(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060384
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】半導体集積回路及び半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/10 20060101AFI20240424BHJP
G11C 7/10 20060101ALI20240424BHJP
H03K 5/08 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
G11C16/10 170
G11C7/10 460
G11C7/10 505
H03K5/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167716
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 優
(72)【発明者】
【氏名】平嶋 康伯
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 公
(72)【発明者】
【氏名】バーグハート マイケル
(72)【発明者】
【氏名】張 原倫
【テーマコード(参考)】
5B225
5J039
【Fターム(参考)】
5B225BA08
5B225CA15
5B225EA05
5B225EF11
5B225FA02
5J039DA09
5J039KK16
5J039KK19
5J039MM03
(57)【要約】
【課題】高速に動作する半導体集積回路及び半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】入力回路のアンプは、ゲートがデータ信号を入力する第1のノードに接続され、ソースが第2のノードに接続され、ドレインが第3のノードに接続された第1のPMOSトランジスタと、ゲートが参照信号を入力する第4のノードに接続され、ソースが第2のノードに接続され、ドレインが第5のノードに接続された第2のPMOSトランジスタと、電源電圧と第2のノードとの間に接続された電流源と、第3のノード及び第5のノードと接地電圧との間に接続された負荷回路と、ゲートが第1のノードに接続され、ドレインが電源電圧に接続され、ソースが第5のノードに接続された第1のNMOSトランジスタと、ゲートが第4のノードに接続され、ドレインが電源電圧に接続され、ソースが第3のノードに接続された第2のNMOSトランジスタと、を備える。
【選択図】
図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンプを有する入力回路を備え、
前記アンプは、
電源電圧に電気的に接続された電流源と、
ゲートがデータ信号を入力する第1のノードに電気的に接続され、ソースが前記電流源に電気的に接続され、ドレインが第2のノードに電気的に接続された第1のPMOSトランジスタと、
ゲートが参照信号を入力する第3のノードに電気的に接続され、ソースが前記電流源に電気的に接続され、ドレインが第4のノードに電気的に接続された第2のPMOSトランジスタと、
前記第2のノード及び前記第4のノードと接地電圧との間に電気的に接続された負荷回路と、
ゲートが前記第1のノードに電気的に接続され、ドレインが前記電源電圧に電気的に接続され、ソースが前記第4のノードに電気的に接続された第1のNMOSトランジスタと、
ゲートが前記第3のノードに電気的に接続され、ドレインが前記電源電圧に電気的に接続され、ソースが前記第2のノードに電気的に接続された第2のNMOSトランジスタと、
前記第1のNMOSトランジスタのドレインと前記電源電圧との間に電気的に接続された第1の電流制限回路と、
前記第2のNMOSトランジスタのドレインと前記電源電圧との間に電気的に接続された第2の電流制限回路と
を備える
半導体集積回路。
【請求項2】
前記負荷回路は、
前記第2のノードと前記接地電圧との間に電気的に接続された第1のインピーダンスと、
前記第4のノードと前記接地電圧との間に電気的に接続された第2のインピーダンスと
を備える
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記負荷回路は、
ドレインが前記第2のノードに電気的に接続され、ソースが前記接地電圧に電気的に接続され、ゲートが第5のノードに電気的に接続された第3のNMOSトランジスタと、
ドレインが前記第4のノードに電気的に接続され、ソースが前記接地電圧に電気的に接続され、ゲートが前記第5のノードに電気的に接続された第4のNMOSトランジスタと、
前記第2のノードと前記第5のノードとの間に電気的に接続された抵抗素子と、
前記第4のノードと前記第5のノードとの間に電気的に接続された抵抗素子と
を備える
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記第1の電流制限回路及び前記第2の電流制限回路は、PMOSトランジスタである
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記第1の電流制限回路及び前記第2の電流制限回路は、抵抗素子である
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記アンプは、
前記電源電圧と前記電流源との間に電気的に接続された第1のスイッチトランジスタと、
前記電源電圧と第1のNMOSトランジスタとの間に電気的に接続された第2のスイッチトランジスタと、
前記電源電圧と第2のNMOSトランジスタとの間に電気的に接続された第3のスイッチトランジスタと
を備える
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項7】
前記第1のNMOSトランジスタ及び前記第2のNMOSトランジスタは、前記第1のPMOSトランジスタ及び前記第2のPMOSトランジスタと比較して、ゲート幅が小さく、
前記第1のPMOSトランジスタ及び前記第2のPMOSトランジスタは、前記電流源のトランジスタと比較して、ゲート幅が小さい
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項8】
メモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの周辺に設けられた請求項1記載の半導体集積回路と
を備えた半導体記憶装置。
【請求項9】
アンプを有する入力回路を備え、
前記アンプは、
接地電圧に電気的に接続された電流源と、
ゲートがデータ信号を入力する第1のノードに電気的に接続され、ソースが前記電流源に電気的に接続され、ドレインが第2のノードに電気的に接続された第1のNMOSトランジスタと、
ゲートが参照信号を入力する第3のノードに電気的に接続され、ソースが前記電流源に電気的に接続され、ドレインが第4のノードに電気的に接続された第2のNMOSトランジスタと、
前記第2のノード及び前記第4のノードと電源電圧との間に電気的に接続された負荷回路と、
ゲートが前記第1のノードに電気的に接続され、ドレインが前記接地電圧に電気的に接続され、ソースが前記第4のノードに電気的に接続された第1のPMOSトランジスタと、
ゲートが前記第3のノードに電気的に接続され、ドレインが前記接地電圧に電気的に接続され、ソースが前記第2のノードに電気的に接続された第2のPMOSトランジスタと、
前記第1のPMOSトランジスタのドレインと前記接地電圧との間に電気的に接続された第1の電流制限回路と、
前記第2のPMOSトランジスタのドレインと前記接地電圧との間に電気的に接続された第2の電流制限回路と
を備える
半導体集積回路。
【請求項10】
メモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの周辺に設けられた請求項9記載の半導体集積回路と
を備えた半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体集積回路及び半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、このメモリセルアレイに接続され、コマンドデータ及びアドレスデータを含むコマンドセットの入力に応じてユーザデータを入力する入力回路と、を備える半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0335401号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0250423号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速に動作する半導体集積回路及び半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体集積回路は、アンプを有する入力回路を備え、アンプは、電源電圧に電気的に接続された電流源と、ゲートがデータ信号を入力する第1のノードに電気的に接続され、ソースが電流源に電気的に接続され、ドレインが第2のノードに電気的に接続された第1のPMOSトランジスタと、ゲートが参照信号を入力する第3のノードに電気的に接続され、ソースが電流源に電気的に接続され、ドレインが第4のノードに電気的に接続された第2のPMOSトランジスタと、第2のノード及び第4のノードと接地電圧との間に電気的に接続された負荷回路と、ゲートが第1のノードに電気的に接続され、ドレインが電源電圧に電気的に接続され、ソースが第4のノードに電気的に接続された第1のNMOSトランジスタと、ゲートが第3のノードに電気的に接続され、ドレインが電源電圧に電気的に接続され、ソースが第2のノードに電気的に接続された第2のNMOSトランジスタと、第1のNMOSトランジスタのドレインと電源電圧との間に電気的に接続された第1の電流制限回路と、第2のNMOSトランジスタのドレインと電源電圧との間に電気的に接続された第2の電流制限回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】メモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図2】メモリシステム10の構成例を示す模式的な側面図である。
【
図3】メモリシステム10の構成例を示す模式的な平面図である。
【
図4】メモリダイMDの構成を示す模式的なブロック図である。
【
図5】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図6】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な斜視図である。
【
図7】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図8】入出力制御回路I/Oの一部の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図9】入力回路210,220及び入力バッファ回路230の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図10A】第1実施形態に係るコンパレータ211の構成を示す模式的な回路図である。
