(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060404
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】包材供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 23/192 20060101AFI20240424BHJP
B65B 41/16 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B65H23/192
B65B41/16 501F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167756
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 晴樹
【テーマコード(参考)】
3F105
【Fターム(参考)】
3F105AA04
3F105AB07
3F105BA02
3F105CA02
3F105CB01
3F105DA05
(57)【要約】
【課題】より簡易な構成で、包材が装填されたリール軸にブレーキ力を付与して包材にかかる張力を適切に調整可能な包材供給装置を提供する。
【解決手段】包材供給装置10は、包材Wが装填されたリール軸5と、リール軸5に装填された包材Wを下流側の製袋包装装置20に繰り出す繰り出しローラ80と、繰り出しローラ80を回転駆動させるサーボモータ(電動モータ)と、リール軸5に対してブレーキ力Bを付与するブレーキ装置50と、サーボモータのモータトルクに基づいて、リール軸5に対するブレーキ力Bを調整するようにブレーキ装置50を制御する制御装置とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材が装填されたリール軸と、
前記リール軸に装填された前記包材を下流側の装置に繰り出す繰り出しローラと、
前記繰り出しローラを回転駆動させる電動モータと、
前記リール軸に対してブレーキ力を付与するブレーキ装置と、
前記リール軸と前記繰り出しローラとの間における前記包材の張力が所定の範囲内に維持されるように、前記電動モータのモータトルクに基づいて、前記ブレーキ装置を制御して前記リール軸に付与されるブレーキ力を調整する制御装置と
を備えた包材供給装置。
【請求項2】
前記制御装置は、所定時間における前記モータトルクの平均値に基づいて、前記ブレーキ力を制御する請求項1に記載の包材供給装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記モータトルクの前記平均値が前記所定の範囲に基づいて予め定められた上限値以上となったときに、前記ブレーキ力を現在の値から第1所定値だけ低下させ、
前記モータトルクの前記平均値が前記所定の範囲に基づいて予め定められた下限値以下となったときに、前記ブレーキ力を現在の値から第2所定値だけ増加させる
請求項2に記載の包材供給装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
第1所定時間以内に、前記モータトルクの値が前記所定の範囲に基づいて予め定められた上限値以上となった回数が第1所定回数以上であるとき、前記ブレーキ力を現在の値から第3所定値だけ低下させ、
第2所定時間以内に、前記モータトルクの値が前記所定の範囲に基づいて予め定められた下限値以上となった回数が第2所定回数以上であるとき、前記ブレーキ力を現在の値から第4所定値だけ増加させる
請求項1に記載の包材供給装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記モータトルクの値が前記所定の範囲に基づいて予め定められた上限値以上となった状態が第3所定時間にわたって継続したとき、前記ブレーキ力を現在の値から第5所定値だけ増加させ、
前記モータトルクの値が前記所定の範囲に基づいて予め定められた下限値以上となった状態が第4所定時間にわたって継続したとき、前記ブレーキ力を現在の値から第6所定値だけ増加させる
請求項1または請求項4に記載の包材供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包材を下流側の装置に供給する包材供給装置において、リール軸に装填された包材を繰り出しローラで繰り出す際に、リール軸にブレーキ力を付与する技術が知られている。例えば、特許文献1には、リールに巻かれた包材を引出す繰出し機と、リールの回転にブレーキ力を加える包材用ブレーキと、包材の径を測定する包材径測定手段とを備える包材繰出し装置が記載されている。この包材繰出し装置では、包材の径が大きい場合に包材用ブレーキのブレーキ力を強くし、包材の径が小さい場合にブレーキ力を弱くする。それにより、包材の径によらず包材の繰出しに伴うリール負荷の強弱を一定に調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包材が装填されるリール軸に対して適切なブレーキ力を付与し、包材にかかる張力を一定範囲に維持しなければ、包材にたるみが生じたり、包材に過大な張力がかかり伸びや破断が生じたりする恐れがある。しかしながら、上記特許文献1に記載の装置では、包材の径を測定するための包材径測定センサが必要となり、部品点数の増加や装置構成の複雑化を招いてしまう。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より簡易な構成で、包材が装填されたリール軸にブレーキ力を付与して包材にかかる張力を適切に調整可能な包材供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の包材供給装置は、包材が装填されたリール軸と、前記リール軸に装填された前記包材を下流側の装置に繰り出す繰り出しローラと、前記繰り出しローラを回転駆動させる電動モータと、前記リール軸に対してブレーキ力を付与するブレーキ装置と、前記リール軸と前記繰り出しローラとの間における前記包材の張力が所定の範囲内に維持されるように、前記電動モータのモータトルクに基づいて、前記ブレーキ装置を制御して前記リール軸に付与されるブレーキ力を調整する制御装置とを備える。
