IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フェローテックセラミックスの特許一覧

<>
  • 特開-回転伝達装置 図1
  • 特開-回転伝達装置 図2
  • 特開-回転伝達装置 図3
  • 特開-回転伝達装置 図4
  • 特開-回転伝達装置 図5
  • 特開-回転伝達装置 図6
  • 特開-回転伝達装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060469
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】回転伝達装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20240424BHJP
   F16J 15/43 20060101ALI20240424BHJP
   F16J 15/53 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
F16J15/43
F16J15/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167854
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】591034280
【氏名又は名称】株式会社フェローテックマテリアルテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鷺坂 圭亮
【テーマコード(参考)】
3J042
3J043
5H605
【Fターム(参考)】
3J042AA04
3J042AA16
3J042BA04
3J042DA20
3J043AA16
3J043CB30
3J043DA20
3J043HA03
5H605AA03
5H605BB05
5H605CC01
5H605CC05
5H605DD05
5H605DD16
5H605EB10
(57)【要約】
【課題】回転伝達装置としての装置構成を従来よりも小型化できるようにする。
【解決手段】所定方向に延びる軸体と、前記軸体を軸線周りに包囲するように設けられ、前記軸体による軸線周りの回転に従動するロータと、前記軸体を軸線周りに前記ロータよりも外側で包囲するように設けられた円筒状のハウジングと、前記軸体を軸線周りに前記ハウジングに沿って包囲し、かつ、前記ロータと内外方向に対向する位置関係で設けられ、前記ハウジングに対して固定されたステータと、軸線方向に沿った所定の支持位置において、前記軸体を前記ハウジングに対して軸線周りに回転可能となるように支持する軸受けと、軸線方向に沿った所定のシール位置において、軸線周りの全周にわたり前記軸体と前記ハウジングとの間に磁性流体を介在させることで、前記シール位置で前記ハウジングに包囲された内部空間を塞ぐ磁性流体シールと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延びる軸体と、
前記軸体を軸線周りに包囲するように設けられ、前記軸体による軸線周りの回転に従動するロータと、
前記軸体を軸線周りに前記ロータよりも外側で包囲するように設けられた円筒状の部材であり、該部材としての一端側が閉塞されている一方、他端側が開放されているハウジングと、
前記軸体を軸線周りに前記ハウジングに沿って包囲し、かつ、前記ロータと内外方向に対向する位置関係で設けられ、前記ハウジングに対して固定されたステータと、
軸線方向に沿った所定の支持位置において、前記軸体を前記ハウジングに対して軸線周りに回転可能となるように支持する軸受けと、
軸線方向に沿った所定のシール位置において、軸線周りの全周にわたり前記軸体と前記ハウジングとの間に磁性流体を介在させることで、前記シール位置で前記ハウジングに包囲された内部空間を塞ぐ磁性流体シールと、を備え、
前記磁性流体シールには、軸線方向に沿って前記軸受けおよび前記ロータよりも他端側にある位置を前記シール位置として内部空間を塞ぐ第1磁性流体シールが備えられており、
前記軸体の他端側に回転対象物を取り付けた状態で、前記ステータへの通電により前記ロータとともに前記軸体を回転させることによって、この回転を前記回転対象物に伝達させる、回転伝達装置。
【請求項2】
前記軸受けは、前記ロータよりも一端側に配置されており、
前記磁性流体シールには、軸線方向に沿って前記軸受けと前記ロータとの間にある位置を前記シール位置として内部空間を塞ぐ第2磁性流体シールが備えられている、
請求項1に記載の回転伝達装置。
【請求項3】
前記磁性流体シールは、
前記シール位置において、前記軸体および前記ハウジングの一方から他方に向けて突出する磁極と、
前記磁極の先端側と前記軸体および前記ハウジングの他方との間に介在する磁性流体と、を備える、
請求項1または請求項2に記載の回転伝達装置。
