(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060491
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】非接触給電装置及び電力伝送方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20240424BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240424BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/12
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167894
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】中尾 悟朗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】三島 大地
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB13
5G503GB08
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】受電側の装置に接続される負荷が変動する場合でも、電力伝送効率の低下を抑制できる非接触給電装置を提供する。
【解決手段】受電装置3は、非接触給電装置1全体の負荷抵抗を推定する推定回路28と、非接触給電装置1全体の負荷抵抗の推定値を送電装置2へ送信する受電側通信器27とを有する。送電装置2は、受電装置3へ電力を供給する送信コイル12に交流電力を供給する電力供給回路11を有する。送電装置2は、さらに、送電側通信器17を介して受信した、負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、電力供給回路11に含まれる送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインを所定量だけ低下させ、負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値以上である場合、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインを維持または上昇させる制御回路18を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置と、前記送電装置から非接触で電力伝送される受電装置とを有する非接触給電装置であって、
前記受電装置は、
前記送電装置からの電力を受信する受信コイルを有する共振回路と、
前記非接触給電装置全体の負荷抵抗を推定する推定回路と、
前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を前記送電装置へ送信する受電側通信器と、
を有し、
前記送電装置は、
前記受電装置へ電力を供給する送信コイルと、
直流電源から供給される直流電力の電圧を変換する送電側DC-DCコンバータと、前記送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力を交流電力に変換するDC-ACコンバータとを有し、変換された前記交流電力を前記送信コイルに供給する電力供給回路と、
前記受電側通信器から、前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を受信する送電側通信器と、
前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、前記送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを第1の所定量だけ低下させ、一方、前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が前記所定の許容下限値以上である場合、前記送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを維持または第2の所定量だけ上昇させるように前記送電側DC-DCコンバータを制御する制御回路と、
を有する非接触給電装置。
【請求項2】
前記送電装置は、前記送信コイルと直列に接続される追加抵抗と、前記追加抵抗と並列に接続される追加抵抗スイッチとをさらに有し、
前記送電装置の前記制御回路は、前記送電装置から前記受電装置への電力伝送が開始されると前記追加抵抗スイッチを短絡し、前記送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインが当該送電側DC-DCコンバータの動作範囲の下限値まで低下しても前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が前記所定の許容下限値未満である場合、前記追加抵抗スイッチを切断する、請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項3】
前記送電装置の前記制御回路は、前記送電側通信器を介して、前記送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力の電圧を表す情報を前記受電装置へ送信し、
前記受電装置は、前記共振回路から出力される交流電力を整流して直流電力に変換し、当該直流電力を出力する整流平滑回路と、前記整流平滑回路から出力される直流電力の電圧を測定する電圧計とをさらに有し、
前記受電装置の前記推定回路は、前記電圧計により測定される直流電力の電圧に基づいて前記受電装置の負荷抵抗を推定し、前記受電装置の負荷抵抗の推定値と、前記送電側通信器を介して送信され、かつ、前記受電側通信器を介して受信した前記送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力の電圧を表す情報とに基づいて前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を算出する、請求項1または2に記載の非接触給電装置。
【請求項4】
前記受電装置は、前記整流平滑回路から出力される直流電力の電流を測定する電流計をさらに有し、
前記受電装置の前記推定回路は、前記電流計により測定される直流電力の電流と、前記送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力の電圧を表す情報とに基づいて前記送信コイルと前記受信コイル間の相互インダクタンスを推定し、推定した前記相互インダクタンスと前記受電装置の負荷抵抗の推定値とに基づいて、前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を算出する、請求項3に記載の非接触給電装置。
【請求項5】
前記送電装置の前記制御回路は、前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が前記所定の許容下限値未満である場合、前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値と、前記送電側DC-DCコンバータに適用中の入出力ゲインとに応じて前記第1の所定量を設定する、請求項1または2に記載の非接触給電装置。
【請求項6】
送電装置と、前記送電装置から非接触で電力伝送される受電装置とを有する非接触給電装置であって、
前記受電装置は、
前記送電装置からの電力を受信する受信コイルを有する共振回路と、
前記共振回路から出力される交流電力を整流して直流電力に変換し、当該直流電力を出力する整流平滑回路と、
前記整流平滑回路から出力される直流電力の電圧を測定する電圧計と、
前記整流平滑回路から出力される前記直流電力の電圧の測定値を含む、当該直流電力の出力を表す出力情報を前記送電装置へ送信する受電側通信器と、
を有し、
前記送電装置は、
前記受電装置へ電力を供給する送信コイルと、
直流電源から供給される直流電力の電圧を変換する送電側DC-DCコンバータと、前記送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力を交流電力に変換するDC-ACコンバータとを有し、変換された前記交流電力を前記送信コイルに供給する電力供給回路と、