【0007】
この構成により、包材にかかる張力に対応して変動する電動モータのモータトルクに基づいてリール軸に付与されるブレーキ力を調整するセンサを用いることなく、包材Wにかかる張力teを所定の範囲内に維持することができる。したがって、本発明の包材供給装置によれば、より簡易な構成で、包材が装填されたリール軸にブレーキ力を付与し、包材にかかる張力を適切に調整可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の包材供給装置によれば、より簡易な構成で、包材が装填されたリール軸にブレーキ力を付与して包材にかかる張力を適切に調整可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】製袋充填包装機のシステム構成の概略を示す構成図である。
【
図3】包材にかかる張力と、サーボモータのモータトルクと、ブレーキ装置によりリール軸へと付与されるブレーキ力との時間変化の様子を模式的に示した説明図である。
【
図4】包材にかかる張力と、サーボモータのモータトルクと、ブレーキ装置によりリール軸へと付与されるブレーキ力との時間変化の様子を模式的に示した説明図である。
【
図5】ブレーキ制御を実行するための制御装置の概略を示す構成図である。
【
図6】ブレーキ制御によるブレーキ力とサーボモータのトルク平均値との時間変化の様子を模式的に示した説明図である。
【
図7】ブレーキ制御の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態におけるブレーキ制御の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態におけるブレーキ制御によるブレーキ力とサーボモータのモータトルクTとの時間変化の様子を模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、図面に基づき本発明の第1実施形態について説明する。
【0011】
(製袋充填包装機)
図1は、製袋充填包装機の概略を示す斜視図であり、
図2は、製袋充填包装機のシステム構成の概略を示す構成図である。製袋充填包装機1は、包材供給装置10と、製袋包装装置20と、制御装置30とを備える。
【0012】
(包材供給装置)
包材供給装置10は、複数(本実施形態では、2つ)のリール軸5を備えており、各リール軸5に装填された包材ロールWRから、例えばヒートシール可能なフィルムといった包材Wを複数の経路ローラR1を介して製袋包装装置20へと供給する装置である。本実施形態における製袋充填包装機1では、包材供給装置10から製袋包装装置20へと連続的に包材Wを供給する連続運転を実行する。
【0013】
包材供給装置10は、上記複数の経路ローラR1と、上記リール軸5と、旋回アーム40と、ブレーキ装置50と、接続台60と、接続器70と、繰り出しローラ80と、受けローラ85と、繰り出しローラ駆動装置100(
図2参照)と、旋回アーム駆動装置200(
図2参照)とを備える。なお、複数の経路ローラR1は、可動ロールの位置を調整することで包材供給装置10と製袋包装装置20との間における包材Wの張力を調整するように制御装置30により制御される張力調整機構(ダンサローラ)14を構成するものを含む。また、図示省略するが、後述する繰り出しローラ80および接続台60は、各リール軸5に対応して1つずつ設けられるように旋回アーム40に取付けられ、旋回アーム40の回転に伴って各リール軸5と共に旋回する。なお、繰り出しローラ80および接続台60は、包材供給装置10に1つのみ設けられる構成であってもよい。
【0014】
リール軸5は、互いに平行な第1リール軸5Aおよび第2リール軸5Bを含み、旋回アーム40に中心軸40aを基準として互いに180度だけ回転した位置に取り付けられる。旋回アーム40は、包材供給装置10の図示しない本体フレームに中心軸40aを中心として旋回可能に取り付けられ、旋回アーム駆動装置200の電動式のサーボモータ210(
図2参照)によって中心軸40aを中心として旋回し、任意の角度で姿勢を固定可能とされている。これにより、第1リール軸5Aおよび第2リール軸5Bは、先行して使用される包材Wである先行包材W1を繰り出して使用する繰り出し位置P1と、先行包材W1の次に使用される包材Wである後行包材W2を繰り出して使用する前の待機位置P2との間で、旋回して位置を切り替え可能とされている。なお、リール軸5は、少なくとも設けられればよく、3つ以上設けられてもよい。
【0015】
ブレーキ装置50は、各リール軸5に対してブレーキ力を付与するエア駆動式の制動装置であり、
図2に示すように、電空レギュレータ52と、エアシリンダ54と、摩擦部材56とを含む。電空レギュレータ52は、図示しないエア供給源に接続された図示しないエア供給路に配置され、電気信号に比例して空気圧力を制御する。エアシリンダ54および摩擦部材56は、各リール軸5に対応して設けられる。エアシリンダ54は、エア供給路を介してエアが内部に供給され、摩擦部材56を各リール軸5に設けられたディスクD(
