(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060374
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】内視鏡による整形手技のトレーニング装置
(51)【国際特許分類】
G09B 23/30 20060101AFI20240424BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240424BHJP
A61B 1/317 20060101ALI20240424BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
G09B23/30
A61B1/00 650
A61B1/317
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167705
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】宮川 克也
(72)【発明者】
【氏名】松本 美沙
(72)【発明者】
【氏名】出沢 明
【テーマコード(参考)】
2C032
4C161
【Fターム(参考)】
2C032CA04
4C161AA25
4C161CC06
4C161DD01
4C161GG27
4C161JJ08
4C161LL02
(57)【要約】
【課題】骨格モデルの模型を用いて内視鏡による整形手技の練習を容易に且つ効率的に行うことのできる、新規なトレーニング装置を提供する。
【解決手段】内視鏡による整形手技のトレーニング装置10が、トレーニング用の骨格モデル12が内部に着脱可能とされるハウジング14を有しており、ハウジング14の壁部46には内視鏡16の挿通用孔198が設けられていると共に、ハウジング14の内部において骨格モデル12を複数の異なる位置へ移動可能に且つ固定的に設定するモデル位置設定機構90を備えており、骨格モデル12の移動によって挿通用孔198から骨格モデル12までの距離が変更可能とされている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーニング用の骨格モデルが内部に着脱可能とされるハウジングを有しており、
該ハウジングの壁部には内視鏡の挿通用孔が設けられていると共に、
該ハウジングの内部において該骨格モデルを複数の異なる位置へ移動可能に且つ固定的に設定するモデル位置設定機構を備えており、
該骨格モデルの移動によって該挿通用孔から該骨格モデルまでの距離が変更可能とされている内視鏡による整形手技のトレーニング装置。
【請求項2】
前記ハウジングの内部には、前記骨格モデルが着脱可能なベース部材が配されていると共に、
該ベース部材を水平方向で移動可能に案内するガイド機構と、該ベース部材を該ガイド機構による移動方向において複数位置で位置決めするロック機構とを含んで、前記モデル位置設定機構が構成されている請求項1に記載の内視鏡による整形手技のトレーニング装置。
【請求項3】
前記ガイド機構が、ガイドロッドと、前記ベース部材に設けられて該ガイドロッドが挿通されるガイド孔とを含んで構成されており、
該ガイドロッドと該ガイド孔との中心軸回りの相対回転に伴って該ガイドロッドの外周部分と該ガイド孔の内周部分とが咬み合うようになっており、該咬み合い作用で該ガイドロッドの軸方向への該ベース部材の移動を阻止して固定可能とすることにより前記ロック機構が構成されている請求項2に記載の内視鏡による整形手技のトレーニング装置。
【請求項4】
前記ロック機構において、前記ガイドロッドの外周面と前記ガイド孔の内周面とにそれぞれ周方向に延びる凸部が形成されており、該ガイドロッドと該ガイド孔との中心軸回りの相対回転によって該ガイドロッド側の該凸部と該ガイド孔側の該凸部とが軸方向で重なるように咬み合うことによって前記咬み合い作用が発揮されるようになっている請求項3に記載の内視鏡による整形手技のトレーニング装置。
【請求項5】
内視鏡が挿通可能とされる弾性材からなる弾性壁部材によって、前記ハウジングの壁部の少なくとも一部が構成された請求項1~4の何れか1項に記載の内視鏡による整形手技のトレーニング装置。
【請求項6】
前記ハウジングが、トレーニング用の液体が収容される水槽により構成されていると共に、
前記弾性壁部材が、穿孔部材の穿刺によって前記挿通用孔を形成可能であり、且つ該穿孔部材の抜去により該弾性壁部材自体の弾性に基づいて該挿通用孔が閉鎖される請求項5に記載の内視鏡による整形手技のトレーニング装置。
【請求項7】
前記ハウジングの周壁部が全体として4つの竪壁部を有する矩形筒形状とされており、該ハウジングの周壁部の少なくとも一部が前記弾性壁部材で構成されていると共に、
該弾性壁部材の上側部分は該ハウジングの上方への開口側に向かって湾曲して延びる湾曲壁部とされている請求項5に記載の内視鏡による整形手技のトレーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば腰椎や関節等の骨に関する疾患に対して内視鏡下で行う整形外科手術の手技をトレーニングするためのトレーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症等の腰椎の疾患に対して、内視鏡を用いた低侵襲的な手術が行われている。このような内視鏡を用いた手術は、特別な技術が必要となることから、習熟に時間が必要であり、術者の技術的な習熟度を向上させることを目的としたトレーニングが必要とされていた。
【0003】
そこで、本出願人は、国際公開第2019/107441号(特許文献1)において、腰椎疾患の内視鏡手術を対象とした手術練習用模型を提案した。この手術練習用模型では、腰椎疾患を発症した腰椎を模擬した腰椎模擬部の周囲が、エラストマー又はゲル状樹脂からなる筋組織模擬部で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、内視鏡下での整形外科手術の手技について本発明者が更に検討を進めたところ、手術練習用模型を提供するだけでは充分でなく、かくの如き模型を用いて手術練習を容易に且つ効率的に行うことのできるトレーニング装置も提供する必要があるとの認識に至った。
【0006】
すなわち、実際の手術では患者の体外からの手技操作によって患者の体内に存在する部位を治療することから、体内外を認識できる状態で手術練習用模型を所定位置にセットして、所定の距離や方向だけ離れた位置から手技操作するようにしたトレーニング装置が必要になると考えられる。しかも、例えば患者の体型などによって、体表面から腰椎等の骨格に達するまでの距離が異なる場合があり、かかる状況をトレーニング装置で再現することも考慮する必要があることが判った。
【0007】
本発明は、このように本発明者が新たに得た知見に基づいて為されたものであって、その解決課題とするところは、骨格モデルの模型を用いて内視鏡による整形手技の練習を容易に且つ効率的に行うことのできる、新規なトレーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0009】
第1の態様は、トレーニング用の骨格モデルが内部に着脱可能とされるハウジングを有しており、該ハウジングの壁部には内視鏡の挿通用孔が設けられていると共に、該ハウジングの内部において該骨格モデルを複数の異なる位置へ移動可能に且つ固定的に設定するモデル位置設定機構を備えており、該骨格モデルの移動によって該挿通用孔から該骨格モデルまでの距離が変更可能とされている内視鏡による整形手技のトレーニング装置である。
【0010】
本態様のトレーニング装置によれば、モデル位置設定機構によりハウジング内における複数の異なる位置へ骨格モデルを移動させることができて、挿通用孔から骨格モデルまでの距離を、適宜に調節設定することが可能になる。それ故、例えば皮膚から骨格までの距離が患者の体型などで異なることを想定して、ハウジングの挿通用孔から骨格モデルまでの距離を適宜設定したり複数種類に異ならせた状態で手技のトレーニングを行うことが可能になる。
【0011】
第2の態様は、前記第1の態様に係るトレーニング装置において、前記ハウジングの内部には、前記骨格モデルが着脱可能なベース部材が配されていると共に、該ベース部材を水平方向で移動可能に案内するガイド機構と、該ベース部材を該ガイド機構による移動方向において複数位置で位置決めするロック機構とを含んで、前記モデル位置設定機構が構成されているものである。
【0012】
本態様のトレーニング装置では、ガイド機構とロック機構によって移動と位置決めが為されるベース部材を採用し、当該ベース部材で骨格モデルを支持させた。これにより、骨格モデルの位置を容易に変更することができると共に、骨格モデルを直接的に把持して移動させる必要もないことから、骨格モデルの破損のおそれも低減され得る。
【0013】
第3の態様は、前記第2の態様に係るトレーニング装置において、前記ガイド機構が、ガイドロッドと、前記ベース部材に設けられて該ガイドロッドが挿通されるガイド孔とを含んで構成されており、該ガイドロッドと該ガイド孔との中心軸回りの相対回転に伴って該ガイドロッドの外周部分と該ガイド孔の内周部分とが咬み合うようになっており、該咬み合い作用で該ガイドロッドの軸方向への該ベース部材の移動を阻止して固定可能とすることにより前記ロック機構が構成されているものである。
【0014】
本態様のトレーニング装置によれば、ガイドロッドとガイド孔を中心軸回りで相対回転させるという簡単な操作により、ガイドロッドに対するガイド孔(ベース部材)の固定と固定解除の切換え、即ちハウジング内における骨格モデルの位置の固定と可動との切換えを行うことができる。
【0015】
第4の態様は、前記第3の態様に係るトレーニング装置において、前記ロック機構において、前記ガイドロッドの外周面と前記ガイド孔の内周面とにそれぞれ周方向に延びる凸部が形成されており、該ガイドロッドと該ガイド孔との中心軸回りの相対回転によって該ガイドロッド側の該凸部と該ガイド孔側の該凸部とが軸方向で重なるように咬み合うことによって前記咬み合い作用が発揮されるようになっているものである。
【0016】
