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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060415
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】梯子
(51)【国際特許分類】
   E06C 1/12 20060101AFI20240424BHJP
   E06C 7/50 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
E06C1/12
E06C7/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167776
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000136170
【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野々村 英輝
(72)【発明者】
【氏名】安藤 茂喜
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA01
2E044BA01
2E044CA02
2E044CA04
2E044CB03
2E044DA03
(57)【要約】
【課題】支柱枠体同士の連結安定性に優れた梯子を提供する。
【解決手段】一対の支柱4と複数の踏桟5とを備えた梯子1であって、支柱4は、複数の支柱枠体7と、支柱枠体7の端部7e同士を突き合せた状態で連結する連結具8と、を有し、支柱枠体7は、支柱4の側面を構成する支柱側板7Sと、支柱側板7Sの長縁部7cに沿って左右方向一方に起立形成される一対の支柱端板7Tと、を有し、連結具8は、端部7e相互間に跨って支柱側板7Sにおける支柱端板7T側の面7bに配される第1固定板15と、端部7e相互間に跨って支柱側板7Sにおける支柱端板7Tと反対側の面7aに配される第2固定板16と、第1固定板15および第2固定板16相互を連結固定させる固定部材17,18と、を有し、第2固定板16は、外縁部に沿って突設され、支柱側板7Sの長縁部7cに前後方向外側から当接係合される補助リブ27を有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在し且つ左右方向に所定の間隔を存して並設される左右一対の支柱と、前記支柱間に横架される複数の踏桟と、を備えた梯子であって、前記支柱は、複数の支柱枠体と、前記支柱枠体の端部同士を突き合せた状態で連結する連結具と、を有し、
前記支柱枠体は、前記支柱の側面を構成する支柱側板と、前記支柱側板の両長縁部に沿って当該長縁部から左右方向一方に起立形成される一対の支柱端板と、を有し、
前記連結具は、前記端部相互間に跨って前記支柱側板における前記支柱端板側の面に面合わせの状態で配される第1固定板と、前記端部相互間に跨って前記支柱側板における前記支柱端板と反対側の面に面合わせの状態で配される第2固定板と、前記第1固定板および前記第2固定板相互を連結固定させる固定部材と、を有し、
前記第2固定板は、外縁部に沿って突設され、前記支柱側板の前記長縁部に前後方向外側から当接係合される補助リブを有している梯子。
【請求項2】
前記梯子において使用者が昇降する側を後側、その反対側を前側として、
前記第2固定板は、前側の外縁部に沿って前記補助リブが突設されている請求項1に記載の梯子。
【請求項3】
前記補助リブは、基端部の前後幅が先端部の前後幅よりも大きく形成されている請求項1に記載の梯子。
【請求項4】
前記固定部材は、前記第1固定板および前記第2固定板相互間に板面方向から貫挿される連結軸を有し、
前記支柱枠体のうち一方の第1支柱枠体は、前記支柱側板の短手側の端面から上下方向に延長形成され、当該第1支柱枠体を他方の第2支柱枠体に連設させたときに前記連結軸が挿通される連結スリットを有している請求項1~3のいずれか1項に記載の梯子。
【請求項5】