図1参照)に当接または離間させる。摩擦部材56は、エアシリンダ54によってディスクDを押圧することで、リール軸5の自らの軸周りの回転に対してブレーキ力を付与する。なお、摩擦部材56は、リール軸5を挟み込むことによりブレーキ力を付与する部材であってもよい。
【0016】
接続台60は、先行包材W1と後行包材W2の先端部とを接続器70により接続する際の台座となる部材であり、後行包材W2の先端部を保持可能に構成されている。なお、
図1では、接続台60および接続器70を模式的に記載している。接続器70は、例えば図示しないヒータブロックおよびカッターを備え、接続台60上で上下に重なった先行包材W1と後行包材W2の先端部とをヒータブロックで熱溶着により接着し、接着した先行包材W1と後行包材W2とをカッターで切断する。接続器70は、例えば超音波シーラといった包材W同士を接続可能な他のシーラを有するものであってもよい。
【0017】
繰り出しローラ80は、先行包材W1を製袋包装装置20側に繰り出すためのローラであり、繰り出しローラ駆動装置100の電動式のサーボモータ(電動モータ)110(
図2参照)によって回転駆動される。先行包材W1の包材ロールWRが装填されたリール軸5に対応した繰り出しローラ80の上部には、回転可能な受けローラ85が略上下方向に移動可能に配置されており、繰り出しローラ80との間で先行包材W1を挟み込む。それにより、繰り出しローラ80がサーボモータ110によって回転駆動されると、繰り出しローラ80と受けローラ85との間に挟み込まれた先行包材W1が繰り出しローラ80の回転によって包材ロールWRから繰り出される。繰り出しローラ80および受けローラ85は、少なくとも、張力調整機構14より先行包材W1の繰り出し方向における上流側に配置される。本実施形態では、繰り出しローラ80および受けローラ85は、先行包材W1の繰り出し方向において、接続器70による先行包材W1と後行包材W2との接続位置よりも上流側に設けられている。
【0018】
(製袋包装装置)
製袋包装装置20は、包材供給装置10から供給された包材Wを袋状に形成すると共に、形成した袋に粉粒体やスナック菓子などの充填物を充填する装置である。なお、
図1においては、製袋包装装置20を通過する包材Wの記載を一部省略している。製袋包装装置20は、内容物を供給するホッパ21の下方に、上下方向に延びる製袋チューブ22が設けられている。また、製袋チューブ22の上部には、包材供給装置10から供給された包材Wを略筒状に成形してガイドするフォーマ27が設けられている。包材Wは、フォーマ27を通過する際、両側縁が所定の形態にて互いに重ねあわされたラップ部が形成される。製袋チューブ22の両側には、一対の繰り出しベルト23が設けられており、一対の繰り出しベルト23によって製袋チューブ22の周囲に沿って延在する包材Wが下方に繰り出される。なお、製袋チューブ22の下方には、包材Wを所定形状に成形する図示しない成形ガイドが設けられている。
【0019】
また、製袋チューブ22の近傍には、開閉可能な縦シーラ24が設けられている。縦シーラ24は、包材Wの上記ラップ部をヒートシールし、両側縁を互いに接着させた縦シールフラップを形成する。さらに、製袋チューブ22の下方には、開閉可能な横シーラ25が設けられている。横シーラ25は、一対のヒータブロック25a、25bと、図示しないカッターを有している。横シーラ25が閉動作したとき、一対のヒータブロック25a、25bが包材Wを前後から挟み付けることで、包材Wに横シールを形成し、カッターにより包材Wが切断される。それにより、包材Wは、上下端が横シールにより閉じられ、
図1に示すように、ホッパ21から製袋チューブ22を介して供給される内容物が充填された袋Fが形成される。
【0020】
(制御装置)
制御装置30は、記憶装置(ROM:Read Only Memory、RAM:Random Access Memory、不揮発性RAMなど)、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)などを含んで構成されるコントローラであり、製袋充填包装機1の全体制御を行う。制御装置30は、
図2に示すように、作業員が製袋充填包装機1を駆動させるための各種設定値を入力するためのインターフェースとしての設定入力装置2が電気的に接続されている。また、制御装置30は、繰り出しベルト23、縦シーラ24、横シーラ25、ブレーキ装置50、接続器70、繰り出しローラ駆動装置100、旋回アーム駆動装置200などが電気的に接続されており、設定入力装置2で作業員により入力などされた各種設定にしたがって、出力側に接続された上記各種装置を制御する。
【0021】
例えば、制御装置30は、繰り出しローラ80を回転駆動させる繰り出しローラ駆動装置100のサーボモータ110を駆動制御する。具体的には、制御装置30は、張力調整機構14での包材Wのバッファ量に応じて、製袋包装装置20への包材Wの供給がなされるように、サーボモータ110を制御して繰り出しローラ80を回転させる。なお、製袋充填包装機1は、連続運転および間欠運転のいずれで運転されてもよい。このとき、制御装置30には、サーボモータ110の現在の回転数および現在供給されている電流値が入力される。また、制御装置30は、先行包材W1を使い切ったことを図示しない光センサといったセンサからの信号に基づいて検出すると、旋回アーム駆動装置200のサーボモータ210を制御して旋回アーム40を旋回させる。それにより、後行包材W2が装填されたリール軸5が繰り出し位置P1へと移動すると共に先行包材W1を使い切ったリール軸5が待機位置P2へと移動する。また、制御装置30は、ブレーキ装置50の電空レギュレータ52を制御してエアシリンダ54に供給される空気圧力を調整することで、摩擦部材56から先行包材W1が繰り出されているリール軸5へと付与するブレーキ力を調整するブレーキ制御を実行する。
