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  • 特開-スリットコータ 図1
  • 特開-スリットコータ 図2
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  • 特開-スリットコータ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060379
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】スリットコータ
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20240424BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240424BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240424BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/00
B05C11/10
B05C13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167710
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松塚 達郎
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA12
4F041CA02
4F041CA16
4F041CA23
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA04
4F042BA08
4F042BA27
4F042CB02
4F042DD34
4F042DD45
4F042DF09
(57)【要約】
【課題】カラーフィルタ基板製造工程において、ガラス基板の表面にカラーフィルタ基板の塗布液を均一に塗布でき、膜厚ムラが発生しないスリットコータを提供することを課題とする。
【解決手段】ガラス基板が載置されるステージと、
前記ステージの上部を移動可能に設けられたガントリと、
前記ガントリ内部に設置され、前記ガラス基板の表面に塗布液を塗布するスリットノズルを備えたダイヘッドと、を含むスリットコータであって、
前記ダイヘッドには、スリットノズルのノズル開口部に対して、進行方向後方にエアーナイフ機構を設け、塗布直後の塗布膜にエアーを吹き付けることを特徴とするスリットコータ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板が載置されるステージと、
前記ステージの上部を移動可能に設けられたガントリと、
前記ガントリ内部に設置され、前記ガラス基板の表面に塗布液を塗布するスリットノズルを備えたダイヘッドと、を含むスリットコータであって、
前記ダイヘッドには、スリットノズルのノズル開口部に対して、進行方向後方にエアーナイフ機構を設け、塗布直後の塗布膜にエアーを吹き付けることを特徴とするスリットコータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ基板製造工程において、塗布工程で用いる塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタ基板の製造工程には、フォトリソグラフィ工程、及び選択領域の薄膜を除去するエッチング工程が複数回含まれており、特に、フォトリソグラフィ工程は、透明基板(以下、ガラス基板)上に液状の感光性レジストを決められた厚みに塗布する塗布工程と、所定のパターンが形成されたフォトマスクを使用して、塗布した感光性レジストに所定のパターンを焼き付ける露光工程及び、非パターン部の感光性レジストを除去する現像工程とからなる。
【0003】
塗布工程で用いられるコーティング方式の一つに、ダイヘッドに設けたスリットノズルからガラス基板上に液状の感光性レジストを吐出して塗布するスリットコート方式がある。このスリットコート方式は、従来、基板を回転させて塗布するスピンコート方式と比較して、スピンレスコート方式と呼ばれることもある。
スリットコート方式で用いるスリットコータは、スリットノズルを備えるダイヘッドまたは、ガラス基板のどちらか一方を移動させて塗布を行う。スリットコーティング法は生産性の面からカラーフィルタ基板が多面付けされた大型基板や、カラーフィルタ基板が搭載される表示デバイスの大型化に対応できる利点がある。
【0004】
スリットコータは、ガラス基板を載置するステージと液状の感光性レジストを吐出するスリットノズルを備えるダイヘッドとダイヘッドを設置するガントリとを備え、ダイヘッドはスリットノズルの先端とステージに載置された基板の塗布面とが塗布条件によって決められた位置関係に設置されている。
