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特開2024-60447クレーン制御システム、及びクレーン制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060447
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】クレーン制御システム、及びクレーン制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/00 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
B66C15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167818
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】来田 胤将
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA03
3F204BA04
3F204CA05
3F204DA02
3F204DB02
3F204DC01
(57)【要約】
【課題】走行路内の物体の検出精度を向上できるクレーン制御システム、及びクレーン制御方法を提供する。
【解決手段】クレーン制御システム100は、RTGクレーン10を幅方向D2から見たときに、走行路RDA,RDBの路面RDaとRTGクレーン10との相対的な位置関係に関する情報を取得する位置関係情報取得部115を備える。また、クレーン制御システム100は、位置関係情報取得部115で取得された位置関係に関する情報に基づいて、検出部30の検出範囲DSを補正する補正部116を備える。補正部116は、それらの傾斜に応じて、検出部30の検出範囲DSを補正することができる。これにより、補正部116は、走行路RDA,RDBに対して適切な検出範囲を設定することができるため、走行路RDA,RDB内の物体の検出精度を向上できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路を走行するRTGクレーンのクレーン制御システムであって、
前記クレーンの走行方向における進行側に存在する物体を検出する検出部と、
前記クレーンを幅方向から見たときに、前記走行路の路面と前記クレーンとの相対的な位置関係に関する情報を取得する位置関係情報取得部と、
前記位置関係情報取得部で取得された前記位置関係に関する情報に基づいて、前記検出部の検出範囲を補正する補正部と、を備える、クレーン制御システム。
【請求項2】
前記位置関係情報取得部は、前記検出部の検出結果に基づいてリアルタイムで前記位置関係に関する情報を取得する、請求項1に記載のクレーン制御システム。
【請求項3】
前記位置関係情報取得部は、前記路面の位置を平均化することで前記路面の平均傾斜を演算し、
前記補正部は、前記平均傾斜に基づいて前記検出範囲を補正する、請求項1に記載のクレーン制御システム。
【請求項4】
前記位置関係情報取得部は、前記検出部によって前記路面として検出された検出点のうち、所定の基準から外れるものを外れ点として除去する、請求項1に記載のクレーン制御システム。
【請求項5】
前記補正部による補正後の前記検出範囲内に障害物が存在する場合、異常判定を行う判定部を更に備える、請求項1に記載のクレーン制御システム。
【請求項6】
前記位置関係情報取得部は、前記路面の高さ及び角度を推定し、推定した高さと予め準備した高さの既存値とを比較することで、推定結果の妥当性を判定する、請求項1に記載のクレーン制御システム。
【請求項7】
走行路を走行するRTGクレーンのクレーン制御方法であって、
前記クレーンの走行方向における進行側に存在する物体を検出する検出ステップと、
前記クレーンを幅方向から見たときに、前記走行路の路面と前記クレーンとの相対的な位置関係に関する情報を取得する位置関係情報取得ステップと、
前記位置関係情報取得ステップで取得された前記位置関係に関する情報に基づいて、物品の検出範囲を補正する補正ステップと、を備える、クレーン制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クレーン制御システム、及びクレーン制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンテナヤードにおけるコンテナの搬送作業の一部を自動化することが記載されている。コンテナを搬送するクレーンは、直線状の走行路を走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-123367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のようなクレーンにおいては、走行路内に物体が存在する場合に、当該物体とクレーンの走行部とが接触することを抑制するために、走行路に存在する物体を検出するセンサが設けられる場合がある。ここで、RTGクレーンの場合は、走行路の路面が傾斜する場合がある。このような場合、センサの検出範囲内に路面が存在することにより、路面を障害物として誤検出してしまうなどの問題が生じる。
【0005】
本開示は、走行路内の物体の検出精度を向上できるクレーン制御システム、及びクレーン制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るクレーン制御システムは、走行路を走行するRTGクレーンのクレーン制御システムであって、クレーンの走行方向における進行側に存在する物体を検出する検出部と、クレーンを幅方向から見たときに、走行路の路面とクレーンとの相対的な位置関係に関する情報を取得する位置関係情報取得部と、位置関係情報取得部で取得された位置関係に関する情報に基づいて、検出部の検出範囲を補正する補正部と、を備える。
