(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060424
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20240424BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240424BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
G02F1/1335
G02F1/1333
G09F9/00 324
G09F9/00 336F
G09F9/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167785
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 修一
(72)【発明者】
【氏名】今関 佳克
(72)【発明者】
【氏名】上條 陽一
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 光一
(72)【発明者】
【氏名】亀井 義史
【テーマコード(参考)】
2H189
2H291
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA71
2H189HA16
2H189LA07
2H189LA18
2H189MA08
2H291FA02X
2H291FA13Z
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA59Z
2H291FA85Z
2H291FA95Z
2H291FB04
2H291FB21
2H291FD09
2H291FD16
2H291FD34
2H291FD38
2H291LA40
2H291MA03
5G435AA06
5G435AA11
5G435BB05
5G435BB12
5G435BB19
5G435DD13
5G435EE26
5G435FF12
5G435GG01
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】異物の侵入を抑制することができる表示装置を提供すること。
【解決手段】表示装置1は、表示パネル10と、光源からの光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光SRを表示パネル10に出射する色分離素子30と、所定の大きさのギャップ部材41を含有し、表示パネル10と色分離素子30とを接着する接着剤部40と、を備え、接着剤部40は、側面視において表示パネル10および色分離素子30の一方から離れている凹部40aを有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
光源からの光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光を前記表示パネルに出射する色分離素子と、
所定の大きさのギャップ部材を含有し、前記表示パネルと前記色分離素子とを接着する接着剤部と、を備え、
前記接着剤部は、側面視において前記表示パネルおよび前記色分離素子の一方から離れている凹部を有している、
表示装置。
【請求項2】
前記ギャップ部材は、前記表示パネルおよび前記色分離素子によって挟持されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルは、画像を表示する表示領域を有し、
前記接着剤部は、平面視において前記表示領域の周囲に全周に亘って配置されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
所定の大きさのギャップ部材を含有する接着剤を表示パネルの板面に塗布する工程と、
光源からの光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光を出射する色分離素子の板面と前記表示パネルの板面とを前記接着剤を介して貼り合わせる工程と、
前記接着剤を介して互いに貼り合わされた前記色分離素子および前記表示パネルに前記ギャップ部材を押圧する押圧力を加える工程と、
前記色分離素子および前記表示パネルに前記押圧力が加えられた状態で、前記接着剤の一部を硬化させる工程と、
前記接着剤の一部が硬化した状態で前記押圧力を取り除く工程と、
前記色分離素子および前記表示パネルから前記押圧力が除かれた状態で前記接着剤の全体を硬化させる工程と、を含む、
表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記接着剤はUV硬化型接着剤であり、
