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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060399
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】配電盤用端子導体
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/20 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
H02B1/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167740
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 祐佳
(72)【発明者】
【氏名】勝野 国治
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016DA10
5G016DA22
5G016DA54
(57)【要約】
【課題】配電盤における高圧ケーブルの現地での施工品質を保ちつつ、高圧ケーブルを容易に施工可能とする。
【解決手段】主回路導体に接続される第一導体と、ケーブルの端子に接続される第二導体と、前記第一導体に対する該第二導体の傾斜角度を調整可能に該第一導体と該第二導体とを連結する角度調整部と、を備え、該角度調整部による該傾斜角度の調整により、該第二導体に接続された該ケーブルの曲げ半径を調整する配電盤用端子導体。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主回路導体に接続される第一導体と、
ケーブルの端子に接続される第二導体と、
前記第一導体に対する該第二導体の傾斜角度を調整可能に該第一導体と該第二導体とを連結する角度調整部と、を備え、
該角度調整部による該傾斜角度の調整により、該第二導体に接続された該ケーブルの曲げ半径を調整する配電盤用端子導体。
【請求項2】
前記第一導体は、平板状に形成された第一板と、該第一板を厚さ方向に貫通する第一接続孔と、を備え、
前記第二導体は、平板状に形成された第二板と、該第二板を厚さ方向に貫通する第二接続孔と、を備え、
前記角度調整部は、前記第一板の縁に一体的に形成された第一軸筒と、前記第二板の縁に一体的に形成された第二軸筒と、前記第一軸筒及び該第二軸筒に挿通され側面にネジが切られた軸ボルトと、該軸ボルトのネジに螺合するナットと、を備える請求項1に記載の配電盤用端子導体。
【請求項3】
前記第一導体は、前記第一接続孔を複数備え、
前記第二導体は、前記第二接続孔を複数備える請求項2に記載の配電盤用端子導体。
【請求項4】
前記角度調整部は、前記第一板の縁に一体的に形成された第一軸筒、及び前記第二板の縁に一体的に形成された第二軸筒の少なくともいずれか一方が複数である請求項2に記載の配電盤用端子導体。
【請求項5】
前記第一導体は、湾曲を有する第一板と、該第一板を厚さ方向に貫通する第一接続孔と、該第一板を厚さ方向に貫通し該第一板の湾曲に沿って延在する長孔とを備え、
前記第二導体は、前記第一板の湾曲に密着して重なる湾曲を有し該第一板に対して摺動可能な第二板と、該第二板を厚さ方向に貫通する第二接続孔と、該第二板を厚さ方向に貫通し前記長孔に重ねられる第三接続孔とを備え、
前記角度調整部は、重ねられた状態の前記第一導体の長孔と前記第二導体の第三接続孔とに挿通する固定ボルトと、該固定ボルトに螺合するナットと、前記第一板の湾曲に沿った凸曲面を備え前記固定ボルトが挿通される凸型ワッシャと、前記第二板の湾曲に沿った凹曲面を備え前記固定ボルトが挿通される凹型ワッシャと、を備える請求項1に記載の配電盤用端子導体。
【請求項6】
前記第一導体は、前記第一接続孔及び前記長孔を複数備え、
前記第二導体は、前記第二接続孔及び前記第三接続孔を複数備える請求項5に記載の配電盤用端子導体。
【請求項7】
前記第一導体は、湾曲を有する第一板と、該第一板を厚さ方向に貫通する第一接続孔と、該第一板を厚さ方向に貫通する第三接続孔とを備え、
前記第二導体は、前記第一板の湾曲に密着して重なる湾曲を有し該第一板に対して摺動可能な第二板と、該第二板を厚さ方向に貫通する第二接続孔と、該第二板を厚さ方向に貫通し該第二板の湾曲に沿って延在する長孔とを備え、
前記角度調整部は、重ねられた状態の前記第二導体の長孔と前記第一導体の第三接続孔とに挿通する固定ボルトと、該固定ボルトに螺合するナットと、前記第一板の湾曲に沿った凸曲面を備え前記固定ボルトが挿通される凸型ワッシャと、前記第二板の湾曲に沿った凹曲面を備え前記固定ボルトが挿通される凹型ワッシャと、を備える請求項1に記載の配電盤用端子導体。
【請求項8】
前記第一導体は、前記第一接続孔及び前記第三接続孔を複数備え、
前記第二導体は、前記第二接続孔及び前記長孔を複数備える請求項7に記載の配電盤用端子導体。
【請求項9】
前記第一導体は、湾曲を有する第一板と、該第一板を厚さ方向に貫通する第一接続孔と、該第一板の湾曲の延在方向に所定の間隔を空けて配設され該第一板を厚さ方向に貫通する複数の第四接続孔とを備え、
前記第二導体は、前記第一板の湾曲に密着して重なる湾曲を有し該第一板に対して摺動可能な第二板と、該第二板を厚さ方向に貫通する第二接続孔と、該第二板を厚さ方向に貫通し前記第四接続孔に重ねられる第三接続孔とを備え、
前記角度調整部は、重ねられた状態の前記第一導体の第四接続孔と前記第二導体の第三接続孔とに挿通する固定ボルトと、該固定ボルトに螺合するナットと、前記第一板の湾曲に沿った凸曲面を備え前記固定ボルトが挿通される凸型ワッシャと、前記第二板の湾曲に沿った凹曲面を備え前記固定ボルトが挿通される凹型ワッシャと、を備える請求項1に記載の配電盤用端子導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、配電盤用端子導体に関する。
【背景技術】
【0002】