【請求項4】
前記磁性流体シールは、
前記磁極が、前記シール位置において前記軸体から突出している、
請求項3に記載の回転伝達装置。
【請求項5】
前記軸体の回転を検出する回転検出部、を備える、
請求項1または請求項2に記載の回転伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転対象物に回転を伝達する回転伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体を製造する過程などのように、減圧された閉鎖空間内で回転対象物を回転させつつ加工を実施するといったことが行われている。ここで、回転対象物を回転させるための動力は、閉鎖空間を区画する隔壁を介して外部から伝達させることが一般的であり、例えば、駆動軸の回転を磁気により非接触で従動軸に伝達可能なマグネットカップリングの使用が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
これであれば、マグネットカップリングの駆動軸を隔壁の外側に配置し、従動軸を隔壁の内側に配置したうえで、隔壁の外側からモータで駆動軸を回転させることによって、この回転を従動軸経由で内部にある回転対象物にまで伝達することができる。回転を非接触で伝達できるため、閉鎖空間が外側と通じてしまうこともなく、減圧状態を維持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6475062号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この構成は、隔壁の外側にマグネットカップリングの駆動軸を配置し、この駆動軸を回転させるべくモータを連結するというものであり、回転およびその伝達という2つの機能を別々の装置で実現しているため、装置構成が大きくなりやすく、その設置場所などが制約されてしまうという課題がある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回転伝達装置としての装置構成を従来よりも小型化できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため第1局面の回転伝達装置は、所定方向に延びる軸体と、前記軸体を軸線周りに包囲するように設けられ、前記軸体による軸線周りの回転に従動するロータと、前記軸体を軸線周りに前記ロータよりも外側で包囲するように設けられた円筒状の部材であり、該部材としての一端側が閉塞されている一方、他端側が開放されているハウジングと、前記軸体を軸線周りに前記ハウジングに沿って包囲し、かつ、前記ロータと内外方向に対向する位置関係で設けられ、前記ハウジングに対して固定されたステータと、軸線方向に沿った所定の支持位置において、前記軸体を前記ハウジングに対して軸線周りに回転可能となるように支持する軸受けと、軸線方向に沿った所定のシール位置において、軸線周りの全周にわたり前記軸体と前記ハウジングとの間に磁性流体を介在させることで、前記シール位置で前記ハウジングに包囲された内部空間を塞ぐ磁性流体シールと、を備え、前記磁性流体シールには、軸線方向に沿って前記軸受けおよび前記ロータよりも他端側にある位置を前記シール位置として内部空間を塞ぐ第1磁性流体シールが備えられており、前記軸体の他端側に回転対象物を取り付けた状態で、前記ステータへの通電により前記ロータとともに前記軸体を回転させることによって、この回転を前記回転対象物に伝達させる、回転伝達装置である。
【0008】
この局面の回転伝達装置は、ステータへの通電によりロータとともに軸体が回転し、軸体の他端側に取り付けた回転対象物に、この回転を伝達することができる。
【0009】
このように、モータとして回転する機能およびその回転を伝達する機能が一体化された単体の装置として構成されているため、これらの機能を別々の装置で実現している従来のものよりも装置構成を小型化することができる。そして、装置構成の小型化により従来よりも設置場所の自由度が高い。
【0010】
さらに、上記局面の回転伝達装置では、ハウジングで包囲された内部空間がシール位置において塞がれているため、物理的な接触を伴って動作する軸受け周辺に不純物(気体や切削片など;以下同様)が発生したとしても、これが回転対象物側にまで到達することを抑制できる。
【0011】
また、この局面は以下に示す第2局面のようにしてもよい。第2局面の回転伝達装置において、前記磁性流体シールには、軸線方向に沿って前記軸受けと前記ロータとの間にある位置を前記シール位置として内部空間を塞ぐ第2磁性流体シールが備えられている。
【0012】
この局面の回転伝達装置では、ロータが軸線方向に磁性流体シールで挟まれた状態となり、ロータ周りの空間が軸受けや回転対象物側の空間から隔離されるため、軸受け周辺や回転対象物側の空間で発生した不純物がロータ周りに到達することを防止できる。
