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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060422
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240424BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240424BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
G09F9/00 342
G09F9/00 324
G02F1/1335
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167783
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 修一
(72)【発明者】
【氏名】今関 佳克
(72)【発明者】
【氏名】上條 陽一
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 光一
(72)【発明者】
【氏名】亀井 義史
【テーマコード(参考)】
2H291
2H391
5G435
【Fターム(参考)】
2H291FA02Y
2H291FA14Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA48Z
2H291FA85Z
2H291FA95Z
2H291FA96Z
2H291GA11
2H291GA19
2H291GA23
2H291HA15
2H291MA03
2H391AA03
2H391AB04
2H391AC23
2H391CA08
2H391CA10
2H391DA03
2H391EA02
2H391EA11
2H391EA13
2H391EA29
2H391FA07
5G435AA17
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】接着剤の接着力の低下を抑制することができる表示装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】表示装置1の製造方法は、画像を表示する表示面10aおよび表示面10aとは反対側の反対面10bを有する表示パネル10に対して、反対面10bに接着剤ADを塗布する工程と、接着剤ADが塗布された表示パネル10の反対面10bに所定の大きさのギャップ部材41を散布する工程と、光源からの光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光SRを出射する色分離素子30の板面とギャップ部材41が散布された表示パネル10の反対面10bとを、接着剤ADを介して貼り合わせる工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示面および前記表示面とは反対側の反対面を有する表示パネルに対して、前記反対面に接着剤を塗布する工程と、
前記接着剤が塗布された前記表示パネルの前記反対面に所定の大きさのギャップ部材を散布する工程と、
光源からの光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光を出射する色分離素子の板面と前記ギャップ部材が散布された前記表示パネルの前記反対面とを、前記接着剤を介して貼り合わせる工程と、を含む、
表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記色分離素子と前記表示パネルとを貼り合わせる工程では、前記色分離素子の板面および前記表示パネルの前記反対面によって前記ギャップ部材を挟持させる、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記ギャップ部材を散布する工程は、前記ギャップ部材が散布された前記表示パネルに対して、前記ギャップ部材を前記接着剤に付着させる工程をさらに含む、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記表示パネルは、前記表示面の表示領域と平面視で重なる前記反対面の領域を覆う剥離紙を有し、
前記接着剤を塗布する工程では、前記反対面における前記剥離紙の周囲に前記接着剤が塗布され、
