(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060502
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】電気接続構造
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20240424BHJP
【FI】
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167912
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 光一
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】第1部材と第2部材との間における電気的な接続の断絶を抑制する。
【解決手段】電気接続構造10では、シートバック16におけるボルト24の第1電極32とアームレスト20の第2電極52とが電気的に接続されており、アームレスト20が回転される際に、第1電極32に対し第2電極52が摺動されて、第1電極32と第2電極52との電気的な接続が維持される。このため、シートバック16とアームレスト20との間における電気的な接続の断絶を抑制できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートに設けられる第1部材と、
前記第1部材に対し中心軸を中心として回転可能にされる第2部材と、
前記中心軸に設けられる第1電極と、
前記第1電極と電気的に接続され、前記第2部材が回転される際に前記第1電極と相対摺動されて前記第1電極との電気的な接続が維持される第2電極と、
を備える電気接続構造。
【請求項2】
前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方が前記第2部材の回転方向に延在される請求項1記載の電気接続構造。
【請求項3】
前記第2電極が設けられ、前記中心軸が嵌合される嵌合部材を備える請求項1又は請求項2記載の電気接続構造。
【請求項4】
前記嵌合部材の弾性縮径力により前記嵌合部材に前記中心軸が嵌合される請求項3記載の電気接続構造。
【請求項5】
前記嵌合部材の径方向外側から前記嵌合部材内に前記中心軸が挿入可能にされる請求項3記載の電気接続構造。
【請求項6】
前記第1電極が設けられ、前記中心軸に取り付けられる取付部材を備える請求項1又は請求項2記載の電気接続構造。
【請求項7】
前記第1電極及び前記第2電極の一方が凹部に設けられると共に、前記第1電極及び前記第2電極の他方が突出されて前記凹部に挿入される請求項1又は請求項2記載の電気接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの第1部材と第2部材との間における電気接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両用シートでは、シートバックに対しアームレストが回転可能にされており、シートバックとアームレストとの間がワイヤーハーネスによって電気的に接続されている。
【0003】
ここで、このような車両用シートでは、シートバックとアームレストとの間における電気的な接続の断絶を抑制できるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、第1部材と第2部材との間における電気的な接続の断絶を抑制できる電気接続構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の電気接続構造は、車両用シートに設けられる第1部材と、前記第1部材に対し中心軸を中心として回転可能にされる第2部材と、前記中心軸に設けられる第1電極と、前記第1電極と電気的に接続され、前記第2部材が回転される際に前記第1電極と相対摺動されて前記第1電極との電気的な接続が維持される第2電極と、を備える。
【0007】
本発明の第1態様の電気接続構造では、車両用シートに第1部材が設けられており、第1部材に対し第2部材が中心軸を中心として回転可能にされる。
【0008】
ここで、中心軸に第1電極が設けられると共に、第1電極と第2電極とが電気的に接続されており、第2部材が回転される際に、第1電極と第2電極とが相対摺動されて、第1電極と第2電極との電気的な接続が維持される。このため、第1部材と第2部材との間における電気的な接続の断絶を抑制できる。
【0009】
本発明の第2態様の電気接続構造は、本発明の第1態様の電気接続構造において、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方が前記第2部材の回転方向に延在される。
