(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060506
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】接続構造及び接続構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/18 20060101AFI20240424BHJP
H01R 43/048 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H01R4/18 A
H01R43/048 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167920
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】三浦 聖
(72)【発明者】
【氏名】高村 瞭太
(72)【発明者】
【氏名】野内 健太郎
【テーマコード(参考)】
5E063
5E085
【Fターム(参考)】
5E063CB04
5E063CC06
5E085BB02
5E085BB12
5E085CC03
5E085DD07
5E085DD13
5E085FF13
5E085HH06
5E085JJ06
(57)【要約】
【課題】リッツ線と汎用のコネクタとの十分な導通と信頼性を確保した接続構造を提供する。または、リッツ線と汎用のコネクタとの十分な導通と信頼性を確保した接続構造の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る接続構造は、導体の外周面に絶縁皮膜が配置された複数の素線を有するリッツ線と、第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部がリッツ線の端部に配置され、第1の端部がリッツ線と電気的に接続する第1のコネクタと、第3の端部と第4の端部とを有し、第3の端部が第1のコネクタの第2の端部に配置され、第3の端部が第1のコネクタと電気的に接続する第2のコネクタと、を備え、リッツ線の端部において、複数の素線の少なくとも一部の導体が絶縁皮膜から露出し、露出した導体が第1の端部と電気的に接続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体の外周面に絶縁皮膜が配置された複数の素線を有するリッツ線と、
第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部が前記リッツ線の端部に配置され、前記第1の端部が前記リッツ線と電気的に接続する第1のコネクタと、
第3の端部と第4の端部とを有し、前記第3の端部が前記第1のコネクタの前記第2の端部に配置され、前記第3の端部が前記第1のコネクタと電気的に接続する第2のコネクタと、を備え、
前記リッツ線の端部において、前記複数の素線の少なくとも一部の前記導体が前記絶縁皮膜から露出し、露出した前記導体が前記第1の端部と電気的に接続する、接続構造。
【請求項2】
前記第1のコネクタの前記第1の端部は、前記リッツ線の端部を挿入可能な第1の孔を有し、
前記第1のコネクタの前記第2の端部は、前記第2のコネクタに接続可能な形状を有し、
前記第2のコネクタの前記第3の端部は、前記第1のコネクタの前記第2の端部を挿入可能な第2の孔を有する、請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記第2のコネクタは、第4の端部の内面に配置された金属層を有する、請求項1に記載の接続構造。
【請求項4】
前記第1のコネクタの前記第1の端部は、前記第2のコネクタの中心軸に交差して第1の距離を有する第1の方向と、前記中心軸に交差して前記第1の距離よりも長い第2の距離を有し、前記第1の方向と交差する第2の方向と、を有する、請求項1乃至3の何れか一に記載の接続構造。
【請求項5】
前記第2のコネクタの前記第3の端部は、前記第2のコネクタの中心軸に交差して第3の距離を有する第3の方向と、前記中心軸に交差して前記第3の距離よりも長い第4の距離を有し、前記第3の方向と交差する第4の方向と、を有する、請求項4に記載の接続構造。
【請求項6】
導体の外周面に絶縁皮膜が配置された複数の素線を有するリッツ線の端部を、第1のコネクタの第1の端部に配置された第1の孔に挿入し、
前記第1のコネクタの前記第1の端部を、前記絶縁皮膜の融点以上となる温度に加熱しながら、前記リッツ線の端部に前記第1の端部を加締め、
前記リッツ線の端部において、前記複数の素線の少なくとも一部の前記導体を前記絶縁皮膜から露出させ、露出した前記導体を前記第1の端部と電気的に接続し、
前記第1の端部とは反対側に配置された前記第1のコネクタの第2の端部を、第2のコネクタの第3の端部に配置された第2の孔に挿入し、
前記第1のコネクタの前記第2の端部に前記第2のコネクタの前記第3の端部を加締める、接続構造の製造方法。
【請求項7】
前記第2のコネクタは、第4の端部の内面に配置された金属層を有する、請求項6に記載の接続構造の製造方法。
【請求項8】
前記第1のコネクタの中心軸に対して、第1の方向に押圧しながら、前記第1のコネクタの前記第1の端部を加締め、
