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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060507
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】物理量出力回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/30 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
H03F1/30 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167922
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松並 和宏
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AC04
5J500AC21
5J500AC36
5J500AC97
5J500AF11
5J500AF12
5J500AH10
5J500AH25
5J500AH27
5J500AH42
5J500AK41
5J500AS15
5J500AT01
(57)【要約】
【課題】物理量出力回路において、外部装置の電源電圧が変動した場合、内部電源電圧を生成する電源電圧回路からアンプへ流れる電流も変動してしまう。
【解決手段】物理量検知結果に応じた第1出力電圧を出力する物理量出力回路であって、第1出力電圧を出力する第1出力端子と、外部電源電圧が入力される電源端子と、基準電圧が入力される基準端子と、外部電源電圧から内部電源電圧を生成する電源電圧回路と、物理量検知結果に応じた第1入力信号が入力され、第1入力信号に応じた第1出力電圧を第1出力端子に出力する第1出力アンプと、電源端子と第1出力端子の間に接続されている第1抵抗と、第1出力端子と基準端子の間に接続されている第2抵抗とを備え、外部電源電圧が定常状態の場合は、第1出力電圧の変動によらず、電源電圧回路から第1出力アンプへ流れる電流が一定値である物理量出力回路を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量検知結果に応じた第1出力電圧を出力する物理量出力回路であって、
前記第1出力電圧を出力する第1出力端子と、
外部電源電圧が入力される電源端子と、
基準電圧が入力される基準端子と、
前記外部電源電圧から内部電源電圧を生成する電源電圧回路と、
前記電源電圧回路に接続されて前記内部電源電圧が印加され、前記基準端子に接続され前記基準電圧が印加され、前記物理量検知結果に応じた第1入力信号が入力され、前記第1入力信号に応じた前記第1出力電圧を前記第1出力端子に出力する第1出力アンプと、
前記電源端子と前記第1出力端子の間に接続されている第1抵抗と、
前記第1出力端子と前記基準端子の間に接続されている第2抵抗と
を備え、
前記外部電源電圧が定常状態の場合は、前記第1出力電圧の変動によらず、前記電源電圧回路から前記第1出力アンプへ流れる電流が一定値である物理量出力回路。
【請求項2】
前記外部電源電圧が定常状態の場合は、前記第1出力電圧の変動によらず、前記第1出力アンプから前記第2抵抗に流れる電流が0Aである
請求項1に記載の物理量出力回路。
【請求項3】
前記第1抵抗の抵抗値を前記第2抵抗の抵抗値で割った抵抗値比が、前記外部電源電圧と前記第1出力電圧の上限値である第1出力上限電圧の電位差を、前記第1出力上限電圧で割った電圧比
((外部電源電圧 ― 第1出力上限電圧)/第1出力上限電圧)
以下である
請求項1または2に記載の物理量出力回路。
【請求項4】
前記第1抵抗の前記抵抗値は0.5kΩ以上6.0kΩ以下である
請求項3に記載の物理量出力回路。
【請求項5】
前記第2抵抗の前記抵抗値は5kΩ以上60kΩ以下である
請求項3に記載の物理量出力回路。
【請求項6】
前記電源端子から第2電流を引き込む消費電流調整回路を備え、
前記消費電流調整回路は、前記第1抵抗に流れる電流である第1電流と前記第2電流の和が一定となるように、前記第1電流の変動に応じて前記第2電流を引き込む
請求項3に記載の物理量出力回路。
【請求項7】
前記消費電流調整回路は、
前記物理量検知結果に応じた第2出力電圧を出力する第2出力端子と、
前記電源電圧回路に接続されて前記内部電源電圧が印加され、前記基準端子に接続され前記基準電圧が印加され、前記物理量検知結果に応じた第2入力信号が入力され、前記第2入力信号に応じた前記第2出力電圧を前記第2出力端子に出力する第2出力アンプと、
前記電源端子と前記第2出力端子の間に接続されている第3抵抗と、
前記第2出力端子と前記基準端子の間に接続されている第4抵抗と
を有し、
前記第2出力アンプは、前記第1出力電圧と前記第2出力電圧の和が一定となるように、前記第2出力電圧を出力する
請求項6に記載の物理量出力回路。
【請求項8】
前記第1抵抗の前記抵抗値と前記第3抵抗の抵抗値が等しく、前記第2抵抗の前記抵抗値と前記第4抵抗の抵抗値が等しい
請求項7に記載の物理量出力回路。
【請求項9】
前記外部電源電圧と前記第1出力上限電圧の電位差が、前記第1出力電圧の下限値である第1出力下限電圧と前記基準電圧の電位差よりも大きい場合、
前記抵抗値比が、前記第1出力下限電圧を、前記外部電源電圧と前記第1出力下限電圧の電位差で割った電圧比
