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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060435
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】排水装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/182 20060101AFI20240424BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
E03C1/182
A47K1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167804
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】野間 彩加
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA02
2D061DA03
2D061DC03
2D061DE01
(57)【要約】
【課題】配管本体と接続部材との間の止水性を向上させることができる排水装置を提供する。
【解決手段】排水装置2は、外周面の一部に平坦面36が形成され、平坦面36に貫通孔38を有する筒状の配管本体16と、その内部が貫通孔38を通して配管本体16の内部と連通するように、配管本体16の平坦面36に着脱可能に接続される筒状の接続部材20と、接続部材20と配管本体16の平坦面36との間をシールするシール部材22とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面の一部に平坦面が形成され、前記平坦面に貫通孔を有する筒状の配管本体と、
その内部が前記貫通孔を通して前記配管本体の内部と連通するように、前記配管本体の前記平坦面に着脱可能に接続される筒状の接続部材と、
前記接続部材と前記配管本体の前記平坦面との間をシールするシール部材と、を備える
排水装置。
【請求項2】
前記接続部材の外周面には、前記接続部材の径方向外側に突出する環状のフランジ部が形成され、
前記シール部材は、環状に形成され、前記フランジ部と前記配管本体の前記平坦面との間をシールする
請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
前記配管本体の前記貫通孔の周縁部には切り欠き部が形成され、
前記接続部材の一端部には、前記接続部材の径方向外側に突出する突部が形成されており、
前記突部が前記切り欠き部を通して前記配管本体の内部に挿通された状態で、前記接続部材を前記配管本体に対して第1の方向に回転させることにより、前記突部が前記配管本体の内周面に係合される
請求項2に記載の排水装置。
【請求項4】
前記配管本体の前記内周面には傾斜面が形成されており、
前記突部が前記切り欠き部を通して前記配管本体の内部に挿通された状態で、前記接続部材を前記配管本体に対して前記第1の方向に回転させた際に、前記突部が前記傾斜面に乗り上げることにより、前記突部が前記傾斜面に係合される
請求項3に記載の排水装置。
【請求項5】
前記配管本体の前記平坦面には、前記配管本体の径方向外側に突出する係合部が形成され、
前記接続部材の前記フランジ部の外周部には、前記接続部材の径方向外側に突出する被係合部が形成されており、
前記突部が前記切り欠き部を通して前記配管本体の内部に挿通された状態で、前記接続部材を前記配管本体に対して前記第1の方向に回転させた際に、前記被係合部が前記係合部を乗り越えることにより、前記接続部材の前記配管本体に対する前記第1の方向とは反対方向である第2の方向の回転が規制される
請求項3又は4に記載の排水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば台所のシンクや洗面ボウル等の槽体からの排水を流すための排水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば台所のシンクや洗面ボウル等の槽体からの排水を流すための排水装置が知られている。このような排水装置の一つとして、特許文献1には、円筒状の配管本体と、円環状のナット部材とを備えた排水装置が開示されている。配管本体の上側の開口部の周縁部には、配管本体の径方向外側に突出する円環状のフランジ部が形成されている。配管本体の上端部における外周面には、雄ネジ部が形成されている。また、ナット部材の内周面には、雌ネジ部が形成されている。
【0003】
特許文献1に開示された排水装置を槽体に設置する際には、まず、配管本体を、槽体の底部に形成された排水口に上方から挿通し、配管本体のフランジ部を排水口の周縁部に上方から接触させる。次いで、配管本体の外側にナット部材を下方から通して、ナット部材を配管本体に対して所定の方向に回転させることにより、ナット部材の雌ネジ部と配管本体の雄ネジ部とを締結する。これにより、ナット部材が排水口の周縁部に下方から接触し、排水口の周縁部が配管本体のフランジ部とナット部材との間に挟持される。
【0004】
