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特開2024-60410クランプユニット及びクランプシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060410
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】クランプユニット及びクランプシステム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
B23Q3/06 302B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167770
(22)【出願日】2022-10-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (公開1) 掲載日:令和4年4月13日(令和4年4月13日~4月15日) 展示会名:第7回名古屋ものづくりワールド 開催場所:ポートメッセなごや(愛知県名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地) (公開2) 展示日:令和4年6月22日(令和4年6月22日~6月24日) 展示会名:第34回日本ものづくりワールド 開催場所:東京ビックサイト(東京都江東区有明3-11-1)
(71)【出願人】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山辺 義信
【テーマコード(参考)】
3C016
【Fターム(参考)】
3C016CA04
3C016CB02
3C016CC01
(57)【要約】
【課題】複数のクランプユニットを組み合わせる場合の配列自由度を高めることできるクランプユニットを提供する。
【解決手段】本発明のクランプユニットは、ケース内に画成される圧力作用室の圧力が所定の閾値以下であるときはクランプ状態となり、圧力作用室の圧力が所定の閾値より大きいときはアンクランプ状態となるクランプ機構を備える。クランプユニットのケースの第1の外側側面と第2の外側側面には、圧力作用室を経由する給排ポートを介して互いに連通する第1の開口部と第2の開口部が各々設けられる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に貫通する貫通孔を有する略直方体形状の部材であって、前記貫通孔に軸部材が挿通されるケースと、
前記貫通孔に配置され、前記ケース内に画成される圧力作用室の圧力が所定の閾値以下であるときは前記ケースと前記軸部材との前記長手方向における相対移動を規制するクランプ状態となり、前記圧力作用室の圧力が前記所定の閾値より大きいときは前記ケースと前記軸部材との前記長手方向における相対移動を許容するアンクランプ状態となるクランプ機構と、
前記ケースにおける複数の外側側面のうちの第1の外側側面に設けられる第1の開口部と、
前記ケースにおける複数の外側側面のうちの前記第1の外側側面とは異なる第2の外側側面に設けられる第2の開口部と、
前記ケース内に画成され、前記第1の開口部から前記圧力作用室を経由して前記第2の開口部に至る給排ポートと、
を備える、クランプユニット。
【請求項2】
前記ケースの前記第1の外側側面には、前記ケースの短手方向に延在する柱状の凹部が形成され、
前記第1の開口部は、前記凹部に形成される、
請求項1に記載のクランプユニット。
【請求項3】
前記第1の外側側面と前記第2の外側側面とは、前記ケースにおける複数の外側側面のうち、互いに反対側に位置する外側側面である、
請求項2に記載のクランプユニット。
【請求項4】
前記クランプ機構は、
前記軸部材が挿通される筒状の部材であって、前記軸部材の外周面を囲う内周面に、前記長手方向における第1の方向へ向かって径小になるテーパ面が形成される第1の外筒と、
前記軸部材が挿通される筒状の部材であって、該部材の一部が前記テーパ面と前記軸部材の外周面との間隙に挿入される第1の内筒と、
前記第1の内筒に保持され、前記テーパ面と前記軸部材の外周面との間隙を軸方向に沿って転動する複数の第1の転動体と、
前記第1の内筒に対し、前記第1の外筒を前記第1の方向とは逆向きの第2の方向へ付勢する第1の付勢部材と、
前記軸部材が挿通される筒状の部材であって、前記長手方向における一方の端部が前記第1の外筒の前記第2の方向側の端部と当接するように配置され、前記圧力作用室の圧力が前記第1の付勢部材の付勢力より大きいときに前記第1の外筒を前記第1の方向へ押圧する第1のピストンと、
を備える第1のクランプ機構を、含む、
請求項3に記載のクランプユニット。
【請求項5】
前記クランプ機構は、
前記軸部材が挿通される筒状の部材であって、前記軸部材の外周面を囲う内周面に、前記第2の方向へ向かって径小になるテーパ面が形成される第2の外筒と、
前記軸部材が挿通される筒状の部材であって、該部材の一部が前記第2の外筒の前記テーパ面と前記軸部材の外周面との間隙に挿入される第2の内筒と、
前記第2の内筒に保持され、前記第2の外筒の前記テーパ面と前記軸部材の外周面との間隙を軸方向に沿って転動する複数の第2の転動体と、
前記第2の内筒に対し、前記第2の外筒を前記第1の方向へ付勢する第2の付勢部材と、
前記軸部材が挿通される筒状の部材であって、前記長手方向における一方の端部が前記第2の外筒の前記第1の方向側の端部と当接するように配置され、前記圧力作用室の圧力が前記第2の付勢部材の付勢力より大きいときに前記第2の外筒を前記第2の方向へ押圧する第2のピストンと、
を備える第2のクランプ機構を、更に含む、
請求項4に記載のクランプユニット。
【請求項6】
前記第1のクランプ機構と前記第2のクランプ機構とは、前記第1のピストンと前記第2のピストンとが互いに隣接するように、前記ケースに収容され、