((第1出力下限電圧/(外部電源電圧 ― 第1出力下限電圧))
以下である請求項8に記載の物理量出力回路。
【請求項10】
前記第2出力端子は外部回路に接続されない
請求項9に記載の物理量出力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物理量出力回路の出力端子と外部装置との接続異常を検知するための回路構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2003-304633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
物理量出力回路において、外部装置の電源電圧が変動した場合、内部電源電圧を生成する電源電圧回路からアンプへ流れる電流も変動してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、物理量出力回路を提供する。物理量出力回路は、第1出力端子を備えてよい。第1出力端子は第1出力電圧を出力してよい。上記いずれかの物理量出力回路は電源端子を備えてよい。電源端子には外部電源電圧が入力されてよい。上記いずれかの物理量出力回路は基準端子を備えてよい。基準端子には基準電圧が入力されてよい。上記いずれかの物理量出力回路は電源電圧回路を備えてよい。電源電圧回路は外部電源電圧から内部電源電圧を生成してよい。上記いずれかの物理量出力回路は第1出力アンプを備えてよい。第1出力アンプは電源電圧回路に接続されて内部電源電圧が印加されてよい。第1出力アンプは基準端子に接続され基準電圧が印加されてよい。第1出力アンプには物理量検出結果に応じた第1入力信号が入力されてよい。第1出力アンプは第1入力信号に応じた第1出力電圧を第1出力端子に出力してよい。上記いずれかの物理量出力回路は電源端子と第1出力端子の間に接続されている第1抵抗を備えてよい。上記いずれかの物理量出力回路は第1出力端子と基準端子の間に接続されている第2抵抗を備えてよい。上記いずれかの物理量出力回路において、外部電源電圧が定常状態の場合は、第1出力電圧の変動によらず、電源電圧回路から第1出力アンプへ流れる電流が一定値であってよい。
【0005】
上記いずれかの物理量出力回路において、外部電源電圧が定常状態の場合は、第1出力電圧の変動によらず、第1出力アンプから第2抵抗に流れる電流が0Aであってよい。
【0006】
上記いずれかの物理量出力回路において、第1抵抗の抵抗値を第2抵抗の抵抗値で割った抵抗値比が、外部電源電圧と第1出力電圧の上限値である第1出力上限電圧の電位差を、第1出力上限電圧で割った電圧比
((外部電源電圧 ― 第1出力上限電圧)/第1出力上限電圧)
以下であってよい。
【0007】
上記いずれかの物理量出力回路において、第1抵抗の抵抗値は0.5kΩ以上6.0kΩ以下であってよい。
【0008】
上記いずれかの物理量出力回路において、第2抵抗の抵抗値は5kΩ以上60kΩ以下であってよい。
【0009】
上記いずれかの物理量出力回路は、消費電流調整回路を備えてよい。上記いずれかの物理量出力回路において、消費電流調整回路は電源端子から第2電流を引き込んでよい。上記いずれかの物理量出力回路において、消費電流調整回路は、第1抵抗に流れる電流である第1電流と第2電流の和が一定となるように、第1電流の変動に応じて第2電流を引き込んでよい。
【0010】
上記いずれかの物理量出力回路において、消費電流調整回路は第2出力端子を備えてよい。第2出力端子は物理量検知結果に応じた第2出力電圧を出力してよい。上記いずれかの物理量出力回路において、消費電流調整回路は第2出力アンプを備えてよい。第2出力アンプは電源電圧回路に接続されて内部電源電圧が印加されてよい。第2出力アンプは基準端子に接続され基準電圧が印加されてよい。第2出力アンプには物理量検知結果に応じた第2入力信号が入力されてよい。第2出力アンプは第2入力信号に応じた第2出力電圧を第2出力端子に出力してよい。上記いずれかの物理量出力回路において、消費電流調整回路は電源端子と第2出力端子の間に接続されている第3抵抗を備えてよい。上記いずれかの物理量出力回路において、消費電流調整回路は第2出力端子と基準端子の間に接続されている第4抵抗を備えてよい。上記いずれかの物理量出力回路において、第2出力アンプは、第1出力電圧と第2出力電圧の和が一定となるように、第2出力電圧を出力してよい。
【0011】
上記いずれかの物理量出力回路において、第1抵抗の抵抗値と第3抵抗の抵抗値が等しく、第2抵抗の抵抗値と第4抵抗の抵抗値が等しくてよい。
【0012】
上記いずれかの物理量出力回路において、外部電源電圧と第1出力上限電圧の電位差が、第1出力電圧の下限値である第1出力下限電圧と基準電圧の電位差よりも大きい場合、
抵抗値比が、第1出力下限電圧を、外部電源電圧と第1出力下限電圧の電位差で割った電圧比
((第1出力下限電圧/(外部電源電圧 ― 第1出力下限電圧))
以下であってよい。
【0013】
上記いずれかの物理量出力回路において、第2出力端子は外部回路に接続されなくてよい。
【0014】
なお、上記発明の概要は、本発明に必要なすべての特徴を列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】故障検知機能を有した物理量出力回路100の構成およびエンジンコントロールユニット110との接続例を示す図である。
図1B】ECU110がプルダウン抵抗70を備えた構成において、基準端子24の接続ラインが断線した場合の第1出力電圧を説明する図である。