【
図10B】比較例に係るコンパレータ211Gの構成を示す模式的な回路図である。
【
図11】書き込み動作におけるデータ信号の入力例を示すタイミングチャートである。
【
図12】コンパレータ211の動作を示す波形図である。
【
図13】コンパレータ211の動作を示す波形図である。
【
図14】コンパレータ211の動作を示す波形図である。
【
図15】第2実施形態に係るコンパレータ211Aの構成を示す模式的な回路図である。
【
図16】第3実施形態に係るコンパレータ211Bの構成を示す模式的な回路図である。
【
図17】第4実施形態に係るコンパレータ211Cの構成を示す模式的な回路図である。
【
図18】第5実施形態に係る第1のアンプ300の構成を示す模式的な回路図である。
【
図19】第6実施形態に係るコンパレータ211Dの構成を示す模式的な回路図である。
【
図20】第7実施形態に係るコンパレータ211Eの構成を示す模式的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体集積回路及び半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。
【0008】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイ(メモリチップ)を意味する事もあるし、メモリカード、SSD等の、コントローラダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0009】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0011】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0012】
[第1実施形態]
[メモリシステム10]
図1は、メモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
【0013】
メモリシステム10は、ホストコンピュータ20から送信された信号に応じて、ユーザデータの読み出し、書き込み、消去等を行う。メモリシステム10は、例えば、メモリカード、SSD又はその他のユーザデータを記憶可能なシステムである。メモリシステム10は、ユーザデータを記憶する複数のメモリダイMDと、これら複数のメモリダイMD及びホストコンピュータ20に接続されるコントローラダイCDと、を備える。コントローラダイCDは、例えば、プロセッサ、RAM等を備え、論理アドレスと物理アドレスの変換、ビット誤り検出/訂正、ガベージコレクション(コンパクション)、ウェアレベリング等の処理を行う。
【0014】
図2は、本実施形態に係るメモリシステム10の構成例を示す模式的な側面図である。
図3は、同構成例を示す模式的な平面図である。説明の都合上、
図2及び
図3では一部の構成を省略する。
【0015】
図2に示す様に、本実施形態に係るメモリシステム10は、実装基板MSBと、実装基板MSBに積層された複数のメモリダイMDと、メモリダイMDに積層されたコントローラダイCDと、を備える。実装基板MSBの上面のうち、Y方向の端部の領域にはパッド電極Pが設けられ、その他の一部の領域は接着剤等を介してメモリダイMDの下面に接着されている。メモリダイMDの上面のうち、Y方向の端部の領域にはパッド電極Pが設けられ、その他の領域は接着剤等を介して他のメモリダイMD又はコントローラダイCDの下面に接着されている。コントローラダイCDの上面のうち、Y方向の端部の領域にはパッド電極Pが設けられている。
【0016】
図3に示す様に、実装基板MSB、複数のメモリダイMD、及び、コントローラダイCDは、それぞれ、X方向に並ぶ複数のパッド電極Pを備えている。実装基板MSB、複数のメモリダイMD、及び、コントローラダイCDに設けられた複数のパッド電極Pは、それぞれ、ボンディングワイヤBを介してお互いに接続されている。
【0017】
尚、
図2及び
図3に示した構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、
図2及び
図3に示す例では、複数のメモリダイMD上にコントローラダイCDが積層され、これらの構成がボンディングワイヤBによって接続されている。この様な構成では、複数のメモリダイMD及びコントローラダイCDが一つのパッケージ内に含まれる。しかしながら、コントローラダイCDは、メモリダイMDとは別のパッケージに含まれていても良い。また、複数のメモリダイMD及びコントローラダイCDは、ボンディングワイヤBではなく、貫通電極等を介してお互いに接続されていても良い。
【0018】
[メモリダイMDの構成]
図4は、第1実施形態に係るメモリダイMDの構成を示す模式的なブロック図である。
図5は、メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
図6は、メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な斜視図である。
図7は、メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
図8は、入出力制御回路I/Oの一部の構成を示す模式的なブロック図である。
図9は、入力回路210,220及び入力バッファ回路230の構成を示す模式的なブロック図である。
図10Aは、第1実施形態に係るコンパレータ211の構成を示す模式的な回路図である。
図10Bは、比較例に係るコンパレータ211Gの構成を示す模式的な回路図である。尚、
図10Bのコンパレータ211Gの第1のアンプ300Gは、
図10Aのコンパレータ211の第1のアンプ300からソースフォロワ回路302を除いた回路である。
【0019】
図4には、複数の制御端子等を図示している。これら複数の制御端子は、ハイアクティブ信号(正論理信号)に対応する制御端子として表される場合と、ローアクティブ信号(負論理信号)に対応する制御端子として表される場合と、ハイアクティブ信号及びローアクティブ信号の双方に対応する制御端子として表される場合と、がある。
図4において、ローアクティブ信号に対応する制御端子の符号は、オーバーライン(上線)を含んでいる。本明細書において、ローアクティブ信号に対応する制御端子の符号は、スラッシュ(“/”)を含んでいる。尚、
図4の記載は例示であり、具体的な態様は適宜調整可能である。例えば、一部又は全部のハイアクティブ信号をローアクティブ信号としたり、一部又は全部のローアクティブ信号をハイアクティブ信号としたりすることも可能である。
【0020】
図4に示す複数の制御端子の横には、入出力方向を示す矢印を図示している。
図4において、左から右への矢印が付された制御端子は、コントローラダイCDからメモリダイMDへの、データ又はその他の信号の入力に使用可能である。
図4において、右から左への矢印が付された制御端子は、メモリダイMDからコントローラダイCDへの、データ又はその他の信号の出力に使用可能である。
図4において、左右双方向の矢印が付された制御端子は、コントローラダイCDからメモリダイMDへの、データ又はその他の信号の入力、及び、メモリダイMDからコントローラダイCDへの、データ又はその他の信号の出力の、双方に使用可能である。
【0021】
また、
図4には、複数の制御端子等と並べて、複数の電源電圧入力端子等も図示している。複数の電源電圧入力端子等には、例えば、電源電圧V
CC、入出力用電源電圧V
CCQ、接地電圧V
SS(
図4)が供給される。
【0022】
図4に示す様に、メモリダイMDは、ユーザデータを記憶するメモリセルアレイMCA0,MCA1と、メモリセルアレイMCA0,MCA1に接続された周辺回路PCと、を備える。尚、以下の説明においては、メモリセルアレイMCA0,MCA1を、メモリセルアレイMCAと呼ぶ場合がある。また、メモリセルアレイMCA0,MCA1を、プレーンPLN0,PLN1と呼ぶ場合がある。
【0023】
本明細書において、周辺回路PCの一部又は全部を「半導体集積回路」と呼ぶ場合がある。半導体集積回路は、少なくとも入出力制御回路I/O(
図4、
図8)を含む。
【0024】
[メモリセルアレイMCAの構成]
メモリセルアレイMCAは、
図5に示す様に、複数のメモリブロックBLKを備える。これら複数のメモリブロックBLKは、それぞれ、複数のストリングユニットSUを備える。これら複数のストリングユニットSUは、それぞれ、複数のメモリストリングMSを備える。これら複数のメモリストリングMSの一端は、それぞれ、ビット線BLを介して周辺回路PCに接続される。また、これら複数のメモリストリングMSの他端は、それぞれ、共通のソース線SLを介して周辺回路PCに接続される。
【0025】
メモリストリングMSは、ビット線BL及びソース線SLの間に直列に接続されたドレイン側選択トランジスタSTD、複数のメモリセルMC(メモリセルトランジスタ)、ソース側選択トランジスタSTS、及び、ソース側選択トランジスタSTSbを備える。以下、ドレイン側選択トランジスタSTD、ソース側選択トランジスタSTS、及び、ソース側選択トランジスタSTSbを、単に選択トランジスタ(STD、STS、STSb)と呼ぶ事がある。
【0026】
メモリセルMCは、半導体層、ゲート絶縁膜、及びゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。ゲート絶縁膜は、電荷蓄積膜を含む。メモリセルMCのしきい値電圧は、電荷蓄積膜中の電荷量に応じて変化する。メモリセルMCは、1ビット又は複数ビットのユーザデータを記憶する。尚、1のメモリストリングMSに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。これらワード線WLは、それぞれ、1のメモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0027】
選択トランジスタ(STD、STS、STSb)は、半導体層、ゲート絶縁膜、及びゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。選択トランジスタ(STD、STS、STSb)のゲート電極には、それぞれ、選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)が接続される。ドレイン側選択ゲート線SGDは、ストリングユニットSUに対応して設けられ、1のストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。ソース側選択ゲート線SGSは、メモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。ソース側選択ゲート線SGSbは、メモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0028】
メモリセルアレイMCAは、例えば
図6に示す様に、半導体基板100の上方に設けられている。尚、
図6の例では、半導体基板100とメモリセルアレイMCAとの間に、周辺回路PCを構成する複数のトランジスタTrが設けられている。
【0029】