また、上述した排水装置には、配管本体の外周面に、配管本体の径方向外側に突出する分岐配管が形成されているタイプのものが知られている。このようなタイプの排水装置を槽体に設置する場合には、配管本体の外側にナット部材を下方から通した際に、ナット部材と分岐配管とが干渉してしまい、ナット部材の雌ネジ部と配管本体の雄ネジ部とを締結することができないおそれがある。
【0005】
このようなナット部材と分岐配管との干渉を回避するための排水装置として、特許文献2には、配管本体と分岐配管とを別体に構成した排水装置が開示されている。特許文献2に開示された排水装置では、分岐配管は配管本体の外周面に対して着脱可能に接続され、分岐配管と配管本体の外周面との間には、円環状のシール部材が介在されている。排水装置を槽体に設置する場合には、分岐配管を配管本体の外周面から取り外した状態で、配管本体の外側にナット部材を下方から通し、ナット部材の雌ネジ部と配管本体の雄ネジ部とを締結する。その後、分岐配管を配管本体の外周面に接続する。これにより、ナット部材と分岐配管との干渉が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平6-9094号公報
【特許文献2】特開2020-41574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示された排水装置では、配管本体は円筒状に形成されているため、シール部材をその全周に亘って配管本体の湾曲した外周面に確実に押し当てることが難しい。そのため、分岐配管と配管本体の外周面との間の止水性が低下するおそれがあるという課題が生じる。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、配管本体と接続部材との間の止水性を向上させることができる排水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る排水装置は、外周面の一部に平坦面が形成され、前記平坦面に貫通孔を有する筒状の配管本体と、その内部が前記貫通孔を通して前記配管本体の内部と連通するように、前記配管本体の前記平坦面に着脱可能に接続される筒状の接続部材と、前記接続部材と前記配管本体の前記平坦面との間をシールするシール部材と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る排水装置によれば、配管本体と接続部材との間の止水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る排水装置の適用例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る排水装置を示す斜視図である。
図3】実施の形態1に係る排水装置を示す側面図である。
図4A図3のIVA-IVA線による、実施の形態1に係る排水装置の断面図である。
図4B図4AのIVB-IVB線による、実施の形態1に係る排水装置の断面図である。
図5】実施の形態1に係る排水装置を示す分解斜視図である。
図6】実施の形態1に係る排水装置の接続部材及びシール部材を示す斜視図である。
図7図6とは異なる角度から見た状態での、実施の形態1に係る排水装置の接続部材及びシール部材を示す斜視図である。
図8】実施の形態1に係る排水装置の設置手順を説明するための図である。
図9】実施の形態1に係る排水装置の設置手順を説明するための図である。
図10】実施の形態1に係る排水装置の設置手順を説明するための図である。
図11】実施の形態2に係る排水装置の適用例を示す図である。
図12】実施の形態2に係る排水装置を示す斜視図である。
図13】実施の形態3に係る排水装置の適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の態様に係る排水装置は、外周面の一部に平坦面が形成され、前記平坦面に貫通孔を有する筒状の配管本体と、その内部が前記貫通孔を通して前記配管本体の内部と連通するように、前記配管本体の前記平坦面に着脱可能に接続される筒状の接続部材と、前記接続部材と前記配管本体の前記平坦面との間をシールするシール部材と、を備える。
【0013】
本態様によれば、配管本体の外周面の一部に平坦面が形成され、シール部材は、接続部材と配管本体の平坦面との間をシールする。これにより、シール部材をその全周に亘って配管本体の平坦面に確実に押し当てることができ、接続部材と配管本体の平坦面との間の止水性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の第2の態様に係る排水装置では、第1の態様において、前記接続部材の外周面には、前記接続部材の径方向外側に突出する環状のフランジ部が形成され、前記シール部材は、環状に形成され、前記フランジ部と前記配管本体の前記平坦面との間をシールするように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、接続部材のフランジ部によって、シール部材をその全周に亘って配管本体の平坦面に確実に且つ容易に押し当てることができる。
【0016】
