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特開2024-60388ハウス用換気扇制御システムと、ハウス用換気扇制御の管理方法と、そのプログラム。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060388
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】ハウス用換気扇制御システムと、ハウス用換気扇制御の管理方法と、そのプログラム。
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A01G9/24 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167722
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100200621
【弁理士】
【氏名又は名称】堀部 峰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】土屋 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029PA03
2B029SF10
2B029TA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ビニールハウス内の空気移動を促し、空気の澱みとハウス内の温度ムラ(温度のバラツキ)をなくすことが可能なハウス栽培用空調管理システムを提供する。
【解決手段】ハウスの壁面(他方妻面)H2に、ハウスHの外へ空気を排出する大径の換気扇と、換気扇の対面の壁面(一方妻面)H1に、換気扇の運転に従動してシャッタプレートが開閉するシャッタ2と、ハウスH内に、それぞれの循環扇3を配置し、ハウスH内の温度管理を行うように構成されたハウスHにおいて、換気扇によりハウスH外へ空気を排出すると、一方妻面H1のシャッタ2から空気が流入することで、ハウスH内の植物の育成に最適な温度を保持可能とし、換気扇の回転速度を変更可能にするとともに、循環扇の風向、及び/又は、羽根車の回転速度を変更可能とし、回転速度の変更を、ハウスH内に、それぞれ設置されたセンサの信号を受け、制御部によって制御する構成とした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウスの壁面(他方妻面)に、前記ハウスの外へ空気を排出する大径の換気扇と、前記換気扇の対面の壁面(一方妻面)に、前記換気扇の運転に従動してシャッタプレートが開閉するシャッタと、又は前記ハウス周面壁面か、前記他方妻面に、ビニールを開閉する開閉装置を備える構成とし、
かつ前記ハウス内に、外気を導入可能とし、複数の循環扇を配置し、前記ハウス内の温度、及び/又は、湿度の管理を行うように構成された前記ハウスにおいて、
前記換気扇により前記ハウス外へ空気を排出すると、前記一方妻面の前記シャッタから空気が流入することによって、前記ハウス内の植物の育成に最適な、温度、及び/又は、湿度を保持可能とすることを意図し、
前記換気扇の回転速度を変更可能にするとともに、前記循環扇の風向、及び/又は、羽根車の回転速度を変更可能とし、
前記回転速度の変更を、前記ハウス内の各所に設置されたセンサの信号を受けた制御部によって制御する構成としたハウス用換気扇制御システム。
【請求項2】
前記ハウスに施設した複数の前記換気扇の制御は、
前記制御部の設定温度と、前記ハウス内の検知温度との温度差に応じ、前記換気扇の回転速度を変化させる構成とし、
前記回転速度を、1) 温度差が小さいときは遅く、2) 温度差が大きいときは速く、する制御を介し、
前記回転速度を、前記温度差に応じて段階的、及び/又は、無段階に可変する手段とする構成とした、請求項1に記載のハウス用換気扇制御システム。
【請求項3】
大径の前記換気扇を運転時において、前記ハウス内の大量の空気を排出するとともに、前記ハウス内に大量の外気が一度、及び/又は、瞬時に流入すると、前記ハウス内の一部に急激な温度低下となるエリアが発生した状況下において、前記検知温度と前記設定温度との差に応じた前記回転速度に到達するまでの時間を長くし、冷たい外気を少しずつ取り入れ、急激な温度低下となることを防ぐ構成とした、請求項1に記載のハウス用換気扇制御システム。
【請求項4】