【0010】
本発明の第2態様の電気接続構造では、第1電極及び第2電極の少なくとも一方が第2部材の回転方向に延在される。このため、第2部材が回転される際に、第1電極と第2電極との電気的な接続を維持できる。
【0011】
本発明の第3態様の電気接続構造は、本発明の第1態様又は第2態様の電気接続構造において、前記第2電極が設けられ、前記中心軸が嵌合される嵌合部材を備える。
【0012】
本発明の第3態様の電気接続構造では、嵌合部材に第2電極が設けられており、嵌合部材に中心軸が嵌合される。このため、嵌合部材に中心軸を嵌合することで、第1電極と第2電極とを電気的に接続できる。
【0013】
本発明の第4態様の電気接続構造は、本発明の第3態様の電気接続構造において、前記嵌合部材の弾性縮径力により前記嵌合部材に前記中心軸が嵌合される。
【0014】
本発明の第4態様の電気接続構造では、嵌合部材の弾性縮径力により嵌合部材に中心軸が嵌合される。このため、第1電極と第2電極とを容易に電気的に接続できる。
【0015】
本発明の第5態様の電気接続構造は、本発明の第3態様の電気接続構造において、前記嵌合部材の径方向外側から前記嵌合部材内に前記中心軸が挿入可能にされる。
【0016】
本発明の第5態様の電気接続構造では、嵌合部材の径方向外側から嵌合部材内に中心軸が挿入可能にされる。このため、嵌合部材に中心軸を容易に嵌合できる。
【0017】
本発明の第6態様の電気接続構造は、本発明の第1態様又は第2態様の電気接続構造において、前記第1電極が設けられ、前記中心軸に取り付けられる取付部材を備える。
【0018】
本発明の第6態様の電気接続構造では、取付部材に第1電極が設けられており、取付部材が中心軸に取り付けられる。このため、中心軸に第1電極を容易に設けることができる。
【0019】
本発明の第7態様の電気接続構造は、本発明の第1態様又は第2態様の電気接続構造において、前記第1電極及び前記第2電極の一方が凹部に設けられると共に、前記第1電極及び前記第2電極の他方が突出されて前記凹部に挿入される。
【0020】
本発明の第7態様の電気接続構造では、第1電極及び第2電極の一方が凹部に設けられると共に、第1電極及び第2電極の他方が突出されて凹部に挿入される。このため、凹部に第1電極及び第2電極の他方を挿入することで、第1電極と第2電極とを容易に電気的に接続できる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の電気接続構造では、第1部材と第2部材との間における電気的な接続の断絶を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態における車両用シートを示す前方かつ右方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る電気接続構造を示す上方から見た概略図である。
【
図3】(A)及び(B)は、
図2の電気接続構造のアームレストを示す右方から見た概略図であり、(A)は、アームレストが展開された際を示し、(B)は、アームレストが格納された際を示している。
【
図4】(A)及び(B)は、
図2の電気接続構造のボルトを示す概略図であり、(A)は、上方から見た図であり、(B)は、(A)のB-B線断面図である。
【
図5】(A)~(C)は、
図2の電気接続構造の主要部を示す概略図であり、(A)は、ボルト及びクランプを示す斜視図であり、(B)は、クランプを示す側面図であり、(C)は、第1電極及び第1電線を示す展開図である。
【
図6】
図2の電気接続構造の組み付け状況を示す上方から見た概略図である。
【
図7】(A)~(C)は、
図2の電気接続構造の組み付け状況を示す右方から見た概略図であり、(A)は、組み付け前を示し、(B)は、組み付け途中を示し、(C)は、組み付け後を示している。
【
図8】(A)及び(B)は、
図2の電気接続構造の第1変形例を示す図であり、(A)は、前方かつ左方から見た斜視図であり、(B)は、内部を示す上方から見た概略図である。
【
図9】(A)及び(B)は、
図8の電気接続構造を示す前方かつ左方から見た斜視図であり、(A)は、内部を示し、(B)は、シートバックフレーム及びボルトを示している。
【
図10】(A)~(C)は、
図8の電気接続構造を示す図であり、(A)は、ボルトを示す前方かつ左方から見た斜視図であり、(B)は、樹脂カバー等を示す前方かつ左方から見た斜視図であり、(C)は、樹脂カバー等を示す後方かつ右方から見た斜視図である。
【
図11】(A)及び(B)は、
図8の電気接続構造の組み付け状況を示す左側から見た斜視図であり、(A)は、組み付け前を示し、(B)は、組み付け後を示している。