【0007】
クレーン制御システムは、走行方向において、走行部の進行側に存在する物体を検出する検出部を備える。従って、検出部が障害物としての物体を検出することにより、走行部が当該物体と接触することを回避するために停止等の措置をとることができる。ここで、クレーン制御システムは、クレーンを幅方向から見たときに、走行路の路面とクレーンとの相対的な位置関係に関する情報を取得する位置関係情報取得部を備える。従って、走行路の路面が凹凸を含む傾斜を有していた場合、当該傾斜を把握することができる。また、クレーン制御システムは、位置関係情報取得部で取得された位置関係に関する情報に基づいて、検出部の検出範囲を補正する補正部を備える。従って、走行路の路面が傾斜している場合であっても、補正部は、それらの傾斜に応じて、検出部の検出範囲を補正することができる。これにより、補正部は、走行路に対して適切な検出範囲を設定することができるため、走行路内の物体の検出精度を向上できる。
【0008】
位置関係情報取得部は、検出部の検出結果に基づいてリアルタイムで位置関係に関する情報を取得してよい。この場合、位置関係情報取得部は、走行中の路面の状況に応じて、正確に位置関係に関する情報を取得することができる。
【0009】
位置関係情報取得部は、路面の位置を平均化することで路面の平均傾斜を演算し、補正部は、平均傾斜に基づいて検出範囲を補正してよい。この場合、路面が凹凸を有している場合に、路面の傾斜具合を把握することができる。
【0010】
位置関係情報取得部は、検出部によって路面として検出された検出点のうち、所定の基準から外れるものを外れ点として除去してよい。この場合、位置関係情報取得部は、より正確に位置関係に関する情報を取得できる。
【0011】
クレーン制御システムは、補正部による補正後の検出範囲内に障害物が存在する場合、異常判定を行う判定部を更に備えてよい。この場合、判定部は、補正後の検出範囲を用いて、正確に異常判定を行うことができる。
【0012】
位置関係情報取得部は、路面の高さ及び角度を推定し、推定した高さと予め準備した高さの既存値とを比較することで、推定結果の妥当性を判定してよい。この場合、位置関係情報取得部は、予め把握しておくことが可能な高さの既存値を用いて、推定結果の妥当性を判定することができる。
【0013】
クレーン制御方法は、走行路を走行するRTGクレーンのクレーン制御方法であって、クレーンの走行方向における進行側に存在する物体を検出する検出ステップと、クレーンを幅方向から見たときに、走行路の路面とクレーンとの相対的な位置関係に関する情報を取得する位置関係情報取得ステップと、位置関係情報取得ステップで取得された位置関係に関する情報に基づいて、物品の検出範囲を補正する補正ステップと、を備える。
【0014】
この制御装置によれば、上述のクレーン制御システムと同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、走行路内の物体の検出精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るクレーン制御システムが適用される例示的なコンテナターミナルを示す平面図である。
図2】搬送台車の走行方向に沿って並ぶ荷役対象コンテナ群及び隣接コンテナ群の例を示す斜視図である。
図3】実施形態に係るクレーン制御システムを備えるRTGクレーンを示す斜視図である。
図4】RTGクレーンと当該RTGクレーンの走行路との関係について説明するための模式的な平面図である。
図5】検出部の検出範囲を上方から見た図である。
図6】検出部の検出範囲を幅方向から見た図である。
図7】本実施形態に係るクレーン制御システムの構成及び機能を示すブロック図である。
図8】ずれ角に基づく補正部の補正内容を説明するための概念図である。
図9】補正部が、幅方向から見たときの検出範囲を補正する場合の処理について説明するための概念図である。
図10】クレーン制御システムの処理内容を示す概念図である。
図11】クレーン制御システムの処理内容を示す概念図である。
図12】クレーン制御システムの処理内容を示す概念図である。
図13】クレーン制御システムの処理内容を示す概念図である。
図14】クレーン制御システムの処理内容を示す概念図である。
図15】クレーン制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本発明を実施する形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、説明の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
図1は、本発明が適用される例示的なコンテナターミナル1を示す平面図である。図1に示されるように、コンテナターミナル1には、コンテナCが配置されるコンテナヤード2と、接岸したコンテナ船に対してコンテナCの移載を行う複数のガントリクレーン3と、コンテナヤード2に配置されてコンテナCの荷役を行う複数のRTGクレーン10と、複数のRTGクレーン10の遠隔操作が可能な遠隔操作室5とが設けられる。
【0019】
