原料物とは別の消費物を受け入れて原料物から結果物を生むと共に消費物に基づく排出消費物を排出する製造設備82に、排出消費物を回収消費物として回収するための回収設備84B1を適用することによって排出消費物から回収された回収消費物の量を成果として示す回収成果量φ4Bを得るための指標値φ1を得るステップS2と、指標値φ1を得るステップS2により取得された指標値φ1を用いて、回収成果量φ4Bを得るステップS3B~S5Bと、回収成果量φ4Bを料金φ5に換算するステップS6Bと、を有する。
【0133】
料金算出プログラムPGBは、上記の料金算出方法をコンピュータ10に実行させる。
【0134】
この料金算出装置1B及び料金算出方法は、排出消費物から回収された回収消費物の量として示される回収成果量φ4Bに応じて料金φ5を算出する。このような算出によれば、回収設備84B1を導入する顧客は、多額の導入費用を準備する必要がないし、導入の結果として意図した回収効果が得られるか否かといった懸念から解放される。従って、所望の成果を得るための回収設備84B1の適用を促すことができる。
【0135】
回収成果量取得部3Bは、回収設備84B1の適用前において、排出消費物から回収された回収消費物の量を示す想定回収量φ3Bを得る想定回収量演算部32Bと、回収設備84B1の適用後において、排出消費物から回収された回収消費物の量を示す実際回収量φ2Bを得る実際回収量演算部31Bと、実際回収量φ2Bと想定回収量φ3Bの差分を回収成果量φ4Bとして得る回収成果量演算部33Bと、を有する。
【0136】
<第4実施形態>
図12~
図14を参照しながら、第4実施形態の料金算出装置1Cについて説明する。
図12に示すように、第4実施形態では、製造施設81Cは、削減設備84A1に代えて、省エネルギ設備84C1を有する。製造設備82は、稼働のために電力、重油又はガスなどのエネルギを要求する。省エネルギ設備84C1によれば、所定量の結果物を得るために要するエネルギの量を低減することができる。
【0137】
第4実施形態では、目標を達成できなくなった省エネルギ設備84C2を用いた場合に製造設備82に提供されるエネルギ量(想定エネルギ量φ3C)と、新たに導入された省エネルギ設備84C1を用いた場合に製造設備82に提供されるエネルギ量(実際エネルギ量φ2C)と、の差分が、省エネルギ成果量φ4Cとなる。
【0138】
図13に示すように、料金算出装置1Cは、情報取得部2と、省エネルギ成果量取得部3Cと、料金換算部4と、情報出力部5Cと、を有する。さらに、料金算出装置1Cは、想定エネルギ量取得情報更新部6Cと、契約単価情報更新部7と、を有してもよい。情報取得部2、料金換算部4、情報出力部5C、想定エネルギ量取得情報更新部6C及び契約単価情報更新部7は、第1実施形態の料金算出装置1と同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0139】
省エネルギ成果量取得部3C(成果量取得部)は、実際エネルギ量演算部31C(第2のエネルギ量演算部)と、想定エネルギ量演算部32C(第1のエネルギ量演算部)と、省エネルギ成果量演算部33C(成果量演算部)と、を有する。
【0140】
実際エネルギ量演算部31Cは、新たな省エネルギ設備84C1に置き換えた後のエネルギの量(実際エネルギ量φ2C)を得る。実際エネルギ量演算部31Cは、製造設備82が受けているエネルギの量を指標値φ1として受けてもよい。この場合には、指標値φ1によって示される値が、そのまま実際エネルギ量φ2Cとして扱うことができる。また、実際エネルギ量演算部31Cは、製造設備82の稼働状態を示す値を指標値φ1として受けてもよい。この場合には、指標値φ1によって示される値を用いた演算処理によって、実際エネルギ量φ2Cを得ることができる。実際エネルギ量演算部31Cは、実際エネルギ量φ2Cを省エネルギ成果量演算部33Cに渡す。
【0141】