連棟ハウスにおいて、前記ハウス内の棟方向に、温度ムラ、温度差が発生し、及び/又は、作物の生育ムラ、生育の良否の状態が発生することに鑑み、前記ハウス内の任意の場所(平面、高さ)に温度センサを複数個設置し、前記検知温度を捉え、前記ハウス内の温度のバラツキを明確にするとともに、複数個の前記換気扇の内で、前記検知温度が高い側の前記換気扇の前記回転速度を上げる手段、又は前記循環扇の風向や羽根の回転速度を変える手段を利用し、前記ハウス内の温度ムラをなくす構成とした、請求項1に記載のハウス用換気扇制御システム。
【請求項5】
前記ハウス内に任意に設置した、前記循環扇は、吸入側から排気用換気扇に向かって、前記ハウス内の空気を順送、又は前記各循環扇の風向、及び/又は、俯角、首振りを変更可能とし、前記ハウス内の任意の場所(平面、高さ)に前記温度センサを複数個設置し、前記温度センサの設置場所の前記検知温度を捉え、前記ハウス内の温度のバラツキを明確にするとともに、前記循環扇の方向、及び/又は、俯角を調整して温度の低い部分に向くようにし、前記循環扇からの送風で、前記ハウス内の空気を攪拌、又は前記ハウス内の温度ムラ、及び/又は、温度差をなくし、前記ハウス内の温度の均一化を図る構成とした、請求項1に記載のハウス用換気扇制御システム。
【請求項6】
ハウス用換気扇制御システムにおけるコンピューターは、
前記制御部に、前記シャッタ、及び/又は、前記循環扇、及び/又は、前記換気扇の吐出空気量と、吐出速度、及び/又は、回転速度のH3値を登録する登録ステップと、
前記ハウス内に設置した前記センサによる値の取り込みに基づく情報を含む環境情報と、前記設定値との比較結果に従って決定される制御指示内容を含む、制御設定を保持する保持ステップと、
前記保持ステップに基づき、前記シャッタ、及び/又は、前記循環扇、及び/又は、前記換気扇の前記吐出空気量と、前記吐出速度、及び/又は、前記回転速度の設定値を登録する、設定登録ステップと、
を実行する、ハウス用換気扇制御の管理方法。
【請求項7】
ハウス用換気扇制御システムにおけるコンピューターは、
前記制御部に、前記シャッタ、及び/又は、前記循環扇、及び/又は、前記換気扇の吐出空気量と、吐出速度、及び/又は、回転速度の前記設定値を登録する登録手段と、
前記ハウス内に設置した前記センサの出力値に基づく情報を含む環境情報と、前記初期設定値との比較結果に従って決定される制御指示内容を含む、制御設定を保持する設定保持手段と、
前記保持ステップに基づき、前記シャッタ、及び/又は、前記循環扇、及び/又は、前記換気扇の前記吐出空気量と、前記吐出速度、及び/又は、前記回転速度の設定値を登録する、設定登録手段と、
して機能させる、ハウス用換気扇制御の管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウス用換気扇制御システムと、ハウス用換気扇制御の管理方法と、そのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビニールハウス内の空気移動を促し、空気の澱みとハウス内の温度や、必要時、併せて湿度のムラを低減可能なハウス栽培用空調管理システムに関しては、次のような文献が見当たる。
【0003】
先ず、文献(1)は、特許第6667788号の発明の「ハウス栽培空調管理システム」である。この発明は、ビニールハウス後方壁近傍の中央部に送風機を設け、吸引口側を地面近傍に立ち下げ、吐出口側は略T字型継手の下端口に接続し、略T字型継手の水平方向の両端口を左右の送風管を繋ぐとともに、略T字型継手を円弧状に回転自在にし、送風管をビニールハウス後方壁近傍に立ち下げ、ビニールハウスの長手面両下端に敷設した吐出管にそれぞれ接続し、吐出管の対向面には適宜な間隔に、複数個の略コの字型で開閉自在な調整窓を設けた構造である。
【0004】
また、文献(2)は、特許第6438167号の発明の「植物栽培温室」である。この発明は、ビニールハウス内は、天井側の上部室と栽培室側の下部室の上下2室に区画し、下部室の側面に下部室の内外を連通させる通気部を設け、上部室にハウス外に排出する排気ファンを、下部室に通気部と連通する空所を隔て、囲い材を設置し、囲い材における下部室の側面に防虫ネットを張設し、空所に、細霧冷房装置を設け、上部室内の空気を排気ファンで強制排気しながら細霧冷房装置を作動させ、外気が囲い材、及び防虫ネットを通して空所内に導入し、導入外気を、空所内では細霧冷房装置により細霧冷房し、細霧冷房された空気は、下部室の通気部→下部室に入り→下部室内を冷房する構成である。