また、本発明の第3の態様に係る排水装置では、第1の態様又は第2の態様において、前記配管本体の前記貫通孔の周縁部には切り欠き部が形成され、前記接続部材の一端部には、前記接続部材の径方向外側に突出する突部が形成されており、前記突部が前記切り欠き部を通して前記配管本体の内部に挿通された状態で、前記接続部材を前記配管本体に対して第1の方向に回転させることにより、前記突部が前記配管本体の内周面に係合されるように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、接続部材を配管本体に対して第1の方向に回転させることにより、突部が配管本体の内周面に係合されるので、接続部材を配管本体の平坦面に容易に接続することができる。
【0018】
また、本発明の第4の態様に係る排水装置では、第3の態様において、前記配管本体の前記内周面には傾斜面が形成されており、前記突部が前記切り欠き部を通して前記配管本体の内部に挿通された状態で、前記接続部材を前記配管本体に対して前記第1の方向に回転させた際に、前記突部が前記傾斜面に乗り上げることにより、前記突部が前記傾斜面に係合されるように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、突部が傾斜面に乗り上げた際に、接続部材が貫通孔を通して配管本体の内部に所定距離だけ引き込まれるようになる。これに伴って、シール部材を接続部材のフランジ部と配管本体の平坦面との間で圧縮することができ、シール部材をその全周に亘って配管本体の平坦面に確実に且つ容易に押し当てることができる。
【0020】
また、本発明の第5の態様に係る排水装置では、第3の態様又は第4の態様において、前記配管本体の前記平坦面には、前記配管本体の径方向外側に突出する係合部が形成され、前記接続部材の前記フランジ部の外周部には、前記接続部材の径方向外側に突出する被係合部が形成されており、前記突部が前記切り欠き部を通して前記配管本体の内部に挿通された状態で、前記接続部材を前記配管本体に対して前記第1の方向に回転させた際に、前記被係合部が前記係合部を乗り越えることにより、前記接続部材の前記配管本体に対する前記第1の方向とは反対方向である第2の方向の回転が規制されるように構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、被係合部が係合部を乗り越えることにより、接続部材の配管本体に対する第2の方向の回転が規制されるので、突部が配管本体の内周面(傾斜面を含む)に係合された状態を維持することができる。
【0022】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0023】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0024】
(実施の形態1)
[1.排水装置の適用例]
まず、図1を参照しながら、実施の形態1に係る排水装置2の適用例について説明する。図1は、実施の形態1に係る排水装置2の適用例を示す図である。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態では、排水装置2は、例えば台所等に設置される多槽式シンク4からの排水を流すための排水トラップとして適用される。多槽式シンク4は、互いに隣り合う第1の槽体6及び第2の槽体8を備えている。
【0026】
第1の槽体6の底部には、円形状の第1の排水口10が形成されている。この第1の排水口10には、排水装置2が設置されている。第1の槽体6からの排水は、第1の排水口10を通して排水装置2の内部を流れ落ちる。
【0027】
また、第2の槽体8の底部には、円形状の第2の排水口12が形成されている。この第2の排水口12には、略L字状に延在する分岐配管14が設置されている。分岐配管14の一端部は、第2の排水口12に接続され、分岐配管14の他端部は、排水装置2の側方に接続されている。第2の槽体8からの排水は、第2の排水口12を通して分岐配管14の内部を横方向に流れた後に、排水装置2の内部に流入して排水装置2の内部を流れ落ちる。
【0028】
[2.排水装置の構成]
次に、図2図7を参照しながら、実施の形態1に係る排水装置2の構成について説明する。図2は、実施の形態1に係る排水装置2を示す斜視図である。図3は、実施の形態1に係る排水装置2を示す側面図である。図4Aは、図3のIVA-IVA線による、実施の形態1に係る排水装置2の断面図である。図4Bは、図4AのIVB-IVB線による、実施の形態1に係る排水装置2の断面図である。図5は、実施の形態1に係る排水装置2を示す分解斜視図である。図6は、実施の形態1に係る排水装置2の接続部材20及びシール部材22を示す斜視図である。図7は、図6とは異なる角度から見た状態での、実施の形態1に係る排水装置2の接続部材20及びシール部材22を示す斜視図である。
【0029】
なお、図2図5において、接続部材20の軸方向をX軸方向、配管本体16の軸方向をZ軸方向、接続部材20及び配管本体16の各軸方向に直交する方向をY軸方向とする。また、Z軸方向のプラス側を「上」、「上側」及び「上方」等と表現し、Z軸方向のマイナス側を「下」、「下側」及び「下方」等と表現する。
【0030】
図2図5に示すように、排水装置2は、配管本体16と、ナット部材18と、接続部材20と、シール部材22とを備えている。
【0031】
配管本体16は、第1の本体部24と、フランジ部26と、第2の本体部28と、封水形成部30とを有している。
【0032】