前記第1のコネクタの前記第1の端部は、前記第2のコネクタの中心軸に交差して第1の距離を有する前記第1の方向と、前記中心軸に交差して前記第1の距離よりも長い第2の距離を有し、前記第1の方向と交差する第2の方向と、を有する、請求項6又は7に記載の接続構造の製造方法。
【請求項9】
前記第2のコネクタの中心軸に対して、第3の方向に押圧しながら、前記第2のコネクタの前記第3の端部を加締め、
前記第2のコネクタの前記第3の端部は、前記第2のコネクタの中心軸に交差して第3の距離を有する第3の方向と、前記中心軸に交差して前記第3の距離よりも長い第4の距離を有し、前記第3の方向と交差する第4の方向と、を有する、請求項8に記載の接続構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、リッツ線とコネクタとの接続構造に関する。または、本発明の一実施形態は、リッツ線とコネクタとの接続構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ワイヤレス給電等に用いられるコイルユニットには、高周波を供給するためのケーブルの導体として、リッツ線が用いられている。リッツ線との導通を目的として専用コネクタが提案されている(特許文献1、2)。しかし、専用コネクタを用いると、設置するデバイスに対して汎用性が低下する懸念がある。
【0003】
そこで、汎用のコネクタをケーブルと接続した接続構造を構成することが考えられるが、ケーブルの端部にコネクタを配置するためには、リッツ線の端部の絶縁膜を除去する必要がある。リッツ線の端部の絶縁膜を除去するために、コネクタを加熱しながらリッツ線の端部を加締める方法が用いられている(特許文献3、4)。しかし、汎用のコネクタを加熱しながらリッツ線の端部を加締めると、熱変形等により、コネクタの信頼性を損なう懸念がある。また、コネクタの内面に配置されたメッキ層への熱的影響から、コネクタの信頼性を損なう懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-23983号公報
【特許文献2】特表2013-524419号公報
【特許文献3】特開2019-118183号公報
【特許文献4】特開2010-282914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、リッツ線と汎用のコネクタとの十分な導通と信頼性を確保した接続構造を提供することを目的の一つとする。または、本発明の一実施形態は、リッツ線と汎用のコネクタとの十分な導通と信頼性を確保した接続構造の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る接続構造は、導体の外周面に絶縁皮膜が配置された複数の素線を有するリッツ線と、第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部がリッツ線の端部に配置され、第1の端部がリッツ線と電気的に接続する第1のコネクタと、第3の端部と第4の端部とを有し、第3の端部が第1のコネクタの第2の端部に配置され、第3の端部が第1のコネクタと電気的に接続する第2のコネクタと、を備え、リッツ線の端部において、複数の素線の少なくとも一部の導体が絶縁皮膜から露出し、露出した導体が第1の端部と電気的に接続する。
【0007】
第1のコネクタの第1の端部は、リッツ線の端部を挿入可能な第1の孔を有し、第1のコネクタの第2の端部は、第2のコネクタに接続可能な形状を有し、第2のコネクタの第3の端部は、第1のコネクタの第2の端部を挿入可能な第2の孔を有してもよい。
【0008】
第2のコネクタは、第4の端部の内面に配置された金属層を有してもよい。
【0009】
第1のコネクタの第1の端部は、第2のコネクタの中心軸に交差して第1の距離を有する第1の方向と、中心軸に交差して第1の距離よりも長い第2の距離を有し、第1の方向と交差する第2の方向と、を有してもよい。
【0010】
第2のコネクタの第3の端部は、第2のコネクタの中心軸に交差して第3の距離を有する第3の方向と、中心軸に交差して第3の距離よりも長い第4の距離を有し、第3の方向と交差する第4の方向と、を有してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る接続構造の製造方法は、導体の外周面に絶縁皮膜が配置された複数の素線を有するリッツ線の端部を、第1のコネクタの第1の端部に配置された第1の孔に挿入し、第1のコネクタの第1の端部を、絶縁皮膜の融点以上となる温度に加熱しながら、リッツ線の端部に第1の端部を加締め、リッツ線の端部において、複数の素線の少なくとも一部の導体を絶縁皮膜から露出させ、露出した導体を第1の端部と電気的に接続し、第1の端部とは反対側に配置された第1のコネクタの第2の端部を、第2のコネクタの第3の端部に配置された第2の孔に挿入し、第1のコネクタの第2の端部に第2のコネクタの第3の端部を加締める。
【0012】
第2のコネクタは、第4の端部の内面に配置された金属層を有してもよい。
【0013】