想定エネルギ量演算部32Cは、置き換え前の省エネルギ設備84C2を設けた場合における製造設備82が受けているエネルギの量(想定エネルギ量φ3C)を得る。想定エネルギ量演算部32Cは、製造設備82の稼働状態を示す値を指標値φ1として受けてもよい。この場合には、指標値φ1によって示される値を用いて、置き換え前の省エネルギ設備84C2を適用した場合に製造設備82の提供されるであろう想定エネルギ量φ3Cを得てもよい。想定エネルギ量演算部32Cは、想定エネルギ量φ3Cを省エネルギ成果量演算部33Cに渡す。
【0142】
省エネルギ成果量演算部33Cは、実際エネルギ量演算部31Cから実際エネルギ量φ2Cを受ける。省エネルギ成果量演算部33Cは、想定エネルギ量演算部32Cから想定エネルギ量φ3Cを受ける。省エネルギ成果量演算部33Cは、下記式(12)に基づき、実際エネルギ量φ2Cと想定エネルギ量φ3Cとの差分を省エネルギ成果量φ4Cとして得る。
省エネルギ成果量φ4C=想定エネルギ量φ3C-実際エネルギ量φ2C…(12)
【0143】
省エネルギ成果量演算部33Cは、省エネルギ成果量φ4Cを料金換算部4に渡す。また、省エネルギ成果量演算部33Cは、省エネルギ成果量φ4Cを情報出力部5Cに渡す。
【0144】
次に、
図14のフローチャートを参照しながら、第4実施形態の料金算出方法について説明する。料金算出方法は、上述した料金算出装置1Cによって実行される。なお、料金算出装置1Cは、
図14のフローチャートに示す各ステップをコンピュータ10に実行させるための料金算出プログラムPGCを、補助記憶部13に保存している。
【0145】
まず、料金φ5を算出する期間の設定(ステップS1)及び指標値φ1の取得(ステップS2)は、第1実施形態とおおむね同様である。次に、実際エネルギ量φ2Cを得る(ステップS3C)。このステップS3Cは、実際エネルギ量演算部31Cが実行する。次に、想定エネルギ量φ3Cを得る(ステップS4C)。このステップS4Cは、想定エネルギ量演算部32Cが実行する。次に、省エネルギ成果量φ4Cを得る(ステップS5C)。このステップS5Cは、省エネルギ成果量演算部33Cが実行する。そして、回収成果量φ4Cの料金φ5への換算(ステップS6)及び料金φ5の出力(ステップS7)も、第1実施形態とおおむね同様である。
【0146】
上記の構成によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。つまり、省エネルギ設備84C2から新たな省エネルギ設備84C1の置き換えによって得たエネルギの削減量を成果として、料金φ5が決まるので、所望の成果を得るための手段(省エネルギ設備84C1)の適用を促すことができる。
【0147】
なお、上記の第4実施形態では、省エネルギ設備84C2を新しい省エネルギ設備84C2に置き換えることを例に説明した。例えば、第2実施形態で例示したように、製造施設81Cがそもそも省エネルギ設備84C2を備えておらず、新たに省エネルギ設備84C1を設けることを対象とする態様であってもよい。
【0148】
料金算出装置1Cは、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造設備82に、結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための省エネルギ設備84C1を適用することよって削減されたエネルギの量を成果として示す省エネルギ成果量φ4Cを得るための指標値φ1を得る情報取得部2と、情報取得部2により取得された指標値φ1を用いて、省エネルギ成果量φ4Cを得る省エネルギ成果量取得部3Cと、省エネルギ成果量φ4Cを料金に換算する料金換算部4と、を備える。
【0149】
料金算出方法は、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造設備82に、結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための省エネルギ設備84C1を適用することよって削減されたエネルギの量を成果として示す省エネルギ成果量φ4Cを得るための指標値φ1を得るステップS2と、指標値φ1を得るステップS2により取得された指標値φ1を用いて、省エネルギ成果量φ4Cを得るステップS3C~S5Cと、省エネルギ成果量φ4Cを料金に換算するステップS6と、を有する。
