(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060495
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】吊り天井構造および連結金具
(51)【国際特許分類】
E04B 9/18 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
E04B9/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167901
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】303013811
【氏名又は名称】日軽パネルシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安永 敏美
(72)【発明者】
【氏名】塩濱 真司
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 良平
(72)【発明者】
【氏名】松本 量央
(57)【要約】
【課題】格子状に配設された梁材同士の連結作業に要する手間の低減化を図ることができる吊り天井構造を提案する。
【解決手段】躯体から吊下される吊り材2と、吊り材2により吊設される第一梁材31と、第一梁材31と交差する向きに配設された第二梁材32と、第一梁材31の上端面と第二梁材32の上端面との間に横架される連結板材4と、第一梁材31と第二梁材32とを連結する連結金具5とを備える吊り天井構造1である。この連結金具5は、第二梁材32の上に配置される基部片51と、第二梁材32の頭部35側面に添設される一対の垂下片52,52と、第一梁材31の頭部35側面に取り付けられる取付片53とを備えている。基部片51は第二梁材32の上端部にボルトを介して固定され、取付片33は第一梁材31の頭部35側面にビスを介して固定される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体から吊下される吊り材と、
前記吊り材により吊設される第一梁材と、
前記第一梁材と交差する向きに配設された第二梁材と、
前記第一梁材の上端面と前記第二梁材の上端面との間に横架される連結板材と、
前記第一梁材と前記第二梁材とを連結する連結金具と、を備える吊り天井構造であって、
前記連結金具は、前記第二梁材の上に配置される基部片と、
前記第二梁材の頭部側面に添設される一対の垂下片と、
前記第一梁材の頭部側面に取り付けられる取付片と、を備えており、
前記基部片は、前記第二梁材の上端部にボルトを介して固定され、
前記取付片は、前記第一梁材の頭部側面にビスを介して固定されることを特徴とする、吊り天井構造。
【請求項2】
躯体から吊下される吊り材と、
前記吊り材により吊設される第一梁材と、
前記第一梁材と交差する向きに配設された第二梁材と、
前記第一梁材の上端面と前記第二梁材の上端面との間に横架される連結板材と、
前記第一梁材と前記第二梁材とを連結する連結金具と、を備える吊り天井構造であって、
前記連結金具は、前記第二梁材の上に配置される基部片と、
前記第二梁材の頭部側面に添設される一対の垂下片と、
前記一対の垂下片のうちの一方の前記垂下片の先端部から一側方に向かって張り出し前記第一梁材の頭部側面に取り付けられる取付片と、
他方の前記垂下片の先端部から他側方に向かって張り出し前記第一梁材の頭部側面に添設される添設片と、を備えており、
前記基部片は、ボルトにより前記第二梁材の上端部に固定され、
前記取付片は、ビスにより前記第一梁材の頭部側面に固定されることを特徴とする、吊り天井構造。
【請求項3】
前記第一梁材を挟んで対向する一対の前記第二梁材を備えており、
前記連結板材は、前記一対の第二梁材の上端面に横架されていて、前記ボルトを介して前記第二梁材に固定されているとともに、前記吊り材を介して前記第一梁材に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の吊り天井構造。
【請求項4】
前記連結板材は、前記ボルトにより前記第二梁材に固定されているとともに、前記吊り材により前記第一梁材に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吊り天井構造。
【請求項5】
前記連結板材の前記第一梁材側の先端部は、前記第一梁材の縁部において折曲されて当該第一梁材の頭部側面に添設されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の吊り天井構造。
【請求項6】
第一梁材と、前記第一梁材と交差する向きに配設された第二梁材とを連結する連結金具であって、
前記第二梁材の上に配置される基部片と、