メモリセルアレイMCAは、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKを備える。また、Y方向において隣り合う2つのメモリブロックBLKの間には、酸化シリコン(SiO2)等のブロック間絶縁層STが設けられる。
【0030】
メモリブロックBLKは、例えば
図6に示す様に、Z方向に並ぶ複数の導電層110と、Z方向に延伸する複数の半導体柱120と、複数の導電層110及び複数の半導体柱120の間にそれぞれ設けられた複数のゲート絶縁膜130と、を備える。
【0031】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層である。導電層110は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。また、導電層110は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。Z方向に並ぶ複数の導電層110の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層101が設けられている。
【0032】
また、複数の導電層110のうち、最下層に位置する2以上の導電層110は、ソース側選択ゲート線SGS,SGSb(
図5)及びこれに接続された複数のソース側選択トランジスタSTS,STSbのゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。
【0033】
また、これよりも上方に位置する複数の導電層110は、ワード線WL(
図5)及びこれに接続された複数のメモリセルMC(
図5)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、それぞれ、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。
【0034】
また、これよりも上方に位置する一又は複数の導電層110は、ドレイン側選択ゲート線SGD及びこれに接続された複数のドレイン側選択トランジスタSTD(
図5)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、その他の導電層110よりもY方向の幅が小さい。
【0035】
導電層110の下方には、半導体層112が設けられている。半導体層112は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。また、半導体層112及び導電層110の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層101が設けられている。
【0036】
半導体層112は、ソース線SL(
図5)として機能する。ソース線SLは、例えば、メモリセルアレイMCAに含まれる全てのメモリブロックBLKについて共通に設けられている。
【0037】
半導体柱120は、例えば
図6に示す様に、X方向及びY方向に所定のパターンで並ぶ。半導体柱120は、1つのメモリストリングMS(
図5)に含まれる複数のメモリセルMC及び選択トランジスタ(STD、STS、STSb)のチャネル領域として機能する。半導体柱120は、例えば、多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体柱120は、例えば
図6に示す様に、略有底円筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン等の絶縁層125が設けられている。また、半導体柱120の外周面は、それぞれ導電層110によって囲まれており、導電層110と対向している。
【0038】
半導体柱120の上端部には、リン(P)等のN型の不純物を含む不純物領域121が設けられている。不純物領域121は、コンタクトCh及びコンタクトCbを介してビット線BLに接続される。
【0039】
ゲート絶縁膜130は、半導体柱120の外周面を覆う略有底円筒状の形状を有する。ゲート絶縁膜130は、例えば、半導体柱120及び導電層110の間に積層されたトンネル絶縁膜、電荷蓄積膜及びブロック絶縁膜を備える。トンネル絶縁膜及びブロック絶縁膜は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁膜である。電荷蓄積膜は、例えば、窒化シリコン(Si3N4)等の電荷を蓄積可能な膜である。トンネル絶縁膜、電荷蓄積膜、及び、ブロック絶縁膜は略円筒状の形状を有し、半導体柱120と半導体層112との接触部を除く半導体柱120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。
【0040】
尚、ゲート絶縁膜130は、例えば、N型又はP型の不純物を含む多結晶シリコン等のフローティングゲートを備えていても良い。
【0041】
複数の導電層110のX方向における端部には、複数のコンタクトCCが設けられている。複数の導電層110は、これら複数のコンタクトCCを介して周辺回路PCに接続されている。
図6に示す様に、これら複数のコンタクトCCはZ方向に延伸し、下端において導電層110と接続されている。コンタクトCCは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0042】
[周辺回路PCの構成]
周辺回路PCは、例えば
図4に示す様に、ロウデコーダRD0,RD1と、センスアンプSA0,SA1と、を備える。また、周辺回路PCは、電圧生成回路VGと、シーケンサSQCと、を備える。また、周辺回路PCは、入出力制御回路I/Oと、論理回路CTRと、アドレスレジスタADRと、コマンドレジスタCMRと、ステータスレジスタSTRと、を備える。尚、以下の説明においては、ロウデコーダRD0,RD1を、ロウデコーダRDと呼び、センスアンプSA0,SA1を、センスアンプSAと呼ぶ場合がある。違う言い方をすると、メモリダイMDにおける、メモリセルアレイMCA(メモリセルアレイMCA0,MCA1にそれぞれ接続された)以外の全ての部分が、周辺回路PCとして機能する。
【0043】
[ロウデコーダRDの構成]
ロウデコーダRD(
図4)は、例えば
図5に示す様に、アドレスデータAdd(
図4)をデコードするアドレスデコーダ22と、アドレスデコーダ22の出力信号に応じてメモリセルアレイMCAに動作電圧を転送するブロック選択回路23及び電圧選択回路24と、を備える。
【0044】
アドレスデコーダ22は、複数のブロック選択線BLKSEL及び複数の電圧選択線33を備える。アドレスデコーダ22は、例えば、シーケンサSQCからの制御信号に従ってアドレスレジスタADR(
図4)のロウアドレスRAを順次参照し、このロウアドレスRAをデコードして、ロウアドレスRAに対応する所定のブロック選択トランジスタ35及び電圧選択トランジスタ37をON状態とし、それ以外のブロック選択トランジスタ35及び電圧選択トランジスタ37をOFF状態とする。例えば、所定のブロック選択線BLKSEL及び電圧選択線33の電圧を“H”状態とし、それ以外の電圧を“L”状態とする。尚、Nチャネル型でなくPチャネル型のトランジスタを用いる場合には、これらの配線に逆の電圧を印加する。
【0045】
尚、図示の例において、アドレスデコーダ22には、1つのメモリブロックBLKについて1つずつブロック選択線BLKSELが設けられている。しかしながら、この構成は適宜変更可能である。例えば、2以上のメモリブロックBLKについて1つずつブロック選択線BLKSELを備えていても良い。
【0046】
ブロック選択回路23は、メモリブロックBLKに対応する複数のブロック選択部34を備える。これら複数のブロック選択部34は、それぞれ、ワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に対応する複数のブロック選択トランジスタ35を備える。ブロック選択トランジスタ35は、例えば、電界効果型の耐圧トランジスタである。ブロック選択トランジスタ35のドレイン電極は、それぞれ、対応するワード線WL又は選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に電気的に接続される。ソース電極は、それぞれ、配線CG及び電圧選択回路24を介して電圧供給線31に電気的に接続される。ゲート電極は、対応するブロック選択線BLKSELに共通に接続される。
【0047】
尚、ブロック選択回路23は、図示しない複数のトランジスタを更に備える。これら複数のトランジスタは、選択ゲート線(SGD,SGS,SGSb)及び接地電圧VSSが供給される電圧供給線の間に接続された電界効果型の耐圧トランジスタである。これら複数のトランジスタは、非選択のメモリブロックBLKに含まれる選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に接地電圧VSSを供給する。尚、非選択のメモリブロックBLKに含まれる複数のワード線WLは、フローティング状態となる。
【0048】
電圧選択回路24は、ワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に対応する複数の電圧選択部36を備える。これら複数の電圧選択部36は、それぞれ、複数の電圧選択トランジスタ37を備える。電圧選択トランジスタ37は、例えば、電界効果型の耐圧トランジスタである。電圧選択トランジスタ37のドレイン端子は、それぞれ、配線CG及びブロック選択回路23を介して、対応するワード線WL又は選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に電気的に接続される。ソース端子は、それぞれ、対応する電圧供給線31に電気的に接続される。ゲート電極は、それぞれ、対応する電圧選択線33に接続される。
【0049】
[センスアンプSAの構成]
センスアンプSA0,SA1(
図4)は、それぞれセンスアンプモジュールSAM0,SAM1と、キャッシュメモリCM0,CM1(データレジスタ)と、を備える。キャッシュメモリCM0,CM1は、それぞれラッチ回路XDL0,XDL1を備える。
【0050】
尚、以下の説明においては、センスアンプモジュールSAM0,SAM1を、センスアンプモジュールSAMと呼び、キャッシュメモリCM0,CM1を、キャッシュメモリCMと呼び、ラッチ回路XDL0,XDL1を、ラッチ回路XDLと呼ぶ場合がある。
【0051】
センスアンプモジュールSAMは、例えば、複数のビット線BLにそれぞれ対応するセンス回路と、センス回路に接続された複数のラッチ回路等と、を備える。
【0052】
キャッシュメモリCMは、複数のラッチ回路XDLを備える。複数のラッチ回路XDLは、それぞれセンスアンプモジュールSAM内のラッチ回路に接続される。ラッチ回路XDLには、例えば、メモリセルMCに書き込まれるユーザデータDat又はメモリセルMCから読み出されたユーザデータDatが格納される。
【0053】
キャッシュメモリCMには、例えば
図7に示す様に、カラムデコーダCOLDが接続される。より具体的には、センスアンプSA0に含まれるキャッシュメモリCM0にはカラムデコーダCOLD0が接続され、センスアンプSA1に含まれるキャッシュメモリCM1にはカラムデコーダCOLD1が接続される。カラムデコーダCOLDは、アドレスレジスタADR(