前記クランプ機構は、前記軸部材が挿通される筒状の部材であって、その内周面と前記軸部材との間隙に前記第1のピストン及び前記第2のピストンの各々の一部が挿入される形態で前記ケースに固定される中間筒を更に備え、
前記圧力作用室は、前記中間筒の外周面と前記ケースの内周面と前記第1のピストンの外周面と前記第2のピストンの外周面とによって画成される、
請求項5に記載のクランプユニット。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載のクランプユニットを複数連結して構成されるクランプシステムであって、
隣接する2つの前記クランプユニットの一方の前記第2の外側側面における前記第2の開口部と他方の前記第1の外側側面における前記第1の開口部とが対向するように配列される複数の前記クランプユニットと、
複数の前記クランプユニットを挟持する状態で互いに連結される一対のプレートと、
を備え、
一対の前記プレートのうち、配列方向の起端側に配置されるプレートは、前記配列方向の起端に配置される前記クランプユニットの前記第1の開口部に対応する位置に設けられる給排孔を備える、
クランプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプユニット及びクランプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの保持等に使用されるならい装置等では、接触子等が取り付けられた軸部材の相対移動を許容するクランプ状態と軸部材の相対移動を規制するアンクランプ状態とを切替可能なクランプユニットが用いられる場合がある。
【0003】
クランプユニットとしては、例えば、軸部材の軸方向における第1の方向への相対移動を規制可能な第1のクランプ機構と、軸部材の軸方向における第1の方向とは逆向きの第2の方向への相対移動を規制可能な第2のクランプ機構と、を組み合わせたものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
第1のクランプ機構及び第2のクランプ機構は、軸部材が挿入される筒状の部材であって、軸部材の外周面を囲う内周面にテーパ面が形成された外筒と、外筒の内側に配置された内筒と、内筒に保持された複数の転動体と、内筒を介して転動体をテーパ面の径大側から径小側へ付勢する付勢部材と、備えている。
【0005】
上記したクランプユニットでは、テーパ面の径大側から径小側へ向かう向きが第1の方向と一致するように第1のクランプ機構が配置され、且つ、テーパ面の径大側から径小側へ向かう向きが第2の方向と一致するように第2のクランプ機構が配置される。これにより、クランプユニットに対する軸部材の第1の方向への相対移動、及びクランプユニットに対する軸部材の第2の方向への相対移動を規制することが可能になる。また、第1のクランプ機構及び第2のクランプ機構の各々について、内筒を介して転動体をテーパ面の径小側から径大側へ移動させることにより、クランプユニットに対する軸部材の第1の方向への相対移動、及びクランプユニットに対する軸部材の第2の方向への相対移動を許容することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-66365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したようなクランプユニットにおいては、エア圧等の流体圧を利用して、クランプ状態からアンクランプ状態への切替えが行われる場合がある。その場合、クランプユニット毎に流体配管を取り付ける必要がある。クランプユニット毎に流体配管が取り付けられると、複数のクランプユニットを組み合わせてならい装置等を構成する場合に、流体配管が他のクランプユニットと干渉することで、クランプユニットの配列の自由度が低くなる可能性があった。
【0008】
本発明は、上記したような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のクランプユニットを組み合わせる場合の配列自由度を高めることできるクランプユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るクランプユニットは、
長手方向に貫通する貫通孔を有する略直方体形状の部材であって、前記貫通孔に軸部材が挿通されるケースと、
前記貫通孔に配置され、前記ケース内に画成される圧力作用室の圧力が所定の閾値以下であるときは前記ケースと前記軸部材との前記長手方向における相対移動を規制するクランプ状態となり、前記圧力作用の圧力が前記所定の閾値より大きいときは前記ケースと前記軸部材との前記長手方向における相対移動を許容するアンクランプ状態となるクランプ機構と、
前記ケースにおける複数の外側側面のうちの第1の外側側面に設けられる第1の開口部と、
前記ケースにおける複数の外側側面のうちの前記第1の外側側面とは異なる第2の外側側面に設けられる第2の開口部と、
前記ケース内に画成され、前記第1の開口部から前記圧力作用室を経由して前記第2の開口部に至る給排ポートと、
を備える。
【0010】
なお、本発明は、上記したクランプユニットを複数連結して構成されるクランプシステムとして捉えることもできる。その場合のクランプシステムは、例えば、
隣接する2つの前記クランプユニットの一方の前記第2の外側側面における前記第2の開口部と他方の前記第1の外側側面における前記第1の開口部とが対向するように配列される複数の前記クランプユニットと、
複数の前記クランプユニットを挟持する状態で互いに連結される一対のプレートと、
を備え、
一対の前記プレートのうち、配列方向の起端側に配置されるプレートは、前記配列方向の起端に配置される前記クランプユニットの前記第1の開口部に対応する位置に設けられる給排孔を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のクランプユニットを組み合わせる場合の配列自由度を高めることできるクランプユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態におけるクランプユニットの外観を示す第1の斜視図である。