【0150】
料金算出プログラムPGCは、上記の料金算出方法をコンピュータ10に実行させる。
【0151】
この料金算出装置1Cは、エネルギの低減量として示される省エネルギ成果量φ4Cに応じて料金を算出する。このような算出によれば、省エネルギ設備84C1を導入する顧客は、多額の導入費用を準備する必要がないし、導入の結果として意図した省エネルギ効果が得られるか否かといった懸念から解放される。従って、所望の成果を得るための省エネルギ設備84C1の適用を促すことができる。
【0152】
省エネルギ成果量取得部3Cは、省エネルギ設備84C1の適用前において、製造設備82に要求されるエネルギの量を示す想定エネルギ量φ3Cを得る想定エネルギ量演算部32Cと、省エネルギ設備84C1の適用後において、製造設備82に要求されるエネルギの量を示す実際エネルギ量φ2Cを得る実際エネルギ量演算部31Cと、想定エネルギ量φ3Cと実際エネルギ量φ2Cとの差分を省エネルギ成果量φ4Cとして得る省エネルギ成果量演算部33Cと、を有する。
【0153】
本発明の料金算出装置、料金算出方法、料金算出プログラムは、上述した実施形態に限定されない。
【0154】
例えば、
図15に示すように、料金算出装置1から料金換算部4を省略し、削減成果量φ4だけを出力する成果量算出装置1Dとすることもできる。つまり、成果量算出装置1Dは、原料物を受け入れて原料物から結果物を生む製造設備82に、結果物を得る際に発生する結果物とは別の排出発生物を削減するための削減設備84A1を適用することよって削減された排出発生物の量を成果として示す削減成果量φ4を得るための指標値φ1を得る情報取得部2と、情報取得部2により取得された指標値φ1を用いて、削減成果量φ4を得る削減成果量取得部3と、を備える。削減成果量取得部3は、削減設備84A1の適用前において、排出発生物の量を示す想定排出量φ3を得る想定排出量演算部32と、削減設備84A1の適用後において、排出発生物の量を示す実際排出量φ2を得る実際排出量演算部31と、想定排出量φ3と実際排出量φ2の差分を削減成果量φ4として得る削減成果量演算部33と、を有する。
【0155】
例えば、
図16に示すように、料金算出装置1Eは、複数の実際排出量演算部31E1、31E2を備えてもよい。料金算出装置1Eは、例えば、第1の新たな手段として新たな設備に置き換えると共に、第2の新たな手段として新たな消費材を使用するといった、複数の手段を適用する場合に用いることができる。実際排出量演算部31E1は、新たな設備における第1の実際排出量を得る。実際排出量演算部31E2は、新たな消費材の使用による実際排出量を得る。そして、削減成果量演算部33Eは、実際排出量演算部31E1、31E2がそれぞれ出力する実際排出量と、想定排出量演算部32が出力する想定排出量とを利用して、削減成果量φ4を得る。実施形態では、設備の置き換えを想定していたので旧手段と新手段とは、例えば共に削減設備84A1であるというように一致することが前提であった。料金算出装置1Eでは、新手段と旧手段とは必ずしも一致しない。例えば、旧手段では、削減設備84A1の稼働だけであったものが、新手段では削減設備84A1の稼働と新たに用いられる消費材の使用といった例が挙げられる。料金算出装置1Eでは、排出発生物の量によって評価が行われ、料金φ5が算出されるので、新手段と旧手段との内容が厳密に一致することを要しない。
【0156】
[付記]
本開示は、以下の構成を含む。
【0157】
本開示の料金算出装置は、[1]「原料物を受け入れて前記原料物から結果物を生む製造手段に、前記結果物を得る際に発生する前記結果物とは別の排出発生物を削減するための付帯手段を適用することよって削減された前記排出発生物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得る成果量取得部と、前記成果量を料金に換算する料金換算部と、を備える、料金算出装置。」である。
【0158】