本態様のトレーニング装置によれば、ガイドロッド側の凸部とガイド孔側の凸部との軸方向での咬み合い作用でロック機構が実現される。これにより、ベース部材(骨格モデル)の位置決めを、摩擦抵抗だけで実現する場合等に比して強固に行うことが可能になり、例えば骨格モデルに対する鉗子やドリル等の手術用器具の押圧力が大きな場合でも、骨格モデルを安定して位置決め保持することが容易となる。
【0017】
第5の態様は、前記第1~第4の何れかの態様に係るトレーニング装置において、内視鏡が挿通可能とされる弾性材からなる弾性壁部材によって、前記ハウジングの壁部の少なくとも一部が構成されたものである。
【0018】
本態様のトレーニング装置によれば、内視鏡が挿通可能とされる弾性壁部材がハウジングの壁部の少なくとも一部を構成していることから、例えばハウジングの壁部を構成する硬質の樹脂部材に貫通孔を位置固定に設けて当該貫通孔に内視鏡を挿通する場合に比べて、内視鏡の挿通位置が弾性壁部材の弾性変形で許容されることにより、挿通位置の変化等も許容されて手技の感覚を実際の人体皮膚に近づけてトレーニングすることが可能となる。例えば、側方から内視鏡を挿通した状態で内視鏡を押し下げるようなハンドダウンと呼ばれる手技のように、皮膚の延びに伴って内視鏡を下方向へ移動させるような操作も実現可能となる。それ故、実際の施術状態により近い環境で整形外科手術における手技をトレーニングすることができる。
【0019】
第6の態様は、前記第5の態様に係るトレーニング装置において、前記ハウジングが、トレーニング用の液体が収容される水槽により構成されていると共に、前記弾性壁部材が、穿孔部材の穿刺によって前記挿通用孔を形成可能であり、且つ該穿孔部材の抜去により該弾性壁部材自体の弾性に基づいて該挿通用孔が閉鎖されるものである。
【0020】
本態様のトレーニング装置によれば、例えば内視鏡の挿通位置がトレーニング用の液体の液面よりも下方に位置する場合でも、弾性壁部材の弾性に基づいて内視鏡の挿通用孔の閉鎖が可能であることから、穿孔部材の抜去と同時に挿通用孔が閉鎖される。それ故、別途のシール部材等を設けることなく、挿通用孔を通じた液体漏れを防止することができて、構造の簡略化が図られる。
【0021】
第7の態様は、前記第5又は第6の態様に係るトレーニング装置において、前記ハウジングの周壁部が全体として4つの竪壁部を有する矩形筒形状とされており、該ハウジングの周壁部の少なくとも一部が前記弾性壁部材で構成されていると共に、該弾性壁部材の上側部分は該ハウジングの上方への開口側に向かって湾曲して延びる湾曲壁部とされているものである。
【0022】
本態様のトレーニング装置によれば、例えば腰椎の疾患に対するトレーニングを行う場合には、矩形筒における左右の2つの竪壁部を人体における左右の横腹と捉えることができて、左右の竪壁部の少なくとも一方に弾性壁部材を設けることにより、上方(背中)からだけでなく、より外側からの内視鏡の差し入れをトレーニングすることができる。特に、弾性壁部材の上側部分が湾曲壁部とされて上方開口から周壁部にかけて設けられることから、ハンドダウンのような内視鏡を下方に押し下げるような動作のトレーニングも行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るトレーニング装置によれば、内視鏡の挿通用孔から骨格モデルまでの距離を適宜に調節設定することが可能であり、それ故、例えば患者の体型等によって皮膚から骨格までの距離が異なるような場合を想定した手技のトレーニングなどを効率的に行うことも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施形態としての整形手技のトレーニング装置を示す斜視図
【
図2】
図1に示された整形手技のトレーニング装置を内部透過状態で示す斜視図
【
図3】
図1に示された整形手技のトレーニング装置を背面側から内部透過状態で示す斜視図
【
図4】
図1に示された整形手技のトレーニング装置を底面側から示す斜視図
【
図5】
図1に示された整形手技のトレーニング装置において上壁部を取り外した状態を示す平面図
【
図6】
図1に示された整形手技のトレーニング装置を構成するハウジングを示す斜視図
【
図7】
図1に示された整形手技のトレーニング装置を構成するモデル位置設定機構を説明するための説明図
【
図8】
図7に示されたモデル位置設定機構の縦断面図であって、モデル位置設定機構を構成するベース部材にブラケットが装着された状態における前端部分の断面図
【
図9】
図7に示されたモデル位置設定機構の縦断面図であって、モデル位置設定機構を構成するベース部材にブラケットが装着された状態における後端部分の断面図
【
図10】ロック機構によるロック解除状態とロック状態を説明するための説明図であって、(a)がロック解除状態、(b)がロック状態を示す
【
図11】ベース部材に対してブラケットが取外し可能とされる状態とブラケットが固定された状態とを説明するための説明図であって、(a)がブラケットが取外し可能とされる状態、(b)がブラケットが固定された状態を示す
【
図12】
図1に示された整形手技のトレーニング装置に用いられる骨格モデルの具体的な一例をブラケットへの固定状態で示す正面図
【
図14】
図1に示された整形手技トレーニング装置に用いられる内視鏡の具体的な一例を概略的に示す右側面図
【
図15】椎間板ヘルニアの手術方法を説明するための説明図であって、(a)はインターラミナル法を説明する図であると共に、(b)はトランスフォラミナル法を説明する図
【
図16】本発明の第2の実施形態としての整形手技のトレーニング装置を示す縦断面図
【
図17】
図16に示された整形手技のトレーニング装置における要部を底面側から拡大して示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0026】
先ず、
図1~5には、本発明の第1の実施形態としての内視鏡による整形手技のトレーニング装置10が示されている。このトレーニング装置10は、内視鏡を用いた整形外科手術における使用者の技術的な習熟度の向上を図るものであり、例えば使用者の自宅等で手技のトレーニングを行えるようにしたものである。
【0027】
より詳細には、トレーニング装置10は、病変部位を模したトレーニング用の骨格モデル12(
図5において二点鎖線で図示)と、骨格モデル12が着脱可能に固定及び収容されるハウジングとしての水槽14とを備えている。水槽14には、外部から内視鏡16(後述する
図14参照)の先端部分が差し入れられるようになっており、これにより、骨格モデル12への施術手技をトレーニングすることができる。かかる内視鏡16を含んで、トレーニング装置10が構成されていてもよい。水槽14には、トレーニング用の液体である水18(
図1において二点鎖線で図示)が収容されており、骨格モデル12の全体が水18に浸漬されている。
【0028】
なお、以下の説明において、上下方向とは、鉛直方向であって、
図5の紙面直交方向(手前奥方向)である。また、前後方向とは、水槽14において骨格モデル12の延びる方向である
図5中の上下方向をいう。特に、本実施形態では、骨格モデル12として腰椎の骨格モデルが採用されており、前方とは、水槽14に対して
図5中のように骨格モデル12が配置された状態において骨格モデル12の首側となる
図5中の上方をいい、後方とは骨格モデル12の脚側となる
図5中の下方をいう。更に、左右方向とは、
図5中の左右方向をいう。なお、図中においていくつかの部品はボルト又はねじにより固定されているが、見易さのため、ボルト又はねじの図示は省略する場合がある。また、見易さのため、いくつかの部材は、内部を透過して示す場合がある。
【0029】
トレーニング用の液体は水18に限定されるものではなく、例えば有色の液体であってもよいが、トレーニングの状態がわかるように透明であることが好ましい。トレーニング用の液体が透明である場合、内視鏡16の映像が、内視鏡16に接続される図示しないモニタで確認できるように、例えば可視光線透過率が80%以上とされる。
【0030】
トレーニング装置10は装置本体20を備えており、当該装置本体20が上記水槽14を含んでいる。水槽14は、全体として上方に開口する略箱状であり、上方開口部22を有している。即ち、水槽14は、矩形平板状の底壁部24と、底壁部24の四方の外周縁部から上方に突出する周壁部26とを備えている。周壁部26は全体として矩形筒形状であり、4つの平坦状の竪壁部28を有している。
【0031】
水槽14における上方開口部22は、部分的に上壁部30により覆蓋されている。上壁部30は略矩形板形状であり、ゴムや発泡ウレタン等の弾性材からなる弁体34が装着されている。具体的には、上壁部30には板厚方向(上下方向)で貫通する貫通孔35(後述する
図16参照)が形成されていると共に、弁体34が略円柱形状とされており、貫通孔35の内周縁部が弁体34の上下方向中間部分に設けられた小径部に嵌め入れられることで、上壁部30に対して弁体34が装着されている。本実施形態では、6つの貫通孔35が前後及び左右方向で整列して配置されており、各貫通孔35に弁体34が装着されている。各弁体34の中央部分には、他の部分より薄肉とされて内視鏡16を穿刺及び挿通可能な薄肉部36が設けられている。
【0032】
図1~3及び
図5にも示されるように、水槽14における竪壁部28のうち前後方向両側の竪壁部28a,28bにおける上端部には、上壁保持部40がボルト又はねじにより固定されている。各上壁保持部40には、対向方向(前後方向)内方に突出する載置部42が設けられており、各載置部42上に上壁部30の前後方向両端が載置されている。そして、上壁部30の前後方向両端が各上壁保持部40における載置部42に載置されて、上壁部30の前後方向両端と各載置部42とが回転式の操作ノブによるロック機構等の公知の固定手段で固定されることにより、水槽14における上方開口部22に上壁部30が解除可能に固定されて、着脱可能に装着されている。かかる上壁部30と周壁部26を含んで、水槽14における壁部46が構成されている。
【0033】
なお、これら周壁部26(各竪壁部28)及び上壁部30は、透明の樹脂材料により形成されることが好ましく、例えば可視光線透過率が80%以上とされることが望ましい。尤も、周壁部26(各竪壁部28)及び上壁部30が透明とされる場合であっても、全体が透明とされる態様に限定されるものではなく、部分的に透明とされてもよい。また、底壁部24は、後述する骨格モデル12におけるブラケット162の取り付け易さ等を考慮して、可視光線の透過率が低く設定されることが好ましい。