図2】実施形態におけるクランプユニットの外観を示す第2の斜視図である。
図3】実施形態におけるクランプユニットのケースの構成例を示す図である。
図4】ケースの一部が透過されたクランプユニットの斜視図である。
図5】実施形態において、クランプ状態にあるクランプユニットを短手方向から見たときの断面図である。
図6】実施形態における中間筒を長手方向から見たときの断面図である。
図7】実施形態におけるクランプユニットを長手方向から見たときの断面図である。
図8】実施形態におけるクランプユニットの圧力作用室近傍を短手方向から見たときの断面図である。
図9】実施形態において、アンクランプ状態にあるクランプユニットを短手方向から見たときの断面図である。
図10】実施形態におけるクランプユニットを単体使用する方法の一例を説明するための図である。
図11】実施形態におけるクランプユニットを複数連結してクランプシステムを構成する例を説明するための第1の図である。
図12】実施形態におけるクランプユニットを複数連結してクランプシステムを構成する例を説明するための第2の図である。
図13】実施形態におけるクランプユニットを複数連結してクランプシステムを構成する例を説明するための第3の図である。
図14】実施形態におけるクランプシステムのエアの流れを示す図である。
図15】本実施形態におけるクランプユニットを利用してならい装置を構成する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るクランプユニットでは、圧力作用室の圧力が所定の閾値以下であるときは、クランプ機構が、ケースの長手方向(軸部材の軸方向)におけるケースと軸部材との相対移動を規制する(クランプ状態)。また、圧力作用室の圧力が所定の閾値より大きいときは、クランプ機構が、ケースの長手方向におけるケースと軸部材との相対移動を許容する(アンクランプ状態)。クランプ機構は、ケースの長手方向の両方向におけるケースと軸部材との相対移動を規制可能に構成されてもよく、又は、ケースの長手方向の一方向におけるケースと軸部材との相対移動を規制可能に構成されてもよい。
【0014】
本発明に係るクランプユニットによれば、複数のクランプユニットを連結して使用することが可能となる。本発明に係るクランプユニットを複数連結してクランプシステムを構成する場合には、例えば、隣接する2つのクランプユニットの一方の第2の外側側面における第1の開口部と他方の第1の外側側面における第2の開口部とが対向するように、複数のクランプユニットを配列し、それら複数のクランプユニットを一対のプレートにより挟持する態様で連結してもよい。その際、一対のプレートのうち、配列方向の起端側に配置されるプレートは、配列方向の起端に配置されるクランプユニットの第1の開口部と対応する位置に設けられる給排孔を備えるようにしてもよい。
【0015】
上記したように連結された複数のクランプユニットのクランプ機構がクランプ状態にあるときに、配列方向の起端側に配置されるプレートの給排孔に流体(例えば、エア等)が供給されると、流体が配列方向の起端に配置されるクランプユニットの第1の開口部を通じて給排ポートへ流入する。給排ポートへ流入した流体は、圧力作用室を経由して第2の開口部から排出される。配列方向の起端に位置するクランプユニットの第2の開口部から流出した流体は、当該クランプユニットに隣接するクランプユニットの第1の開口部を通じて給排ポートへ流入する。このような流体の流れが形成されることにより、複数のクランプユニットの圧力作用室の圧力が所定の閾値より大きくなる。その結果、複数のクランプユニットのクランプ機構が略一斉にクランプ状態からアンクランプ状態に切り替わる。
【0016】
上記したように連結された複数のクランプユニットがアンクランプ状態にあるときに、配列方向の起端側に配置されるプレートの給排孔への流体の供給が停止されると、配列方向の起端に配置されるクランプユニットの圧力作用室の流体が、給排ポートを通じて第1の開口部から排出される。配列方向の起端に配置されるクランプユニットの第1の開口部から排出された流体は、配列方向の起端側に配置されるプレートの給排孔へ排出される。これに伴い、配列方向の起端に位置するクランプユニット以外のクランプユニットにおいては、圧力作用室の流体が、給排ポートを通って第1の開口部へ流れ、第1の開口部から隣接するクランプユニットの第2の開口部へ排出される。このような流体の流れが形成されることにより、複数のクランプユニットの圧力作用室の圧力が所定の閾値以下となる。その結果、複数のクランプユニットのクランプ機構が略一斉にアンクランプ状態からクランプ状態に切り替わる。
【0017】
なお、複数のクランプユニットを連結して使用する場合における流体の給排は、配列方向の起端に配置されるクランプユニットの第1の開口部に加え、配列方向の終端に配置されるクランプユニットの第2の開口部からも行われるようにしてもよい。その場合、配列方向の終端側に位置するプレートは、配列方向の終端に配置されるクランプユニットの第
2の開口部に対応する位置に設けられる給排孔を備えるようにすればよい。これにより、例えば、連結されるクランプユニットの数が多くなる場合において、クランプ状態とアンクランプ状態との切替動作に関わる複数のクランプユニット間のタイムラグを小さくすることができる。
【0018】
本発明によれば、複数のクランプユニットを連結してクランプシステムを構成することが可能になる。また、本発明によれば、複数のクランプユニットを連結してクランプシステムを構成する場合に、クランプユニット毎に流体配管を取り付ける必要がなくなる。これにより、複数のクランプユニットを組み合わせてならい装置等を構成する場合に、クランプユニットの配列の自由度を高めることができる。さらに、複数のクランプユニットの各々に流体配管を接続する必要がなくなるため、複数のクランプユニットを組み合わせて使用する場合の部品点数を少なく抑えることも可能になり、それに伴ってクランプユニットの配置換えの作業を簡略化することも可能になる。
