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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060370
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/80 20210101AFI20240424BHJP
【FI】
F24F8/80 170
F24F8/80 250
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167698
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 衛
(72)【発明者】
【氏名】松澤 欣也
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 修平
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 貴徳
(72)【発明者】
【氏名】山本 皐平
(57)【要約】
【課題】ダクト用のアタッチメントを容易かつ高い信頼性をもって装着することができ、汎用性及び信頼性に優れた空気清浄機を提供すること。
【解決手段】空気清浄機は、空気清浄機本体と、空気清浄機本体の一面に形成された排気口と、ダクトを取り付け可能な筒状のダクト取付部を有し、空気清浄機本体の一面に取り付けられ、排気口と前記ダクトを連通させるアタッチメントと、を備える。空気清浄機本体の一面には、アタッチメントが嵌合する嵌合部が形成されており、嵌合部は、アタッチメントとの嵌合状態において、アタッチメントを所定位置に位置決めするとともに、アタッチメントの内部空間を外部から密閉する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄機本体と、
前記空気清浄機本体の一面に形成された排気口と、
ダクトを取り付け可能な筒状のダクト取付部を有し、前記空気清浄機本体の前記一面に取り付けられ、前記排気口と前記ダクトを連通させるアタッチメントと、
を備え、
前記空気清浄機本体の前記一面には、前記アタッチメントが嵌合する嵌合部が形成されており、
前記嵌合部は、前記アタッチメントとの嵌合状態において、前記アタッチメントを所定位置に位置決めするとともに、前記アタッチメントの内部空間を外部から密閉する、
空気清浄機。
【請求項2】
前記アタッチメントはフランジを有し、
前記嵌合部は、フランジが嵌合する凹部を有する、
請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記フランジが前記嵌合部とネジにより締結されることで、前記アタッチメントが前記空気清浄機本体に固定される、
請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記アタッチメントは、基体部と、前記ダクト取付部と、を有し、
前記空気清浄機本体における前記排気口の近傍には、前記排気口を覆う伏状態と前記排気口を開放する起立状態とをとり得るフラップが設けられ、
前記基体部は、前記フラップを収容し、かつ、前記起立状態の前記フラップの高さよりも高い、
請求項1に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集塵フィルターを有する空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄機の性能は、その空気清浄機が有しているフィルターに大きく委ねられる。例えば特許文献1には、プレフィルター、脱臭フィルター及び集塵フィルターを有する空気清浄機が記載されている。空気清浄機に流入された空気は、プレフィルター、脱臭フィルター及び集塵フィルターの順に通過した後に排気される。
【0003】
プレフィルターは比較的大きな塵埃を捕捉する。脱臭フィルターは活性炭や光触媒などを有する。集塵フィルターはプレフィルターで捕捉されなかった微細な塵埃などを捕集する。集塵フィルターとしては、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルターが用いられる。
【0004】
また、例えば特許文献2などで記載されているように、除菌機能を有する空気清浄機もある。この種の空気清浄機は、例えば感染症患者を収容する医療用ブース内に設置して用いられる。この種の空気清浄機は、例えば紫外線ランプを有し、集塵フィルターで捕集した細菌やウイルスを紫外線ランプにより除菌(不活化と言ってもよい)するようになっている。
【0005】