【
図12】(A)及び(B)は、
図2の電気接続構造の第2変形例におけるボルトを示す概略図であり、(A)は、組み付け前を示し、(B)は、組み付け後を示している。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る電気接続構造の組み付け状況を示す上方から見た概略図である。
【
図14】(A)~(C)は、
図13の電気接続構造の組み付け状況を示す上方から見た概略図であり、(A)は、組み付け第1段階を示し、(B)は、組み付け第2段階を示し、(C)は、組み付け後を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
【0024】
図1には、本発明の第1実施形態に係る電気接続構造10が適用された車両用シート12が前方かつ右方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、車両用シート12の前方を矢印FRにて示し、車両用シート12の左方を矢印LHにて示し、車両用シート12の上方を矢印UPにて示している。
【0025】
本実施形態における車両用シート12は、車両(自動車)の車室の右側部分に設けられており、車両用シート12の前方、左方及び上方は、それぞれ車両の前方、左方(車幅方向内方)及び上方に向けられている。
【0026】
図1に示されるように、車両用シート12の下部には、シートクッション14が設けられると共に、シートクッション14の後端部の上側には、第1部材としてのシートバック16が設けられており、シートバック16のシートクッション14に対する前後方向への傾動位置(回転位置)は、調整可能にされている。シートバック16の上側には、ヘッドレスト18が設けられており、ヘッドレスト18のシートバック16に対する前後方向への傾動位置(回転位置)は、調整可能にされている。
【0027】
シートバック16の車幅方向内側である左側には、第2部材としての略直方体形箱状のアームレスト20が設けられており、シートバック16及びアームレスト20は、電気接続構造10を構成している。
【0028】
車両用シート12に着座者が着座した際には、シートクッション14が着座者の臀部及び太腿部を支持し、シートバック16が着座者の背部を支持し、ヘッドレスト18が着座者の頭部を支持し、アームレスト20が着座者の腕部を支持する。
【0029】
シートバック16内には、シートバックフレーム22(
図2参照)が設けられており、シートバックフレーム22は、金属製にされて、シートバック16の骨格を構成している。
【0030】
シートバックフレーム22の左部には、中心軸としての金属製で略円柱状のボルト24(
図4の(A)及び(B)参照)が固定されており、ボルト24は、右端部が拡径されると共に、シートバックフレーム22左部の左壁に右側から貫通されている。ボルト24は、シートバックフレーム22から左方に延出されて、シートバック16の左方に延出されており、ボルト24の左側部分は、同軸上に縮径されている。ボルト24の右側部分には、断面矩形状の電線溝26が形成されており、電線溝26は、ボルト24の軸方向(左右方向)に延在されている。電線溝26は、ボルト24の右端部を貫通して右側に開放されており、電線溝26は、ボルト24の右端部以外においてボルト24の径方向外側に開放されると共に、左側に開放されている。
【0031】
ボルト24の左側部分は、取付部材としての円筒状の樹脂カバー28(
図5(A)参照)内に嵌合されており、樹脂カバー28は、ボルト24に固定される(取り付けられる)と共に、樹脂製にされて、絶縁体にされている。樹脂カバー28の外周面には、断面矩形状の凹部30が一対形成されており、一対の凹部30は、それぞれ樹脂カバー28の周方向に延在されると共に、樹脂カバー28の軸方向(左右方向)において互いに離間されている。各凹部30の底面には、金属製(例えばアルミニウム製又は銅製)でテープ状の第1電極32(導体、
図5(C)参照)が貼付されており、第1電極32は、樹脂カバー28の周方向に延在されると共に、樹脂カバー28の外周面(凹部30の開口面)より径方向内側に配置されている。
【0032】
各第1電極32の一端には、第1配線としての第1電線34(
図5(C)参照)の一端が例えば半田付けにより電気的に接続されており、第1電線34は、ボルト24の電線溝26に挿通されて、ボルト24の右側に延出されている。電線溝26には、固化部としての固化剤36(例えばシリコン接着剤)が流し込まれて固化されており、固化剤36は、一対の第1電線34の電線溝26における位置を固定している。固化剤36は、絶縁体にされており、固化剤36は、一対の第1電線34の導通及び各第1電線34とボルト24との導通を制限している。