前記第二梁材の頭部側面に添設される一対の垂下片と、
前記第一梁材の頭部側面に取り付けられる取付片と、を備えていることを特徴とする、連結金具。
【請求項7】
第一梁材と、前記第一梁材と交差する向きに配設された第二梁材とを連結する連結金具であって、
前記第二梁材の上に配置される基部片と、
前記基部片の側端部から折曲されて前記第二梁材の頭部側面に添設される一対の垂下片と、
一方の前記垂下片の前記第一梁材側先端部から一側方に向かって張り出し前記第一梁材の頭部側面に取り付けられる取付片と、
他方の前記垂下片の前記第一梁材側先端部から他側方に向かって張り出し前記第一梁材の頭部側面に添設される添設片と、を備えていることを特徴とする、連結金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り天井構造および連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の天井構造として、躯体から吊り材により吊り下げられた吊り天井構造を採用する場合がある。吊り天井構造には、格子状に配設された天井梁同士の交差部において、吊り材により吊設する形式のものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、格子状に配設された主梁材と副梁材との交点において主梁材を吊り材により吊設する吊り天井構造が開示されている。特許文献1の吊り天井構造では、副梁材の上面と主梁材の上面に横架された板材と、副梁材の先端から突設されて主梁材の側面に当接された中間継手部材とにより主梁材と副梁材とが連結されている。
【0004】
また、特許文献2には、格子状に配設された梁材同士の交点において、両梁材の上端部を覆う連結部材と、梁材の高さ方向の中間部において梁材同士を連結する補助連結部材とにより梁材同士が連結された吊り天井構造が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、格子状に配設された梁材同士の交差部において、梁材の上面と頭部側面を覆う平面視十字状の連結部材を梁材の頭部に嵌合することにより梁材同士を連結する吊り天井構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-017751号公報
【特許文献2】特開2001-227096号公報
【特許文献3】特開2004-244821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および特許文献2の吊り天井構造は、複数の継手部材(連結部材)をそれぞれ梁材の上端と中間部に固定する必要があり、連結作業に手間がかかる。また、梁材の頭部同士は、上端に設けられた板材または連結部材により連結されているものの、頭部の側面においては接合されていない。そのため、吊り材により引張荷重が作用した際に、頭部同士の間の隙間が広がるような変形が懸念される。
【0008】
また、特許文献3の吊り天井構造の連結部材は、形状が比較的複雑なため製造時の加工に手間がかかる。また、十字状に配設された梁材に対して、上方から十字状の連結部材を嵌め込む作業にも手間がかかる。梁材の配設時に誤差が生じると、連結部材を取り付けられないおそれもある。
【0009】
本発明は、格子状に配設された梁材同士の連結に必要な金具(連結部材)の点数(種類)を減らし、施工効率の向上を図ることができる吊り天井構造を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決する本発明の吊り天井構造は、躯体から吊下される吊り材と、前記吊り材により吊設される第一梁材と、前記第一梁材と交差する向きに配設された第二梁材と、前記第一梁材の上端面と前記第二梁材の上端面との間に横架される連結板材と、前記第一梁材と前記第二梁材とを連結する連結金具とを備えるものである。
【0011】
前記吊り天井構造に使用可能な第一の連結金具は、前記第二梁材の上に配置される基部片と、前記第二梁材の頭部側面に添設される一対の垂下片と、前記第一梁材の頭部側面に取り付けられる取付片とを備えている。
【0012】
前記吊り天井構造に使用可能な第二の連結金具は、前記第二梁材の上に配置される基部片と、前記基部片の側端部から折曲されて前記第二梁材の頭部側面に添設される一対の垂下片と、記一対の垂下片のうちの一方の前記垂下片の先端部から一側方に向かって張り出し前記第一梁材の頭部側面に取り付けられる取付片と、他方の前記垂下片の先端部から他側方に向かって張り出し前記第一梁材の頭部側面に添設される添設片とを備えている。
【0013】
両吊り天井構造の前記基部片は、前記第二梁材の上端部にボルトを介して固定され、前記取付片は、前記第一梁材の頭部側面にビスを介して固定される。