第1の本体部24は、筒状に形成されている。第1の本体部24の上端部における外周面には、雄ネジ部32が形成されている。雄ネジ部32は、第1の本体部24の周方向における全周に亘って形成されている。また、図2及び図4Aに示すように、第1の本体部24の外周面には、円筒状に湾曲した曲面34と、平坦状に形成された平坦面36とが形成されている。すなわち、平坦面36は、第1の本体部24の外周面の一部に形成されている。平坦面36は、接続部材20の接続方向(X軸方向)に対して垂直な平面であり、第1の本体部24の軸方向(Z軸方向)に沿って延在している。
【0033】
図5に示すように、平坦面36には、略円形状の貫通孔38が形成されている。貫通孔38の周縁部には、一対の切り欠き部40,42が形成されている。一対の切り欠き部40,42は、貫通孔38の径中心に対して互いに反対側に配置されている。
【0034】
また、図5に示すように、平坦面36には、第1の本体部24の径方向外側に突出する係合部44が形成されている。係合部44は、例えば断面三角形状に形成されており、貫通孔38の近傍に配置されている。
【0035】
なお、後述する図9の(a)及び(b)に示すように、第1の本体部24の内周面には、傾斜面46が形成されている。傾斜面46は、貫通孔38の近傍に配置されており、貫通孔38から離れるに従って、第1の本体部24の内周面から上り傾斜するように形成されている。
【0036】
フランジ部26は、第1の本体部24の上側の開口部の周縁部から、第1の本体部24の径方向外側に円環状に突出している。なお、上述した雄ネジ部32は、フランジ部26の下側における第1の本体部24の外周面に形成されている。
【0037】
第2の本体部28は、円筒状に形成され、第1の本体部24の下端部から下方に延在している。第2の本体部28の外径は、第1の本体部24の外径よりも小さい。第2の本体部28には、排水管(図示せず)が着脱可能に接続される。
【0038】
図4Bに示すように、封水形成部30は、封水筒48と、椀50とを有している。封水筒48は、円筒状に形成され、第1の本体部24の内部に配置されている。封水筒48は、第1の本体部24の下端部から上方に延在しており、封水筒48の内部は第1の本体部24及び第2の本体部28の各内部と連通している。椀50は、封水筒48に上方から被さるように配置される。これらの封水筒48及び椀50により、第1の本体部24の内部には封水52が溜まるようになる。この封水52により、第2の本体部28に接続された排水管から第1の排水口10(図1参照)への臭気の逆流や虫の侵入等が抑制される。
【0039】
図2に示すように、ナット部材18は、ナット本体部54と、フランジ部56と、複数のリブ片58とを有している。ナット本体部54は円環状に形成され、ナット本体部54の内周面には雌ネジ部60が形成されている。雌ネジ部60は、ナット本体部54の周方向における全周に亘って形成されている。フランジ部56は、ナット本体部54の上側の開口部の周縁部から、フランジ部56の径方向外側に円環状に突出している。複数のリブ片58は、ナット本体部54の外周面に形成され、ナット本体部54の周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0040】
図2図5に示すように、接続部材20は、その内部(中空)が貫通孔38を通して配管本体16の内部(中空)と連通するように、配管本体16の平坦面36に着脱可能に接続される。接続部材20には、分岐配管14(図1参照)が着脱可能に接続される。すなわち、本実施の形態では、接続部材20は、分岐配管14からの排水を、配管本体16を流れる排水と合流させるための枝管として適用される。図6及び図7に示すように、接続部材20は、接続本体部62と、一対の突部64,66と、フランジ部68と、被係合部70とを有している。
【0041】
接続本体部62は、円筒状に形成されており、接続本体部62の内部は貫通孔38を通して配管本体16の内部と連通している。接続本体部62の外径は、配管本体16の貫通孔38の外径よりも例えば1mm程度だけ小さい。一対の突部64,66の各々は、接続本体部62の一端部(配管本体16に近い側の端部)における外周面から、接続本体部62の径方向外側に突出している。一対の突部64,66は、接続本体部62の径中心に対して互いに反対側に配置されている。フランジ部68は、接続本体部62の一端部の近傍における外周面から、接続本体部62の径方向外側に円環状に突出している。なお、フランジ部68は、接続本体部62の軸方向において、一対の突部64,66よりも接続本体部62の他端部(配管本体16から遠い側の端部)側に配置されている。被係合部70は、フランジ部68の外周部から接続本体部62の径方向外側に略L字状に突出している。
【0042】
シール部材22は、円環状に形成されたシール部材であり、例えばゴム材料等の弾性復元力を有する材料で形成されている。具体的には、シール部材22は、例えばOリング等のパッキンで構成されている。図5図7に示すように、シール部材22は、接続部材20のフランジ部68の側面(一対の突部64,66に近い側の側面)の周方向に沿って配置されている。図4A及び図4Bに示すように、接続部材20が配管本体16の平坦面36に接続された際に、シール部材22は、接続部材20のフランジ部68と配管本体16の平坦面36との間で圧縮されることにより、接続部材20のフランジ部68と配管本体16の平坦面36との間をシール(止水)する。
