(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060497
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】身体を動かしてロボットを制御するリハビリテーションシステム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20240424BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
A63B69/00 A
B25J3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167903
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】山子 剛
(72)【発明者】
【氏名】帖佐 悦男
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707BS27
3C707JS01
3C707JT06
3C707JT07
3C707KS11
3C707KT03
3C707KT06
3C707LT06
3C707LV20
3C707MS10
3C707MT11
(57)【要約】
【課題】身体を動かしてロボットを制御することにより、楽しく意欲的にリハビリテーションを行うことができるリハビリテーションシステムを提供する。
【解決手段】多関節ロボット60と、使用者20の部位の動作量を測定するモーションキャプチャ30と、動作量を入力して多関節ロボット60に移動信号を送信する制御装置40と、から構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多関節ロボットと、
使用者の部位の動作量を測定するモーションキャプチャと、
前記動作量を入力して、前記多関節ロボットに移動信号を送信する制御装置とを備え、
前記制御装置は、測定された前記動作量に対応する前記多関節ロボットの移動量を前記使用者に応じて算出し前記移動信号として送信できることを特徴とするリハビリテーションシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、動作量を、健常者と同等の関節可動域に増幅により変更した前記移動量を前記移動信号とすることを特徴とする請求項1に記載のリハビリテーションシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、算出された前記多関節ロボットの前記移動量を、前記使用者の関節可動域に応じて複数段階に変更した内の1つを前記移動信号とすることを特徴とする請求項1に記載のリハビリテーションシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、使用者ごとの部位の関節可動域に応じて前記多関節ロボットの移動量を算出し、この移動量を記憶することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリハビリテーションシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、使用者の一の部位の動作量から該使用者の他の動作量を予測し、前記一の部位の動作量に対応する前記多関節ロボットの複数の部位の移動量を算出し、前記移動信号として送信できることを特徴とする請求項4に記載のリハビリテーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肢体不自由者のリハビリテーションに用いられる、ロボットを利用したリハビリテーション支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院や老人福祉施設等では、患者や高齢者のリハビリテーションを支援するため、人型ロボットの導入が行われている。
【0003】
このような技術として、例えば、特許文献1に示されるような人型ロボットが開発されている。特許文献1に示される人型ロボットは、鉛直方向に対し胴体の左右方向の軸の周りに所定の鋭角だけ傾いている肩ヨー軸を有することにより、ロボットの正面から見たユーザに対し、肩ヨー軸の回転で肩の上下運動を表現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-52710号公報(第5頁~第9頁、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される人型ロボットは、人間の動きに近い動作を表現できるため、人型ロボットが体操を実演し患者や高齢者がその体操を真似ることによるリハビリテーションにおいて、インストラクターとしての活用ができる点で有効である。しかしながら、関節可動域が制限されている肢体不自由者は、人型ロボットの動作に合わせて身体を動かすことが難しいことから、人型ロボットをインストラクターとしたリハビリテーションを行う意欲を持てない場合が多いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、身体を動かしてロボットを制御することにより、楽しく意欲的にリハビリテーションを行うことができるリハビリテーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のリハビリテーションシステムは、
多関節ロボットと、
使用者の部位の動作量を測定するモーションキャプチャと、
前記動作量を入力して、前記多関節ロボットに移動信号を送信する制御装置とを備え、