【0013】
こうして、不純物がロータとハウジングとの間に到達してロータの回転を妨げることがなくなるため、不純物の影響を考慮してロータとハウジングとの隙間を確保する必要がなくなる。その結果、ロータとハウジングとの隙間を狭くすることに伴い、ロータとステータとの間隔を狭めた構成を実現できるため、こうしてモータとしての回転トルクを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態である回転伝達装置および真空チャンバーの正面図
図2】本開示の一実施形態である回転伝達装置および真空チャンバーを、軸線方向とその交差方向とのなす面に沿って断面視した断面図(図1におけるA-A矢視図)
図3】本開示の一実施形態である回転伝達装置を、軸線方向とその交差方向とのなす面に沿って断面視した断面図(図1におけるA-A矢視図)
図4】本開示の一実施形態である回転伝達装置の一部構成要素それぞれを、軸線方向とその交差方向とのなす面に沿って断面視した断面図(図1におけるA-A矢視図)
図5】本開示の一実施形態である回転伝達装置のうちの磁性流体シールを、軸線方向とその交差方向とのなす面に沿って断面視した要部断面図
図6】別の実施形態における回転伝達装置を、軸線方向とその交差方向とのなす面に沿って断面視した要部断面図(図1におけるA-A矢視図)
図7】別の実施形態における回転伝達装置を、軸線方向とその交差方向とのなす面に沿って断面視した断面図(図1におけるA-A矢視図)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
回転伝達装置減圧1は、減圧された閉鎖空間内で回転対象物を回転させつつ加工する装置に対し、この回転対象物を回転させるべく取り付けられるものである。本実施形態では、図1図2に示すように、減圧された閉鎖空間内で回転対象物であるターンテーブル200を回転させつつ加工する半導体製造装置の真空チャンバー300に対し、このターンテーブル200を回転させるべく取り付けられる構成を例示する。
【0016】
この回転伝達装置1は、図3に示すように、所定方向に延びる軸体10、軸体10を軸線100周りに包囲するロータ20、軸体10を軸線100周りに包囲するように設けられた円筒状のハウジング30、軸体10およびロータ20を軸線周りに包囲するステータ40、軸体10を回転可能に支持する軸受け50、ハウジング30に包囲された内部空間を所定の位置で塞ぐ磁性流体シール60、軸体10の回転を検出する回転検出部70を備える。
【0017】
軸体10は、所定方向に延びており、ハウジング30に収められる一端(図1、2の下端)側に対し、図3に示すように、他端(図1、2の上端)側に回転対象物を取り付けるための取付面11が形成されている。本実施形態において、回転対象物は、軸体10の取付面11に沿って配置された状態で軸体10にネジ止めされる。
【0018】
また、軸体10は、一端側に他端側よりも小径な小径部13が形成されている。本実施形態においては、軸体10における一端側の領域全体が小径部13として形成されている。
【0019】
また、軸体10は、他端側においてそれ以外の領域よりも大径に拡がる軸側フランジ15を備えている。この軸側フランジ15は、小径部13よりも他端側に設けられている。
【0020】
ロータ20は、軸体10を軸線100周りに包囲するように設けられ、軸体10による軸線100周りの回転に従動する。本実施形態において、ロータ20は、軸体10の外周に沿って設けられている。
【0021】
ハウジング30は、軸体10を軸線100周りにロータ20よりも外側で包囲するように設けられた円筒状の部材であり、図4に示すように、この部材としての一端側が閉塞されている一方、他端側が開放されている。このハウジング30は、非磁性の材料により形成されている。
【0022】
ステータ40は、軸体10を軸線100周りにハウジング30に沿って包囲し、かつ、ロータ20と内外方向に対向する位置関係で設けられ、ハウジング30に対して固定されている。本実施形態において、ステータ40は、ハウジング30の外側で軸体10を包囲し、このハウジング30の外周面に固定されており、ハウジング30における隔壁を挟んでロータ20と内外方向に対向する位置関係で配置されている。
【0023】
軸受け50は、軸線100方向(図1、2の上下方向)に沿った所定の支持位置120において、軸体10をハウジング30に対して軸線100周りに回転可能となるように支持する。本実施形態では、軸受け50としてボールベアリングが用いられている。
【0024】
また、軸受け50は、軸線100方向に沿って小径部13に対応する位置を支持位置120として、軸体10を回転可能に支持している。本実施形態では、1か所の支持位置120のみが軸受け50で支持されている。支持位置120が一端側に設けられていることから、この軸受け50は、軸体10をその一端側で回転可能に支持している。本実施形態において、軸受け50は、軸体10を軸線100周りに外側から包囲し、軸体10とハウジング30との間に介在することによって軸体10を支持している。