【0043】
[3.排水装置の設置手順]
次に、図8図10を参照しながら、実施の形態1に係る排水装置2の設置手順について説明する。図8図10は、実施の形態1に係る排水装置2の設置手順を説明するための図である。
【0044】
まず、図8の(a)に示すように、接続部材20を配管本体16の平坦面36から取り外した状態で、配管本体16の第1の本体部24を、第1の槽体6の第1の排水口10に上方から挿通し、配管本体16のフランジ部26を第1の排水口10の周縁部に上方から接触させる。この時、配管本体16の平坦面36が分岐配管14(図1参照)の設置方向を向くように、配管本体16の平坦面36の向きを調節する。
【0045】
次いで、図8の(a)及び(b)に示すように、第2の本体部28の下端部から第1の本体部24の外側にナット部材18を通して、ナット部材18を第1の本体部24の上端部に近付ける。この時、接続部材20が配管本体16の平坦面36から取り外されているので、ナット部材18と接続部材20との干渉を回避することができる。次いで、ナット部材18を第1の本体部24に対して所定の方向に回転させることにより、ナット部材18の雌ネジ部60(図2参照)と第1の本体部24の雄ネジ部32とを締結する。なお、ナット部材18のリブ片58に手指を引っ掛けることにより、ナット部材18を第1の本体部24に対して容易に回転させることができる。
【0046】
このようにナット部材18の雌ネジ部60と第1の本体部24の雄ネジ部32とを締結することにより、ナット部材18のフランジ部56が第1の排水口10の周縁部に下方から接触する。これにより、図8の(b)に示すように、第1の排水口10の周縁部が配管本体16のフランジ部26とナット部材18のフランジ部56との間に上下から挟持され、配管本体16が第1の排水口10に対して固定される。なお、説明の都合上、図9及び図10では、ナット部材18の図示を省略してある。
【0047】
次いで、図9の(a)及び図10の(a)に示すように、接続部材20の一対の突部64,66をそれぞれ、配管本体16の第1の本体部24の一対の切り欠き部40,42を通して第1の本体部24の内部に挿通させる。これにより、接続部材20の接続本体部62の一端部が、貫通孔38を通して第1の本体部24の内部に挿通される。この時、接続部材20のフランジ部68に配置されたシール部材22は、第1の本体部24の平坦面36における貫通孔38の周縁部に接触するようになる。
【0048】
この状態で、図9の(b)に示すように、接続部材20の接続本体部62を配管本体16の第1の本体部24に対して第1の方向(図9の(b)において矢印Pで示す方向)に回転させる。これにより、一対の突部64,66の各々が、第1の本体部24の内周面における貫通孔38の周縁部に係合される。この時、突部66が第1の本体部24の内周面に形成された傾斜面46に乗り上げることにより、突部66が傾斜面46に係合される。これに伴って、接続部材20の接続本体部62は、貫通孔38を通して第1の本体部24の内部に所定距離(例えば1~2mm程度)だけ引き込まれるようになる。その結果、シール部材22は、接続部材20のフランジ部68と配管本体16の平坦面36との間に圧縮された状態で挟持されることにより、接続部材20のフランジ部68と配管本体16の平坦面36との間をシールする。
【0049】
また、図10の(a)に示す状態から、図10の(b)に示すように、接続部材20の接続本体部62を配管本体16の第1の本体部24に対して第1の方向(図10の(b)において矢印Pで示す方向)に回転させた際に、被係合部70が係合部44を乗り越えるようになる。これにより、接続部材20の配管本体16に対する第1の方向とは反対方向である第2の方向(図10の(b)において矢印Qで示す方向)の回転が規制されるので、接続部材20の突部66が配管本体16の傾斜面46に係合された状態を維持することができる。
【0050】
以上のようにして、接続部材20が配管本体16の平坦面36に接続され、排水装置2の第1の槽体6に対する設置が完了する。
【0051】
[4.効果]
上述したように、本実施の形態では、シール部材22は、接続部材20のフランジ部68と配管本体16の平坦面36との間をシールする。これにより、シール部材22をその全周に亘って配管本体16の平坦面36に確実に押し当てることができ、接続部材20のフランジ部68と配管本体16の平坦面36との間の止水性を向上させることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、排水装置2を多槽式シンク4からの排水を流すための排水トラップとして適用したが、これに限定されず、例えば洗面所に設置される洗面ボウル(槽体)からの排水を流すための排水トラップとして適用してもよい。この場合には、接続部材20は、洗面ボウルのオーバーフロー開口部に接続されたオーバーフロー配管からの排水を、配管本体16を流れる排水と合流させるための枝管として適用される。
【0053】
(実施の形態2)
図11を参照しながら、実施の形態2に係る排水装置2Aの適用例について説明する。図11は、実施の形態2に係る排水装置2Aの適用例を示す図である。なお、以下に示す各実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