ところで、医療用ブース内で用いられる空気清浄機は、排気口にダクトが接続され、ダクトを介してブース内の空気をブース外に排出するようになっている。これにより、ブース内は陰圧とされ、ブース内の空気がブース外に漏れ出すことが防止されている。このため、医療用ブースは陰圧ブースとも呼ばれる。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のガイダンスでは、ブース内外の差圧が2.5Pa以上であることが推奨されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-213005号公報
【特許文献2】特開2021-180826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように陰圧ブースに用いられる空気清浄機は、ブース内を陰圧にするために、ダクト接続部を有する専用の空気清浄機であった。そのため、陰圧ブースが必要なくなると、保管しておく必要があり、使い勝手が悪かった。
【0008】
一方、汎用の空気清浄機の排気口にダクトを取り付けることで、汎用の空気清浄機を陰圧ブース用の空気清浄機として用いることが考えられる。これを実現するためには、汎用の空気清浄機の排気口にダクトを取り付けるためのアタッチメントを装着する方法が考えられている。
【0009】
しかし、従来、汎用の空気清浄機にこのようなアタッチメントを簡単にかつ高い信頼性をもって装着することについては、十分な検討がなされていなかった。
【0010】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、ダクト用のアタッチメントを容易かつ高い信頼性をもって装着することができ、汎用性及び信頼性に優れた空気清浄機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の空気清浄機の一つの態様は、
空気清浄機本体と、
前記空気清浄機本体の一面に形成された排気口と、
ダクトを取り付け可能な筒状のダクト取付部を有し、前記空気清浄機本体の前記一面に取り付けられ、前記排気口と前記ダクトを連通させるアタッチメントと、
を備え、
前記空気清浄機本体の前記一面には、前記アタッチメントが嵌合する嵌合部が形成されており、
前記嵌合部は、前記アタッチメントとの嵌合状態において、前記アタッチメントを所定位置に位置決めするとともに、前記アタッチメントの内部空間を外部から密閉する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、空気清浄機本体に、アタッチメントが嵌合する嵌合部が形成されているので、ダクト用のアタッチメントを容易かつ高い信頼性をもって空気清浄機本体に装着することができ、汎用性及び信頼性に優れた空気清浄機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態の空気清浄機を医療用ブース内に配置した様子を示す図
図2】実施の形態の空気清浄機の分解斜視図
図3】フィルターの取り出し構造の説明に供する斜視図
図4】排気口に排気口カバーが取り付けられた状態の空気清浄機を斜め上方から見た斜視図
図5】排気口カバーを取り外した状態の空気清浄機を斜め上方から見た斜視図
図6】トップカバーへのアタッチメントの取り付けの説明に供する斜視図
図7】トップカバーへのアタッチメントの取り付けの説明に供する斜視図
図8】トップカバーの詳細構成を示す斜視図
図9】トップカバーとアタッチメントとの関係の説明に供する斜視図
図10】実施の形態による集塵フィルターのプリーツの形状を示した図
図11】一般的な集塵フィルターのプリーツの形状を示した図
図12】実施の形態における、集塵フィルターと紫外線ランプとの関係を示す略線的上面図
図13】実施の形態における、集塵フィルターと紫外線ランプとの関係を示す略線的上面図
図14】比較例における、集塵フィルターと紫外線ランプとの関係を示す略線的上面図
図15】実施の形態の紫外線ランプの制御の説明に供するブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<1>医療用ブース内への設置
先ず、本実施の形態の空気清浄機の構成を説明する前に、本実施の形態の空気清浄機の設置例について説明する。
【0016】
本実施の形態の空気清浄機100は、図1に示したように、医療用ブース10内に配置される。図1は、医療用ブース10及び空気清浄機100を正面方向から見た図である。以下では、図の±X方向を左右方向、±Y方向を前後方向、±Z方向を上下方向と呼ぶ。
【0017】
医療用ブース10は、大きく分けて、フレーム体11と、このフレーム体11により形成される内部空間を外部空間と区画する区画体12と、を有する。本実施の形態の場合、フレーム体11は折り畳み可能な構成となっており、区画体12は不燃性の透明なビニールシートである。
【0018】