第2のコネクタの中心軸方向に対して、第1の方向に押圧しながら、第1のコネクタの第1の端部を加締め、第1のコネクタの第1の端部は、第2のコネクタの中心軸に交差して第1の距離を有する第1の方向と、中心軸に交差して第1の距離よりも長い第2の距離を有し、第1の方向と交差する第2の方向と、を有してもよい。
【0014】
第2のコネクタの中心軸方向に対して、第3の方向に押圧しながら、第2のコネクタの第3の端部を加締め、第2のコネクタの第3の端部は、第2のコネクタの中心軸に交差して第3の距離を有する第3の方向と、中心軸に交差して第3の距離よりも長い第4の距離を有し、第3の方向と交差する第4の方向と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態は、リッツ線と汎用のコネクタとの十分な導通と信頼性を確保した接続構造を提供する。または、本発明の一実施形態は、リッツ線と汎用のコネクタとの十分な導通と信頼性を確保した接続構造の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)は本発明の一実施形態に係るリッツ線接続部1000の側面図であり、(B)は防水カバー1010を除去したリッツ線接続部1000の側面図である。
【
図2】(A)は本発明の一実施形態に係る接続構造100の側面図であり、(B)は、接続構造100の上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る接続構造100の側面方向から見た接続構造100の断面端図である。
【
図4】(A)は、リッツ線101の側面図であり、(B)は、(A)の線分AA’に於けるリッツ線101の断面端図である。
【
図5】(A)~(D)は、本発明の一実施形態に係る接続構造100の製造方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0018】
本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付す。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。なお、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、説明を簡潔にするためだけに用いられており、限定的に解釈されるべきではない。
【0019】
[接続構造]
図1(A)は本発明の一実施形態に係るリッツ線接続部1000の側面図であり、
図1(B)は、
図1(A)の防水カバー1010を除去したリッツ線接続部1000の側面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る接続構造100を示す模式図であり、
図2(A)は、接続構造100の側面図であり、
図2(B)は、接続構造100の上面図である。また、
図3は、接続構造100の側面方向から見た接続構造100の断面端図である。リッツ線接続部1000は、接続構造100と接続構造100Aが、第2のコネクタ120と第2のコネクタ120Aを介して接続された構造を有する。
図1~3において、第2のコネクタ120と第2のコネクタ120Aの中心軸を中心軸C
1として示す。一実施形態において、リッツ線接続部1000は、接続構造100と接続構造100Aを覆う防水カバー1010を有してもよい。防水カバー1010は、防水性を有する材料で構成され、ゴムや樹脂等で構成される。
【0020】
接続構造100は、リッツ線101、及び第2のコネクタ120で構成される。第1のコネクタ110は、第1の端部111と第2の端部112を有する。第1のコネクタ110の第1の端部111は、リッツ線101の端部に配置され、第1の端部111は、リッツ線101と電気的に接続する。また、第2のコネクタ120は、第3の端部123と第4の端部124を有する。第2のコネクタ120の第3の端部123は、第1のコネクタ110の第2の端部112に配置され、第3の端部123は、第1のコネクタ110と電気的に接続する。
【0021】
図4は、リッツ線101の模式図であり、
図4(A)は、リッツ線101の側面図であり、
図4(B)は、
図4(A)の線分AA’に於けるリッツ線101の断面端図である。リッツ線101は、導体107aの外周面に絶縁皮膜107bが配置された複数の素線107を有する。素線107は、いわゆるエナメル線であってもよく、導体107aは、金属線であり、例えば、銅、アルミニウム、及びこれらの金属を含む合金であってもよく、これらに限定されるものではない。また、絶縁皮膜107bは、エナメル、であってもよく、これらに限定されるものではない。
【0022】
リッツ線101は、複数の素線107で構成される束109で構成される。また、一実施形態において、リッツ線101は、束109がよじれた撚り線の構造を有してもよい。さらに、リッツ線101は、絶縁体103で被覆され、ケーブル105として用いてもよい。
【0023】
第1のコネクタ110は、リッツ線101と第2のコネクタ120を電気的に接続する部材である。第1のコネクタ110は、リッツ線101の端部と係合する第1の端部111と、第2のコネクタ120の第3の端部123と係合する第2の端部112を有する。