前記制御装置は、測定された前記動作量に対応する前記多関節ロボットの移動量を前記使用者に応じて算出し前記移動信号として送信できることを
特徴としている。
この特徴によれば、多関節ロボットの移動量を肢体不自由者の関節可動域以上の移動量に変更することにより、肢体不自由者が自分ではできない身体の動作を多関節ロボットに実演させることができるため、肢体不自由者が楽しく意欲的にリハビリテーションに取り組むことができる。
【0008】
前記制御装置は、動作量を、健常者と同等の関節可動域に増幅により変更した前記移動量を前記移動信号とすることを特徴としている。
この特徴によれば、多関節ロボットの移動量を健常者と同等の移動量に変更することにより、肢体不自由者が健常者と同じ動作を多関節ロボットに実演させることができる。例えば、肢体不自由者と健常者とがそれぞれの多関節ロボットを対戦させることによるリハビリテーションを行うことができる。
【0009】
前記制御装置は、算出された前記多関節ロボットの前記移動量を、前記使用者の関節可動域に応じて複数段階に変更した内の1つを前記移動信号とすることを特徴としている。
この特徴によれば、多関節ロボットの移動量を段階的に設定できるため、肢体不自由者の関節可動域のステップアップを目的としたリハビリテーションを行うことができる。
【0010】
前記制御装置は、使用者ごとの部位の関節可動域に応じて前記多関節ロボットの移動量を算出し、この移動量を記憶することを特徴としている。
この特徴によれば、複数の使用者それぞれに対応した多関節ロボットの移動量を設定できるため、複数の使用者間で一の多関節ロボットを共用することができる。また、同じ使用者が都度初期設定を行う必要がなくなる。
【0011】
前記制御装置は、使用者の一の部位の動作量から該使用者の他の動作量を予測し、前記一の部位の動作量に対応する前記多関節ロボットの複数の部位の移動量を算出し、前記移動信号として送信できることを特徴としている。
この特徴によれば、使用者の特定の部位の関節を動かせないことにより特定の部位の動作量から移動量を算出できなくても、別の部位の関節の動作量から特定の部位の関節の移動量を算出することができるため、多関節ロボットの複数の関節を動かし健常者に近い動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1における身体を動かしてロボットを制御するリハビリテーションシステムを示す模式図である。
【
図2】実施例1における身体を動かしてロボットを制御するリハビリテーションシステムを示すブロック図である。
【
図3】実施例1における初期設定(使用者の修正係数算出)のフローチャートを示す図である。
【
図4】実施例1におけるリハビリテーション実施のフローチャートを示す図である。
【
図5】実施例1における表示装置に表示されるモード選択画面を示す図である。
【
図6】実施例1における表示装置に表示される初期設定(修正係数算出)モード画面を示す図である。
【
図7】実施例1における表示装置に表示されるリハビリテーションモード画面を示す図である。
【
図8】本発明の実施例2における表示装置に表示されるモード選択画面を示す図である。
【
図9】実施例2における表示装置に表示される初期設定(修正係数選択モード)画面を示す図である。
【
図10】本発明の実施例3における表示装置に表示される使用者ID・パスワード入力画面を示す図である。
【
図11】実施例3における表示装置に表示される使用者専用画面を示す図である。
【
図12】本発明の実施例4における表示装置に表示される初期設定(修正係数算出)モード画面を示す図である。
【
図13】実施例4における健常者モデルの関節の動作パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る身体を動かしてロボットを制御するリハビリテーションシステム(以下、リハビリテーションシステムと表記する。)を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0014】
実施例1に係るリハビリテーションシステムにつき、
図1から
図7を参照して説明する。以下、
図1の正面から見て左側を使用者および多関節ロボットの右側として説明する。
【0015】
本発明のリハビリテーションシステムは、肢体不自由者のリハビリテーションに適用され、モーションキャプチャで測定した肢体不自由者の動作量から多関節ロボットの移動量を算出し、移動量を移動信号として多関節ロボットに送信することで、肢体不自由者ができない身体の動作を多関節ロボットに実演させるものである。
【0016】
図1に示されるように、リハビリテーションシステム1は、使用者20の動きを測定するモーションキャプチャ30と、使用者20の動きに応じて多関節ロボット60を制御する制御装置40と、表示装置50と、多関節ロボット60と、から主に構成されている。モーションキャプチャ30、表示装置50、多関節ロボット60は、有線または無線の回線を介して制御装置40に接続されている。
【0017】
図1に示されるように、モーションキャプチャ30はマーカレス式のものであり、使用者20の動作を検出するカメラ31と、カメラ31からの出力信号に基づいて使用者20の動作量を算出する処理装置32とから構成される。ここで、動作量とは、使用者20の各部位の三次元座標、回転位相から算出した各関節の屈曲角度、捩じり角度、三次元位置である。
【0018】
図1に示されるように、制御装置40は汎用のパーソナルコンピュータである。