空気清浄機100の排気口にはダクト13が接続されている。ダクト13は区画体12に形成されたダクト挿通孔12aを介して外部に引き出されている。これにより、空気清浄機100により除菌された空気は、ダクト13を介して医療用ブース10の外部に排気される。なお、図1の例では、ダクト挿通孔12aをビニールシートである区画体12の側面に設けた場合について述べたが、ダクト挿通孔12aは区画体12の上面や背面に設けてもよい。
【0019】
図1のように、医療用ブース10内に空気清浄機100を設置し、空気清浄機100により除菌された空気を、ダクト13を介して医療用ブース10の外部に排気すると、医療用ブース10の内部は実質的に陰圧となる。これにより、ビニールシート(区画体12)の隙間などから、医療用ブース10の外部の空気が医療用ブース10の内部に進入することはあっても、医療用ブース10の内部の空気が医療用ブース10の外部に漏れ出すことはない。この結果、医療用ブース10内のウイルス等が外部に漏れ出すことを防止できる。
【0020】
<2>空気清浄機の全体構成
次に、図2を用いて、本実施の形態の空気清浄機100の全体構成について説明する。図2は、空気清浄機100の分解斜視図である。
【0021】
図2から分かるように、空気清浄機100は、トップカバー110、ベース120、前面カバー130、背面カバー140、背面上カバー140a及びサイドカバー150、160から構成される筐体によって覆われている。
【0022】
空気清浄機100の筐体内には、ファンケース170が設けられており、当該ファンケース170には、ファンモーター171及びシロッコファン172が設けられている。ファンモーター171によってシロッコファン172が回転駆動されることにより、筐体内には、-Y方向の空気流が発生する。
【0023】
シロッコファン172によって発生する空気流は、背面カバー140から前面カバー130に向かって流れるので、以下の説明では、背面カバー140側を上流側と呼び、前面カバー130側を下流側と呼ぶこともある。
【0024】
ファンケース170に隣り合う位置には本体フレーム180が設けられている。本体フレーム180はベース120上に立設される。本体フレーム180には、開口181が形成されており、シロッコファン172が回転駆動されると、この開口181を介してシロッコファン172へと空気が引き込まれる。
【0025】
本体フレーム180と背面カバー140との間には、上流側から下流側に向かって順次、プレフィルター210、脱臭フィルター220、遮光板230、紫外線ランプ240、金属ケース250及び集塵フィルター260が設けられている。
【0026】
背面カバー140には、メッシュ状の吸込口が形成されている。プレフィルター210は、比較的大きな塵埃を捕捉する。脱臭フィルター220は、例えば活性炭などの脱臭剤を含んで構成されている。遮光板230は、紫外線ランプ240の光が背面カバー140を介して外部にもれないように設けられている。ここで、遮光板230の外形サイズは、紫外線ランプ240を覆うことができる最小のサイズとされている。これにより、紫外線の遮光を行いつつ、遮光板230によって空気流の流れが低下することをできるだけ抑えるようになっている。
【0027】
ちなみに、紫外線ランプ240と集塵フィルター260との間には、集塵フィルター260に照射される紫外線レベルを調整するための調整板(図示せず)を設けてもよい。これにより、集塵フィルター260に所定強度以上の紫外線が照射されることに起因する、集塵フィルター260の劣化を防止できる。調整板(図示せず)は、多数の孔が形成された板である。孔の大きさや数に応じて集塵フィルター260に照射される紫外線レベルを調整できる。
【0028】
金属ケース250は、枠体であり、紫外線ランプ240及び遮光板230が取り付けられる。金属ケース250は、紫外線ランプ240に電源を供給する電源供給ラインを有する。紫外線ランプ240により発生された紫外線は、集塵フィルター260に照射される。
【0029】
図3に示すように、集塵フィルター260は、枠体261と、枠体261に支持されたフィルター本体262と、を有する。本実施の形態の場合、フィルター本体262は、ULPA(Ultra-Low Penetration Air)フィルターである。ULPAフィルターにより、医療用ブース10内の細菌やウイルスが捕集される。ULPAフィルターで捕集された細菌やウイルスは紫外線により不活化される。なお、フィルター本体262としては、ULPAフィルターに代えて、例えばHEPAフィルターが用いられていてもよい。フィルター本体262としては、細菌やウイルスを捕集できる種々のフィルターを適用可能である。
【0030】