【0034】
本実施形態では、
図6にも示されるように、4つの竪壁部28のうちの1つである左側の竪壁部28に開口部分48が設けられており、特に本実施形態では、開口部分48が、左側の竪壁部28における幅方向(前後方向)の全体に亘っていると共に、上下方向の全体にも亘っている。要するに、左側の竪壁部28に設けられた開口部分48は、上方開口部22と連続しており、左方及び上方に開口する1つの大きな開口部50を構成している。なお、前後両側の竪壁部28a,28bにおいて左方から上方にかけての部分は、滑らかに湾曲して連続しており、屈曲点(折れ点)がないように形成されている。
【0035】
また、本実施形態では、開口部分48を構成する前後両側の竪壁部28a,28b及び底壁部24のそれぞれの端縁部には、開口側に向かって凸状とされたエッジ状当接部52が設けられている。具体的には、左側の竪壁部28の周方向の両隣に位置する前後両側の竪壁部28a,28b及び底壁部24の左端部において、開口側に向かって次第に板厚寸法が小さくされることによって、開口部分48の幅方向両側(前後方向両側)及び下側において、それぞれエッジ状当接部52が設けられている。なお、本実施形態において、前後両側の竪壁部28a,28bにおけるエッジ状当接部52は、水槽14における左方だけでなく上方(即ち、上方開口部22の端縁部)にも亘って設けられている。
【0036】
さらに、前後両側の竪壁部28a,28bの内面において、上壁部30の固定部位よりも左方には、後述する弾性壁部材64の上端辺部を固定する上方固定部材54が、ボルト又はねじにより固定されている。各上方固定部材54は、全体として上下方向に延びていると共に、上端部において二股に分岐しており、かかる分岐部分において後述する上側ロッド72が引っ掛けられる上方支持凹部56が設けられている。そして、各上方固定部材54には抜止部材58が組み付けられており、上方支持凹部56に上側ロッド72が引っ掛けられた状態において、各上方支持凹部56の開口を抜止部材58で覆うことで、各上方支持凹部56からの上側ロッド72の抜けが防止されている。また、底壁部24の下面における左端部には、後述する弾性壁部材64の下端辺部を固定する下方固定部材60が、ボルト又はねじにより固定されている。下方固定部材60は、全体として左右方向に延びていると共に、左端部において二股に分岐しており、かかる分岐部分において後述する下側ロッド74が引っ掛けられる下方支持凹部62が設けられている。
【0037】
そして、水槽14の壁部46の少なくとも一部が、内視鏡16が挿通可能とされる弾性材からなる弾性壁部材64により構成されており、本実施形態では、周壁部26の少なくとも一部が弾性壁部材64により構成されている。具体的には、前述のように、4つの竪壁部28のうちの1つである左側の竪壁部28に開口部分48が設けられており、当該開口部分48を覆うように弾性壁部材64が配置されている。特に、本実施形態では、水槽14における左側の竪壁部28の代わりに弾性壁部材64が設けられており、前後両側の竪壁部28a,28b、右側の竪壁部28c及び弾性壁部材64により、略箱状の水槽14が構成されている。なお、弾性壁部材64を構成する弾性材の材質は限定されるものではないが、例えば独立気泡の発泡ウレタン等の発泡樹脂や非発泡の軟質合成樹脂、シリコーンシート、人工ゴムシート(発泡又は非発泡を含む)及びそれらの複合材等が採用可能であり、本実施形態では、発泡ウレタンが採用されている。弾性壁部材64の硬度は限定されるものではないが、例えば人体の皮膚に近い延び特性等を実現できるように、ショアC硬度が20°~90°の範囲内に設定されることが好ましい。
【0038】
このような前後両側の竪壁部28a,28b及び底壁部24における各エッジ状当接部52に対して弾性壁部材64の幅方向両側部分及び下端部分が重ね合わされて押し付けられることで、弾性壁部材64により開口部分48がシールされている。本実施形態では、弾性壁部材64が略矩形のシート状とされており、柔軟に弾性変形可能とされている。そして、
図1~5にも示されるように、弾性壁部材64は、開口部50における左方から上方にかけて設けられており、開口部50における左方(開口部分48)を覆い略平坦に広がる左方平坦部66と、開口部50における上方(上方開口部22)を部分的に覆い略平坦に広がる上方平坦部68と、左方平坦部66と上方平坦部68とを接続して前後両側の竪壁部28a,28bの湾曲部分に沿って広がる湾曲壁部70とを備えている。即ち、弾性壁部材64の上側部分には、水槽14の上方開口部22を覆うように湾曲して内方に延びる湾曲壁部70が設けられている。一方、弾性壁部材64の下端部分(左方平坦部66の下端部分)は、前後両側の竪壁部28a,28b及び底壁部24よりも下方まで突出している。
【0039】
なお、弾性壁部材64において左方平坦部66や上方平坦部68のような平坦に広がる部分は必須なものではなく、例えば前後両側の竪壁部28a,28bにおける左端面が平坦な部分を有することなく湾曲している場合、弾性壁部材64は、かかる竪壁部28a,28bの左端面に沿って全体に亘って湾曲していてもよい。
【0040】
そして、弾性壁部材64の上端辺部(上方平坦部68において湾曲壁部70と反対側の端部)には上側ロッド72が取り付けられていると共に、弾性壁部材64の下端辺部(左方平坦部66において湾曲壁部70と反対側の端部)には下側ロッド74が取り付けられている。具体的には、弾性壁部材64の上端辺部及び下端辺部において、それぞれ上側ロッド72及び下側ロッド74が、弾性壁部材64の幅方向(前後方向)に延びて挿通されている。これら上側及び下側ロッド72,74は、弾性壁部材64から前後方向両側に突出しており、弾性壁部材64から突出する上側及び下側ロッド72,74の両端部には、それぞれ把持部76が固定されている。
【0041】
また、弾性壁部材64の上端辺部及び下端辺部における幅方向(前後方向)両側部分には、それぞれ弾性壁部材64の長さ方向内方に凹む取付凹部77が設けられている。かかる弾性壁部材64の上端辺部における各取付凹部77により上側ロッド72が部分的に露出していると共に、弾性壁部材64の下端辺部における各取付凹部77により下側ロッド74が部分的に露出している。そして、弾性壁部材64における上端辺部において各取付凹部77から露出する上側ロッド72が、前後両側の竪壁部28a,28bに固定される各上方固定部材54の上方支持凹部56に引っ掛けられると共に、弾性壁部材64における下端辺部において各取付凹部77から露出する下側ロッド74が、底壁部24に固定される各下方固定部材60の下方支持凹部62に引っ掛けられることで、弾性壁部材64が、水槽14における開口部分48を覆って取り付けられている。
【0042】
これら上方支持凹部56と下方支持凹部62において、前後両側の竪壁部28a,28bの左端面に沿った離隔距離は、弾性壁部材64の長さ方向における自然長よりも大きくされている。即ち、上下のロッド72,74がそれぞれ上下の支持凹部56,62に引っ掛けられた状態では、弾性壁部材64が長さ方向で引っ張られた状態とされており、弾性壁部材64が、かかる引張状態をもって開口部分48の端縁部である各エッジ状当接部52に対して押し付けられている。従って、弾性壁部材64を水槽14に装着する際には、例えば下側ロッド74を下方支持凹部62に引っ掛けた後、弾性壁部材64を長さ方向に引っ張りつつ上側ロッド72を上方支持凹部56に引っ掛けて、各上方支持凹部56の開口を抜止部材58で覆う。これにより、弾性壁部材64における引張動作を解除した後にも、弾性壁部材64が自然状態よりも上下方向で引っ張られた状態で、水槽14に装着される。要するに、弾性壁部材64の上端縁部と下端縁部が水槽14に対して固定的に取り付けられることによって、弾性壁部材64が上下方向の引張状態で装着されている。
【0043】
なお、弾性壁部材64は、例えば上側ロッド72における両把持部76を把持して弾性壁部材64を長さ方向で引っ張りつつ上方支持凹部56から上側ロッド72を抜き出した後、下方支持凹部62から下側ロッド74を抜き出すことで、水槽14から取り外され得る。即ち、上側ロッド72及び下側ロッド74が水槽14に対して着脱可能とされており、これにより、弾性壁部材64が水槽14に対して着脱可能に装着され得る。
【0044】
さらに、水槽14における底壁部24の四隅には、下方に突出する水槽脚部78が設けられている。本実施形態では、各水槽脚部78が、底壁部24に対してボルト又はねじにより固定されている。各水槽脚部78は全体として略円錐台形状であり、それぞれの下面には、下方に開口する位置決め凹部80が形成されている。各水槽脚部78は合成樹脂により形成されてもよいが、例えば全体又は一部が、強磁性や常磁性を有する金属製とされてもよい。各水槽脚部78が合成樹脂により形成される場合、例えば内部に永久磁石が埋設状態で配置されてもよい。
【0045】
更にまた、水槽14における後方の竪壁部28bにおいて、右下には、板厚方向(前後方向)で貫通する貫通孔84が形成されており、当該貫通孔84には、水槽排水口86を有する水槽ポート部材88が組み付けられている。かかる水槽排水口86により、水槽14の内外が相互に連通している。この水槽排水口86は、下方に位置する後述する受槽140に向かって開口しており、例えば図示しないチューブ等が接続されるようになっている。このチューブには、例えばクランプや開閉の切換えが可能な弁が設けられており、これにより水槽排水口86が開閉可能とされている。
【0046】
ここにおいて、トレーニング装置10は、水槽14の内部において、骨格モデル12を複数の異なる位置へ移動可能に且つ固定的に設定するモデル位置設定機構90を備えている。このモデル位置設定機構90による骨格モデル12の移動によって、水槽14の壁部46に設けられる後述する内視鏡16の挿通用孔198から骨格モデル12までの距離が変更可能とされている。
【0047】
本実施形態では、水槽14の内部において骨格モデル12が着脱可能なベース部材92が設けられており、ベース部材92を水平方向で移動可能に案内するガイド機構94と、ベース部材92をガイド機構94による移動方向において複数位置で位置決めするロック機構96とを含んで、モデル位置設定機構90が構成されている。
【0048】
具体的には、