図4)に格納されたカラムアドレスCAをデコードし、カラムアドレスCAに対応するラッチ回路XDLを選択する。
【0054】
尚、これら複数のラッチ回路XDLに含まれるユーザデータDatは、書き込み動作の際に、センスアンプモジュールSAM内のラッチ回路に順次転送される。また、センスアンプモジュールSAM内のラッチ回路に含まれるユーザデータDatは、読み出し動作の際に、ラッチ回路XDLに順次転送される。また、ラッチ回路XDLに含まれるユーザデータDatは、データアウト動作の際に、カラムデコーダCOLD及びマルチプレクサMPXを介して、入出力制御回路I/Oに順次転送される。
【0055】
[電圧生成回路VGの構成]
電圧生成回路VG(
図4)は、例えば
図5に示す様に、複数の電圧供給線31に接続されている。電圧生成回路VGは、例えば、レギュレータ等の降圧回路及びチャージポンプ回路32等の昇圧回路を含む。これら降圧回路及び昇圧回路は、それぞれ、電源電圧V
CC及び接地電圧V
SS(
図4)が供給される電圧供給線に接続されている。電源電圧V
CCは例えば2.5Vであり、接地電圧V
SSは例えば0Vである。これらの電圧供給線は、例えば、
図2、
図3を参照して説明したパッド電極Pに接続されている。電圧生成回路VGは、例えば、シーケンサSQCからの制御信号に従って、メモリセルアレイMCAに対する読み出し動作、書き込み動作及び消去動作に際してビット線BL、ソース線SL、ワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に印加される複数通りの動作電圧を生成し、複数の電圧供給線31に同時に出力する。電圧供給線31から出力される動作電圧は、シーケンサSQCからの制御信号に従って適宜調整される。尚、電圧生成回路VGは、後述する電源電圧V
DDも生成する。
【0056】
[シーケンサSQCの構成]
シーケンサSQC(
図4)は、コマンドレジスタCMRに格納されたコマンドデータCmdに従い、ロウデコーダRD0,RD1、センスアンプモジュールSAM0,SAM1、及び、電圧生成回路VGに内部制御号を出力する。また、シーケンサSQCは、メモリダイMDの状態を示すステータスデータSttを、適宜ステータスレジスタSTRに出力する。
【0057】
また、シーケンサSQCは、レディ/ビジー信号を生成し、端子RY//BYに出力する。端子RY//BYは、例えば、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等、メモリセルアレイMCAに対して電圧を供給する動作の実行中に“L”状態となり、それ以外の場合には“H”状態となる。尚、データアウト動作、ステータスリード等、メモリセルアレイMCAに対して電圧を供給しない動作を実行しても、端子RY//BYは“L”状態にはならない。端子RY//BYが“L”状態の期間(ビジー期間)では、メモリダイMDへのアクセスが基本的には禁止される。また、端子RY//BYが“H”状態の期間(レディ期間)においては、メモリダイMDへのアクセスが許可される。尚、端子RY//BYは、例えば、
図2、
図3を参照して説明したパッド電極Pによって実現される。
【0058】
[アドレスレジスタADRの構成]
アドレスレジスタADRは、
図4に示す様に、入出力制御回路I/Oに接続され、入出力制御回路I/Oから入力されたアドレスデータAddを格納する。アドレスレジスタADRは、例えば、8ビットのレジスタ列を、複数備える。レジスタ列は、例えば、読み出し動作、書き込み動作又は消去動作等の内部動作が実行される際、実行中の内部動作に対応するアドレスデータAddを保持する。
【0059】
尚、アドレスデータAddは、例えば、カラムアドレスCA(
図4)及びロウアドレスRA(
図4)を含む。ロウアドレスRAは、例えば、メモリブロックBLK(
図5)を特定するブロックアドレスと、ストリングユニットSU及びワード線WLを特定するページアドレスと、メモリセルアレイMCA(プレーン)を特定するプレーンアドレスと、メモリダイMDを特定するチップアドレスと、を含む。
【0060】
[コマンドレジスタCMRの構成]
コマンドレジスタCMRは、入出力制御回路I/Oに接続され、入出力制御回路I/Oから入力されたコマンドデータCmdを格納する。コマンドレジスタCMRは、例えば、8ビットのレジスタ列を、少なくとも1セット備える。コマンドレジスタCMRにコマンドデータCmdが格納されると、シーケンサSQCに制御信号が送信される。
【0061】
[ステータスレジスタSTRの構成]
ステータスレジスタSTRは、入出力制御回路I/Oに接続され、入出力制御回路I/Oへ出力するステータスデータSttを格納する。ステータスレジスタSTRは、例えば、8ビットのレジスタ列を、複数備える。レジスタ列は、例えば、読み出し動作、書き込み動作又は消去動作等の内部動作が実行される際、実行中の内部動作に関するステータスデータSttを保持する。また、レジスタ列は、例えば、メモリセルアレイMCA0,MCA1のレディ/ビジー情報を保持する。
【0062】
[入出力制御回路I/Oの構成]
入出力制御回路I/O(
図4)は、例えば
図8に示す様に、データ信号入出力端子DQ0~DQ7と、データストローブ信号入出力端子DQS,/DQSと、シフトレジスタと、複数の入力回路210と、入力回路220と、入力バッファ回路230と、複数の出力回路240と、出力回路250と、出力バッファ回路260と、を備える。入力回路210,220は例えばコンパレータ等のレシーバ(Input Receiver)であり、出力回路240,250は例えばOCD(Off Chip Driver)回路等のドライバである。入出力制御回路I/Oの少なくとも一部は、入出力用電源電圧V
CCQ(
図4)が供給される電圧供給線に接続されている。入出力用電源電圧V
CCQは例えば1.2Vである。
【0063】
データ信号入出力端子DQ0~DQ7、及びデータストローブ信号入出力端子DQS,/DQSの各々は、例えば、
図2、
図3を参照して説明したパッド電極Pによって実現される。データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータは、論理回路CTRからの内部制御信号に応じて、バッファ回路(例えば
図8の入力バッファ回路230)から、キャッシュメモリCM、アドレスレジスタADR又はコマンドレジスタCMRに入力される。また、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して出力されるデータは、論理回路CTRからの内部制御信号に応じて、キャッシュメモリCM又はステータスレジスタSTRからバッファ回路(例えば
図8の出力バッファ回路260)に入力される。
【0064】
データストローブ信号入出力端子DQS,/DQSを介して入力された信号(例えば、データストローブ信号及びその相補信号)は、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介したデータの入力に際して用いられる。データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータは、データストローブ信号入出力端子DQSの電圧の立ち上がりエッジ(入力信号の切り換え)及びデータストローブ信号入出力端子/DQSの電圧の立ち下がりエッジ(入力信号の切り換え)のタイミング、並びに、データストローブ信号入出力端子DQSの電圧の立ち下がりエッジ(入力信号の切り換え)及びデータストローブ信号入出力端子/DQSの電圧の立ち上がりエッジ(入力信号の切り換え)のタイミングで、入出力制御回路I/O内のシフトレジスタ内に取り込まれる。
【0065】
データ信号入出力端子DQ0~DQ7の各々は、例えば
図8に示す様に、入力回路210及び出力回路240に接続される。データストローブ信号入出力端子DQS,/DQSの各々は、例えば
図8に示す様に、入力回路220及び出力回路250に接続される。
【0066】
入力回路210は、例えば
図9に示す様に、コンパレータ211と、信号伝搬回路212と、を備える。コンパレータ211は、一方の入力端子がデータ信号入出力端子DQ0~DQ7のいずれかに接続され、他方の入力端子が参照電圧(参照信号)VREFを供給する電圧供給線に接続される。信号伝搬回路212は、コンパレータ211の出力信号を伝搬させる。信号伝搬回路212によって伝搬される信号Dinは、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータ等に対応する。
【0067】
入力回路220は、例えば
図9に示す様に、コンパレータ221と、信号伝搬回路222,223と、を備える。コンパレータ221は、一方の入力端子がデータストローブ信号入出力端子DQSに接続され、他方の入力端子がデータストローブ信号入出力端子/DQSに接続される。信号伝搬回路222,223は、コンパレータ221の出力信号を伝搬させる。信号伝搬回路222,223は、信号Sig1,Sig2を伝搬する。信号Sig1,Sig2は、データストローブ信号入出力端子DQS,/DQSを介して入力されたデータストローブ信号である。即ち、信号Sig1,Sig2は、データの取り込みのタイミングを制御するタイミング制御信号であり、いわゆるクロック信号としても機能する。尚、信号Sig2は信号Sig1の反転信号である。
【0068】
入力バッファ回路230は、例えば
図9に示す様に、ラッチ回路230eと、ラッチ回路230oと、を備える。ラッチ回路230eは、信号Dinに含まれる偶数番目のデータをラッチする。ラッチ回路230oは、信号Dinに含まれる奇数番目のデータをラッチする。
【0069】
出力回路240,250(
図8)は、OCD回路等を備える。出力バッファ回路260は、ラッチ回路等を備える。出力回路240,250及び出力バッファ回路260の詳細な構成については省略する。
【0070】
入力回路210のコンパレータ211(
図9)は、例えば
図10Aに示す様に、第1のアンプ300と、第2のアンプ310と、を備える。第1のアンプ300は、シングル入力・差動出力型のアンプである。第1のアンプ300は、差動回路303と、負荷回路301と、ソースフォロワ回路302と、を備える。
【0071】
差動回路303及び負荷回路301は、第2のノードN2及び第4のノードN4を介して互いに電気的に接続されている。差動回路303及び負荷回路301が差動アンプを構成する。第1のノードN1及び第3のノードN3は、それぞれ、差動アンプにおけるP側及びN側の入力端子に接続されている。第2のノードN2及び第4のノードN4は、それぞれ、差動アンプにおけるP側及びN側の出力端子に接続されている。P側の入力端子がデータ信号入出力端子DQ0~DQ7のいずれかに接続され、N側の入力端子が参照電圧(参照信号)VREFを供給する電圧供給線に接続される。
【0072】