【0022】
ここで、
図3および
図4は、包材Wにかかる張力teと、サーボモータ110のモータトルクTと、ブレーキ装置50によりリール軸5へと付与されるブレーキ力Bとの時間変化の様子を模式的に示した説明図である。
図3は、リール軸5に付与されるブレーキ力を一定とした場合の例であり、
図4は、リール軸5に付与されるブレーキ力を経時的に変化させた場合の例である。
図3および
図4では、張力teを破線、モータトルクTを二点鎖線、ブレーキ力Bを実線としている。また、サーボモータ110の回転数は一定であると仮定する。
【0023】
いま、
図1に示すように、リール軸5の中心から摩擦部材56の中心までの距離を“r1”とし、リール軸5の中心から包材ロールWRの外縁までの距離を“r2”とする。摩擦部材56は、ディスクDに対して径方向の位置が変化しないため、距離r1は一定であり、ブレーキ装置50によるブレーキ力が
図3に示すように一定であれば、包材ロールWRに対して付与されるブレーキトルクも一定となる。一方、包材ロールWRの半径である距離r2は、時間tの経過に伴って徐々に縮小していく。包材Wをブレーキトルクに抗して引き出すためには、距離r2が大きいほど小さい力ですむが、距離r2が小さいほど大きな力が必要となる。したがって、
図3に示すように、包材ロールWRの径が小さくなるほど(距離r2が小さくなるほど)、包材Wを繰り出すサーボモータ110のモータトルクTは大きくなり、同時に、包材Wにかかる張力teが大きくなる。このように、繰り出されている最中の包材Wの張力が包材ロールWRの径に応じて変化する場合、ブレーキ力Bが小さすぎればリール軸5と繰り出しローラ80との間で包材Wにたるみが生じる恐れがあり、ブレーキ力Bが大きすぎればリール軸5と繰り出しローラ80との間で包材Wに過大な張力がかかり延びや破断が生じる恐れがある。
【0024】
一方、
図4に示すように、リール軸5に付与されるブレーキ力Bを例えば最大値B1から最小値B2まで包材ロールWRの径が小さくなるにつれて低下させれば、包材Wにかかる張力teおよびモータトルクTを一定に維持するこができる。しかしながら、包材ロールWRの径に応じてブレーキ力Bを変化させるためには、包材ロールWRの径を測定するセンサが必要となってしまい、包材供給装置10の部品点数の増加や装置構成の複雑化につながってしまう。
【0025】
そこで、本実施形態の包材供給装置10は、包材ロールWRの径を測定するセンサを用いることなく包材Wにかかる張力を適切に調整するブレーキ制御を実行するために、以下の構成を備えている。
図5は、ブレーキ制御を実行するための制御装置30の概略を示す構成図である。制御装置30は、図示するように、除外条件判定部31と、モータトルク算出部32と、トルク平均値算出部33と、上下限値設定部34と、トルク判定部35と、ブレーキ力調整部36とを備える。以下、製袋充填包装機1が連続運転される場合(サーボモータ110を連続的に回転駆動させる場合)を例にブレーキ制御の内容を説明する。
【0026】
除外条件判定部31は、本実施形態のブレーキ制御によりブレーキ力Bの調整を実行するべきではない所定の除外条件が成立しているか否かを判定する。所定の除外条件は、図示しない記憶装置に予め記憶されている。所定の除外条件は、例えば、新たな包材Wの繰り出しを開始してから予め定められた第1の時間しか経過しておらず、サーボモータ110の回転数などが安定する前の状態であることを含む。また、所定の除外条件は、例えば、ブレーキ力調整部36によりブレーキ力Bを変化させた直後の状態(ブレーキ力Bを変化させてから予め定められた第2の時間しか経過していない状態)であることや、包材Wにたるみが生じた状態であることを含む。なお、包材Wにたるみが生じた状態は、モータトルクTの値が所定トルク未満であることによって判断することができる。さらに、所定の除外条件は、張力調整機構14でのバッファ量に応じてサーボモータ110の回転数が変更された直後の状態(サーボモータ110の回転数が変化してから予め定められた第3の時間しか経過していない状態)であることを含む。所定の除外条件は、その他、ブレーキ力Bの調整を行うことによって包材Wの張力teを適切に保つことが困難となる外乱条件を含むものであってよい。外乱条件は、例えばモータトルクTの値に基づいて判定されるものであってよい。除外条件判定部31は、現在の包材供給装置10の状態に基づいて、所定の除外条件が成立しているか否かを判定し、判定結果をブレーキ力調整部36へと出力する。
【0027】
モータトルク算出部32は、繰り出しローラ駆動装置100のサーボモータ110から、サーボモータ110の現在の回転数および現在供給されている電流値を取得し、取得した回転数および電流値に基づいてサーボモータ110のモータトルクTを算出する。モータトルクTは、回転数および電流値から周知の手法により算出されればよい。モータトルクTは、サーボモータ110の回転数が一定であれば、電流値が大きくなるほど大きくなる。
【0028】
トルク平均値算出部33は、所定時間におけるモータトルクTの平均値であるトルク平均値Tave(
図6参照)を算出する。トルク平均値Taveは、移動平均であってもよいし、所定時間の経過ごとに区切って算出される算術平均(単純平均)であってもよい。所定時間は、モータトルクTの細かな変動を除去できる程度に均したトルク平均値Taveを得ることができる時間であればよい。サーボモータ110は、仮に繰り出しベルト23による繰り出し速度が一定であっても、製袋充填包装機1の各種機構の動作などに応じた種々の理由により、モータトルクTが製袋充填包装機1により袋Fを1つ排出するごとの1サイクルごとに変動する(例えば、