前記接着剤の一部を硬化させる工程において、前記表示パネルおよび前記色分離素子の一方側から前記接着剤の一部に紫外線を照射する、
請求項4に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記接着剤の一部を硬化させる工程では、第1所定積算光量で前記接着剤の一部を硬化させ、
前記接着剤の全部を硬化させる工程では、前記第1所定積算光量よりも小さい第2所定積算光量で前記接着剤の全体を硬化させる、
請求項4に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置および表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の表示装置は、画素を有する液晶表示パネル、色分離素子、および、色分離素子に光を照射する面光源装置を備えている。色分離素子は、面光源装置からの光を互いに異なる色の光に分離して表示パネルの画素に集光させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の表示装置において、色分離素子からの光が画素に照射されるように、表示パネルと色分離素子との間に空気層を有することが望ましい。また、色分離素子と表示パネルとは、例えば接着剤によって接着される。接着剤は、画像を表示する表示パネルの表示領域の周囲に塗布される。
【0005】
また、接着剤は、表示パネルの表示領域に全周に亘って連続して塗布されておらず、隙間を有して塗布されていることが望ましい。当該隙間がないと、表示パネルと色分離素子との間で接着剤に取り囲まれた空気が圧縮され、表示パネルおよび色分離素子が変形する可能性がある。また、当該隙間から異物が侵入する可能性がある。
【0006】
本開示は、異物の侵入を抑制することができる表示装置および表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の表示装置は、表示パネルと、光源からの光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光を前記表示パネルに出射する色分離素子と、所定の大きさのギャップ部材を含有し、前記表示パネルと前記色分離素子とを接着する接着剤部と、を備え、前記接着剤部は、側面視において前記表示パネルおよび前記色分離素子の一方から離れている凹部を有している。
【0008】
また、本開示の表示装置の製造方法は、所定の大きさのギャップ部材を含有する接着剤を表示パネルの板面に塗布する工程と、光源からの光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光を出射する色分離素子の板面と前記表示パネルの板面とを前記接着剤を介して貼り合わせる工程と、前記接着剤を介して互いに貼り合わされた前記色分離素子および前記表示パネルに前記ギャップ部材を押圧する押圧力を加える工程と、前記色分離素子および前記表示パネルに前記押圧力が加えられた状態で、前記接着剤の一部を硬化させる工程と、前記接着剤の一部が硬化した状態で前記押圧力を取り除く工程と、前記色分離素子および前記表示パネルから前記押圧力が除かれた状態で前記接着剤の全体を硬化させる工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る表示装置の平面図である。
【
図3】
図3は、表示パネルの回路構成を示す図である。
【
図8】
図8は、塗布工程で接着剤が塗布された表示パネルを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、貼合わせ工程で色分離素子と表示パネルとが貼り合わされた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、押圧工程で表示パネルおよび色分離素子に押圧力Fが加えられている状態を示す側面図である。
【
図11】
図11は、第1硬化工程で接着剤の一部に紫外線が照射されている状態を示す側面図である。
【
図12】
図12は、除荷工程で表示パネルおよび色分離素子から押圧力Fが取り除かれた状態を示す側面図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態の他の変形例に係る表示装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0011】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
図面で示すX方向およびY方向は、互いに直交し、表示装置1に含まれる基板の主面と平行である。X方向の+X側、-X側、Y方向の+Y側、-Y側は、表示装置1の側方に相当する。Z方向は、X方向およびY方向と直交し、表示装置1の厚み方向に相当する。Z方向の+Z側は、表示装置1において画像が表示される前面側に相当し、Z方向の-Z側は、表示装置1の背面側に相当する。