トップカバー110には、排気口111(図4参照)が形成されている。排気口の位置には、フラップ111aが取り付け可能となっている。フラップ111aは、排気口111の上方位置に回転可能に取り付けられている。換言すれば、フラップ111aは、排気口111を開閉可能に取り付けられている。フラップ111aは、空気清浄機100が空気清浄動作中でない場合には、図2及び図3に示したように、排気口111を覆うような回転位置(伏状態)とされる。これにより、排気口111へのゴミなどの侵入が防止される。これに対して、フラップ111aは、空気清浄機100が空気清浄動作中の場合には、90°上方に回転され(起立状態)、排気口111が露出される
【0031】
また、トップカバー110には、操作部112が設けられている。操作部112は、操作ボタン及び表示部を有する。ユーザーは、操作部112を操作することにより、空気清浄機100のオンオフや強弱などを制御することができる。また、ユーザーは、操作部112の表示部を見ることで、空気清浄機100の動作状態を確認することができる。
【0032】
<3>フィルターの取り出し構造
次に、図3を用いて、フィルターの取り出し構造について説明する。図3は、空気清浄機100の各フィルターの取り出しの様子を示す斜視図である。
【0033】
プレフィルター210、脱臭フィルター220及び集塵フィルター260のうち、プレフィルター210及び脱臭フィルター220は、背面カバー140が本体フレーム180に係合された際に、背面カバー140と本体フレーム180との間に挟持される。換言すると、図3から分かるように、プレフィルター210及び脱臭フィルター220は、背面カバー140を取り外すことにより、図中の矢印yで示すY方向に取り外すことができる。ちなみに、図3の例では、プレフィルター210の上流側にフィルター押さえ部材2111が設けられている。
【0034】
これに対して、プレフィルター210、脱臭フィルター220及び集塵フィルター260のうち、集塵フィルター260は、図3から分かるように、図中の矢印xで示すX方向に取り外すことができるようになっている。具体的には、2つのサイドカバー150、160のうちの一方には集塵フィルター260を差し込むことができる差し込み口151が形成されているとともに、この差し込み口151に対向する本体フレーム180の側面にも集塵フィルター260を差し込むことができる差し込み口182が形成されており、集塵フィルター260は、これらの差し込み口151、182を介して、図中の矢印xで示す±X方向に空気清浄機100から挿抜可能である。
【0035】
なお、図3に示したサイドカバー150には、差し込み口151を覆うためのカバー152が着脱自在に設けられている(図2では省略)。空気清浄機100の稼働時にはサイドカバー150にカバー152が取り付けられることにより、差し込み口151が塞がれる。なお、カバー152の内側にはサイドカバー150との当接部に密着するパッキンが設けられており、これによりカバー152による密閉度が高められている。一方、集塵フィルター260を交換する際には、サイドカバー150からカバー152が取り外され、差し込み口151から集塵フィルター260が引き出される。
【0036】
集塵フィルター260の枠体261の側面には、取っ手263が形成されている。これにより、ユーザーは取っ手263を指でつまんで容易に集塵フィルター260を空気清浄機本体から取り出すことができる。また、取っ手263は枠体261の外面側に設けられているので、細菌やウイルスがほとんど付着しないので、ユーザーの手に細菌やウイルスが付着することなく集塵フィルター260を取り出すことができる。
【0037】
このように、本実施の形態の空気清浄機100は、装置本体の最も奥にある集塵フィルター260を、それよりも手前にあるプレフィルター210や脱臭フィルター220とは独立して取り出すことができるので、フィルターのメンテナンス性を改善できる。
【0038】
<4>ダクトの取り付け構造
次に、図4図7を用いて、本実施の形態による空気清浄機100のダクトの取り付け構造について説明する。
【0039】
本実施の形態の空気清浄機100は、ダクト13を取り付けて用いる状態と、ダクト13を取り付けずに用いる状態と、を選択できるようになっている。ダクト13を取り付けて用いる状態とは、図1に示したように、医療用ブース10内に設置して用いられる状態である。このような状態では、上述したように医療用ブース10の内部を陰圧にすることができる。一方、ダクト13を取り付けずに用いる状態とは、陰圧ブース以外の空間に配置して用いられる状態である。
【0040】
図4は、ダクト13を取り付けないで用いる場合(つまり陰圧ブース以外で用いる場合)の、空気清浄機100の状態を示す斜視図である。空気清浄機100の排気口111(なお、図4では、図を簡単化するために図2及び図3で示したフラップ111aは省略されている)には、排気口カバー113が取り付けられている。排気口カバー113は、係合爪及び係合穴の係合により容易にトップカバー110に着脱できるようになっている。図5は、トップカバー110から排気口カバー113を取り外した様子を示す斜視図である。