【0033】
一対の第1電線34の他端は、第1コネクタ38に電気的に接続されており、一対の第1電極32は、一対の第1電線34及び第1コネクタ38を介して、車両側の第1電気機器としての電源(図示省略)に電気的に接続されている。
【0034】
シートバックフレーム22左部の左壁には、ボルト24の前側から上側において、長尺の規制孔40(
図3(A)参照)が貫通形成されており、規制孔40は、ボルト24を中心とする円弧状に湾曲されると共に、シートバック16の左側に露出されている。
【0035】
アームレスト20(
図2参照)内には、アームレストフレーム42が設けられており、アームレストフレーム42は、金属製にされて、アームレスト20の骨格を構成している。アームレストフレーム42には、一対の支持部42Aが一体に設けられており、支持部42Aは、アームレスト20内の後部の左部と右部とにおいて、左右方向に垂直に配置されている。
【0036】
アームレスト20の後部には、右側からシートバックフレーム22のボルト24が貫通されており、ボルト24は、一対の支持部42Aを貫通している。ボルト24の左端部には、ナット44が螺合されており、ナット44がアームレスト20の左側への移動を規制して、アームレスト20がボルト24を中心として回転可能にされている。アームレスト20の右壁には、ボルト24の前側において、略円柱状の規制ピン46が固定されており、規制ピン46は、アームレスト20から右方に突出されている。規制ピン46は、シートバックフレーム22の規制孔40に挿入されており、規制ピン46は、規制孔40の下端に当接されている。これにより、アームレスト20の下側への回転が規制されており、アームレスト20は、後方に延出されて、展開位置に配置されている(
図3(A)参照)。アームレスト20が展開位置から上側に回転されて、規制ピン46が規制孔40の上端に当接された際には、アームレスト20が、上側への回転を規制されると共に、上方に延出されて格納位置に配置される(
図3(B)参照)。さらに、アームレスト20が格納位置から下側に回転されて、規制ピン46が規制孔40の下端に当接されることで、アームレスト20が展開位置に復帰される。
【0037】
アームレスト20内には、嵌合部材としての断面C字形板状のクランプ48(
図5の(A)及び(B)参照)が設けられており、クランプ48は、樹脂製にされて、絶縁体にされると共に、弾性を有している。クランプ48内には、ボルト24の樹脂カバー28が嵌合されており、クランプ48内は、後側に開放されている。また、クランプ48は、屈曲板状の固定ブラケット50を介して、アームレストフレーム42の支持部42Aに固定されている。
【0038】
クランプ48には、略矩形柱状の第2電極52が一対設けられており、第2電極52は、クランプ48にインサート成型により固定されて、クランプ48の径方向内側に突出されている。一方の第2電極52は、クランプ48の周方向一端部に配置されると共に、他方の第2電極52は、クランプ48の周方向他端部に配置されており、一対の第2電極52は、クランプ48の軸方向(左右方向)において互いに離間されている。第2電極52の先端部(突出先端部)は、断面三角形状にされており、第2電極52の先端部には、クランプ48の軸方向に対する斜面が形成されている。第2電極52は、樹脂カバー28の凹部30に挿入されており、第2電極52は、樹脂カバー28の第1電極32と接触されて電気的に接続されている。アームレスト20が展開位置から格納位置までの範囲で回転されて、クランプ48が回転される際には、第2電極52が第1電極32に対し摺動されて、第2電極52と第1電極32との電気的な接続が維持される。
【0039】
各第2電極52の一端には、第2配線としての第2電線54の一端が例えば半田付けにより電気的に接続されており、第2電線54は、クランプ48にインサート成型により固定されて、クランプ48の周方向に延在されている。一対の第2電線54は、クランプ48の周方向中央部(前部)から前側に延出されており、一対の第2電線54の他端は、第2電気機器としてのUSB端子56(
図2参照)に電気的に接続されている。USB端子56は、アームレスト20の前壁に貫通された状態で固定されており、USB端子56の端子部分は、アームレスト20の前側に露出されている。
【0040】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0041】
以上の構成の電気接続構造10が組み付けられる際には、シートバックフレーム22のボルト24がアームレスト20の後部に右側から貫通されて、ボルト24の左端部にナット44が螺合されることで、ボルト24にアームレスト20が回転可能に支持される(