【0025】
磁性流体シール60は、図5に示すように、軸線100方向に沿ってロータ20および軸受け50よりも他端側にあるシール位置110において、軸線100周りの全周にわたり軸体10とハウジング30との間に磁性流体63を介在させることで、シール位置110でハウジング30に包囲された内部空間を塞ぐ。
【0026】
この磁性流体シール60は、シール位置110において軸体10およびハウジング30のいずれか一方から他方に向けて突出する一対の磁極61と、磁極61の先端側と軸体10およびハウジング30のいずれか他方との間に介在する磁性流体63と、を備える。本実施形態において、磁極61は、シール位置110において軸体10から突出するように設けられている。
【0027】
この磁極61は、それぞれの末端側に永久磁石65が挟まれ、その先端側と軸体10およびハウジング30の他方との間に位置する磁気回路(同図破線参照)を形成することによって、軸体10とハウジング30との間に磁性流体63を磁気的に保持している。
【0028】
本実施形態において、磁性流体シール60は、軸線100方向に沿って軸受け50、ロータ20および軸側フランジ15のいずれよりも他端側の位置をシール位置110として、ハウジング30に包囲された内部空間を塞いでいる。
【0029】
回転検出部70は、軸体10に従動して軸線100周りに回転する磁石片71と、磁石片71の回転に伴う磁界の変化を軸体10の回転として検出する磁気センサ73と、を備えた磁気式エンコーダである。
【0030】
これらのうち、磁石片71は、軸体10の一端側に設けられた状態で軸体10に従動して回転する内側円盤75に設けられており、その表面に沿って軸線100周りに磁極(S極およびN極)が隣接するように配置されている。また、磁気センサ73は、内側円盤75の表面とハウジング30の隔壁を挟んで対向する位置でハウジング30に固定された外側円盤77に設けられており、その表面における軸線100周りに沿った磁極の変化を検出するホール素子である。
【0031】
このように構成された回転伝達装置1では、軸体10の他端側に回転対象物を取り付けた状態で、リード線41を通じたステータ40への通電によりロータ20とともに軸体10を回転させることによって、この回転を回転対象物に伝達させる。
【0032】
(2)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上記実施形態では、軸体10による軸線100周りの回転にロータ20が従動するように、このロータ20を軸体10の外周に設けて軸体10と一体になっている構成を例示した。しかし、ロータ20は、軸体10による軸線100周りの回転にロータ20が従動するように構成されていればよく、必ずしも軸体10と一体となっていなくてもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、ステータ40が、ハウジング30の外側で軸体10を包囲し、このハウジング30の外周面に固定されている構成を例示した。しかし、ステータ40は、ハウジング30の内側で軸体10を包囲し、このハウジング30の内周面に固定されたものとしてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、軸体10において1か所の支持位置120のみが軸受け50で支持されている構成を例示した。しかし、軸体10は、複数の支持位置120それぞれが別々の軸受け50で支持された構成としてもよい。この場合、小径部13を軸線100方向に間隔を空けて形成し、それぞれの小径部13に軸受け50を設けた構成としてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、軸線100方向に沿って軸受け50、ロータ20および軸側フランジ15のいずれよりも他端側の位置をシール位置110として、このシール位置110に磁性流体シール60が設けられている構成を例示した。しかし、磁性流体シール60としては、図6に示すように、軸線100方向に沿って軸受け50およびロータ20よりも他端側にある位置をシール位置110として内部空間を塞ぐ第1磁性流体シール60と、軸線100方向に沿って軸受け50とロータ20との間にある位置をシール位置110として内部空間を塞ぐ第2磁性流体シール60と、を備えた構成としてもよい。
【0037】
この構成において、軸線100方向にロータ20を挟んだ支持位置120それぞれでもって、軸体10を軸受け50にて支持する場合には、他端側の支持位置120に設けられた軸受け50を軸線100方向に挟むように磁性流体シール60が設けられる。
【0038】