図7に示されるように、ベース部材92は、全体として略矩形プレート状の部材であり、合成樹脂により形成されている。このベース部材92は、底壁部24に対して前後方向が長手方向となる向きで配置されており、前後方向中間部分には、後述する骨格モデル12のブラケット162が装着される装着部98が設けられていると共に、前後方向両端部には、左右方向で貫通するガイド孔100が設けられている。
【0049】
装着部98は、上方に開口する略矩形の凹部であり、所定の大きさの開口部を有している。すなわち、装着部98における上方開口部102の幅方向(左右方向)寸法A(
図7参照)は、ブラケット162の幅方向寸法B(後述する
図13参照)と等しいか僅かに大きくされている。また、上方開口部102の長さ方向(前後方向)寸法C(
図7参照)は、ブラケット162における上段部分の長さ方向寸法D(
図12参照)と等しいか僅かに大きくされていると共に、ブラケット162における下段部分の最大長さ寸法E(後述する各係合突部178の形成位置における最大前後方向寸法、
図12参照)よりも僅かに小さくされている。そして、
図7~9に示されるように、装着部98における前後方向両側の壁部103a,103bの下方部分には、ブラケット162における前方側の係合突部178が嵌め入れられる固定溝104及び後方側の係合突部178が嵌め入れられる固定溝106が設けられている。なお、装着部98の底壁には複数の水抜孔108が設けられており、使用後のトレーニング装置10において、装着部98からの水18の排水を容易に行うことができるようになっている。更に、装着部98における後方側の壁部103bの左右方向中央部分には開口部109が設けられており、後述するように、装着部98に装着されるブラケット162に対して、開口部109を通じて後方からばね部112における突出先端部114が弾性的に当接可能とされている。
【0050】
また、ベース部材92において、装着部98の後方には、装着部98に装着されたブラケット162を固定するブラケット固定機構110が設けられている。ブラケット固定機構110は、ベース部材92に一体的に設けられて前後方向で弾性変形可能なばね部112を備えており、ばね部112の突出先端部分にはブラケット162における後方側の係合突部178に当接可能な突出先端部114が設けられている。なお、突出先端部114には、後方に突出する略半球状の後方突出部116が設けられている。更に、ブラケット固定機構110は、左右方向でスライド変位可能でブラケット162の固定と固定解除を切り換える固定切換部118を有している。固定切換部118は、上方に突出すると共に使用者が摘まんで操作することが可能な摘まみ部120と、摘まみ部120に一体的に設けられてばね部112における突出先端部114に後方から当接することが可能な当接部122とを備えている。
【0051】
これにより、
図7,9に示されるように、装着部98にブラケット162が装着された状態において、摘まみ部120を摘まんで当接部122を左方にスライド変位させて、当接部122をばね部112における突出先端部114に後方から当接させることで、各固定溝104,106に嵌め入れられた各係合突部178の前後方向両端部が、前方の固定溝104の内面と突出先端部114とにより前後方向で挟持されて、装着部98に対してブラケット162が固定されるようになっている。特に、突出先端部114には、後方に突出する後方突出部116が設けられており、当該後方突出部116において突出先端部114と当接部122とが当接することで、当接部122が小さな押圧面をもって突出先端部114を前方への突出位置に保持する。これにより、前方の固定溝104と突出先端部114間でのブラケット162の支持力、要するに装着部98に対するブラケット162の固定力が向上されるようになっている。なお、突出先端部114は、初期状態(当接部122を左方にスライド変位させる前の状態)において、
図9に示される位置にあってもよいし、当接部122を左方にスライド変位させて突出先端部114に後方から当接させることで、突出先端部114が前方へ押し出されて
図9に示される位置に移動するようになっていてもよい。
【0052】
また、
図8,9に示されるように、ベース部材92の前後方向両端部に設けられる各ガイド孔100は、長さ方向の全長に亘って一定の略円形状で延びている。また、各ガイド孔100の内周面には、内周側(径方向内方)に突出する略板状の凸部(ガイド孔側凸部)124が設けられている。このガイド孔側凸部124は、ガイド孔100内で略弦月形の板状で周方向に延びており、径方向の突出高さはガイド孔100へ挿通される後述のガイドロッド126の外周面と接するか僅かに至らない高さとされている。なお、かかるガイド孔側凸部124の板厚(ガイド孔100の軸方向における厚さ寸法)は、突出方向先端側(ガイド孔100の内周側)の先端部分が突出方向基端部分よりも小さくされることが望ましい。
【0053】
かかるガイド孔側凸部124は、ガイド孔100内に少なくとも一つ形成されていれば良いが、好適にはガイド孔100の長さ方向(左右方向)で相互に離隔して複数形成される(例えば3~10個)。ガイド孔側凸部124を複数設ける場合には、後述するように各ガイド孔側凸部124がガイドロッド126に形成されるガイドロッド側凸部134の軸方向間(凹部136)に嵌まり込んで咬み合うようにピッチ(間隔)が設定されることとなる。
【0054】
一方、水槽14の底壁部24には、互いに平行に延びる複数本(本実施形態では一対)のガイドロッド126,126が固定的に取り付けられている。これら各ガイドロッド126は、それぞれ左右方向に延びており、前後方向で所定の距離を隔てて対向している。各ガイドロッド126は、長さ方向(左右方向)両端部が固定部材128によって中心軸回りで回転可能且つ位置固定に支持されている。左右方向両側の各固定部材128は、水槽14に対してボルト等で固着されることで、各ガイドロッド126が各固定部材128を介して水槽14に取り付けられている。なお、各ガイドロッド126の右端部は右側の固定部材128を貫通して右方に突出しており、当該各ガイドロッド126の右端部には、当該各ガイドロッド126を手動で中心軸回りに回転操作させることのできるレバー部130が一体的に設けられている。また、本実施形態のガイドロッド126は、長さ方向の全長に延びる金属製の芯棒132の周囲に合成樹脂層を被覆状態で固着した複合構造とされている。これにより、各ガイドロッド126の剛性向上と共に、外周面の形状設定自由度の向上が図られている。
【0055】
これら各ガイドロッド126は、一定の略円形の断面形状をもってストレートに延びており、各ガイド孔100の内周面よりも一回り小さな外周面形状とされていると共に、外周面における周方向の一箇所(
図8中の下側部分)には、弦方向に延びる平坦面133が形成されており、かかる平坦面133が軸方向全長に亘って面取り状に広がっている。また、ガイドロッド126の外周面には、平坦面133を周方向に外れた部分において、外周側に突出する複数の凸部(ガイドロッド側凸部)134が設けられている。このガイドロッド側凸部134は、略板状乃至はフランジ状で周方向に延びており、周方向の両端部分は平坦面133に近づくに従って突出高さが次第に小さくされている。
【0056】
ガイドロッド側凸部134の突出高さは、ガイドロッド側凸部134の形成位置における外径寸法がベース部材92のガイド孔100の内径寸法と同じか僅かに小さくなるように設定される。そして、ガイドロッド側凸部134が略一定の突出高さ(外径寸法)をもって半周以上に亘って周方向に延びていることで、多数のガイドロッド側凸部134の外周面によって協働して、ベース部材92のガイド孔100の内周面に摺接して該ベース部材92を軸方向へ移動可能に案内する案内面が構成されている。
【0057】
また、ガイドロッド側凸部134の厚さ寸法は、突出先端側が基端側よりも小さくされていると共に、周方向の両端部分では周方向端部に行くに従って次第に厚さ寸法が小さくされている。そして、かかるガイドロッド側凸部134は、ガイドロッド126の長さ方向で一定の間隔(ピッチ)で多数形成されている。これにより、ガイドロッド126の軸方向で隣り合うガイドロッド側凸部134,134間には、外周面に向かって開口して周方向に延びる凹部136が形成されている。また、各凹部136は、外周側に向かって次第に開口寸法(隣り合うガイドロッド側凸部134,134間の離隔距離)が大きくされている。
【0058】
かくの如き各ガイドロッド126がベース部材92における各ガイド孔100に挿通されている。そして、各ガイドロッド126と各ガイド孔100(ベース部材92)とを固定する場合には、
図8,9に示されるように、各レバー部130を摘まみ、各ガイドロッド126を中心軸回りで回転させる。これにより、各ガイド孔側凸部124が各ガイドロッド126の凹部136へ入り込むように周方向へ相対移動することとなり、軸方向で隣り合うガイドロッド側凸部134,134間で各ガイド孔側凸部124を軸方向両側から挟み込むようにして咬み合った状態とされる。かかる咬み合い状態では、ガイド孔側凸部124に対してガイドロッド側凸部134,134が軸方向で重なって嵌まり合うことで、ガイドロッド126に対するガイド孔100(ベース部材92)の軸方向移動が阻止されて位置決め状態とされる。
【0059】
一方、各ガイドロッド126と各ガイド孔100(ベース部材92)との固定を解除する場合には、
図8,9において二点鎖線で示されるように、各レバー部130を摘まみ各ガイドロッド126を中心軸回りで回転させて、各ガイドロッド側凸部134をガイド孔側凸部124から周方向へ離脱させる。これにより、ガイド孔側凸部124がガイドロッド126の凹部136から抜け出して、ガイド孔側凸部124とガイドロッド側凸部134との軸方向の重なり状態での咬み合いによる軸方向での位置決めが解除され、各ガイドロッド126に対して各ガイド孔100(ベース部材92)が長さ方向で移動可能とされる。なお、かかる解除状態では、ガイド孔100のガイド孔側凸部124に対してガイドロッド126の平坦面133が径方向で離隔して対向位置するようになり、ガイド孔側凸部124のガイドロッド126への接触が回避されることで、ベース部材92のガイドロッド126に沿った移動が一層スムーズに実現されるようになっている。
【0060】