図2に示されるように、制御装置40は、動作量記憶部401と、関節データ記憶部402と、修正係数演算部403と、修正係数記憶部404と、移動量演算部405と、移動量記憶部406と、通信部407と、から構成されている。これらの各構成部は、制御装置40が備えるハードウェアやソフトウェア等によって構成されている。
【0019】
動作量記憶部401は、モーションキャプチャ30を構成する処理装置32から入力された使用者20の各関節の動作量を記憶する。
【0020】
関節データ記憶部402は、健常者の各関節の関節可動域や、多関節ロボット60の各関節の関節可動域やリンク長等を記憶する。関節可動域とは、ある関節において動かすことのできる角度範囲をいい、(最大関節角度-最小関節角度)により算出される。例えば、肘関節を屈曲する場合、掌を上に向けて前腕・上腕を水平に伸ばした状態の水平軸と前腕との間の角度が最小関節角度であり、前腕を最大限屈曲させた状態の水平軸と前腕との間の角度が最大関節角度となる。以下、肘関節を屈曲したときの関節可動域を、肘関節の屈曲角度の関節可動域という。一般的に肘関節の屈曲角度の関節可動域は、健常者で145°である。
【0021】
修正係数演算部403は、使用者20の動作量から多関節ロボット60の移動量を算出するための修正係数を算出する。ここで、移動量とは、多関節ロボット60に動作させたい各関節の関節角度であり、以下、多関節ロボット60が肘関節を伸長状態から屈曲したときの移動量を、肘関節の屈曲角度の移動量という。また、修正係数とは、健常者の一の関節の関節可動域を、対応する使用者20の一の関節の関節可動域で除した値であり、以下、肘関節を屈曲したときの修正係数を、肘関節の屈曲角度の修正係数という。具体的には、健常者の肘関節の屈曲角度の関節可動域が145°であり、使用者20の肘関節の屈曲角度の関節可動域が40°である場合、使用者20の肘関節の屈曲角度の修正係数は145°/40°により3.6となる。
【0022】
修正係数記憶部404は、算出された各関節の修正係数を記憶する。
【0023】
移動量演算部405は、動作量記憶部401に記憶された動作量と修正係数記憶部404に記憶された修正係数とから、移動量を算出する。移動量は、使用者20の一の関節の動作量に、対応する使用者20の一の関節の修正係数を乗ずることにより算出される。具体的には、使用者20の肘関節の屈曲角度の動作量が30°,使用者20の肘関節の屈曲角度の修正係数が2.5である場合、使用者20の肘関節の屈曲角度の移動量は30°×2.5により75°となる。
【0024】
移動量記憶部406は、算出された各関節の移動量を記憶する。
【0025】
通信部407は、移動量記憶部406に記憶された各関節の移動量を移動信号に変換し多関節ロボット60に送信する。
【0026】
図1に示されるように、表示装置50は汎用パーソナルコンピュータのディスプレイである。表示装置50には初期設定画面やリハビリテーション時の動作量、移動量等が表示される。本実施例1では、表示装置50として汎用コンピュータのディスプレイを用いているが、これに限らず、例えばタブレット、スマートフォン等のモバイル機器を用いてもよい。
【0027】
図1に示されるように、多関節ロボット60は複数の関節を有する人型のロボット(ヒューマノイドロボット)である。多関節ロボット60の内部には駆動装置が組み込まれており、制御装置40からの指示によって様々な動作を行う。多関節ロボット60に実演させる動作としては、例えば、上肢の各関節の屈曲・伸展、下肢の各関節の屈曲・伸展、歩行等、主に肢体不自由者のリハビリテーションにおいて行われる動作が想定されるが、これらの動作に限られない。
【0028】
次に、実施例1に係るリハビリテーションシステム1の使用方法について説明する。なお、実施例1では、説明を単純化するため、複数の動作量の内、伸長状態から屈曲させた肘関節の屈曲角度を例に説明する。使用者20は、まず、初期設定を行った後、リハビリテーションを行う。
【0029】
図3は、使用者20の修正係数算出の一連の処理を示すフローチャートである。
図3のフローチャートに沿って修正係数の算出方法を説明する。まず使用者20は、表示装置50に表示されたモード選択画面500(
図5参照)から、初期設定(修正係数算出)モードボタンP1を選択し操作する(S1)。これにより、表示装置50には初期設定(修正係数算出)モード画面510(
図6参照)が表示される。
【0030】
次に、使用者20は、初期設定(修正係数算出)モード画面510に表示されている開始ボタンP3を操作する(S2)。これにより、使用者20の各関節の修正係数の算出が可能になる。
【0031】
次に、使用者20は、モーションキャプチャ30を構成するカメラ31の前で所定の動作を行い、各関節の動作量を測定する(S3)。所定の動作とは、使用者20の各関節の関節可動域が測定できる動作をいう。例えば、掌を上に向けて上肢を前方に伸ばし、肘関節を最小関節角度から最大関節角度まで屈曲させる動作が挙げられるが、関節可動域が測定できればその内容は特に限られない。カメラ31は、使用者20の動作を検出し処理装置32に信号を出力する。処理装置32は入力された信号から、使用者20の各関節の動作量を算出する。
【0032】
次に、モーションキャプチャ30を構成する処理装置32は、算出した使用者20の各関節の動作量を制御装置40に出力し、動作量記憶部401に記憶する(S4)。
【0033】