前記受電側通信器から、前記出力情報を受信する送電側通信器と、
前記出力情報に基づいて前記非接触給電装置全体の負荷抵抗を推定し、前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、前記送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを第1の所定量だけ低下させ、一方、前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が前記所定の許容下限値以上である場合、前記送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを維持または第2の所定量だけ上昇させるように前記送電側DC-DCコンバータを制御する制御回路と、
を有する非接触給電装置。
【請求項7】
送電装置と、前記送電装置から非接触で電力伝送される受電装置とを有する非接触給電装置における、電力伝送方法であって、
前記受電装置は、
前記送電装置からの電力を受信する受信コイルを有する共振回路と、
前記非接触給電装置全体の負荷抵抗を推定する推定回路と、
前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を前記送電装置へ送信する受電側通信器と、
を有し、
前記送電装置は、
前記受電装置へ電力を供給する送信コイルと、
直流電源から供給される直流電力の電圧を変換する送電側DC-DCコンバータと、前記送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力を交流電力に変換するDC-ACコンバータとを有し、変換された前記交流電力を前記送信コイルに供給する電力供給回路と、
前記受電側通信器から、前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を受信する送電側通信器と、を有し、
前記電力伝送方法は、
前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、前記送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを第1の所定量だけ低下させるように前記送電側DC-DCコンバータを制御し、
前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が前記所定の許容下限値以上である場合、前記送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを維持または第2の所定量だけ上昇させるように前記送電側DC-DCコンバータを制御する、
ことを含む電力伝送方法。
【請求項8】
送電装置と、前記送電装置から非接触で電力伝送される受電装置とを有する非接触給電装置における、電力伝送方法であって、
前記受電装置は、
前記送電装置からの電力を受信する受信コイルを有する共振回路と、
前記共振回路から出力される交流電力を整流して直流電力に変換し、当該直流電力を出力する整流平滑回路と、
前記整流平滑回路から出力される直流電力の電圧を測定する電圧計と、
前記整流平滑回路から出力される前記直流電力の電圧の測定値を含む、当該直流電力の出力を表す出力情報を前記送電装置へ送信する受電側通信器と、
を有し、
前記送電装置は、
前記受電装置へ電力を供給する送信コイルと、
直流電源から供給される直流電力の電圧を変換する送電側DC-DCコンバータと、前記送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力を交流電力に変換するDC-ACコンバータとを有し、変換された前記交流電力を前記送信コイルに供給する電力供給回路と、
前記受電側通信器から、前記出力情報を受信する送電側通信器と、を有し、
前記電力伝送方法は、
前記出力情報に基づいて前記非接触給電装置全体の負荷抵抗を推定し、
前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、前記送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを第1の所定量だけ低下させるように前記送電側DC-DCコンバータを制御し、
前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が前記所定の許容下限値以上である場合、前記送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを維持または第2の所定量だけ上昇させるように前記送電側DC-DCコンバータを制御する、
ことを含む電力伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置及び非接触給電装置にて実行される電力伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属の接点などを介さずに、空間を通じて電力を伝送する、いわゆる非接触給電(ワイヤレス給電とも呼ばれる)技術が研究されている。
【0003】
非接触給電技術の一つとして、電磁誘導により給電する方式が知られている。電磁誘導により給電する方式では、一般に、1MHzよりも低いスイッチングの周波数にて、送電側の装置に設けられるインバータを駆動することで、送電側のコイルに交流電力を供給して、受電側のコイルとの間に電磁誘導を生じさせる。これに対して、給電用の送電機をE級アンプとして構成することで、6.78MHzの周波数によるスイッチングを可能とする技術が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】市原文夫、大村一郎、「窒化ガリウム(GaN)FETを使用したワイヤレス給電用E級送信機」、電力技術/電力系統技術/半導体電力変換 合同研究会 2016、EDD-16-069/SPC-16-156、2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触給電装置の送電側の装置において、送電側のコイルに電力を供給する電力供給回路がE級アンプとして構成されるためには、電力供給回路に設けられるスイッチング素子について、下記の条件が満たされることが求められる。
・オンからオフ、あるいはオフからオンにスイッチングするタイミングにおいてスイッチング素子に印加される電圧がゼロであること(Zero-Voltage-Switching, 以下では、ZVSと呼ぶことがある)
・スイッチング素子がオフからオンになるタイミングにおいてスイッチング素子に印加される電圧の時間変化に対する傾きがゼロ(すなわち、dV/dt=0)であること(Zero-Voltage-Derivative-Switching, 以下では、ZDSと呼ぶことがある)
【0006】
上記のZVS及びZDSの条件が満たされることで、スイッチング素子におけるスイッチングロスが可能な限り低減され、その結果として電力伝送の効率が向上する。しかしながら、受電側の装置に接続される負荷の変動により、ZVS及びZDSを達成するための条件が変動する。
【0007】
そこで、本発明は、受電側の装置に接続される負荷が変動する場合でも、電力伝送効率の低下を抑制できる非接触給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの形態として、送電装置と、送電装置から非接触で電力伝送される受電装置とを有する非接触給電装置が提供される。この非接触給電装置において、受電装置は、送電装置からの電力を受信する受信コイルを有する共振回路と、非接触給電装置全体の負荷抵抗を推定する推定回路と、前記非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を送電装置へ送信する受電側通信器とを有する。