【0019】
<実施形態>
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
(クランプユニットの概略構成)
本実施形態におけるのクランプユニット1の概略構成について、図1から図3に基づいて説明する。図1は、本実施形態におけるクランプユニット1の第1の斜視図である。図2は、図1中の矢印Aの方向からクランプユニット1の第2の斜視図である。図3は、ケース2における貫通孔20の形状を示す図である。図4は、図1中のケース2の一部を透過した斜視図である。
【0021】
本実施形態のクランプユニット1は、図1から図3に示すように、ケース2を備える。図1から図3に示す例では、ケース2は直方体形状を有しているが、長手方向の端面が凸状若しくは凹状に湾曲した略直方体形状でもよく、又は、長手方向に延在する複数の外側側面のうち、後述の第1の外側側面22及び第2の外側側面23以外の外側側面が凸状若しくは凹状に湾曲した略直方体形状でもよい。ケース2には、図3に示すように、長手方向の一方の端面から他方の端面まで貫通する円柱状の貫通孔20が形成される。ケース2の貫通孔20には、図4に示すように、クランプ機構200が収容される。クランプ機構200には、軸部材100が挿通される。クランプ機構200は、クランプユニット1に対する軸部材100の相対移動を規制するクランプ状態と、クランプユニット1に対する軸部材100の相対移動を許容するアンクランプ状態と、を切り替える機能を有する。本実施形態では、クランプ機構200によるクランプ状態とアンクランプ状態との切替えは、外部に設置されるエアポンプ等によって給排されるエア圧によって行われる。なお、クランプ機構200の詳細については、後述する。
【0022】
長手方向におけるケース2の両端部の各々には、案内装置3が取り付けられる。案内装置3は、ケース2に挿通される軸部材100を、長手方向に沿って直線的に案内する。案内装置3は、例えば、複数の転動体を備える直動軸受である。案内装置3のケース2への取り付けは、例えば、ケース2の長手方向における端面と略同形状のフランジ30を案内装置3に設け、該フランジ30をボルト等でケース2に固定する方法で行われてもよい。その際、案内装置3の一部がケース2の貫通孔20に嵌合する、インロー構造が採用されてもよい。これにより、軸部材100の位置決めを精度良く行うことができる。
【0023】
ケース2の4つの外側側面のうちの1つである第1の外側側面22(図1及び図3において手前を向いている外側側面)には、ケース2の短手方向に沿って延在する、円柱状の
凹部6が形成される。図1及び図3に示す例では、凹部6は、第1の外側側面22の中央部に設けられているが、第1の外側側面22の中央部からオフセットした位置に設けられてもよい。
【0024】
第1の外側側面22の凹部6には、ケース2内にエアを給排するための一対の第1の開口部7と、一対のねじ孔8とが設けられる。一対の第1の開口部7は、第1の外側側面22の短手方向に沿って配列される。一対のねじ孔8は、一対の第1の開口部7の間に、第1の外側側面22の短手方向に沿って配列される。一対のねじ孔8は、ケース2の貫通孔20まで貫通するように形成される。
【0025】
ケース2の4つの外側側面のうち、第1の外側側面22の反対側に位置する外側側面である第2の外側側面23(図2において手前を向いている外側側面)には、ケース2内にエアを給排するための一対の第2の開口部9と、一対のねじ孔8とが設けられる。一対の第2の開口部9は、第2の外側側面23の短手方向に沿って配列される。一対の第2の開口部9は、ケース2の長手方向における位置及びケース2の短手方向における位置が一対の第1の開口部7と同じである。一対のねじ孔8は、一対の第2の開口部9の間に、第2の外側側面23の短手方向に沿って配列される。第2の外側側面23に設けられる一対のねじ孔8は、第1の外側側面22に設けられる一対のねじ孔8と同様に、ケース2の貫通孔20まで貫通するように形成される。
【0026】
ケース2の4つの外側側面のうちの第1の外側側面22及び第2の外側側面23に隣接する第3の外側側面21(図1-2、及び図4において上を向いている外側側面)には、ケース2内にエアを給排するための第3の開口部4が設けられる。図1-2及び図4に示す例では、第3の開口部4は、第3の外側側面21の中央部(第3の外側側面21における2本の対角線が交差する位置と第3の開口部4の中心とが一致する位置)に設けられているが、第3の外側側面21の中央部からオフセットした位置に設けられてもよい。
【0027】
ケース2には、第1の外側側面22から第2の外側側面23へかけて、ケース2の短手方向に沿って貫通する、複数の通し孔5が設けられる。通し孔5の位置は、貫通孔20を回避することができる位置であれば、特に限定されないが、第1の外側側面22及び第2の外側側面23における4つの角の各々の近傍に設けられるようにしてもよい。
【0028】
(クランプ機構の構成)
ここで、クランプ機構200の具体的な構成について、図5から図9に基づいて説明する。図5は、クランプ状態にあるクランプユニット1を短手方向から見たときの断面図である。図6は、長手方向から見たときの中間筒230の断面図である。図7は、長手方向から見たときのクランプユニット1の断面図である。図8は、圧力作用室240の近傍を短手方向から見たときの断面図である。図9は、アンクランプ状態にあるクランプユニット1を短手方向から見たときの断面図である。
【0029】