次に、修正係数演算部403は、動作量記憶部401に記憶された各関節の動作量から対応する各関節の関節可動域を算出する(S5)。なお、本実施例では説明の単純化のため、最小関節角度は0°である場合を例に説明する。また、使用者によっては、最小関節角度が0°よりも大きな角度である場合もあるが、その場合、最小関節角度を0°に修正した上で関節可動域を算出するものとする。具体的には、肘関節の屈曲角度の最小関節角度が0°,最大関節角度が40°である場合、使用者20の肘関節の屈曲角度の関節可動域は40°となる。
【0034】
次に、修正係数演算部403は、算出した各関節の関節可動域と、関節データ記憶部402に記憶されている健常者の各関節の関節可動域とから、各関節の修正係数を算出する(S6)。関節の修正係数は、健常者の関節の関節可動域を、対応する使用者20の関節の関節可動域で除することにより算出される。具体的には、健常者の肘関節の屈曲角度の関節可動域が145°,使用者20の肘関節の屈曲角度の関節可動域が40°である場合、使用者20の肘関節の屈曲角度の修正係数は3.6となる。
【0035】
次に、各関節の最小関節角度、最大関節角度、関節可動域、修正係数のそれぞれの値が修正係数記憶部404に記憶される(S7)。
【0036】
次に、修正係数記憶部404に記憶された各関節の最小関節角度、最大関節角度、関節可動域、修正係数の値が、初期設定(修正係数算出)モード画面510にそれぞれ表示される(S8)。
図6に示されるように、初期設定(修正係数算出)モード画面510には、肘関節(屈曲)について、最小関節角度0°,最大関節角度40°,関節可動域40°,修正係数3.6がそれぞれ表示されている。ここで、肘関節(屈曲)とは、肘関節の屈曲角度を意味する。
【0037】
次に、初期設定(修正係数算出)モード画面510の決定ボタンP4を操作することにより(S9)、再びモード選択画面500が表示される(S10)。これにより、各関節の修正係数算出の一連の処理が終了する。
【0038】
次いで、リハビリテーションについて説明する。
図4は、リハビリテーションの一連の処理を示すフローチャートである。
図4のフローチャートに沿ってリハビリテーションの流れを説明する。まず、使用者20は、表示装置50に表示されたモード選択画面500から、リハビリテーションモードボタンP2を選択し操作する(S11)。これにより、表示装置50にはリハビリテーションモード画面520(
図7参照)が表示される。
【0039】
次に、リハビリテーションモード画面520に表示されている開始ボタンP5を操作する(S12)。これにより、使用者20の各関節の動作量の測定が可能になる。
【0040】
次に、使用者20は、モーションキャプチャ30を構成するカメラ31の前で例えば図示しないタブレット端末等の動画中のインストラクターによる動作を模して様々な動作を行う、これにより各関節の動作量が測定される(S13)。カメラ31は、使用者20の動作を検出し処理装置32に信号を出力する。処理装置32は入力された信号から、使用者20の各関節の動作量を算出する。
【0041】
次に、モーションキャプチャ30を構成する処理装置32は、算出した使用者20の各関節の動作量を制御装置40に出力し、動作量記憶部401に記憶する(S14)。
【0042】
次に、制御装置40に記憶された各関節の動作量は、リハビリテーションモード画面520に経時的に表示される(S15)。
図7に示されるように、リハビリテーションモード画面520には、時刻15.21.12から1秒間隔ごとに、肘関節の屈曲角度の動作量(実測値)20.0°,22.3°,24.5°が表示されている。
【0043】
次に、移動量演算部405は、動作量記憶部401に記憶された各関節の動作量から対応する各関節の移動量を算出する(S16)。各関節の移動量は、使用者20の各関節の動作量に、対応する使用者20の各関節の修正係数を乗じることにより算出される。なお、本実施例では説明の単純化のため、算出される移動量については複数の動作量の内、肘関節を例に説明し、また複数の動作量の内、伸長状態から屈曲させた屈曲角度を例に説明する。
【0044】
次に、算出された各関節の移動量は、移動量記憶部406に記憶される(S17)。
【0045】
次に、各関節の移動量は、リハビリテーションモード画面520に経時的に表示される(S18)。
図7に示されるように、リハビリテーションモード画面520には、時刻15.21.12から1秒間隔ごとに、肘関節の屈曲角度の移動量(指令値)72.0°,80.3°,88.2°が表示されている。
【0046】
次に、通信部407は、各関節の移動量を移動信号に変換して多関節ロボット60に送信する(S19)。多関節ロボット60は、移動信号を受信し、各関節の移動量が反映された動作を実演する(S20)。すなわち、多関節ロボット60は、使用者20である肢体不自由者の各関節の関節可動域以上の関節の動作を実演することができる。
【0047】
次に、リハビリテーションモード画面520の終了ボタンP6を操作することにより(S21)、再びモード選択画面500が表示される(S22)。これにより、リハビリテーションの一連の処理が終了する。
【0048】
なお、リハビリテーションの一連の処理において、カメラ31による使用者20の動作量の検出から多関節ロボット60の実演までの処理は、リアルタイムに行われる。
修正係数の選択が終了した場合は、修正係数選択モード画面610に表示されている決定ボタンP15を操作する。これにより、選択された各関節の修正係数が制御装置40の修正係数記憶部404に記憶されると共に、表示装置50に再びモード選択画面600が表示される。
モード選択画面600に表示されているリハビリテーションモードボタンP13を選択することにより、修正係数選択モード画面610で選択された各関節の修正係数を用いたリハビリテーションシステム1を使用することができる。