かかる吊り天井構造によれば、連結金具により、梁材の上面と頭部側面において梁材同士を連結するため、複数の金具を使用する従来の吊り天井構造に比べて施工性に優れている。また、連結金具は、比較的簡易な構造のため、製造しやすい。
【0014】
なお、前記第一梁材を挟んで対向する一対の前記第二梁材を備えている天井構造(梁材同士が十字状に連結される吊り天井構造)では、前記連結板材は、前記一対の第二梁材の上端面に横架されていて、前記ボルトを介して前記第二梁材に固定されているとともに、前記吊り材を介して前記第一梁材に固定されているのが望ましい。こうすることで、第一梁材を挟んで対向する第二梁材同士を、連結板材を介して連結できる。
【0015】
また、第一梁材と第二梁材とがT字状あるいはL字状に連結される吊り天井構造では、前記連結板材は、前記ボルトにより前記第二梁材に固定されているとともに、前記吊り材により前記第一梁材に固定されていることが望ましく、前記連結板材の前記第一梁材側の先端部は前記第一梁材の縁部において折曲されて当該第一梁材の頭部側面に添設すればよい。こうすることで、連結板材の端部が第一梁材に係止された状態となり、第一梁材と第二梁材との接合部におけるガタツキを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の吊り天井構造によれば、格子状に配設された梁材同士の連結作業に要する手間の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る吊り天井構造を示す斜視図である。
【
図3】吊り天井構造の十字接合部を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のI-I矢視図、(c)は(a)のII-II矢視図である。
【
図5】第一連結金具を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図6】吊り天井構造のT字接合部を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のIII-III矢視図、(c)は(a)のIV-IV矢視図である。
【
図7】第二連結板材を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図8】吊り天井構造のL字接合部を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のV-V矢視図、(c)は(a)のVI-VI矢視図である。
【
図9】第二連結金具を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態では、建物の躯体に吊り材を介して吊設される吊り天井構造1について説明する。
本実施形態の吊り天井構造1は、
図1に示すように、躯体から吊下される吊り材2と、格子状に配設された複数の梁材3,3,…と、梁材3同士の連結部において梁材3の上端面に取り付けられる連結板材4(
図3参照)と、梁材3同士を連結する連結金具5と、梁材3同士の下部において連結する下部連結部材6(
図3参照)とを備えている。格子状に配置された梁材3,3は、梁材3により区画された矩形状の空間を塞ぐ天井板や換気ユニット等を支持している。
【0019】
本実施形態の吊り天井構造1では、梁材3同士の連結部(交差部)において、吊り材2により吊設するものとし、梁材3同士の連結部において連続している梁材3を第一梁材31と称し、第一梁材31と交差する向きに配設されて当該第一梁材31に側方から連結される梁材3を第二梁材32と称する。
図3(a)(b)に示すように、連結板材4は、梁材3同士の連結部において、第一梁材31の上端面と第二梁材32の上端面との間に横架する。
【0020】
梁材3は、
図2に示すように、天井板や換気ユニット等を載置可能な一対の水平部33,33と、一対の水平部33,33の間に立設された垂直部34と、垂直部34の上端に形成された頭部35とを備えている。水平部33は、垂直部34の下端部の側面から側方に向かって張り出しており、天井板や換気ユニット等を上載可能である。本実施形態の水平部33および垂直部34は、中空であって、角筒状を呈している。頭部35には、上方に向かって開口する上向き開口溝36が形成されている。また、垂直部34の下端には、下方に向かって開口する下向き開口溝37が形成されている。上向き開口溝36の上端および下向き開口溝37の下端には、左右一対の爪38,38が形成されていて、内部に配設されるナット等を係止可能である。このように形成される梁材は、アルミニウム合金製の押出形材にて形成されている。
【0021】
<十字接合部>
まず、吊り天井構造1のうち、梁材3同士が十字状に連結される部分(