【0005】
更に、文献(3)は、実公昭46-28029号の考案は、1台の換気扇で室内空気の排出室外力空気の吸入、及び室内空気を循環せしめて温度を均一にすることを意図した多用途換気扇の構成である。
【0006】
文献(4)は、実公昭56-7786号の考案は、一方の妻面に設けたシャッタ(自動開閉吸気具)と、他方の妻面に設けた排気具とを介して、室内温度を強制循環により調整する構成である。
【0007】
文献(5)は、特許第5008961号の発明は、一方の妻面に設けたインレットシャッタと、他方の妻面に設けた排気用ファン、及び室内ファン・循環扇を介して、室内空気の換気・循環を図る構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6667788号公報
【特許文献2】特許第6438167号公報
【特許文献3】実公昭46-28029号公報
【特許文献4】実公昭56-7786号公報
【特許文献5】特許第5008961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
もともと、ハウスは冬場の寒さによって栽培が不可能な農作物の栽培を可能なものにするために、外部からの流入が少ない密閉された構造になっている。
【0010】
このような構造によって、悪天候から作物を守ることが出来て、害虫の流入が少なく、農薬の使用量が少なくなり、農薬及び農薬散布にかかるコストを低減できる。
【0011】
ハウス内の気温が栽培に適する温度を超えると、換気扇によって、換気を行い、より栽培に適した温度、湿度にすると共に、光合成に必要な二酸化炭素を得ることが行われている。適度な温度・湿度で養分を吸収し、かつ光合成をして作物は生長していく。近時、ハウスの窓を開ける、及び/又は、裾部分を上げて換気する自然換気では時間がかかるため、換気扇を使用する強制換気が行われている。
【0012】
強制換気を効率よく行うために、殆どのハウスで、一方の妻面に大型の換気扇を配置し、他方の妻面にシャッタを配置する構成となっている。
【0013】
ハウス内の温度を均一化するため、ハウス内に循環扇が多数配置されているが、大型の換気扇から一定の方向に外気が大量に流入すると、ハウス内に温度ムラ(温度のバラツキ)が発生し、換気する以前の状態になるまでに時間がかかるという問題と、更には、換気扇の近傍位置に栽培されている作物が、この流入する大量の外気によって低温障害を受ける問題も発生している。
【0014】
文献(1)と文献(2)においては、ハウス内空気の冷却と、冷却空気を利用し、室内の冷却か、冷房を図ることを主眼とする。従って、本発明が意図する「温度センサ、湿度センサ、必要により、CO2濃度センサによる計測を介して、それぞれの検知温度、計測湿度、必要により、計測CO2濃度を捉え、この温度、湿度、必要により、CO2濃度(以下、温湿度、必要により、CО2濃度と簡略化することも有り得る。)のデータを基準とし、ハウスに設置したインレットシャッタ、循環扇、及び換気扇を制御し、ハウス内の温湿度、必要により、CO2濃度を、維持管理する構造」とは異なり、更なる改良の余地がある。また、文献(3)においては、1台の換気扇で室内空気の排出、及び室外空気の吸入、及び室内空気を循環せしめて温度を均一にする多用途換気扇の考案である。
【0015】
また、文献(4)と文献(5)においては、室内・建屋の室内空気の循環と換気等を図る構成であって、前述した文献(1)~文献(3)と同じように、改良の余地が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記に鑑み、本発明は、ハウス内の温度等の均一化と、ハウスに設置したシャッタ、循環扇、及び換気扇の吸込空気量と吸込速度の制御等を図り、作物の生育障害(風害)防止と、生育の均一化を図る。また、ハウス内の温湿度、CO2濃度のデータを基準とし、シャッタ、循環扇、及び換気扇を制御する構造を提供し、ハウス内の温湿度、必要により、CО2濃度を、維持管理し、ハウスの省エネ効果(換気扇の稼働の適切化による省エネ効果)、また、作物の生育促進(例えば、飽差の均一化による)を図ること、を目的に、請求項1-7を提供する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に於いては、