図2は、コンテナヤード2のコンテナC及び例示的な搬送台車20を示す斜視図である。搬送台車20は、例えばトラック、貨車、トレーラ又はAGV(Automated Guide Vehicle:自動搬送台車)等である。図1及び図2に示されるように、コンテナヤード2には、複数のコンテナが蔵置される蔵置エリアと、搬送台車20の走行路(トラックレーン)が敷設されている。RTGクレーン10は、所定の位置に停止した搬送台車20からコンテナCを取得してコンテナCをコンテナヤード2の所定の番地に載置する。また、RTGクレーン10は、コンテナヤード2に配置されているコンテナCを取得してコンテナCを搬送台車20に移載し、搬送台車20はコンテナCを搬出する。
【0020】
一例として、コンテナCは、ISO規格のコンテナである。コンテナCは、長尺の直方体状を呈し、例えば、コンテナCの長手方向の長さは20フィート以上且つ45フィート以下である。コンテナCの高さは、例えば、8.5フィート以上且つ9.5フィート以下である。コンテナCは、コンテナヤード2に一段又は複数段積み上げられる。コンテナCが配置されている段数は、ティアとよばれることがある。
【0021】
図1に示すように、コンテナヤード2は、コンテナCが配置される複数のレーンLを備え、複数のRTGクレーン10が配置される。RTGクレーン10は、例えば、レーンLごとにRTGクレーン10が配置されている。レーンLに配置されるRTGクレーン10の台数は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0022】
図2に示すように、コンテナCは、コンテナヤード2に一段又は複数段積み上げられて複数のロウRを形成している。各ロウRは、当該ロウRを構成するコンテナC(すなわち、当該ロウRに載置されるコンテナC)の長手方向が他のロウRを構成するコンテナCの長手方向に対して平行となるように、整列されている。
【0023】
コンテナヤード2に整列配置されたコンテナCの長手方向をX方向、コンテナCの短手方向をY方向、コンテナCの高さ方向をZ方向、とすると、コンテナヤード2はXY平面上に延在しており、コンテナCは、例えば、当該XY平面上のいずれかの位置においてZ方向に積み上げられる。X方向はレーンLにおけるRTGクレーン10の走行方向に一致する。Y方向は、レーンLにおけるRTGクレーン10の横行方向に一致する。
【0024】
コンテナCは、Y方向に沿って並ぶと共にZ方向に沿って積み上げられる複数のコンテナ群であるベイBを構成する。コンテナヤード2には、X方向に沿って並ぶ複数のベイBが設けられる。ベイBは、例えば、コンテナCの荷役対象とされる荷役対象ベイである荷役対象コンテナ群B1、及び荷役対象コンテナ群B1のX方向の両側のそれぞれに位置する隣接コンテナ群B2を含んでいる。
【0025】
コンテナヤード2においては、コンテナCを積み付ける位置が三次元空間に仮想的に設定されており、このコンテナCの仮想的な積み付け位置は番地(X,Y,Z)として定義される。すなわち、コンテナヤード2は、コンテナCを載置可能な領域として予め定められた複数の番地(X,Y,Z)を有する。番地(X,Y,Z)のうち、「X」はベイ番号、「Y」はロウ番号、「Z」はティア番号を示している。
【0026】
図3は、コンテナヤード2に配置された本実施形態に係るRTGクレーン10の一例を示す斜視図である。図3に示されるように、RTGクレーン10は、コンテナCを荷役するコンテナ取り扱いクレーンである。RTGクレーン10は、タイヤ式ガントリークレーン(RTG;Rubber Tired Gantry Crane)と称されるタイプのクレーンである。RTGクレーン10は、例えば、コンテナターミナル1においてコンテナヤード2に配置されたコンテナCの荷役を自動で行う。
【0027】
RTGクレーン10は、例えば、一対の脚部11と、一対の脚部11の上端同士を繋ぐクレーンガーダ12と、クレーンガーダ12上を横行可能なトロリ13と、コンテナCを荷役するスプレッダ14と、車輪23を有する一対の走行部15A,15Bとを備える。一対の脚部11及びクレーンガーダ12は、門形を呈する。RTGクレーン10は、例えば、門形を呈する一対の脚部11及びクレーンガーダ12の組を2つ備え、2つの当該組がX方向に沿って並ぶように配置される。
【0028】
トロリ13は、例えば、横行モータの駆動によってY方向に沿って横行する。本実施形態において、Y方向はトロリ13の横行方向に一致する。一例として、トロリ13は、ドラム駆動モータにより正逆回転するドラムを含む巻駆動部16を有し、ワイヤを含む吊部材18を介してスプレッダ14を吊り下げている。トロリ13からは、X方向に並ぶ2箇所の位置から吊部材18が延びており、スプレッダ14はX方向に並ぶ2箇所の位置において吊部材18に吊られている。
【0029】
スプレッダ14は、コンテナCを吊り下げる吊具である。スプレッダ14は、例えば、X方向に延びる矩形状を呈する。スプレッダ14は、コンテナCを上方から係止可能であり、コンテナCを係止して吊り上げることによってコンテナCの荷役を行う。例えば、スプレッダ14の動作は、前述した横行モータ及びドラム駆動モータの駆動によって制御され、当該横行モータ及びドラム駆動モータの駆動はクレーン制御システム100によって制御される。
【0030】
走行部15A,15Bは、RTGクレーン10の直線状の走行路を走行する機構である。RTGクレーン10は、Y方向の両端側のそれぞれの脚部11の下方に設けられる一対の走行部15A,15Bを備える。それぞれの走行部15A,15Bは、X方向に互いに離間する脚部11同士を接続する接続部材21と、接続部材21の下側に設けられた複数の車輪ユニット22と、を備える。車輪ユニット22は、接続部材21のX方向の両端にそれぞれ一つずつ設けられる。車輪ユニット22は、複数の車輪23と、車輪23を支持する車輪支持部24と、を備える。車輪支持部24は、Y方向に並ぶ一対の車輪23の車輪を支持し、当該一対の車輪23をX方向に並んだ状態で二組支持する。なお、一つ当たりの車輪ユニット22が有する車輪23の数、及び走行部15A,15Bが有する車輪ユニット22の数は特に限定されない。