また、送電装置は、受電装置へ電力を供給する送信コイルと、直流電源から供給される直流電力の電圧を変換する送電側DC-DCコンバータと、送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力を交流電力に変換するDC-ACコンバータとを有し、変換された交流電力を送信コイルに供給する電力供給回路と、受電側通信器から、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を受信する送電側通信器と、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを所定量だけ低下させ、一方、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値以上である場合、送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを維持または第2の所定量だけ上昇させるように送電側DC-DCコンバータを制御する制御回路とを有する。
係る構成を有することにより、この非接触給電装置は、受電側の装置に接続される負荷が変動する場合でも、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【0009】
この非接触給電装置において、送電装置は、送信コイルと直列に接続される追加抵抗と、追加抵抗と並列に接続される追加抵抗スイッチとをさらに有し、送電装置の制御回路は、送電装置から受電装置への電力伝送が開始されると追加抵抗スイッチを短絡し、送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインが送電側DC-DCコンバータの動作範囲の下限値まで低下しても非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、追加抵抗スイッチを切断することが好ましい。
係る構成を有することで、この非接触給電装置は、受電装置の負荷抵抗が増大しても、非接触給電装置全体の負荷抵抗が所定の許容下限値以上となることを可能とする。その結果として、この非接触給電装置は、受電装置の負荷抵抗が増大しても、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【0010】
また、この非接触給電装置において、送電装置の制御回路は、送電側通信器を介して、送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力の電圧を表す情報を受電装置へ送信することが好ましい。また、受電装置は、共振回路から出力される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を出力する整流平滑回路と、整流平滑回路から出力される直流電力の電圧を測定する電圧計をさらに有することが好ましい。そして受電装置の推定回路は、電圧計により測定される直流電力の電圧に基づいて受電装置の負荷抵抗を推定し、受電装置の負荷抵抗の推定値と、送電側通信器を介して送信され、かつ、受電側通信器を介して受信した送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力の電圧を表す情報とに基づいて非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を算出することが好ましい。
係る構成を有することで、この非接触給電装置は、非接触給電装置全体の負荷抵抗を精度良く推定することができる。
【0011】
この場合において、受電装置は、整流平滑回路から出力される直流電力の電流を測定する電流計をさらに有することが好ましい。そして受電装置の推定回路は、電流計により測定される直流電力の電流と、送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力の電圧を表す情報とに基づいて送信コイルと受信コイル間の相互インダクタンスを推定し、推定した相互インダクタンスと受電装置の負荷抵抗の推定値とに基づいて、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を算出することが好ましい。
係る構成を有することで、この非接触給電装置は、非接触給電装置全体の負荷抵抗を精度良く推定することができる。
【0012】
さらに、送電装置の制御回路は、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値と、送電側DC-DCコンバータに適用中の入出力ゲインとに応じて第1の所定量を設定することが好ましい。
係る構成を有することで、この非接触給電装置は、非接触給電装置全体の負荷抵抗が所定の許容下限値以上となるまでに要する時間を短縮することができる。
【0013】
本発明の他の形態によれば、送電装置と、送電装置から非接触で電力伝送される受電装置とを有する非接触給電装置が提供される。この非接触給電装置において、受電装置は、送電装置からの電力を受信する受信コイルを有する共振回路と、共振回路から出力される交流電力を整流して直流電力に変換し、その直流電力を出力する整流平滑回路と、整流平滑回路から出力される直流電力の電圧を測定する電圧計と、整流平滑回路から出力される前記直流電力の電圧の測定値を含む、直流電力の出力を表す出力情報を送電装置へ送信する受電側通信器とを有する。
そして送電装置は、受電装置へ電力を供給する送信コイルと、直流電源から供給される直流電力の電圧を変換する送電側DC-DCコンバータと、送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力を交流電力に変換するDC-ACコンバータとを有し、変換された交流電力を送信コイルに供給する電力供給回路と、受電側通信器から、出力情報を受信する送電側通信器と、出力情報に基づいて非接触給電装置全体の負荷抵抗を推定し、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを第1の所定量だけ低下させ、一方、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値以上である場合、送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを維持または第2の所定量だけ上昇させるように送電側DC-DCコンバータを制御する制御回路とを有する。
係る構成を有することにより、この非接触給電装置は、受電側の装置に接続される負荷が変動する場合でも、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【0014】
本発明のさらに他の形態によれば、送電装置と、前記送電装置から非接触で電力伝送される受電装置とを有する非接触給電装置における、電力伝送方法が提供される。この電力伝送方法において、受電装置は、送電装置からの電力を受信する受信コイルを有する共振回路と、共振回路から出力される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を出力する整流平滑回路と、非接触給電装置全体の負荷抵抗を推定する推定回路と、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を送電装置へ送信する受電側通信器とを有し、送電装置は、受電装置へ電力を供給する送信コイルと、直流電源から供給される直流電力の電圧を変換する送電側DC-DCコンバータと、送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力を交流電力に変換するDC-ACコンバータとを有し、変換された交流電力を送信コイルに供給する電力供給回路と、受電側通信器から、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を受信する送電側通信器とを有する。
そして電力伝送方法は、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを所定量だけ低下させるように送電側DC-DCコンバータを制御し、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値以上である場合、送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを維持するように送電側DC-DCコンバータを制御する、ことを含む。