図6参照)。さらに、アームレスト20内において、ボルト24の樹脂カバー28にクランプ48が前側から接近されて、クランプ48が樹脂カバー28によって弾性拡径された後に弾性縮径されることで、クランプ48内に樹脂カバー28が嵌合されて、樹脂カバー28の各第1電極32とクランプ48の各第2電極52とが電気的に接続される(
図7の(A)~(C)参照)。そして、クランプ48が固定ブラケット50を介してアームレストフレーム42の支持部42Aに固定される。
【0042】
このため、シートバック16とアームレスト20との間が電線によって電気的に接続される構成にされて電線の配索が必要な場合とは異なり、シートバック16とアームレスト20との組付性を向上できる。
【0043】
ここで、電気接続構造10では、シートバック16におけるボルト24(樹脂カバー28)の第1電極32とアームレスト20(クランプ48)の第2電極52とが電気的に接続されており、アームレスト20(クランプ48)が回転される際に、第1電極32に対し第2電極52が摺動されて、第1電極32と第2電極52との電気的な接続が維持される。このため、シートバック16とアームレスト20との間が電線によって電気的に接続される構成にされてアームレスト20の回転により電線が変形される場合とは異なり、シートバック16とアームレスト20との間における電気的な接続の断絶を抑制できる。
【0044】
さらに、第1電極32がボルト24の周方向(アームレスト20の回転方向)に延在されている。このため、アームレスト20が回転されて第2電極52が回転される際に、第1電極32と第2電極52との電気的な接続を維持できる。
【0045】
また、クランプ48内にボルト24(樹脂カバー28)が嵌合されている。このため、クランプ48内にボルト24を嵌合することで、ボルト24の第1電極32とクランプ48の第2電極52とを電気的に接続できる。
【0046】
さらに、クランプ48の弾性縮径力によりクランプ48内にボルト24が嵌合されている。このため、ボルト24の第1電極32とクランプ48の第2電極52とを容易に電気的に接続できる。
【0047】
しかも、クランプ48が断面C字状にされて、クランプ48の径方向外側からクランプ48内にボルト24が挿入されている。このため、クランプ48内にボルト24を容易に嵌合できる。
【0048】
また、樹脂カバー28に第1電極32が設けられており、樹脂カバー28がボルト24に取り付けられている。このため、ボルト24に第1電極32を容易に設けることができる。しかも、樹脂カバー28が絶縁体にされることで、ボルト24に第1電極32が導通することを抑制できる。
【0049】
さらに、樹脂カバー28の凹部30の底面に第1電極32が設けられると共に、クランプ48の第2電極52がクランプ48の径方向内側に突出されて凹部30に挿入されている。このため、凹部30に第2電極52を挿入することで、第1電極32と第2電極52とを容易に電気的に接続できる。
【0050】
(第1変形例)
【0051】
図8~
図11には、上記第1実施形態の第1変形例に係る電気接続構造70が概略図にて示されている。
【0052】
本変形例に係る電気接続構造70では、ボルト24(
図10(A)参照)の右端部において電線溝26がボルト24の径方向外側に延出されており、ボルト24の右端部では、電線溝26がボルト24の径方向外側及び左側に開放されている。
【0053】
樹脂カバー28(
図10の(B)及び(C)参照)では、固化剤36部分が一体成形されており、樹脂カバー28の固化剤36部分の右端部は、ボルト24の径方向外側に延出されている。樹脂カバー28(固化剤36部分を含む)には、一対の第1電極32及び一対の第1電線34がインサート成型により固定されており、一対の第1電線34の他端は、ボルト24の径方向外側に延出されて、第1コネクタ38に電気的に接続されている。また、樹脂カバー28(固化剤36部分を含む)は、ボルト24に左側から装着されて固定されている(
図11(A)参照)。
【0054】
クランプ48は、上部及び下部において、ネジ(図示省略)によりアームレストフレーム42の支持部42Aに固定されている(
図9(A)、
図11の(A)及び(B)参照)。
【0055】
ここで、本変形例でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0056】
(第2変形例)
【0057】
図12の(A)及び(B)には、上記第1実施形態の第2変形例に係る電気接続構造80のボルト24が概略図にて示されている。
【0058】
