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  • 特開-肩紐がずり落ちづらいリュックサック 図1
  • 特開-肩紐がずり落ちづらいリュックサック 図2
  • 特開-肩紐がずり落ちづらいリュックサック 図3
  • 特開-肩紐がずり落ちづらいリュックサック 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060536
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】肩紐がずり落ちづらいリュックサック
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/04 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A45F3/04 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167978
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】518347819
【氏名又は名称】三沢 慶子
(72)【発明者】
【氏名】三沢 慶子
【テーマコード(参考)】
2E181
【Fターム(参考)】
2E181BB03
2E181BC00
2E181BD01
(57)【要約】
【課題】
肩紐が、使用者の肩の形状を問わずにフィットし、使用者が動いてもフィットし続けることで、肩からずり落ちづらく、かつ出し入れ口に閉じ具を設置する必要のない構造のリュックサックを提供する。
【解決手段】
一対の肩紐を備えるリュックサックにおいて、リュックサック本体上部中央で背胴と前胴の面に対しておよそ垂直に立ち上がる一対の面のそれぞれに、一対の肩紐に接合する肩紐連結ベルトの面を接合し、一対の肩紐の下部一端を背胴に設置した中央が膨らむ構造のポケットに接合することで、使用者がリュックサックを背負った時に、出し入れ口が閉じると同時に、肩紐およびポケットが使用者の体の形状に沿った形状となり、かつ使用者の動作により起こるリュックサック本体の揺れを抑制することで、肩紐が肩からずり落ちづらい構造を特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の肩紐を備えたリュックサックにおいて、背胴と前胴それぞれの上部中央に、背胴と前胴の面に対しおよそ垂直になるよう設置された一対の面の各面に、一対の肩紐連結ベルトの一本ずつを、その長辺が背胴と前胴の面に対しおよそ並行となる位置関係にしたうえで中央部の面を用いて接合、または、背胴と前胴それぞれの上部中央に、背胴と前胴の面に対しおよそ垂直になるよう設置された一対の面の各面に、二対計四本の肩紐連結ベルトの一対ずつを、その長辺が背胴と前胴の面に対しおよそ並行となる位置関係にしたうえで一端の面を用いて接合することで、リュックサック本体上部中央接続部を支点として備わった4本の肩紐連結ベルトのうち、リュックサック本体の左右それぞれに向いた各二本を一組として、各一組が、一対の肩紐の各上部一端に接合する構造を特徴とするリュックサック。
【請求項2】
前記リュックサックの一対の肩紐において、肩紐それぞれの下部一端を、背胴に設けたポケットの面に接合したリュックサックであり、背胴に設けるポケットにおいては、タックなどを用いて、背胴との接合部より中央が膨らみ、背胴から迫り出るように仕立てられたポケットであり、肩紐それぞれの下部一端は、ポケットの膨らむ面において接合する構造を特徴とするリュックサックおよび請求項1に記載のリュックサック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常やビジネス、レジャー、スポーツ、救護、作業等に使用されるリュックサックであって、リュックサックに備わる一対の肩紐を、肩紐連結ベルトと、背胴に設置した膨らみを持たせたポケットに接合することにより、使用者が背負った際、肩紐が使用者の肩の形状に合った形で肩に収まり、かつ使用者の動作による肩やウエストの連続する形状の変化に合わせ続けて肩との接面を保ち、かつ使用者の動作によるリュックサック本体の揺れを抑制することで、肩紐が肩からずり落ちずらくし、かつ使用者が背負うことでリュックサック本体の出し入れ口が閉じる構造を備えるリュックサックに関する。
【背景技術】
【0002】
一対の肩紐を備えたリュックサックにおいて、一対の肩紐の上部一端は、多くの場合、背胴の上部で、背胴と面の向きを揃えた上で接合される。この接合形式においては、一対の肩紐と背胴が成す形状は固定されるため、使用者のおよその肩幅を想定したうえで接合される。その際、多くの場合、一対の肩紐は、背胴との接合部において肩紐間の間隔は狭く、もしくは隣接しており、使用者の肩に接する部分に向かって間隔が広がるようVの字形に似た形状をとる。また、一対の肩紐の下部一端は、多くの場合、背胴の左右に接合される。また、使用者の体型に合わせるための調節機能として、多くの場合、一対の肩紐には、肩紐の長さを変えられる装置が備わっている。
【0003】