係る手順を有することにより、この電力伝送方法は、受電側の装置に接続される負荷が変動する場合でも、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【0015】
本発明のさらに他の形態によれば、送電装置と、送電装置から非接触で電力伝送される受電装置とを有する非接触給電装置における、電力伝送方法が提供される。この電力伝送方法において、受電装置は、送電装置からの電力を受信する受信コイルを有する共振回路と、共振回路から出力される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を出力する整流平滑回路と、整流平滑回路から出力される直流電力の電圧を測定する電圧計と、整流平滑回路から出力される直流電力の電圧の測定値を含む、直流電力の出力を表す出力情報を送電装置へ送信する受電側通信器とを有し、送電装置は、受電装置へ電力を供給する送信コイルと、直流電源から供給される直流電力の電圧を変換する送電側DC-DCコンバータと、送電側DC-DCコンバータから出力される直流電力を交流電力に変換するDC-ACコンバータとを有し、変換された交流電力を送信コイルに供給する電力供給回路と、受電側通信器から、出力情報を受信する送電側通信器とを有する。
そして電力伝送方法は、出力情報に基づいて非接触給電装置全体の負荷抵抗を推定し、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値未満である場合、送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを第1の所定量だけ低下させるように送電側DC-DCコンバータを制御し、非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値が所定の許容下限値以上である場合、送電側DC-DCコンバータの入出力ゲインを維持または第2の所定量だけ上昇させるように送電側DC-DCコンバータを制御する、ことを含む。
係る手順を有することにより、この電力伝送方法は、受電側の装置に接続される負荷が変動する場合でも、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一つの実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る非接触給電装置の等価回路図である。
【
図3】電力伝送の制御処理の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一つの実施形態による非接触給電装置、及び、非接触給電装置にて実行される電力伝送方法を、図を参照しつつ説明する。この非接触給電装置は、使用上の制限が少ないISMバンドに含まれるスイッチング周波数で、送電側のコイルに交流電力を供給する電力供給回路のスイッチング素子を駆動する。また、発明者は、電力供給回路のスイッチング素子について、ZDSが達成されなくても、ZVSが達成され、かつ、スイッチング素子がオフからオンに変わるタイミングとスイッチング素子に印加される電圧になるタイミングの差が十分に小さければ、ISMバンドに含まれるスイッチング周波数にてスイッチング素子を駆動しても、スイッチング素子のスイッチングロスを実用上問題の無い程度まで軽減できるとの知見を得た。
【0018】
そこで、この非接触給電装置は、非接触給電装置全体の負荷抵抗を推定し、推定した負荷抵抗に応じて、送電側の電力供給回路から送電側のコイルに供給される交流電力の電圧を制御する。これにより、この非接触給電装置は、ZVSを達成し、かつ、スイッチング素子がオフからオンに変わるタイミングとスイッチング素子に印加される電圧になるタイミングの差を十分に小さくすることを可能とし、スイッチング素子におけるスイッチングロスを軽減して、電力伝送効率の低下を抑制する。
【0019】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図である。
図1に示されるように、非接触給電装置1は、送電装置2と、送電装置2から空間を介して非接触で電力伝送される受電装置3とを有する。送電装置2は、電力供給回路11と、送信コイル12と、コンデンサ13と、追加抵抗14と、追加抵抗スイッチ15と、温度計16と、通信器17と、制御回路18とを有する。一方、受電装置3は、受信コイル21及び共振コンデンサ22を含む共振回路20と、整流平滑回路23と、受電側DC-DCコンバータ24と、電圧計25と、電流計26と、通信器27と、推定回路28とを有する。そして受電装置3は負荷回路4と接続される。負荷回路4は、例えば、2次電池、2次電池の充電回路、あるいは、直流電力を利用して動作する回路である。受電装置3は、送電装置2の送信コイル12を介して送電された電力を受信コイル21により受電し、受電した電力を整流平滑回路23により直流電力に変換する。そして直流に変換された電力は、受電側DC-DCコンバータ24を介して負荷回路4へ出力される。
【0020】
先ず、送電装置2について説明する。
電力供給回路11は、調節可能な電圧を持つ交流電力を送信コイル12へ供給する。そのために、電力供給回路11は、送電側DC-DCコンバータ31と、DC-ACコンバータ32とを有する。
【0021】
送電側DC-DCコンバータ31は、制御回路18の制御に応じて入出力ゲインを調整可能なDC-DCコンバータであり、例えば、昇圧型、降圧型あるいは昇降圧型のDC-DCコンバータである。そして送電側DC-DCコンバータ31は、その入力側において直流電源10と接続され、直流電源10から供給された直流電力の電圧を、制御回路18の制御にしたがって設定された入出力ゲインに応じた電圧に変換して出力する。
【0022】
DC-ACコンバータ32は、送電側DC-DCコンバータ31から出力された直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を送信コイル12へ供給する。そのために、DC-ACコンバータ32は、コイル33と、コンデンサ34と、スイッチング素子35とを有する。
【0023】
コイル33は、送電側DC-DCコンバータ31の正極側の出力端子と、送信コイル12の一端との間に接続される。また、コンデンサ34は、その一端がコイル33と送信コイル12の一端との間に接続され、その他端が送電側DC-DCコンバータ31の負極側の出力端子と接続される。そしてコイル33とコンデンサ34とは、送電側DC-DCコンバータ31から出力された直流電力を、スイッチング素子35のオンとオフとが切り替えられるスイッチング周波数を持つ交流電力に変換する。
【0024】
スイッチング素子35は、コンデンサ34とコイル33との間において、コンデンサ34と並列となるように接続される。すなわち、スイッチング素子35の一端は、コイル33を介して送電側DC-DCコンバータ31の正極側の出力端子と接続され、スイッチング素子35の他端は、送電側DC-DCコンバータ31の負極側の出力端子と接続される。
【0025】
さらに、スイッチング素子35は、ISMバンドに含まれるスイッチング周波数にてオンとオフとを切り替えることが可能な素子、例えば、ガリウムナイトライドにより形成される電界効果トランジスタ(GaN FET)とすることができる。スイッチング素子35のスイッチング端子(例えば、GaN FETのゲート端子)は、制御回路18と接続され、制御回路18からの制御信号により、オンとオフとが切り替えられる。そして上述したように、スイッチング素子35がスイッチング周波数にてオンとオフとが切り替えられることで、送電側DC-DCコンバータ31から出力された直流電力は、コイル33及びコンデンサ34により、そのスイッチング周波数を持つ交流電力に変換される。そして変換された交流電力は、送信コイル12へ出力される。
【0026】
送信コイル12は、電力供給回路11から供給された交流電力に応じて、送信コイル12の周囲に周期的に変化する磁場を発生させる。そして送信コイル12は、その磁場を介して、交流電力を、受電装置3の共振回路20へ伝送する。
【0027】
コンデンサ13は、電力供給回路11の正極側の出力端子と送信コイル12の一端との間において、送信コイル12と直列に接続される。そして電力供給回路11から出力された交流電力は、コンデンサ13を介して送信コイル12に供給される。