【0031】
RTGクレーン10は、自動的に走行路を真っ直ぐに走行できるように、走行位置検出部26を備える。走行位置検出部26は、走行路に対するY方向におけるRTGクレーン10の走行位置を検出する。走行位置検出部26は、走行路の地面にX方向に直線状をなすように設けられたガイドライン27を検出するように、走行部15Aの下面側に設けられる。例えば、ガイドライン27は、磁石を含んで構成されており、走行位置検出部26は、磁力を検出するセンサによって構成される。例えば、走行部15Aが走行路に対してY方向のずれなく、X方向に真っ直ぐ走行しているときは、走行位置検出部26が検出する磁力は一定となる。これに対し、走行部15Aが走行路に対してY方向にずれたり、走行方向が走行路に対して傾いたような場合は、走行位置検出部26が検出する磁力に変動が生じる。これにより、走行位置検出部26の検出結果に基づいて、RTGクレーン10の走行位置のずれを検出することが可能となる。
【0032】
図4は、RTGクレーン10と当該RTGクレーン10の走行路RDA,RDBとの関係について説明するための模式的な平面図である。図4に示すように、Y方向における一方側の走行部15Aが、走行路RDAを走行する。Y方向における他方側の走行部15Bが、走行路RDBを走行する。これにより、RTGクレーン10は、走行部15Aが走行路RDAを直線状に走行し、且つ、走行部15Bが走行路RDBを直線状に走行することによって、X方向に平行な方向へ走行する。以降の説明においては、走行路RDA,RDBを基準とした絶対座標における方向をX方向及びY方向を用いて説明し、RTGクレーン10が走行する方向を「走行方向D1」と称する場合がある。また、走行方向D1と直交する水平方向をRTGクレーン10の「幅方向D2」と称する場合がある。
【0033】
走行路RDAは、RTGクレーン10のY方向における一方の端部側において、コンテナCのベイBとY方向の一方側に隣り合う位置にて、X方向に直線状に延びている。RDBは、RTGクレーン10のY方向における他方の端部側において、コンテナCのベイBとY方向の他方側に隣り合う位置にて、X方向に直線状に延びている。各走行路RDAは、Y方向において、走行部15A,15Bの幅方向D2の寸法よりも若干広く設定されている。ここで、図4に示すように、走行方向D1における一方側の向きを「向きA1」とし、他方側の向きを「向きA2」とする。このとき、走行部15A,15Bは、向きA1へ向かって走行することができる。このときは、向きA1が走行部15A,15Bの走行方向D1における進行側に該当する。また、走行部15A,15Bは、向きA2へ向かって走行することができる。このときは、向きA2が走行部15A,15Bの走行方向D1における進行側に該当する。
【0034】
RTGクレーン10は、当該RTGクレーン10に取り付けられた検出部30A,30B,30C,30Dを備える。走行部15A、15Bが向きA1を進行側として走行しているときに、検出部30A,30Bは、走行方向D1において、走行部15A,15Bの進行側に存在する物体を検出する。検出部30A,30Bは、クレーンガーダ12に対して、走行部15A,15Bの向きA1側に取り付けられる。検出部30A,30Bは、走行方向D1における進行側(向きA1側)に延びる検出対象領域DEA,DEBに存在する物体を検出する。検出対象領域DEA,DEBは、走行部15A,15Bが通過する予定の場所、すなわち、走行部15A,15Bから見て向きA1側の所定距離の範囲の走行路RDA,RDBに存在する物体を検出できるように設定される。
【0035】
走行部15A、15Bが向きA2を進行側として走行しているときに、検出部30C,30Dは、走行方向D1において、走行部15A,15Bの進行側に存在する物体を検出する。検出部30C,30Dは、クレーンガーダ12に対して、走行部15A,15Bの向きA2側に取り付けられる。検出部30C,30Dは、走行方向D1における進行側(向きA2側)に延びる検出対象領域DEC,DEDに存在する物体を検出する。検出対象領域DEC,DEDは、走行部15A,15Bが通過する予定の場所、すなわち、走行部15A,15Bから見て向きA2側の所定距離の範囲の走行路RDA,RDBに存在する物体を検出できるように設定される。
【0036】
図5を参照して、上方から見たときに、検出部30Aが物体を検出する検出範囲DSについて説明する。図5は、検出部30Aの検出範囲DSを上方から見た図である。図5は、走行部15Aが走行路RDAに対してY方向のずれがなく、かつ、走行方向D1が走行路RDAに対して傾斜していない状態を示している。なお、走行路RDAに対して走行方向D1が傾斜する場合に、走行路RDAが延びる方向、すなわちX方向に対して走行方向D1がなす角度を「ずれ角θ1」と称する場合がある(図8参照)。
【0037】
なお、図5に示す例においては、検出部30Aは、当該検出部30Aの基準線SLが走行部15Aの中心線と一致するように、走行部15Aに設けられているものとする。従って、図5に示すように、「ずれ角θ1=0」の状態では、検出部30Aの基準線SLは、上方から見て、走行路RDAの中心線CLと一致する。このような状態であり、且つ、走行路RDAの路面RDaが検出対象領域DEAにおいて水平である状態(図6参照)を「定常状態」と称する場合がある。以降の説明では、特に言及がない限り、定常状態における構成について説明を行っているものとする。定常状態という概念を用いた場合、定常状態における検出部30Aの基準線SLから検出部30Aの基準線SLが傾斜するようにずれた場合、当該傾斜角はずれ角θ1と等しくなる。なお、後述の情報処理部111が、走行位置検出部26の検出結果を利用して、どのようにしてずれ角θ1を算出するかは特に限定されず、任意の方法で演算が行われてよい。