以上のことから、本実施形態では、ベース部材92を水平方向(上下方向に直交する方向のうち、特に左右方向)で移動可能に案内するガイド機構94が、各ガイドロッド126と、各ガイドロッド126が挿通される各ガイド孔100とを含んで構成されている。また、各ガイドロッド126を中心軸回りで回転させて各ガイドロッド126の外周面と各ガイド孔100の内周面とを咬み合わせることで各ガイドロッド126と各ガイド孔100とが固定されるようになっており、各ガイドロッド126に沿ったベース部材92の移動を阻止して固定可能とするロック機構96が、かかる咬み合い作用により構成されている。特に、各ガイド孔100の内周面には各ガイド孔側凸部124が設けられていると共に、各ガイドロッド126の外周面には各ガイドロッド側凸部134(各凹部136)が設けられており、各ガイド孔側凸部124が各凹部136に入り込んで各ガイドロッド126の外周面に咬み合うことにより上記咬み合い作用が発揮されるようになっている。これにより、ベース部材92をガイド機構94による移動方向(左右方向)で位置決めするロック機構96は、各ガイド孔側凸部124と各凹部136との嵌合作用によっても構成され得る。
【0061】
さらに、本実施形態のトレーニング装置10は、水槽14の下方において設けられる水槽14よりも大きな受槽140と、弾性壁部材64をエッジ状当接部52に対して押し付けた状態で外方から押圧する押圧機構142とを備えている。なお、かかる押圧機構142は、開口部分48における、弾性壁部材64の外周部分が前後両側の竪壁部28a,28bに重ね合わされてシールされる部分の少なくとも一部において、弾性壁部材64を外方から押圧していることが好適であるが、本実施形態では、後述するように、押圧機構142により弾性壁部材64が、前後両側の竪壁部28a,28bの下側部分及び底壁部24の各エッジ状当接部52に押圧されている。
【0062】
図1~3及び
図5にも示されるように、受槽140は、全体として上方に開口する略箱状であり、略矩形状の底壁144と、底壁144の外周縁部から上方に突出する周壁146とを備えている。周壁146はある程度の上下方向寸法を有しており、受槽140において貯留可能な液体の容積が、水槽14に貯留されるトレーニング用の液体(水18)の体積以上とされている。底壁144の四隅における下面には、下方に突出する受槽脚部148が、ボルト又はねじにより固定されている。また、底壁144の隅部(例えば、底壁144の左後部)には、板厚方向(上下方向)で貫通する貫通孔150が設けられており、当該貫通孔150には、受槽排水口152を有する受槽ポート部材154が組み付けられている。かかる受槽排水口152により、受槽140の内外が相互に連通している。この受槽排水口152は、外部に向かって開口しており、例えば受槽ポート部材154に図示しないチューブ等が接続され得る。このチューブには、例えばクランプや開閉の切換えが可能な弁が設けられて、受槽排水口152が開閉可能とされる。
【0063】
また、受槽140における上方への開口は、水槽14の外周回りよりも大きくされており、受槽140における底壁144上に水槽14が載置され得る。そして、底壁144において、水槽14における水槽脚部78が重ね合わされる部分には、上方に突出する位置決め凸部156が、ボルト又はねじにより固定されている。各位置決め凸部156は、全体として略円錐台形状とされており、各水槽脚部78における位置決め凹部80よりも僅かに小さく形成されている。各位置決め凸部156は合成樹脂により形成されてもよいが、例えば全体又は一部が、強磁性や常磁性を有する金属製とされてもよい。各位置決め凸部156が合成樹脂により形成される場合、例えば内部に永久磁石が埋設状態で配置されてもよい。
【0064】
これにより、受槽140における底壁144上に水槽14が載置される場合には、各水槽脚部78における位置決め凹部80に、底壁144上の各位置決め凸部156が入り込んで、水槽14と受槽140とが水平方向(上下方向に対して直交する方向)で位置決めされる。即ち、本実施形態では、これら位置決め凹部80と位置決め凸部156とを含んで、水槽14と受槽140とを水平方向で相対的に位置決めする位置決め機構が構成されている。なお、水槽14と受槽140とは上下方向では固定されていないことから、トレーニングの終了後に受槽140から水槽14を持ち上げることで、受槽140から水槽14を取り外すことができる。また、例えば各水槽脚部78と各位置決め凸部156とに設けられる永久磁石により、水槽14と受槽140とを装着状態で保持する連結機構が構成されてもよい。
【0065】
図1~5にも示されるように、本実施形態の押圧機構142は、ブロック状の押圧部材158を含んで構成されている。押圧部材158は、好適には弾性を有する部材により形成されており、本実施形態では、高密度ポリエチレンや発泡ポリエチレンにより形成されている。なお、押圧部材158は、弾性壁部材64よりも変形剛性が大きくされることが好ましい。この押圧部材158は、略矩形または略台形断面を有しており、水槽14上に配置された状態においてある程度の左右方向寸法と前後方向寸法を有している。本実施形態では、押圧部材158の前後方向寸法が弾性壁部材64における前後方向寸法と略等しくされている。また、押圧部材158の左右方向寸法は、弾性壁部材64と受槽140における周壁146の左方における内面との離隔距離と略等しいか、それよりも僅かに大きくされている。
【0066】
そして、本実施形態では、押圧部材158が、水槽14が受槽140に載置された状態において、弾性壁部材64と周壁146における左方部分との間に差し込まれて配置されている。特に、押圧部材158の左右方向寸法が弾性壁部材64と周壁146における左方の内面との離隔距離より大きくされていることから、押圧部材158が弾性壁部材64と周壁146における左方部分との間に配置されることで、弾性壁部材64及び/又は押圧部材158が左右方向で圧縮されて、弾性壁部材64の左方部分(左方平坦部66)が、弾性壁部材64と水槽14との間で挟持されている。これにより、押圧部材158が、弾性壁部材64を外方から押圧するように設けられている。
【0067】
以下、本実施形態のトレーニング装置10における使用方法の具体的な一例を、
図10,11を示して説明する。即ち、
図10(a)には、モデル位置設定機構90において、ロック機構96が解除されてベース部材92が各ガイドロッド126に沿って移動可能な状態が示されていると共に、
図10(b)には、ロック機構96によりベース部材92が各ガイドロッド126に対して位置決めされた状態が示されている。また、
図11(a)には、ブラケット固定機構110が作動しておらず、後述するブラケット162がベース部材92における装着部98から取外し可能な状態が示されていると共に、
図11(b)には、ブラケット固定機構110によりブラケット162がベース部材92における装着部98に固定された状態が示されている。
【0068】
初期状態(トレーニングを行う前の準備状態)では、
図10(a)に示されるようにロック機構96が解除されており、即ち各ガイド孔100における各ガイド孔側凸部124と各ガイドロッド126における平坦面133とが周方向で位置合わせされて、本実施形態では、各ガイド孔側凸部124と平坦面133とが前後方向で対向している。これにより、ベース部材92が、各ガイドロッド126の長さ方向(左右方向)で移動可能とされている。
【0069】
かかる状態において(または、
図10(b)に示されるようにロック機構96が作動した状態)において、
図11(a)に示されるように、ベース部材92の装着部98にブラケット162を装着する。なお、装着部98における上方開口部102の前後方向寸法Cは、ブラケット162における最大の前後方向寸法Eより小さくされているが、ブラケット162を前後方向で傾斜させてブラケット162の後方の係合突部178を後方の固定溝106に嵌め入れた後に、当該嵌入部分を中心にブラケット162全体を回転させて前方を下げることで、装着部98にブラケット162を収容して、前方の係合突部178を前方の固定溝104に嵌め入れることができる。
【0070】
具体的には、装着部98にブラケット162を装着する段階では、ばね部112の突出先端部114の後方に固定切換部118における当接部122が位置しておらず、突出先端部114はばね部112の弾性変形に伴って前後方向で変位可能である。それ故、後方の係合突部178を固定溝106に嵌め入れた状態でブラケット162を後方に押し込むことで、ブラケット162は
図9に示される状態よりも距離:Fだけ後方に移動可能であり、それに伴って前方の係合突部178を前方の固定溝104に嵌め入れることができるようになる。より詳細には、ブラケット162の後方の係合突部178を後方の固定溝106に差し入れた状態でブラケット162を(ばね部112の付勢力に抗して)後方に押し込むことで、ブラケット162は、ブラケット162の上段部分と装着部98における後方の壁部103bとが当接するまで(距離:Fだけ)後方に移動することとなる。ここにおいて、ブラケット162の前方側における係合突部178の固定溝104への係合深さ:G(
図8参照)が当該移動距離:Fより小さく(G<F)されていることから、ブラケット162を後方へ距離:Fだけ移動させることで、前方の係合突部178を固定溝104に嵌め入れる隙間がF-Gの大きさをもって形成されることとなる。なお、両側の固定溝104,106に両方の係合突部178,178が嵌め入れられた状態では、ブラケット162は、後方への移動が突出先端部114で弾性的に防止されることで、係合突部178,178の係合状態が保持されて意図しない脱落の防止が図られる。
【0071】
その後、
図11(b)に示されるように、固定切換部118における摘まみ部120を摘まんで当接部122を左方に変位させて、当接部122をばね部112における突出先端部114に対して後方から当接させることで、突出先端部114によりブラケット162が前方へ押し出されて、ブラケット162の前方の係合突部178が固定溝104における前方の内面に突き当たる。これにより、ブラケット162における両側の係合突部178が前側の固定溝104の内面と突出先端部114との前後方向間で挟持されて、装着部98内でのブラケット162の移動が防止される。なお、装着部98からブラケット162を取り出す場合には装着とは逆の操作を行えばよく、即ち摘まみ部120を摘まんで当接部122を右方に変位させ、突出先端部114との当接を解除して、ばね部112(突出先端部114)を前後方向で弾性変形可能とする。これにより、ブラケット162を後方に変位させることができると共に、ブラケット162の後方への移動により前方の係合突部178を前方の固定溝104から抜け出させることができる。この状態で、例えばブラケット162の上端部分における前方端部に手指を掛けて引き起こすように操作することで、装着部98からブラケット162を取り出すことができる。