【0013】
また、本明細書において「平面視」は、Z方向に沿って+Z側から-Z側に向かって表示装置1を見ることである。また、本明細書において「側面視」は、Z方向と直交する方向に沿って、表示装置1の側方から表示装置1を見ることである。なお、X、Y、Zの方向は一例であって、本開示はこれらの方向に限定されない。
【0014】
<表示装置1>
図1は、本開示の実施形態に係る表示装置1の平面図である。
図2は、表示装置1の断面図である。表示装置1は、フレキシブル配線基板(不図示)を介して電気的に接続されている外部装置(不図示)から出力される画像信号に基づいて画像を表示する。
【0015】
表示装置1は、例えばヘッドアップディスプレイに適用される。ヘッドアップディスプレイは、車両のフロントガラスなどの透光体に画像を投影してユーザに虚像を視認させる。表示装置1は、表示パネル10、光源装置20、色分離素子30、および、接着剤部40を備える。光源装置20、色分離素子30および表示パネル10はZ方向に沿って-Z側から+Z側に向けてこの順に並んでいる。
【0016】
表示パネル10は、透過型の液晶ディスプレイである。なお、表示パネル10は、例えば、有機ELディスプレイおよび無機ELディスプレイでもよい。
図1および
図2に示すように、表示パネル10の前面は、画像が表示される表示領域DAを有している。
図2に示すように、表示パネル10の前面は、画像を表示する表示面10aに相当する。なお、表示面10aとは反対側の表示パネル10の背面は、反対面10bに相当する。
図1に示すように、表示パネル10は、表示領域DAにおいてX方向およびY方向に沿って行列状に配置されている複数の画素Pを有している。
【0017】
複数の画素Pは、それぞれ、第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3を有している。第1副画素SP1は赤の副画素である。第2副画素SP2は緑の副画素である。第3副画素SP3は青の副画素である。第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3は、X方向に沿ってこの順に並んでいる。第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3の配列はいわゆるストライプ配列である。以下、第1副画素SP1、第2副画素SP2および第3副画素SP3を区別せずに説明する場合、単に「副画素SP」と記載する場合がある。なお、副画素SPの配列がストライプ配列に限定されないこと、および、副画素SPの色が上記の色に限定されないことは言うまでもない。
【0018】
図3は、表示パネル10の回路構成を示す図である。表示パネル10は、駆動回路11、ならびに、複数の副画素SPそれぞれが有するスイッチング素子SW、副画素電極PE、共通電極CE、液晶容量LC、および、保持容量CSを備えている。
【0019】
駆動回路11は、画素Pを駆動する。駆動回路11は、信号処理回路11a、信号出力回路11b、および、走査回路11cを備えている。
【0020】
信号処理回路11aは、外部装置から送信される画像信号に基づいて、副画素SPの階調を示す副画素信号を信号出力回路11bに出力する。また、信号処理回路11aは、信号出力回路11bの動作と走査回路11cの動作とを同期させるクロック信号を信号出力回路11bおよび走査回路11cに出力する。
【0021】
信号出力回路11bは、副画素信号を副画素SPに出力する。信号出力回路11bと複数の副画素SPとは、Y方向に沿って延びる複数の信号線Lbを介して電気的に接続されている。
【0022】
走査回路11cは、信号出力回路11bによる副画素信号の出力と同期して、複数の副画素SPを走査する。走査回路11cと複数の副画素SPとは、X方向に沿って延びる複数の走査線Lcを介して電気的に接続されている。
【0023】
スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。スイッチング素子SWにおいて、ソース電極と信号線Lbとが電気的に接続され、ゲート電極と走査線Lcとが電気的に接続されている。
【0024】
副画素電極PEは、スイッチング素子SWのドレイン電極に接続されている。共通電極CEは、複数の走査線Lcに対応して複数配置されている。副画素電極PEおよび共通電極CEは、透光性を有する。
【0025】
液晶容量LCは、副画素電極PEと共通電極CEとの間にある後述する液晶層13の液晶材料の容量成分である。保持容量CSは、共通電極CEと同電位の電極と、副画素電極PEと同電位の電極との間に配置されている。