本実施形態におけるクランプ機構200は、第1のクランプ機構210と、第2のクランプ機構220と、中間筒230と、圧力作用室240と、を含んで構成される。第1のクランプ機構210は、長手方向における第1の方向(図5における向かって左側から右側へ向かう方向)への軸部材100の移動を規制するための機構である。第2のクランプ機構220は、長手方向における第1の方向とは逆向きの第2の方向(図5における向かって右側から左側へ向かう方向)への軸部材100の移動を規制するための機構である。中間筒230は、第1のクランプ機構210と第2のクランプ機構220との間に配置される部材である。
【0030】
第1のクランプ機構210は、図5に示すように、第1の外筒211と、第1の内筒2
12と、複数の第1の転動体213と、第1のコイルバネ214と、第1のピストン215と、第1のパッキン216と、を含んで構成される。
【0031】
第1の外筒211は、貫通孔20の内径と同等若しくは若干小さい外径を有するとともに、軸部材100の外径よりも大きい内径を有する、円筒状の部材である。第1の外筒211の内周面における第1の方向側の部位には、第1の方向へ向かって内径が連続的に小さくなるテーパ面が形成される。これにより、第1の外筒211のテーパ面と軸部材100の外周面との間に、くさび状空間が形成される。
【0032】
第1の内筒212は、長手方向における第1の方向側に位置する案内装置3と第1の外筒211との間に配置される、円筒状の部材である。第1の内筒212は、軸部材100の外径と同等若しくは若干大きい内径を有する。第1の内筒212は、第1の外筒211の内周面におけるテーパ面の最小径部よりも小さい外径となるように形成され、その一部が第1の外筒211と軸部材100との間に挿入される。なお、第1の内筒212における第1の方向側の端部は、貫通孔20の内径と同等若しくは若干小さい外径となるように拡径される。
【0033】
第1の内筒212における、第1の外筒211と軸部材100との間に挿入される部位には、第1の外筒211のテーパ面と軸部材100の外周面との間隙を長手方向に沿って転動する複数の第1の転動体213が保持される。複数の第1の転動体213は、第1の内筒212の周方向に沿って環状に配置され、第1の内筒212に回転自在に保持される。第1の転動体213は、例えば、グォードローラである。なお、第1の転動体213は、ボールでもよい。
【0034】
第1のコイルバネ214は、第1の外筒211内に収容され、第1の内筒212に対して第1の外筒211を第2の方向へ付勢する。第1のコイルバネ214は、本発明に係る「第1の付勢部材」の一例である。なお、第1の外筒211を第2の方向へ付勢する構成要素は、コイルスプリングに限定されず、弾性を有するものであればよい。
【0035】
第1のピストン215は、第1の外筒211の第2の方向側に隣接して配置される、円筒状の部材である。第1のピストン215は、軸部材100の外径と同等若しくは若干大きい内径を有する。第1のピストン215は、貫通孔20の内径よりも小さい外径を有する。ただし、第1のピストン215の第1の方向側の端部は、貫通孔20の内径と同等若しくは若干小さい外径となるように拡径される。
【0036】
第1のパッキン216は、貫通孔20の内径と同等若しくは若干大きい外径を有するとともに、第1のピストン215の外径と同等若しくは若干小さい内径を有する環状の部材である。第1のパッキン216は、第1のピストン215の外周面に嵌合される。その際、第1のパッキン216は、第1の方向側の端部が第1のピストン215の拡径部分に当接するように嵌合される。
【0037】
次に、第2のクランプ機構220は、図5に示すように、第2の外筒221と、第2の内筒222と、複数の第2の転動体223と、第2のコイルバネ224(本発明に係る「第2の付勢部材」に相当。)と、第2のピストン225と、第2のパッキン226と、を含んで構成される。第2の外筒221と第2の内筒222と第2の転動体223と第2のコイルバネ224と第2のピストン225と第2のパッキン226とは、第1のクランプ機構210の第1の外筒211と第1の内筒212と第1の転動体213と第1のコイルバネ214と第1のピストン215と第1のパッキン216との各々と同様に構成される。ただし、第2の外筒221と第2の内筒222と第2の転動体223と第2のコイルバネ224と第2のピストン225と第2のパッキン226とは、第1のクランプ機構21
0とは逆向きに配列される。すなわち、第2のクランプ機構220は、第2の外筒221のテーパ面が第2の方向へ向かって連続的に小さくなる向きに配置される。
【0038】
中間筒230は、長手方向における貫通孔20の中央部であって、第1のクランプ機構210と第2のクランプ機構220との間に配置される略円筒状の部材である。中間筒230は、貫通孔20の内径と同等若しくは若干小さい外径を有する。中間筒230は、軸部材100の外径よりも大きい内径を有する。中間筒230の内周面と軸部材100の外周面との間には、第1のピストン215及び第2のピストン225の一部が、長手方向に沿って進退自在に挿入される。その際、中間筒230の内径、第1のピストン215の厚さ(径方向における内周面から外周面までの距離)、及び、第2のピストン225の厚み(径方向における内周面から外周までの距離)は、中間筒230の内周面と軸部材100の外周面との距離が、第1のピストン215及び第2のピストン225との厚さと同等若しくは若干大きくなるように決定される。
【0039】
なお、本実施形態では、図6に示すように、中間筒230の外周面における2箇所に、一対の平面部231が設けられる。一対の平面部231は、中間筒230の中心軸を挟んで互いに反対側の位置に形成される。その際、一対の平面部231は、互いに平行な面になるように形成される。このように構成される中間筒230は、図7に示すように、一対の平面部231がケース2の第3の外側側面21と平行になる状態で、ケース2に固定される。中間筒230の固定は、第1の外側側面22の2つのねじ孔8と第2の外側側面23の2つのねじ孔8との各々に螺合する止めねじ80により為される。なお、図7に示す例では、4本の止めねじ80により中間筒230が固定されているが、止めねじの本数は3本以下でもよく、或いは5本以上でもよい。