図1におけるA部分)について説明する。第一梁材31と第二梁材32とが十字状に連結する箇所では、
図3(a)に示すように、一対の第二梁材32,32が第一梁材31を挟んで対向するように配置されている。
図3(b)および(c)に示すように、第一梁材31と一対の第二梁材32,32は、連結板材4(第一連結板材41)および連結金具5(第一連結金具51)により、頭部35同士が連結されていて、下部連結部材6により下部分が連結されている。
【0022】
第一連結板材41は、
図4に示すように、複数の貫通孔43,43,…が形成された金属板からなる。第一連結板材41は、
図3(b)に示すように、一対の第二梁材32,32の上端面に跨って載置されていて、第一連結板材41の貫通孔43を挿通したボルト71により第二梁材32の頭部35に固定されている。第二梁材32の頭部35の上向き開口溝36には、ボルト71を螺着可能な板ナット72が設けられている。ボルト71を板ナット72に螺着することで、第一連結板材41が第二梁材32の頭部35に固定される。また、第一連結板材41は、第一連結板材41の貫通孔に挿通した吊り材2の雌ネジに螺着した第一連結板材41の上下に配設されたナット75および第二板ナット76により、第一梁材31の頭部35に固定されている。第一連結板材41の上面にはナット75が配設されており、第一梁材31の頭部35の上向き開口溝36には、吊り材2の雌ネジを螺着可能な第二板ナット76が設けられている。そのため、第一連結板材41を貫通した吊り材2を第二板ナット76に螺着し、第一梁材31の頭部35の爪部38,38および第一連結板材41をナット75と第二板ナット76とで挟持することで、第一連結板材41が第一梁材31に固定される。本実施形態では、吊り材2を螺着する第二板ナット76として、ボルト71を螺着する板ナット72よりも大きな肉厚(本実施形態では2倍)を有したものを使用する。こうすることで、吊り材2から引張荷重を受けた際に上向き開口溝36の変形を防ぐ。
【0023】
第一連結金具51は、金属板を曲げ加工することにより形成されていて、
図3(a)~(c)に示すように、第二梁材32の上に配置される基部片53と、第二梁材32の頭部35の側面に添設される一対の垂下片54,54と、第一梁材31の頭部35の側面に取り付けられる一対の取付片55,55とを備えている。第一連結金具51は、平面視T字状を呈している。
【0024】
基部片53は、第二梁材32の上端部にボルト71を介して固定されている。本実施形態では、基部片53を第一連結板材41の上に重ねた状態で、基部片53および第一連結板材41にボルト71を挿通し、第二梁材32の頭部35に設けられた板ナット72にボルト71を螺着することにより固定する。すなわち、基部片53、第一連結板材41および第二梁材32の頭部35の爪部38,38を、ボルト71の頭部と板ナット72とで挟持することで、基部片53を第二梁材32に固定する。
図5(a)に示すように、基部片53には、第一連結板材41の貫通孔43に対応する位置に、ボルト71を挿通可能な貫通孔57,57が形成されている。
【0025】
垂下片54は、
図5(b)に示すように、基部片53の縁部に形成されている。すなわち、第一連結金具51は、基部片53と一対の垂下片54,54により門型状(下向きに開口するコ字状)を呈している。垂下片54,54は、基部片53の側縁部に連続する板部を折り曲げることにより形成されている。
【0026】
取付片55は、
図5(a)に示すように、垂下片54の第一梁材31側端部から側方に向かって張り出している。取付片55は、垂下片54の端部に連続する板部を折り曲げることにより形成されている。一対の取付片55,55は、第一連結金具51の端部において、互いに離れる方向に延設されている。取付片55は、第一梁材31の頭部35の側面に当接した状態で、ビス73を頭部35に螺着することにより第一梁材31の頭部35に固定される。取付片55には、ビスを挿通するための貫通孔57が形成されている。
【0027】
下部連結部材6は、
図3(b)に示すように、第一梁材31の水平部33と垂直部34との角部において、垂直部34の外面に当接する垂直片61と、水平部33の上面に当接する水平片62とを備えている。下部連結部材6は、水平片62を貫通して水平部33に螺合された取付ネジ74により第一梁材31に固定されている。また、水平片62は、第一梁材31の水平部33から側方に張り出して、第一梁材31に連結する第二梁材32の垂直部34の中空部分に挿入され、第二梁材の下向き開口溝37から挿入された取付ネジ74,74により第二梁材32に固定されている。
【0028】
<T字接合部>
次に、吊り天井構造1の縁部において、梁材3同士がT字状に連結される部分(
図1におけるB部分)について説明する。第一梁材31と第二梁材32とがT字状に連結される箇所では、