データ信号INP(DQ)は、P側の入力端子(データ信号入出力端子DQ0~DQ7のいずれか)を介して入力されるデータ信号に対応する。データ信号INP(DQ)は、入出力用電源電圧VCCQ(例えば1.2V)と接地電圧VSS(例えば0V)との間でデータの論理レベルに応じてスウィングする。参照電圧(参照信号)VREFは、N側の入力端子を介して入力される基準電圧に対応する。参照電圧VREFは、データ信号INP(DQ)の振幅(入出力用電源電圧VCCQ、例えば1.2V)の半分(例えば0.6V)程度の直流電圧である。P側信号OUTPは、P側の出力端子を介して出力される出力信号に対応する。N側信号OUTNは、N側の出力端子を介して出力される出力信号に対応する。第1のアンプ300は、データ信号INP及び参照電圧VREFを入力し、データ信号INPに応じたP側信号OUTP及びN側信号OUTNを生成し、第2のノードN2及び第4のノードN4を介して第2のアンプ310に出力する。
【0073】
差動回路303は、電源電圧VDDと負荷回路301との間に設けられている。差動回路303は、トランジスタM10,M11と、電流源CSと、を備える。トランジスタM10,M11は、PMOSトランジスタ(P型MOSトランジスタ)で構成されている。トランジスタM10,M11は、差動対を構成する。
【0074】
トランジスタM10は、ゲート電極がデータ信号INPを入力する第1のノードN1に電気的に接続され、ソース電極がノードNCに電気的に接続され、ドレイン電極が第2のノードN2に電気的に接続されている。また、トランジスタM11は、ゲート電極が参照電圧VREFを入力する第3のノードN3に電気的に接続され、ソース電極がノードNCに電気的に接続され、ドレイン電極が第4のノードN4に電気的に接続されている。
【0075】
電流源CSは、電源電圧VDDとノードNCとの間に電気的に接続されている。電流源CSは、例えばトランジスタM1で構成される。トランジスタM1は、PMOSトランジスタ(P型MOSトランジスタ)で構成されている。トランジスタM1は、ゲート電極が信号PBIAS(バイアス信号)を入力する信号線に電気的に接続され、ソース電極が電源電圧VDDに電気的に接続され、ドレイン電極がノードNCに電気的に接続されている。
【0076】
負荷回路301は、差動回路303と接地電圧VSSとの間に設けられている。負荷回路301は、第1のインピーダンスZ0と、第2のインピーダンスZ1と、を備える。第1のインピーダンスZ0は、第2のノードN2と接地電圧VSSとの間に電気的に接続されている。第2のインピーダンスZ1は、第4のノードN4と接地電圧VSSとの間に電気的に接続されている。尚、第1のインピーダンスZ0及び第2のインピーダンスZ1は、それぞれ、抵抗素子で構成されても良い。
【0077】
ソースフォロワ回路302は、差動回路303と並列に接続されている。ソースフォロワ回路302は、トランジスタM20,M30と、第1の電流制限回路CL1と、第2の電流制限回路CL2と、を備える。
【0078】
第1の電流制限回路CL1は、例えばトランジスタM2で構成されている。第2の電流制限回路CL2は、例えばトランジスタM3で構成されている。トランジスタM2,M3は、PMOSトランジスタ(P型MOSトランジスタ)で構成されている。トランジスタM2は、ゲート電極が信号PBIASを入力する信号線に電気的に接続され、ソース電極が電源電圧VDDに電気的に接続され、ドレイン電極がトランジスタM20のドレイン電極に電気的に接続されている。トランジスタM3は、ゲート電極が信号PBIASを入力する信号線に電気的に接続され、ソース電極が電源電圧VDDに電気的に接続され、ドレイン電極がトランジスタM30のドレイン電極に電気的に接続されている。
【0079】
トランジスタM20,M30は、NMOSトランジスタ(N型MOSトランジスタ)で構成されている。トランジスタM20は、ゲート電極がデータ信号INPを入力する第1のノードN1に電気的に接続され、ドレイン電極がトランジスタM2のドレイン電極に電気的に接続され、ソース電極が第4のノードN4に電気的に接続されている。トランジスタM30は、ゲート電極が参照電圧VREFを入力する第3のノードN3に電気的に接続され、ドレイン電極がトランジスタM3のドレイン電極に電気的に接続され、ソース電極が第2のノードN2に電気的に接続されている。
【0080】
第2のアンプ310は、差動入力・シングル出力型のアンプである。第2のアンプ310は、一方の入力端子が第1のアンプ300の第2のノードN2に電気的に接続され、他方の入力端子が第1のアンプ300の第4のノードN4に電気的に接続されている。第2のアンプ310は、差動信号としてのP側信号OUTP及びN側信号OUTNを入力し、P側信号OUTP及びN側信号OUTNに応じた出力信号BUF_OUTを生成して信号伝搬回路212(
図9)に出力する。第2のアンプ310の詳細な構成については省略する。
【0081】
[論理回路CTRの構成]
論理回路CTR(
図4)は、複数の外部制御端子/CE,CLE,ALE,/WE,/RE,REと、これら複数の外部制御端子/CE,CLE,ALE,/WE,/RE,REに接続された論理回路と、を備える。論理回路CTRは、外部制御端子/CE,CLE,ALE,/WE,/RE,REを介してコントローラダイCDから外部制御信号を入力し、これに応じて入出力制御回路I/Oに内部制御信号を出力する。
【0082】
尚、外部制御端子/CE,CLE,ALE,/WE,/RE,REの各々は、例えば、
図2、
図3を参照して説明したパッド電極Pによって実現される。
【0083】
外部制御端子/CEを介して入力された信号(例えば、チップイネーブル信号)は、メモリダイMDの選択に際して用いられる。外部制御端子/CEに“L”が入力されたメモリダイMDは、ユーザデータDat、コマンドデータCmd及びアドレスデータAdd(以下、単に「データ」と呼ぶ場合がある。)の入出力が可能な状態となる。外部制御端子/CEに“H”が入力されたメモリダイMDは、データの入出力が不可能な状態となる。
【0084】
外部制御端子CLEを介して入力された信号(例えば、コマンドラッチイネーブル信号)は、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータがコマンドデータCmdであることを示すために用いられる。外部制御端子CLEに“H”が入力された場合、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータはコマンドデータCmdとして入出力制御回路I/O内のバッファメモリに格納され、コマンドレジスタCMRに転送される。
【0085】
外部制御端子ALEを介して入力された信号(例えば、アドレスラッチイネーブル信号)は、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータがアドレスデータAddであることを示すために用いられる。外部制御端子ALEに“H”が入力された場合、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータはアドレスデータAddとして入出力制御回路I/O内のバッファメモリに格納され、アドレスレジスタADRに転送される。
【0086】
尚、外部制御端子CLE,ALEの双方に“L”が入力された場合、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータはユーザデータDatとして入出力制御回路I/O内のバッファメモリに格納される。ユーザデータDatは、バスDBを介してキャッシュメモリCMに転送される。
【0087】
外部制御端子/WEを介して入力された信号(例えば、ライトイネーブル信号)は、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介したデータの入力に際して用いられる。データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータは、外部制御端子/WEの電圧の立ち上がり(入力信号の切り換え)のタイミングで入出力制御回路I/O内のシフトレジスタ内に取り込まれる。
【0088】
尚、データの入力に際しては、外部制御端子/WEを使用しても良いし、データストローブ信号入出力端子DQS,/DQSを使用しても良い。
【0089】
外部制御端子/RE,REを介して入力された信号(例えば、リードイネーブル信号及びその相補信号)は、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介したデータの出力に際して用いられる。データ信号入出力端子DQ0~DQ7から出力されるデータは、外部制御端子/REの電圧の立ち下がりエッジ(入力信号の切り換え)及び外部制御端子REの電圧の立ち上がりエッジ(入力信号の切り換え)のタイミング、並びに、外部制御端子/REの電圧の立ち上がりエッジ(入力信号の切り換え)及び外部制御端子REの電圧の立ち下がりエッジ(入力信号の切り換え)のタイミングで切り替わる。
【0090】
[書き込み動作におけるデータ信号の入力例]
図11は、書き込み動作におけるデータ信号の入力例を示すタイミングチャートである。尚、データ信号入出力端子DQxの“x”は0~7の数字である。
【0091】
図11のタイミングt1において、外部制御端子/CEを介して入力されたチップイネーブル信号が“H”から“L”に切り替わる。これにより、メモリダイMDは、データの入出力が可能な状態となる。
【0092】
タイミングt2において、外部制御端子CLEを介して入力されたコマンドラッチイネーブル信号が“L”から“H”に切り替わる。その後、外部制御端子/WEを介して入力されたライトイネーブル信号の立ち上がりのタイミングにおいて、データ信号入出力端子DQxを介して入力されたコマンドデータ“80h”が取り込まれ、コマンドレジスタCMR(
図4)に転送される。コマンドデータ“80h”は、書き込み動作を指示するコマンドセットの始めに入力するコマンドデータCmdである。
【0093】
タイミングt3において、外部制御端子CLEを介して入力されたコマンドラッチイネーブル信号が“H”から“L”に切り替わると共に、外部制御端子ALEを介して入力されたアドレスラッチイネーブル信号が“L”から“H”に切り替わる。その後、外部制御端子/WEを介して入力されたライトイネーブル信号の立ち上がりのタイミングにおいて、データ信号入出力端子DQxを介して入力されたアドレスデータAddが取り込まれ、アドレスレジスタADR(
図4)に転送される。
【0094】
タイミングt4において、外部制御端子ALEを介して入力されたアドレスラッチイネーブル信号が“H”から“L”に切り替わり、アドレスデータAddの取り込みが終了する。尚、図示の例では、タイミングt3~t4において、アドレスデータAddを構成する8ビット×5サイクルのデータが入力されているが、サイクル数は5より少なくても多くても良い。
【0095】
タイミングt4~t5は、キャッシュメモリCM(データレジスタ)の準備期間(
図11中“tADL”と記す期間)である。
【0096】
タイミングt5において、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたユーザデータDatが、例えば、データストローブ信号入出力端子DQSの電圧の立ち上がりエッジ及びデータストローブ信号入出力端子/DQSの電圧の立ち下がりエッジのタイミングで取り込まれ、キャッシュメモリCMに転送される。図示の例では、タイミングt5~t6においてユーザデータDatの取り込みが行われる。