【0038】
なお、説明の理解を容易とするために、定常状態における検出部30Aの位置及び向きを上述の様な構成としたが、検出部30Aの取付位置、及び向きは特に限定されるものではない。また、検出部30Aを構成するセンサの種類、及び数も特に限定されない。検出部30Aを構成するセンサとして、レーダー、ライダー等が採用されてよく、両者の組み合わせが採用されてもよい。
【0039】
上方から見て、検出部30Aの検出範囲DSは、検出部30Aから走行方向D1における進行側へ向かって広がる扇形の形状を有する。検出範囲DSは、基準線SLを基準として対象な形状を有する。進行側における検出範囲DSの端部の位置を、検出範囲DSの端部DSaと称する場合がある。この場合、検出範囲DSの幅方向D2における広さは、特に限定されないが、端部DSaが走行路RDAのY方向における略全域を覆うことができるように、設定されてよい。また、検出部30Aは、検出範囲DSを設定可能な範囲として、一点鎖線で示すような検出可能範囲PDSを有している。検出部30Aは、検出可能範囲PDSの中であれば、任意に検出範囲DSを設定することができる。図5に示す例では、検出可能範囲PDSは、Y方向において走行路RDAよりも外側の範囲まで広がっているが、検出範囲DSが走行路RDAの範囲に収まっている。従って、物体が検出可能範囲PDSに入っていたとしても、物体が検出範囲DSに入っていない限り、検出部30Aは、物体を検出しない。これにより、走行路RDAの外側の物体を誤検知することが防止される。
【0040】
図6を参照して、幅方向D2から見たときに、検出部30Aが物体を検出する検出範囲DSについて説明する。図6は、検出部30Aの検出範囲DSを幅方向D2から見た図である。図6は、走行路RDAの路面RDaが検出対象領域DEAにおいて水平である状態、すなわち定常状態を示している。幅方向D2から見て、検出部30Aの検出範囲DSは、検出部30Aから走行方向D1における進行側へ向かって広がる長方形の形状を有する。定常状態においては、検出対象領域DEAの長辺は水平方向と平行になる。また、検出対象領域DEAの下側の長辺は路面RDaから離間した位置に設定される。これにより、路面RDaの僅かな凹凸や小さい物体が誤検知されることを抑制できる。
【0041】
次に、図7を参照して、本実施形態に係るクレーン制御システム100のブロック構成について説明する。図7は、本実施形態に係るクレーン制御システム100の構成及び機能を示すブロック図である。図7に示すように、クレーン制御システム100は、制御装置110を備える。制御装置110は、検出部30からの検出結果を受信する。また、制御装置110は、走行位置検出部26からの検出結果を受信する。制御装置110は、RTGクレーン10の駆動部50、及び出力部51へ制御信号を出力する。なお、制御装置110が配置される場所は得に限定されず、RTGクレーン10の何れかの位置に設けられてもよいし、RTGクレーン10から離れた位置に設けられてもよい。
【0042】
駆動部50は、スプレッダ14を設定した搬送経路に従って移動させるための駆動力を発生する機器、及び走行部15A,15Bを設定した動作に従って移動させるための駆動力を発生する機器である。駆動部50は、例えばスプレッダ14の巻上げ装置、トロリ13の横行用のモータ、走行部15A,15Bの走行用のモータなどを含んでいる。出力部51は、各種情報を出力する機器である。出力部51は、例えば、モニタ、スピーカ、警告灯などによって構成される。
【0043】
制御装置110は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信インタフェースを備え、コンピュータ(機上自動制御PCとも称される)として構成されていてもよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)等の演算器である。メモリは、ROM(ReadOnly Memory)又はRAM(Random Access Memory)等の記憶部である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶部(記憶媒体)である。通信インタフェースは、データ通信を実現する通信機器である。プロセッサは、メモリ、ストレージ及び通信インタフェースを制御し、後述する制御装置110としての機能を実現する。制御装置110では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種機能を実現する。制御装置110を構成するコンピュータの数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0044】
制御装置110は、情報処理部111(検出部、判定部)と、経路設定部112と、駆動制御部113と、警告制御部114と、位置関係情報取得部115と、補正部116を備える。
【0045】