配電盤は、高圧ケーブルを介して上流又は下流の関連する配電盤に対して電力を供給している。配電盤は、母線から端子導体までの主回路を工場で製造している。そして、施工者が、現地において設置場所に配電盤を据え付けた後、高圧ケーブルを敷設する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6190957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高圧ケーブルは供給する電流に応じて太さが異なり、絶縁部を含めるとその直径が参考寸法として一相あたり17mm~45mmとなる。特に太い高圧ケーブルについては、自在に曲げることが難しく、高圧ケーブルの直径の例えば8倍から12倍の曲率半径が必要となる。また、高圧ケーブルの端末処理部は曲げストレスを与えてはいけない等の施工条件があることから、高圧ケーブルを接続するための端子導体は、高圧ケーブルの曲率を大きくとれるようにあらかじめ所定の角度を付けている。そして、端子導体は通常一定の角度で固定されたものを用いるため、現地施工時において、特に太い高圧ケーブルの接続には施工者の技能が必要となる場合がある。
【0005】
端子導体の角度を最適化すれば、施工者への負担や高圧ケーブルへの曲げストレスの低減が期待される。しかし、ケーブルサイズやケーブルの施工位置等は、配電盤の機種によって異なる。このため、これらの要素を全て考慮して端子導体の角度を最適化することは、工場製造時においては難しい。
【0006】
よって、配電盤における高圧ケーブルの現地での施工品質を保ちつつ、高圧ケーブルを容易に施工可能とするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る実施形態の配電盤用端子導体は、主回路導体に接続される第一導体と、ケーブルの端子に接続される第二導体と、前記第一導体に対する該第二導体の傾斜角度を調整可能に該第一導体と該第二導体とを連結する角度調整部と、を備え、該角度調整部による該傾斜角度の調整により、該第二導体に接続された該ケーブルの曲げ半径を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、配電盤用端子導体が配設された配電盤の一例を示す側面図である。
図2図2は、実施形態1の配電盤用端子導体の側面図である。
図3図3は、実施形態1の配電盤用端子導体の正面図である。
図4図4は、実施形態1の配電盤用端子導体の分解斜視図である。
図5図5は、実施形態2の配電盤用端子導体の正面図である。
図6図6は、実施形態2の配電盤用端子導体の変形例の正面図である。
図7図7は、実施形態1の配電盤用端子導体の動作を示す側面図である。
図8図8は、実施形態3の配電盤用端子導体の側面図である。
図9図9は、実施形態3の配電盤用端子導体の正面図である。
図10図10は、実施形態3の配電盤用端子導体の背面図である。
図11図11は、実施形態3の配電盤用端子導体の斜視図である。
図12図12は、実施形態3の配電盤用端子導体の分解斜視図である。
図13図13は、凸型ワッシャの断面図である。
図14図14は、凹型ワッシャの断面図である。
図15図15は、実施形態3の配電盤用端子導体の変形例の側面図である。
図16図16は、実施形態3の配電盤用端子導体の変形例の正面図である。
図17図17は、実施形態3の配電盤用端子導体の動作を示す側面図である。
図18図18は、実施形態4の配電盤用端子導体の分解斜視図である。
図19図19は、実施形態5の配電盤用端子導体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照して、本発明に係る実施形態1の配電盤用端子導体4が配設される配電盤1の構造について説明する。図1において側面図で示される配電盤1は、例えば、電気機器類が金属で閉鎖された筐体11に収納されている配電盤である。配電盤1は、規格により金属閉鎖型スイッチギヤ又はキュービクル式高圧受電設備とも呼称される。なお、配電盤1の構造は、図1に示す例に限定されるものではない。
【0010】
なお、以下の説明では、X軸Y軸Z軸直交座標系を用いる。X軸方向は、+X方向と-X方向とを含む。Y軸方向は、+Y方向と-Y方向とを含む。Z軸方向は、+Z方向(上方向)と-Z方向(下方向)とを含む。例えば、X軸Y軸平面は水平面であり、Z軸方向は鉛直方向(上下方向)である。
【0011】
配電盤1の背面側(+X方向側)には、ヒンジ等を介して開閉可能な盤扉110が配設されている。そして、筐体11内には、ケーブル室コンパートメントが形成されている。また、筐体11内の正面側(-X方向側)の空間は、遮断器室112となっており、例えば、隔壁113によって背面側に位置するケーブル室115と仕切られている。
【0012】
配電盤1は、母線12と、遮断器13と、を備えている。母線12は、配電設備において基幹となる電線(導体)である。また、遮断器13は、母線12と電気的に接続されている。母線12は、例えば、主母線120、及び電源母線121を含む。
【0013】
遮断器13は、母線12を含む電力回路で事故が発生した場合や電力回路のメンテナンスを行う場合等に、電力回路における電流を遮断するための機器である。遮断器13の一例は、高圧真空遮断器(VCB)である。
【0014】
遮断器室112は、隔壁によって、下部遮断器室、上部遮断器室と上下に区画されており、下部側遮断器室に遮断器13が1つ配設され、上側遮断器室にも遮断器13が1つ収容されている。なお、図1に示す配電盤1は、上記のように遮断器13を2台備えた例である。例えば、筐体11内の下側に配設された遮断器13は、迂回路となっており、故障時あるいはメンテナンス時に使用される。
【0015】
配電盤1は、図1に示すように、主回路導体2を備えている。主回路導体2は、一例として、バスバー等を備える負荷母線20と、負荷母線20に接続された巻線型の変流器(CT)21とを備えている。例えば、負荷母線20と遮断器13との接続部分には、隔壁113を貫通するブッシング132が設けられている。なお、主回路導体2の構成は、図1に示す例に限定されるものではない。
【0016】
図1に示す高圧ケーブル3A、及び高圧ケーブル3Bは上流と下流の配電盤同士を接続するために使用される。高圧ケーブル3A、3Bは、例えばCVケーブル等である。図1に示す例では、配電盤1には2本の高圧ケーブル3A、3Bが、筐体11の下部側(-Z方向側)から引き込まれている。高圧ケーブル3Aと高圧ケーブル3Bとは略同一のケーブルである。なお、高圧ケーブル3Aと高圧ケーブル3Bの太さが異なっている場合もある。高圧ケーブル3A、3Bのそれぞれの一端側30は、筐体11の外部において各負荷へと接続される。筐体11の下部側には、高圧ケーブル3A、3Bを筐体11内部に引き込み可能とするケーブル配設口114が形成されている。
【0017】
