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特開2024-60550健康増進を目的に摂取して用いる稲もみ殻灰の製造方法並びに利用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060550
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】健康増進を目的に摂取して用いる稲もみ殻灰の製造方法並びに利用方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20240424BHJP
   A23K 10/37 20160101ALI20240424BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240424BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240424BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20240424BHJP
   A61K 8/25 20060101ALN20240424BHJP
   A61P 1/14 20060101ALN20240424BHJP
   A61P 31/04 20060101ALN20240424BHJP
   A61P 37/06 20060101ALN20240424BHJP
   A61K 36/899 20060101ALN20240424BHJP
【FI】
A23L7/10 Z
A23K10/37
A23L33/10
A23L2/00 F
A61Q11/00
A61K8/9794
A61K8/25
A61P1/14
A61P31/04
A61P37/06
A61K36/899
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022179154
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】510317955
【氏名又は名称】益冨 博
(72)【発明者】
【氏名】益冨 博
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B023
4B117
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AA06
2B150AA08
2B150AB03
2B150BD01
2B150BE01
2B150CA08
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD49
4B018ME02
4B018ME14
4B018MF04
4B018MF14
4B023LC09
4B023LE30
4B023LG10
4B023LP07
4B023LP20
4B117LC04
4B117LE10
4B117LG24
4B117LP17
4B117LP20
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB171
4C083AB172
4C083CC41
4C083DD22
4C083EE31
4C088AB74
4C088AC04
4C088MA16
4C088MA27
4C088MA52
4C088NA06
4C088NA14
4C088ZA69
4C088ZB08
4C088ZB35
(57)【要約】
【課題】稲のもみ殻を管理された温度で燃焼し、得られる灰を健康の維持、増進を目的に摂取して利用するにあたり、健康を増進する仕組みの確認を行った結果を灰の製造過程に反映させ、摂取目的に対してより効果のある稲もみ殻灰の製造方法、並びに製造した該稲もみ殻灰、該利用方法として稲もみ殻灰を混入させた食品や、ペット、家畜、養殖魚の飼料を提供する。
【解決手段】稲のもみ殻を供給空気量の調整を行い燃焼することで、一定温度以下で稲もみ殻灰を得た後、該稲もみ殻灰に微細化加工を行う。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
稲のもみ殻を、750℃を越えないように温度管理を行って燃焼させ、得られた稲もみ殻灰において該稲もみ殻灰に粉砕加工を施し、微細化したことを特徴とする稲のもみ殻灰の製造方法。
【請求項2】
請求項1の製造方法により製造された稲もみ殻灰。
【請求項3】
請求項2に記載の稲もみ殻灰を、経口摂取する食品に添加して用いることを特徴とする稲もみ殻灰の利用方法。