情報処理部111は、検出部30で検出された検出結果に関する情報を取得すると共に、当該結果に基づいて、検出範囲DS内の物体を検出する。従って、情報処理部111は、RTGクレーン10の走行方向D1における進行側に存在する物体を検出する検出部30としても機能する。また、情報処理部111は、走行位置検出部26で検出された検出結果に関する情報を取得すると共に、当該結果に基づいて、RTGクレーン10の走行状態を検出する。これにより、情報処理部111は、RTGクレーン10のずれ角θ1(図8参照)を取得することができる。また、情報処理部111は、検出範囲DS内に障害物が存在するか否かの異常判定を行う。経路設定部112は、RTGクレーン10のスプレッダ14によるコンテナCの移送経路を設定する。
【0046】
駆動制御部113は、経路設定部112により設定された搬送経路に従いスプレッダ14が移動するように駆動部50を制御する。また、駆動制御部113は、検出部30による検出結果に基づいて走行部15A,15Bの走行を制御する。駆動制御部113は、駆動部50を構成するモータ等の各機器に対して、制御信号を送信することで、スプレッダ14が、予め定めた搬送経路に従って移動するように制御し、走行部15A,15Bが所望の動作を行うように制御する。例えば、駆動制御部113は、検出部30の検出範囲DSに物体が存在することが検知された場合、走行部15A,15Bの走行を停止する。
【0047】
警告制御部114は、安全対応処理を行う必要がある場合に、出力部51を制御して、ユーザーに対して警告を行う。例えば、警告制御部114は、検出部30の検出範囲DSに物体が存在することが検知された場合、警告を行う。
【0048】
位置関係情報取得部115は、RTGクレーン10を幅方向D2から見たときに、走行路RDA,RDBの路面RDaとRTGクレーン10との相対的な位置関係に関する情報を取得する。図9に示すように、位置関係情報取得部115は、検出対象領域DEAにおける、RTGクレーン10に対する路面RDaの凹凸を含む相対的な傾斜を検出する。位置関係情報取得部115は、検出部30の検出結果に基づいてリアルタイムで位置関係に関する情報を取得する。検出部30は、RTGクレーン10の移動に伴い、各位置においてリアルタイムで検出を行う。従って、位置関係情報取得部115は、各位置においてリアルタイムで得られた検出結果を用いて、リアルタイムで位置関係に関する情報を取得する。位置関係情報取得部115は、路面RDaの位置を平均化することで路面RDaの平均傾斜を演算する。例えば、図9に示すように、路面RDaが凹凸をなすように湾曲している場合、位置関係情報取得部115は、検出された路面RDaに対する平均線ALを設定する。路面RDaを水平と仮定した場合の水平線HLを設定した場合、水平線HLに対する平均線AFの傾斜が平均傾斜となる。なお、位置関係情報取得部115の具体的な演算方法については後述する。
【0049】
補正部116は、検出部30の検出範囲DSを補正する。すなわち、RTGクレーン10が定常状態から走行路RDA,RDBに対してずれることで、あるいは、走行路RDA,RDBが蛇行することによって、検出範囲DSが走行路RDA,RDBに対してずれる場合がある。このとき、検出範囲DSの一部が走行路RDA,RDBの外部にはみ出たり、走行路RDA,RDBにおいて検出範囲DSの死角ができる。このような場合に、補正部116は、走行路RDA,RDBに対する検出範囲DSのずれを低減、または無くすように、検出範囲DSを補正する。
【0050】
具体的に、補正部116は、走行路RDA,RDBに対する走行方向D1のずれ角θ1(図8参照)に基づいて、検出部30の検出範囲DSを補正する。補正部116は、情報処理部111が演算したずれ角θ1を取得し、これらのずれ角θ1が閾値を超えた場合に、補正を行ってよい。
【0051】
図8を参照して、ずれ角θ1に基づく補正部116の補正内容について説明する。図8は、ずれ角θ1に基づく補正部116の補正内容を説明するための概念図である。図8(a)は、検出部30Aの基準線SL、すなわち走行部15Aの中心線が、走行路RDAの中心線CL(通常状態における検出部30Aの基準線SL)からずれ角θ1の分だけ、Y方向の内側に傾斜するようにずれた様子を示している。このとき、検出範囲DSは、全体的にずれ角θ1の分だけ、Y方向の内側にずれる。これにより、検出範囲DSの端部DSa付近において、Y方向の内側には検出範囲DSが走行路RDAからはみ出す部分E1が形成され、Y方向の外側には走行路RDAにおいて検出範囲DSで検出されない死角E2が形成される。
【0052】
図8(b)は、補正部116が検出範囲DSを補正した様子を示している。図8(b)では、補正前の検出領域DSBが仮想線で示されている。補正部116は、ずれ角θ1に基づく補正角度θ2を設定する。また、補正部116は、検出部30A周りに補正角度θ2の分だけ検出範囲DSを旋回させる。補正部116は、検出範囲DSが走行路RDAからはみ出す部分E1、及び検出範囲DSで検出されない死角E2を低減、または無くすように、検出範囲DSの補正を行う。補正部116は、検出可能範囲PDSの範囲内で、検出範囲DSを補正する。検出範囲DSの中心線CL2を設定すると、図8(a)に示すように、補正前においては、中心線CL2は、基準線SLと一致する。補正部116は、中心線CL2を補正角度θ2の分だけ、検出部30A周りに旋回させるように、検出範囲DSを旋回させる。これにより、図8(b)に示すように、検出範囲DSの中心線CL2は、走行路RDAの中心線CLと一致するようになる。ただし、補正角度θ2をどのように設定するかは特に限定されず、ずれ角θ1と同じ値にしなくともよい。また、補正部116は、検出範囲DSの中心線CL2を基準として検出範囲DSを補正したが、どの部分を基準とするかは特に限定されない。
【0053】