前記連結スリットは、前記第1支柱枠体を前記第2支柱枠体に対して前後方向一方にずらして連設させた仮連結状態のときに前記連結軸が挿通される案内部と、前記案内部から前後方向一方に延長形成され、前記第1支柱枠体および前記第2支柱枠体を一直線状に並べて連設させた掛合状態のときに前記連結軸が挿通掛合される掛合部と、を有している請求項4に記載の梯子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱が長手方向に分割して構成された梯子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高所用の長尺の梯子において、輸送性や保管性を考慮して、踏桟を支持する左右の支柱が長手方向に分割して構成されており、それら支柱の端部同士を突き合わせ、連結部材で連結したものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された梯子では、支柱は、断面略U字状の枠体であり、背板と、背板の両側辺に連続し、且つ背板と直交して起立形成される一対の側板と、を有している。一方、連結部材は、支柱よりも一回り小さい断面略U字状の板材であり、支柱の背板に対向して配置される連結背板と、連結背板の両側辺に連続し、且つ支柱の側板に対向して配置される一対の連結側板と、を備えている。また、連結背板は、支柱の背板側へ凸の湾曲形状に形成されており、ボルトおよびナットを板面方向双方から締結して直線形状に変形させることによって、連結側板の外面を支柱の側板の内面に面合わせの状態で当接させる。これにより、支柱同士のずれや曲がりを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-71001号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の支柱連結構造では、支柱の側板の反りや歪みの増加、連結部材の剛性等によっては、ボルトおよびナットを締め付けても連結側板が支柱の側板に対して適切に当接されず、支柱同士のずれや曲がり、がたつきを十分に抑制できなかった。しかも、このものでは、連結背板を直線形状に変形させるべく、連結背板の両側辺にボルトおよびナットを配置する必要があるため、その分、連結部材の取り付けや取り外しに手間もかかった。
【0006】
本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであり、支柱の連結安定性および組立作業性に優れた梯子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の梯子は、以下の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の梯子は、上下方向に延在し且つ左右方向に所定の間隔を存して並設される左右一対の支柱と、前記支柱間に横架される複数の踏桟と、を備えた梯子であって、前記支柱は、複数の支柱枠体と、前記支柱枠体の端部同士を突き合せた状態で連結する連結具と、を有し、前記支柱枠体は、前記支柱の側面を構成する支柱側板と、前記支柱側板の両長縁部に沿って当該長縁部から左右方向一方に起立形成される一対の支柱端板と、を有し、前記連結具は、前記端部相互間に跨って前記支柱側板における前記支柱端板側の面に面合わせの状態で配される第1固定板と、前記端部相互間に跨って前記支柱側板における前記支柱端板と反対側の面に面合わせの状態で配される第2固定板と、前記第1固定板および前記第2固定板相互を連結固定させる固定部材と、を有し、前記第2固定板は、外縁部に沿って突設され、前記支柱側板の前記長縁部に前後方向外側から当接係合される補助リブを有している。
【0009】
前記梯子において使用者が昇降する側を後側、その反対側を前側として、前記第2固定板は、前側の外縁部に沿って前記補助リブが突設されてもよい。
【0010】
前記補助リブは、基端部の前後幅が先端部の前後幅よりも大きく形成されてもよい。
【0011】
前記固定部材は、前記第1固定板および前記第2固定板相互間に板面方向から貫挿される連結軸を有し、前記支柱枠体のうち一方の第1支柱枠体は、前記支柱側板の短手側の端面から上下方向に延長形成され、当該第1支柱枠体を他方の第2支柱枠体に連設させたときに前記連結軸が挿通される連結スリットを有してもよい。
【0012】
前記連結スリットは、前記第1支柱枠体を前記第2支柱枠体に対して前後方向一方にずらして連設させた仮連結状態のときに前記連結軸が挿通される案内部と、前記案内部から前後方向一方に延長形成され、前記第1支柱枠体および前記第2支柱枠体を一直線状に並べて連設させた掛合状態のときに前記連結軸が挿通掛合される掛合部と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の梯子によれば、支柱端板の反りや歪み等にかかわらず、支柱枠体同士を確実に連結固定させることができるから、支柱の連結安定性が格段に向上する。しかも、連結具は、第2固定板の補助リブを支柱側板の長縁部に当接係合させることによって支柱枠体に対して位置決め保持されるから、その分、固定部材の配置箇所を削減できる。よって、組立作業性も格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】梯子の後方斜視図である。