また、高圧ケーブル3A、3Bの他端側31は、本実施形態1の配電盤用端子導体4を介して主回路導体2を構成する変流器21にそれぞれ接続されている。高圧ケーブル3A、3Bは、ブラケット117によって筐体11の図示しない内壁面に取り付けられており、それぞれの一部が下方から上方に延在している。高圧ケーブル3A、3Bの他端側31には、ケーブル端子32が配設されている。
【0018】
(実施形態1の配電盤用端子導体)
図2図3、及び図4に示す実施形態1の配電盤用端子導体4は、ヒンジ型の角度可変導体である。図2は、配電盤用端子導体4の側面図であり、図3は配電盤用端子導体4の正面図であり、図4は、配電盤用端子導体4の分解斜視図である。実施形態1の配電盤用端子導体4は、本例においては図1に示す主回路導体2の変流器21に接続される第一導体41と、例えば高圧ケーブル3Aのケーブル端子32に接続される第二導体42と、第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度を調整可能に第一導体41と第二導体42とを連結する角度調整部43と、を備えている。
【0019】
第一導体41は、例えば、平板状に形成された第一板411と、第一板411を厚さ方向に貫通する第一接続孔412と、を備え、第二導体42は、平板状に形成された第二板422と、第二板422を厚さ方向に貫通する第二接続孔423と、を備え、角度調整部43は、第一板411の縁に一体的に形成された第一軸筒431と、第二板422の縁に一体的に形成された第二軸筒432と、第一軸筒431及び第二軸筒432に挿通され側面にネジ433aが切られた軸ボルト433と、軸ボルト433のネジ433aに螺合するナット434と、を備える。
【0020】
銅板等の金属板である第一板411は、例えば図3図4に示すように正面視矩形状に形成されている。第一板411の上側の領域に、丸穴の第一接続孔412が貫通形成されている。そして、第一板411の下側縁に、例えば銅等の金属からなる角度調整部43の第一軸筒431が一体的に形成されている。略円筒状の第一軸筒431は、例えば、第一板411のY軸方向における長さ(横幅)の約半分の長さで延在している。
【0021】
銅板等である第二板422は、例えば正面視矩形状に形成されており、第二板422の上側の領域と下側の領域とに丸穴の第二接続孔423が一つずつ貫通形成されている。即ち、2つの第二接続孔423は、第二板422に縦一列の並びで貫通形成されている。そして、第二板422の上側縁に、角度調整部43の第二軸筒432が一体的に形成されている。略円筒状の第二軸筒432は、例えば、第二板422のY軸方向における長さ(横幅)の約半分の長さで延在している。
【0022】
第一軸筒431の内側(+Y方向側)の端面は例えば平滑面に形成された接触面431aとなる。また、第二軸筒432の内側(-Y方向側)の端面も例えば平滑面に形成され上記接触面431aに密着する接触面432bとなる。
【0023】
図3図4に示す軸ボルト433は、例えば、六角柱状の頭部433bと、頭部433bに一体的に接続され側面にネジ433aが切られた軸部433cとを備えている。例えば、軸部433cには、円形の平座金433dが挿通されている。図3図4に示すナット434は、例えば、ばね座金434bと円形の平座金434aとが付属した六角ナットであるが、これに限定されるものではない。
【0024】
図4に示す第一軸筒431の接触面431aと第二軸筒432の接触面432bとを接触させるとともに、互いの筒孔を重ね合わせた状態で、平座金433dを取り付けた軸ボルト433を重ねられた該2つの筒孔に挿通させる。そして、軸ボルト433の第二軸筒432から突出した部分のネジ433aにナット434を螺合することで、実施形態1の図2図3に示す配電盤用端子導体4を形成する。
【0025】
図2に示すように、配電盤用端子導体4は、例えば、第一導体41の表面と第二導体42の表面とが接触する際の傾斜角度を約0度とした場合に、該0度から第一導体41の裏面と第二導体42の裏面とが接触する際の傾斜角度である約360度までの間で、角度調整部43によって第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度θを調整可能である。
【0026】
(実施形態2の配電盤用端子導体)
図5は、実施形態2の配電盤用端子導体4Aである。配電盤用端子導体4Aは、図2図4に示す実施形態1の配電盤用端子導体4の構成の一部を変更したものであり、配電盤用端子導体4と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0027】
実施形態2の配電盤用端子導体4Aの角度調整部43Aは、一例として、第一板411の下側の縁に一体的に形成された2つの第一軸筒435を有している。第一軸筒435と第一軸筒435とのY軸方向における間には、所定の間隔が空けられている。略円筒状の第一軸筒435は、例えば、第一板411のY軸方向における長さ(横幅)の約1/3の長さで延在している。
【0028】
また、第二板422の上側縁の中間部分に、角度調整部43Aを構成する第二軸筒436が一体的に形成されている。略円筒状の第二軸筒436は、例えば、第二板422のY軸方向における横幅の約1/3の長さで延在している。そして、第二軸筒436は、上記2つの第一軸筒435の間に挟まれるように位置づけされる。各第一軸筒435のY軸方向における内側の端面は、例えば平滑面に形成された接触面435aとなる。また、第二軸筒436のY軸方向における両側の端面も平滑面に形成され接触面435aに密着する接触面436bとなる。そして、第二軸筒436及び2つの第一軸筒435のそれぞれの筒孔を重ね合わせた状態で、平座金433dを取り付けた軸ボルト433を重ねられた該3つの筒孔に挿通させる。そして、+Y方向側の第一軸筒435から突出した軸ボルト433のネジ433aに、ナット434を締結することで、図5に示す実施形態2の配電盤用端子導体4Aを形成する。
【0029】
図6は、実施形態2の配電盤用端子導体4Aの変形例についての正面図である。図6に示す配電盤用端子導体4Aの変形例では、第一板411は幅方向(Y軸方向)に所定間隔を空けて、2つの第一接続孔412が厚さ方向に貫通形成されている。また、第二板422の上側の領域と下側の領域とに第二接続孔423が2つずつ、計4つ貫通形成されている。即ち、図6に示す変形例において、第二接続孔423は、第二板422に縦二列に並ぶように貫通形成されている。なお、実施形態1の配電盤用端子導体4、実施形態2の配電盤用端子導体4A及びその変形例は、上記の構成に限定されず、高圧ケーブル3A、3Bのケーブル端子32の形状等に合わせて、上記の構成を適宜変更可能である。