前記ギャップ部材を散布する工程は、前記ギャップ部材が散布された前記表示パネルから前記剥離紙を取り除く工程をさらに含む、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
光源からの光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光を出射する出射面を有する色分離素子に対して、前記出射面に接着剤を塗布する工程と、
前記接着剤が塗布された前記色分離素子の前記出射面に所定の大きさのギャップ部材を散布する工程と、
前記ギャップ部材が散布された前記色分離素子の前記出射面と表示パネルの板面とを、前記接着剤を介して貼り合わせる工程と、を含む、
表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記色分離素子は、前記分離光を出射する前記出射面の分離領域を覆う剥離紙を有し、
前記接着剤を塗布する工程では、前記出射面における前記剥離紙の周囲に前記接着剤が塗布され、
前記ギャップ部材を散布する工程は、前記ギャップ部材が散布された前記色分離素子から前記剥離紙を取り除く工程をさらに含む、
請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の表示装置は、画素を有する液晶表示パネル、色分離素子、および、色分離素子に光を照射する面光源装置を備えている。色分離素子は、面光源装置からの光を互いに異なる色の光に分離して表示パネルの画素に集光させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-319217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の表示装置において、色分離素子からの光が画素に集光されるように、液晶表示パネル(表示パネル)と色分離素子との間には所定の距離を有することが望ましい。例えば、所定の大きさを有するギャップ部材を接着剤に含有させ、接着剤を介して表示パネルと色分離素子を接着させる際に表示パネルと色分離素子とでギャップ部材を挟持させることで、上記の所定の距離を有する隙間が形成される。
【0005】
しかしながら、接着剤にギャップ部材を混ぜ合わせる場合、接着剤に異物が混入すること、および、接着剤に混入した空気が脱泡処理を行っても空隙として残留することがある。これにより、接着剤の接着力が低下する可能性がある。
【0006】
本開示は、接着剤の接着力の低下を抑制することができる表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の表示装置の製造方法は、画像を表示する表示面および前記表示面とは反対側の反対面を有する表示パネルに対して、前記反対面に接着剤を塗布する工程と、前記接着剤が塗布された前記表示パネルの前記反対面に所定の大きさのギャップ部材を散布する工程と、光源からの光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光を出射する色分離素子の板面と前記ギャップ部材が散布された前記表示パネルの前記反対面とを、前記接着剤を介して貼り合わせる工程と、を含む。
【0008】
また、本開示の表示装置の製造方法は、光源からの光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光を出射する出射面を有する色分離素子に対して、前記出射面に接着剤を塗布する工程と、前記接着剤が塗布された前記色分離素子の前記出射面に所定の大きさのギャップ部材を散布する工程と、前記ギャップ部材が散布された前記色分離素子の前記出射面と表示パネルの板面とを、前記接着剤を介して貼り合わせる工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態に係る表示装置の平面図である。
図2図2は、表示装置の断面図である。
図3図3は、表示パネルの回路構成を示す図である。
図4図4は、表示パネルの断面図である。
図5図5は、色分離素子の断面図である。
図6図6は、色分離素子の拡大断面図である。
図7図7は、接着剤ADが塗布される前の表示パネル10を示す斜視図である。
図8図8は、塗布工程で接着剤ADが塗布された表示パネル10を示す斜視図である。
図9図9は、散布工程でギャップ部材41が散布された表示パネル10を示す斜視図である。
図10図10は、接着剤ADの外表面にギャップ部材41が付着している状態を示す図である。