次に、図9を参照して、補正部116が、幅方向D2から見たときの検出範囲DSを補正する場合の処理について説明する。補正部116は、位置関係情報取得部115で取得された位置関係に関する情報に基づいて、検出部30の検出範囲DSを補正する。補正部116は、平均傾斜に基づいて検出範囲DSを補正する。図9に示すように、補正部116は、位置関係情報取得部115によって設定された平均線ALに対応するように、検出範囲DSを補正する。補正後の検出範囲DSは、下側の長辺が傾斜した平均線ALと平行になり、且つ、下側の長辺が傾斜した平均線ALから離間するように補正される。
【0054】
次に、図10図14を参照して、位置関係情報取得部115及び補正部116の具体的な処理について詳細に説明する。図10(a)は、位置関係情報取得部115の処理における初期状態を示す。図10(a)に示すように、路面RDaは水平方向に対して傾斜している。また、路面RDa上に障害物OBが配置されている。位置関係情報取得部115は、検出部30によって検出された検出点を取得する。図10(b)に示すように、各位置において、検出点が設定されれている。次に、図11(a)に示すように、検出点が存在する箇所に対して、所定ピッチの検出点抽出領域を設定する。図11(a)に示すように、複数の検出点抽出領域の中から、一つずつの路面候補点が選択される。選択された路面候補点は、黒色で示されている。図11(b)に示すように、路面候補点以外の検出点は削除される。また、位置関係情報取得部115は、複数の路面候補点に対する回帰直線RLを演算する。
【0055】
図12(a)に示すように、位置関係情報取得部115は、検出部30によって路面RDaとして検出された検出点(路面候補点)のうち、所定の基準から外れるものを外れ点として除去する。位置関係情報取得部115は、回帰直線RLから所定の閾値以上離れた路面候補点を外れ点とする。図12(b)に示すように、位置関係情報取得部115は、外れ点を外した後の路面候補点に基づいて再び回帰直線RLを演算する。
【0056】
図13(a)に示すように、位置関係情報取得部115は、路面RDaの高さH及び角度θ3を推定し、推定した高さHと予め準備した高さの既存値とを比較することで、推定結果の妥当性を判定する。位置関係情報取得部115は、検出部30の中心線と回帰直線RLとの角度を路面RDaの角度θ3であると推定する。また、位置関係情報取得部115は、検出部30の中央から回帰直線RLに垂直に延ばした直線の長さを路面RDaの高さHとする。図13(b)に示すように、位置関係情報取得部115は、推定した高さHと、予め準備して記憶しておいた既存値とを比較する。位置関係情報取得部115は、推定高さHが、既存値から大きく離れている場合、当該回帰直線RLをNGとする。
【0057】
図14(a)に示すように、位置関係情報取得部115は、回帰直線RLが水平になるように座標変換を行う。位置関係情報取得部115は、画面全体のを回転させることによって、推定した路面RDaが水平になるようにしている。次に、図14(b)に示すように、補正部116は、座標変換後の路面RDaに基づいて、検出範囲DSを補正する。補正部116は、推定した路面RDaから上方に所定の隙間を空けるように、検出範囲DSを設定する。補正後の検出範囲DSの中に障害物OBが存在していた場合、当該障害物OBの検出が行われる。
【0058】
図15を参照して、本実施形態に係るクレーン制御方法について説明する。図15は、クレーン制御システム100の処理内容を示すフローチャートである。図15に示すように、クレーン制御システム100の検出部30は、RTGクレーン10の進行側における走行路RDA,RDBを検出する(ステップS10)。また、次に、位置関係情報取得部115は、RTGクレーン10を幅方向D2から見たときに、走行路RDA,RDBの路面RDaとRTGクレーン10との相対的な位置関係に関する情報を取得する(ステップS20)。次に、補正部116は、ステップS20で取得された位置関係に関する情報に基づいて、検出部30の検出範囲DSを補正する(ステップS30)。また、補正部116は、ずれ角θ1に基づいて検出範囲DSを補正する。情報処理部111は、補正後の検出範囲DSに基づいて、障害物OBの検出を行う(ステップS40)。
【0059】
なお、RTGクレーン10の走行路RDA,RDBに対するずれが解消したり、路面RDaの傾斜がなくなった場合、補正部116は、補正を解除して、定常状態における検出範囲DSに戻してよい。あるいは、ずれ角θ1や路面RDaの傾斜が更に大きくなった場合、補正部116は、更に補正量を大きくして検出範囲DSを補正してよい。
【0060】
次に、本実施形態に係るクレーン制御システム100、及びクレーン制御方法の作用・効果について説明する。
【0061】
クレーン制御システム100は、走行方向において、走行部15A,15Bの進行側に存在する物体を検出する検出部30を備える。従って、検出部30が障害物としての物体を検出することにより、走行部15A,15Bが当該物体と接触することを回避するために停止等の措置をとることができる。ここで、クレーン制御システム100は、RTGクレーン10を幅方向D2から見たときに、走行路RDA,RDBの路面RDaとRTGクレーン10との相対的な位置関係に関する情報を取得する位置関係情報取得部115を備える。従って、走行路RDA,RDBの路面RDaが凹凸を含む傾斜を有していた場合、当該傾斜を把握することができる。また、クレーン制御システム100は、位置関係情報取得部115で取得された位置関係に関する情報に基づいて、検出部30の検出範囲DSを補正する補正部116を備える。従って、走行路RDA,RDBの路面RDaが傾斜している場合であっても、補正部116は、それらの傾斜に応じて、検出部30の検出範囲DSを補正することができる。これにより、補正部116は、走行路RDA,RDBに対して適切な検出範囲を設定することができるため、走行路RDA,RDB内の物体の検出精度を向上できる。