図2】第1梯子部の連結具周辺の後方斜視図である。
図3】第2梯子部の連結具周辺の後方斜視図である。
図4】連結具周辺の一部を分解した状態の斜視図1である。
図5】連結具周辺の一部を分解した状態の斜視図2である。
図6】連結具周辺の一部を分解した状態の断面図である。
図7】変形例1を示す連結具周辺の後方斜視図である。
図8】変形例1を示す連結具周辺の側方視図である。
図9】変形例2を示す連結具周辺の側方視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る梯子を、図面に基づき説明する。尚、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の梯子1は、第1梯子部1Aおよび第2梯子部1Bを相対的にスライド移動させることによって長さ調整可能な二連梯子であり、第1梯子部1Aおよび第2梯子部1B相互を長手方向へ移動可能に連結するスライド機構部2と、第1梯子部1Aの所定位置に掛合し、第2梯子部1Bを支持するフック部3とを有している。尚、本発明は、二連梯子に限らず、一連梯子、三連梯子、脚立型梯子、三脚型梯子、踏台型梯子、作業台用梯子など、種々の梯子構造体に適用できる。
【0017】
図1は、第2梯子部1Bを所定の伸長位置までスライド移動させた状態の梯子1を示している。第2梯子部1Bは、この状態から第1梯子部1Aに沿って所定の短縮位置までスライド移動させることで、第1梯子部1Aに重ねて配される。これにより、梯子1は、コ
ンパクトに収納可能となる。
【0018】
スライド機構部2は、第1滑車2Aおよび第2滑車2Bを有している。第1滑車2Aは、第1梯子部1Aの支柱4の上端近傍に連結支持されている。第2滑車2Bは、第2梯子部1Bの支柱4の中間部に固定されている。図示しないが、第1滑車2Aおよび第2滑車2Bは、操作ロープで連結されており、上記操作ロープの操作に連動して第1梯子部1Aおよび第2梯子部1Bを相対的に長手方向へスライド移動させる。
【0019】
フック部3は、第2梯子部1Bの支柱4の中間部に連結支持されている。第2梯子部1Bは、フック部3を第1梯子部1Aの所定の踏桟5に掛合させることによって、第1梯子部1Aの所定のスライド位置にて支持固定される。図示しないが、フック部3は、上記操作ロープの操作に連動して踏桟5との掛合状態を適宜解除させる。
【0020】
第1梯子部1Aおよび第2梯子部1Bはいずれも、上下方向に延在し且つ左右方向に所定の間隔を存して並設される一対の支柱4と、支柱4間に上下方向へ所定の間隔を存して横架される複数の踏桟5と、を備えている。また、第1梯子部1Aは、各支柱4の下端部にそれぞれ滑り止め端具6を備えており、使用時、滑り止め端具6を床面に接地させて起立保持される。
【0021】
尚、本実施形態では、支柱4の長手方向(図1の矢視Z1,Z2方向)を上下方向、支柱4の短手方向で且つ踏桟5の長手方向(図1の矢視Y1,Y2方向)を左右方向、支柱4の短手方向で且つ踏桟5の長手方向に対して直交する方向(図1の矢視X1,X2方向)を前後方向とする。また、本実施形態の梯子1は、第1梯子部1Aおよび第2梯子部1Bの片側の面が使用者の昇降面として用いられるが、当該梯子1において使用者が昇降する側(図1の矢視X2側)を後側、その反対側(図1の矢視X1側)を前側とする。
【0022】
図2図5に示すように、支柱4は、上下方向に並ぶ複数(ここでは、2つ)の支柱枠体7と、それら支柱枠体7の端部7e同士を突き合せた状態で連結固定する連結具8と、を有している。尚、本実施形態では、第1梯子部1Aおよび第2梯子部1B共に、支柱4が複数の支柱枠体7に分割して構成されているが、第1梯子部1Aまたは第2梯子部1Bのいずれか一方のみ、支柱4が複数の支柱枠体7に分割して構成され、他方の支柱4は、分割されていない1本の枠材によって構成されてもよい。また、支柱4は、2つの支柱枠体7同士を上下に連結して構成されたものに限らず、3つ以上の支柱枠体7同士を上下に連結して構成されてもよい。
【0023】
図6に示すように、支柱枠体7は、断面略U字状の枠材であり、支柱4の側面を構成する支柱側板7Sと、支柱4の前面および後面を構成する一対の支柱端板7Tとを有している。支柱端板7Tは、支柱側板7Sの前後の両長縁部7cに沿って当該長縁部7cから左右方向一方へ略直角に起立形成されている。即ち、支柱枠体7の前後の両長縁角部は、略直角に形成されている。