図1C】ECU110がプルアップ抵抗72を備えた構成において、電源端子20の接続ラインが断線した場合の第1出力電圧を説明する図である。
図2A図1の物理量出力回路100における第1抵抗50に流れる電流I1と第2抵抗52に流れる電流I2の変化を示す図である。
図2B】I1>I2の場合の物理量出力回路100における消費電流を示す図である。
図2C】I1≦I2の場合の物理量出力回路100における消費電流を示す図である。
図3】第1の実施形態における物理量出力回路200を説明する図である。
図4】第2の実施形態における物理量出力回路300を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1Aは故障検知機能を有した物理量出力回路100の構成を示す図である。本例の物理量出力回路100は、一例として、圧力センサや加速度センサ等の物理量センサにおける物理量の検知結果に応じた信号を出力する。物理量出力回路100は、物理量センサを内蔵していてよく、外部の物理量センサから検出結果を受信してもよい。物理量出力回路100は、エンジンコントロールユニット110(以下、ECU)等の外部回路に信号を出力する。図1Aは、物理量出力回路100とECU110との接続例を示す図である。本例の物理量出力回路100は物理量検知結果に応じた第1出力電圧(Vout1)を出力する。
【0018】
本例の物理量出力回路100は、電源端子20、第1出力端子22、基準端子24、電源電圧回路30、第1出力アンプ40、第1抵抗50、第2抵抗52、補助抵抗54および内部回路60を備える。また、本例のECU110は電源10、プルダウン抵抗70およびA/Dコンバータ80を備える。
【0019】
物理量出力回路100の電源端子20、第1出力端子22および基準端子24はそれぞれECU110の端子に接続される。電源端子20にはECU110の電源10からの外部電源電圧(VCC)が入力される。基準端子24には基準電圧が入力される。基準電圧は接地電位(GND)であってよい。
【0020】
電源電圧回路30は外部電源電圧(VCC)から内部電源電圧(VDD)を生成する。内部電源電圧(VDD)は外部電源電圧(VCC)の変動に追従してよい。追従とは、外部電源電圧(VCC)が変動した場合に、その変動に応じた値をとることを言う。一例として電源電圧回路30は、外部電源電圧(VCC)が印加されるノードと、内部電源電圧(VDD)が印加されるノードとの間に直列に接続された直列抵抗を有する。本例の内部電源電圧(VDD)は、直列抵抗における電圧降下に応じて、外部電源電圧(VCC)よりも低くなった電圧である。
【0021】
本例の電源電圧回路30は、電源端子20に重畳するノイズを除去し、内部電源電圧(VDD)を安定させる機能を有するEMCフィルタ32を備える。EMCフィルタ32は、上述した直列抵抗を有してよい。EMCフィルタ32の直列抵抗には、Polyシリコン等の抵抗やMOSFET等のデバイスのON抵抗を用いる。そのため本例の場合、内部電源電圧(VDD)は外部電源電圧(VCC)からEMCフィルタ32の直列抵抗により電圧降下した値となる。電源電圧回路30はEMCフィルタ32を備えていなくてもよい。
【0022】
電源電圧回路30は、生成した内部電源電圧(VDD)を内部回路60および第1出力アンプ40に入力する。また基準端子24は、内部回路60および第1出力アンプ40に基準電圧を入力する。本例の内部回路60は、物理量を検知する物理量センサを含む。内部回路60は物理量検知結果に応じた第1入力信号を第1出力アンプ40に出力する。
【0023】
第1出力アンプ40は電源電圧回路30に接続されて内部電源電圧(VDD)が印加され、基準端子に接続され基準電圧が印加される。第1出力アンプ40には物理量検知結果に応じた第1入力信号が入力され、第1入力信号に応じた第1出力電圧(Vout1)を第1出力端子22に出力する。一例として第1入力信号は、検知した物理量の大きさに応じた電圧を有する信号である。第1出力アンプ40は、第1入力信号の電圧を増幅した第1出力電圧(Vout1)を第1出力端子22に出力してよい。第1出力端子は、ECU110へ第1出力電圧(Vout1)を出力する。
【0024】
第1抵抗50は電源端子20と第1出力端子22の間に接続されている。第2抵抗52は第1出力端子22と基準端子24の間に接続されている。補助抵抗54は電源端子20と基準端子24の間に接続されている。これらの抵抗を設けることで、物理量出力回路100とECU110の接続異常を検出できる。接続異常を検出する仕組みは図1Bおよび図1Cにおいて説明する。
【0025】
ECU110のプルダウン抵抗70は第1出力端子22の接続ライン36と基準端子24の接続ライン38の間に接続されている。ECU110はプルダウン抵抗70の代わりに電源端子20の接続ライン34と第1出力端子22の接続ライン36の間に接続されるプルアップ抵抗72(図1C参照)を備えてもよい。
【0026】
ECU110のA/Dコンバータ80は電源端子20の接続ライン34と基準端子24の接続ライン38の間に接続され、第1出力端子22から入力される第1出力電圧(Vout1)を、デジタル信号に変換する。当該デジタル信号の値は、検知した物理量を示している。ECU110は、A/Dコンバータ80が出力するデジタル信号に基づいて、エンジン等の装置を制御してよい。
【0027】