【0028】
追加抵抗14は、送信コイル12の他端と電力供給回路11の負極側の出力端子との間において、送信コイル12と直列に接続される。そして追加抵抗14は、非接触給電装置1全体の負荷抵抗を調整させるために用いられる。追加抵抗14の抵抗値は、後述する、許容下限値R1以上であることが好ましい。
【0029】
追加抵抗スイッチ15は、送信コイル12の他端と電力供給回路11の負極側の出力端子との間において、追加抵抗14と並列に接続される。すなわち、追加抵抗スイッチ15がオンとなって短絡されるときには、追加抵抗14を介さずに交流電力が流れ、一方、追加抵抗スイッチ15がオフとなって切断されるときには、追加抵抗14を介して交流電力が流れるようになる。追加抵抗スイッチ15のオン・オフの切り替えは、制御回路18によって制御される。なお、追加抵抗スイッチ15は、リレースイッチとすることができる。また、追加抵抗14及び追加抵抗スイッチ15は、送信コイル12とコンデンサ13の間において互いに並列に接続されてもよい。
【0030】
温度計16は、電力供給回路11のスイッチング素子35の近傍に設けられ、スイッチング素子35の温度を測定する。そして温度計16は、スイッチング素子35の温度の測定値を制御回路18へ出力する。
【0031】
通信器17は、送電側通信器の一例であり、受電装置3の通信器27と無線通信可能に構成される。そのために、通信器17は、例えば、所定の無線通信規格に準じて無線信号を受信するアンテナと、その無線信号を復調する通信回路とを有する。なお、所定の無線通信規格は、例えば、ISO/IEC 15693、ZigBee(登録商標)、あるいはBluetooth(登録商標)とすることができる。通信器17は、受電装置3の通信器27と通信可能になると、制御回路18から、電力供給回路11から送信コイル12へ出力される交流電力の電圧を表す電圧情報を受け取る。そして通信器17は、その電圧情報を含む無線信号を生成し、その無線信号を出力することで、受電装置3へ電圧情報を送信する。また、通信器17は、受電装置3の通信器27から無線信号を受信すると、その無線信号に含まれる、非接触給電装置1全体の負荷抵抗の推定値を制御回路18へわたす。なお、非接触給電装置1全体の負荷抵抗の詳細について後述する。
【0032】
制御回路18は、プロセッサと、メモリと、ゲートドライバと、通信インターフェースとを有する。そして制御回路18は、ISMバンドに含まれるスイッチング周波数(例えば、6.78MHzまたは13.56MHz)、かつ、所定のデューティ比(例えば、0.5)にて、ゲートドライバを介して、電力供給回路11のスイッチング素子35のオン・オフを切り替える。また、制御回路18は、通信器17を介して受電装置3から受信した、非接触給電装置1全体の負荷抵抗の推定値に基づいて、送電側DC-DCコンバータ31、及び、追加抵抗スイッチ15のオン・オフの切り替えを制御する。さらに、制御回路18は、温度計16により測定された、スイッチング素子35の温度の測定値に基づいて、追加抵抗スイッチ15のオン・オフを切り替える。さらにまた、制御回路18は、送電側DC-DCコンバータ31から出力される直流電力の電圧を表す電圧情報を通信器17へ出力する。制御回路18は、メモリに予め記憶される、直流電源10の電圧及び電力供給回路11の各回路素子の定数と、送電側DC-DCコンバータ31に適用中の入出力ゲインとに基づいて、送電側DC-DCコンバータ31から出力される直流電力の電圧を求めればよい。あるいは、送電側DC-DCコンバータ31とDC-ACコンバータ32との間に、送電側DC-DCコンバータ31から出力される直流電力の電圧を測定するための電圧計(図示せず)が設けられてもよい。そして制御回路18は、その電圧計による測定値を電圧情報に含めてもよい。なお、制御回路18による制御の詳細については後述する。
【0033】
次に、受電装置3について説明する。
【0034】
共振回路20は、受信コイル21と共振コンデンサ22とが直列に接続されるLC共振回路である。そして共振回路20が有する受信コイル21の一端が共振コンデンサ22を介して整流平滑回路23の一方の入力端子に接続される。また、受信コイル21の他端が、整流平滑回路23の他方の入力端子に接続される。なお、共振回路20は、この例に限られず、受信コイル21と共振コンデンサ22とが並列に接続される、LC並列共振回路であってもよい。
【0035】
受信コイル21は、共振コンデンサ22とともに、送電装置2の送信コイル12に流れる交流電流と共振することで、送信コイル12から電力を受信する。そして受信コイル21は、共振コンデンサ22を介して、受信した電力を整流平滑回路23へ出力する。すなわち、受信コイル21のインダクタンスと共振コンデンサ22のキャパシタンスは、共振回路20の共振周波数がスイッチング周波数と略等しくなるように設定される。なお、受信コイル21の巻き数と、送電装置2の送信コイル12の巻き数は同一でもよく、あるいは、異なっていてもよい。
【0036】
共振コンデンサ22は、受信コイル21と直列に接続される。すなわち、共振コンデンサ22は、その一端で受信コイル21の一端と接続され、他端で整流平滑回路23と接続される。そして共振コンデンサ22は、受信コイル21とともに共振することで受信した交流電力を整流平滑回路23へ出力する。
【0037】
整流平滑回路23は、例えば、ブリッジ接続された4個のダイオードを有する全波整流回路と、平滑コンデンサから構成される。全波整流回路の入力側の二つの端子の一方は、共振コンデンサ22と接続され、入力側の二つの端子の他方は、受信コイル21と接続される。また、全波整流回路の出力側の二つの端子の一方は、平滑コンデンサの一端と接続され、出力側の二つの端子の他方は、平滑コンデンサの他端と接続される。そして整流平滑回路23は、共振回路20から出力された交流電力を整流して直流電力に変換する。なお、整流平滑回路23は、全波整流回路の代わりに、半波整流回路を含んでもよい。
【0038】
受電側DC-DCコンバータ24は、整流平滑回路23の出力側に接続され、受電側DC-DCコンバータ24から出力された直流電力の電圧を昇圧または降圧する。そして受電側DC-DCコンバータ24は、昇圧または降圧された直流電圧を、負荷回路4へ出力する。なお、受電側DC-DCコンバータ24は、昇圧型のDC-DCコンバータであることが好ましい。受電側DC-DCコンバータ24が昇圧型のDC-DCコンバータであることで、受電装置3から負荷回路4へ出力される電圧を高くすることが容易となり、そのため、非接触給電装置1全体の負荷抵抗を高くすることが容易となる。その結果として、送電装置2の電力供給回路11においてZVSを達成することが容易となる。なお、非接触給電装置1全体の負荷抵抗の推定及びZVSを達成するための制御についての詳細は後述する。また、受電装置3が受電した交流電力に応じた電圧にて負荷回路4が十分に動作可能である場合には、受電側DC-DCコンバータ24は省略されてもよい。
【0039】
電圧計25は、整流平滑回路23と受電側DC-DCコンバータ24との間に接続され、整流平滑回路23から出力される直流電力の電圧(以下、出力電圧と呼ぶことがある)を測定する。そして電圧計25は、出力電圧の測定値を推定回路28へ出力する。
【0040】
電流計26は、整流平滑回路23と受電側DC-DCコンバータ24との間、あるいは、受電側DC-DCコンバータ24と負荷回路4との間に接続され、整流平滑回路23から出力される直流電力の電流(以下、出力電流と呼ぶことがある)を測定する。そして電圧計25は、出力電流の測定値を推定回路28へ出力する。
【0041】
通信器27は、受電側通信器の一例であり、送電装置2の通信器17と無線通信可能に構成される。そのために、通信器27は、通信器17が準拠する無線通信規格に準じて無線信号を受信するアンテナと、その無線信号を復調する通信回路とを有する。通信器27は、送電装置2の通信器17と通信可能になると、通信器17から受信した無線信号に含まれる電圧情報を推定回路28へわたす。また、通信器27は、推定回路28から、非接触給電装置1全体の負荷抵抗の推定値を受け取ると、その推定値を含む無線信号を生成し、その無線信号を出力することで、送電装置2へ、非接触給電装置1全体の負荷抵抗の推定値を送信する。