【0040】
上記したように中間筒230がケース2に固定されると、図7及び図8に示すように、貫通孔20の内周面と、中間筒230の平面部231と、第1のピストン215の外周面と、第2のピストン225の外周面と、第1のパッキン216の第2の方向側の端面と、第2のパッキン226の第1の方向側の端面とによって画成された、一対の圧力作用室240が形成される。以下では、一対の圧力作用室240のうち、第3の外側側面21に近い方の圧力作用室240を「第1の圧力作用室240A」と称し、もう一方の圧力作用室240を「第2の圧力作用室240B」と称する。なお、第1の圧力作用室240Aと第2の圧力作用室240Bとに共通の説明を行う場合は、圧力作用室240と記す。
【0041】
ケース2には、図7及び図8に示すように、一対の第1の開口部7と一対の第2の開口部9とを各々に連通させるための一対の第1の給排ポート70が設けられる。一対の第1の給排ポート70のうち、一方の第1の給排ポート70(図7において上側に位置する第1の給排ポート70A)は、第1の圧力作用室240Aを経由するように形成される。一対の第1の給排ポート70のうち、他方の第1の給排ポート70(図7において下側に位置する第1の給排ポート70B)は、第2の圧力作用室240Bを経由するように形成される。また、ケース2には、第3の外側側面21の第3の開口部4と第1の圧力作用室240Aとを連通させるための第2の給排ポート40が設けられる。
【0042】
上記したように構成されるクランプ機構200では、圧力作用室240の圧力が第1のコイルバネ214及び第2のコイルバネ224の付勢力以下であるときは、図5に示すように、第1のクランプ機構210及び第2のクランプ機構220がクランプ状態になる。すなわち、第1のクランプ機構210では、第1のコイルバネ214の付勢力によって第1の外筒211が第2の方向へ付勢され、それに伴って第1の転動体213が第1の外筒211のテーパ面の径大部側から径小部側へ押圧される。これにより、軸部材100を第1の方向へ移動させる外力が加わると、第1の転動体213がテーパ面と軸部材100の外周面とによって画成されるくさび状空間に食い込ことで、クランプユニット1に対する
軸部材100の第1の方向への相対移動が規制される。また、第2のクランプ機構220では、第2のコイルバネ224の付勢力によって第2の外筒221が第1の方向へ付勢され、それに伴って第2の転動体223が第2の外筒221のテーパ面の径大部側から径小部側へ押圧される。これにより、軸部材100を第2の方向へ移動させる外力が加わると、第2の転動体223がテーパ面と軸部材100の外周面とによって画成されるくさび状空間に食い込むことで、クランプユニット1に対する軸部材100の第2の方向への相対移動が規制される。したがって、圧力作用室240の圧力が第1のコイルバネ214及び第2のコイルバネ224の付勢力以下であるときには、第1の方向と第2の方向との双方において、クランプユニット1に対する軸部材100の相対移動が規制される。
【0043】
また、上記したように構成されるクランプ機構200において、圧力作用室240の圧力が第1のコイルバネ214及び第2のコイルバネ224の付勢力より大きくなると、図9に示すように、第1のクランプ機構210及び第2のクランプ機構220がクランプ状態からアンクランプ状態へ切り替わる。すなわち、第1のクランプ機構210では、第1のピストン215が圧力作用室240の圧力を受けて第1の方向に変位する。これにより、第1のピストン215が第1の外筒211を第1の方向へ押圧し、それに伴って第1の転動体213が第1の外筒211のテーパ面の径小部側から径大部側へ転動する。その結果、第1の転動体213が上記のくさび状空間から転がり出ることになる。よって、クランプユニット1に対する軸部材100の第1の方向への相対移動が許容される。また、第2のクランプ機構220では、第2のピストン225が圧力作用室240の圧力を受けて第2の方向に変位する。これにより、第2のピストン225が第2の外筒221を第2の方向へ押圧し、それに伴って第2の転動体223が第2の外筒221のテーパ面の径小部側から径大部側へ転動する。その結果、第2の転動体223が上記のくさび状空間から転がり出ることになる。よって、クランプユニット1に対する軸部材100の第2の方向への相対移動が許容される。したがって、圧力作用室240の圧力が第1のコイルバネ214及び第2のコイルバネ224の付勢力より大きいときには、第1の方向と第2の方向との双方において、クランプユニット1に対する軸部材100の相対移動が許容される。
【0044】
なお、クランプ機構200は、第1の圧力作用室240Aと第2の圧力作用室240Bとの双方を備えるものに限定されず、第1の圧力作用室240Aのみを備えるようにしてもよい。
【0045】
(本実施形態の作用効果)
ここで、本実施形態の作用効果について、図10から図15に基づいて説明する。図10は、クランプユニット1を単体で使用する方法を説明するための図である。図11は、複数のクランプユニット1を連結して使用する方法の一例を説明するための第1の図である。図12は、複数のクランプユニット1を連結して使用する方法の一例を説明するための第2の図である。図13は、複数のクランプユニット1を連結して使用する方法の一例を説明するための第3の図である。図14は、複数のクランプユニット1を連結して使用する場合のエアの流れを示す図である。図15は、複数のクランプユニット1を用いてならい装置を構成する方法の一例を示す図である。
【0046】