図1Bは、ECU110がプルダウン抵抗70を備えた構成において、基準端子24の接続ライン38が断線した場合の第1出力電圧(Vout1)を説明する図である。基準端子24の接続ライン38が断線した場合、第1出力電圧(Vout1)は外部電源電圧(VCC)をECU110のプルダウン抵抗70と、物理量出力回路100の電源端子20と第1出力端子22の間の合成抵抗で分圧した電圧となる。この分圧によって決まる第1出力電圧(Vout1)が、通常出力範囲外の電源電圧付近の電圧となるように、物理量出力回路100の各抵抗の抵抗値は、プルダウン抵抗70の抵抗値(Rpd)に対して十分小さい値に設定される。
【0028】
ここで通常出力範囲とは、断線が生じていない通常時において、第1出力電圧(Vout1)が取り得る電圧の範囲である。また、図示しないが、電源端子20の接続ライン34が断線した場合は、プルダウン抵抗70によって、第1出力電圧(Vout1)は基準電圧付近の電圧となる。いずれの場合も第1出力電圧(Vout1)が通常出力範囲外の値となることによって、接続異常を検知することができる。
【0029】
図1Cは、ECU110がプルアップ抵抗72を備えた構成において、電源端子20の接続ライン34が断線した場合の第1出力電圧(Vout1)を説明する図である。電源端子20の接続ライン34が断線した場合、第1出力電圧(Vout1)は外部電源電圧(VCC)をプルアップ抵抗72と、物理量出力回路100の第1出力端子22と基準端子24の間の合成抵抗で分圧した電圧となる。この分圧によって決まる第1出力電圧(Vout1)が通常出力範囲外の接地電圧付近の電圧となるように、物理量出力回路100の各抵抗の抵抗値は、プルアップ抵抗72の抵抗値(Rpu)に対して十分小さい値に設定される。
【0030】
また、図示しないが、基準端子24の接続ライン38が断線した場合は、プルアップ抵抗72によって、第1出力電圧(Vout1)は基準電圧付近の電圧となる。いずれの場合も第1出力電圧(Vout1)が通常出力範囲外の値となることによって、接続異常を検知することができる。
【0031】
図1Aから図1Cおよび以降の図において、物理量出力回路100は電源端子20と基準端子24の間に補助抵抗54を備えている。補助抵抗54を備えることで、電源端子20と基準端子24の間の消費電流は増加する。一方で、電源端子20と第1出力端子22の間の端子間抵抗値は、第1抵抗50と、第2抵抗52と補助抵抗54の直列抵抗の並列合成抵抗値となる。また、第1出力電圧(Vout1)と基準端子24の端子間抵抗値は、第2抵抗52だけでなく、第2抵抗52と、第1抵抗50と補助抵抗54の直列抵抗の並列合成抵抗値となる。これによって、故障検知における端子間抵抗値が小さくなるため、補助抵抗54を付加しない場合よりも、第1出力アンプ40が駆動する通常動作時の第1抵抗50の抵抗値(R1)および第2抵抗52の抵抗値(R2)を大きくすることができ、第1出力アンプ40の駆動能力を小さくすることが可能となる。
【0032】
ただし、補助抵抗54の抵抗値(RA)は後述する実施形態の効果には寄与せず、補助抵抗54が設けられていない場合でも同様の効果が得られる。よって、補助抵抗54を備えた構成を実施形態として動作および効果を説明するが、実施形態は補助抵抗54を備えていない場合も含む。
【0033】
図2Aは、図1Aの物理量出力回路100における第1抵抗50に流れる電流I1と第2抵抗52に流れる電流I2の変化を示す図である。電流I1は電源端子20と第1出力端子22の間の電圧を第1抵抗50の抵抗値(R1)で割った値となるので、
I1=(VCC-Vout1)/R1
となる。電流I2は第1出力端子22と基準端子24の間の電圧を第2抵抗52の抵抗値(R2)で割った値となるので、
I2=(Vout1-GND)/R2
となる。どちらの電流を表す式にも第1出力電圧(Vout1)が含まれているため、第1出力電圧(Vout1)が変化すると電流I1、電流I2ともに変化する。
【0034】
さらに、電流I1と電流I2に差がある場合は、その電流差分を第1出力アンプ40から出力される電流Iampで補うことになる。その場合、
Iamp=I2-I1
となる。電流Iampが正の場合は、電源端子20から電源電圧回路30、第1出力アンプ40を介して第2抵抗52に向かって電流(ソース電流)が流れ、Iampが負の場合は、第1抵抗50から第1出力アンプ40を介して基準端子24に向かって電流(シンク電流)が流れる。
【0035】
図2Bは、I1>I2の場合の物理量出力回路100における消費電流を示す図である。電流I1の値が電流I2の値よりも大きいので、電流Iampは負になり第1出力アンプ40にはシンク電流Itが流れる。
【0036】
上述の通り、電流I1は第1出力電圧(Vout1)によって変化するため、第1出力電圧(Vout1)が変化した場合、ECU110から電源端子20に供給される電流は変化する。しかし、第1出力アンプ40にソース電流は流れないので、電源端子20から電源電圧回路30を通って第1出力アンプ40に供給される電流は変化せず、内部電源電圧(VDD)は変化しない。
【0037】
図2Cは、I1≦I2の場合の物理量出力回路100における消費電流を示す図である。電流I1の値が電流I2の値以下なので、電流Iampは正になり第1出力アンプ40にはソース電流Isが流れる。
【0038】
上述の通り、電流I2は第1出力電圧(Vout1)によって変化するため、第1出力電圧(Vout1)が変化した場合、ECU110から電源端子20に供給される電流は変化する。さらに、電流I1が電流I2に対して不足している分を、ソース電流で補う必要がある。そのため電源端子20から電源電圧回路30を通って第1出力アンプ40に流れる電流が変化し、電源電圧回路30の直列抵抗における電圧降下量の変化により内部電源電圧(VDD)が変化する。