【0026】
図4は、表示パネル10の断面図である。副画素SPは、第1基板12、液晶層13、および、第2基板14をさらに備えている。第1基板12、液晶層13、および、第2基板14は、それぞれ透光性を有し、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向けて、この順に配置されている。
【0027】
第1基板12は、平面視矩形状であり、複数の副画素SPに対して1つ設けられている。第1基板12の+Z側の主面12aには、共通電極CEが配置されている。また、共通電極CEの前面には絶縁層ILが配置され、さらに、副画素電極PE、および、配向膜ALがさらに配置されている。
【0028】
副画素電極PEは、絶縁層ILと配向膜ALとの間に配置されている。このように、共通電極CEと副画素電極PEは、第1基板12に配置されている。つまり、表示パネル10は、横電界方式の液晶ディスプレイである。
【0029】
第2基板14は、第1基板12の前面側に位置する。第2基板14は、平面視矩形状であり、複数の副画素SPに対して1つ設けられている。第2基板14の背面には、カラーフィルタCF、遮光膜SM、および、配向膜ALが配置されている。遮光膜SMおよびカラーフィルタCFは、第2基板14と配向膜ALとの間に配置されている。
【0030】
カラーフィルタCFは、平面視矩形状であり、1つの副画素SPに1つ配置されている。カラーフィルタCFは、透光性を有し、透過させる光のスペクトルのピークが予め定めされている。スペクトルのピークはカラーフィルタCFの色に対応する。カラーフィルタCFの色は副画素SPの色と同じである。つまり、赤の第1副画素SP1は赤のカラーフィルタCFを有し、緑の第2副画素SP2は緑のカラーフィルタCFを有し、青の第3副画素SP3は青のカラーフィルタCFを有する。
【0031】
遮光膜SMは、遮光性を有し、複数の副画素SPを区画する。つまり、遮光膜SMは、X方向およびY方向において互いに隣接する複数の副画素SPの境界と平面視で重なる。なお、
図4において、信号線Lbおよび走査線Lcの図示は省略されている。
【0032】
液晶層13は、複数の液晶分子LMを含んで構成されている。液晶層13は、第1基板12と第2基板14との間にあり、平面視で表示領域DAと重なる。具体的には、液晶層13は、互いに対向する2つの配向膜ALの間にある。液晶分子LMの向きは、互いに対向する2つの配向膜ALによって規制される。
【0033】
また、
図2および
図4に示すように、表示パネル10は、第1基板12の背面に配置されている第1偏光板15、および、第2基板14の前面に配置されている第2偏光板16をさらに備えている。
【0034】
第1偏光板15は、Z方向と直交する透過軸を有している。第2偏光板16は、第1偏光板15の透過軸およびZ方向と直交する透過軸を有している。
【0035】
また、
図1および
図2に示すように、第1基板12は、平面視で第2基板14から露出する露出部12bを有する。露出部12bは平面視で第2基板14より+X側にある。また、露出部12bの前面には、駆動回路11を含むICチップTiが配置されている。露出部12bの前面は、第1基板12の主面12aの一部である。駆動回路11は、平面視で表示領域DAより外側(具体的には+X側)に位置する。
【0036】
駆動回路11が画像信号に基づいて副画素信号を副画素SPに出力することで、液晶層13に電界が発生し、液晶分子LMの向きが変化する。これにより、表示パネル10を透過する光が変調されることで画像が表示される。
【0037】
図2に示すように、光源装置20は、表示パネル10の背面側に配置されている。光源装置20は、表示パネル10に向けて光(以下、出射光と記載する)を出射する。光源装置20は、例えば直下型のバックライトであり、複数の発光ダイオード(不図示)を有する。
【0038】
図1および
図2に示すように、色分離素子30は、平面視で矩形状の板状である。色分離素子30は、平面視で表示パネル10より大きい。色分離素子30の周縁は、表示パネル10の周縁より平面視で外側に位置する。なお、色分離素子30の一部が表示パネル10より平面視で外側に位置してもよい。
【0039】
図2に示すように、色分離素子30は、表示パネル10と光源装置20との間に配置されている。色分離素子30は透光性を有し、光源装置20の出射光は色分離素子30を介して表示パネル10に入射する。
【0040】
図5は、色分離素子30の断面図である。
図6は、色分離素子30の拡大断面図である。色分離素子30は、光源装置20の出射光を分散して互いに波長が異なる複数の分離光SRを画素Pに出射する。色分離素子30は、分離光SRを出射する分離領域SAを有している。分離領域SAは、表示パネル10と対向する色分離素子30の板面(色分離素子30の前面;以下、出射面30aと記載する場合がある)にあり、平面視で表示領域DAと重なる。