上記リュックサックにおいて、使用者は、一対の肩紐の間隔が肩の形状に合わない場合、合わせるために、肩紐の長さを調節する。肩紐の長さを短くすると、肩に接する部分において肩紐の間隔が狭まり、肩紐の長さを長くすると、肩に接する部分において肩紐の間隔は広がる。一方で、肩紐の長さを肩の形状に合わせて調節すると、これによりリュックサック本体は使用者の背中において、もともとの位置から上下してしまい、背中のどの位置で背負うかの調節はできず、成り行きの位置で背負うしかない問題が発生する。
【0004】
また、上記リュックサックにおける別の問題として、肩紐を、長さの調節をもって使用者の肩の形状に合わせた状態においても、使用者に歩行や作業などの動作が伴った際に、その動作によって肩から肩紐がずり落ちやすくなる場合がある点がある。例えば使用者の体全体が左に傾いた際、荷物の入ったリュックサック本体は、使用者の体の向きと同じ向きに傾くと同時に、重力にも従うため、一対の肩紐においては、それぞれが支える重さの比率が変わり、右肩にある肩紐の方により多くの重さがかかる一方、左肩にある肩紐にかかる重さは減り、時に肩から浮く現象が起こる。使用者がリュックサックを背負う際は多くの場合動きを伴うが、姿勢の傾きや歩き方の個性等を伴う歩行や上半身を使っての作業、坂の上り下り等といった動作の連続により、両肩それぞれにおいての上下および回転運動、体全体の前後左右の傾き、背中から腰にかけての筋肉の動き等がリュックサックに振動や揺れをもたらし、この連続により起こる、一対の肩紐にかかる重さの比率の変化の連続が、肩から肩紐がずり落ちやすくなる原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-093024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一対の肩紐を備えたリュックサックにおいて、使用者の肩の左右の高低差および形状を問わず、使用者が背負った時に、一対の肩紐それぞれが使用者の左右それぞれの肩に合った位置に収まり、かつ肩紐が使用者の歩行や作業等での動作に影響されず肩との接面を保ち続けることで、肩紐が使用者の肩からずり落ちづらくなる構造を持ち、かつ使用者が背負うことでリュック本体の出し入れ口が閉まる構造を持つことで、使用者がリュックサックを背負って行動する際に肩紐のずり落ちを正したり、収容物の出し入れに閉じ具を操作する等の手間がかからないリュックサックの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一対の肩紐を備えたリュックサックにおいて、背胴と前胴それぞれの上部中央に、背胴と前胴の面に対しおよそ垂直になるよう設置された一対の面の各面に、一対の肩紐連結ベルトの一本ずつを、その長辺が背胴と前胴の面に対しおよそ並行となる位置関係にしたうえで中央部の面を用いて接合、または、背胴と前胴それぞれの上部中央に、背胴と前胴の面に対しおよそ垂直になるよう設置された一対の面の各面に、二対計四本の肩紐連結ベルトの一対ずつを、その長辺が背胴と前胴の面に対しおよそ並行となる位置関係にしたうえで一端の面を用いて接合することで、リュックサック本体上部中央接続部を支点として備わった4本の肩紐連結ベルトのうち、リュックサック本体の左右それぞれに向いた各二本を一組として、各一組が、一対の肩紐の各上部一端に接合する構造を特徴とする。
【0008】
上記リュックサックにおいて、一対の肩紐それぞれの下部一端が、背胴に設けた、タックなどを用いて中央が膨らみ、背胴から迫り出るように仕立てられたポケットの、膨らむ面に接合する構造を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるリュックサックにおいて、リュックサックの重さは、リュックサック本体上部中央接続部を支点として備わった肩紐連結ベルトの四本と、背胴のポケットに分散される。このように重さを分散させることで、使用者がリュックサックを背負って行動するときに起こる、リュックサック本体の振動や揺れが抑制され、このことにより肩紐が使用者の肩からずり落ちにくくなる。
【0010】
また、本発明にかかるリュックサックにおいて、リュックサック本体上部中央接続部を支点として備わった四本の肩紐連結ベルトは、リュックサック本体上部中央接続部を支点に、自在に立ち上がり、それぞれの肩紐連結ベルト間の距離および、背胴と前胴それぞれの上辺と成す角度は固定していない。このことにより、使用者がリュックサックを背負った際に、使用者の肩の左右の差やそれぞれの形状肩幅を問わず、一対の肩紐はそれぞれが使用者の左右の肩それぞれの状態に合った、収まりのいい位置に動いて留まる。かつ、使用者の歩行や作業等での動作による肩の上下や回転等の動きおよび背中から腰にかけての筋肉の動きによる、リュックサック本体に起こる揺れや振動に対し、肩紐連結ベルトがリュックサック本体上部中央との接続部において自在に角度を変え、肩紐が浮く現象を抑制するため、肩紐は使用者の肩との接面を保ちやすくなる。
【0011】