【0039】
本発明の第1の実施形態における物理量出力回路200は、接続異常検知機能を有し、かつ第1出力電圧(Vout1)の変動に対して、電源電圧回路30が出力する内部電源電圧(VDD)が変化しない。つまり外部電源電圧(VCC)が定常状態の場合は、第1出力電圧(Vout1)の変動によらず、電源電圧回路30から第1出力アンプ40へ流れる電流が一定値である。一例として外部電源電圧(VCC)が定常状態の場合は、第1出力電圧(Vout1)の変動によらず、第1出力アンプ40から第2抵抗52に流れる電流が0Aとなる。
【0040】
ここで外部電源電圧(VCC)が定常状態であるとは、所定期間における外部電源電圧(VCC)の変動が所定範囲内であることを指してよい。所定期間とは、0.5秒以上の期間であってよく、1秒以上の期間であってよく、2秒以上の期間であってもよい。所定範囲とは、当該所定期間における平均電圧に対して±10%以内の範囲であってよく、±6%以内の範囲であってよく、±5%以内の範囲であってよく、±1%以内の範囲であってもよい。
【0041】
また電流が一定値とは、微小範囲における変動を許容する。当該微小範囲は、外部電源電圧(VCC)が定常状態である期間における電流値の平均に対して±5%以内の範囲であってよく、±1%以内の範囲であってよく、±0.5%以内の範囲であってよく、±0.1%以内の範囲であってもよい。また、電流が0Aとは、実質的に0Aであることを指す。実質的に0Aとは、電流の絶対値が0.1mA以下であることを指してよく、電流の絶対値が0.05mA以下であることを指してよく、電流の絶対値が0.01mA以下であることを指してもよい。
【0042】
図3は第1の実施形態における物理量出力回路200を説明する図である。物理量出力回路200の用途および構成は図1Aにおいて説明した物理量出力回路100と同一である。本実施形態においても物理量出力回路200は一例としてECU110に接続されている。物理量出力回路200は、第1抵抗50の抵抗値(R1)および第2抵抗52の抵抗値(R2)が図1Aの物理量出力回路100と異なる。
【0043】
図3において、第1抵抗50に流れる電流I1は前述の通り第1出力電圧(Vout1)の変動によって変化する。第1出力電圧(Vout1)が第1出力上限電圧の場合に、電流I1は最小値となる。第1出力上限電圧は、第1出力電圧(Vou1)の上限値である。第1出力電圧(Vout1)が第1出力上限電圧の時の電流I1が、第2抵抗52に流れる電流I2よりも大きければ、第1出力電圧(Vout1)が出力範囲で変動してもソース電流が流れることはない。
【0044】
上記要件を満たす第1抵抗50と第2抵抗52の関係は、前述の電流I1および電流I2の式を、第1出力電圧(Vout1)が第1出力上限電圧の場合において、I1>I2の条件で解くことによって得られる。すなわち、第1抵抗50の抵抗値(R1)を第2抵抗52の抵抗値(R2)で割った抵抗値比(R1/R2)が、外部電源電圧(VCC)と第1出力電圧(Vout1)の上限値である第1出力上限電圧の電位差を、第1出力上限電圧で割った電圧比
((外部電源電圧 ― 第1出力上限電圧)/第1出力上限電圧)
以下である場合に上記要件が満たされる。例えば、外部電源電圧(VCC)が5V、第1出力上限電圧が4.5Vの場合、上記要件を満たす抵抗値比は1/9以下となる。これによって物理量出力回路200とECU110の接続異常検知機能を有し、かつ、内部電源電圧(VDD)の変動を抑制し、第1出力電圧(Vout1)の直線性の高い物理量出力回路200を作製することができる。
【0045】
ここで、第1出力上限電圧は例えば仕様書等で定められた仕様値である。クランプ回路等の回路構成により、第1出力電圧(Vout1)の範囲が制限されている場合は、第1出力上限電圧はクランプ電圧等の回路構成による制限値であってよい。第1出力上限電圧は、第1出力電圧(Vout1)の直線性が得られるような範囲であってよい。第1出力上限電圧は、電源電圧の90%の値であってよく、当該電源電圧の94%であってよく、当該電源電圧の97%であってもよい。電源電圧は、仕様書等で定められた電源端子20に印加される電源電圧の上限値であってよく、電源10が生成する電圧であってもよい。
【0046】
また第1抵抗50の抵抗値(R1)と第2抵抗52の抵抗値(R2)を増加させ、各抵抗に流れる電流を減らすことによっても、電流の変化量の絶対値を減らし、電流を実質的に一定値にすることが可能である。これによって、電源電圧回路30での電圧降下量を減らすことができ、内部電源電圧(VDD)の変動を抑えることができる。
【0047】
第1抵抗50の抵抗値(R1)は下げすぎると物理量出力回路200の消費電流を増加させてしまい、上げすぎると接続異常の検知が難しくなる。これらの影響を許容する範囲として、第1抵抗50の抵抗値(R1)は0.5kΩ以上6.0kΩ以下であってよい。第1抵抗50の抵抗値(R1)は2.0kΩ以上であってよく、4.0kΩ以上であってよい。第1抵抗50の抵抗値(R1)は、4.0kΩ以下であってよく、2.0kΩ以下であってもよい。第1抵抗50の抵抗値(R1)の上限値および下限値は任意に組み合わせてよい。
【0048】