また、上記実施形態では、磁性流体シール60における磁極61が軸体10側に設けられている構成を例示した。しかし、この磁極61は、ハウジング30側に設けられている構成としてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、回転検出部70として、磁石片71が、内側円盤75の表面に沿って軸線100周りに磁極(S極およびN極)が隣接するように配置され、磁気センサ73が、内側円盤75の表面と対向する位置に固定された外側円盤77に設けられている構成を例示した。しかし、回転検出部70は、軸体10の回転を検出できればよく、この構成に限定されない。例えば、内側円盤75の側面に沿って軸線100周りに極性が隣接するように磁石片71を配置し、内側円盤75の側面をハウジング30の外側から軸線100周りに包囲するように磁気センサ73を配置する、といった構成が考えられる。
【0040】
また、上記本実施形態では、軸受け50が、軸線100周りに外側から包囲するようにして軸体10を支持するよう構成されたものを例示した。しかし、軸受け50による軸体10の支持構造はこれに限られない。例えば、図7に示すように、軸体10にその一端から他端側に向けて貫通する貫通孔17を形成するとともに、ハウジング30内壁において軸体10の一端と対向する領域から貫通孔17に沿って延びる円柱体19を設けた構造において、この円柱体19を軸線100周りに包囲して貫通孔17内壁との間に介在するように軸受け50を設けることが考えられる。
【0041】
また、上記実施形態では、回転検出部70として磁気式エンコーダが採用された構成を例示した。しかし、回転検出部70としては光学式や電磁誘導式のエンコーダを採用した構成としてもよい。
【0042】
(3)作用,効果
上記構成の回転伝達装置1は、ステータ40への通電によりロータ20とともに軸体10が回転し、軸体10の他端側に取り付けた回転対象物に、この回転を伝達することができる。
【0043】
このように、モータとして回転する機能およびその回転を伝達する機能が一体化された単体の装置として構成されているため、これらの機能を別々の装置で実現している従来のものよりも装置構成を小型化することができる。そして、装置構成の小型化により従来よりも設置場所の自由度が高い。
【0044】
さらに、上記構成の回転伝達装置1では、ハウジング30で包囲された内部空間が磁性流体シール60により塞がれているため、物理的な接触を伴って動作する軸受け50周辺に不純物(気体や切削片など;以下同様)が発生したとしても、これが回転対象物側にまで到達することを抑制できる。
【0045】
また、上記構成の回転伝達装置1では、ロータ20が軸線100方向に磁性流体シール60で挟まれた状態となり、ロータ20周りの空間が軸受け50や回転対象側の空間から隔離されるため、軸受け50周辺や回転対象物側の空間で発生した不純物がロータ20周りに到達することを防止できる。
【0046】
こうして、不純物がロータ20とハウジング30との間に到達してロータ20の回転を妨げることがなくなるため、不純物の影響を考慮してロータ20とハウジング30との隙間を確保する必要がなくなる。その結果、ロータ20とハウジング30との隙間を狭くすることに伴い、ロータ20とステータ40との間隔を狭めた構成を実現できるため、こうしてモータとしての回転トルクを大きくすることができる。
【0047】
また、上記構成の回転伝達装置1では、軸体10がその一端側に形成された小径部13で軸受け50に支持されているため、軸体10の外周面とハウジング30の内周面との隙間が、軸受け50周辺で広く、これよりも他端側において狭くなっている。これにより、軸受け50周辺に不純物が発生したとしても、これがハウジング30の内部空間における軸受け50周辺に滞留しやすくなり、他端側にまで到達することを抑制できる。
【0048】
また、上記構成の回転伝達装置1では、軸体10がその他端側に備えられた軸側フランジ15よりも一端側の位置で軸受け50に支持されているため、軸体10の外周面とハウジング30の内周面との隙間が、軸受け50周辺で広く、これよりも他端側の軸側フランジ15において狭くなっている。これにより、軸受け50周辺に不純物が発生したとしても、これがハウジング30の内部空間における一端側に滞留しやすくなり、他端側にまで到達することを抑制できる。
【符号の説明】
【0049】
1…回転伝達装置、10…軸体、11…取付面、13…小径部、15…軸側フランジ、17…貫通孔、19…円柱体、20…ロータ、30…ハウジング、40…ステータ、41…リード線、60…磁性流体シール、61…磁極、63…磁性流体、65…永久磁石、70…回転検出部、71…磁石片、73…磁気センサ、75…内側円盤、77…外側円盤、100…軸線、110…シール位置、120…支持位置、200…ターンテーブル、300…真空チャンバー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7