先ず、クランプユニット1を単体で使用する場合には、図10に示すように、第1の外側側面22の第1の開口部7を封止部材71により封止するとともに、第2の外側側面23の第2の開口部9を封止部材91により封止する。封止部材71、91としては、止めねじを用いることができる。その場合、第1の開口部7と第2の開口部9には、ねじ溝が形成されるようにすればよい。また、第3の外側側面21の第3の開口部4には、エア配管の一端を接続する。エア配管の他端は、例えば、外部に設置されるエアポンプに接続される。
【0047】
図10に示す状態において、エアポンプから第3の開口部4に対するエア供給が行われると、供給エアが第3の開口部4から第2の給排ポート40を通って第1の圧力作用室240Aに流入する。これにより、第1の圧力作用室240Aの圧力が第1のコイルバネ214及び第2のコイルバネ224の付勢力より大きい圧力まで上昇する。第1の圧力作用室240Aの圧力が第1のコイルバネ214及び第2のコイルバネ224の付勢力より大きくなると、第1のピストン215が第1の方向に変位するとともに、第2のピストン225が第2の方向に変位することで、前述の図9に示したように、第1のクランプ機構210及び第2のクランプ機構220がアンクランプ状態になる。
【0048】
第1のクランプ機構210及び第2のクランプ機構220がアンクランプ状態にあるときに、エアポンプから第3の開口部4に対するエア供給が停止されると、第1の圧力作用室240A内のエアが第2の給排ポート40を通って第3の開口部4から排出される。これにより、第1の圧力作用室240Aの圧力が第1のコイルバネ214及び第2のコイルバネ224の付勢力以下に低下する。第1の圧力作用室240Aの圧力が第1のコイルバネ214及び第2のコイルバネ224の付勢力以下になると、第1のコイルバネ214の付勢力によって第1の外筒211及び第1のピストン215が第2の方向へ変位するとともに、第2のコイルバネ224の付勢力によって第2の外筒221及び第2のピストン225が第1の方向へ変位する。これにより、第1の転動体213が第1の外筒211のテーパ面と軸部材100の外周面との間のくさび状空間に転がり込むとともに、第2の転動体223が第2の外筒221のテーパ面と軸部材100の外周面との間のくさび状空間に転がり込む。その結果、前述の図5に示したように、第1のクランプ機構210及び第2のクランプ機構220がクランプ状態となる。
【0049】
次に、複数のクランプユニット1を連結してクランプシステムを構成する例について、図11から図14に基づいて説明する。ここでは、3つのクランプユニット1を連結してクランプシステムを構成する例について説明を行う。また、3つのクランプユニット1については、連結する順に、第1のクランプユニット1A、第2のクランプユニット1B、第3のクランプユニット1Cと称するものとする。
【0050】
第1から第3のクランプユニット1A-1Cを連結する場合には、図11に示すように、第1から第3のクランプユニット1A-1Cを一対のプレート510-520で挟持して締結ボルト270で締結する。このような連結を行うにあたり、第1から第3のクランプユニット1A-1Cの凹部6A-6Cの各々に、凹部6A-6Cの内径と略同等の外径を有し、且つ凹部6A-6Cの深さより若干大きい厚さを有するパッキン60を嵌め込む。また、第1から第3のクランプユニット1A-1Cの各々の第3の開口部4には、図13に示すように、封止部材41を取り付ける。封止部材41としては、止めねじを用いることができる。その場合、第1から第3のクランプユニット1A-1Cの各々の第3の開口部4には、ねじ溝が形成されるようにすればよい。
【0051】
第1から第3のクランプユニット1A-1Cの各々にパッキン60及び封止部材41を取り付けた後、第1のクランプユニット1Aの第2の外側側面23Aと第2のクランプユニット1Bの第1の外側側面22Bとが互いに接触し、且つ、第2のクランプユニット1Bの第2の外側側面23Bと第3のクランプユニット1Cの第1の外側側面22Cとが互いに接触するように、第1から第3のクランプユニット1A-1Cを配列する。第1のクランプユニット1Aの第1の外側側面22Aには、プレート510を当接させる。プレート510には、1つの給排孔511と、4つの通し孔512とが形成される。給排孔511は、プレート510を貫通する孔であり、第1のクランプユニット1Aの凹部6に対応する位置に設けられる。給排孔511は、外部のエアポンプからのエア配管を接続可能に構成される。プレート510の4つの通し孔512は、第1のクランプユニット1Aの4つの通し孔5に対応する位置に設けられる。また、第3のクランプユニット1Cの第2の
外側側面23Cには、プレート520を当接させる。プレート520の一方の面(第3のクランプユニット1Cの第2の外側側面23Cと接触する面)には、円柱状の凹部521が設けられる。凹部521は、第3のクランプユニット1Cの第2の外側側面23における一対の第2の開口部9に対応する位置に設けられる。凹部521には、凹部521の内径と略同等の外径を有し、且つ凹部521の深さより若干大きい厚さを有するパッキン61が嵌め込まれる。また、プレート520には、4つの通し孔522が設けられる。4つの通し孔522は、第3のクランプユニット1Cの4つの通し孔5に対応する位置に設けられる。
【0052】
上記したように第1から第3のクランプユニット1A-1Cとプレート510-520を並べた状態で、プレート510の通し孔512からプレート520の通し孔5まで、第1から第3のクランプユニット1A-1Cの通し孔5を順次通すようにして、締結ボルト270を取り付ける。そして、締結ボルト270の先端にナットを取り付けて締め付ける。その際の締め付けトルクは、例えば、パッキン60-61が気密性を発揮することができるように決定されてもよい。
【0053】