【0097】
書き込み動作はページ単位で行われる。1ページが16kバイトである場合、書き込み動作が行われるユーザデータDatの量は16kバイトになる。この場合、タイミングt5~t6において、ユーザデータDatを構成する8ビット×16kサイクルのデータが入力される。
【0098】
タイミングt7において、外部制御端子CLEを介して入力されたコマンドラッチイネーブル信号が“L”から“H”に切り替わる。その後、外部制御端子/WEを介して入力されたライトイネーブル信号の立ち上がりのタイミングにおいて、データ信号入出力端子DQxを介して入力されたコマンドデータ“10h”が取り込まれ、コマンドレジスタCMR(
図4)に転送される。コマンドデータ“10h”は、書き込み動作を指示するコマンドセットの終わりに入力するコマンドデータCmdである。
【0099】
タイミングt8において、書き込み動作が開始される。図示の例では、タイミングt8~t9の期間(
図11中“tProg”と記す期間)、書き込み動作が行われる。この期間、端子RY//BYが“L”状態に制御される。
【0100】
タイミングt10において、外部制御端子CLEを介して入力されたコマンドラッチイネーブル信号が“L”から“H”に切り替わる。その後、外部制御端子/WEを介して入力されたライトイネーブル信号の立ち上がりのタイミングにおいて、データ信号入出力端子DQxを介して入力されたコマンドデータ“70h”が取り込まれ、コマンドレジスタCMR(
図4)に転送される。コマンドデータ“70h”は、ステータスリードを指示するコマンドデータである。ステータスリードは、ステータスレジスタSTRに含まれるステータスデータSttをコントローラダイCDに出力する動作である。
【0101】
コマンドデータ“70h”の入力に伴い、タイミングt11において、ステータスリードが行われ、ステータスデータSttがデータ信号入出力端子DQxを介して出力される。この場合、ステータスデータSttには、例えば、書き込み動作において正常にユーザデータDatの書き込みが行われたか否かを示すデータが含まれる。
【0102】
タイミングt12において、外部制御端子/CEを介して入力されたチップイネーブル信号が“L”から“H”に切り替わる。これにより、メモリダイMDは、データの入出力が不可能な状態となる。
【0103】
【0104】
図12~
図14は、コンパレータ211の動作を示す波形図である。尚、
図12~
図14に示すコンパレータ211の動作は、例えば、
図11のタイミングt5~t6の動作(ユーザデータDatの入力動作)である。
【0105】
図12(a)は、データ信号INP(DQ)及び参照電圧VREFの波形を示している。
図12(b)は、第2のアンプ310に入力される差動信号としてのP側信号OUTP及びN側信号OUTNの波形を示している。
図12(c)は、P側信号OUTPとN側信号OUTNとの差分信号(OUTP-OUTN)の波形を示している。
図12(d)は、出力信号BUF_OUTの波形を示している。尚、
図12(a)では、データ信号INPは“H”と“L”(即ち、“1”と“0”)を規則的に繰り返すデータ信号INPの波形である。また、
図12(b)~
図12(d)において、点線は、差動アンプ(差動回路303及び負荷回路301)にソースフォロワ回路302が付加されていない場合(
図10B)の各信号の波形を示し、実線は、差動アンプ(差動回路303及び負荷回路301)にソースフォロワ回路302が付加されている場合(
図10A)の各信号の波形を示している。
【0106】
図13(a)及び
図13(b)は、
図12(a)及び
図12(b)の波形の一部を拡大した拡大図である。
図13(c)は、トランジスタM20,M30のドレイン電流I
M20,I
M30の波形を示している。
【0107】
図14(a)は、データ信号INP及び参照電圧VREFの波形を示している。
図14(b)は、P側信号OUTP及びN側信号OUTNの波形を示している。
図14(c)は、トランジスタM20のドレイン電流I
M20の波形を示している。
図14(d)は、トランジスタM30のドレイン電流I
M30の波形を示している。尚、
図14(a)~
図14(d)において、実線はデータ信号INPの振幅が大きい場合の各信号の波形を示し、点線はデータ信号INPの振幅が小さい場合の各信号の波形を示している。また、
図14(a)では、“H”と“L”が不規則に出現するデータ信号INPの波形である。
【0108】
[差動アンプにソースフォロワ回路302が付加されていない場合]
ここでは、差動アンプの動作、即ち、
図10Bを参照して説明した第1のアンプ300Gの動作について説明する。
【0109】
所定電圧の信号PBIASがトランジスタM1(電流源CS)のゲート電極に入力されている。これにより、トランジスタM1はON状態となっている。
【0110】
図12(a)に示す様に、データ信号INPが立ち上がるとき(即ち、データ信号INPが“L”から“H”になるとき)、トランジスタM1からノードNCに供給される電流のうち、トランジスタM10に流れる電流が徐々に小さくなり、トランジスタM11に流れる電流が徐々に大きくなる。トランジスタM10に流れる電流が徐々に小さくなることにより、第1のインピーダンスZ0における電圧降下が減少して、第2のノードN2の電位が徐々に低くなる。従って、
図12(b)の点線の波形に示す様に、P側信号OUTPの電圧が徐々に小さくなる。また、トランジスタM11に流れる電流が徐々に大きくなることにより、第2のインピーダンスZ1における電圧降下が増大して、第4のノードN4の電位が徐々に高くなる。従って、
図12(b)の点線の波形に示す様に、N側信号OUTNの電圧が徐々に大きくなる。
【0111】
また、
図12(a)に示す様に、データ信号INPが立ち下がるとき(即ち、データ信号INPが“H”から“L”になるとき)、トランジスタM1からノードNCに供給される電流のうち、トランジスタM10に流れる電流が徐々に大きくなり、トランジスタM11に流れる電流が徐々に小さくなる。トランジスタM10に流れる電流が徐々に大きくなることにより、第1のインピーダンスZ0における電圧降下が増大して、第2のノードN2の電位が徐々に高くなる。従って、
図12(b)の点線の波形に示す様に、P側信号OUTPの電圧が徐々に大きくなる。また、トランジスタM11に流れる電流が徐々に小さくなることにより、第2のインピーダンスZ1における電圧降下が減少して、第4のノードN4の電位が徐々に低くなる。従って、
図12(b)の点線の波形に示す様に、N側信号OUTNの電圧が徐々に小さくなる。
【0112】
この様に、差動アンプとしての第1のアンプ300Gは、単相デジタル信号としてのデータ信号INPを、差動信号としてのP側信号OUTP及びN側信号OUTNに変換する。
【0113】
図12(c)の点線の波形に示す様に、第2のアンプ310は、P側信号OUTP及びN側信号OUTNに基づいて、P側信号OUTPとN側信号OUTNの差分信号(OUTP-OUTN)を生成する。そして、
図12(d)の点線の波形に示す様に、第2のアンプ310は、その差分信号(OUTP-OUTN)に基づいて、出力信号BUF_OUTを生成し、生成した出力信号BUF_OUTを信号伝搬回路212に出力する。
【0114】
[差動アンプにおけるデータ信号INPの立ち上がり及び立ち下がりの動作の非対称性]
上述した場合と同様、電流源CSを構成するトランジスタM1はON状態となっている。
【0115】
上述の通り、データ信号INPが立ち下がると(即ち、データ信号INPが“H”から“L”になると)、トランジスタM10に流れる電流が大きくなる。ここで、トランジスタM10のゲート電極は第1のノードN1に接続されている。すなわち、トランジスタM10のゲート電極には接地電圧(例えば0V)が供給されるため、ドライブ量が比較的大きくなる。従って、データ信号INPが立ち下がると、トランジスタM10のゲート-ソース間電圧(ゲート電圧から、ソース電圧を減じた値)が、減少する。また、このタイミングでは、ノードNC(トランジスタM10,M11のソース電極が共通に接続されているノード)の寄生容量の電荷が、トランジスタM10を通って一気に第2のノードN2に流れる。従って、第2のノードN2は急速に充電される。従って、
図12(b)及び
図13(b)の点線の波形に示す様に、P側信号OUTPは、データ信号INPの立ち下がりに応じて、急速に立ち上がる。
【0116】
また、上述の通り、データ信号INPが立ち上がると(即ち、データ信号INPが“L”から“H”になると)、トランジスタM11に流れる電流が大きくなる。ここで、トランジスタM11のゲート電極は第3のノードN3に接続されている。すなわち、トランジスタM11のゲート電極には参照電圧VREF(例えば0.6V)が供給されため、ドライブ量が比較的小さくなる。従って、データ信号INPが立ち上がると、まず、トランジスタM10に流れる電流が減少し、ノードN2が充電され、これによってトランジスタM11のゲート-ソース間電圧が減少する。従って、第4のノードN4は、第2のノードN2と比較して、ゆっくり充電される。従って、
図12(b)及び
図13(b)の点線の波形に示す様に、N側信号OUTNは、データ信号INPの立ち上がりに応じて、ゆっくり立ち上がる。
【0117】
この様に、第4のノードN4が充電される速度は、第2のノードN2が充電される速度よりも遅い。即ち、差動アンプにおけるデータ信号INPの立ち上がり及び立ち下がりの動作が非対称になっている。この様な動作の非対称性は、データ信号INPの振幅が大きく、データ信号INPのスルーレートが高い場合に、より顕著に生じる。
【0118】
尚、データ信号INPが立ち上がるときの、第2のノードN2が放電される速度(P側信号OUTPの立ち下がりの速度)は、データ信号INPが立ち下がるときの、第4のノードN4が放電される速度(N側信号OUTNの立ち下がりの速度)と略同じである。
【0119】
図12(b)及び
図13(b)の点線の波形に示す様に、P側信号OUTP及びN側信号OUTNは、それらの交点(タイミングt101,t102,t103,t104)で、符号が変化する。タイミングt101,t103におけるP側信号OUTP及びN側信号OUTNの電圧値は、タイミングt102,t104におけるP側信号OUTP及びN側信号OUTNの電圧値よりも高い。また、タイミングt101~t102の期間は、タイミングt102~t103の期間よりも長い。この様に、差動信号としてのP側信号OUTP及びN側信号OUTNにおいて、ジッタ(信号を伝送する際に生じる時間軸方向のズレや揺らぎ)が生じている。その結果、
図12(d)の点線の波形に示す様に、出力信号BUF_OUTにおいて、パルス幅の大きい部分(Hパルス幅)と小さい部分とが生じている。
【0120】
尚、出力信号BUF_OUTにおいて、パルスの中心電圧よりも大きい電圧の部分をHパルスと呼び、パルスの中心電圧よりも小さい電圧の部分をLパルスと呼ぶ場合がある。
図12(d)の点線の波形の例では、Hパルスの幅が大きく、Lパルスの幅が小さい。
【0121】
[差動アンプにソースフォロワ回路302が付加されている場合]
ここでは、
図10Aを参照して説明した第1のアンプ300の動作、即ち、差動アンプにソースフォロワ回路302が付加されている場合の動作について説明する。