本開示の料金算出装置は、[2]「前記成果量取得部は、前記付帯手段の適用前において、前記排出発生物の量を示す第1の排出量を得る第1の排出量演算部と、前記付帯手段の適用後において、前記排出発生物の量を示す第2の排出量を得る第2の排出量演算部と、前記第1の排出量と前記第2の排出量の差分を前記成果量として得る成果量演算部と、を有する、上記[1]に記載の料金算出装置。」である。
【0159】
本開示の料金算出装置は、[3]「原料物及び前記原料物とは別の消費物を受け入れて前記原料物から結果物を生むと共に前記消費物に基づく排出消費物を排出する製造手段に、前記排出消費物を回収消費物として回収するための付帯手段を適用することによって前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得る成果量取得部と、前記成果量を料金に換算する料金換算部と、を備える、料金算出装置。」である。
【0160】
本開示の料金算出装置は、[4]「前記成果量取得部は、前記付帯手段の適用前において、前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を示す第1の回収量を得る第1の回収量演算部と、前記付帯手段の適用後において、前記排出消費物から回収された前記回収消費物の量を示す第2の回収量を得る第2の回収量演算部と、前記第1の回収量と前記第2の回収量の差分を前記成果量として得る回収成果量演算部と、を有する、上記[3]に記載の料金算出装置。」である。
【0161】
本開示の料金算出装置は、[5]「原料物を受け入れて前記原料物から結果物を生む製造手段に、前記結果物を得るために要するエネルギの量を削減するための付帯手段を適用することよって削減された前記エネルギの量を成果として示す成果量を得るための指標値を得る情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記指標値を用いて、前記成果量を得る成果量取得部と、前記成果量を料金に換算する料金換算部と、を備える、料金算出装置。」である。
【0162】
本開示の料金算出装置は、[6]「前記成果量取得部は、前記付帯手段の適用前において、前記製造手段に要求される前記エネルギの量を示す第1のエネルギ量を得る第1のエネルギ量演算部と、前記付帯手段の適用後において、前記製造手段に要求される前記エネルギの量を示す第2のエネルギ量を得る第2のエネルギ量演算部と、前記第1のエネルギ量と前記第2のエネルギ量との差分を前記成果量として得る省エネルギ成果量演算部と、を有する、上記[5]に記載の料金算出装置。」である。
【0163】
本開示の料金算出装置は、[7]「前記料金換算部は、契約単価情報を用いて前記成果量を料金に換算し、契約単価前提条件が変更されたときに、前記契約単価情報を更新する契約単価情報更新部をさらに備える、上記[1]~[6]の何れか一項に記載の料金算出装置。」である。
【0164】
本開示の料金算出装置は、[8]「前記製造手段に前記付帯手段を適用するとは、前記製造手段に設けられていた第1の付帯手段を前記第1の付帯手段とは別の第2の付帯手段に交換することであり、前記付帯手段は、前記第2の付帯手段である、上記[1]~[7]の何れか一項に記載の料金算出装置。」である。
【0165】
本開示の料金算出装置は、[9]「前記製造手段に前記付帯手段を適用するとは、前記付帯手段が設けられていなかった前記製造手段に、前記付帯手段を新たに設けることをいう、上記[1]~[7]の何れか一項に記載の料金算出装置。」である。
【符号の説明】
【0166】
1,1A,1B,1C,1E…料金算出装置、1D…成果量算出装置、2…情報取得部、3,3A…削減成果量取得部(成果量取得部)、3B…回収成果量取得部(成果量取得部)、3C…省エネルギ成果量取得部(成果量取得部)、4…料金換算部、7…契約単価情報更新部、10…コンピュータ、33…削減成果量演算部(成果量演算部)、33B…回収成果量演算部(成果量演算部)、33C…省エネルギ成果量演算部(成果量演算部)、PG,PGB,PGC…料金算出プログラム、φ1…指標値、φ4…削減成果量、φ4B…回収成果量、φ4C…省エネルギ成果量、φ5…料金、φ7…契約単価情報。