そして、ガントリの方を移動させながら、スリットノズルから液状の感光性レジストを吐出することで、静止したガラス基板上に液状の感光性レジストを塗布する機構となっている(特許文献1参照)。
【0005】
図1は、スリットコータを用いてステージ上に載置されたガラス基板に、液状の感光性レジストが塗布されるコーティング工程を示す図である。図1に示すように、ガントリがステージ上を移動する際、ガントリの駆動系からの振動や、周辺からの振動により塗布された液状の感光性レジストには周期性のある膜厚変動が見られる。このような膜厚変動を有するカラーフィルタ基板を搭載した表示装置では、この膜厚変動した部分は、ぼんやりとしたモヤがかかったように視認されるので表示不良と判断される。このように視認される状態を「段ムラ」があると呼ばれる。
【0006】
図4に、塗布方向に対して段ムラが発生する方向と、段ムラの画像を示す。図4に示すように段ムラは、塗布方向に対して垂直な方向に発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-175919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述したような問題を解決するために提案されたものであり、カラーフィル
タ基板製造工程において、ガラス基板の表面にカラーフィルタ基板の塗布液を均一に塗布でき、膜厚ムラが発生しないスリットコータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を達成するため、本発明の第一の態様は、
ガラス基板が載置されるステージと、
前記ステージの上部を移動可能に設けられたガントリと、
前記ガントリ内部に設置され、前記ガラス基板の表面に塗布液を塗布するスリットノズルを備えたダイヘッドと、を含むスリットコータであって、
前記ダイヘッドには、スリットノズルのノズル開口部に対して、進行方向後方にエアーナイフ機構を設け、塗布直後の塗布膜にエアーを吹き付けることを特徴とするスリットコータである。
【0010】
塗布直後の塗布膜面にエアーナイフからエアーを吹き付けることで塗布膜の膜厚変動を抑制することが可能である。塗布後の塗布膜に膜厚ムラが生じた直後に、スリットノズルのノズル開口部に対して、進行方向後方に備えられた、エアーナイフからのエアー噴射によって塗布膜の表面を平坦化することができるという効果がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスリットコータによれば、エアーナイフで表面を平たん化できるので、スリットコート方式では膜厚が安定しにくい、スリットコートに適さない液状の感光性レジストであっても、使用可能となるため、材料の選択肢が増えるというメリットが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】スリットコータの斜視図及びスリットコータにより液状の感光性レジストが塗布される工程を示す図である。
図2】スリットコータの塗布工程を側面から見た図である。
図3】本発明に係るスリットコータのダイヘッドの設置形態を示す概略断面図である。
図4】(a)一般的なスリットコータで発生する膜厚ムラ(段ムラ)の方向及び(b)膜厚ムラを示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明によるスリットコータの好ましい実施形態の一例を詳細に説明する。
【0014】
図1は、スリットコータ10の斜視図及びスリットコータ10により液状の感光性レジスト7が塗布される工程を示す図である。
【0015】
図示されたように、本実施形態のスリットコータ10は、幅が狭くて長さが長いスリット状のノズル4aを備えたダイヘッド4を、移動可能に設けられたガントリ2内に搭載し、スリットノズル4aを介して、(詳細は図示しない)ポンプ5から供給された液状の感光性レジスト7を、ガラス基板6の表面に面状に塗布する。
【0016】
すなわち、このスリットコータ10は、バー型の長いスリットノズル4aを介して所定量の液状の感光性レジスト7をガラス基板6などに塗布する装置であり、ガラス基板6の一方側から他方側に一定速度で移動しながら微細なスリットノズル4aを介して一定量の液状の感光性レジスト7を塗布することにより、ガラス基板6の表面に均一な液状の感光性レジストを形成する。
【0017】
また、図1に示したスリットコータ10は、ガラス基板6の表面のうち所望の部分にのみ液状の感光性レジスト7を塗布できるため、スピンコータに比べて塗布液の浪費がないという利点があり、幅の広い面形状に液状の感光性レジストの塗布が可能であるため、大型の基板に適している。