第2抵抗52の抵抗値(R2)も同様に、下げすぎると物理量出力回路200の消費電流を増加させてしまい、上げすぎると接続異常の検知が難しくなる。これらの影響を許容し、かつ上記抵抗値比の要件を満たす範囲として、第2抵抗52の抵抗値(R2)は5kΩ以上60kΩ以下であってよい。第2抵抗52の抵抗値(R2)は10kΩ以上であってよく、40kΩ以上であってよい。第2抵抗52の抵抗値(R2)は40kΩ以下であってよく、10kΩ以下であってもよい。第2抵抗52の抵抗値(R2)の上限値および下限値は任意に組み合わせてよい。
【0049】
前述の通り、接続異常検知のため第1抵抗50の抵抗値(R1)および第2抵抗52の抵抗値(R2)は、ECU110のプルダウン抵抗70の抵抗値(Rpd)またはプルアップ抵抗72の抵抗値(Rpu)に対して十分に小さい値に設定されてよい。一例としてプルダウン抵抗70の抵抗値(Rpd)またはプルアップ抵抗72の抵抗値(Rpu)は50kΩ以上300kΩ以下である。プルダウン抵抗70の抵抗値(Rpd)またはプルアップ抵抗72の抵抗値(Rpu)は第1抵抗50の抵抗値(R1)の100倍以上大きくてよく、200倍以上大きくてよく、500倍以上大きくてよい。そのため、第1出力端子22からECU110に流れる電流は無視できるほどに小さい。
【0050】
上記いずれかの構成により、外部電源電圧(VCC)が定常状態の場合は、第1出力電圧(Vout1)の変動によらず、電源電圧回路30から第1出力アンプ40へ流れる電流を一定値にすることができる。一方で、前述の通り電流I1は第1出力電圧(Vout1)によって変化するため、第1出力電圧(Vout1)が変化した場合、ECU110から電源端子20に供給される電流は変化する。電源端子20に供給される電流が変化すると、電源端子20の接続ライン34の配線抵抗による電圧降下量が変化する。このため、ECU110における電源電圧が変動しない場合でも、電源端子20に印加される外部電源電圧(VCC)が変動し、内部電源電圧(VDD)も変動する。そのため、物理量出力回路200で消費する電流は第1出力電圧(Vout1)によらず一定であることが望ましい。
【0051】
図4は第2の実施形態における物理量出力回路300を説明する図である。物理量出力回路300は、電源端子20から第2電流を引き込む消費電流調整回路90を備える。消費電流調整回路90は、第1抵抗50に流れる電流I1を第1電流とすると、第1電流と第2電流の和が一定となるように、第1電流の変動に応じて第2電流を引き込む機能を有する。電流が一定とは、微小範囲における変動を許容する。当該微小範囲は、外部電源電圧(VCC)が定常状態である期間における電流値の平均に対して±5%以内の範囲であってよく、±1%以内の範囲であってよく、±0.5%以内の範囲であってよく、±0.1%以内の範囲であってもよい。
【0052】
物理量出力回路300は図3で示した構成に加えて消費電流調整回路90を備えている。消費電流調整回路90は、第2出力端子26、第2出力アンプ42、第3抵抗56および第4抵抗58を備える。
【0053】
第2出力アンプ42は電源電圧回路30に接続されて内部電源電圧(VDD)が印加され、基準端子24に接続され基準電圧が印加される。第2出力アンプ42には内部回路60から物理量検知結果に応じた第2入力信号が入力され、第2入力信号に応じた第2出力電圧(Vout2)を第2出力端子26に出力する。この時、第2出力アンプ42は、第1出力電圧(Vout1)と第2出力電圧(Vout2)の和が一定となるように、第2出力電圧(Vout2)を出力する。
【0054】
一例として、第1出力アンプ40および第2出力アンプ42は、オペアンプを用いてよい。さらに、第1出力アンプ40および第2出力アンプ42は同一の構成としてよい。第2出力アンプ42は第1出力アンプ40と入力端子の反転入力と非反転入力とが逆の状態で、内部回路60に接続されてよい。よって、第1入力信号は内部回路から出力される2つの信号のうちの一方の信号が非反転入力端子に入力され、他方の信号が反転入力端子に入力された信号である。また、第2入力信号は、内部信号から出力される2つの信号のうちの一方の信号が反転入力端子に入力され、他方の信号が非反転入力端子に入力された信号である。この場合、第2出力アンプ42は電源端子20と第1出力端子22の電位差を第2出力電圧(Vout2)として出力する。第2出力端子26は物理量検知結果に応じた第2出力電圧(Vout2)を出力する。なお、第2出力端子26は外部回路に接続されていてもよく、接続されなくてもよい。第3抵抗56は電源端子20と第2出力端子26の間に接続されている。第4抵抗58は第2出力端子26と基準端子24の間に接続されている。
【0055】
第3抵抗を流れる電流をI3、第4抵抗を流れる電流をI4とすると、電流I3は電源端子20と第2出力端子26の間の電位差を第3抵抗56の抵抗値(R3)で割った値となるので、
I3=(VCC-Vout2)/R3
となる。電流I4は第2出力端子26と基準端子24の間の電位差を第4抵抗58の抵抗値(R4)で割った値となるので、
I4=(Vout2-GND)/R4
となる。
【0056】
ここで第1抵抗50の抵抗値(R1)と第3抵抗56の抵抗値(R3)が等しく、第2抵抗52の抵抗値(R2)と第4抵抗58の抵抗値(R4)が等しいとすると、外部電源電圧(VCC)と第1出力電圧(Vout1)の差が第2出力電圧(Vout2)に等しいという条件も用いて、第1抵抗に流れる電流I1と電流I3の和は、
I1+I3=(VCC-Vout1)/R1+(VCC-Vout2)/R3
=(VCC-Vout1)/R1+Vout1/R1