【0041】
図6及び図7は、ダクト13を取り付けて用いる場合(つまり陰圧ブースで用いる場合)の、空気清浄機100の状態を示す斜視図である。トップカバー110には、排気口111を覆うようにアタッチメント300が取り付けられる。
【0042】
アタッチメント300は、排気口111を覆う基体部301と、基体部301から上方に延在する筒状のダクト取付部302と、を有する。ダクト取付部302の外形サイズは、ダクト13よりも若干小さくされており、これによりダクト取付部302の外周面に密着するようにダクト13が取り付けられる。排気口111から出た空気は、基体部301、ダクト取付部302及びダクト13を介して医療用ブース10の外部に排出される。
【0043】
このように、本実施の形態の空気清浄機100は、排気口カバー113と、ダクト13を取り付け可能なアタッチメント300と、を選択的に取り付けることができるので、陰圧ブース(医療用ブース10)以外で用いる場合と、陰圧ブース(医療用ブース10)内で降圧機として用いる場合と、を選択することができる。この結果、汎用性の高い空気清浄機100を実現できる。
【0044】
アタッチメント300の基体部301にはフランジ301aが形成されている。また、基体部301におけるフランジ301aが形成された壁部と反対側の壁部には係合爪301bが形成されている。
【0045】
図8は、トップカバー110の詳細構成を示す斜視図であり、図9はトップカバー110とアタッチメント300との関係の説明に供する斜視図である。
【0046】
トップカバー110には、基体部301のフランジ301aが嵌合する嵌合部としての凹部114が形成されているとともに、基体部301の係合爪301bが係合する係合穴115が形成されている。凹部114の深さは、フランジ301aの厚さにほぼ同じである。
【0047】
これにより、トップカバー110の排気口111付近にアタッチメント300が載置されると、凹部114にフランジ301aが嵌合するとともに、係合爪301bと係合穴115とが係合することにより、アタッチメント300がトップカバー110上の所定位置に位置決めされる。このとき、アタッチメント300の内部空間が外部から密閉される。
【0048】
この状態において、凹部114及びフランジ301aに穿設されたネジ孔116aにネジ116が螺合されることで、トップカバー110とフランジ301aとが締結される。この結果、アタッチメント300がトップカバー110上の所定位置に固定される。
【0049】
このような構成により、ダクト用のアタッチメント300を、容易かつ高い信頼性をもって空気清浄機本体に装着することができ、汎用性及び信頼性に優れた空気清浄機100を実現できる。
【0050】
さらに、図9から分かるように、基体部301は、フラップ111aを収容し、かつ、起立状態のフラップ111aの高さよりも高い。これにより、基体部301の内部でフラップ111aが基体部301の内壁に衝突せずに起立状態となることができるので、アタッチメント300によって排気が妨げられない。
【0051】
ここで、フラップ111aは、空気清浄機100が動作していないときには図2及び図3に示したように排気口111を覆う伏状態となるのに対して、空気清浄機100が動作しているときには図9に示したように排気口111を開放した起立状態となる。本実施の形態のアタッチメント300によれば、フラップ111aの起立状態を妨げないので、排気を妨げずにすむ。
【0052】
<5>集塵フィルター
次に、図10を用いて、本実施の形態の集塵フィルター260の構成について説明する。
【0053】
図10は、実施の形態の集塵フィルター260のプリーツの形状を示した図である。具体的には、図10は、集塵フィルター260のフィルター本体262の略線的上面図である。フィルター本体262は、プリーツを有する。これにより、表面積を大きくできるので、空気流の圧力損失を低減できる。
【0054】
本実施の形態の場合、プリーツは、空気流の方向(-Y方向)への折り返し長が短い短プリーツ262aと、当該短プリーツ262aよりも空気流の方向(-Y方向)への折り返し長が長い長プリーツ262bと、を有し、長プリーツ262bは、短プリーツ262aよりも空気流の下流側に突出している。
【0055】
また、長プリーツ262bは、プリーツの配列方向(±X方向)に所定間隔で形成されていることが好ましい。
【0056】
このようなプリーツ形状を採用することにより、集塵フィルター260よりも下流側の空気流を整流することができる。