図11に示すように、本実施の形態では、排水装置2Aは、例えば台所等に設置される一掃式シンクである槽体72からの排水を流すための排水器として適用される。槽体72の底部には、円形状の排水口73が形成されている。この排水口73には、排水装置2Aが設置されている。
【0055】
排水装置2Aの接続部材20には、略L字状の排水管74及び略S字状のトラップ管76を介して、直管状の排水管78が接続されている。すなわち、本実施の形態では、接続部材20は、配管本体16Aからの排水を、排水管74に向けて横方向に流すための枝管として適用される。
【0056】
槽体72からの排水は、排水口73を通して排水装置2Aの内部に流れ込んだ後、排水管74の内部を横方向に流れるようになる。排水管74の内部を流れた排水は、トラップ管76を介して排水管78に流れる。このように、排水管74を排水装置2Aの側方に接続することにより、槽体72の下方に台所等の収納スペースを確保することができる。
【0057】
図12を参照しながら、実施の形態2に係る排水装置2Aの構成について説明する。図12は、実施の形態2に係る排水装置2Aを示す斜視図である。
【0058】
図12に示すように、本実施の形態では、排水装置2Aの配管本体16Aの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、配管本体16Aは、第1の本体部24A及びフランジ部26のみを有しており、上記実施の形態1で説明した第2の本体部28及び封水形成部30を有していない。第1の本体部24Aは、上端が開口され、且つ、下端が閉塞された有底筒状に形成されている。
【0059】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施の形態3)
図13を参照しながら、実施の形態3に係る排水装置2Bの適用例について説明する。図13は、実施の形態3に係る排水装置2Bの適用例を示す図である。
【0061】
図13に示すように、本実施の形態では、排水装置2Bは、例えば洗面所に設置される洗面ボウルである槽体80からの排水を流すための排水器として適用される。槽体80の底部には、円形状の排水口82が形成されている。この排水口82には、排水装置2Bが設置されている。また、排水口82には、排水栓84が開閉可能に配置されている。排水栓84は、連動機構88を介して、槽体80の上端部に配置された操作部86と接続されている。
【0062】
連動機構88は、操作部86の昇降動作と、排水栓84の開閉動作とを連動させる。具体的には、使用者が操作部86を槽体80に対して上方に引き上げた際には、連動機構88は、操作部86の上昇動作と連動させて、排水栓84を開動作させる。これにより、排水口82が排水栓84により開放される。また、使用者が操作部86を槽体80に対して下方に押し込んだ際には、連動機構88は、操作部86の下降動作と連動させて、排水栓84を閉動作させる。これにより、排水口82が排水栓84により閉塞される。
【0063】
排水装置2Bの配管本体16B及び接続部材20Bの各内部には、連動機構88の一部が配置されている。すなわち、本実施の形態では、接続部材20Bは、連動機構88を介して配管本体16Bと操作部86とを接続するための取付構造として適用される。
【0064】
詳細な図示は省略するが、配管本体16Bは、上記実施の形態1で説明した配管本体16と同様の構成を有している。したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。なお、図示は省略するが、排水装置2Bは、上述した排水器として適用するだけでなく、例えば槽体80からの排水を流すための排水トラップとして適用することも可能である。
【0065】
(変形例等)
以上、一つ又は複数の態様に係る排水装置について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を上記各実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る排水装置は、例えば台所等に設置される多槽式シンクからの排水を流すための排水トラップ等に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
2,2A,2B 排水装置
4 多槽式シンク
6 第1の槽体
8 第2の槽体
10 第1の排水口
12 第2の排水口
14 分岐配管
16,16A,16B 配管本体
18 ナット部材
20,20B 接続部材
22 シール部材
24,24A 第1の本体部
26,56,68 フランジ部
28 第2の本体部
30 封水形成部
32 雄ネジ部
34 曲面
36 平坦面
38 貫通孔
40,42 切り欠き部
44 係合部
46 傾斜面
48 封水筒
50 椀
52 封水
54 ナット本体部
58 リブ片
60 雌ネジ部
62 接続本体部
64,66 突部
70 被係合部
72,80 槽体
73,82 排水口
74,78 排水管
76 トラップ管
84 排水栓
86 操作部
88 連動機構
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13