図6(a)に示すように、第一梁材31に対して側方から第二梁材32が連結される。第一梁材31と第二梁材32は、連結板材4(第二連結板材42)および連結金具5(第一連結金具51)により頭部35同士が連結されていて、下部連結部材6により下部分が連結されている。
【0029】
第二連結板材42は、
図7(a)に示すように、複数の貫通孔43,43,…が形成された金属板からなる。
図6(b)に示すように、第二連結板材42は、ボルト71により第二梁材32に固定されているとともに、ボルト71により第一梁材31に固定されている。第二連結板材42は、第二連結板材42の貫通孔43に挿通したボルト71を第一梁材31の頭部に設けられた板ナット72に螺着することにより、第一梁材31に固定される。
図7(b)に示すように、第二連結板材42の第一梁材31側の先端部44は、第一梁材31の第二梁材32の反対側の縁部において折曲されている。
図6(b)に示すように、第二連結板材42の折曲部分は、第一梁材31の頭部35の側面に添設されている。このように、第二連結板材42の先端は、第一梁材31の頭部35に係止されている。
【0030】
図6(b)および(c)に示すように、T字接合部の連結金具5は、十字接合部の連結金具5と同様に、第二梁材32の上に配置される基部片53と、第二梁材32の頭部35の側面に添設される一対の垂下片54,54と、第一梁材31の頭部35の側面に取り付けられる一対の取付片55,55とを備える第一連結金具51である。T字接合部の第一連結金具51の基部片53、垂下片54および取付片55の詳細は、十字接合部の第一連結金具51と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0031】
図6(b)に示すように、下部連結部材6は、第一梁材32の水平部33と、第二梁材32の垂直部34(下向き開口溝37)とを連結している。なお、T字接合部の下部連結部材6の詳細は、十字接合部の下部連結部材6と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0032】
<L字接合部>
最後に、吊り天井構造1の角部等において梁材3同士がL字状に連結される部分(
図1におけるC部分)ついて説明する。
図8(a)に示すように、第一梁材31と第二梁材32とがL字状に連結される角部では、第一梁材31に対して側方から第二梁材32が連結される。第一梁材31と第二梁材32は、
図8(b)に示すように、連結板材4(第二連結板材42)および連結金具5(第二連結金具52)により頭部35同士が連結されていて、下部連結部材6により下部分が連結されている。
【0033】
L字接合部の連結板材4は、ボルト71により第二梁材32に固定されているとともに、ボルト71により第一梁材31に固定されている。L字接合部の連結板材4(第二連結板材42)の構成は、T字接合部の第二連結板材42と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0034】
第二連結金具52は、金属板を曲げ加工することにより構成されており、
図8(b)および(c)に示すように、第二梁材32の上に配置される基部片53と、基部片53の側端部から折曲されて第二梁材32の頭部35の側面に添設される一対の垂下片54,54と、一方の垂下片54,54の第一梁材31側の先端部から一側方に向かって張り出し第一梁材31の頭部35の側面に取り付けられる取付片55と、他方の垂下片54の第一梁材31側先端部から他側方に向かって張り出し第一梁材31の頭部35の側面に添設される添設片56とを備えている。
【0035】
基部片53は、第二梁材32の上端部にボルト71を介して固定されている。本実施形態では、基部片53を第二連結板材42の上に重ねた状態で、基部片53および第二連結板材42に挿通しボルト71を第二梁材32の頭部35の上向き開口溝36に設けられた板ナット72に螺着することにより、基部片53を第二梁材32に固定する。
図9(a)に示すように、基部片53には、第一連結板材41の貫通孔に対応する位置に、ボルト71を挿通可能な貫通孔57が形成されている。
【0036】
垂下片54は、基部片53の縁部において折り曲げることにより形成されている。第二連結金具52は、基部片53と一対の垂下片54,54により門型状(下側が開口するコ字状)を呈している。
【0037】
取付片55は、一方の垂下片54の第一梁材31側の端部において、側方(一方)に折り曲げることにより形成されている。
図8(b)に示すように、取付片55には、複数(本実施形態では2か所)の貫通孔57,57が形成されている。取付片55は、
図8(a)に示すように、第一梁材31の頭部35の側面に当接した状態で、複数(本実施形態では2本)のビスを螺着することにより第一梁材31の頭部35に固定される。