【0072】
この状態で、ベース部材92を各ガイドロッド126に沿って左右方向で所望の位置まで移動させた後、
図10(b)に示されるように、各ガイドロッド126の右端部に設けられた各レバー部130を操作して、各ガイドロッド126を中心軸回りで回転させる。これにより、各ガイド孔100の内部の各ガイド孔側凸部124が、各ガイドロッド126の凹部136に入り込み外周面と咬み合うことで各ガイドロッド126に対してベース部材92が固定され得る。即ち、本実施形態では、ベース部材92(骨格モデル12)を各ガイドロッド126の長さ方向で複数の位置に固定することができて、特に本実施形態では、各ガイドロッド126に対してベース部材92が移動可能な範囲において、任意の位置にベース部材92を固定することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、前述のように、各ガイド孔100における各ガイド孔側凸部124と各ガイドロッド126における各ガイドロッド側凸部134とが何れも突出先端側に向かって板厚寸法が小さくなる先細形状とされている。これにより、
図10(a)のようにレバー部130が真っ直ぐ上方に向いている状態から、
図9のようにレバー部130が斜めの状態を経由して、
図10(b)のようにレバー部130が水平の状態に至るに際して、各ガイド孔側凸部124と各凹部136との位置にずれがあったとしても、両凸部124,134の各傾斜面による案内作用により各ガイド孔側凸部124が各凹部136に次第に入り込むようになっており、レバー部130を水平の状態とした
図10(b)の状態では、各ガイド孔側凸部124が各凹部136内に確実に位置して各ガイドロッド126の外周面に咬み合うようになっている。
【0074】
そして、このように各ガイドロッド126に対してブラケット162を装着したベース部材92を固定した後、ブラケット162に対して骨格モデル本体160が固定される。水槽14に装着されてトレーニングに供される骨格モデルは、トレーニングを行う手技に応じて変更可能であるが、
図12,13に示されるように、本実施形態の骨格モデル12は、骨格モデル本体160がブラケット162に固定されることで構成される。本実施形態の骨格モデル12(骨格モデル本体160)は、椎間板ヘルニアの手術のトレーニングとして、腰椎の骨格モデルを採用している。なお、腰椎の骨格モデルを採用する場合、腰椎全体(第1~第5腰椎)を模したものであってもよいが、腰椎の一部を模したものであってもよく、本実施形態の骨格モデル本体160は、第3腰椎L3と第4腰椎L4と第5腰椎L5の前方部分と、第3腰椎L3と第4腰椎L4との間の椎間板164と、第4腰椎L4と第5腰椎L5との間の椎間板166とを備えている。なお、前述の
図1~11では、骨格モデル12における首側を前方、脚側を後方として説明していたことから、骨格モデル12において首側となる
図12中の左方を前方、脚側となる
図12中の右方を後方、背中側となる
図12中の上方を上方、腹側となる
図12中の下方を下方として説明する。
【0075】
また、骨格モデル本体160の内部の隙間168には、神経を模した神経モデル170が挿通されている。神経モデル170は、前後方向に延びる馬尾神経を模した部分170aと、馬尾神経から側方に延び出す神経根を模した部分170bとを有している。そして、骨格モデル本体160は、内部の隙間168に、ヘルニアを模した繊維状の内装物172を有している。この繊維状の内装物172としては、例えば綿や羊毛フェルト等が好適に採用され得る。
【0076】
かかる骨格モデル本体160は、例えばエポキシ樹脂やアクリル系樹脂等の硬質樹脂により形成され得て、本実施形態では発泡ポリウレタンにより形成されている。更に、本実施形態では、骨格モデル本体160が、互いに硬さが異なる複数の層からなる多層構造とされている。最も外側の層は、内側の層よりも硬質な合成樹脂からなる被覆層174である。かかる外側の層(被覆層174)は、例えば内側の層と異なる材質を採用することも可能であるが、内側の層に対して発泡率を変化させることによって硬さを調節してもよい。また、神経モデル170は、例えばシリコーン等のエラストマーにより形成され得る。
【0077】
さらに、ブラケット162は、全体として略矩形平板形状であり、例えば硬質の合成樹脂により形成され得る。かかるブラケット162が、骨格モデル本体160の下面に固定されている。なお、ブラケット162と骨格モデル本体160との固定構造は限定されるものではなく、例えば接着等であってもよいが、本実施形態では、ブラケット162の上面における中央部分にピン穴176が設けられており、骨格モデル本体160から下方に突出する図示しないピンが圧入されることで、ブラケット162と骨格モデル本体160とが固定されている。このような固定構造を採用することで、例えばベース部材92における装着部98にブラケット162を装着した状態で、骨格モデル本体160のみを交換することも可能となる。或いは、骨格モデル本体160のピンをブラケット162のピン穴176に挿入した状態で、骨格モデル本体160とブラケット162とを接着してもよい。また、ブラケット162の下部には、前後方向両側に突出する係合突部178,178が設けられている。これにより、本実施形態のブラケット162では、上段部分に比して、下部における各係合突部178の形成部分が前後方向両側に突出している。
【0078】
そして、骨格モデル12が固定された水槽14に対して、上壁部30に設けられた各弁体34及び弾性壁部材64の何れかを介して、上方から内視鏡16の先端部分が挿し入れられる。本発明に係るトレーニング装置10に用いられる内視鏡の構造は限定されるものではなく、例えば一般に外科手術で用いられる内視鏡を用いてもよいが、本実施形態では、
図14に示されるように、内視鏡16が、簡易的な内視鏡とされている。即ち、本実施形態の内視鏡16は、本体部180が金属により形成されている。
【0079】
内視鏡16の本体部180には、複数のルーメンが設けられており、当該ルーメンを通じて手術用の器具が挿通されたり、水槽14内における水18の吸引や吐出が行われる。すなわち、複数のルーメンのうちの1つの基端部分は、スリット182を有する弁184で閉塞されており、当該弁184を通じて手術用の器具が挿通され得る。また、別のルーメンには水18を吸引するための吸引チューブ186が接続されていると共に、更に別のルーメンンは水18を吐出するための吐出チューブ188が接続されている。また、内視鏡16の先端には図示しないカメラが設けられており、カメラに接続されるケーブル190が本体部180よりも基端側に引き出されている。ケーブル190は、水槽14の外部においてコネクタ192を介して図示しないモニタに接続されている。
【0080】
なお、かかる内視鏡16が弾性壁部材64に挿通される場合、弾性壁部材64には内視鏡16が挿通される前に、穿孔部材としてのダイレータ194及びシース196が穿刺される。
図14において二点鎖線で示されるように、ダイレータ194はシース196に内挿されており、ダイレータ194とシース196とが一体的に弾性壁部材64に穿刺される。その後、シース196に対してダイレータ194を引き抜くことで、弾性壁部材64にシース196が留置される。このシース196により弾性壁部材64に内視鏡16の挿通用孔198が形成されて、当該挿通用孔198を通じて内視鏡16が弾性壁部材64に挿通され得る。即ち、穿孔部材であるダイレータ194の穿刺によって、内視鏡16の挿通用孔198が形成可能である。
【0081】
また、トレーニングの終了後には、弾性壁部材64から穿孔部材であるシース196を抜去することにより、弾性壁部材64自体の弾性に基づいて挿通用孔198は閉鎖され得る。なお、上壁部30における各弁体34の何れかを通じて内視鏡16が挿通される場合にも、穿孔部材としてのダイレータ194及びシース196が内視鏡16より先に挿通されてもよい。尤も、これらダイレータ194及びシース196は必須なものではなく、各弁体34及び弾性壁部材64に対して直接内視鏡16が穿刺されてもよい。即ち、内視鏡16を水槽14内へと挿通させる挿通用孔198は、弾性壁部材64を有する周壁部26及び各弁体34を有する上壁部30に形成され得る。それ故、挿通用孔198は、周壁部26と上壁部30を含めた水槽14の壁部46に設けられる。
【0082】
かかるトレーニング装置10では、各弁体34及び弾性壁部材64の何れかを通じて内視鏡16の先端部分を挿し入れることで、整形外科手術における手技のトレーニングを行うことができる。即ち、内視鏡16の先端部分を骨格モデル12に接近させた状態で、基端部分に設けられた弁184を通じて、図示しないドリルや鉗子等の器具を挿通して内視鏡16の先端から突出させる。そして、図示しないモニタに表示される映像を確認しながら器具を操作して、骨(骨格モデル12)の破砕や切削、ヘルニア(内装物172)の摘出等を行う。
【0083】
ちなみに、椎間板ヘルニアの手術方法としては、一般に、
図15(a)に示されるインターラミナル法と
図15(b)に示されるトランスフォラミナル法とが挙げられ、ヘルニアの大きさや発生部位等に応じて、インターラミナル法かトランスフォラミナル法かが選択される。即ち、
図15(a)に示される方法では、患者の背中側から垂直に(
図15(a)中の上方から)内視鏡16が挿し入れられるのに対して、
図15(b)に示される方法では、より外側から(
図15(b)中において上方に対して傾斜する方向から)内視鏡16が挿し入れられる。本実施形態のトレーニング装置10は、各弁体34が設けられた上壁部30と、上壁部30よりも外側に設けられた弾性壁部材64とを備えており、各弁体34と弾性壁部材64の何れからも内視鏡16を挿し入れることができることから、インターラミナル法とトランスフォラミナル法の両方のトレーニングを行うことができる。