=VCC/R1
となり、第1出力電圧(Vout1)に依存しなくなる。同様に第2抵抗に流れる電流I2と電流I4の和は、
I2+I4=(Vout1-GND)/R2+(Vout2-GND)/R4
=(Vout1-GND)/R2+(VCC-Vout1-GND)/R2
=VCC/R2
となり、第1出力電圧(Vout1)に依存しなくなる。なお抵抗値が等しいとは、±10%以内の誤差を含んでよい。この時消費電流調整回路90が引き込む第2電流は電流I3となる。
【0057】
これにより、物理量出力回路300とECU110の接続異常検知機能を有し、かつ、物理量出力回路300の消費電流を第1出力電圧(Vout1)の変動によらず一定にすることができる。物理量出力回路300の消費電流が一定となることで、ECU110から電源端子20への接続ライン34での電圧降下量も一定となるため、外部電源電圧(VCC)および内部電源電圧(VDD)も一定となり、物理量出力回路300の出力直線性がより向上する。また、第1出力電圧(Vout1)が変動してもECU110のA/Dコンバータ80に供給される電圧と外部電源電圧(VCC)を等しくすることができる。
【0058】
なお、電流が一定とは、微小範囲における変動を許容する。当該微小範囲は、外部電源電圧(VCC)が定常状態である期間における電流値の平均に対して±5%以内の範囲であってよく、±1%以内の範囲であってよく、±0.5%以内の範囲であってよく、±0.1%以内の範囲であってもよい。
【0059】
第1抵抗50と第2抵抗52の抵抗値比が前述の要件を満たし、第1抵抗50の抵抗値(R1)と第3抵抗56の抵抗値(R3)が等しく、第2抵抗52の抵抗値(R2)と第4抵抗58の抵抗値(R4)が等しければ、電流I3が電流I4よりも大きくなるので、消費電流調整回路90においてもソース電流が流れることはない。しかし、外部電源電圧(VCC)と第1出力上限電圧の電位差が、第1出力電圧(Vout1)の下限値である第1出力下限電圧と基準電圧の電位差よりも大きい場合、各抵抗値の関係によってはソース電流が流れる場合がある。そこで電流I3が最小となる第1出力下限電圧において、電流I3が電流I4よりも大きければ、第1出力電圧(Vout1)が出力範囲で変動しても消費電流調整回路90にソース電流が流れることはない。
【0060】
すなわち、第1抵抗50と第2抵抗52の抵抗値比が、第1出力下限電圧を、外部電源電圧(VCC)と第1出力下限電圧の電位差で割った電圧比
((第1出力下限電圧/(外部電源電圧 ― 第1出力下限電圧))
以下であれば消費電流調整回路90にソース電流が流れることはない。これにより、外部電源電圧(VCC)と第1出力上限電圧の電位差が、第1出力電圧(Vout1)の下限値である第1出力下限電圧と基準電圧の電位差と等しくない場合においても物理量出力回路300全体でのソース電流の発生を防ぐことができる。
【0061】
ここで、第1出力下限電圧は例えば仕様書等で定められた仕様値である。クランプ回路等の回路構成により、第1出力電圧(Vout1)の範囲が制限されている場合は、第1出力下限電圧はクランプ電圧等の回路構成による制限値であってよい。第1出力下限電圧は、第1出力電圧(Vout1)の直線性が得られるような範囲であってよい。第1出力下限電圧は、電源電圧から電源電圧の90%の値を差し引いた値であってよく、電源電圧から電源電圧の94%の値を差し引いた値であってよく、電源電圧から電源電圧の97%の値を差し引いた値であってもよい。電源電圧は、仕様書等で定められた電源端子20に印加される電源電圧の上限値であってよく、電源10が生成する電圧であってもよい。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0063】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0064】
10・・・電源、20・・・電源端子、22・・・第1出力端子、24・・・基準端子、26・・・第2出力端子、30・・・電源電圧回路、32・・・EMCフィルタ、34・・・接続ライン、36・・・接続ライン、38・・・接続ライン、40・・・第1出力アンプ、42・・・第2出力アンプ、50・・・第1抵抗、52・・・第2抵抗、54・・・補助抵抗、56・・・第3抵抗、58・・・第4抵抗、60・・・内部回路、70・・・プルダウン抵抗、72・・・プルアップ抵抗、80・・・A/Dコンバータ、90・・・消費電流調整回路、100・・・物理量出力回路、110・・・エンジンコントロールユニット(ECU)、200・・・物理量出力回路、300・・・物理量出力回路
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量検知結果に応じた第1出力電圧を出力する物理量出力回路であって、
前記第1出力電圧を出力する第1出力端子と、
外部電源電圧が入力される電源端子と、
基準電圧が入力される基準端子と、
前記外部電源電圧から内部電源電圧を生成する電源電圧回路と、
前記電源電圧回路に接続されて前記内部電源電圧が印加され、前記基準端子に接続され前記基準電圧が印加され、前記物理量検知結果に応じた第1入力信号が入力され、前記第1入力信号に応じた前記第1出力電圧を前記第1出力端子に出力する第1出力アンプと、
前記電源端子と前記第1出力端子の間に接続されている第1抵抗と、
前記第1出力端子と前記基準端子の間に接続されている第2抵抗と
を備え、