【0024】
第1梯子部1Aの支柱枠体7および第2梯子部1Bの支柱枠体7は、一側面の開放部R相互を対面させ、且つ一方の支柱端板7T相互を近接対向させた状態で連結されている。即ち、第1梯子部1Aおよび第2梯子部1Bの支柱枠体7相互は、前後に偏心した状態で連結されている。本実施形態では、第2梯子部1Bは、第1梯子部1Aの前側に連設されている。また、本実施形態では、第1梯子部1Aの支柱側板7Sが梯子1の左右方向外側に配され、第2梯子部1Bの支柱側板7Sが梯子1の左右方向内側に配される。
【0025】
図2図3に示すように、第1梯子部1Aの支柱4は、開放部R相互を左右内向きにした状態で左右に並設されている。一方、第2梯子部1Bの支柱4は、開放部R相互を左右
外向きにした状態で左右に並設されている。踏桟5は、支柱側板7Sに開設された踏桟連結孔11に嵌挿支持されている。即ち、第1梯子部1Aの踏桟5は、支柱枠体7の開放部Rを通じて支柱側板7Sの踏桟連結孔11に嵌挿されている。一方、第2梯子部1Bの踏桟5は、支柱枠体7の開放部Rと反対側から支柱側板7Sの踏桟連結孔11に嵌挿されている。
【0026】
また、図4図6に示すように、支柱側板7Sは、ボルト挿通孔12と、ガイドリブ13,14とを有している。ボルト挿通孔12は、円形状の貫通孔であり、支柱側板7Sの前後間中央やや前寄りの位置に複数並設されている。本実施形態では、ボルト挿通孔12は、各支柱枠体7の端部7e寄りの位置に2つ、上下方向に並んで設けられている。尚、ボルト挿通孔12は、各支柱枠体7の端部7e寄りの位置に3つ以上設けられてもよい。
【0027】
ガイドリブ13,14は、支柱側板7Sの外側面(支柱端板7Tと反対側の面)7aおよび内側面(支柱端板7T側の面)7bの両面に沿ってそれぞれ、上下方向に延長形成されている。本実施形態では、ガイドリブ13,14は、支柱側板7Sにおけるボルト挿通孔12の形成位置(図6に示す基準線L1)を挟んで前後両側に並設されている。また、支柱側板7Sの外側面7a側のガイドリブ(外リブ)14は、支柱側板7Sの上記基準線L1を挟んで前後両側にそれぞれ、短手方向に複数平行に並んで設けられている。また、外リブ14は、支柱側板7Sの前後対称位置に設けられている。支柱側板7Sの内側面7b側のガイドリブ(内リブ)13も同様、支柱側板7Sの前後対称位置に設けられている。尚、ガイドリブ13,14は、支柱側板7Sの上記基準線L1の前後一方にのみ設けられてもよいし、支柱側板7Sの上記基準線L1上に設けられてもよい。
【0028】
連結具8は、第1固定板15と、第2固定板16と、これら第1固定板15および第2固定板16相互を連結固定させる固定部材としてのボルト17およびナット18と、を有している。第1固定板15は、支柱枠体7の端部7e相互間に跨って支柱側板7Sの内側面7bに面合わせの状態で配される。一方、第2固定板16は、上記端部7e相互間に跨って支柱側板7Sの外側面7aに面合わせの状態で配される。そして、これら第1固定板15および第2固定板16相互をボルト17およびナット18によって左右方向から締結させることで、2つの支柱枠体7の端部7e同士が連結固定される。
【0029】
尚、本実施形態では、ボルト17は、ヘッド部17Hが平らな円板状に形成された所謂六角穴付き低頭ボルトが用いられる(図6参照)。また、第1固定板15および第2固定板16相互を連結固定させる固定部材は、使用者が自在に付け外し可能であれば、第1固定板15または第2固定板16のいずれか一方に形成されたネジ孔と、他方の板体(第2固定板16または第1固定板15)の外側から上記ネジ孔に螺合接続させる固定ネジとで構成されてもよいし、第1固定板15または第2固定板16のいずれか一方に貫挿されるロックピンと、上記ロックピンを他方の板体(第2固定板16または第1固定板15)の外側から係合保持するピン係合部とで構成されてもよい。この場合、上記固定ネジの軸部、或いはロックピンの軸部が、第1固定板15および第2固定板16相互間に板面方向から貫挿される連結軸となる。
【0030】