ハウスの壁面(他方妻面)に、前記ハウスの外へ空気を排出する大径の換気扇と、前記換気扇の対面の壁面(一方妻面)に、前記換気扇の運転に従動してシャッタプレートが開閉するシャッタと、又は前記ハウス周面壁面か、前記他方妻面に、ビニールを開閉する開閉装置を備える構成とし、
かつ前記ハウス内に、外気を導入可能とし、複数の循環扇を配置し、前記ハウス内の温度、及び/又は、湿度の管理を行うように構成された前記ハウスにおいて、
前記換気扇により前記ハウス外へ空気を排出すると、前記一方妻面の前記シャッタから空気が流入することによって、前記ハウス内の植物の育成に最適な、温度、及び/又は、湿度を保持可能とすることを意図し、
前記換気扇の回転速度を変更可能にするとともに、前記循環扇の風向、及び/又は、羽根車の回転速度を変更可能とし、
前記回転速度の変更を、前記ハウス内の各所に設置されたセンサの信号を受けた制御部によって制御する構成としたハウス用換気扇制御システムがよい。
【0018】
請求項2に於いては、
前記ハウスに施設した複数の前記換気扇の制御は、
前記制御部の設定温度と、前記ハウス内の検知温度との温度差に応じ、前記換気扇の回転速度を変化させる構成とし、
前記回転速度を、1) 温度差が小さいときは遅く、2) 温度差が大きいときは速く、する制御を介し、
前記回転速度を、前記温度差に応じて段階的、及び/又は、無段階等に可変する手段とする構成とした、請求項1に記載のハウス用換気扇制御システムがよい。
【0019】
請求項3に於いて、
大径の前記換気扇を運転時において、前記ハウス内の大量の空気を排出するとともに、前記ハウス内に大量の外気が一度、及び/又は、瞬時に流入すると、前記ハウス内の一部に急激な温度低下となるエリアが発生した状況下において、前記検知温度と前記設定温度との差に応じた前記回転速度に到達するまでの時間を長くし、冷たい外気を少しずつ取り入れ、急激な温度低下となることを防ぐ構成とした、ハウス用換気扇制御システムがよい。
【0020】
請求項4に於いては、
連棟ハウスにおいて、前記ハウス内の棟方向に、温度ムラ(温度のバラツキ等を含む)、温度差が発生し、及び/又は、作物の生育ムラ、生育の良否の状態が発生することに鑑み、前記ハウス内の任意の場所(平面、高さ)に温度センサを複数個設置し、前記検知温度を捉え、前記ハウス内の温度のバラツキを明確にするとともに、複数個の前記換気扇の内で、前記検知温度が高い側の換気扇の前記回転速度を上げる手段、又は前記循環扇の風向や羽根の回転速度を変える手段を利用し、前記ハウス内の温度ムラをなくす構成とした、ハウス用換気扇制御システムがよい。
【0021】
請求項5に於いては、
前記ハウス内に任意に設置した、前記循環扇は、吸入側から排気用換気扇に向かって、前記ハウス内の空気を順送、又は前記各循環扇の風向、及び/又は、俯角、首振りを変更可能とし、前記ハウス内の任意の場所(平面、高さ)に前記温度センサを複数個設置し、前記温度センサの設置場所の前記検知温度を捉え、前記ハウス内の温度のバラツキを明確にするとともに、前記循環扇の方向、及び/又は、俯角を調整して温度の低い部分に向くようにし、前記循環扇からの送風で、前記ハウス内の空気を攪拌、又は前記ハウス内の温度ムラ、及び/又は、温度差をなくし、前記ハウス内の温度の均一化を図る構成とした、ハウス用換気扇制御システムがよい。
【0022】
請求項6に於いては、
ハウス用換気扇制御システムにおけるコンピューターは、
前記制御部に、前記シャッタ、及び/又は、前記循環扇、及び/又は、前記換気扇の吐出空気量と、吐出速度、及び/又は、回転速度の初期設定値を登録する登録ステップと、
前記ハウス内に設置した前記センサによる値の取り込みに基づく情報を含む環境情報と、前記設定値との比較結果に従って決定される制御指示内容を含む、制御設定を保持する保持ステップと、
前記保持ステップに基づき、前記シャッタ、及び/又は、前記循環扇、及び/又は、前記換気扇の前記吐出空気量と、前記吐出速度、及び/又は、前記回転速度の設定値を登録する、設定登録ステップと、
を実行する、ハウス用換気扇制御の管理方法がよい。
【0023】
請求項7に於いては、
ハウス用換気扇制御システムにおけるコンピューターは、
前記制御部に、前記シャッタ、及び/又は、前記循環扇、及び/又は、前記換気扇の吐出空気量と、吐出速度、及び/又は、回転速度の前記設定値を登録する登録手段と、
前記ハウス内に設置した前記センサの出力値に基づく情報を含む環境情報と、前記初期設定値との比較結果に従って決定される制御指示内容を含む、制御設定を保持する設定保持手段と、