第1から第3のクランプユニット1A-1Cが連結された状態で、プレート510の給排孔511からエアを供給すると、図14に示すように、供給エアが給排孔511から第1のクランプユニット1Aの凹部6Aへ流入する。凹部6Aへ流入した供給エアは、パッキン60の働きによって外部へ漏洩することなく、第1のクランプユニット1Aの第1の開口部7から第1の給排ポート70へ流入する。第1の給排ポート70へ流入した供給エアの一部は、圧力作用室240へ流入し、残りの供給エアは、第2の開口部9から排出される。
【0054】
第1のクランプユニット1Aの第2の開口部9から排出された供給エアは、第2のクランプユニット1Bの凹部6Bへ流入する。凹部6Bへ流入した供給エアは、パッキン60の働きによって外部へ漏洩することなく、第2のクランプユニット1Bの第1の開口部7から第1の給排ポート70へ流入する。第1の給排ポート70へ流入した供給エアの一部は、圧力作用室240へ流入し、残りの供給エアは、第2の開口部9から排出される。
【0055】
第2のクランプユニット1Bの第2の開口部9から排出された供給エアは、第3のクランプユニット1Cの凹部6Cへ流入する。凹部6Cへ流入した供給エアは、パッキン60の働きによって外部へ漏洩することなく、第3のクランプユニット1Cの第1の開口部7から第1の給排ポート70へ流入する。第1の給排ポート70へ流入した供給エアは、圧力作用室240へ流入する。その際、第1の給排ポート70へ流入した供給エアの一部が、第2の開口部9からプレート520の凹部521へ流入することになるが、パッキン61の働きによって凹部521が気密になっているため、凹部521へ流入した供給エアが外部へ漏洩することが抑制される。
【0056】
図14に示すような供給エアの流れが形成されると、第1から第3のクランプユニット1A-1Cの各々の圧力作用室240の圧力を、第1のコイルバネ214及び第2のコイルバネ224の付勢力よりも大きくすることができる。それにより、第1から第3のクランプユニット1A-1Cの各々の第1のクランプ機構210及び第2のクランプ機構220を、前述の図9に示したように、クランプ状態からアンクランプ状態へ切り替えることができる。
【0057】
また、第1から第3のクランプユニット1A-1Cの各々の第1のクランプ機構210及び第2のクランプ機構220がアンクランプ状態にあるときに、エアポンプから給排孔511へのエア供給が停止されると、前述の図14に示した流れとは逆向きの流れが形成されることで、第1から第3のクランプユニット1A-1Cの各々の圧力作用室240内
の圧力が第1のコイルバネ214及び第2のコイルバネ224の付勢力以下に低下する。これにより、第1から第3のクランプユニット1Cの各々の第1のクランプ機構210及び第2のクランプ機構220が、前述の図5に示したようなクランプ状態に切り替わる。
【0058】
なお、図11から図14では、3つのクランプユニット1を連結する方法を例示したが、2つ又は4つ以上のクランプユニット1を連結する場合も、同様の方法により連結することができる。また、連結するクランプユニット1の数が多くなる場合には、プレート520の凹部521に給排孔を設け、プレート510の給排孔5111とプレート520の給排孔との双方からエアが供給されるようにしてもよい。
【0059】
以上述べた実施形態のクランプユニット1によれば、単体での使用と複数連結しての使用との双方に対応することが可能になる。また、複数連結して使用する場合においては、個々のクランプユニット1にエア配管を接続する必要がないため、周囲の部材と干渉し難くなる。その結果、複数連結して使用する場合における配置の自由度を高めることができる。例えば、図15に示すように、単体のクランプユニット1と複数連結されたクランプユニット1とを組み合わせて、ならい装置を構成することも可能となる。その場合、クランプユニット1の長手方向における両端部が嵌合する孔を複数有する一対のプレート610-620を用いて、各クランプユニット1の位置決めを行うようにすれば、一方のプレート610を取り外すことで、クランプユニット1の配置換えを行うことが可能になる。さらに、本実施形態におけるクランプユニット1によれば、クランプユニット1同士を直に連結することができるため、ならい装置における軸部材100同士の間隔を狭めることができる。その結果、複雑な形状を有するワークに対応可能なならい装置を構成することも可能になる。
【0060】
<他の実施例>
前述した実施形態では、第1のクランプ機構と第2のクランプ機構との双方を備えるクランプユニットを例示したが、第1のクランプ機構と第2のクランプ機構とのうちの何れか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0061】
また、前述した実施形態では、第2の外側側面と第3の外側側面が互いに反対側に位置する外側側面となる例について説明したが、第2の外側側面と第3の外側側面とは、第1の外側側面を除く3つの外側側面のうち、互いに隣接する2つの外側側面でもよい。その場合、第2の給排ポートは、ケース内の適当な箇所で適宜屈曲するように形成されればよい。
【符号の説明】
【0062】
1・・・クランプユニット、2・・・ケース、3・・・案内装置、4・・・第3の開口部、6・・・凹部、7・・・第1の開口部、9・・・第2の開口部、20・・・貫通孔、21・・・第3の外側側面、22・・・第1の外側側面、23・・・第2の外側側面、41・・・封止部材、60・・・パッキン、70・・・第1の給排ポート、71・・・封止部材、100・・・軸部材、200・・・クランプ機構、210・・・第1のクランプ機構、211・・・第1の外筒、212・・・第1の内筒、213・・・第1の転動体、214・・・第1のコイルバネ、215・・・第1のピストン、220・・・第2のクランプ機構、221・・・第1の外筒、222・・・第2の内筒、223・・・第2の転動体、224・・・第2のコイルバネ、225・・・第2のピストン、240(240A-240B)・・・圧力作用室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15