第1固定板15は、上下方向に長い板体であり、ボルト挿通孔21と、回転止め22と、係合溝23と、を有している。ボルト挿通孔21は、円形状の貫通孔であり、第1固定板15の上下方向に複数並設されている。また、ボルト挿通孔21は、第1固定板15を支柱枠体7相互間に跨って支柱側板7Sの内側面7bの所定位置に配したときに、各支柱枠体7のボルト挿通孔12と重なり合う位置に設けられている。本実施形態では、ボルト挿通孔21は、一方の支柱枠体7のボルト挿通孔12と重なり合う位置に2つ、他方の支柱枠体7のボルト挿通孔12と重なり合う位置に2つの計4つが上下方向に一列に並んで設けられている。また、本実施形態では、第1固定板15は、前後間の中央位置よりも前
方へ偏心した位置にボルト挿通孔21が設けられている。従って、ボルト挿通孔21が支柱枠体7のボルト挿通孔12に重なるように第1固定板15を支柱側板7Sの内側面7bに面合わせの状態にしたとき、後端縁が後側の支柱端板7Tの内側面に近接し、前端縁が前側の支柱端板7Tの内側面から離間する位置に配される。
【0031】
回転止め22は、第1固定板15の一方の板面部(外側面)15aにおけるボルト挿通孔21を挟んで前後両側に一対、上下方向に延長形成されている。回転止め22相互の離間幅は、ナット18外周の二面幅と略同一に設定されている。尚、回転止め22は、ナット18の回転を適切に制止可能であれば、第1固定板15の外側面15aにおけるボルト挿通孔21の前後一方にのみ設けられてもよい。
【0032】
係合溝23は、第1固定板15の他方の板面部(内側面)15bに沿って上下方向に延長形成されており、第1固定板15を支柱側板7Sの内側面7bの所定位置に面合わせの状態で重ねたときに、支柱側板7Sの内リブ13が嵌挿される。これにより、第1固定板15は、支柱側板7Sの内側面7bに対して前後方向に位置決め保持される。本実施形態では、係合溝23は、ボルト挿通孔21を挟んで前後両側に並設されている。尚、係合溝23は、支柱側板7Sの内リブ13の配置に合わせて、ボルト挿通孔21の前後一方にのみ設けられてもよいし、ボルト挿通孔21と重なる位置に設けられてもよい。
【0033】
第2固定板16は、上下に長い板体であり、ボルト挿通孔24と、隆起部25と、係合溝26と、補助リブ27と、を有している。ボルト挿通孔24は、円形状の貫通孔であり、第2固定板16の上下方向に複数並設されている。また、ボルト挿通孔24は、第2固定板16を支柱枠体7相互間に跨って支柱側板7Sの外側面7aの所定位置に配したときに、各支柱枠体7のボルト挿通孔12と重なり合う位置に設けられている。本実施形態では、ボルト挿通孔24は、一方の支柱枠体7のボルト挿通孔12と重なり合う位置に2つ、他方の支柱枠体7のボルト挿通孔12と重なり合う位置に2つの計4つが上下方向に一列に並んで設けられている。
【0034】
尚、ボルト17は、軸部17Jを第2固定板16、支柱側板7S、および第1固定板15の各ボルト挿通孔24,12,21に、第2固定板16の一方の板面部(外側面)16aの外側から貫挿させる。即ち、軸部17Jは、連結軸として第1固定板15および第2固定板16相互間に板面方向から貫挿される。これにより、支柱枠体7の端部7e同士が突き合わせ状態で保持される。一方、ナット18は、第1固定板15のボルト挿通孔21から突出した軸部17Jに対して、第1固定板15の板面方向から螺合接続される。本実施形態では、上下方向に並ぶ4つの固定部材(ボルト17およびナット18)によって第1固定板15および第2固定板16が支柱枠体7に対して連結固定されている。
【0035】
隆起部25は、第2固定板16の外側面16aにおけるボルト挿通孔21を挟んで前後両側に一対、上下方向に延長形成されている。また、隆起部25は、ボルト17のヘッド部17Hよりも外側へ隆起する上方視断面略台形状に形成されている(図6参照)。これにより、上記ヘッド部17Hに外物が衝突したり使用者の手が引掛かったりし難い。また、図示しないが、隆起部25の頂面(上底部)には、上下方向(長手方向)に延長し且つ前後方向(短手方向)に複数平行に並ぶ筋状の凹凸が形成されており、支柱側板7Sの外リブ14との外観上の統一を図っている。尚、隆起部25は、ヘッド部17Hへの外物の衝突や手の引掛かりを抑制可能であれば、第1固定板15の外側面15aにおけるボルト挿通孔21の前後一方にのみ設けられてもよい。
【0036】
係合溝26は、第2固定板16の他方の板面部(内側面)16bに沿って上下方向に延長形成されており、第2固定板16を支柱側板7Sの外側面7aの所定位置に面合わせの状態で重ねたときに、支柱側板7Sの外リブ14が嵌挿される。これにより、第2固定板
16は、支柱側板7Sの外側面7aに対して前後方向に位置決め保持される。本実施形態では、係合溝26は、ボルト挿通孔24を挟んで前後両側に並設されている。尚、係合溝26は、支柱側板7Sの外リブ14の配置に合わせて、ボルト挿通孔24の前後一方にのみ設けられてもよいし、ボルト挿通孔24と重なる位置に設けられてもよい。