【0057】
ところで、集塵フィルターに空気を通過させるためには、ファンで風を送り込むか、引き込むかが必要で、このファンの風切り音が空気清浄機の騒音の大きな原因となっている。図11に示したような一般的なプリーツ形状を採用すると、ファンへの流入時に乱流が発生し、通風の効率が悪くなるため、より高速にファンを回転させ、風量を増やす必要がある。この結果、ファンの回転数を上げることによる騒音の増加を招く。
【0058】
図10に示したような本実施の形態のプリーツ形状によれば、ファン(本実施の形態の例ではシロッコファン172)への空気の流入時に乱流が発生しにくくなり、通風の効率の低下を抑制できる。よって、風量を増やすために高速にファンを回転させる必要がなくなるので、騒音が増加しない。
【0059】
本実施の形態では、プリーツに整流機能を持たせたので、整流板などの部品を追加せずに騒音を抑制できる。
【0060】
<6>紫外線照射部の構成
次に、図12及び図13を用いて、紫外線照射部の構成について説明する。図12及び図13は、集塵フィルター260のフィルター本体262と、紫外線照射部としての紫外線ランプ240との関係を示す略線的上面図である。なお、上述したように、実施の形態の例では、集塵フィルター260のフィルター本体262は、短プリーツと長プリーツとを有しているが、図12及び図13では、図を簡単化するために、フィルター本体262が短プリーツのみを有する例を示した。
【0061】
本実施の形態では、フィルター本体262の上流側に、フィルター本体262における上流側の面に紫外線を照射する複数の紫外線ランプ240が設けられている。ここで、複数の紫外線ランプ240は、プリーツの配列方向(±X方向)に沿って配置されている。
【0062】
このように、集塵フィルター260の上流側に紫外線ランプ240を配置したことにより、細菌やウイルスの付着量が多い集塵フィルター260の上流側の面に紫外線を照射するので、細菌及びウイルスの不活化効率を向上させることができる。
【0063】
また、プリーツの配列方向(±X方向)に沿って複数の紫外線ランプ240を配置したことにより、プリーツの奥側まで紫外線が照射される確率を高めることができ、細菌及びウイルスの不活化効率をより向上させることができる。
【0064】
ここで、紫外線によって集塵フィルター260を不活化する場合、不活化効率は、集塵フィルター260に対して、どの様にどの程度の出力の紫外線を照射するかによって決まる。紫外線LEDを用いる方法も考えられるが、紫外線LEDは紫外線ランプと比較して出力が低いので、十分な不活化効果を得にくい。これを考慮して、本実施の形態では、高出力の紫外線ランプ240を用いることで不活化効果を高めている。
【0065】
しかし、紫外線ランプ240を用いたとしても、図14の比較例に示したように、紫外線ランプ240からの紫外線がプリーツの奥側まで届かない場合には、紫外線による不活化効果が十分に得られない。
【0066】
そこで、本実施の形態では、プリーツの配列方向(±X方向)に沿って複数の紫外線ランプ240を配置した。これにより、紫外線ランプ240の発光部分からプリーツへの角度が鋭角になり、よりプリーツの奥まで紫外線が到達するようになる。
【0067】
また、図13に示したように、紫外線ランプ240の上流側に、遮光板230を設け、この遮光板230のうち集塵フィルター260(フィルター本体262)に対向する面を鏡面状態にすれば、直接光と角度の異なる紫外線を生み出すことができ、より広範囲のプリーツにおいてプリーツの奥側まで紫外線を照射させることができる。なお、鏡面状態とは、反射率の高い状態を意味し、例えば反射率の高い材料を用いたり、鏡面加工を行うことで具現化できる。
【0068】
さらに、図13に示したように、遮光板230を折り曲げ状態とすれば、より広範囲のプリーツにおいてプリーツの奥側まで紫外線を照射させることができるようになる。また、折り曲げ加工の形状によって、空気が多く通過する部分に紫外線を集中させることもでき、不活化効率を上げることができる。
【0069】
<7>紫外線照射部の制御
次に、本実施の形態の紫外線照射部(紫外線ランプ240)の制御について説明する。
【0070】
図15のブロック図に示したように、ユーザーが操作部112を操作すると、操作部112からの操作信号が制御部400に入力され、制御部400は操作信号に基づいて紫外線ランプ240を制御する。
【0071】
例えば、ユーザーによって操作部112の電源オンのボタンが操作されると、制御部400はファンモーター171を回転させるとともに紫外線ランプ240を発光させる。一方、ユーザーによって操作部112の電源オフのボタンが操作されると、制御部400は、基本的には、ファンモーター171の回転を停止させるとともに紫外線ランプ240の発光を停止させる。