【0084】
なお、トランスフォラミナル法のトレーニングを行う際に、
図5に示されるように、患者の左側からの施術を想定して骨格モデル12の左方(骨格モデル12を中心として患者の首側を前方とした場合の左方)に弾性壁部材64を設けているが、例えば骨格モデル12を前後反転して水槽14に設置することで、患者の右側から内視鏡16を挿通するトレーニングを行うことができる。また、トランスフォラミナル法では、
図15(b)中の白矢印で示されるように、内視鏡16を下方に大きく移動させたり(ハンドダウン)、上方に大きく移動させたりする操作を伴う場合がある。このように、内視鏡16を上下に大きく移動させる操作を伴う場合にも、弾性壁部材64が水槽14の上方から左方の広い範囲を覆っていることから、内視鏡16の移動に対して水槽14の周壁部26が干渉することが回避される。
【0085】
そして、トレーニングの終了後には、弾性壁部材64に挿通されている内視鏡16を引き抜く。内視鏡16の挿通に際して、穿孔部材としてのダイレータ194やシース196が採用されている場合には、内視鏡16の引き抜き後シース196を引き抜くことで、弾性壁部材64に形成された挿通用孔198が、弾性壁部材64の弾性的な復元変形により閉鎖する。その後、水槽ポート部材88に接続されているチューブのクランプや弁を開放して水槽排水口86を開状態とすることで、水槽14中の水18が、水槽排水口86を通じて受槽140中に排水される。水槽14中の水18を排水した後、受槽140から水槽14を取り外す。受槽140に貯留された水18は、例えば受槽140における受槽ポート部材154に接続されているチューブを通じて、使用者の自宅の洗面所等、適切な排水口から排水される。
【0086】
以上の如き構造とされた本実施形態のトレーニング装置10では、水槽14の内部においてモデル位置設定機構90により、骨格モデル12を複数の位置へ移動させることができ、内視鏡16が挿通される挿通用孔198から骨格モデル12までの距離や方向(角度)が変更可能とされている。これにより、例えば手術が想定される患者の体型や使用が想定される内視鏡の長さ等に応じて、挿通用孔198から骨格モデル12までの距離等を変更することができる。即ち、大柄な患者や長さの長い内視鏡を想定した場合、骨格モデル12を弾性壁部材64から離隔させて挿通用孔198から骨格モデル12までの距離を大きくしたり、細身な患者や長さの短い内視鏡を想定した場合、骨格モデル12を弾性壁部材64に接近させて挿通用孔198から骨格モデル12までの距離を小さくすることができる。これにより、患者毎の体型や使用する内視鏡の長さに合わせた、より実用的なトレーニングを行うことができる。
【0087】
また、本実施形態では、モデル位置設定機構90が、ベース部材92を水平方向(特に左右方向)で移動可能に案内するガイド機構94と、水平方向(特に左右方向)の複数位置で位置決めするロック機構96とを含んで、モデル位置設定機構90が構成されている。これにより、骨格モデル12の移動に際しては、骨格モデル12自体ではなくベース部材92を移動させればよく、骨格モデル12の移動をより容易にできると共に、骨格モデル12の損傷のおそれも低減され得る。
【0088】
さらに、ガイド機構94が、一対のガイドロッド126,126と、各ガイドロッド126が挿通されるガイド孔100,100を含んで構成されており、各ガイドロッド126を中心軸回りで回転させて各ガイドロッド126の外周面と各ガイド孔100の内周面との咬み合わせることによってロック機構96が構成されるようになっている。即ち、各ガイドロッド126を中心軸回りで回転させるという簡単な操作により、ロック機構96によるロックと解除を容易に切り換えることができる。
【0089】
特に、各ガイド孔100の内周面には複数のガイド孔側凸部124が設けられていると共に、各ガイドロッド126の外周面にも複数のガイドロッド側凸部134(凹部136)が設けられており、各ガイド孔側凸部124が各凹部136に入り込み、且つ各ガイドロッド126の外周面に食い込むことで、各ガイドロッド126に対して各ガイド孔100(ベース部材92)が位置決めされるようになっている。即ち、各ガイドロッド126の外周面と各ガイド孔100の内周面(各ガイド孔側凸部124)との咬み合い作用に加えて、各ガイド孔側凸部124が各凹部136に入り込むことによっても、各ガイドロッド126と各ガイド孔100(ベース部材92)との位置決めが達成されることから、各ガイドロッド126とベース部材92とをより強固に固定することができる。
【0090】
次に、
図16,17には、本発明の第2の実施形態としての内視鏡による整形手技のトレーニング装置210が示されている。前記第1の実施形態では、骨格モデル12におけるブラケット162が装着されるベース部材92が、各ガイドロッド126に沿って左右方向でスライド変位可能とされて任意の位置に固定可能とされていたが、本実施形態では、ブラケット162が、左右方向で相互に離隔する第1位置212と第2位置214とで選択的に装着可能とされている。即ち、本実施形態では、モデル位置設定機構216により、骨格モデル12の位置が、複数の異なる位置(第1位置212及び第2位置214)へ移動可能に且つ固定的に設定されるようになっている。
【0091】
このモデル位置設定機構216は、第1位置212と第2位置214のそれぞれにおいて設けられるモデル支持部218を含んで構成されている。なお、各モデル支持部218は同一の構造であることから、
図17において一方(第2位置214側)のモデル支持部218を示して説明する。
【0092】
本実施形態のモデル支持部218は、骨格モデル12におけるブラケット162を固定するための前側固定部220及び後側固定部222を含んでおり、前側固定部220及び後側固定部222が、水槽14における底壁部24に対して、ボルト又はねじにより固定されている。
図17に示されるように、前側固定部220と後側固定部222は前後方向で相互に離隔しており、水槽14における前方に前側固定部220が設けられていると共に、後方に後側固定部222が設けられている。前側固定部220は、ある程度の左右方向寸法を有しており、前側固定部220の下部には、後方に開口する前側固定溝224が形成されている。本実施形態では、前側固定溝224が、前側固定部220の前後方向全長に亘って形成されている。
【0093】
また、後側固定部222の中央部分には、上下方向で貫通する筒状部分が設けられており、後側固定部222には、筒状部分の中心軸回りで回動可能な回動部材226が組み付けられている。回動部材226には、ブラケット162における後方の係合突部178を上方から押さえる押さえ部228が設けられている。更に、回動部材226には、上方に突出する摘まみ部230を有するレバー部材232が略同軸的に組み付けられており、回動部材226とレバー部材232とが、後側固定部222に対して一体的に回動するようになっている。なお、これら回動部材226とレバー部材232とは、例えば図示しないボルトやねじ等を締結することにより一体的に固定され得る。そして、後側固定部222の下面には、回動部材226を回動させて押さえ部228による係合突部178の押さえを解除した際に押さえ部228が収容される収容溝234が形成されている。
【0094】
各係合突部178,178を含んだブラケット162の前後方向寸法は、モデル支持部218における前側固定部220の前側固定溝224に前方の係合突部178が差し入れられると共に、後側固定部222に設けられる回動部材226の押さえ部228が固定位置にある状態において、押さえ部228により後方の係合突部178が上方から押さえられる大きさとされている。これにより、前側固定溝224に前方の係合突部178が差し入れられた状態において、回動部材226及びレバー部材232を回動させて押さえ部228を後方の係合突部178上に位置させることで、ブラケット162が水槽14に対して固定され得る。また、回動部材226及びレバー部材232を回動させて押さえ部228による係合突部178の上方からの押さえを解除することにより、前側固定部220と後側固定部222との間からブラケット162を取り出すことができる。なお、ブラケット162を水槽14に対して固定又は取外しする際に、骨格モデル本体160がブラケット162に対して予め固定されていて骨格モデル本体160とブラケット162とが一体的に固定又は取外しできるようになっていてもよいし、ブラケット162のみを水槽14に対して固定又は取外しするようになっていてもよい。
【0095】
本実施形態のトレーニング装置210においても、骨格モデル12を左右方向の異なる位置(第1位置212及び第2位置214)に固定することができて、これにより弾性壁部材64に設けられる挿通用孔198から骨格モデル12までの距離を変更可能であることから、第1の実施形態と同様の効果が発揮され得る。特に、第2の実施形態では、骨格モデル12が固定され得る第1位置212と第2位置214とが予め設定されており、使用者は第1位置212と第2位置214との何れか一方を選択すればよいだけであることから、挿通用孔198(弾性壁部材64)と骨格モデル12との距離を細かく設定する必要がなく、骨格モデル12を水槽14に対してより容易に固定することができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態1,2について説明してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
【0097】
例えば、前記実施形態では、弾性壁部材64が、周壁部26における左側の竪壁部28に設けられていたが、左側の竪壁部に代えて、又は加えて、右側の竪壁部や上壁部に弾性壁部材が設けられてもよい。なお、前記実施形態では、4つの竪壁部28のうちの1つである左側の竪壁部28に弾性壁部材64が設けられていたが、例えば4つの竪壁部のうち、隣接する2つ以上の竪壁部に跨って弾性壁部材が設けられてもよい。即ち、例えば弾性壁部材は、前記実施形態における水槽14の開口部50(上方開口部22及び開口部分48)の全体にわたって設けられてもよい。この場合、ブラインドの状態、要するに内視鏡による操作を上方から目視で確認できず、内視鏡からモニタを通じて取得された画像のみでトレーニングを行うこととなることから、より整形手技に精通した熟練者向けのトレーニング装置を提供することができる。さらに、前記実施形態では、弾性壁部材64が1つの部材により構成されていたが、複数の部材により構成されてもよく、例えば弾性壁部材に対して上壁部に設けられる如き弁体が配置されて、当該弁体を通じて内視鏡が挿通されてもよい。