【0037】
補助リブ27は、第2固定板16の外縁部における前後一方の長縁部16cに沿って、当該長縁部16cから左右方向一方へ略直角に突出形成されている。本実施形態では、補助リブ27は、梯子1において使用者が昇降する側の反対側にあたる第2固定板16の前側の長縁部16cに沿って突設されている。従って、上記のように第2固定板16を支柱側板7Sの外側面7aに面合わせの状態で重ねたとき、補助リブ27は、支柱枠体7の端部7e相互間に跨って支柱側板7Sの長縁部7c、即ち、支柱枠体7の前側の長縁角部に前後方向外側から当接係合される。これにより、支柱枠体7の端部7e同士の前後方向へのずれや曲がりが抑制される。
【0038】
また、本実施形態では、第2固定板16の前後一方の長縁部16cにのみ補助リブ27が設けられているため、第2固定板16を支柱側板7Sの外側面7aに重ねた後、当該外側面7aに沿って第2固定板16を前後方向一方へスライド移動させることで、補助リブ27を支柱側板7Sの長縁部7cに対して確実に当接係合させることができる。尚、補助リブ27は、支柱側板7Sの長縁部7cに対して確実に当接係合可能であれば、第2固定板16の前後両方の長縁部16cに設けられてもよいし、第2固定板16の後側の長縁部16cにのみ設けられてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、支柱側板7Sの前後間中央やや前寄りの位置にボルト挿通孔12が形成されているため、使用者が誤って第2固定板16を前後反対向きで支柱側板7Sの外側面7aに取り付けようとしても、補助リブ27が支柱側板7Sに干渉して、ボルト挿通孔12,24相互を一致させた状態で重ねられない。同様に、第1固定板15を前後反対向きで支柱側板7Sの内側面7bに取り付けようとしても、第1固定板15の前後一方の縁部が支柱端板7Tに干渉して、ボルト挿通孔12,21相互を一致させた状態で重ねられない。これにより、支柱枠体7同士が不適切な状態で連結されるのを確実に防止できる。
【0040】
図6に示すように、補助リブ27は、基端部(補助リブ基端)27aの前後幅が先端部(補助リブ先端)27bの前後幅よりも大きく形成されている。これにより、補助リブ27全体の剛性が向上する。本実施形態では、補助リブ基端27aの前後方向の幅寸法は、補助リブ先端27bの前後方向の幅寸法の3/2に設定されている。
【0041】
上記のとおり、本実施形態の梯子1は、上下の支柱枠体7の支柱側板7Sにそれぞれ、複数のボルト挿通孔12が貫設されており(図4図5参照)、これらボルト挿通孔12を介してボルト17およびナット18相互を螺合接続させるように構成されている。詳しくは、まず、両支柱枠体7の端部7e同士を突き合わせると共に、各支柱側板7Sに対して第1固定板15および第2固定板16を左右方向から対面させて重ね合わせる。そしてこの状態で、第1固定板15および第2固定板16の各ボルト挿通孔21,24の位置を支柱側板7Sのボルト挿通孔12の位置に合わせた後、各ボルト挿通孔12,21,24に第2固定板16の外側からボルト17を挿通させ、それらボルト17に対してナット18を第1固定板15の外側から螺合接続させる。これにより、上下の支柱枠体7同士が強固に連結固定される。
【0042】
<変形例1>
一方、図7図8に示す梯子1は、支柱枠体7のうち一方の第1支柱枠体71における支柱側板7Sの短手側の端面31に、ボルト挿通孔12に代えて連結スリット32が形成
されており、他方の第2支柱枠体72に連結具8を仮止め保持させた後、当該連結具8に上記第1支柱枠体71を差し込んで連結固定可能に構成されている。
【0043】
詳しくは、第1支柱枠体71は、ボルト挿通孔12に代えて、支柱側板7Sの短手側の端面(突き合わせ端面)31に連結スリット32が設けられている。連結スリット32は、ボルト17の軸部17Jの直径と略同幅の切欠であり、上記突き合わせ端面31から上下方向に延長形成されている。従って、第1支柱枠体71を第2支柱枠体72に対して上下方向から突き合わせ状態で連設させたとき、当該連結スリット32に沿って軸部17Jが挿通される。
【0044】
本実施形態では、連結スリット32は、側方視略F字状に形成されており、上記突き合わせ端面31から上下方向に延長形成される案内部32Aと、案内部32Aの終端位置および中間位置からそれぞれ前後方向一方(ここでは、後方)に延長形成される掛合部32Bとを有している。