図11図11は、貼合わせ工程で色分離素子30と表示パネル10とが貼り合わされた状態を示す斜視図である。
図12図12は、本開示の第1の変形例に係る表示装置の製造方法において、接着剤が塗布された色分離素子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0011】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
図面で示すX方向およびY方向は、互いに直交し、表示装置1に含まれる基板の主面と平行である。X方向の+X側、-X側、Y方向の+Y側、-Y側は、表示装置1の側方に相当する。Z方向は、X方向およびY方向と直交し、表示装置1の厚み方向に相当する。Z方向の+Z側は、表示装置1において画像が表示される前面側に相当し、Z方向の-Z側は、表示装置1の背面側に相当する。また、本明細書において、「平面視」は、Z方向に沿って+Z側から-Z側に向かって表示装置1を見ることである。なお、X、Y、Zの方向は一例であって、本開示はこれらの方向に限定されない。
【0013】
<表示装置1>
図1は、本開示の実施形態に係る表示装置1の平面図である。図2は、表示装置1の断面図である。表示装置1は、フレキシブル配線基板(不図示)を介して電気的に接続されている外部装置(不図示)から出力される画像信号に基づいて画像を表示する。
【0014】
表示装置1は、例えばヘッドアップディスプレイに適用される。ヘッドアップディスプレイは、車両のフロントガラスなどの透光体に画像を投影してユーザに虚像を視認させる。表示装置1は、表示パネル10、光源装置20、色分離素子30、および、接着剤部40を備える。光源装置20、色分離素子30および表示パネル10はZ方向に沿って-Z側から+Z側に向けてこの順に並んでいる。
【0015】
表示パネル10は、透過型の液晶ディスプレイである。なお、表示パネル10は、例えば、有機ELディスプレイおよび無機ELディスプレイでもよい。図1に示すように、表示パネル10の前面は、画像が表示される表示領域DAを有している。図2に示すように、表示パネル10の前面は、画像を表示する表示面10aに相当する。なお、表示面10aとは反対側の表示パネル10の背面は、反対面10bに相当する。表示パネル10は、表示領域DAにおいてX方向およびY方向に沿って行列状に配置されている複数の画素Pを有している。
【0016】
複数の画素Pは、それぞれ、第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3を有している。第1副画素SP1は赤の副画素である。第2副画素SP2は緑の副画素である。第3副画素SP3は青の副画素である。第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3は、X方向に沿ってこの順に並んでいる。第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3の配列はいわゆるストライプ配列である。以下、第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3を区別せずに説明する場合、単に「副画素SP」と記載する場合がある。なお、副画素SPの配列がストライプ配列に限定されないこと、および、副画素SPの色が上記の色に限定されないことは言うまでもない。
【0017】
図3は、表示パネル10の回路構成を示す図である。表示パネル10は、駆動回路11、ならびに、複数の副画素SPそれぞれが有するスイッチング素子SW、副画素電極PE、共通電極CE、液晶容量LC、および、保持容量CSを備えている。
【0018】
駆動回路11は、画素Pを駆動する。駆動回路11は、信号処理回路11a、信号出力回路11b、および、走査回路11cを備えている。
【0019】
信号処理回路11aは、外部装置から送信される画像信号に基づいて、副画素SPの階調を示す副画素信号を信号出力回路11bに出力する。また、信号処理回路11aは、信号出力回路11bの動作と走査回路11cの動作とを同期させるクロック信号を信号出力回路11bおよび走査回路11cに出力する。
【0020】
信号出力回路11bは、副画素信号を副画素SPに出力する。信号出力回路11bと複数の副画素SPとは、Y方向に沿って延びる複数の信号線Lbを介して電気的に接続されている。
【0021】
走査回路11cは、信号出力回路11bによる副画素信号の出力と同期して、複数の副画素SPを走査する。走査回路11cと複数の副画素SPとは、X方向に沿って延びる複数の走査線Lcを介して電気的に接続されている。