【0122】
上述した場合と同様、電流源CSを構成するトランジスタM1はON状態となっている。また、第1の電流制限回路CL1を構成するトランジスタM2もON状態となっており、第2の電流制限回路CL2を構成するトランジスタM3もON状態となっている。
【0123】
図12(a)に示す様に、データ信号INPが立ち上がると(即ち、データ信号INPが“L”から“H”になると)、ある時点でトランジスタM10に流れる電流が減少する。このとき、トランジスタM11のゲート電極には参照電圧VREF(例えば0.6V)が供給される。従って、トランジスタM11の駆動力は小さく、トランジスタM11に流れる電流は、あまり急速には増大しない。
【0124】
そこで、ソースフォロワ回路302のトランジスタM20の駆動力が、トランジスタM11の駆動力を補完する。即ち、データ信号INPが“L”から“H”になると、トランジスタM20に流れる電流が大きくなる。ここで、トランジスタM20のゲート電極は第1のノードN1に接続されている。すなわち、トランジスタM20のゲート電極には入出力用電源電圧V
CCQ(例えば1.2V)が供給される。従って、データ信号INPが立ち上がると、トランジスタM20のゲート-ソース間電圧が、増大する。従って、トランジスタM20の電流は、比較的急速に増大する。
図13(c)に示す様に、トランジスタM20のドレイン電流I
M20は、大きなピーク値を持つ電流である。このドレイン電流I
M20が第4のノードN4に供給される。このとき、第2のインピーダンスには、トランジスタM11からの電流とトランジスタM20からのドレイン電流I
M20と、が流れる。従って、第4のノードN4は、急速に充電される。
図12(b)及び
図13(b)の実線の波形に示す様に、N側信号OUTNは急速に立ち上がる。
【0125】
ここで、トランジスタM30のゲート電極は第3のノードN3に接続されている。すなわち、トランジスタM30のゲート電極には参照電圧VREF(例えば0.6V)が供給される。データ信号INPが立ち上がり始める段階においては、P側信号OUTPの電圧レベルが大きいため、トランジスタM30のゲート-ソース間電圧が大きくならない。従って、トランジスタM30は、少なくともP側信号OUTPとN側信号OUTNとが交差するタイミングまでは、P側信号OUTPの立ち下がりを阻害しない。
【0126】
図12(a)に示す様に、データ信号INPが立ち下がると(即ち、データ信号INPが“H”から“L”になると)、ある時点でトランジスタM10に流れる電流が増大する。それに伴って、トランジスタM11に流れる電流が減少する。このとき、トランジスタM10のゲート電極には入出力用電源電圧V
CCQ(例えば1.2V)が供給される。従って、トランジスタM10の駆動力は大きく、トランジスタM10に流れる電流は、急速に増大する。
【0127】
上記の様に、トランジスタM10の駆動力は大きく、第2のノードN2は急速に充電されるので、本来ならトランジスタM10の駆動力を補完する必要はない。しかしながら、本実施形態においては、トランジスタM30がソースフォロワ回路302に設けられている。
【0128】
データ信号INPとして参照電圧VREFと同じ電圧が入力されたときに、P側信号OUTP及びN側信号OUTNの差が0Vである必要がある。P側信号OUTP及びN側信号OUTNの差が0Vからずれた場合、そのずれをDCオフセットという。ここで、ソースフォロワ回路302にトランジスタM20だけが設けられている場合、N側信号OUTNがP側信号OUTPよりも大きくなり、DCオフセットが生じてしまう。この様に、DCオフセットを無くすために、ソースフォロワ回路302にトランジスタM30が設けられている。
【0129】
尚、ソースフォロワ回路302のトランジスタM30のゲート電極には、参照電圧VREF(例えば0.6V)が印加されている。従って、トランジスタM30の駆動力は小さい。
図13(c)に示す様に、トランジスタM30のドレイン電流I
M30は、小さなピーク値を持つ電流である。このドレイン電流I
M30が第2のノードN2に供給される。このとき、第2のノードN2には、トランジスタM10からの電流とトランジスタM30からのドレイン電流I
M30によって急速に充電される。
図12(b)及び
図13(b)の実線の波形に示す様に、P側信号OUTPは急速に立ち上がる。
【0130】
この様な構成によって、
図12(b)及び
図13(b)の実線の波形に示す様に、タイミングt101´,t103´におけるP側信号OUTP及びN側信号OUTNの電圧値は、タイミングt102´,t104´におけるP側信号OUTP及びN側信号OUTNの電圧値と近い値になっている。また、タイミングt101´~t102´の期間は、タイミングt102´~t103´の期間と近い長さになっている。この様に、差動信号としてのP側信号OUTP及びN側信号OUTNにおいて、ジッタが低減されている。その結果、
図12(d)の実線の波形に示す様に、出力信号BUF_OUTにおいて、パルス幅が略均等になっている。
【0131】
尚、電流制限回路を構成するトランジスタM2,M3は、トランジスタM20,M30によってノードN5,N3に供給される電流の量を制限する。トランジスタM20,M30がノードN5,N3に過剰に電流を供給してしまうことを防止するためである。
【0132】
[データ信号INPが不規則なデータの場合]
図12(a)に示す様に、第1のアンプ300は、データ信号INPが“H”と“L”を規則的に繰り返すデータ信号INPを入力する場合だけでなく、
図14(a)に示す様に、“H”と“L”が不規則に出現するデータ信号INPを入力する場合にも適用可能である。
【0133】
[データ信号INPの振幅が大きい場合及び小さい場合]
図14(a),(b),(c),(d)の実線の波形に示す様に、データ信号INPの振幅が大きい場合、
図12(a),(b),(c),(d)及び
図13(a),(b),(c)を参照して説明した場合と同様に、トランジスタM20,M30のドレイン電流I
M20,I
M30が、それぞれノードN5,N3に供給されることにより、P側信号OUTP及びN側信号OUTNのいずれも急速に立ち上がる。従って、P側信号OUTP及びN側信号OUTNにおいてジッタが低減され、出力信号BUF_OUTにおいてパルス幅が略均等になる。
【0134】
一方、
図14(a),(b)の点線の波形に示す様に、データ信号INPの振幅が小さい場合、データ信号INPに応じて第4のノードN4が充電及び放電される速度は、データ信号INPに応じて第2のノードN2が充電及び放電される速度と略同じである。即ち、差動アンプにおけるデータ信号INPの立ち上がり及び立ち下がりの動作が対称になっている。
【0135】
また、
図14(c),(d)の点線の波形に示す様に、データ信号INPの振幅が小さい場合、トランジスタM20のゲート電極に入力されるデータ信号INPの電圧が小さいので、ドレイン電流I
M20も小さくなる。また、トランジスタM30のゲート電極に入力される電圧は参照電圧VREFであるので、トランジスタM30のドレイン電流I
M30も小さい。この様に、データ信号INPの振幅が小さい場合、ドレイン電流I
M20,I
M30をノードN5,N3に供給する必要がない。この場合、ドレイン電流I
M20,I
M30のいずれも小さい値に抑制される。
【0136】
[効果]
半導体記憶装置のインターフェースの高速化に伴い、入力されるデータ信号INPを増幅する入力回路210で生じるジッタの低減が必要とされる。入力回路210において単相デジタル信号(データ信号INP)を増幅する場合、差動アンプにおける単相デジタル信号の立ち上がりと立ち下がりに対する応答(P側信号OUTP及びN側信号OUTN)の非対称性から、DCD(Duty Cycle distortion)が生じ、ジッタの発生とパルス幅の減少という問題が生じる。特に、高速インターフェース用の入力回路210では、様々な振幅及びスルーレートのデータ信号INPを広帯域に増幅する必要があり、DCDの対策が重要となる。
【0137】
第1実施形態では、ソースフォロワ回路302が差動アンプと並列に接続され、ソースフォロワ回路302に含まれるトランジスタM20,M30のゲート電極への入力信号(INP,VREF)と、差動アンプに含まれるトランジスタM10,M11のゲート電極への入力信号とが共通に接続されている。そして、差動アンプの立ち上がりと立ち下がりの応答差を補完するようにソースフォロワがB級増幅動作を実行する。この様な構成によれば、DCDを抑制することができると共に、ジッタを防止することができ、パルス幅の減少を防止することができる。
【0138】
[第2実施形態]
次に、
図15を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。
【0139】
図15は、第2実施形態に係るコンパレータ211Aの構成を示す模式的な回路図である。尚、
図15の第2実施形態に係るコンパレータ211Aの構成は、基本的に、
図10Aの第1実施形態に係るコンパレータ211の構成と同じである。ただし、第2実施形態に係るコンパレータ211Aでは、負荷回路301(
図10A)に代えて、負荷回路301Aが設けられている。また、第1のアンプ300に代えて、第1のアンプ300Aとしている。
【0140】
負荷回路301Aは、トランジスタM41,M42と、抵抗素子r1,r2と、を備えている。トランジスタM41,M42は、NMOSトランジスタで構成されている。トランジスタM41は、ドレイン電極が第2のノードN2に電気的に接続され、ソース電極が接地電圧VSSに電気的に接続され、ゲート電極が第5のノードN5に電気的に接続されている。トランジスタM42は、ドレイン電極が第4のノードN4に電気的に接続され、ソース電極が接地電圧VSSに電気的に接続され、ゲート電極が第5のノードN5に電気的に接続されている。抵抗素子r1は、第2のノードN2と第5のノードN5との間に電気的に接続されている。抵抗素子r2は、第4のノードN4と第5のノードN5との間に電気的に接続されている。
【0141】
この様な構成によれば、第2のノードN2及び第4のノードN4の電圧は、トランジスタM41,M42の電圧VGS(ゲート-ソース電圧)で決定されるので、第2のノードN2及び第4のノードN4に流れる電流の大きさに影響を受けにくく、第2のノードN2及び第4のノードN4の電圧が安定しやすい。また、第2のノードN2及び第4のノードN4の電圧が安定することにより、トランジスタM20,M30のソース電極の電圧が安定し、トランジスタM20,M30の電圧VGS(ゲート-ソース電圧)が安定する。これにより、トランジスタM20,M30がトランジスタM10,M11の駆動力を確実に補完することができる。
【0142】
[第3実施形態]
次に、
図16を参照して、第3実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。
【0143】
図16は、第3実施形態に係るコンパレータ211Bの構成を示す模式的な回路図である。尚、
図16の第3実施形態に係るコンパレータ211Bの構成は、基本的に、