図2においては、第1の端部111と第2の端部112が中心軸C
1沿って対向するように配置された第1のコネクタ110を例示したが、第1のコネクタ110は、これに限定されるものではない。例えば、第1のコネクタ110が屈曲した構造や湾曲した構造を有してもよい。
【0024】
第1のコネクタ110の第1の端部111には、リッツ線101の端部を挿入可能な第1の孔115が配置される(
図5(A))。第1の孔115は、リッツ線101が挿入される第1の開口115aと、第1の孔115の中心軸C
2に沿って第1の開口115aとは反対側に配置された第2の開口115bと、を有する。第1の孔115は、リッツ線101を挿入可能な形状であれば、特には限定されないが、円筒形状であることが好ましい。リッツ線101の端部において、複数の素線107の少なくとも一部の導体107aが絶縁皮膜107bから露出する。露出した導体107aが、第1の孔115を介して、第1のコネクタ110の第1の端部111と電気的に接続する。
【0025】
後述するように、リッツ線101の端部と第1の孔115とは、加熱しながら押圧することにより接続されるため、加熱により溶融及び/又は軟化した絶縁皮膜107bが流動し、第1の孔115の第1の開口115a及び/又は第2の開口115bから排出されて、導体107aが露出される。
【0026】
後述するように、第1の端部111にリッツ線101を係合するために、第1の端部111を加締める。一実施形態において、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、第1のコネクタ110の第1の端部111のZ軸方向(上下方向)の高さ(幅)L
1は、第1のコネクタ110のY軸方向の長さ(幅)L
2よりも小さい。換言すると、第1のコネクタ110の第1の端部111は、第2のコネクタ120の中心軸C
1に交差して第1の距離L
1を有する第1の方向(Z軸方向)と、中心軸C
1に交差して第1の距離L
1よりも長い第2の距離L
2を有する第2の方向(Y軸方向)を有する。Z軸方向とY軸方向は交差し、一実施形態において直交する。
【0027】
一実施形態において、第1のコネクタ110の第1の孔115の外面を、例えば6方向又は8方向から加熱しながら押圧することにより、第1の孔115の外面を六角柱状又は八角柱状にしてもよい。
【0028】
第1のコネクタ110の第2の端部112は、第2のコネクタ120に挿入可能な構造を有し、第2のコネクタ120に接続可能な形状を有する。なお、第1のコネクタ110の第2の端部112として、棒状の構造体とすることができる。第2の端部112での抵抗を考慮すると、第2の端部112の径(又は断面)は可能な限り大きいことが好ましい。
【0029】
第1のコネクタ110は、リッツ線101と第2のコネクタ120を電気的に接続するため、金属で構成され、例えば、銅、又は銅合金であってもよく、これらに限定されるものではない。また、第1のコネクタ110の表面を絶縁材料で被覆してもよい。
【0030】
第2のコネクタ120は、外部の端子と電気的に接続するための部材である。第2のコネクタ120は、第1のコネクタ110の第2の端部112と係合する第3の端部123と、外部の端子と電気的に接続するための第4の端部124を有する。
図2においては、第3の端部123と第4の端部124が中心軸C
1上に対向するように配置された第2のコネクタ120を例示したが、第2のコネクタ120は、これに限定されるものではない。例えば、第2のコネクタ120が屈曲した構造や湾曲した構造を有してもよい。
【0031】
第2のコネクタ120の第3の端部123には、第1のコネクタ110の第2の端部112を挿入可能な第2の孔125が配置される(
図5(C))。第2のコネクタ120の第3の端部123において、第1のコネクタ110の第2の端部112と、第2のコネクタ120の第4の端部124を、第2の孔125を介して電気的に接続する。
【0032】
後述するように、第3の端部123に第1のコネクタ110の第2の端部112を係合するために、第3の端部123を加締める。このため、
図2(A)に示すように、第2のコネクタ120の第3の端部123のZ軸方向(上下方向)の高さ(幅)L
3が、第2のコネクタ120のZ軸方向の高さL
4よりも小さい。一方、
図2(B)に示すように、第2のコネクタ120の第3の端部123のY軸方向(側面方向)の幅L
5は、第2のコネクタ120の第4の方向(Y軸方向)の幅L
6と概略等しいか、わずかに大きい。換言すると、第2のコネクタ120の第3の端部123は、第2のコネクタ120の中心軸C
1に交差して第3の距離L
3を有する第3の方向(Z軸方向)と、中心軸C
1に交差して第3の距離L
3よりも長い第4の距離L
5を有する第4の方向(Y軸方向)を有する。Z軸方向とY軸方向は交差し、一実施形態において直交する。なお、
図2(A)及び
図2(B)において、第2のコネクタ120の第4の端部124のZ軸方向の高さ(幅)L
4とY軸方向の幅L
6とが等しい構造を示したが、第4の端部124のZ軸方向の高さ(幅)L
4とY軸方向の幅L
6とは異なっていてもよい。
【0033】