【0042】
推定回路28は、プロセッサと、メモリと、通信インターフェースとを有する。そして推定回路28は、電圧計25から通信インターフェースを介して受け取った出力電圧の測定値と、電流計26から通信インターフェースを介して受け取った出力電流の測定値と、通信器27から通信インターフェースを介して受け取った電圧情報とに基づいて、非接触給電装置1全体の負荷抵抗を推定する。そして推定回路28は、非接触給電装置1全体の負荷抵抗の推定値を通信器27へ出力することで、その負荷抵抗の推定値を送電装置2へ通知する。
【0043】
以下、非接触給電装置1の動作の詳細について説明する。
図2は、非接触給電装置1の等価回路図である。
図2に示される等価回路100は、送電側DC-DCコンバータ31及び受電装置3の受電側DC-DCコンバータ24のそれぞれが省略され、かつ、追加抵抗スイッチ15が短絡されたときの非接触給電装置1の等価回路である。ここで、Lf、Ltx、Lrxは、それぞれ、コイル33、送信コイル12,受信コイル21のインダクタンスであり、Csh、Cs、C2は、それぞれ、コンデンサ34、コンデンサ13、共振コンデンサ22のキャパシタンスである。また、Racは、受電装置3の負荷抵抗である。そしてMは、送信コイル12と受信コイル21間の相互インダクタンスである。
【0044】
受電装置3の共振回路20が共振している場合、等価回路100は、等価回路200または等価回路300のように書き換えられる。このとき、非接触給電装置1全体のインピーダンスZ、すなわち、電力伝送中における、送電装置2側から見たインピーダンスは以下のように表される。
【数1】
ただし、ω(=2πf)は、送信コイル12に供給される交流電力の周波数(すなわち、スイッチング周波数)fに対応する角周波数である。またkは、送信コイル12と受信コイル21間の結合度である。そしてRoは、非接触給電装置1全体に対して接続される等価的な負荷の抵抗、すなわち、電力伝送中における、送電装置2側から見た負荷抵抗(以下、単に非接触給電装置1全体の負荷抵抗と呼ぶ)である。
【0045】
(1)式から明らかなように、受電装置3の負荷抵抗Racが小さくなると、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roは大きくなる。逆に、受電装置3の負荷が小さくなり、負荷抵抗Racが大きくなると、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roは小さくなる。そして負荷抵抗Roが小さくなり過ぎると、ZVSが達成されなくなるか、スイッチング素子35がオンになるタイミングに対して、スイッチング素子35に印加される電圧がゼロになるタイミングが早くなり過ぎる。スイッチング素子35がオンになるタイミングに対して、スイッチング素子35に印加される電圧がゼロになるタイミングが早くなり過ぎると、スイッチング素子35のボディダイオードに流れる電流によるロスが発生してしまう。このことについての詳細は、例えば、Zhang, Lujie, “Load-Independent Class-E Power Conversion”, https://vtechworks.lib.vt.edu/handle/10919/97601, 2020年、Chapter 2を参照されたい。
【0046】
そこで、受電装置3の推定回路28は、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roを推定し、その推定値を、通信器27を介して送電装置2へ通知する。送電装置2の制御回路18は、負荷抵抗Roが、ZVSを達成可能、かつ、スイッチング素子35がオンになるタイミングに対する、スイッチング素子35に印加される電圧がゼロになるタイミングの差(以下、単にタイミング差と呼ぶことがある)が実用上問題無いレベルとなる許容下限値R1以上となるように、送電側DC-DCコンバータ31及び追加抵抗スイッチ15を制御する。
【0047】
先ず、受電装置3の推定回路28で行われる処理について説明する。推定回路28は、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roを推定するために、受電装置3の負荷抵抗Racを推定する。そして推定回路28は、受電装置3の負荷抵抗Racと、送電装置から受信した電圧情報と、電圧計25により測定された出力電圧とに基づいて、送信コイル12と受信コイル21間の結合度を推定する。そして推定回路28は、推定した結合度と、送信コイル12及び受信コイル21のインダクタンスと、スイッチング周波数とに基づいて、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roを推定する。
【0048】
先ず、受電装置3の負荷抵抗Racの推定について、推定回路28は、次式に従って負荷抵抗Racを推定する。
【数2】
ここで、Voは、電圧計25により得られた出力電圧の測定値であり、Ioは、電流計26により得られた出力電流の測定値である。なお、負荷抵抗Racは、交流の抵抗値であるため、Vo/Ioに8/π
2が乗じられる。また、負荷回路4が2次電池の充電回路を含む場合、2次電池の充電状況を管理するために、その充電回路が受電装置3から負荷回路4へ出力される電力をモニタしていることがある。この場合には、推定回路28は、(2)式の代わりに、次式に従って負荷抵抗Racを推定してもよい。
【数3】
ここで、Woは、受電装置3から負荷回路4へ出力される電力値である。推定回路28は、負荷回路4からその電力値を表す情報を受け取ればよい。この場合、電流計26は省略されてもよい。
【0049】
次に、送信コイル12と受信コイル21間の結合度の推定について説明する。推定回路28のメモリには、負荷抵抗Racの複数の代表値のそれぞれについて、送電装置2の送電側DC-DCコンバータ31から出力される電圧Vxに対する、受電装置3の整流平滑回路23から出力される電圧Vyの比ごとの結合度を表す参照テーブルが予め保存される。推定回路28は、負荷抵抗Racの複数の代表値のうち、(2)式または(3)式に従って推定した負荷抵抗Racの値に最も近い代表値を特定し、特定した代表値に対応する参照テーブルを特定する。さらに、推定回路28は、電圧計25により測定された出力電圧Voに基づいて、共振回路20から出力される電圧Vyを求める。そして推定回路28は、送電装置2から受信した電圧情報に含まれる、送電側DC-DCコンバータ31から出力される電圧Vxに対する、共振回路20から出力される電圧Vyの比を算出する。推定回路28は、特定した参照テーブルを参照することで、算出した比に対応する結合度を特定し、特定した結合度を、実際の送信コイル12と受信コイル21間の結合度kとして推定する。
【0050】
送信コイル12と受信コイル21間の結合度kを推定すると、推定回路28は、推定した結合度kと、推定した負荷抵抗Racの値とに基づいて、次式に従って非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roを推定する。
【数4】
上記のように、ω(=2πf)は、送信コイル12に供給される交流電力の周波数fに対応する角周波数である。また、Mは、送信コイル12と受信コイル21間の相互インダクタンスである。そしてLtx、Lrxは、それぞれ、送信コイル12及び受信コイル21のインダクタンスである。推定回路28は、推定回路28のメモリに予め保存された(Ltx×Lrx)
1/2の値及びωの値とともに、推定した結合度k及び負荷抵抗Racの値を(4)式に適用することで、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roの推定値を算出できる。上記の手順により、推定回路28は、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roを精度良く推定することができる。
【0051】
なお、相互インダクタンスMは、次式に従って算出されてもよい。この場合には、推定回路28は、上記の参照テーブルを参照することなく、相互インダクタンスM及び非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roを算出できる。
【数5】