【0041】
図6に示すように、分離領域SAから出射される分離光SRは、第1副画素SP1の色と同じ赤の第1分離光SR1、第2副画素SP2の色と同じ緑の第2分離光SR2および第3副画素SP3の色と同じ青の第3分離光SR3を有する。分離領域SAにおいて、色分離素子30の前面は所定の凹凸状である。
【0042】
所定の凹凸状は、平面視で第1副画素SP1より大きく第1副画素SP1と平面視で重なる第1範囲H1から第1分離光SR1が第1副画素SP1に集まる形状である。また、所定の凹凸状は、平面視で第2副画素SP2より大きく第2副画素SP2と平面視で重なる第2範囲H2から第2分離光SR2が第2副画素SP2に集まる形状である。さらに、所定の凹凸状は、平面視で第3副画素SP3より大きく第3副画素SP3と平面視で重なる第3範囲H3から第3分離光SR3が第3副画素SP3に集まる形状である。
【0043】
第1範囲H1は第1副画素SP1に対応して複数ある。第2範囲H2は第2副画素SP2に対応して複数ある。第3範囲H3は第3副画素SP3に対応して複数ある。第1範囲H1、第2範囲H2および第3範囲H3は平面視で互いに重なる部分を有する。
【0044】
このように、色分離素子30は、光源装置20の出射光をカラーフィルタCFの各色に対応する波長ごとに分離し、カラーフィルタCFに対応する波長の光(分離光SR)を各カラーフィルタCFそれぞれに入射し透過させる。これにより、表示装置1が色分離素子30を備えずに光源装置20の出射光が表示パネル10に直接入射する場合と比べて、光源装置20の出射光の光量の損失が抑制され、出射光の利用効率を向上させることができる。
【0045】
図2に示すように、接着剤部40は、表示パネル10と色分離素子30との間にある。接着剤部40は、表示パネル10と色分離素子30とを接着している。
図1に示すように、接着剤部40は、平面視で表示領域DAおよび分離領域SAの周縁と第1基板12の周縁との間にある。具体的には、接着剤部40は、平面視において表示領域DAの周囲に全周に亘って配置されている。すなわち、接着剤部40は、平面視において表示領域DAの周囲に途切れることなく連続して配置されている。なお、第1偏光板15は、平面視で接着剤部40の内側にある。接着剤部40は、表示領域DAの周囲に全周に亘って色分離素子30と平面視で連続して接触している。
【0046】
図7は、表示装置1の側面図である。接着剤部40は、側面視において表示パネル10から離れている凹部40aを有している。凹部40aは、表示パネル10と色分離素子30との間における平面視で接着剤部40より内側の空間と、接着剤部40より外側の空間とを連通する。凹部40aの深さ、および、凹部40aの幅は、接着剤部40より内側の空間に異物(ほこりなど)が侵入することを抑制する大きさである(詳細は後述する)。なお、本実施形態において凹部40aは1か所であるが、複数個所あってもよい。
【0047】
接着剤部40は、接着剤によって形成されている。接着剤は、一液型接着剤であり、例えばUV(紫外線)硬化型接着剤である。
【0048】
図2および
図7に示すように、接着剤部40は、所定の大きさのギャップ部材41を複数含有している。ギャップ部材41は例えば球状であり、所定の大きさに対応する所定の直径を有している。本実施形態では、所定の直径は、およそ160μmである。また、接着剤部40の体積に対する複数のギャップ部材41の総体積の割合は、およそ2%である。ギャップ部材41は、ギャップ部材41の全部が接着剤部40に覆われた状態、および、ギャップ部材41の一部が接着剤部40から露出した状態を有する。
【0049】
また、ギャップ部材41の硬度は、接着剤部40の硬度より高い。よって、ギャップ部材41は、接着剤部40より外力に対して変形しにくい。
【0050】
ギャップ部材41は、表示パネル10の反対面10bおよび色分離素子30の出射面30aによって挟持されている。これにより、表示パネル10と色分離素子30との間のZ方向距離は、所定の直径でほぼ一定となる。所定の直径は、分離光SRが副画素SPに集まる大きさに定められている。
【0051】
また、ギャップ部材41は、接着剤に予め含有されている。具体的には、ギャップ部材41は、表示装置1の製造が開始される前に、接着剤に混ぜ合わせられる。
【0052】
<表示装置1の製造方法>
次に、表示装置1の製造方法において、表示パネル10と色分離素子30とを接着する接着工程について説明する。
【0053】