第2のコネクタ120は、第1のコネクタ110と電気的に接続するため、金属で構成され、例えば、銅、又は銅合金であってもよく、これらに限定されるものではない。一実施形態において、第2のコネクタ120は、金属層でさらに被膜されてもよい。例えば、第2のコネクタ120は、銅で構成され、錫のメッキ層を有してもよい。また、第2のコネクタ120の表面を絶縁材料で被覆してもよい。
【0034】
一実施形態において、第4の端部124は、凹部を有する。一実施形態において、凹部の内面に配置された金属層121を有してもよい。また、一実施形態において、接続構造100Aが備える第2のコネクタ120Aは、接続構造100が備える第2のコネクタ120の凹部に接続可能な(又は、第2のコネクタ120の凹部に対応する形状を有する)凸部を有する。第2のコネクタ120Aの凸部には、金属層が配置される(図示せず)。第2のコネクタ120及び第2のコネクタ120Aに配置される金属層は、メッキ層であってもよい。本発明においては、後述するように、第1のコネクタ110の第1の端部111とリッツ線101の端部を加熱しながら加締める一方、第1のコネクタ110の第2の端部112と第2のコネクタ120の第3の端部123を押圧して加締めるため、第2のコネクタ120及び第2のコネクタ120Aに配置される金属層への熱的影響がなく、リッツ線101と第2のコネクタ120との十分な導通と信頼性を確保することができる。
【0035】
[接続構造の製造方法]
図5(A)~
図5(D)は、本発明の一実施形態に係る接続構造100の製造方法を説明する模式図である。リッツ線101を準備する。リッツ線101が絶縁体103で被覆されている場合には、リッツ線101の端部の絶縁体103を除去する。リッツ線101の端部を、第1のコネクタ110の第1の端部111に配置された第1の開口115aから第1の孔115に挿入する(
図5(A))。
【0036】
第1のコネクタ110の第1の端部111を、絶縁皮膜107bの融点以上となる温度に加熱しながら押圧し、リッツ線101の端部に第1のコネクタ110の第1の端部111を加締める(
図5(B))。なお、加熱温度は、導体107aの融点よりも低い温度であり、絶縁皮膜107bの融点と導体107aの融点を考慮して、任意に設定可能である。例えば、150℃迄の耐熱性を有する絶縁皮膜107bである場合には、加熱温度は200~1000℃であってもよい。加熱によりリッツ線101の端部の絶縁皮膜107bが溶融及び/又は軟化した絶縁皮膜107bが流動し、押圧することにより第1の孔115の第2の開口115bから排出されて、リッツ線101の端部において、複数の素線107の少なくとも一部の導体107aを絶縁皮膜107bから露出させることができる。露出した導体107aは、第1のコネクタ110の第1の端部111との接触により、電気的に接続する。
【0037】
一実施形態において、第1のコネクタ110の第1の孔115の外面を、例えば6方向又は8方向から加熱しながら押圧することにより、第1の孔115の外面を六角柱状又は八角柱状に変形させて、第1の端部111にリッツ線101を係合させてもよい。
【0038】
第1のコネクタ110の第1の端部111とは反対側に配置された第1のコネクタ110の第2の端部112を、第2のコネクタ120の第3の端部123に配置された第2の孔125に挿入する(
図5(C))。
【0039】
第1のコネクタ110の第2の端部112に第2のコネクタ120の第3の端部123を押圧して加締める。このとき、加熱は行わず、室温にて第2の端部112に第3の端部123を加締める(
図5(D))。
【0040】
本実施形態の方法では、リッツ線101の端部を、第1のコネクタ110と接続する際には、加熱しながら加締めるため、熱により絶縁皮膜107bが溶融して、導体107aが露出し、第1のコネクタ110の第1の端部111との電気的接続を得ることができる。このため、従来のような事前に絶縁皮膜107bを除去する工程が必要なく、簡便に電気的接続を行うことができる。また、第1のコネクタ110の第2の端部112に第2のコネクタ120の第3の端部123を加締める際には加熱しないため、第2のコネクタ120及び第2のコネクタ120Aに配置される金属層への熱的影響がなく、リッツ線101と第2のコネクタ120との十分な導通と信頼性を確保することができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の接続構造を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0042】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0043】
100 接続構造、100A 接続構造、101 リッツ線、103 絶縁体、105 ケーブル、107 素線、107a 導体、107b 絶縁皮膜、109 束、110 第1のコネクタ、111 第1の端部、112 第2の端部、115 第1の孔、115a 第1の開口、115b 第2の開口、120 第2のコネクタ、120A 第2のコネクタ、121 金属層、123 第3の端部、124 第4の端部、125 第2の孔、1000 リッツ線接続部、1010 防水カバー