【0030】
図2図4に示す実施形態1の配電盤用端子導体4の、図1に示す配電盤1における配設、動作、及び効果について以下に説明する。一例として、図1に示す筐体11内で上側(+Z方向側)に位置する主回路導体2を構成する変流器21と高圧ケーブル3Aとの、配電盤用端子導体4を介した接続について説明する。
【0031】
図1図7に示す主回路導体2を構成する変流器21は、例えば、本体部210と、本体部210に接続された取り付け足211と、本体部210から上下にそれぞれ延在する2枚の端子板212と、を備えている。取り付け足211は、筐体11内の図示しない隔壁にボルト固定等されており、図1に示すように2つの変流器21はZ軸方向(上下方向)に所定間隔を空けて位置づけられている。変流器21は、例えば、定格電流の低い一次側を図示しない鉄心に巻回して巻線とすると共に巻線の両端を一次端子である端子板212に接続し、二次側を鉄心の他の部分に巻回すると共にその両端を図示しない二次端子に接続したものである。図7に拡大して示す端子板212は、厚さ方向に図示しない貫通孔が1つまたは複数貫通形成されている。なお、変流器21の構成は図1図7に示す例に限定されるものではない。
【0032】
図1に示す変流器21の+Z方向(上方向)に延在する端子板212は、負荷母線20と接続されている。また、図1、及び図7に示す変流器21の-Z方向(下方向)に延在する端子板212は、配電盤用端子導体4の第一導体41と接続されている。即ち、図7に示すように、変流器21の下方向に延在する端子板212に形成された図示しない貫通孔と、第一導体41の第一接続孔412(図3参照)とを重ね合わせた状態で、固定ボルト217を図示しない貫通孔と第一接続孔412とに挿通させて、固定ボルト217に固定ナット218を締結させている。そして、配電盤用端子導体4の第一導体41は、図1図7に示す例においては、-Z方向に沿って延在した状態で変流器21に対して固定された状態となっている。
【0033】
図7に示すように、高圧ケーブル3Aの他端側31は、ケーブル端子32を備えている。金属製のケーブル端子32の一例としては圧着端子であるが、これに限定されない。ケーブル端子32は、高圧ケーブル3Aのケーブル本体300に接続された管部321と、管部321に一体的に形成された平板状の連結板322とを備えており、連結板322には厚さ方向に図示しない貫通孔が貫通形成されている。なお、図1図7に示す高圧ケーブル3Aと、図1に示す高圧ケーブル3Bとは略同様の構造を備えている。
【0034】
図1、及び図7に示すように、配電盤用端子導体4の第二導体42は、高圧ケーブル3Aの他端側31と接続されている。図7において、実線で示す第二導体42の第一導体41に対する傾斜角度θ1は、例えば、施工現場において所望の鈍角に施工者によって予め調整されている。即ち、傾斜角度θ1は、高圧ケーブル3Aを配電盤1に配設する際に、図1に示す筐体11の例えば下部側から高圧ケーブル3Aを筐体11内部に引き込む場合において、施工者が配電盤1の種類、高圧ケーブル3Aの種類、及び高圧ケーブル3Aを曲げストレスをあまりかけないように曲げるための曲げ半径等を考慮して、施工者が好適と考える任意の角度等である。
【0035】
角度調整部43で第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度を調整する場合には、図3に示すナット434をネジ433aから緩ませ、軸ボルト433を軸に第二導体42を回転可能とする。そして、第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度を所望の角度(例えば、図7に示す傾斜角度θ1)に調整した後に、再び、ナット434をネジ433aにしっかりと締結させて、第一導体41に対して第二導体42が回転してしまわないようにする。
【0036】
図1に示す筐体11内に下部側から引き込まれた高圧ケーブル3Aは、変流器21側(-X方向側)に向かって曲げられる。そして、図7に示すように、第二導体42の2つの第二接続孔423(図3参照)の例えばいずれか一方と、筐体11内に下部側から引き込んだ高圧ケーブル3Aのケーブル端子32の連結板322の貫通孔とを重ね合わせた状態で、ワッシャ付きの連結ボルト325を図示しない該貫通孔と第二接続孔423とに挿通させて、連結ボルト325に連結ナット326を締結させることで、第二導体42が高圧ケーブル3Aと接続される。これによって、高圧ケーブル3Aと主回路導体2とが、配電盤用端子導体4を介して電気的に接続された状態になる。
【0037】
また、図3に示す第一軸筒431の接触面431aと第二軸筒432の接触面432bとが接触しているため、第一導体41と第二導体42との間の接触抵抗を低減する一定の接触面積及び一定の接触圧力を維持可能となっている。さらに、主回路導体2に配電盤用端子導体4を介して接続された高圧ケーブル3Aの図1に示す曲げられた箇所36も、曲げストレスがあまりかからない曲げ半径に調整された状態を維持できる。
【0038】
なお、施工者が高圧ケーブル3Aを筐体11内部に下部側から引き込み、第二導体42に対して高圧ケーブル3Aを接続した後に、第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度を、施工者が好適と考える傾斜角度に角度調整部43によって調整することで、高圧ケーブル3Aの曲げられた箇所36を曲げストレスがあまりかからない曲げ半径に調整してもよい。
【0039】
例えば、配電盤1の構造、配電盤1の設置場所、又は高圧ケーブル3Aの種類等によっては、図1に示すように高圧ケーブル3Aを筐体11の下部側から筐体11の内部に引き込むのではなく、筐体11の上部側から高圧ケーブル3Aを筐体11の内部に引き込み変流器21に接続する方が好適な場合がある。この場合においても、施工者が、図7において二点鎖線で示す第二導体42の第一導体41に対する傾斜角度を、所望の好適な傾斜角度θ2とすることで柔軟に対応できる。二点鎖線で示す第二導体42は、実線で示す第二導体42の移動後を示している。
【0040】
図7に示す傾斜角度θ2は、図1に示す筐体11の上部側(+Z方向側)から高圧ケーブル3Aを筐体11内部に引き込んで配電盤1に配設する際に、施工者が高圧ケーブル3Aの種類、及び高圧ケーブル3Aを曲げストレスをあまりかけずに曲げた際の曲げ半径等を考慮して、施工者が好適と考える任意の角度であり、図7においては例えば鋭角となっている。