接着工程は、表示パネル10に接着剤を塗布する塗布工程、色分離素子30と表示パネル10とを貼り合わせる貼合わせ工程、表示パネル10および色分離素子30に押圧力を加える押圧工程、接着剤の一部を硬化させる第1硬化工程、押圧力を取り除く除荷工程、および、接着剤の全体を硬化させる第2硬化工程を含む。塗布工程、貼合わせ工程、押圧工程、第1硬化工程、除荷工程、および、第2硬化工程は、この順に行われる。
【0054】
図8は、塗布工程で接着剤ADが塗布された表示パネル10を示す斜視図である。塗布工程では、表示パネル10の反対面10bにおける第1偏光板15の周囲に全周に亘って接着剤ADが塗布される。つまり、塗布工程では、所定の大きさのギャップ部材41を含有する接着剤ADを表示パネル10の板面(反対面10b)に塗布する。接着剤ADは、ディスペンサを用いて塗布される。
【0055】
図9は、貼合わせ工程で色分離素子30と表示パネル10とが貼り合わされた状態を示す斜視図である。貼合わせ工程では、色分離素子30の板面(出射面30a)とギャップ部材41が散布された表示パネル10の反対面10bとを、接着剤ADを介して貼り合わせる。貼合わせ工程では、色分離素子30の板面(出射面30a)および表示パネル10の反対面10bによってギャップ部材41を挟持させる。またこのとき、接着剤ADは、表示領域DAの周囲に全周に亘って表示パネル10および色分離素子30の両方に側面視で連続して接触している。
【0056】
図10は、押圧工程で表示パネル10および色分離素子30に押圧力Fが加えられている状態を示す側面図である。押圧工程では、接着剤ADを介して互いに貼り合わされた色分離素子30および表示パネル10にギャップ部材41を押圧する押圧力Fを加える。具体的には、色分離素子30が支持台Bに置かれた状態で、表示パネル10に押圧力Fが色分離素子30側に向けて加えられる。これにより、ギャップ部材41が弾性変形し、表示パネル10と色分離素子30とのZ方向距離Hがギャップ部材41の所定の直径より小さくなる。
【0057】
図11は、第1硬化工程で接着剤ADの一部に紫外線Ruvが照射されている状態を示す側面図である。第1硬化工程では、色分離素子30および表示パネル10に押圧力Fが加えられた状態で、接着剤ADの一部を硬化させる。具体的には、接着剤ADの一部における表示パネル10と接触している部位、すなわち、接着剤ADの一部における表示パネル10側の部位を硬化させる。
【0058】
第1硬化工程では、押圧力Fが加えられた状態で、表示パネル10側から接着剤ADの一部に紫外線Ruvを照射する。紫外線Ruvは、照射範囲Huvに照射される。すなわち、接着剤ADの一部の範囲は、紫外線Ruvの照射範囲Huvに対応する。
【0059】
第1硬化工程において、紫外線Ruvの積算光量は、予め定められている第1所定積算光量である。第1所定積算光量は、接着剤ADの一部において表示パネル10と接触している表示パネル10側の部位が硬化する積算光量である。第1所定積算光量は、予め実行される実験などで導出されている。第1所定積算光量は、例えば、1000mJ/cm2である。
【0060】
接着剤ADの一部に紫外線Ruvが照射されることで、接着剤ADの一部における表示パネル10側の部位が硬化する。一方、接着剤ADの全体のうち、接着剤ADの一部において色分離素子30と接触している色分離素子30側の部位、および、接着剤ADの一部以外の部位は、硬化しない。
【0061】
図12は、除荷工程で表示パネル10および色分離素子30から押圧力Fが取り除かれた状態を示す側面図である。除荷工程では、接着剤ADの一部(具体的には、接着剤ADの一部における表示パネル10側の部位)が硬化した状態で押圧力Fを取り除く。
【0062】
接着剤ADの一部が硬化した状態で押圧力Fが取り除かれると、押圧力Fによって弾性変形していたギャップ部材41が元の形状に戻る。これにより、表示パネル10がギャップ部材41によって持ち上げられることで表示パネル10が色分離素子30から遠ざかると、Z方向距離Hがギャップ部材41の所定の直径とほぼ等しくなり、接着剤ADの一部が表示パネル10から離れる。
【0063】
一方、接着剤ADの一部における表示パネル10側の部位以外の接着剤ADの部位は、硬化していないため、表示パネル10の動きに追従して表示パネル10と接触している。これにより、照射範囲Huvに対応する接着剤ADの一部が凹状となる。
【0064】
続けて、第2硬化工程では、色分離素子30および表示パネル10から押圧力Fが除かれた状態で接着剤ADの全体を硬化させる。具体的には、接着剤ADの全体に紫外線Ruvが照射される。第2硬化工程において、紫外線Ruvの積算光量は、予め定められている第2所定積算光量である。第2所定積算光量は、第1所定積算光量よりも小さく、接着剤ADの全体が確実に硬化する積算光量である。第2所定積算光量は、予め実行される実験などで導出されている。第2所定積算光量は、例えば、250(mJ/cm2)である。