【0018】
ここで、本実施形態のスリットコータ10は、液晶表示装置の表示パネルを製造するための四角形ガラス基板が被処理物であり、ガラス基板6の表面に形成された導電膜などを選択的にエッチングするフォトリソグラフィ工程において、ガラス基板6の表面に液状の感光性レジスト7を塗布する塗布液コーティング工程に利用される。また、このスリットコータ10は、液晶表示パネル用のガラス基板6だけでなく、一般的にフラットパネルディスプレイ用の多様な基板に塗布液を塗布する装置として変形して利用することもできる。
【0019】
図1に示すように、ガラス基板6はステージ1上に載置されており、矢印はガントリ2(ダイヘッド4を含む)が移動する方向であり、この矢印方向に液状の感光性レジスト7が塗布される。ステージ1は、長方形の石製であり、その上面及び側面は平坦に加工されている。
【0020】
水平面であるステージ1の上面にはガラス基板6が載置されるが、この上面には、複数の真空吸着口(図示せず)が形成されているため、スリットコータ10においてガラス基板6が処理される間、吸着によりガラス基板6を水平位置に維持する。図2は、塗布工程を側面から見た図である。図2に示すように、液状の感光性レジスト7は、ダイヘッド4が移動しながら、平坦なステージ1上でガラス基板6の表面に塗布される。
【0021】
図3は、本実施形態におけるスリットコータ10のダイヘッド4を概略的に示す断面図である。矢印は、ダイヘッド4が移動する方向である。図3に示すように、本実施形態のスリットコータ10のダイヘッド4は、ガラス基板6に塗布液、例えばフォトレジストのような液状の感光性レジストを塗布するスリットノズル4aと、スリットノズル4aのノズル開口部に対して、進行方向後方に、エアー吹出し口を備えたエアーナイフ機構4bを設けている。ダイヘッド4は、一定速度で移動するガントリ2内に搭載され、ステージ1上を塗布方向に移動する。
【0022】
ガントリ2は、ダイヘッド4を保持するものであり、ガラス基板6の所定位置に液状の感光性レジストを塗布するため、図示しない駆動機構およびガイド機構3によって、ステージ1上を塗布方向に移動できる。
【0023】
図3に示すように、スリットノズル4aのノズル開口部間にはポンプ手段により加圧される液状の感光性レジストを均一に噴射するために所定量の液状の感光性レジストが一時貯蔵される収納空間が形成されている。ここで、収納空間に液状の感光性レジストを供給し、ガラス基板に対向する面に感光膜が形成され、ガラス基板6の表面に面状に液状の感光性レジスト7を塗布する。
【0024】
また、ダイヘッド4は、ガラス基板をコーティングする液状の感光性レジストを供給する供給部(図示せず)と、この供給部からスリットノズル4aに液状の感光性レジストを供給して一定圧力を加えて液状の感光性レジストを噴射するポンプ手段(図示せず)とを含む。
【0025】
エアーナイフ機構4bは、スリットノズル4aのノズル開口部に対して、進行方向後方に設けられ、スリットノズル4aがガラス基板6に液状の感光性レジスト7を塗布した直後に、ガラス基板6の表面上の感光膜に対して圧縮空気が噴射される。
【0026】
エアーナイフは、列状に並ぶ複数のノズルから圧縮空気を放出することで、複数のノズルの並び方向に連続する気流の層(エアーカーテン)を生じさせるブロアである。エアーナイフ機構4bをスリットノズル4aの後方に設置することで、塗布直後の感光膜が乾燥する前に、エアーカーテンが上方から適切な角度で吹き付けられ、感光膜の表面が平坦化され、膜厚が均一で膜厚ムラが生じていない感光膜を形成することができる。
【0027】
エアーナイフで使用する気体としては、噴射時に結露の問題があるためドライエアーを用いた。エアーナイフで使用する気体としては、ドライエアーに代えて、比較的汎用的に使われている、湿度を含まない窒素ガスを用いることができる。
【0028】
また、本実施形態では、エアーナイフ機構4bは、スリットノズル4aを含むダイヘッド4に設けられているが、ダイヘッド4との距離や時間差を設けるため、ダイヘッド4にエアーナイフ機構4bを設けることができない場合は、ガントリ5に直接設置することも可能である。
【0029】
本発明によれば、スリットノズル4aのノズル開口部に対して、進行方向後方にエアーナイフ機構4bを設け、塗布後の感光膜にエアーを吹き付けることで液状の感光性レジストの膜厚変動を抑制し、液状の感光性レジストの表面を平坦化させ、品質不良となる膜厚ムラの発生を抑止することができる。
【符号の説明】
【0030】
1・・・ステージ
2・・・ガントリ
3・・・駆動部(不図示)
4・・・ダイヘッド
4a・・・スリットノズル
4b・・・エアーナイフ機構
5・・・ポンプ
6・・・ガラス基板
7・・・液状の感光性レジスト
図1
図2
図3
図4