前記保持ステップに基づき、前記シャッタ、及び/又は、前記循環扇、及び/又は、前記換気扇の前記吐出空気量と、前記吐出速度、及び/又は、前記回転速度の設定値を登録する、設定登録手段と、
して機能させる、ハウス用換気扇制御の管理プログラムがよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ハウスの排気側妻面(一方妻面等の壁面)に付設した換気扇とシャッタ(シャッタプレート)の一例を示す斜視図
図2】(イ)~(ニ)は循環扇の動きを説明する斜視図であり、(イ)は首振り・方向駆動部と、俯角・仰角駆動部を、(ロ)は吐出方向を、(ハ)は俯角・仰角を、(ニ)は首振り範囲を、それぞれ示す斜視図。
図3】換気扇・シャッタ「吸気側妻面(他方妻面等の壁面)」・循環扇等の設置例を示した俯瞰図
図4】ハウス内におけるセンサ配置例を示した俯瞰図
図5】センサと換気扇、循環扇等の構成を示したブロック図
図6】温度センサと循環扇等を示した構成図
図7】センサとシャッタ・換気扇の構成を示した模式図
図8】換気扇の動作を示すフローチャート
図9】換気扇の回転速度と温度との関係を示すグラフ
図10】循環扇の首振り方向変更例を示した平面図
図11】大量の冷たい外気の流入による弊害を示した模式図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい、各実施例を説明する。
【0026】
図1図3における、ハウスH(H-n)の排気側妻面H2(他方妻面等の壁面)に付設した換気扇1(1-n)とシャッタ2(2-n)(シャッタプレート200)の一例を示す斜視図であり、換気扇1は羽根車100、ガード101、及びモータ102等を備える。また、シャッタ2は、複数枚のシャッタプレート200(200-n)とシャッタ枠201(201-n)を備える。
【0027】
そして、図3図4図7等の如く、排気側妻面H2には、換気扇1が二基(一例である)、併設する構造であり、それぞれ羽根車100を備え、換気扇1の各回転速度は、後述する複数センサ5…5-n(以後、センサ5とする)と、1つ以上の制御部6を介して、個別に制御される。
【0028】
また、吸気側妻面H1には、シャッタ2が二基(一例である)、併設する構造であり、それぞれシャッタプレート200…(以後、シャッタプレート200とする)は、複数のセンサ5と複数の制御部6を介して、それぞれ個別に制御される。
【0029】
図2に於ける(イ)~(ニ)は循環扇3(3-n)の動きを説明する斜視図であり、(イ)は首振り・方向駆動部3-1と、俯角・仰角駆動部3-2を示している。そして、(ロ)は吐出方向3-3を示している。また、(ハ)は俯角・仰角3-4を示している。(ニ)は首振り範囲3-5を示している。
【0030】
図2に示した循環扇3の構成は、羽根車300と、ガード301、及びモータ302を備える。図2において、(イ)は首振り・方向駆動部3-1と、俯角・仰角駆動部3-2の構造は、ギヤ構造、リンク構造、又はチェーン等の物理的構造を採用する。そして、循環扇3の回転速度(運転時間・速度)変更は、例えば、制御部6の指令で制御する。循環扇3、風胴(図示せず)からハウスH内の内気を排気することで、ハウスH内の、少なくとも、温度ムラ、及び/又は、湿度ムラ等の解消を図る。
【0031】
図5に於いては、センサ5と換気扇1、循環扇3等の仕組みを示したブロック図であり、制御部6の指令で、換気扇1、循環扇3等をコントロールする構造である。
【0032】
また、図6に於いては、例えば、センサ5と循環扇3等の仕組みを示した構成図であり、各センサ5で検知した検知温度のデータを、制御部6に送る。この制御部6では、データの取り込み後、温度分布等を演算・解析し、循環扇3の首振り方向、回転速度、及び俯角等の計算を行う。この計算結果に基づき、制御部6は、循環扇3の位置調整、方向、俯角、及び回転速度等の指令を発する。例えば、センサ5により、温度の低い箇所を検知した場合には、この温度の低い箇所に向けて送風を行うように、循環扇3の(イ)首振り・方向駆動部3-1、俯角・仰角駆動部3-2を介して、(ロ)の吐出方向3-3とか、(ハ)の俯角・仰角3-4、又は(ニ)の首振り範囲3-5を制御しつつ、併せて換気扇1の回転速度(運転時間・速度)を変更する。
【0033】
図7は、センサ5とシャッタ2・換気扇1の構成を示す模式図である。センサ5-1とセンサ5-2の状態において、換気扇1-1の速度と換気扇1-2の速度の関係は、下記となる。