【0065】
なお、第2硬化工程における紫外線Ruvの波長は、第1硬化工程における紫外線Ruvの波長より長くてもよい。紫外線Ruvの波長が長いと接着剤ADのZ方向全体に紫外線Ruvが到達し、接着剤ADの全体が確実に硬化する。
【0066】
第2硬化工程によって、接着剤ADの一部が凹状となっている状態で接着剤ADの全体が硬化すると、凹部40aを有する接着剤部40が形成される。また、上記のように、第1所定積算光量が第2所定積算光量より大きいため、接着剤ADの一部の色は接着剤ADの一部以外の部位の色より黄色味を帯びており、接着剤ADの一部以外の部位の色は接着剤ADの一部の色より白味を帯びている。
【0067】
上記のように、凹部40aは、表示パネル10と色分離素子30との間における平面視で接着剤部40より内側の空間と、接着剤部40より外側の空間とを連通する。よって、接着剤部40より内側の空間において、空気が圧縮されることで生じる圧力によって表示パネル10および色分離素子30が変形することが抑制される。
【0068】
また、凹部40aの深さは、押圧工程におけるギャップ部材41の弾性変形量とほぼ等しく、極めて小さい。本実施形態において、凹部40aの深さは、およそ10μm以下である。よって、凹部40aから異物が侵入することを抑制することができる。
【0069】
そして、凹部40aの幅は、紫外線Ruvの照射範囲Huvによって定まる。照射範囲Huvは、凹部40aの開口面積が異物の通過を抑制する大きさとなるように定められている。したがって、凹部40aから異物が侵入することを確実に抑制することができる。
【0070】
<表示装置1の製造方法の変形例>
例えば、第2硬化工程は、押圧工程と第1硬化工程との間に行われてもよい。つまり、この場合、接着工程は、塗布工程、貼合わせ工程、押圧工程、第2硬化工程、第1硬化工程、および、除荷工程の順に行われる。
【0071】
この場合、第2硬化工程では、色分離素子30および表示パネル10に押圧力Fが加えられた状態で、接着剤ADの全体に第2所定積算光量にて紫外線Ruvが照射される。続けて、接着剤ADの全体が完全に硬化する前に、第1硬化工程が行われる。つまり、色分離素子30および表示パネル10に押圧力Fが加えられた状態で、表示パネル10側から接着剤ADの一部に第1所定積算光量にて紫外線Ruvが照射される。これにより、接着剤ADの全体が完全に硬化する前に接着剤ADの一部が硬化する。
【0072】
さらに、接着剤ADの全体が完全に硬化する前に、除荷工程が行われることで、接着剤ADの一部が凹状になる。接着剤ADの全体が完全に硬化すると、凹部40aを有する接着剤部40が形成される。
【0073】
図13は、本開示の実施形態の他の変形例に係る表示装置1を示す側面図である。本変形例では、接着剤部40が有する凹部140aは、側面視において色分離素子30から離れている。この場合、接着剤部40は、表示領域DAの周囲に全周に亘って表示パネル10と側面視で連続して接触している。
【0074】
また、この場合、第1硬化工程において、色分離素子30および表示パネル10に押圧力Fが加えられた状態で、色分離素子30側から接着剤ADの一部に紫外線Ruvが照射される。これにより、接着剤ADの一部における色分離素子30と接触している色分離素子30側の部位が硬化する。
【0075】
第1硬化工程で硬化した接着剤ADの一部(具体的には、接着剤ADの一部における色分離素子30側の部位)は、除荷工程で色分離素子30から離れて凹状となる。さらに、第2硬化工程で接着剤ADの全体が硬化することで、凹部140aが形成される。
【0076】
なお、第1硬化工程において、接着剤ADの一部の全体を硬化させてもよい。この場合、接着剤ADの一部において、表示パネル10と接触している部位および色分離素子30と接触している部位の両方が硬化する。さらにこの場合、除荷工程において、接着剤ADの一部は、表示パネル10および色分離素子30の一方または両方から離れる。そして、第2硬化工程において接着剤ADの全体が硬化すると、表示パネル10と離れている凹部40a(
図7)、および、色分離素子30と離れている凹部140a(
図13)の一方または両方が形成される。
【0077】
また、第1所定積算光量と第2所定積算光量とは、等しい積算光量でもよい。
【0078】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0079】
1 表示装置
10 表示パネル
10b 表示パネルの反対面
20 光源装置(光源)
30 色分離素子
30a 色分離素子の出射面(板面)
40 接着剤部
40a 凹部
41 ギャップ部材
AD 接着剤
DA 表示領域
F 押圧力
Ruv 紫外線
SR 分離光