【請求項4】
請求項2に記載の稲もみ殻灰を、ペット、家畜、養殖魚の飼料に添加して用いることを特徴とする稲もみ殻灰の利用方法。
【請求項5】
請求項2に記載の稲もみ殻灰を添加したことを特徴とする歯磨き剤。
【請求項6】
請求項2に記載の稲もみ殻灰を添加しペットボトルに詰めた飲料水。
【請求項7】
請求項2に記載の稲もみ殻灰を添加しペットボトルに詰めた清涼飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康の維持・増進を目的に、経口摂取して利用する稲もみ殻の製造方法、ならびに該稲もみ殻灰を食品や飼料等に添加する等の利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流行性の呼吸器疾患に罹患した複数の猫、ケージ内で飼育されている約7千羽の採卵鶏が、自然有機物の灰を摂取したことにより健康状態を回復した現場に遭遇し、稲もみ殻灰を用いて健康状態を改善する方法にまとめ特願2019-103258を出願したが、健康増進の仕組みを解明し、効果を増した該稲もみ殻灰を提供しようとするものである。
【0003】
猫達や鶏達が摂取した自然有機物の灰は、繊維に含まれるケイ素分が燃焼により無機質の二酸化ケイ素を主成分とする骨格として残り、土の成分に似た固形の微細粉末である。健康を回復する目的で、人が土の成分に似た灰や岩石の粉末を摂取した例は知られておらず、和漢薬図鑑や本草図録のような資料にも記載されていない。猫と鶏の群れが自然有機物の灰を摂取し健康を回復した現場に偶然居合わせ灰の効果に気付き、前記の特許出願を行なった。猫達や鶏達の健康回復は、摂取した灰が小腸に作用し、自己免疫が亢進した結果と思われたが、その時点では仕組みが不明であった。
【0004】
小腸における摂取食物の消化吸収は、小腸内に常在する細菌との協働により行われていることがわかってきた。人の社会では医療技術の発達に併せ、伝統的に摂られていた食事内容が近年大きく変化したことにより、小腸内で細菌が異常に増えることが原因で、体に不快、不調を引き起こす小腸内細菌増殖症が見つかった。本症はまだ医療現場ではよく知られておらず、治療は弱い抗生剤を用いて増えた細菌を殺菌する方法が採られている。
【0005】
猫達や鶏達が有機物の灰の摂取により良好な健康状態を回復した現象の仕組みを探した結果、細菌工学の分野で、トンボやセミの透明な羽根の表面に微細な突起が存在し、接触する細菌の細胞膜を破壊することにより、殺菌機能を有することが、1980年代にオーストラリアで発見され、ミクロ世界に物理的な殺菌方法があることがわかった。「トンボ、セミの羽根」の殺菌効果によれば、灰を摂取した彼らの小腸内細菌に対し、灰が殺菌作用を発揮し減菌がなされて小腸内の細菌環境が良好になり、自己免疫が亢進したとすると平仄が合うことがわかった。
【0006】
鶏は、ケージ飼育よりも地上飼育で飼われる(地飼いの)鶏の方が健康で元気なことが知られているが、人の小腸内細菌増殖症、及び物理的な殺菌方法の存在をあてはめると、地飼いの鶏は微細な無機固形物が小腸内で接触する細菌に対し殺菌作用を生じ、減菌がなされて良好な腸内の環境が維持されるのに対し、ケージ内で濃厚な飼料を与えられている鶏達は、地飼いの鶏のように微細な無機固形物を摂ることができず、人の小腸内細菌増殖症と同様な状態にあったものと思われる。約8万羽のケージ飼育の採卵鶏の内の約7千羽が灰を飼料に混ぜて与えられ健康を回復した例に遭遇し、灰の摂取により地飼いの鶏と同様、良好な小腸内環境を取戻したことが考えられる。
【0007】
人の食事における灰を摂取例は、和漢薬図鑑や本草図録のような古典にも記載が無いが、稀な例として、自然有機物の灰の灰汁を用いて製造されていた昔のこんにゃくがある。当時のこんにゃくには、有機物の灰から灰汁を作る過程で微細な灰が灰汁中に混入していたと考えられ、腹具合を整える効果が多く知られている。小腸の細菌が関与する不快な症状は以前から存在していたものと思われ、現在ではこんにゃく製造に灰汁は使用されていないが、当時のこんにゃくは、人についても、灰を摂取した猫達や鶏達と同様な効果を発揮していたことが考えられる。
【0008】
自然有機物の灰のような微細な固形物を微量摂取すれば、小腸内で「トンボの羽根、セミの羽根効果」を発揮することが考えられ、人以外の動物では土くれの付着した食物の摂取は普通であり、健康維持に寄与していると思われる。摂取された自然有機物の灰は小腸内で消化物が流動性を有する状態において、微細な灰に接触する細菌に対し殺菌していることが考えられ、抗生剤を用いたケミカルな方法による全面殺菌と比較すると殺菌の効果は弱く、実質は減菌であるが、副作用が無く継続摂取が可能であり、鶏達は毎日摂っており、人についても昔のこんにゃくを食したと同様、良好な小腸内環境の回復、維持が可能となり、自己免疫の亢進による健康の維持に寄与することが期待される。