【0041】
上記のように、角度調整部43によって第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度を傾斜角度θ2に調整した後に、施工者は、図1に示す筐体11の上部側の図示しないケーブル配設口から高圧ケーブル3Aを筐体11の内部に引き込み、高圧ケーブル3Aの曲げられた箇所を曲げストレスをあまりかからない曲げ半径に調整した状態で、高圧ケーブル3Aと主回路導体2とを配電盤用端子導体4を介して接続できる。なお、上部側から筐体11内部に引き込んだ高圧ケーブル3Aと第二導体42とを接続した後に、角度調整部43によって第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度を例えば傾斜角度θ1から傾斜角度θ2に調整して、高圧ケーブル3Aの曲げ半径を調整してもよい。
【0042】
なお、図1に示す高圧ケーブル3Bも、高圧ケーブル3Aと略同様に配電盤用端子導体4を介して、筐体11内部の下部側に配設された主回路導体2に接続可能であるため、説明は省略する。
【0043】
例えば、高圧ケーブル3Aを筐体11内部に上部側から引き込み、第二導体42に高圧ケーブル3Aを接続した後に、施工者が好適と考える傾斜角度となるように、第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度を角度調整部43によって調整し、高圧ケーブル3Aの曲げられた箇所36(図1参照)を好適な曲げ半径に調整する際に、施工者が誤って第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度θ2を図7に示すよりも過度に鋭角にしすぎることがあり得る。そして、この場合には、第二導体42を変流器21の例えば本体部210の図7に示す出張部219等に接触させてしまうことで、第二導体42と変流器21との間で短絡(ショート)が発生してしまうおそれがある。出張部219は、第一導体41と端子板212との接続箇所よりも、さらに第二導体42が近づいてくる側(図7においては+X方向側)に位置する。なお、過度に鋭角にしすぎた第二導体42との間に短絡が発生しうる対象は、変流器21の本体部210の出張部219に限定されない。本例においては、主回路導体2を構成する変流器21と配電盤用端子導体4の第一導体41とが接続されているが、主回路導体2の他の構成要素と配電盤用端子導体4の第一導体41とが仮に接続されている場合に、該他の構成要素が、図7に示す変流器21の出張部219のような第一導体41との接続箇所よりも第二導体42が近づいてくる側(図7においては+X方向側)に位置する突起や出張部等を備えている場合には、該他の構成要素と過度に鋭角にし過ぎた第二導体42との間でも不本意な接触による短絡が起こりうる。
【0044】
このような事態を発生させないように、例えば、配電盤用端子導体4は、第二導体42に脱着可能な短絡防止具を備えていてもよい。短絡防止具としては、例えば、第二導体42の表面に取り付け可能なゴム等の絶縁体を柱状又はブロック状に形成したものが挙げられる。施工者が誤って第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度θ2を図7に示すよりもさらに鋭角しすぎた場合に、該短絡防止具がストッパとして第二導体42よりも先に変流器21の本体部210に接触することで、上記短絡が発生することを防止できる。または、例えば、第二導体42に形成された複数の第二接続孔423に対するケーブル端子32の接続位置を調整することで、第二導体42の一端からケーブル端子32までの長さを例えば短くして、施工者が誤って第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度θ2を図7に示すよりもさらに鋭角しすぎたとしても、変流器21にケーブル端子32が接触しないようにしてもよい。
【0045】
例えば、図3図4に示す角度調整部43の第一軸筒431又は第二軸筒432のY軸方向において外側を向く端面には、第一導体41に対する第二導体42の傾斜角度を示し施工者が読み取り可能な目盛りが形成されていてもよい。
【0046】
例えば、図1、及び図7において、実施形態1の配電盤用端子導体4に代えて、図5に示す実施形態2の配電盤用端子導体4Aを用いてもよい。実施形態2の配電盤用端子導体4Aを介した主回路導体2と高圧ケーブル3Aとの接続は、配電盤用端子導体4を用いた場合と略同同様に行うことができる。そして、主回路導体2に配電盤用端子導体4Aを介して接続された高圧ケーブル3Aの曲げられる箇所も、曲げストレスがあまりかからない曲げ半径に調整できる。さらに、配電盤用端子導体4Aにおいて、第二板422に一体的に形成された角度調整部43の第二軸筒436は、第一板411に配設された2つの第一軸筒435の間に挟まれるように位置づけされており、第一軸筒435の2つの接触面435aが第二軸筒436の接触面436bに当接した状態となっている。したがって、第一導体41と第二導体42との間の接触面積を、図2図4に示す実施形態1の配電盤用端子導体4よりも増やすことが可能となっているため、第一導体41と第二導体42との間の接触抵抗をさらに低減させることが可能となる。したがって、配電盤用端子導体4Aを用いることで、より多くの電流を主回路導体2、配電盤用端子導体4A、及び高圧ケーブル3Aに流すことができる。
【0047】
例えば、図1、及び図7において、実施形態1の配電盤用端子導体4に代えて、実施形態2の配電盤用端子導体4Aの図6に示す変形例を用いてもよい。図6に示す実施形態2の配電盤用端子導体4Aの変形例は、第二板422に第二接続孔423が縦二列の並びで貫通形成されており、第二接続孔423をより多く有することで、より多くの種類の高圧ケーブルのケーブル端子との接続が可能となっており、汎用性が増す。
【0048】
例えば、図5、又は図6に示す角度調整部43Aは、第一板411の下側の縁に一体的に形成された1つの第一軸筒435と、第二板422の上側縁に一体的に形成された2つの第二軸筒436とを備えていてもよい。または、角度調整部43Aは、上記のように、第一板411の縁に一体的に形成された第一軸筒435、及び第二板422の縁に一体的に形成された第二軸筒436の少なくともいずれか一方が複数であり、例えば、第一板411の縁に3つの第一軸筒435を一体的に備え、かつ、第二板422の縁に2つの第二軸筒436を一体的に備えていてもよい。即ち、第一導体41と第二導体42との間の接触面積がさらに必要となる場合には、第一軸筒435及び第二軸筒436の数を、角度調整部43Aの全体的な強度とのバランスを考慮しつつさらに増やしてもよい。