ただし、Vxは、上記のように、送電側DC-DCコンバータ31から出力される電圧である。また、aは、DC-ACコンバータ32から送信コイル12までの各回路素子の定数、及び、DC-ACコンバータ32のスイッチング素子35のデューティ比により定まる定数である。すなわち、aVxは、
図2に示される等価回路200における、送信コイル12から出力される電圧の実効値を表す。定数aは、推定回路28のメモリに予め記憶されていればよい。なお、送電装置2の制御回路18は、スイッチング素子35のデューティ比を調整する場合には、送電装置2の制御回路18は、電圧情報に、スイッチング素子35に適用される最新のデューティ比を含めればよい。そして推定回路28は、メモリに予め保存されているデューティ比ごとの定数aのなかから、電圧情報に含まれるデューティ比に対応する定数aの値を(5)式に適用すればよい。
【0052】
推定回路28は、所定の周期ごとに、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roを推定し、推定した負荷抵抗Roの値を、通信器27を介して送電装置2へ通知する。
【0053】
なお、推定回路28は、出力電圧Voの測定値及び出力電流Ioの測定値から算出され、あるいは、負荷回路4から通知された出力電力の値が所定量以下になると、受電側DC-DCコンバータ24をオフにしてもよい。
【0054】
次に、送電装置2の制御回路18で行われる処理について説明する。制御回路18は、送電装置2から受電装置3への電力伝送が開始されるまでの待機状態では、追加抵抗スイッチ15を切断して、追加抵抗14に電流が流れるようにする。そして制御回路18は、送電装置2から受電装置3への電力伝送が開始されると、追加抵抗スイッチ15をオン、すなわち、追加抵抗スイッチ15を短絡する。これにより、追加抵抗14には電流が流れなくなる。なお、制御回路18は、送電装置2の通信器17と受電装置3の通信器27との間で通信が確立されると、送電装置2から受電装置3への電力伝送が開始されたと判定すればよい。
【0055】
制御回路18は、受電装置3から非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roの推定値を受信する度に、その推定値を許容下限値R1と比較する。そして負荷抵抗Roの推定値が許容下限値R1未満であれば、制御回路18は、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインを所定量(第1の所定量)だけ低下させるよう、すなわち、送電側DC-DCコンバータ31から出力される電圧が低下するよう、送電側DC-DCコンバータ31を制御する。これにより、送信コイル12に供給される交流電力の電圧も低下するので、受電装置3における出力電圧Vo及び出力電流Ioも変化する。特に、送信コイル12に供給される交流電力の電圧の低下に伴い、出力電圧Voが低下することで、受電側の負荷抵抗Racが小さくなる。その結果として、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roが大きくなる。負荷抵抗Roの推定値が許容下限値R1以上であれば、ZVSが達成され、かつ、タイミング差が十分に小さくなる。そのため、制御回路18は、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインがそのまま維持されるよう、送電側DC-DCコンバータ31を制御する。
【0056】
例えば、コイル33及び送信コイル12のインダクタンスがそれぞれ1μH、3μHであり、コンデンサ34及びコンデンサ13のキャパシタがそれぞれ330pF、202pFであるとする。そしてスイッチング素子35が、スイッチング周波数6.78MHz、かつデューティ比0.5で駆動されるとする。この場合、ZVSが達成され、かつ、スイッチング素子がオフからオンに変わるタイミングとスイッチング素子に印加される電圧になるタイミングの差が十分に小さくなる非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roの最小値は41.4Ωとなる。そこで、許容下限値R1は、41.4Ωに所定のオフセットを加算した値、例えば、50Ωに設定される。
【0057】
ただし、負荷回路4が2次電池または2次電池の充電回路を含む場合、その2次電池が満充電に近付くにつれて、出力電流Ioは小さくなるので、受電装置3の負荷抵抗Racは増大する。その結果として、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインを動作範囲の下限まで低下させても、負荷抵抗Racが十分に低下せず、その結果として非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roの推定値が許容下限値R1以上にならないことがある。そこで、制御回路18は、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインが送電側DC-DCコンバータ31の動作範囲の下限となるように送電側DC-DCコンバータ31を制御しても、負荷抵抗Roの推定値が許容下限値R1未満である場合、追加抵抗スイッチ15をオフにする。これにより、追加抵抗14に電流が流れるようになり、その結果として、送信コイル12に印加される交流電力の電圧がさらに低下する。したがって、受電装置3の負荷抵抗Racをさらに低下させること、すなわち、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roをさらに上昇させることが可能となる。
【0058】
また、温度計16によるスイッチング素子35の温度の測定値が所定の温度上限値以上になると、制御回路18は、追加抵抗スイッチ15をオフにする。これにより、スイッチング素子35に流れる電流を少なくして、スイッチング素子35が過度に加熱されることを防止する。なお、スイッチング素子35の温度の測定値が所定の温度上限値以上となることが繰り返される場合、導電体が送信コイル12の近くに存在し、その結果としてスイッチング素子35にてハードスイッチングとなっている可能性が有る。そこで、制御回路18は、一定期間内にスイッチング素子35の温度の測定値が所定の温度上限値以上となることが所定回数以上繰り返される場合、送電側DC-DCコンバータ31をオフにして、電力伝送を停止してもよい。
【0059】
図3は、送電装置2の制御回路18により実行される電力伝送の制御処理の動作フローチャートである。なお、制御回路18は、電力伝送の制御処理が実行されている間、電力供給回路11のスイッチング素子35のオン・オフを、ISMバンドに含まれる所定のスイッチング周波数で切り替える。
【0060】
制御回路18は、送電装置2から受電装置3への電力伝送が開始される前において、追加抵抗スイッチ15をオフにするとともに、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインを初期値に設定する(ステップS101)。
【0061】
制御回路18は、送電装置2の通信器17と受電装置3の通信器27との通信が確立されたか否か判定する(ステップS102)。通信が確立されていない場合(ステップS102-No)、電力伝送は開始されていないと想定される。そのため、制御回路18は、所定時間が経過してからステップS101以降の処理を繰り返す。
【0062】
送電装置2の通信器17と受電装置3の通信器27との通信が確立されると(ステップS102-Yes)、制御回路18は、追加抵抗スイッチ15をオンにして、追加抵抗14に電流が流れないようにする(ステップS103)。
【0063】
制御回路18は、送電装置2の通信器17と受電装置3の通信器27との通信が継続できているか否か判定する(ステップS104)。通信が途絶していれば(ステップS104-No)、制御回路18は、ステップS101以降の処理を再度実行する。一方、通信が継続していれば(ステップS104-Yes)、制御回路18は、受電装置3の通信器27から、通信器17を介して非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roの推定値を受信する(ステップS105)。そして制御回路18は、負荷抵抗Roの推定値が許容下限値R1以上か否か判定する(ステップS106)。負荷抵抗Roの推定値が許容下限値R1以上であれば(ステップS106-Yes)、制御回路18は、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインを維持するよう、送電側DC-DCコンバータ31を制御する(ステップS107)。そして制御回路18は、ステップS104以降の処理を繰り返す。