【0022】
スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。スイッチング素子SWにおいて、ソース電極と信号線Lbとが電気的に接続され、ゲート電極と走査線Lcとが電気的に接続されている。
【0023】
副画素電極PEは、スイッチング素子SWのドレイン電極に接続されている。共通電極CEは、複数の走査線Lcに対応して複数配置されている。副画素電極PEおよび共通電極CEは、透光性を有する。
【0024】
液晶容量LCは、副画素電極PEと共通電極CEとの間にある後述する液晶層13の液晶材料の容量成分である。保持容量CSは、共通電極CEと同電位の電極と、副画素電極PEと同電位の電極との間に配置されている。
【0025】
図4は、表示パネル10の断面図である。副画素SPは、第1基板12、液晶層13、および、第2基板14をさらに備えている。第1基板12、液晶層13、および、第2基板14は、それぞれ透光性を有し、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向けて、この順に配置されている。
【0026】
第1基板12は、平面視矩形状であり、複数の副画素SPに対して1つ設けられている。第1基板12の+Z側の主面12aには、共通電極CEが配置されている。また、共通電極CEの前面には絶縁層ILが配置され、さらに、副画素電極PE、および、配向膜ALがさらに配置されている。
【0027】
副画素電極PEは、絶縁層ILと配向膜ALとの間に配置されている。このように、共通電極CEと副画素電極PEは、第1基板12に配置されている。つまり、表示パネル10は、横電界方式の液晶ディスプレイである。
【0028】
第2基板14は、第1基板12の前面側に位置する。第2基板14は、平面視矩形状であり、複数の副画素SPに対して1つ設けられている。第2基板14の背面には、カラーフィルタCF、遮光膜SM、および、配向膜ALが配置されている。遮光膜SMおよびカラーフィルタCFは、第2基板14と配向膜ALとの間に配置されている。
【0029】
カラーフィルタCFは、平面視矩形状であり、1つの副画素SPに1つ配置されている。カラーフィルタCFは、透光性を有し、透過させる光のスペクトルのピークが予め定めされている。スペクトルのピークはカラーフィルタCFの色に対応する。カラーフィルタCFの色は副画素SPの色と同じである。つまり、赤の第1副画素SP1は赤のカラーフィルタCFを有し、緑の第2副画素SP2は緑のカラーフィルタCFを有し、青の第3副画素SP3は青のカラーフィルタCFを有する。
【0030】
遮光膜SMは、遮光性を有し、複数の副画素SPを区画する。つまり、遮光膜SMは、X方向およびY方向において互いに隣接する複数の副画素SPの境界と平面視で重なる。なお、図4において、信号線Lbおよび走査線Lcの図示は省略されている。
【0031】
液晶層13は、複数の液晶分子LMを含んで構成されている。液晶層13は、第1基板12と第2基板14との間にあり、平面視で表示領域DAと重なる。具体的には、液晶層13は、互いに対向する2つの配向膜ALの間にある。液晶分子LMの向きは、互いに対向する2つの配向膜ALによって規制される。
【0032】
また、図2および図4に示すように、表示パネル10は、第1基板12の背面に配置されている第1偏光板15、および、第2基板14の前面に配置されている第2偏光板16をさらに備えている。
【0033】
第1偏光板15は、Z方向と直交する透過軸を有している。第2偏光板16は、第1偏光板15の透過軸およびZ方向と直交する透過軸を有している。
【0034】
また、図1および図2に示すように、第1基板12は、平面視で第2基板14から露出する露出部12bを有する。露出部12bは平面視で第2基板14より+X側にある。また、露出部12bの前面には、駆動回路11を含むICチップTiが配置されている。露出部12bの前面は、第1基板12の主面12aの一部である。駆動回路11は、平面視で表示領域DAより外側(具体的には+X側)に位置する。
【0035】
駆動回路11が画像信号に基づいて副画素信号を副画素SPに出力することで、液晶層13に電界が発生し、液晶分子LMの向きが変化する。これにより、表示パネル10を透過する光が変調されることで画像が表示される。
【0036】