図12の(A)及び(B)に示されるように、本変形例に係る電気接続構造80では、ボルト24に電線溝26が形成されておらず、ボルト24の右部以外の部分は、同軸上に縮径されている。ボルト24の樹脂カバー28は、軸方向(左右方向)寸法が大きくされており、樹脂カバー28には、一対の第1電極32及び一対の第1電線34がインサート成型により固定されている。
【0059】
ここで、本変形例でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0060】
さらに、ボルト24に電線溝26が形成されていない。このため、ボルト24の構成を簡単にでき、コストを低減できる。
【0061】
[第2実施形態]
【0062】
図13には、本発明の第2実施形態に係る電気接続構造90の組み付け状況が上方から見た概略図にて示されている。
【0063】
図13に示されるように、本実施形態に係る電気接続構造90が組み付けられる際には、アームレスト20内において、クランプ48が固定ブラケット50を介してアームレストフレーム42の支持部42Aに固定される。さらに、シートバックフレーム22のボルト24がアームレスト20の後部に右側から貫通されて、ボルト24の左端部にナット44が螺合されることで、ボルト24にアームレスト20が回転可能に支持される。また、ボルト24がアームレスト20の後部に貫通される際には、ボルト24の樹脂カバー28がクランプ48内に右側(軸方向外側)から挿入されることで、クランプ48が樹脂カバー28によって弾性拡径されて、樹脂カバー28の外周面がクランプ48の各第2電極52の先端部に対し摺動される(
図14の(A)及び(B)参照)。そして、各第2電極52が樹脂カバー28の各凹部30に挿入されて、クランプ48が弾性縮径されることで、各第2電極52が各第1電極32と電気的に接続される(
図14(C)参照)。
【0064】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0065】
特に、ボルト24がクランプ48内に軸方向外側から挿入される際には、クランプ48の第2電極52が樹脂カバー28の凹部30に挿入されて、第2電極52が凹部30内の第1電極32と電気的に接続される。このため、第1電極32と第2電極52とを容易に電気的に接続できる。
【0066】
しかも、第2電極52の先端部に斜面が設けられている。このため、ボルト24がクランプ48内に軸方向外側から挿入される際には、第2電極52を凹部30に容易に挿入でき、第1電極32と第2電極52とを一層容易に電気的に接続できる。
【0067】
なお、上記第2実施形態において、ボルト24(樹脂カバー28を含む)の構成を上記第1変形例又は第2変形例と同様にしてもよい。
【0068】
また、上記第1実施形態(第1変形例及び第2変形例を含む)及び第2実施形態では、一対の第2電線54の他端がUSB端子56に電気的に接続される。しかしながら、一対の第2電線54の他端がモニタ又はタッチパネル(第2電気機器)に電気的に接続されてもよい。この場合、例えば、モニタ又はタッチパネルの画面がアームレスト20の外側(例えば上側)に露出されてもよい。
【0069】
さらに、上記第1実施形態(第1変形例及び第2変形例を含む)及び第2実施形態では、第1電線34がアームレスト20の回転方向に延在される。しかしながら、これと共に、又は、これに代えて、第2電線54がアームレスト20の回転方向に延在されてもよい。この場合、第1電線34が突出されると共に、クランプ48に凹部が設けられて凹部に第2電線54が設けられてもよい。
【0070】
また、上記第1実施形態(第1変形例及び第2変形例を含む)及び第2実施形態では、クランプ48がアームレスト20と一体にボルト24に対し回転される。しかしながら、ボルト24がアームレスト20と一体にクランプ48に対し回転されてもよい。この場合、例えば、ボルト24がシートバック16に回転可能に支持されると共に、クランプ48がシートバック16内に固定される。
【0071】
さらに、上記第1実施形態(第1変形例及び第2変形例を含む)及び第2実施形態では、シートバック16が第1部材にされると共に、アームレスト20が第2部材にされる。しかしながら、例えば、シートバック16が第1部材にされると共に、ヘッドレスト18が第2部材にされてもよく、また、シートクッション14が第1部材にされると共に、シートバック16が第2部材にされてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 電気接続構造
12 車両用シート
16 シートバック(第1部材)
20 アームレスト(第2部材)
24 ボルト(中心軸)
28 樹脂カバー(取付部材)
30 凹部
32 第1電極
48 クランプ(嵌合部材)
52 第2電極
70 電気接続構造
80 電気接続構造
90 電気接続構造