図9の二点鎖線参照)。ここでのモータトルクTの細かな変動とは、この1サイクルごとにおける変動を意味する。したがって、所定時間は、少なくとも1サイクル以上の時間であり、好ましくは2サイクル以上の時間である。所定時間は、複数のサイクル単位の時間として設定されてもよい。言い換えると、トルク平均値算出部33は、2サイクル以上の所定サイクル数を実行した間のモータトルクTの平均値として、トルク平均値Taveを算出してもよい。
【0029】
上下限値設定部34は、トルク平均値算出部33で算出されたトルク平均値Taveの上限値T1および下限値T2(
図6参照)を設定する。上限値T1および下限値T2は、リール軸5と繰り出しローラ80との間における包材Wの張力teが、包材Wに延びや破断、たるみが生じない所定の範囲内に維持されるトルク平均値Taveの値に基づいて予め定められる。上限値T1および下限値T2は、包材Wの種類に応じた値が図示しない記憶装置に記憶されており、上下限値設定部34は、包材Wの種類に応じて上限値T1および下限値T2を取得して設定する。なお、包材Wの種類は、作業員により設定入力装置2(
図2参照)を介して入力されればよい。また、上下限値設定部34は、作業員により設定入力装置2を介して入力された上限値T1および下限値T2を取得して設定するものであってもよい。
【0030】
トルク判定部35は、トルク平均値算出部33で算出されたトルク平均値Taveが、上下限値設定部34で設定された上限値T1から下限値T2の範囲内であるか否かを判定する。すなわち、トルク判定部35は、トルク平均値Taveが上限値T1以上であるか否かを判定すると共に、トルク平均値Taveが下限値T2以下であるか否かを判定する。トルク判定部35は、判定結果をブレーキ力調整部36へと出力する。
【0031】
ブレーキ力調整部36は、トルク判定部35の判定結果に応じてブレーキ装置50によりリール軸5に付与するブレーキ力Bを設定し、設定したブレーキ力Bが摩擦部材56からリール軸5に付与されるように、電空レギュレータ52を制御してエアシリンダ54へと供給される空気圧力を調整する。本実施形態において、ブレーキ力調整部36は、包材Wの種類に応じて予め定められたブレーキ力Bの最大値B1および最小値B2(
図6参照)の間で、トルク平均値Taveの値に応じてブレーキ力Bを変化させる。より詳細には、ブレーキ力調整部36は、トルク平均値Taveが上限値T1以上となったときにブレーキ力Bを現在の値から第1所定値ΔB1(
図6参照)だけ低下させ、トルク平均値Taveが下限値T2以下となったときにブレーキ力Bを現在の値から第2所定値ΔB2だけ増加させる。また、ブレーキ力調整部36は、トルク平均値Taveが上限値T1未満かつ下限値T2より大きい場合、ブレーキ力Bを現在の値に維持する。
【0032】
図6を参照しながら、ブレーキ力Bの調整について詳細に説明する。
図6は、ブレーキ制御によるブレーキ力Bとサーボモータ110のトルク平均値Taveとの時間変化の様子を模式的に示した説明図である。
図6では、トルク平均値Taveを二点鎖線、ブレーキ力Bを実線としている。
【0033】
図示するように、ブレーキ力Bが最大値B1に設定されている状態で、時間tの経過に伴って包材ロールWRの径が小さくなっていくと、トルク平均値Taveが徐々に増加していく。そして、時刻t1においてトルク平均値Taveが上下限値設定部34で設定された上限値T1以上となると、ブレーキ力Bが最大値B1から第1所定値ΔB1だけ低下した値に設定されることにより、トルク平均値Taveが低下する。その後、包材ロールWRのさらなる小径化に伴ってトルク平均値Taveが増加し、時刻t2においてトルク平均値Taveが再び上限値T1以上となると、ブレーキ力Bが再び第1所定値ΔB1だけ低下することで、トルク平均値Taveも再び低下する。この調整が繰り返されることにより、包材ロールWRの径が小さくなるにつれてブレーキ力Bが低下していき、トルク平均値Taveが上限値T1を超えて増加し続けることが抑制される。
【0034】
また、時刻t3において、トルク平均値Taveが下限値T2を下回る程度に低下したとする。この場合、ブレーキ力Bが第1所定値ΔB1だけ増加した値に設定されることで、トルク平均値Taveが増加し、トルク平均値Taveが下限値T2を下回って低下し続けることが抑制される。
【0035】
以上のようにブレーキ力Bを調整することで、トルク平均値Taveが概ね上限値T1および下限値T2の間の一定範囲に維持される。その結果、包材Wの張力teも上記所定の範囲内に維持される。言い換えると、上限値T1および下限値T2は、トルク平均値Taveが一時的に上限値T1および下限値T2の範囲外となる時間帯があったとしても、包材Wの張力teが上記所定の範囲内に維持されるように余裕代を考慮して定められる。また、ブレーキ力Bの変化幅としての第1所定値ΔB1および第2所定値ΔB2は、包材Wの張力teが急峻に変化しないように(すなわち張力teが上記所定の範囲内に維持されるように)トルク平均値Taveを速やかに変化させることができる程度の変化幅であればよい。第1所定値ΔB1および第2所定値ΔB2は、例えば、ブレーキ力Bが最大値B1および最小値B2の間で、電空レギュレータ52の仕様による空気圧力の変化段数分だけ変化可能な変化幅として設定されてもよい。第1所定値ΔB1および第2所定値ΔB2は、異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。
【0036】