図2に示すように、光源装置20は、表示パネル10の背面側に配置されている。光源装置20は、表示パネル10に向けて光(以下、出射光と記載する)を出射する。光源装置20は、例えば直下型のバックライトであり、複数の発光ダイオード(不図示)を有する。
【0037】
図1および図2に示すように、色分離素子30は、平面視で矩形状の板状である。色分離素子30は、平面視で表示パネル10より大きい。色分離素子30の周縁は、表示パネル10の周縁より平面視で外側に位置する。なお、色分離素子30の一部が表示パネル10より平面視で外側に位置してもよい。
【0038】
図2に示すように、色分離素子30は、表示パネル10と光源装置20との間に配置されている。色分離素子30は透光性を有し、光源装置20の出射光は色分離素子30を介して表示パネル10に入射する。
【0039】
図5は、色分離素子30の断面図である。図6は、色分離素子30の拡大断面図である。色分離素子30は、光源装置20の出射光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光SRを画素Pに出射する。色分離素子30は、分離光SRを出射する分離領域SAを有している。分離領域SAは、表示パネル10と対向する色分離素子30の板面(色分離素子30の前面;以下、出射面30aと記載する場合がある)にあり、平面視で表示領域DAと重なる。
【0040】
図6に示すように、分離領域SAから出射される分離光SRは、第1副画素SP1の色と同じ赤の第1分離光SR1、第2副画素SP2の色と同じ緑の第2分離光SR2および第3副画素SP3の色と同じ青の第3分離光SR3を有する。分離領域SAにおいて、色分離素子30の前面は所定の凹凸状である。
【0041】
所定の凹凸状は、平面視で第1副画素SP1より大きく第1副画素SP1と平面視で重なる第1範囲H1から第1分離光SR1が第1副画素SP1に集まる形状である。また、所定の凹凸状は、平面視で第2副画素SP2より大きく第2副画素SP2と平面視で重なる第2範囲H2から第2分離光SR2が第2副画素SP2に集まる形状である。さらに、所定の凹凸状は、平面視で第3副画素SP3より大きく第3副画素SP3と平面視で重なる第3範囲H3から第3分離光SR3が第3副画素SP3に集まる形状である。
【0042】
第1範囲H1は第1副画素SP1に対応して複数ある。第2範囲H2は第2副画素SP2に対応して複数ある。第3範囲H3は第3副画素SP3に対応して複数ある。第1範囲H1、第2範囲H2および第3範囲H3は平面視で互いに重なる部分を有する。
【0043】
このように、色分離素子30は、光源装置20の出射光をカラーフィルタCFの各色に対応する波長ごとに分離し、カラーフィルタCFに対応する波長の光(分離光SR)を各カラーフィルタCFそれぞれに入射し透過させる。これにより、表示装置1が色分離素子30を備えずに光源装置20の出射光が表示パネル10に直接入射する場合と比べて、光源装置20の出射光の光量の損失が抑制され、出射光の利用効率を向上させることができる。
【0044】
図2に示すように、接着剤部40は、表示パネル10と色分離素子30との間にある。接着剤部40は、表示パネル10と色分離素子30とを接着している。図1に示すように、接着剤部40は、平面視で表示領域DAおよび分離領域SAの周縁と第1基板12の周縁との間にある。具体的には、接着剤部40は、第1基板12の周縁部にある。なお、第1偏光板15は、平面視で接着剤部40の内側にある。
【0045】
また、接着剤部40は、不連続部40aを有している。不連続部40aは、接着剤部40が途切れていることで形成される隙間である。不連続部40aは、表示パネル10と色分離素子30との間における接着剤部40より内側の空間と、接着剤部40より外側の空間とを連通する。
【0046】
本実施形態において、不連続部40aは、接着剤部40の-X側かつ+Y側の位置に1箇所ある。なお、接着剤部40の-X側かつ+Y側の位置に不連続部40aの位置が限定されないこと、および、不連続部40aの個数が1つに限定されないことは言うまでもない。
【0047】
接着剤部40は、接着剤によって形成されている。接着剤は、一液型接着剤であり、例えばUV(紫外線)硬化型接着剤である。
【0048】
図2に示すように、接着剤部40は、所定の大きさのギャップ部材41を複数含有している。ギャップ部材41は例えば球状であり、所定の大きさに対応する所定の直径を有している。接着剤部40の体積に対する複数のギャップ部材41の総体積の割合は、およそ2%である。ギャップ部材41は、ギャップ部材41の全部が接着剤部40に覆われた状態、および、ギャップ部材41の一部が接着剤部40から露出した状態を有する。