また、本発明にかかるリュックサックにおいて、一対の肩紐それぞれの下部一端が背胴に備えた、中央が膨らむよう仕立てたポケットの膨らむ面と接合することで、使用者が背負った際に、肩紐はポケットを斜め上前方に引き上げ、これにより背胴から迫り出したポケット面は使用者の背中から脇にかけてのカーブに沿って変形し、背中と広い接面を作り、かつ、背胴と背中との直接の接面を狭くする。このことにより、使用者の動作に呼応して起こるリュックサック本体の揺れや振動は抑制され、肩紐は使用者の肩との接面を保ちやすくなる。
【0012】
また、本発明にかかるリュックサックにおいて、リュックサック本体の出し入れ口は、使用者が背負った際に閉じるため、ファスナーや紐やバックル等の閉じ具を使用しなくても使用が可能である。
【0013】
上記により、リュックサックの出し入れ口の開閉においては、ファスナーや紐やバックルを扱うのが困難な、手に麻痺や怪我を負った使用者や、握力が弱い使用者等、および作業や幼い子供によって荷物を取り出す際に両手が使えない使用者、迅速にリュックサックの中のものを取り出す必要がある仕事に関わっている人等において、使いやすいリュックサックを提供できる。また、リュックサックの肩紐がずれ落ちにくい点においては、病気や怪我などにより左右の肩の形状が違う人や、歩行時の姿勢に傾きがある人、大きく揺れながら歩く人、大きく揺れる作業を伴う人、動作中に肩紐のずれ落ちを直すことが困難な人等において、使いやすいリュックサックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本発明のリュックサックの実施例Aであり、使用者が背負った際の肩紐連結ベルトとリュックサック本体の出し入れ口の形状を、実線で図示した背胴側斜視図である。
図2図2は、図1の実施例Aにおいて、リュックサックを置いた際の、肩紐連結ベルトとリュックサックの出し入れ口の形状を実線で図示した背胴側斜視図である。
図3図3は、本発明のリュックサックの実施例Bであり、使用者が背負った際の肩紐連結ベルトとリュックサック本体の出し入れ口の形状を、実線で図示した背胴側斜視図である
図4図4は、本発明のリュックサックの実施例Cであり、使用者が背負った際の肩紐連結ベルトとリュックサック本体の出し入れ口の形状を、実線で図示した背胴側斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
【0016】
実施例A(図1)は、肩紐連結ベルト(5a)をリュックサック本体(1a)の出し入れ口(8a)の内部に設置した場合であり、実施例B(図3)および実施例C(図4)は、肩紐連結ベルト(5b、5c)をリュックサック本体(1b、1c)の出し入れ口(8b、8c)の外部に設置した場合である。また、実施例A(図1)および実施例B(図3)は、リュックサック本体(1a、1b)に一対の肩紐連結ベルト(5a、5b)を設置した場合であり、実施例C(図4)は、リュックサック本体(1c)に二対計四本の肩紐連結ベルト(5c)を設置した場合である。
【0017】
本発明のリュックサックは、前胴(2)と背胴(3)のそれぞれの上部中央に、前胴と背胴の面に対しおよそ垂直になるよう設置された一対の面(4a、4b、4c)を有する。一対の面には、前胴と背胴の上辺に、長辺がおよそ並行となるよう配置した肩紐連結ベルト(5a、5b、5c)の面が接合されており、このうち実施例A(図1)および実施例B(図3)の場合は、一対の面(4a、4b)のそれぞれに、一対の肩紐連結ベルト(5a、5b)の一本ずつが肩紐連結ベルトの中央部分の面にて接合され、実施例C(図4)の場合は、一対の面(4c)それぞれに、二対四本の肩紐連結ベルト(5c)の一対ずつが、肩紐連結ベルトの端部分の面にて接合されている。これにより、実施例1、実施例2、実施例3のいずれにおいても、接合された肩紐連結ベルト(5a、5b、5c)は、一対の面(4a、4b、4c)の一面につき、接合面を支点に肩紐連結ベルト二本が立ち上がるようになり、かつ、一対の面に対して、立ち上がった各肩紐連結ベルトはそれぞれ独立して自在な角度で立ち上がることが可能になる。
【0018】
上記、一対の面(4a、4b、4c)の各面に接合された肩紐連結ベルト(5a、5b、5c)において、接合されていない各一端は、リュックサック本体(1a、1b、1c)の左右それぞれに向かう二本を一組とし、一対の肩紐(6)のそれぞれ上部一端に接合される。この構造により、使用者がリュックサックを背負った際に、実施例1、実施例2、実施例3のいずれにおいても、リュックサックの出し入れ口(8a、8b、8c)は、ファスナー等の閉じ具を用いない状態でも閉じた状態を保つ。
【0019】
本発明のリュックサックは、一対の肩紐(6)それぞれの下部一端が、背胴(3)に設置された、中央が膨らむ構造のポケット(7)の膨らむ面の一部に接合される。この構造により、使用者がリュックサックを背負った際に、一対の肩紐(6)はポケット(7)を斜め上前方に引き上げると同時に、ポケットは使用者の背中から脇のカーブに沿った形状に変形し、使用者との接面を広げると同時に、使用者の動作により起こるリュックサック本体の揺れを抑制する緩衝材として機能する。
【符号の説明】
【0020】
1 リュックサック本体
2 前胴
3 背胴
4 前胴と背胴の面に対し、およそ垂直となる一対の面
5 肩紐連結ベルト
6 肩紐
7 中央が膨らむ構造のポケット
8 出し入れ口
図1
図2
図3
図4