【0049】
(実施形態3の配電盤用端子導体)
図1に示す配電盤1には、図8乃至図12を用いて以下に説明する実施形態3の配電盤用端子導体5が配設されてもよい。図8は、実施形態3の配電盤用端子導体5の側面図である。図9は、配電盤用端子導体5の正面図である。図10は、配電盤用端子導体5の背面図である。図11は、配電盤用端子導体5の斜視図である。図12は、配電盤用端子導体5の分解斜視図である。
【0050】
実施形態3の配電盤用端子導体5は、本例においては主回路導体2の変流器21(図1参照)に接続される第一導体51と、高圧ケーブル3Aのケーブル端子32に接続される第二導体52と、第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度を調整可能に第一導体51と第二導体52とを連結する角度調整部53と、を備えている。
【0051】
図8図11図12に示すように、第一導体51は、湾曲板状に形成された第一板511を備えている。銅板等の金属板である第一板511は、例えば、その上端から延在方向の略中間部分までが略扁平な平板部511bとなっており、該中間部分から延在方向の下端までが側面視略円弧状の湾曲部511aとなっている。平板部511bの上側の領域に、丸穴の第一接続孔512が厚さ方向に貫通形成されている。
【0052】
図9図11、及び図12に示すように、第一板511は、延在方向における中間部分から下部側にかけて、第一板511を厚さ方向に貫通し第一板511の湾曲に沿って延在する長孔513が形成されている。
【0053】
第二導体52は、第一板511の湾曲部511aに密着して重なり第一板511に対して延在方向に沿って摺動可能な湾曲板状に形成された第二板522を備えている。銅板等である第二板522は、その上部側が湾曲した湾曲部522bとなっており、延在方向における略中間部分から下端にかけては略扁平な平板部522cとなっている。そして、平板部522cには、第二板522を厚さ方向に貫通する第二接続孔523が形成されている。図9乃至図12に示す例において、例えば丸穴である第二接続孔523は、第二板522の延在方向において間隔を空けて2つ形成されている。即ち、2つの第二接続孔523は、第二板522に縦一列となるように貫通形成されている。
【0054】
第二板522の湾曲部522bには、第二板522を厚さ方向に貫通し第一板511の長孔513に重ねられる第三接続孔524が、例えば、第二板522の延在方向において間隔を空けて2つ丸穴で形成されている。なお、第三接続孔524は、湾曲部522bの湾曲に沿った長孔であってもよい。
【0055】
角度調整部53は、図11に示す重ねられた状態の第一導体51の長孔513と第二導体52の第三接続孔524(図12参照)とに挿通する固定ボルト531と、固定ボルト531に螺合するナット532と、第一板511の湾曲部511aに沿った凸曲面533aを備え固定ボルト531が挿通される凸型ワッシャ533と、第二板522の湾曲部522bに沿った凹曲面534bを備え固定ボルト531が挿通される凹型ワッシャ534と、ナット532と凹型ワッシャ534の間のスプリングワッシャ535と、を備えている。
【0056】
固定ボルト531は、例えば、六角ボルトであり、第二導体52の第三接続孔524の数に合わせて2つ配設される。また、各固定ボルト531に対応する2つのナット532は、例えば、六角ナットである。
【0057】
各固定ボルト531が挿通される凸型ワッシャ533は、例えば、図11図12に示すように矩形状に形成されており、図13に示す凸曲面533aが第一板511の湾曲面に隙間を作らないように沿って接触する。凸型ワッシャ533の凸曲面533aの反対面は、図12に示す固定ボルト531の頭部の下面に接触する平坦面533bとなる。
【0058】
固定ボルト531が挿通される凹型ワッシャ534は、例えば、矩形状に形成されており、図14に示す凹曲面534bが第二板522の湾曲面に隙間を作らないように接触する。凹型ワッシャ534の凹曲面534bの反対面は、スプリングワッシャ535に接続される平坦面534cとなる。なお、凸型ワッシャ533及び凹型ワッシャ534は、円形状に形成されていてもよい。また、凸型ワッシャ533の凸曲面533aの外周縁(稜線部分)、及び凹型ワッシャ534の凹曲面534bの外周縁(稜線部分)は、第一板511及び第二板522を傷つけることが無いように、R状に丸められていてもよい。
【0059】
図12に示す第一板511の湾曲部511aと第二板522の湾曲部522bとを上下方向において重ね合わせた状態で、凸型ワッシャ533を取り付けた固定ボルト531を、重ねられた第一板511の長孔513と第二板522の第三接続孔524とに挿通させる。そして、固定ボルト531の第二板522から突出した部分のネジに凹型ワッシャ534、スプリングワッシャ535を挿通させ、ナット532を螺合させて締め付けることで、図8乃至図11に示す実施形態3の配電盤用端子導体5を形成する。なお、固定ボルト531に凹型ワッシャ534を挿通させて、固定ボルト531を第二板522側から重ねられた第一板511に向かって挿通させて、凸型ワッシャ533とスプリングワッシャ535とナット532とを第一板511側で突出した固定ボルト531に締結させてもよい。
【0060】
実施形態3の配電盤用端子導体5において、第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度とは、例えば、図8に示す第一板511の平板部511bに対する第二板522の平板部522cの傾斜角度θで定義される。例えば、第二導体52の平板部522cの第一導体51が接触する表面には、第二導体52の延在方向に沿って所定間隔を空けて上記傾斜角度θを示す目盛りが形成されていてもよい。そして、例えば、第一板511に対して相対的に第一板511の延在方向に沿って摺動する第二板522の目盛りに第一板511の下端縁が順次重なることで、第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度を施工者が該目盛りから読み取り可能となっていてもよい。
【0061】