【0062】
位置関係情報取得部115は、検出部30の検出結果に基づいてリアルタイムで位置関係に関する情報を取得してよい。この場合、位置関係情報取得部115は、走行中の路面RDaの状況に応じて、正確に位置関係に関する情報を取得することができる。
【0063】
位置関係情報取得部115は、路面RDaの位置を平均化することで路面RDaの平均傾斜を演算し、補正部116は、平均傾斜に基づいて検出範囲を補正してよい。この場合、路面RDaが凹凸を有している場合に、路面RDaの傾斜具合を把握することができる。
【0064】
位置関係情報取得部115は、検出部30によって路面RDaとして検出された検出点のうち、所定の基準から外れるものを外れ点として除去してよい。この場合、位置関係情報取得部115は、より正確に位置関係に関する情報を取得できる。
【0065】
クレーン制御システム100は、補正部116による補正後の検出範囲DS内に障害物が存在する場合、異常判定を行う判定部としての情報処理部111を更に備えてよい。この場合、情報処理部111は、補正後の検出範囲を用いて、正確に異常判定を行うことができる。
【0066】
位置関係情報取得部115は、路面RDaの高さ及び角度を推定し、推定した高さと予め準備した高さの既存値とを比較することで、推定結果の妥当性を判定してよい。この場合、位置関係情報取得部115は、予め把握しておくことが可能な高さの既存値を用いて、推定結果の妥当性を判定することができる。
【0067】
クレーン制御方法は、走行路RDA,RDBを走行するRTGクレーン10のクレーン制御方法であって、RTGクレーン10の走行方向における進行側に存在する物体を検出する検出ステップ(S40)と、RTGクレーン10を幅方向から見たときに、走行路RDA,RDBの路面RDaとRTGクレーン10との相対的な位置関係に関する情報を取得する位置関係情報取得ステップ(S20)と、位置関係情報取得ステップで取得された位置関係に関する情報に基づいて、物品の検出範囲を補正する補正ステップ(S30)と、を備える。
【0068】
この制御装置によれば、上述のクレーン制御システム100と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0069】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0070】
補正部116がずれ角θ1、路面RDaとクレーンの相対位置関係に基づいて検出範囲DSを補正する演算方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で、あらゆる演算方法を採用してもよい。
【0071】
例えば、走行路の路面の傾斜などの状態を予め測定してデータ化しておき、位置関係情報取得部は、当該データを読み出すことによって位置関係情報を取得してもよい。また、走行路の蛇行などを予め測定してデータ化しておき、補正部は、データを用いて検出範囲の補正を行ってもよい。
【0072】
[形態1]
走行路を走行するRTGクレーンのクレーン制御システムであって、
前記クレーンの走行方向における進行側に存在する物体を検出する検出部と、
前記クレーンを幅方向から見たときに、前記走行路の路面と前記クレーンとの相対的な位置関係に関する情報を取得する位置関係情報取得部と、
前記位置関係情報取得部で取得された前記位置関係に関する情報に基づいて、前記検出部の検出範囲を補正する補正部と、を備える、クレーン制御システム。
[形態2]
前記位置関係情報取得部は、前記検出部の検出結果に基づいてリアルタイムで前記位置関係に関する情報を取得する、形態1に記載のクレーン制御システム。
[形態3]
前記位置関係情報取得部は、前記路面の位置を平均化することで前記路面の平均傾斜を演算し、
前記補正部は、前記平均傾斜に基づいて前記検出範囲を補正する、形態1又は2に記載のクレーン制御システム。
[形態4]
前記位置関係情報取得部は、前記検出部によって前記路面として検出された検出点のうち、所定の基準から外れるものを外れ点として除去する、形態1~3の何れか一項に記載のクレーン制御システム。
[形態5]
前記補正部による補正後の前記検出範囲内に障害物が存在する場合、異常判定を行う判定部を更に備える、形態1~4の何れか一項に記載のクレーン制御システム。
[形態6]
前記位置関係情報取得部は、前記路面の高さ及び角度を推定し、推定した高さと予め準備した高さの既存値とを比較することで、推定結果の妥当性を判定する、形態1~5の何れか一項に記載のクレーン制御システム。
[形態7]
走行路を走行するRTGクレーンのクレーン制御方法であって、
前記クレーンの走行方向における進行側に存在する物体を検出する検出ステップと、
前記クレーンを幅方向から見たときに、前記走行路の路面と前記クレーンとの相対的な位置関係に関する情報を取得する位置関係情報取得ステップと、
前記位置関係情報取得ステップで取得された前記位置関係に関する情報に基づいて、物品の検出範囲を補正する補正ステップと、を備える、クレーン制御方法。
【符号の説明】
【0073】
10…RTGクレーン、30…検出部、100…クレーン制御システム、111…情報処理部(判定部)、115…位置関係情報取得部、116…補正部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15