【0009】
灰の原料となる稲のもみ殻は、稲が吸収したケイ素を多く含んだ有機繊維により形成され、種子の玄米の長手方向に平行に繊維が並んでおり、燃焼させて残った稲もみ殻灰は、繊維に含まれていたケイ素が二酸化ケイ素になり繊維の骨格として残ったものである。稲もみ殻灰は、灰表面の繊維の断面(木口)側には二酸化ケイ素の骨格の凹凸を有する構造の微細な固形物であり、摂取されることにより、小腸において「トンボの羽根、セミの羽根効果」により、接触する細菌に対し殺菌効果を発揮する。
【0010】
温度が750℃を越えないように管理して熱処理(燃焼)した稲もみ殻灰は、無機質の非結晶質二酸化ケイ素を9割以上含有しており、残りの成分も稲のもみ殻に含まれていた無機質(アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄等)であり、微量を摂取することにより、猫達や鶏達が健康を回復、増進させた効果が得られる。小生は約3年間継続摂取しており、腹具合を含め良好な体調を維持している。
【0011】
本発明の意図するところは、副作用が無く、微量を一般の食品に添加あるいは水に混合して摂取することにより、摂取者が健康の維持、増進をもたらす物質を提供することにある。自然有機物の灰を微量摂ることにより、猫達や鶏達が健康を回復した結果を人に応用するにあたり、灰の原料として、供給量、品質、入手の難易、並びに灰が期待した機能を有することに着目し、併せ毒性の無い自然有機物として稲のもみ殻を見つけた。稲のもみ殻から得られる稲もみ殻灰は、主成分の二酸化ケイ素が難溶性であり、小腸では消化吸収されずに前述した機能を発揮した後大腸に送られ、大便として排出される。猫達や鶏達が健康を回復した仕組みを追及した結果、自然有機物の灰の固形微細粒の小腸内存在が、猫達や鶏達の効果をもたらしたこと推定され、摂取して同様な効果を発揮する物として稲もみ殻灰を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】
【0012】
特願2019-103258 もみ殻灰の製造方法並びにその利用方法
【非特許文献】
【非特許文献1】
【0013】
Gypsum & Lime No.238(1992)p.205~210
【0014】
無機マテリアル Vol.Jul.312~318(1996)
【0015】
腸内細菌の逆襲 江田 証 著 幻冬舎 2020年刊
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
健康の維持、増進を目的として経口摂取する稲もみ殻灰において、健康の維持、増進が生じる仕組みを明確にし、その仕組みを反映し、摂取して良好な効果を発揮する稲もみ殻灰を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0017】
稲のもみ殻を一定温度を越えないように燃焼させて稲もみ殻灰を生成した後、該稲もみ殻灰に粉砕加工を施し、微細化により比表面積の大きい稲もみ殻灰とする。
【発明の効果】
【0018】
稲もみ殻灰を摂取し、小腸で細菌と稲もみ殻灰の微細粒が接触して殺菌する仕組みにおいて、微細化し比表面積の大きい稲もみ殻灰を摂取することにより、細菌との接触機会が増加し、殺菌効果が良くなる。
【0019】
小腸内における細菌の増殖に起因する不快、不調に対し、本発明である稲もみ殻灰を微量摂取することにより、小腸内の細菌環境が改善され、自己免疫が亢進し体調の回復、健康を維持、増進できる。
【0020】
小腸内の細菌環境の改善により自己免疫が亢進されるため、ウィルス性の流行呼吸器疾患に罹患した猫達が灰を摂取し全匹回復した例より、ウィルス性の疾病に対する予防、罹患時の体調回復にも効果があることが推定される。
【0021】
小腸における殺菌作用を持つが、抗生剤のようなケミカルな殺菌ではないため耐性菌が発生する心配はなく、一般の食品に添加して利用できる。
【0022】
稲作に伴い発生する農業廃材である稲のもみ殻を有効活用できる。
〔図面の簡単な説明〕
【0023】
図面不添付
【発明を実施するための形態】
【0024】
燃焼温度が750℃を越えないように制御することで燃焼し、生成した稲もみ殻灰を、常温まで冷却した後、灰の細粒を再粉砕することにより本発明の稲もみ殻灰を得る。