図15は、実施形態3の配電盤用端子導体5の変形例である配電盤用端子導体5Aについての側面図である。また、図16は、配電盤用端子導体5Aについての正面図である。図15、及び図16に示す変形例の配電盤用端子導体5Aにおいては、第一板511は幅方向(Y軸方向)に所定間隔を空けて、2つの第一接続孔512が貫通形成されている。
【0062】
また、図15図16に示す第一板511は、幅方向(Y軸方向)に所定間隔を空けて、2つの長孔513が厚さ方向に貫通形成されている。そして、第二板522は、第一板511の2つの長孔513にそれぞれ対応する図示しない第三接続孔を幅方向(Y軸方向)に二つ並べて備えている。また、第二板522は、第二接続孔523を縦二列の並びで計4つ備えている。凸型ワッシャ533が取り付けられた固定ボルト531及び凹型ワッシャ534、スプリングワッシャ535、ナット532は、第一導体51の長孔513の数に合わせて2つY方向に並べて配設される。よって、実施形態3の配電盤用端子導体5の変形例は、より多くの種類の高圧ケーブルのケーブル端子との接続が可能となっており、汎用性が増す。なお、実施形態3の配電盤用端子導体5及びその変形例である配電盤用端子導体5Aは、上記の構成に限定されず、高圧ケーブル3A、3Bのケーブル端子32の形状等に合わせて、上記の構成を適宜変更可能である。
【0063】
図8乃至図11に示す実施形態3の配電盤用端子導体5の、図1に示す配電盤1における配設、動作、及び効果について以下に説明する。一例として、図1に示す筐体11内で上側に位置する主回路導体2を構成する変流器21と高圧ケーブル3Aとの、配電盤用端子導体5を介した接続について説明する。即ち、図1に示す実施形態1の配電盤用端子導体4の代わりに、配電盤用端子導体5を用いた場合を想定する。
【0064】
図1図17に示す変流器21の+Z方向(上方向)に延在する端子板212は、負荷母線20と接続されている。また、図17に示す変流器21の-Z方向(下方向)に延在する端子板212の図示しない貫通孔と第一導体51の第一接続孔512(図9参照)とを重ね合わせた状態で、固定ボルト217を挿通させて固定ボルト217に固定ナット218を締結させている。そして、配電盤用端子導体5の第一導体51は、図17に示す例においては、平板部511bが-Z方向に沿って延在した状態で変流器21に対して固定されている。
【0065】
図1に示す筐体11内に下部側から引き込まれた高圧ケーブル3Aは、変流器21側(-X方向側)に向かって曲げられる。そして、図17に示すように、第二導体52の2つの第二接続孔523(図9参照)の例えばいずれか一方と、引き込んだ高圧ケーブル3Aのケーブル端子32の連結板322の図示しない貫通孔とを重ね合わせた状態で、連結ボルト325を挿通させ、連結ボルト325に連結ナット326を締結させる。これによって、高圧ケーブル3Aと主回路導体2とが配電盤用端子導体5を介して電気的に接続される。
【0066】
例えば、第二導体52に対して高圧ケーブル3Aを上記のように接続後に、第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度を、施工者が好適と考える傾斜角度に角度調整部43によって調整することで、高圧ケーブル3Aの曲げられた箇所36(図1参照)を曲げストレスがあまりかからない曲げ半径に調整する。
【0067】
角度調整部53により第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度を調整する場合には、図17に示す各ナット532を各固定ボルト531から緩めて、固定ボルト531をガイド軸として、第二導体52を第一導体51に対して第一導体51の延在方向に摺動可能(スライド可能)とする。次いで、第一導体51に対する傾斜角度が調整前であり実線で示す第二導体52を、第一導体51に対して例えば上昇するように所定距離だけ摺動させる。また、固定ボルト531及びナット532も第二導体52の上記摺動に合わせて上昇する。図17において、第一導体51に対する傾斜角度を調整した後の第二導体52を二点鎖線で示している。例えば、二点鎖線で示す第二導体52の第一導体51に対する傾斜角度は、調整前の実線で示す第一導体51の該傾斜角度よりも大きな値となっている。
【0068】
第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度を所望の角度に調整した後に、再び、各ナット532を各固定ボルト531にしっかりと締結させて、第一導体51に対して第二導体52が摺動してしまわないように凸型ワッシャ533と凹型ワッシャ534とで上下から挟み込み固定する。このようにして、第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度を調整することで、図1に示す筐体11の例えば下部側から筐体11内部に引き込まれて配電盤用端子導体5に接続された高圧ケーブル3Aの曲げられた箇所36についても、曲げストレスをあまりかけない好適な曲げ半径に調整することができる。
【0069】
また、実施形態3の配電盤用端子導体5においては、第一導体51と第二導体52とが密着して重なった状態で接続されているため、第一導体51と第二導体52との間の接触抵抗を低減する一定の接触面積及び一定の接触圧力を維持可能となっている。そして、図3に示す実施形態1の配電盤用端子導体4と比べて、第一導体51と第二導体52との間の接触抵抗をさらに低減させることが可能であるため、より多くの電流を主回路導体2、配電盤用端子導体5、及び高圧ケーブル3Aに流すことができる。
【0070】
さらに、固定ボルト531と第一板511との間に第一板511の湾曲に沿った凸曲面533aを備えた凸型ワッシャ533を配設しており、且、スプリングワッシャ535及びナット532と第二板522との間に第二板522の湾曲に沿った凹曲面534bを備えた凹型ワッシャ534を配設していることで、第一板511と固定ボルト531との間にがたつきを生じさせる隙間を形成することなく、また、第二板522とスプリングワッシャ535及びナット532との間にがたつきを生じさせる隙間を形成することなく、第一板511と第二板522とを接続している。よって、固定ボルト531の軸力を分散させて、第一板511に対して第二板522が意図せず摺動しずれてしまうことなく、上記接続を安定して維持できる。また、第一板511に対する第二板522の傾斜角度を調整するために、第一板511に対して第二板522を上記のように摺動させた際に、合わせて移動する凸型ワッシャ533が第一板511を傷つけてしまうことを防ぎ、且、合わせて移動する凹型ワッシャ534が第二板522を傷つけてしまうことを防ぐ。