【0049】
また、ギャップ部材41の硬度は、接着剤部40の硬度より高い。よって、ギャップ部材41は、接着剤部40より外力に対して変形しにくい。
【0050】
ギャップ部材41は、表示パネル10の反対面10bおよび色分離素子30の出射面30aによって挟持されている。これにより、表示パネル10と色分離素子30との間のZ方向距離は、所定の直径でほぼ一定となる。所定の直径は、分離光SRが副画素SPに集まる大きさに定められている。
【0051】
<表示装置1の製造方法>
次に、表示装置1の製造方法において、表示パネル10と色分離素子30とを接着する接着工程について説明する。
【0052】
接着工程は、表示パネル10に接着剤を塗布する塗布工程、接着剤が塗布された表示パネル10にギャップ部材41を散布する散布工程、色分離素子30と表示パネル10とを貼り合わせる貼合わせ工程、および、接着剤を硬化させる硬化工程を含む。塗布工程、散布工程、貼合わせ工程、および、硬化工程は、この順に行われる。
【0053】
図7は、接着剤ADが塗布される前の表示パネル10を示す斜視図である。接着剤ADが塗布される前の表示パネル10は、表示面10aの表示領域DAと平面視で重なる反対面10bの領域を覆う剥離紙DP1を有する。剥離紙DP1は、第1偏光板15を保護する。なお、剥離紙DP1は、第1偏光板15に予め貼り付けられていてもよい。
【0054】
図8は、塗布工程で接着剤ADが塗布された表示パネル10を示す斜視図である。塗布工程では、表示パネル10の反対面10bにおける剥離紙DP1の周囲に接着剤ADが塗布される。つまり、塗布工程では、画像を表示する表示面10aおよび表示面10aとは反対側の反対面10bを有する表示パネル10に対して、反対面10bに接着剤ADを塗布する。接着剤ADは、ディスペンサを用いて塗布される。
【0055】
接着剤ADの塗布が開始される開始位置P1と、接着剤ADの塗布が終了する終了位置P2とが平面視で互いに異なる。これにより、接着剤ADが硬化すると、接着剤部40の不連続部40aが形成される。
【0056】
なお、上記のように接着剤ADは、一液型接着剤であり、混合物がない。よって、表示装置1の製造において、接着剤ADに混合物を混合する混合工程はない。したがって、接着剤ADには、混合工程によって空気が混入することによって生じる空隙がない。
【0057】
図9は、散布工程でギャップ部材41が散布された表示パネル10を示す斜視図である。散布工程では、反対面10bに対してギャップ部材41が散布される。つまり、散布工程では、接着剤ADが塗布された表示パネル10の反対面10bに所定の大きさのギャップ部材41を散布する。
【0058】
散布されたギャップ部材41は、剥離紙DP1の背面、反対面10bにおける剥離紙DP1と接着剤ADとの間、および、接着剤ADの外表面に付着する。
【0059】
図10は、接着剤ADの外表面にギャップ部材41が付着している状態を示す図である。散布工程においては、さらに、ギャップ部材41が散布された後に反対面10bにエアを吹きかける。これにより、図10に示すように、剥離紙DP1の背面、反対面10bにおける剥離紙DP1と接着剤ADとの間にあるギャップ部材41が移動して、接着剤ADの外表面に付着する。
【0060】
このように、散布工程は、ギャップ部材41が散布された表示パネル10に対して、ギャップ部材41を接着剤ADに付着させる工程を含む。なお、ギャップ部材41が散布された後に表示パネル10を揺動させることで、ギャップ部材41を移動させてもよい。
【0061】
また、散布工程は、ギャップ部材41が散布された表示パネル10から剥離紙DP1を取り除く工程をさらに含む。剥離紙DP1を取り除く工程は、ギャップ部材41を接着剤ADに付着させる工程の後に実行される。
【0062】
図11は、貼合わせ工程で色分離素子30と表示パネル10とが貼り合わされた状態を示す斜視図である。貼合わせ工程では、色分離素子30の板面(出射面30a)とギャップ部材41が散布された表示パネル10の反対面10bとを、接着剤ADを介して貼り合わせる。また、貼合わせ工程では、色分離素子30の板面(出射面30a)および表示パネル10の反対面10bによってギャップ部材41を挟持させる。
【0063】