【0034】
イ) センサ5-1の温度>センサ5-2の温度のとき、換気扇1-1の速度>換気扇1-2の速度
ロ) センサ5-1の温度<センサ5-2の温度のとき、換気扇1-1の速度<換気扇1-2の速度
このイ)とロ)は、あくまで一例であり、各センサ5-3……5-nの検知温度(周囲の環境)を基として、変更される。
【0035】
図8に於いては、換気扇1の動作のフローチャートを示しており、センサ5-1等の検知温度が、設定温度に対して低い時には、(ST-1)の如く、検知温度が、設定温度に対して高い時には、(ST-2)の如く、検知温度と設定温度との差が大きい状況(ST-3)では、換気扇1の回転速度を速くする(ST-6)。そして、前記回転速度を速くした(ST-6)の後に、換気扇1の動作制御へ進む(ST-7)。一方、検知温度と設定温度との差が小さい状況(ST-4)では、換気扇1の回転速度を遅くする(ST-5)。これらの制御は、制御部6を介して実行する。
【0036】
図9は換気扇1の回転速度と設定温度との関係を示した図であり、例えば、設定温度差と、回転速度の関係は、検知温度と設定温度との差がある程度大きくなると、換気扇1の回転速度は、最高回転速度(設定値)で一定となることを示している。この回転速度は、0から最高回転速度を推移し、制御部6により、速やかな調整を図る。
【0037】
図10は循環扇3の方向変更例を示した平面図であり、循環扇3の首振り・方向駆動部3-1を利用した、吐出方向3-3の一例を示している。参考として、循環扇3の風向を矢印A方向で示している。図面では順列形態とするが、一例であり限定されない。この図10に於いては、矢印A方向で示している区域では、温度が低いエリアH3に向かって、この温度が低いエリアH3の温度を上げるために、この温度が低いエリアH3周辺等の循環扇3の吐出方向を変えることで、ハウスH内の暖気を、温度が低いエリアH3に向けて送風する。例えば、一例では、温度が高いエリアの空気、即ち、検知温度が高い側の空気を利用し、温度が低いエリアH3の温度を上げる。この温度が低いエリアH3の解消を図る。場合により、温度ムラ・湿度ムラの管理を含めて、作物の生育状況回復、及び/又は、生育障害回避を図ることも考えられる。つまり、例えば、循環扇3の図2(イ)-(ニ)に示した機構を利用し、ハウスH内の温度ムラ等を無くしつつ、併せて、図7に示した、換気扇1の速度制御により、温度が低いエリアH3の解消とか、温度ムラの解消を図る。
【0038】
図11は、大量の冷たい外気の流入による弊害を示した模式図であり、温度ムラを無くすか、図に於いて示したのが、外気の流入による温度が低いエリアH4であり、このような一例では、冷たい外気の流入の量と、流入時間を調整する。また、大量の外気が一度に又は、即座に吸入すると外気の流入による温度が低いエリアH4ができることがあるので、制御部6を操作して回避する。
【0039】
そして、本発明では、前述した図2図11で説明した各実施例を、効率的、かつ合理的に組み合わせて、最適な構成を作りつつ、外気、ハウスHの構成、及び/又は、作物の種類とか、地域の気候、等を効率的に組み合わせて、最適な育成を図る。
【0040】
以上は、ハウスH内の温度制御と取扱いに関して詳述したが、ハウスH内の湿度も同じ考えが採用できる。
【0041】
本発明は、構成、又は形態の広義の精神と範囲を逸脱せずに、様々な実施の構成・形態、及び、変形が可能とされるものである。また、前述の実施の形態は、この発明を、理解し易く、説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0042】
1、1-1…………1-n 換気扇
100 羽根車
101 ガード
102 モータ
2、2-1…………2-n シャッタ
200 シャッタプレート
201、201-1…………201-n シャッタ枠
3 循環扇
3a 吐出方向
3-1 首振り・方向駆動部
3-2 俯角・仰角駆動部
3-3 吐出方向
3-4 俯角・仰角
3-5 首振り範囲
300 羽根車
301 ガード
302 モータ
5、5-1、5-2…………5-n センサ
6 制御部
H、H-1…………H-n ハウス
H1 吸気側妻面(一方妻面)
H2 排気側妻面(他方妻面)
H3 温度が低いエリア
H4 外気の流入による温度が低いエリア
A 矢視
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11