ただし、ブレーキ力調整部36は、除外条件判定部31により所定の除外条件が成立していると判定された場合、上記ブレーキ力Bの調整を行なわず、ブレーキ力Bを現在の値に維持する。例えば、ブレーキ力調整部36は、除外条件判定部31により、新たな包材Wの繰り出しを開始してから予め定められた第1の時間が経過していないと判定された場合、包材Wの種類に応じて予め定められた上記最大値B1を維持する。また、ブレーキ力調整部36は、除外条件判定部31により、ブレーキ力調整部36によりブレーキ力Bを変化させた直後の状態や包材Wにたるみが生じた状態であると判定された場合や、張力調整機構14でのバッファ量に応じてサーボモータ110の回転数が変更された直後の状態であると判定された場合には、その時点で設定されているブレーキ力Bの値を維持する。なお、包材Wにたるみが生じた状態が長時間継続した場合には、異常が生じているため、所定の異常発生時の処理へと移行すればよい。また、ブレーキ力調整部36は、成立した除外条件および包材Wの種類に応じて予め定められたブレーキ力Bを設定するものとしてもよい。その場合でも、所定の除外条件が未成立となると、再びトルク平均値Taveに応じたブレーキ力Bが設定されるように調整されることになる。
【0037】
第1実施形態にかかる包材供給装置10によるブレーキ制御の処理の流れについて、
図7を参照しながら説明する。
図7は、ブレーキ制御の処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示す処理は、繰り出し位置P1にあるリール軸5から繰り出しローラ80によって包材Wを繰り出している間、制御装置30により所定の時間間隔で繰り返し実行される。本処理の実行開始時点、すなわち、繰り出しローラ80による包材Wの繰り出し開始時点では、ブレーキ力Bに最大値B1が設定される。
【0038】
制御装置30は、除外条件判定部31により、所定の除外条件が成立しているか否かを判定する(ステップS10)。制御装置30は、ステップS10で所定の除外条件が成立していると判定したとき(ステップS10でYes)、以降の処理を省略し、ブレーキ力Bを現在の値に維持してステップS10以降の処理を再び実行する。
【0039】
制御装置30は、所定の除外条件が成立していないと判定したとき(ステップS10でNo)、モータトルク算出部32により、サーボモータ110の現在の回転数および現在供給されている電流値を取得する(ステップS20)。次に、制御装置30は、モータトルク算出部32により、取得したサーボモータ110の回転数および電流値に基づいて、サーボモータ110の現在のモータトルクTを算出する(ステップS30)。さらに、制御装置30は、トルク平均値算出部33により、所定時間におけるトルク平均値Taveを算出する(ステップS40)。
【0040】
次に、制御装置30は、トルク判定部35により、トルク平均値Taveが上限値T1以上となったか否かを判定する(ステップS50)。制御装置30は、トルク平均値Taveが上限値T1以上となったと判定したとき(ステップS50でYes)、ブレーキ力調整部36により、ブレーキ力Bを第1所定値ΔB1だけ低下させ(ステップS60)、ステップS10以降の処理を再び実行する。なお、ブレーキ力Bを第1所定値ΔB1だけ低下させてもトルク平均値Taveが上限値T1未満とならない場合、その状態が所定の経過時間だけ経過するごとにさらにブレーキ力Bを第1所定値ΔB1だけ低下させればよい。
【0041】
一方、制御装置30は、トルク平均値Taveが上限値T1以上となっていないと判定したとき(ステップS50でNo)、さらに、トルク平均値Taveが下限値T2以下となったか否かを判定する(ステップS70)。制御装置30は、トルク平均値Taveが下限値T2未満となったと判定したとき(ステップS70でYes)、ブレーキ力調整部36により、ブレーキ力Bを第2所定値ΔB2だけ増加させ(ステップS80)、ステップS10以降の処理を再び実行する。なお、ブレーキ力Bを第2所定値ΔB2だけ増加させてもトルク平均値Taveが下限値T2以上とならない場合、その状態が所定の経過時間だけ経過するごとにさらにブレーキ力Bを第2所定値ΔB2だけ増加させればよい。また、制御装置30は、トルク平均値Taveが下限値T2未満となっていないと判定したとき(ステップS70でNo)、ステップS80の処理を省略してブレーキ力Bを現在の値に維持させ、ステップS10以降の処理を再び実行する。
【0042】
(実施形態の効果)
以上説明したように、第1実施形態にかかる包材供給装置10は、包材Wが装填されたリール軸5と、リール軸5に装填された包材Wを下流側の製袋包装装置20に繰り出す繰り出しローラ80と、繰り出しローラ80を回転駆動させるサーボモータ(電動モータ)110と、リール軸5に対してブレーキ力Bを付与するブレーキ装置50と、リール軸5と繰り出しローラ80との間における包材Wの張力teが所定の範囲内に維持されるように、サーボモータ110のモータトルクTに基づいて、ブレーキ装置50を制御してリール軸5に対するブレーキ力Bを調整する制御装置30とを備える。
【0043】
この構成により、包材Wにかかる張力teに対応して変動するサーボモータ110のモータトルクTに基づいてリール軸5に対するブレーキ力Bを調整するため、包材Wの径を測定するセンサを用いることなく、包材Wにかかる張力teを所定の範囲内に維持することができる。したがって、第1実施形態にかかる包材供給装置10によれば、より簡易な構成で、包材Wが装填されたリール軸5にブレーキ力を付与して包材Wにかかる張力teを適切に調整可能となる。
【0044】
また、制御装置30は、所定時間におけるサーボモータ110のトルク平均値Taveに基づいてブレーキ力Bを制御する。この構成により、モータトルクTの細かな変動により、ブレーキ力Bの調整が短時間に過剰な回数にわたって行われないようにし、包材Wにかかる張力teを安定化させることができる。
【0045】