図10Aの第1実施形態に係るコンパレータ211の構成と同じである。ただし、第3実施形態に係るコンパレータ211Bでは、差動回路303に代えて、差動回路303Bとしている。差動回路303Bでは、電流源CSを構成するトランジスタM1が抵抗素子r11に置き換えられ、第1の電流制限回路CL1を構成するトランジスタM2が抵抗素子r12に置き換えられ、第2の電流制限回路CL2を構成するトランジスタM3が抵抗素子r13に置き換えられている。また、ソースフォロワ回路302に代えて、ソースフォロワ回路302Bとしている。また、第1のアンプ300に代えて、第1のアンプ300Bとしている。
【0144】
この様な構成によっても、DCDを抑制することができると共に、ジッタを防止することができ、パルス幅の減少を防止することができる。
【0145】
[第4実施形態]
次に、
図17を参照して、第4実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。
【0146】
図17は、第4実施形態に係るコンパレータ211Cの構成を示す模式的な回路図である。尚、
図17の第4実施形態に係るコンパレータ211Cの構成は、基本的に、
図10Aの第1実施形態に係るコンパレータ211の構成と同じである。ただし、第4実施形態に係るコンパレータ211Bでは、第1のアンプ300Cは、電源電圧V
DDと電流源CSとの間に電気的に接続された第1のスイッチトランジスタM51と、電源電圧V
DDと第1の電流制限回路CL1との間に電気的に接続された第2のスイッチトランジスタM52と、電源電圧V
DDと第2の電流制限回路CL2との間に電気的に接続された第3のスイッチトランジスタM53と、を備える。
【0147】
スイッチトランジスタM51,M52,M53は、それぞれ、PMOSトランジスタで構成されている。また、スイッチトランジスタM51,M52,M53のゲート電極は、それぞれ、信号ENABLEXを入力する信号線に電気的に接続されている。
【0148】
この様な構成によれば、信号ENABLEXを切り替えることにより、差動アンプ(差動回路303及び負荷回路301)のON・OFF状態の制御、トランジスタM2,M20のON・OFF状態の制御、及びトランジスタM3,M30のON・OFF状態の制御を行うことができる。
【0149】
[第5実施形態]
次に、
図18を参照して、第5実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。
【0150】
図18は、第5実施形態に係る第1のアンプ300の構成を示す模式的な回路図である。
図18では、第1のアンプ300を構成するトランジスタのサイズを表記している。尚、
図18の第5実施形態に係る第1のアンプ300の構成は、
図10Aの第1実施形態に係る第1のアンプ300の構成と同じである。
【0151】
図18において、第1のアンプ300に含まれる各トランジスタM1,M2,M3,M10,M11,M20,M30は、超低電圧トランジスタ(Very Low Voltage Transistor)で構成されている。
図18の各トランジスタの横に付している数字は、各トランジスタのゲート領域の幅(ゲート幅)の比率を示している。トランジスタM2,M3,M20,M30のゲート領域の幅の比率は“1”である。トランジスタM10,M11のゲート領域の幅の比率は“4”である。トランジスタM1のゲート領域の幅の比率は“8”である。
【0152】
尚、
図18の各トランジスタの横に付している数字は、各トランジスタのフィンガー数であっても良い。フィンガー数は、超低電圧トランジスタを並列につなぐ数のことを言う。トランジスタM2,M3,M20,M30のフィンガー数は“1”である。トランジスタM10,M11のフィンガー数は“4”である。トランジスタM1のフィンガー数は“8”である。
【0153】
[第6実施形態]
次に、
図19を参照して、第6実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。
【0154】
図19は、第6実施形態に係るコンパレータ211Dの構成を示す模式的な回路図である。
図19の第6実施形態に係るコンパレータ211Dにおける各トランジスタM1´,M2´,M3´,M10´,M11´,M20´,M30´は、
図10Aの第1実施形態に係るコンパレータ211における各トランジスタM1,M2,M3,M10,M11,M20,M30のPMOS/NMOSを反転させたものである。トランジスタM1´,M2´,M3´,M10´,M11´は、NMOSトランジスタで構成されている。トランジスタM20´,M30´は、PMOSトランジスタで構成されている。
【0155】
コンパレータ211Dは、第1のアンプ300Dと、第2のアンプ310と、を備える。第1のアンプ300Dは、差動回路303Dと、負荷回路301Dと、ソースフォロワ回路302Dと、を備える。差動回路303Dは、トランジスタM10´,M11´と、電流源CS´を構成するトランジスタM1´と、を備える。
【0156】
トランジスタM10´は、ゲート電極がデータ信号INPを入力する第1のノードN1´に電気的に接続され、ソース電極がノードNC´に電気的に接続され、ドレイン電極が第2のノードN2´に電気的に接続されている。トランジスタM11´は、ゲート電極が参照電圧VREFを入力する第3のノードN3´に電気的に接続され、ソース電極がノードNC´に電気的に接続され、ドレイン電極が第4のノードN4´に電気的に接続されている。電流源CS´を構成するトランジスタM1´は、接地電圧VSSとノードNC´との間に電気的に接続されている。
【0157】
負荷回路301Dは、第2のノードN2´及び第4のノードN4´と電源電圧V
DDとの間に電気的に接続されている。負荷回路301Dは、負荷回路301(
図10A)と同様に、第1のインピーダンスZ0と、第2のインピーダンスZ1と、を有する。
【0158】
ソースフォロワ回路302Dは、トランジスタM20´,M30´と、第1の電流制限回路CL1´と、第2の電流制限回路CL2´と、を備える。トランジスタM20´は、ゲート電極が第1のノードN1´に電気的に接続され、ドレイン電極が接地電圧VSSに電気的に接続され、ソース電極が第4のノードN4´に電気的に接続されている。トランジスタM30´は、ゲート電極が第3のノードN3´に電気的に接続され、ドレイン電極が接地電圧VSSに電気的に接続され、ソース電極が第2のノードN2´に電気的に接続されている。
【0159】
第1の電流制限回路CL1´を構成するトランジスタM2´は、トランジスタM20´のドレイン電極と接地電圧VSSとの間に電気的に接続され、第2の電流制限回路CL2´を構成するトランジスタM3´は、トランジスタM30´のドレイン電極と接地電圧VSSとの間に電気的に接続されている。
【0160】
この様な構成によっても、DCDを抑制することができると共に、ジッタを防止することができ、パルス幅の減少を防止することができる。
【0161】
[第7実施形態]
次に、
図20を参照して、第7実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。
【0162】
図20は、第7実施形態に係るコンパレータ211Eの構成を示す模式的な回路図である。尚、
図20の第7実施形態に係るコンパレータ211Eの構成は、基本的に、
図10Aの第1実施形態に係るコンパレータ211の構成と同じである。ただし、第7実施形態に係るコンパレータ211Eでは、差動回路303に代えて、差動回路303Eとしている。尚、差動回路303E及び負荷回路301は、伝送線路の周波数特性を補正したい場合に使用される差動アンプである。
【0163】
差動回路303Eは、電源電圧VDDと負荷回路301との間に設けられている。差動回路303Eは、トランジスタM10,M11と、周波数特性補正回路304と、電流源CSEと、を備える。トランジスタM10,M11は、PMOSトランジスタ(P型MOSトランジスタ)で構成されている。トランジスタM10,M11は、差動対を構成する。
【0164】
トランジスタM10は、ゲート電極がデータ信号INPを入力する第1のノードN1に電気的に接続され、ソース電極がノードNCaに電気的に接続され、ドレイン電極が第2のノードN2に電気的に接続されている。また、トランジスタM11は、ゲート電極が参照電圧VREFを入力する第3のノードN3に電気的に接続され、ソース電極がノードNCbに電気的に接続され、ドレイン電極が第4のノードN4に電気的に接続されている。
【0165】
周波数特性補正回路304は、ノードNCaとノードNCbとの間に設けられている。周波数特性補正回路304は、抵抗素子RSと、キャパシタCSと、を備えている。抵抗素子RS及びキャパシタCSは、ノードNCaとノードNCbとの間に並列に接続されている。
【0166】
電流源CSEは、電源電圧VDDとノードNCa,NCbとの間に電気的に接続されている。電流源CSEは、例えばトランジスタM1a,M1bで構成される。トランジスタM1a,M1bは、PMOSトランジスタ(P型MOSトランジスタ)で構成されている。トランジスタM1aは、ゲート電極が信号PBIAS(バイアス信号)を入力する信号線に電気的に接続され、ソース電極が電源電圧VDDに電気的に接続され、ドレイン電極がノードNCaに電気的に接続されている。トランジスタM1bは、ゲート電極が信号PBIAS(バイアス信号)を入力する信号線に電気的に接続され、ソース電極が電源電圧VDDに電気的に接続され、ドレイン電極がノードNCbに電気的に接続されている。
【0167】
この様な構成によっても、DCDを抑制することができると共に、ジッタを防止することができ、パルス幅の減少を防止することができる。
【0168】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第7実施形態に係る半導体記憶装置について説明した。しかしながら、以上の説明はあくまでも例示であり、具体的な構成、動作等は適宜調整可能である。
【0169】
例えば、
図18において、トランジスタM20,M30(又はトランジスタM2,M3,M20,M30)のゲート領域の幅の比率を“1”としていたが、その比率を“2”としても良い。この場合、ドレイン電流I
M20,I
M30が大きくなり、P側信号OUTP及びN側信号OUTNが急峻に立ち上がるようになる。尚、トランジスタM20,M30(又はトランジスタM2,M3,M20,M30)のフィンガー数を“1”としていたのを、“2”としても良い。この場合も、ドレイン電流I
M20,I
M30が大きくなり、P側信号OUTP及びN側信号OUTNが急峻に立ち上がるようになる。
【0170】
また、第2実施形態~第4実施形態及び第7実施形態に係るコンパレータ211A~211C,211Eに含まれるトランジスタのPMOS/NMOSを反転させても良い。
【0171】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0172】
MC…メモリセル、MCA…メモリセルアレイ、PC…周辺回路、211,211A,211B,211C,211D…コンパレータ、300,300A,300B,300C,300D…第1のアンプ、310…第2のアンプ、Z0,Z1…インピーダンス、M1,M2,M3,M10,M11,M20,M30,M41,M42,M51,M52,M53…トランジスタ。