前記外部電源電圧が定常状態の場合は、前記第1出力電圧の変動によらず、前記電源電圧回路から前記第1出力アンプへ流れる電流が一定値である物理量出力回路。
【請求項2】
前記外部電源電圧が定常状態の場合は、前記第1出力電圧の変動によらず、前記第1出力アンプから前記第2抵抗に流れる電流が0Aである
請求項1に記載の物理量出力回路。
【請求項3】
前記第1抵抗の抵抗値を前記第2抵抗の抵抗値で割った抵抗値比が、前記外部電源電圧と前記第1出力電圧の上限値である第1出力上限電圧の電位差を、前記第1出力上限電圧で割った電圧比
((外部電源電圧 ― 第1出力上限電圧)/第1出力上限電圧)
以下である
請求項1または2に記載の物理量出力回路。
【請求項4】
前記第1抵抗の前記抵抗値は0.5kΩ以上6.0kΩ以下である
請求項3に記載の物理量出力回路。
【請求項5】
前記第2抵抗の前記抵抗値は5kΩ以上60kΩ以下である
請求項3に記載の物理量出力回路。
【請求項6】
前記電源端子から第2電流を引き込む消費電流調整回路を備え、
前記消費電流調整回路は、前記第1抵抗に流れる電流である第1電流と前記第2電流の和が一定となるように、前記第1電流の変動に応じて前記第2電流を引き込む
請求項3に記載の物理量出力回路。
【請求項7】
前記消費電流調整回路は、
前記物理量検知結果に応じた第2出力電圧を出力する第2出力端子と、
前記電源電圧回路に接続されて前記内部電源電圧が印加され、前記基準端子に接続され前記基準電圧が印加され、前記物理量検知結果に応じた第2入力信号が入力され、前記第2入力信号に応じた前記第2出力電圧を前記第2出力端子に出力する第2出力アンプと、
前記電源端子と前記第2出力端子の間に接続されている第3抵抗と、
前記第2出力端子と前記基準端子の間に接続されている第4抵抗と
を有し、
前記第2出力アンプは、前記第1出力電圧と前記第2出力電圧の和が一定となるように、前記第2出力電圧を出力する
請求項6に記載の物理量出力回路。
【請求項8】
前記第1抵抗の前記抵抗値と前記第3抵抗の抵抗値が等しく、前記第2抵抗の前記抵抗値と前記第4抵抗の抵抗値が等しい
請求項7に記載の物理量出力回路。
【請求項9】
前記外部電源電圧と前記第1出力上限電圧の電位差が、前記第1出力電圧の下限値である第1出力下限電圧と前記基準電圧の電位差よりも大きい場合、
前記抵抗値比が、前記第1出力下限電圧を、前記外部電源電圧と前記第1出力下限電圧の電位差で割った電圧比
第1出力下限電圧/(外部電源電圧 ― 第1出力下限電圧))
以下である請求項8に記載の物理量出力回路。
【請求項10】
前記第2出力端子は外部回路に接続されない
請求項9に記載の物理量出力回路。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
また、図示しないが、基準端子24の接続ライン38が断線した場合は、プルアップ抵抗72によって、第1出力電圧(Vout1)は電源電圧付近の電圧となる。いずれの場合も第1出力電圧(Vout1)が通常出力範囲外の値となることによって、接続異常を検知することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
図3において、第1抵抗50に流れる電流I1は前述の通り第1出力電圧(Vout1)の変動によって変化する。第1出力電圧(Vout1)が第1出力上限電圧の場合に、電流I1は最小値となる。第1出力上限電圧は、第1出力電圧(Vou1)の上限値である。第1出力電圧(Vout1)が第1出力上限電圧の時の電流I1が、第2抵抗52に流れる電流I2よりも大きければ、第1出力電圧(Vout1)が出力範囲で変動してもソース電流が流れることはない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
一例として、第1出力アンプ40および第2出力アンプ42は、オペアンプを用いてよい。さらに、第1出力アンプ40および第2出力アンプ42は同一の構成としてよい。第2出力アンプ42は第1出力アンプ40と入力端子の反転入力と非反転入力とが逆の状態で、内部回路60に接続されてよい。よって、第1入力信号は内部回路60から出力される2つの信号のうちの一方の信号が非反転入力端子に入力され、他方の信号が反転入力端子に入力された信号である。また、第2入力信号は、内部回路60から出力される2つの信号のうちの一方の信号が反転入力端子に入力され、他方の信号が非反転入力端子に入力された信号である。この場合、第2出力アンプ42は電源端子20と第1出力端子22の電位差を第2出力電圧(Vout2)として出力する。第2出力端子26は物理量検知結果に応じた第2出力電圧(Vout2)を出力する。なお、第2出力端子26は外部回路に接続されていてもよく、接続されなくてもよい。第3抵抗56は電源端子20と第2出力端子26の間に接続されている。第4抵抗58は第2出力端子26と基準端子24の間に接続されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
すなわち、第1抵抗50と第2抵抗52の抵抗値比が、第1出力下限電圧を、外部電源電圧(VCC)と第1出力下限電圧の電位差で割った電圧比
第1出力下限電圧/(外部電源電圧 ― 第1出力下限電圧))
以下であれば消費電流調整回路90にソース電流が流れることはない。これにより、外部電源電圧(VCC)と第1出力上限電圧の電位差が、第1出力電圧(Vout1)の下限値である第1出力下限電圧と基準電圧の電位差と等しくない場合においても物理量出力回路300全体でのソース電流の発生を防ぐことができる。