また、制御装置30は、サーボモータ110のトルク平均値Taveが、包材Wに付与すべき張力teに基づいて予め定められた上限値T1以上となったときに(ステップS50でYes)、ブレーキ力Bを第1所定値ΔB1だけ低下させ、トルク平均値Taveが、包材Wに付与すべき張力teに基づいて予め定められた下限値T2以下となったときに(ステップS70でYes)、ブレーキ力Bを第2所定値ΔB2だけ増加させる。この構成により、サーボモータ110のトルク平均値Taveが上限値T1を超えて増加し続けることを抑制し、包材Wに過大な張力がかかって延びや破断が生じることを抑制可能となる。また、トルク平均値Taveが下限値T2を下回って低下し続けることを抑制し、包材Wの張力teが低下してたるみが生じることを抑制可能となる。
【0046】
また、上述のようにトルク平均値Taveが上限値T1以上となったときや下限値T2以下となったときに、ブレーキ力Bを第1所定値ΔB1、第2所定値ΔB2ごとに変化させる構成によれば、例えば実施形態の電空レギュレータ52のように制御対象となる値(空気圧力)の変化段数に限りがあったとしても、包材Wにかかる張力teを適切に調整可能となる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかる包材供給装置10によるブレーキ制御について説明する。第2実施形態にかかる包材供給装置10は、制御装置30からトルク平均値算出部33が省略され、第1実施形態とは異なる手法でブレーキ制御を実行することを除き、第1実施形態にかかる包材供給装置10と同一の構成を有する。そのため、第1実施形態と同一の構成については説明を省略し、同一の符号を付す。
図8は、第2実施形態におけるブレーキ制御の処理の一例を示すフローチャートであり、
図9は、第2実施形態におけるブレーキ制御によるブレーキ力とサーボモータのモータトルクTとの時間変化の様子を模式的に示した説明図である。
図9では、モータトルクTを二点鎖線、ブレーキ力Bを実線としている。
【0048】
図8の処理にしたがって、第2実施形態のブレーキ制御を説明していく。
図8に示す処理は、繰り出し位置P1にあるリール軸5から繰り出しローラ80によって包材Wを繰り出している間、制御装置30により所定の時間間隔で繰り返し実行される。なお、本処理の実行開始時点、すなわち、繰り出しローラ80による包材Wの繰り出し開始時点では、ブレーキ力Bに最大値B1(第1実施形態参照)が設定される。
【0049】
制御装置30は、ステップS100からステップS300として、
図7に示す処理のステップS10からステップS30と同様の処理を実行する。次に、制御装置30は、トルク判定部35により、第1所定時間Δt1以内に、モータトルク算出部32で算出されたモータトルクTの値が上限値T1以上となった回数が第1所定回数以上であるか否かを判定する(ステップS400)。第1所定時間Δt1は、第1実施形態の所定時間と同様に、製袋充填包装機1の1サイクル以上の時間であり、好ましくは2サイクル以上の時間である。第1所定時間Δt1は、複数のサイクル単位の時間として定められてもよい。言い換えると、トルク判定部35は、製袋充填包装機1が2サイクル以上の第1所定サイクル数を実行するごとに、モータトルクTの値が上限値T1以上となった回数が第1所定回数以上であるか否かを判定してもよい。
【0050】
制御装置30は、第1所定時間Δt1以内にモータトルクTの値が上限値T1以上となった回数が第1所定回数以上であると判定した場合(ステップS400でYes)、ブレーキ力調整部36により、ブレーキ力Bを第3所定値ΔB3だけ低下させる(ステップS500)。その結果、例えば
図9の時刻t4の直後に示すように、ブレーキ力Bの低下に応じてモータトルクTが低下し、包材Wの張力teも低下する。
【0051】
一方、制御装置30は、第1所定時間Δt1以内にモータトルクTの値が上限値T1以上となった回数が第1所定回数以上でないと判定した場合(ステップS400でNo)、トルク判定部35により、モータトルクTが上限値T1以上となった状態が第3所定時間Δt3にわたって継続したか否かを判定する(ステップS600)。第3所定時間Δt3は、第1実施形態の所定時間と同様に、製袋充填包装機1の1サイクル以上の時間であり、好ましくは2サイクル以上の時間である。第3所定時間Δt3は、複数のサイクル単位の時間として定められてもよい。言い換えると、トルク判定部35は、モータトルクTが上限値T1以上となった状態が、製袋充填包装機1が2サイクル以上の第3所定サイクル数を実行する間にわたって継続しているか否かを判定してもよい。
【0052】
制御装置30は、モータトルクTが上限値T1以上となった状態が第3所定時間Δt3にわたって継続したと判定した場合(ステップS600でYes)、ブレーキ力調整部36により、ブレーキ力Bを第5所定値ΔB5だけ低下させる(ステップS700)。その結果、例えば
図9の時刻t5の直後に示すように、ブレーキ力Bの低下に応じてモータトルクTが低下し、包材Wの張力teも低下する。
【0053】
制御装置30は、モータトルクTが上限値T1以上となった状態が第3所定時間Δt3にわたって継続していないと判定した場合(ステップS600でNo)、第2所定時間Δt2以内にモータトルクTの値が下限値T2以下となった回数が第2所定回数以上であるか否かを判定する(ステップS800)。第2所定時間Δt2は、第1実施形態の所定時間と同様に、製袋充填包装機1の1サイクル以上の時間であり、好ましくは2サイクル以上の時間である。第2所定時間Δt2は、複数のサイクル単位の時間として定められてもよい。言い換えると、トルク判定部35は、ステップS400と同様に、製袋充填包装機1が2サイクル以上の第3所定サイクル数を実行するごとに、モータトルクTの値が下限値T2以下となった回数が第2所定回数以上であるか否かを判定してもよい。