【0072】
ただし、本実施の形態の制御部400は、操作部112が電源オフの操作を受け付けた後も、紫外線ランプ240から所定期間継続して紫外線を照射させる。つまり、制御部400は、ファンモーター171の回転を停止させた後も、所定期間紫外線ランプ240を発光させ続ける。制御部400は、所定期間後(例えば30分後)には紫外線ランプ240の発光を停止させる。
【0073】
これにより、集塵フィルター260に付着した細菌やウイルスをより確実に不活化させることができる。つまり、ファンモーター171が回転している期間は集塵フィルター260には細菌やウイルスが付着していくので、ファンモーター171と同時に紫外線ランプ240をオフ動作させてしまうと、オフ動作させる直前に付着した細菌やウイルスは紫外線ランプ240によって十分に不活化できない可能性が高い。本実施の形態の制御によればこのような事態を回避できる。
【0074】
なお、上記の所定期間は、電源オンの操作を受け付けてから電源オフの操作を受け付けるまでの、空気清浄機100の稼働期間又は空気流量に基づいて決定されることが好ましい。例えば、稼働期間や空気流量が大きいほど、集塵フィルター260に付着している細菌やウイルスが多い可能性が高いので、上記の所定期間を長くするとよい。
【0075】
また、ファン172が停止しており、かつ、紫外線照射部(紫外線ランプ240)から紫外線が照射されている場合に、このことを注意喚起するような表示を行うことが好ましい。このようにすれば、紫外線が照射されているときに、ユーザーが誤ってフィルター交換などを行うためにカバーを開けてしまうことを防止できる。
【0076】
さらに、ファン172が停止しており、かつ、紫外線照射部(紫外線ランプ240)から紫外線が照射されている場合に、集塵フィルター260を取り出すための扉(カバー152)をロックすることが好ましい。このようにすれば、紫外線が照射されているときに、ユーザーが誤ってカバー152を開けてしまうことを確実に防止できる。
【0077】
<8>まとめ
以上説明したように、本実施の形態の空気清浄機100は、空気清浄機本体と、空気清浄機本体の一面(トップカバー110)に形成された排気口111と、ダクト13を取り付け可能な筒状のダクト取付部302を有し、空気清浄機本体の一面に取り付けられ、排気口111とダクト13を連通させるアタッチメント300と、を備え、空気清浄機本体の一面には、アタッチメント300が嵌合する嵌合部(凹部114)が形成されており、嵌合部(凹部114)は、アタッチメント300との嵌合状態において、アタッチメント300を所定位置に位置決めするとともに、アタッチメント300の内部空間を外部から密閉する。
【0078】
これにより、アタッチメント300を接続すれば陰圧ブースに使用することができ、アタッチメント300を外せば陰圧ブース以外にも使用することができるので、汎用性の高い空気清浄機100を実現できる。
【0079】
また、空気清浄機本体に、アタッチメント300が嵌合する嵌合部(凹部114)が形成されているので、ダクト用のアタッチメント300を容易かつ高い信頼性をもって空気清浄機本体に装着することができ、汎用性及び信頼性に優れた空気清浄機100を実現できる。
【0080】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0081】
上述の実施の形態では、紫外線照射部として紫外線ランプ240を用いた場合について述べたが、これに限らず、紫外線LEDを用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本開示の空気清浄機は、例えば医療用ブース内に設置される空気清浄機として好適である。
【符号の説明】
【0083】
10 医療用ブース
11 フレーム体
12 区画体
13 ダクト
100 空気清浄機
110 トップカバー
111 排気口
111a フラップ
112 操作部
113 排気口カバー
114 凹部
115 係合穴
116 ネジ
116a ネジ孔
120 ベース
130 前面カバー
140 背面カバー
150、160 サイドカバー
151、182 差し込み口
152 カバー
170 ファンケース
171 ファンモーター
172 シロッコファン
180 本体フレーム
181 開口
210 プレフィルター
220 脱臭フィルター
230 遮光板
240 紫外線ランプ
250 金属ケース
260 集塵フィルター
261 枠体
262 フィルター本体
262a 短プリーツ
262b 長プリーツ
263 取っ手
300 アタッチメント
301 基体部
301a フランジ
302 ダクト取付部
400 制御部
図1
図2
図3
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