【0045】
案内部32Aは、支柱側板7Sにおける掛合部32Bの終端中心位置(図8に示す基準線L2)よりも前後方向一方(ここでは、前方)へ偏心した位置に設けられている。即ち、案内部32Aは、第1支柱枠体71を第2支柱枠体72に対して前後方向一方(ここでは、後方)にずらして連設させた仮連結状態のときに、軸部17Jが挿通される位置に設けられている。
【0046】
掛合部32Bは、第1支柱枠体71における上記基準線L2上に、上下に並んで設けられている。即ち、掛合部32Bは、第1支柱枠体71および第2支柱枠体72を一直線状に並べて連設させた掛合状態のときに、軸部17Jが挿通掛合される位置に設けられている。
【0047】
このものでは、まず、第2支柱枠体72の支柱側板7Sに、第1固定板15および第2固定板16を左右方向から対面させて重ね合わせると共に、各ボルト挿通孔12,21,24の位置を合わせ、それらボルト挿通孔12,21,24を通じてボルト17およびナット18を螺合接続させる。これにより、連結具8が第2支柱枠体72の端部7eに仮止め状態で連結保持される。
【0048】
次に、第1支柱枠体71を第2支柱枠体72に対して前後方向一方にずらした状態で、第1固定板15および第2固定板16の対向面相互の間隙S1に挿通させる(図8参照)。これにより、連結具8の片側(ここでは、上側)2つのボルト17の軸部17Jはそれぞれ、連結スリット32の案内部32Aに案内され、両支柱枠体7は、端部7e同士を前後にずらして突き合わせた仮連結状態となる。
【0049】
この仮連結状態からさらに、第1支柱枠体71を第2支柱枠体72の突き合わせ端面31に沿って上記ずれ方向と反対方向に、支柱側板7Sの長縁部7cが補助リブ27に当接する位置まで摺動させる。これにより、上記2つの軸部17Jはそれぞれ、連結スリット32の掛合部32Bに案内され、両支柱枠体7は、支柱端板7T相互を前後に面一致させ、上下一直線状に並べて連設された掛合状態となる。そしてこの状態で、ボルト17およびナット18相互を締め付けることによって、上下の支柱枠体7同士が強固に連結固定される。
【0050】
<変形例2>
また、図9に示す梯子1では、連結スリット33が第1支柱枠体71における支柱側板7Sの短手側の端面31から上下方向へ斜めに延長形成されており、他方の第2支柱枠体72に連結具8を仮止め保持させた後、当該連結具8に対して第1支柱枠体71を傾けた
状態で差し込み、さらに第2支柱枠体72に対して一直線状となるように第1支柱枠体71を回動させることによって連結固定可能に構成されている。
【0051】
詳しくは、本実施形態の連結スリット33は、支柱側板7Sの短手側の端面(突き合わせ端面)31から上下方向且つ前後方向一方(ここでは、後方)に傾斜して延長形成される案内部33Aと、案内部33Aの終端位置および中間位置からそれぞれ前後方向双方に延長形成される掛合部33Bとを有している。
【0052】
案内部33Aは、支柱側板7Sにおける掛合部33Bの終端中心位置(図8に示す基準線L2)よりも前後方向一方(ここでは、前方)から掛合部33B相互間を通って上記終端中心位置よりも前後方向他方(ここでは、後方)へ延長形成されている。
【0053】
掛合部33Bは、第1支柱枠体71の基準線L2上に、上下に並んで設けられている。即ち、掛合部33Bは、第1支柱枠体71および第2支柱枠体72を一直線状に並べて連設させた掛合状態のときに、軸部17Jが挿通掛合される位置に設けられている。
【0054】
このものでは、まず、上記実施形態のとおり第2支柱枠体72の端部7eに連結具8を仮止め状態で連結保持させる。そして、第1支柱枠体71を前後方向(ここでは、前方)へ傾けた姿勢で、連結具8の間隙S1に挿通させることで、連結具8の片側(ここでは、上側)2つのボルト17の軸部17Jがそれぞれ、連結スリット33の案内部33Aに案内された仮連結状態となる。さらに、第1支柱枠体71を傾斜方向と反対方向(ここでは、後方)に回動させることで、2つの軸部17Jがそれぞれ、連結スリット33の掛合部33Bに前後方向から案内される。その結果、両支柱枠体7は、支柱端板7T相互を前後に面一致させ、上下一直線状に並べて連設された掛合状態となる。そしてこの状態で、ボルト17およびナット18相互を締め付けることによって、上下の支柱枠体7同士が強固に連結固定される。
【0055】