【0071】
(実施形態4の配電盤用端子導体)
図18は、実施形態4の配電盤用端子導体5Bの分解斜視図である。配電盤用端子導体5Bは、図11図12に示す実施形態3の配電盤用端子導体5の構成の一部を変更したものであり、配電盤用端子導体5と同様の構成は同様の符号を付して説明を省略する。
【0072】
実施形態4の配電盤用端子導体5Bは、第二導体52の第二板522の延在方向における上部側から中間部分にかけて、第二板522を厚さ方向に貫通し第二板522の湾曲に沿って延在する長孔525が形成されている。なお、第二板522の幅方向(Y軸方向)に、長孔525を間隔を空けて複数並べて形成してもよい。
【0073】
配電盤用端子導体5Bの第一導体51は、例えば、第一板511の延在方向における略中間部分から下部側にかけて間隔を空けて形成された2つの第三接続孔514を備えている。例えば、丸穴である2つの第三接続孔514は、第一板511に縦一列となるように貫通形成されている。なお、第一板511の幅方向(Y軸方向)に、第三接続孔514を間隔を空けて複数形成して、第三接続孔514が複数の縦列を形成してもよい。
【0074】
図18に示す第一板511の湾曲部511aと第二板522の湾曲部522bとを上下方向において重ね合わせた状態で、凸曲面533a(図13参照)を下側に向けた凸型ワッシャ533を付けた2本の固定ボルト531を、重ねられた第一板511の各第三接続孔514と第二板522の長孔525とに挿通させる。そして、固定ボルト531の第二板522から突出した部分のネジに、凹型ワッシャ534とスプリングワッシャ535を挿通させ、ナット532を螺合させ締め付けることで、実施形態4の配電盤用端子導体5Bを形成する。
【0075】
実施形態4の配電盤用端子導体5Bの、図1に示す配電盤1における配設、動作、及び効果については、実施形態3の配電盤用端子導体5を略同様となる。動作において相違する点は、角度調整部53により第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度を調整する場合において、第二導体52が第一導体51に対して摺動するが、固定ボルト531及びナット532は移動しない点である。
【0076】
(実施形態5の配電盤用端子導体)
図19は、実施形態5の配電盤用端子導体5Cの分解斜視図である。配電盤用端子導体5Cは、図11図12に示す実施形態3の配電盤用端子導体5の構成の一部を変更したものであり、配電盤用端子導体5と同様の構成は同様の符号を付して説明を省略する。以下に、実施形態5の配電盤用端子導体5Cの実施形態3の配電盤用端子導体5と相違する構成について説明する。
【0077】
配電盤用端子導体5Cの第一導体51は、湾曲部511aを有する第一板511と、第一板511を厚さ方向に貫通する第一接続孔512と、第一板511の湾曲の延在方向に所定の間隔を空けて配設され第一板511を厚さ方向に貫通する複数の第四接続孔517とを備えている。
【0078】
第四接続孔517は、湾曲部511aに例えば4つ均等間隔を空けて形成されているが、隣り合う第四接続孔517の間隔がそれぞれ異なっていてもよいし、第四接続孔517の配設数が3つでもよく、又は4つ以上となっていてもよい。また、第一板511の表面には、各第四接続孔517の近傍となる位置に、第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度を示す目盛りが形成されていてもよい。
【0079】
図19に示す第一板511の湾曲部511aと第二板522の湾曲部522bとを上下方向において重ね合わせた状態で、凸曲面533a(図13参照)を下側に向けた凸型ワッシャ533が挿通された固定ボルト531を、第一板511の例えば隣り合う2つの第四接続孔517と第二板522の第三接続孔524とに挿通させる。そして、固定ボルト531の第二板522から突出した部分のネジに凹型ワッシャ534とスプリングワッシャ535とを挿通させ、ナット532を螺合させ締め付けることで、実施形態5の配電盤用端子導体5Cを形成する。
【0080】
実施形態5の配電盤用端子導体5Cの、図1に示す配電盤1における配設、動作、及び効果については、図11図12に示す実施形態3の配電盤用端子導体5を略同様となる。異なる点は、角度調整部53により第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度を調整する場合に、第一導体51の複数の第四接続孔517のうちの例えば隣り合う2つを選択して、該選択した2つの第四接続孔517が第二導体52の第三接続孔524に重なるように、第一導体51に対して第二導体52を移動させる。その後、選択した第四接続孔517、及び第三接続孔524に挿通させた固定ボルト531に対してナット532を螺合させることで、第一導体51に対する第二導体52の傾斜角度を所望の傾斜角度に調整できる。そして、角度調整部53による該傾斜角度の調整により、第二導体52に接続された図1に示す高圧ケーブル3Aの曲げた箇所を好適な曲げ半径に調整できる。
【0081】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1:配電盤 11:筐体 112:遮断器室 113:隔壁 115:ケーブル室
117:ブラケット
12:母線 13:遮断器(VCB) 132:ブッシング
2:主回路導体 20:負荷母線
21:変流器 210:本体部 212:端子板
3A、3B:高圧ケーブル 32:ケーブル端子
4:実施形態1の配電盤用端子導体
41:第一導体 411:第一板 412:第一接続孔
42:第二導体 422:第二板 423:第二接続孔
43:角度調整部 431:第一軸筒 432:第二軸筒 433:軸ボルト 434:ナット 434a:平座金 434b:ばね座金
4A:実施形態2の配電盤用端子導
5:実施形態3の配電盤用端子導体
51:第一導体 511:第一板 513:長孔
52:第二導体 522:第二板 524:第三接続孔
53:角度調整部 531:固定ボルト 532:ナット 533:凸型ワッシャ 534:凹型ワッシャ
5A:実施形態3の配電盤用端子導体の変形例
5B:実施形態4の配電盤用端子導体
5C:実施形態5の配電盤用端子導体
図1
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