【0054】
制御装置30は、第2所定時間Δt2以内にモータトルクTの値が下限値T2以下となった回数が第2所定回数以上であると判定した場合(ステップS800でYes)、ブレーキ力調整部36により、ブレーキ力Bを第4所定値ΔB4だけ増加させる(ステップS900)。その結果、例えば
図9の時刻t6の直後に示すように、ブレーキ力Bの低下に応じてモータトルクTが増加し、包材Wの張力teも増加する。
【0055】
一方、制御装置30は、第2所定時間Δt2以内にモータトルクTの値が下限値T2以下となった回数が第2所定回数以上でないと判定した場合(ステップS800でNo)、トルク判定部35により、モータトルクTが下限値T2以下となった状態が第4所定時間にわたって継続したか否かを判定する(ステップS1000)。第4所定時間は、第1実施形態の所定時間と同様に、製袋充填包装機1の1サイクル以上の時間であり、好ましくは2サイクル以上の時間である。第4所定時間は、複数のサイクル単位の時間として定められてもよい。言い換えると、トルク判定部35は、ステップS600と同様に、モータトルクTが下限値T2以下となった状態が、製袋充填包装機1が2サイクル以上の第4所定サイクル数を実行する間にわたって継続しているか否かを判定してもよい。
【0056】
制御装置30は、モータトルクTが下限値T2以下となった状態が第4所定時間にわたって継続したと判定した場合(ステップS1000でYes)、ブレーキ力調整部36により、ブレーキ力Bを第6所定値だけ増加させる(ステップS1100)。その結果、図示省略するが、ブレーキ力Bの低下に応じてモータトルクTが低下し、包材Wの張力teも低下する。
【0057】
以上のように、第2実施形態の包材供給装置10では、第1所定時間Δt1(例えば、第1所定サイクル数)または第2所定時間Δt2(例えば、第2所定サイクル数)においてモータトルクTが上限値T1から下限値T2の範囲外となった回数が第1所定回数以上または第2所定回数以上である場合(ステップS400、S800でYes)に、ブレーキ力Bを変化させる。また、第2実施形態の包材供給装置10では、第3所定時間Δt3(例えば、第3所定サイクル数)または第4所定時間(例えば、第4所定サイクル数)にわたってモータトルクTが上限値T1から下限値T2の範囲外である状態が継続した場合(ステップS600、S1000でYes)に、ブレーキ力Bを変化させる。したがって、製袋充填包装機1の1サイクルごとにモータトルクTに細かな変動が生じたとしても、ブレーキ力Bの調整が短時間に過剰な回数にわたって行われることを抑制可能となる。すなわち、トルク平均値Taveを用いることなく、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
上記第3所定値ΔB3、第4所定値ΔB4、第5所定値ΔB5および第6所定値は、第1実施形態の第1所定値ΔB1および第2所定値ΔB2と同様に、包材Wの張力teが急峻に変化しないように(すなわち張力teが上記所定の範囲内に維持されるように)モータトルクTを速やかに変化させることができる程度の変化幅であればよい。第1所定値ΔB1、第2所定値ΔB2、第3所定値ΔB3、第4所定値ΔB4、第5所定値ΔB5および第6所定値は、異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。第1所定値ΔB1、第2所定値ΔB2、第3所定値ΔB3、第4所定値ΔB4、第5所定値ΔB5および第6所定値は、例えば、ブレーキ力Bが最大値B1および最小値B2の間で、電空レギュレータ52の仕様による空気圧力の変化段数分だけ変化可能な変化幅として設定されてもよい。
【0059】
また、第1実施形態の所定時間、第1所定時間Δt1、第2所定時間Δt2、第3所定時間Δt3および第4所定時間は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。また、第1所定回数および第2所定回数は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0060】
(変形例)
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えばエア駆動式のブレーキ装置50に代えて、電動モータ式などのブレーキ装置を用いてもよい。
【0061】
また、ブレーキ装置がエア駆動式および電動モータ式などのいずれの場合であっても、ブレーキ力Bを連続的に変化させることができるものであれば、ブレーキ力Bの調整は、第1実施形態および第2実施形態で示したものに限らない。例えば、ブレーキ力Bの調整は、第1所定値ΔB1、第2所定値ΔB2、第3所定値ΔB3、第4所定値ΔB4、第5所定値ΔB5または第6所定値の範囲内で時間経過に伴って徐々に変化させるものであってもよい。また、ブレーキ力Bの調整は、包材Wの張力teが上記所定の範囲内に保たれるように、トルク平均値Tave(またはモータトルクT)の値に基づいて、例えばフィードバック制御などによりブレーキ力Bを連続的に変化させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 製袋充填包装機
5 リール軸
10 包材供給装置
20 製袋包装装置
30 制御装置
50 ブレーキ装置
80 繰り出しローラ
100 繰り出しローラ駆動装置
110 サーボモータ(電動モータ)
B ブレーキ力
T モータトルク
T1 上限値
T2 下限値
Tave トルク平均値
te 張力
W 包材
WR 包材ロール
ΔB1~ΔB5 第1所定値~第5所定値
Δt1~Δt3 第1所定時間~第3所定時間