【0064】
一方、負荷抵抗Roの推定値が許容下限値R1未満であれば(ステップS106-No)、制御回路18は、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインが動作範囲の下限値に達しているか否か判定する(ステップS108)。送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインが動作範囲の下限値よりも高ければ(ステップS108-No)、制御回路18は、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインを所定量低下させるよう、送電側DC-DCコンバータ31を制御する(ステップS109)。そして制御回路18は、ステップS104以降の処理を繰り返す。
【0065】
一方、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインが動作範囲の下限値に達していれば(ステップS108-Yes)、制御回路18は、追加抵抗スイッチ15をオフにして、追加抵抗14に電流が流れるようにする(ステップS110)。そして制御回路18は、ステップS104以降の処理を繰り返す。
【0066】
以上に説明してきたように、この非接触給電装置は、使用上の制限が少ないISMバンドに含まれるスイッチング周波数で、送電側のコイルに交流電力を供給する電力供給回路のスイッチング素子を駆動する。また、この非接触給電装置は、非接触給電装置全体の負荷抵抗を推定する。そしてこの非接触給電装置は、非接触給電装置全体の負荷抵抗が、ZVSを達成し、かつ、スイッチング素子がオフからオンに変わるタイミングとスイッチング素子に印加される電圧になるタイミングの差を十分に小さくすることができる条件を満たすように、送電側の電力供給回路から送電側のコイルに供給される交流電力の電圧を制御する。これにより、この非接触給電装置は、スイッチング素子におけるスイッチングロスを軽減して、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
【0067】
変形例によれば、送電装置2の制御回路18は、送電側DC-DCコンバータ31に現在適用中の入出力ゲインと、受電装置3から受信した非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roの推定値とに基づいて、入出力ゲインの調整量を決定してもよい。この場合、制御回路18のメモリには、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインと非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roの組み合わせごとに、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roが所定の許容下限値R1以上となるための調整量(上記のフローチャートにおける所定量)を表す参照テーブルが予め保存される。そして制御回路18は、その参照テーブルを参照することで、送電側DC-DCコンバータ31に現在適用中の入出力ゲインと、受電装置3から受信した非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roの推定値の組み合わせに対応する調整量を特定すればよい。そして制御回路18は、特定した調整量だけ、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインを低下させればよい。これにより、制御回路18は、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roが所定の許容下限値R1以上となるまでに要する時間を短縮できる。なお、上記の参照テーブルは、追加抵抗スイッチ15が短絡されているときと切断されているときとで別個に用意されてもよい。この場合には、制御回路18は、追加抵抗スイッチ15が短絡されているか切断されているかに応じて、参照する参照テーブルを切り替えればよい。
【0068】
さらに、非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roの推定値が所定の閾値を超えると、制御回路18は、送電側DC-DCコンバータ31の入出力ゲインを所定量(第2の所定量)だけ上昇させてもよい。これにより、制御回路18は、スイッチング素子35のスイッチングロスをより適切に抑制することができる。なお、所定の閾値は、上記の許容下限値よりも所定の維持オフセット値だけ大きい値に設定される。また、入出力ゲインを上昇させるときの所定量は、入出力ゲインを低下させるときの所定量と同じでもよく、あるいは、異なっていてもよい。
【0069】
なお、負荷回路4の構成によっては、受電装置3の負荷抵抗Racが一定となることがある。このような場合、一定値である負荷抵抗Racが、推定回路28が有するメモリに予め保存される。そして推定回路28は、一定値である負荷抵抗Racに基づいて非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roを推定してもよい。さらに、受電装置3の負荷抵抗Racが一定である場合、推定回路28は、送信コイル12と受信コイル21間の結合度について、送電装置2から受電装置3へ電力伝送が実行されるときの想定される最小値であると仮定してもよい。そして推定回路28は、仮定した結合度の最小値に基づいて非接触給電装置1全体の負荷抵抗Roを推定してもよい。
【0070】
他の変形例によれば、送電装置2の制御回路18が、非接触給電装置1全体の負荷抵抗を推定してもよい。この場合、制御回路18のメモリに、非接触給電装置1全体の負荷抵抗の推定に利用される参照テーブル及び各コイルのインダクタンスが予め記憶される。また、受電装置3の通信器27は、電圧計25による出力電圧の測定値と、電流計26による出力電流の測定値または負荷回路4から受け取った電力値とを含む出力情報を含む無線信号を生成し、その無線信号を送電装置2へ送信する。この出力情報は、整流平滑回路23からの直流電力の出力を表すものである。そして送電装置2の通信器17は、受信した無線信号に含まれる出力情報を制御回路18へわたす。制御回路18は、出力情報を参照して、上記の実施形態における推定回路28の処理と同様の処理を実行することで、非接触給電装置1全体の負荷抵抗を推定すればよい。そして制御回路18は、推定した非接触給電装置1全体の負荷抵抗に基づいて、送電側DC-DCコンバータ31の制御及び追加抵抗スイッチ15の短絡・切断の切り替えを行えばよい。この変形例においても、非接触給電装置1は、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
また、上記の実施形態または各変形例において、送電装置の通信器と受電装置の通信器とを有線にて接続することが可能な場合には、各通信器は、電圧情報を含む信号及び非接触給電装置全体の負荷抵抗の推定値を含む信号を有線にて通信可能な通信回路を有していればよい。
【0072】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0073】
1 非接触給電装置
2 送電装置
10 直流電源
11 電力供給回路
12 送信コイル
13 コンデンサ
14 追加抵抗
15 追加抵抗スイッチ
16 温度計
17 通信器
18 制御回路
31 送電側DC-DCコンバータ
32 DC-ACコンバータ
33 コイル
34 コンデンサ
35 スイッチング素子
3 受電装置
20 共振回路
21 受信コイル
22 共振コンデンサ
23 整流平滑回路
24 受電側DC-DCコンバータ
25 電圧計
26 電流計
27 通信器
28 推定回路