色分離素子30と表示パネル10とが貼り合わされる際に、色分離素子30と表示パネル10との間において平面視で接着剤ADより内側にある空気は、図8および図9に示す接着剤ADの開始位置P1と終了位置P2との間から接着剤ADより外側に漏出する。これにより、色分離素子30と表示パネル10との間で空気が圧縮されることで生じる圧力によって、色分離素子30および表示パネル10が変形することが防止される。
【0064】
次に、硬化工程では、接着剤ADが硬化される。上記のように接着剤ADはUV硬化型接着剤であり、硬化工程では所定の積算光量の紫外線が接着剤ADに照射される。所定の積算光量は、予め行われる実験などで導出されており、接着剤ADが十分に硬化する積算光量である。接着剤ADが硬化することで、不連続部40aを有する接着剤部40が形成される。なお、図7図8図9図11において、液晶層13および第2偏光板16は省略されている。
【0065】
このように、ギャップ部材41は、表示パネル10に塗布される前に接着剤ADに混合されておらず、接着剤ADが塗布された表示パネル10に散布される。仮に、表示パネル10に塗布される前にギャップ部材41が接着剤ADに混合されていることで接着剤ADが空隙を有する場合、接着剤ADがディスペンサから吐出する際に空隙が起点となって接着剤ADが分裂する可能性がある。接着剤ADが分裂すると、表示パネル10および色分離素子30と接着剤ADとの接触面積が減少し、接着力が低下する。
【0066】
一方、上記の表示装置1の製造方法では、接着剤ADが空隙を有さない。したがって、接着剤ADの分裂によって接着剤部40が分裂し、接着剤部40の接着力の低下を抑制することができる。また、接着剤ADが分裂することで形成される接着剤部40の隙間から異物が侵入することを防止することができる。
【0067】
<表示装置1の製造方法の第1の変形例>
次に、表示装置1の製造方法の第1の変形例について、上記の表示装置1の製造方法と異なる点を主に説明する。
【0068】
本第1の変形例では、塗布工程において、色分離素子30に接着剤ADが塗布される。図12は、本開示の第1の変形例に係る表示装置1の製造方法において、接着剤ADが塗布された色分離素子30を示す斜視図である。
【0069】
本第1の変形例の塗布工程では、色分離素子30の出射面30aに接着剤ADを塗布する。本第1の変形例の色分離素子30は、分離光SRを出射する出射面30aの分離領域SAを覆う剥離紙DP2を有している。剥離紙DP2は、分離領域SAを保護する。出射面30aにおける剥離紙DP2の周囲に接着剤ADが塗布される。
【0070】
本第1の変形例の散布工程では、接着剤ADが塗布された色分離素子30の出射面30aに所定の大きさのギャップ部材41を散布する。また、本第1の変形例の散布工程は、ギャップ部材41が散布された色分離素子30に対して、ギャップ部材41を接着剤ADに付着させる工程を含む。さらに、本第1の変形例の散布工程は、ギャップ部材41が散布された色分離素子30から剥離紙DP2を取り除く工程をさらに含む。
【0071】
本第1の変形例の貼合わせ工程では、ギャップ部材41が散布された色分離素子30の出射面30aと表示パネル10の板面(反対面10b)とを、接着剤ADを介して貼り合わせる。貼合わせ工程では、色分離素子30の出射面30aおよび表示パネル10の反対面10bによってギャップ部材41を挟持させる。
【0072】
<表示装置1の製造方法の他の変形例>
例えば、表示パネル10が剥離紙DP1を有さない場合、散布工程は、剥離紙DP1を取り除く工程を含まない。また、散布工程は、ギャップ部材41を接着剤ADに付着させる工程を含まなくてもよい。この場合、平面視で接着剤ADより外側からギャップ部材41を散布してもよい。
【0073】
さらに、接着剤部40は、不連続部40aを有さず、平面視で表示領域DAの周囲に全周に亘って配置されてもよい。また、接着剤ADは、例えば熱硬化型接着剤などのUV硬化型接着剤以外の接着剤でもよい。
【0074】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0075】
1 表示装置
10 表示パネル
10a 表示パネルの表示面
10b 表示パネルの反対面
20 光源装置(光源)
30 色分離素子
30a 色分離素子の出射面
40 接着剤部
40a 不連続部
41 ギャップ部材
AD 接着剤
DA 表示領域
DP1 剥離紙
DP2 剥離紙
SA 分離領域
SR 分離光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12