【0038】
添設片56は、
図9(a)に示すように、他方の垂下片54の第一梁材31側の端部において、側方(他方)に折り曲げることにより形成されている。添設片56は、
図8(a)に示すように、第一梁材31の頭部35の側面に当接している。
【0039】
図8(b)に示すように、下部連結部材6は、第一梁材32の水平部33と、第二梁材32の垂直部34(下向き開口溝37)とを連結している。なお、L字接合部の下部連結部材6の詳細は、十字接合部の下部連結部材6と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施形態の吊り天井構造1によれば、連結金具5により、梁材3の上面と頭部35の側面において梁材3同士を連結するため、複数の金具を使用する従来の吊り天井構造に比べて施工性に優れている。また、連結金具5は、比較的簡易な構造のため、製造しやすい。そのため、比較的安価に連結金具5を製造することができ、費用の低減化を図ることができる。
【0041】
梁材3同士が十字状に連結される部分では、第一梁材31を挟んで対向する第二梁材32同士を、1枚の連結板材4により連結するとともに、第一連結金具51を介して両第二梁材32を第一梁材31に連結することで、第二梁材32,32に連続性を確保し、応力伝達性を確保している。また、吊り天井構造1に大きな荷重が作用し、第二板ナット76を介して第一梁材31の爪部38,38に上向きの力が作用しても、第一連結板材41により押さえられるので、爪部38,38の変形(第二板ナット76の抜けだし)を防止することができる。
【0042】
また、梁材3同士がT字状またはL字状に連結される部分では、第二連結板材42の先端部が折曲されていて、第一梁材31に係止されているため、第一梁材31と第二梁材32との接合部におけるガタツキを抑制できる。
【0043】
また、第一連結金具51の一対の取付片55,55を第一梁材31の頭部35の側面に固定し、基部片53を第二梁材32の頭部35の上面に固定するため、梁材3同士が頭部35において固定される。そのため、吊り材2に大きな引張荷重が作用しても、頭部35同士の間の隙間が広がるような変形を抑制できる。
【0044】
また、第二連結金具52の取付片55を第一梁材31の頭部35の側面に添設した状態で、複数のビスにより固定し、基部片53を第二梁材32の頭部35の上面に固定するため、梁材3同士が頭部35において固定される。そのため、吊り材2に大きな引張荷重が作用しても、頭部35同士の間の隙間が広がるような変形を抑制できる。また、添設片56が第一梁材31の頭部側面に添設されているため、吊り天井構造1に地震時等の揺れが作用した場合であっても、角部における変形が抑制されている。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、梁材3の形状は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。例えば、垂直部や水平部は必ずしも中空である必要はない。
【0046】
また、前記実施形態では、第一連結金具51の取付片55を1本のビス73で第一梁材31の頭部に固定し(
図3(c)、
図6(c)参照)、第二連結金具52の取付片55を2本のビス73で第一梁材31の頭部35に固定したが(
図8(c)参照)、ビスの本数は限定されるものではない。なお、第一連結金具51と第一梁材31に固定する際に使用するビスの本数の合計(左右の取付片55,55の固定に使用するビスの本数の合計)と、第二連結金具52を第一梁材31に固定する際のビスの本数は、同数であるのが望ましい。
【0047】
第一梁材31を一対の第二梁材32,32で挟むことによりT字状に第一梁材31および第二梁材32,32が連結される場合(
図1におけるD部分)には、連結板材4として第一連結板材41を使用するとともに連結金具5として第二連結金具52を使用すればよい。
【0048】
前記実施形態では、十字接合部では、第一梁材31の頭部に吊り材2が固定されていて、T字接合部およびL字接合部では第一梁材31の頭部にボルト71が固定されている場合について説明したが、第一梁材31の頭部に固定する治具は限定されるものではない。例えば、十字接合部において、第一梁材31の頭部にボルト71を固定してもよい。また、T字接合部やL字接合部において、第一梁材31の頭部に吊り材2を固定してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 吊り天井構造
2 吊材
3 梁材
31 第一梁材
32 第二梁材
4 連結板材
41 第一連結板材
42 第二連結板材
5 連結金具
51 第一連結金具
52 第二連結金具
53 基部片
54 垂下片
55 取付片
56 添設片