【0098】
また、前記実施形態では、左側の竪壁部28の全体に亘って開口部分48が設けられていたが、弾性壁部材によって覆われる開口部分は、周壁部(各竪壁部)や上壁部において部分的に設けられてもよい。即ち、開口部分は、ハンドダウン等の内視鏡を大きく動かす動作時に、開口部分の周縁部により内視鏡の動作が阻害されない程度の大きさで設けられれることが好適であるが、開口部分の大きさは限定されるものではない。また、竪壁部の何れかにおいて、開口部分が窓状に設けられる場合には、竪壁部の上端から下方に向かって広がるように開口する態様であることが好ましい。なお、開口部分が1つの壁部において部分的に設けられる場合、開口部分の周縁部において弾性壁部材側に向かって突出するエッジ状当接部が設けられることが好ましい。かかるエッジ状当接部が設けられることで、弾性壁部材によるシール効果が安定して発揮され得る。
【0099】
尤も、本発明において弾性壁部材は必須なものではない。即ち、水槽の壁部において内視鏡が挿通される挿通用孔は位置固定的に設けられてもよく、かかる挿通用孔は水槽の壁部において少なくとも1つ設けられればよい。また、内視鏡の挿通用孔が設けられる水槽の壁部を移動させることで挿通用孔の位置を変更できるようにしてもよく、骨格モデルの位置の変更に組み合わせて挿通用孔の位置を変更可能とすることで、より大きな距離にわたって挿通用孔から骨格モデルまでの距離を調節することができる。
【0100】
前記実施形態では、上側ロッド72及び下側ロッド74がそれぞれ弾性壁部材64の上端辺部及び下端辺部に挿通されていたが、上側ロッド及び下側ロッドは、弾性壁部材の外面又は内面に固着されてもよいし、弾性壁部材とは別体とされて、上方固定部材及び下方固定部材に対して、弾性壁部材の上端辺部及び下端辺部を挟み込んだ状態で固定されるようになっていてもよい。
【0101】
弾性壁部材を外側から押圧する押圧機構は、前記実施形態に記載の押圧部材158に限定されるものではない。押圧機構としては、例えばねじ機構やカム機構等を利用して押圧力を継続的に簡単な操作で及ぼすものであってもよいし、弾性壁部材と受槽の周壁との間にコイルスプリングを設けて、コイルスプリングの圧縮変形に伴う弾性的な復元力により弾性壁部材が水槽に押圧されるようになっていてもよい。
【0102】
水槽と受槽とを水平方向で位置決めする位置決め機構は、前記実施形態に記載の態様に限定されるものではない。例えば、受槽の底壁から上方に突出して水槽の各水槽脚部を外側から覆う略矩形枠状の突部が設けられてもよく、かかる突部は周方向の全周に亘って設けられてもよいし、周方向で部分的に設けられてもよい。
【0103】
水槽と受槽とを装着状態で保持する連結機構は、前記実施形態に例示した永久磁石を利用したものに限定されない。例えば、前記実施形態のように、水槽脚部と受槽の底壁との間に凹凸を設けて、これら凹凸を圧入状態で嵌合してもよいし、水槽から突出する爪部が受槽における底壁や周壁に引っ掛かるようになっていてもよい。尤も、本発明において、水槽と受槽とを装着状態で保持する連結機構は必須なものではない。
【0104】
また、前記第1の実施形態では、ベース部材92が一方向(左右方向)で移動可能とされていたが、複数方向に移動可能とされてもよい。例えば、前記第1の実施形態における一対のガイドロッド126,126が固定されるベースプレートを設けて、当該ベースプレートを別の一対のガイドロッド等で水槽の底壁部に対して移動可能に支持させることで、ベース部材92を一対のガイドロッド126,126ごと別方向に移動させることができて、これにより、ベース部材92を、例えば水平な直交2軸方向(例えば左右方向及び前後方向)で移動可能としてもよい。
【0105】
さらに、前記第1の実施形態では、ガイドロッド126の外周部分(ガイドロッド側凸部134)とガイド孔100の内周部分(ガイド孔側凸部124)とが軸方向で重なるように咬み合う咬み合い作用によりロック機構96が構成されていたが、ロック機構の具体的な構造は限定されるものではない。例えば、ガイドロッドの外周面とガイド孔の内周面とを非円形で相互に対応した略相似形状とすることで、特定の周方向相対位置で移動を許容する一方、そこからガイド孔に対してガイドロッドを周方向に回転させて内外周面を相互に径方向で押し付けることで咬み合わせるようにしてもよく、摩擦力等でベース部材の移動を阻止するロック機構が構成されるようになっていてもよい。
【0106】
更にまた、前記第1の実施形態では、ガイドロッド126が中心軸回りで回動可能とされていたが、例えばベース部材において回転可能なスリーブを設けることでガイド孔を回動可能とする一方、回転不能なガイドロッドを採用してもよく、これによっても、ガイド孔とガイドロッドの相対回転によってベース部材の固定と移動を切り換えることが可能となる。
【0107】
さらに、前記第2の実施形態では、第1位置212と第2位置214の2箇所において骨格モデル12が固定可能であったが、骨格モデルは水槽における左右方向の3箇所以上の位置で固定可能とされてもよい。なお、第2の実施形態において、モデル支持部の構造は限定されるものではなく、例えば骨格モデル(又は骨格モデル本体)と水槽の底壁部との間に相互に嵌合や係止等する凹凸を設けて、これら凹凸が圧入嵌合したり係止固定されたりすることで、骨格モデル(又は骨格モデル本体)が水槽の底壁部に固定されるようになっていてもよい。なお、モデル支持部は、水槽の底壁部に設けられる必要はなく、水槽の周壁部に設けられてもよく、底壁部と周壁部との両方に跨って骨格モデルを固定させてもよい。
【0108】
更にまた、前記実施形態では、骨格モデル12が着脱可能とされるハウジングに対してトレーニング用の液体である水18が収容されており、ハウジングが水槽14として構成されていたが、トレーニング用の液体は必須なものではない。即ち、骨格モデルが着脱可能とされるハウジングの具体的な形状は限定されるものではなく、例えば上壁部を有さない単なる箱形状であってもよいし、周壁部の少なくとも一部を有さない形状であってもよい。具体的には、それぞれ略矩形板状とされた上壁部と底壁部とが、それらの四隅において上下方向に延びるロッド状の部材により連結されるだけであってもよいし、例えば前後方向両側の竪壁部を有さない(即ち、上壁部と底壁部が左右方向両側の竪壁部により接続されて)略筒状とされた形状や、前後方向両側の竪壁部及び上壁部を有さない(即ち、底壁部の左右方向両側において竪壁部が上方に突出する)略樋状とされた形状であってもよい。或いは、上壁部の四隅に下方に突出する支持脚部を設けて、各支持脚部によりハウジング(トレーニング装置)が、例えば支持台上に設置されるようになっていてもよい。
【0109】
また、前記実施形態のトレーニング装置10,210では、椎間板ヘルニアの手術のトレーニングを想定しており、骨格モデル12が腰椎を模していたが、これに限定されるものではない。即ち、本発明に係る整形手技トレーニング装置は、人体又は動物の各部における骨に関係する疾患のトレーニングに適用可能であり、例えば腱等を含む関節部位の疾患の措置など所望のトレーニングに対応する骨格モデルが適宜採用され得る。また、骨格モデルの種類や手技などに応じて、骨格モデルは前記実施形態の如き前後反転の他、任意の方向に回転させた状態で固定的に支持可能としてもよい。特に、鉛直線回りで回転可能とすることで、実際の手技の骨の鉛直方向と骨格モデルの鉛直方向とを揃えつつ、骨格モデルの水平方向を変更することが容易となり、整形手技のトレーニングに一層適する。
【符号の説明】
【0110】
10 (内視鏡による整形手技の)トレーニング装置(第1の実施形態)
12 (トレーニング用の)骨格モデル
14 水槽(ハウジング)
16 内視鏡
18 水(トレーニング用の液体)
20 装置本体
22 上方開口部
24 底壁部
26 周壁部
28,28a,28b,28c 竪壁部
30 上壁部
34 弁体
35 貫通孔
36 薄肉部
40 上壁保持部
42 載置部
46 壁部
48 開口部分
50 開口部
52 エッジ状当接部
54 上方固定部材
56 上方支持凹部
58 抜止部材
60 下方固定部材
62 下方支持凹部
64 弾性壁部材
66 左方平坦部
68 上方平坦部
70 湾曲壁部
72 上側ロッド
74 下側ロッド
76 把持部
78 水槽脚部
80 位置決め凹部
84 貫通孔
86 水槽排水口
88 水槽ポート部材
90 モデル位置設定機構
92 ベース部材
94 ガイド機構
96 ロック機構
98 装着部
100 ガイド孔
102 上方開口部
103a,103b 壁部
104,106 固定溝
108 水抜孔
109 開口部
110 ブラケット固定機構
112 ばね部
114 突出先端部
116 後方突出部
118 固定切換部
120 摘まみ部
122 当接部
124 ガイド孔側凸部(凸部)
126 ガイドロッド
128 固定部材
130 レバー部
132 芯棒
133 平坦面
134 ガイドロッド側凸部(凸部)
136 凹部
140 受槽
142 押圧機構
144 底壁
146 周壁
148 受槽脚部
150 貫通孔
152 受槽排水口
154 受槽ポート部材
156 位置決め凸部
158 押圧部材
160 骨格モデル本体
162 ブラケット
164,166 椎間板
168 隙間
170 神経モデル
170a 馬尾神経を模した部分
170b 神経根を模した部分
172 内装物
174 被覆層
176 ピン穴
178 係合突部
180 本体部
182 スリット
184 弁
186 吸引チューブ
188 吐出チューブ
190 ケーブル
192 コネクタ
194 ダイレータ
196 シース
198 挿通用孔
210 (内視鏡による整形手技の)トレーニング装置(第2の実施形態)
212 第1位置
214 第2位置
216 モデル位置設定機構
218 モデル支持部
220 前側固定部
222 後側固定部
224 前側固定溝
226 回動部材
228 押さえ部
230 摘まみ部
232 レバー部材
234 収容溝
L3 第3腰椎
L4 第4腰椎
L5 第5腰椎