このように、上記実施形態の梯子1は、上下方向に延在し且つ左右方向に所定の間隔を存して並設される左右一対の支柱4と、支柱4間に横架される複数の踏桟5と、を備えた梯子1であって、支柱4は、複数の支柱枠体7と、支柱枠体7の端部7e同士を突き合せた状態で連結する連結具8と、を有し、支柱枠体7は、支柱4の側面を構成する支柱側板7Sと、支柱側板7Sの両長縁部7cに沿って当該長縁部7cから左右方向一方に起立形成される一対の支柱端板7Tと、を有し、連結具8は、端部7e相互間に跨って支柱側板7Sにおける支柱端板7T側の面7bに面合わせの状態で配される第1固定板15と、端部7e相互間に跨って支柱側板7Sにおける支柱端板7Tと反対側の面7aに面合わせの状態で配される第2固定板16と、第1固定板15および第2固定板16相互を連結固定させる固定部材17,18と、を有し、第2固定板16は、外縁部に沿って突設され、支柱側板7Sの長縁部7cに前後方向外側から当接係合される補助リブ27を有している。
【0056】
この構成によれば、第2固定板16の外縁部に突設された補助リブ27を支柱側板7Sの長縁部7c、即ち、支柱枠体7の長縁角部に沿って前後方向外側から当接係合させた状態で、支柱枠体7相互を第1固定板15および第2固定板16によって連結固定させることができるから、支柱4の連結安定性が格段に向上する。
【0057】
しかも、このものでは、上記のように補助リブ27を支柱枠体7の長縁角部に当接係合させた状態で、支柱枠体7相互を連結固定させることができるから、第1固定板15および第2固定板16を連結固定させるのに、固定部材17,18を必要以上に配置する必要がない。即ち、固定部材17,18の数を最小限に抑えることができる。よってその分、組立作業性も格段に向上する。
【0058】
また、上記梯子1において、使用者が昇降する側を後側、その反対側を前側として、第2固定板16は、前側の外縁部16cに沿って補助リブ27が突設されている。使用者が梯子1を昇降する際、支柱枠体7の端部7e相互の突き合わせ部には、その前方へ折曲する方向に大きな荷重が加わる。しかしながら、このものでは、支柱側板7Sの長縁部7cに前方外側から補助リブ27が当接係合されるから、上記突き合わせ部のずれや曲がりを確実に抑制できる。これにより、支柱4の連結安定性が一層向上する。
【0059】
また、補助リブ27は、基端部の前後幅が先端部の前後幅よりも大きく形成されている。このものでは、補助リブ27の前後方向への反りや歪みがより生じ難いから、上記突き合わせ部のずれや曲がりを確実に抑制できる。これにより、支柱4の連結安定性が一層向上する。
【0060】
また、変形例1として示した第2の実施形態の梯子1、および変形例2として示した第3の実施形態の梯子1では、固定部材17,18は、第1固定板15および第2固定板16相互間に板面方向から貫挿される連結軸17Jを有し、支柱枠体7のうち一方の第1支柱枠体71は、支柱側板7Sの短手側の端面31から上下方向に延長形成され、当該第1支柱枠体71を他方の第2支柱枠体72に連設させたときに連結軸17Jが挿通される連結スリット32,33を有している。
【0061】
このものでは、支柱枠体7相互を連結させるにあたり、先に第2支柱枠体72の端部7eに連結具8を仮止め状態で連結保持させておき、その状態で、第1支柱枠体71を連結具8に対して連結固定させることができるから、組立作業性が一層向上する。
【0062】
また、変形例1として示した第2の実施形態の梯子1において、上記連結スリット32は、第1支柱枠体71を第2支柱枠体72に対して前後方向一方にずらして連設させた仮連結状態のときに連結軸17Jが挿通される案内部32Aと、案内部32Aから前後方向一方に延長形成され、第1支柱枠体71および第2支柱枠体72を一直線状に並べて連設させた掛合状態のときに連結軸17Jが挿通掛合される掛合部32Bと、を有している。
【0063】
このものでは、支柱枠体7相互を連結させるにあたり、第1支柱枠体71を第2支柱枠体72に対して前後方向一方にずらして突き合わせた状態から、そのずれ方向と反対方向に第1支柱枠体71を移動させることで、連結軸17Jが連結スリット32の掛合部32Bに挿通掛合され、第1支柱枠体71が第2支柱枠体72に対して一直線状に並べて連設保持された状態となるから、組立作業性の一層良好な梯子1を実現できる。
【符号の説明】
【0064】
1 梯子
1A 第1梯子部
1B 第2梯子部
4 支柱
5 踏桟
7 支柱枠体
7e 端部
7S 支柱側板
7T 支柱端板
8 連結具
15 第1固定板
16 第2固定板
17 ボルト(固定部材)
18 ナット(固定部材)
27 補助リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9