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  • 特開-空気浮上ガイドレール装置 図1
  • 特開-空気浮上ガイドレール装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060554
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】空気浮上ガイドレール装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/02 20060101AFI20240424BHJP
   H02K 41/03 20060101ALI20240424BHJP
   F16C 32/06 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H02K41/02 C
H02K41/03 A
F16C32/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004799
(22)【出願日】2023-01-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】111139672
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523019170
【氏名又は名称】東佑達奈米系統股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ツォン クン チョン
(72)【発明者】
【氏名】トン コイ トゥン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイ チー
(72)【発明者】
【氏名】リン ウェン チョン
【テーマコード(参考)】
3J102
5H641
【Fターム(参考)】
3J102AA02
3J102BA06
3J102BA13
3J102CA19
3J102CA33
3J102CA36
3J102EA02
3J102EA06
3J102EA13
5H641BB06
5H641GG02
5H641GG26
5H641HH03
5H641JA06
5H641JA09
(57)【要約】
【課題】作成手順が簡単化され製造コストの節約が期待できる空気浮上ガイドレール装置を提供する。
【解決手段】ガイドレールユニット10と、スライダユニット20と、リニアモータユニット30と、を備える空気浮上ガイドレール装置である。ガイドレールユニット10はガイドレール体101と、ガイドレール体101と異なる材料により作成された2つの空気浮上ブロックセット102と、を有し、各ガイドレール体101は、いずれも上空気浮上ブロック16とサイド空気浮上ブロック17とを有する。リニアモータユニット30は、固定子31と、スライダユニット20のメインスライドシート21に固定されて固定子31に対して相対移動可能な可動子32とを有し、固定子31に対して相対移動することにより、スライダユニット20をガイドレールユニット10に対して相対移動させるように駆動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールユニットと、スライダユニットと、リニアモータユニットと、を備える空気浮上ガイドレール装置であって、
前記ガイドレールユニットは、
第1の材料により作成され、2つのレールシートと、該2つのレールシートの間に配置される凹陥部とを有し、且つ、各前記レールシートはいずれも上位置決定面と前記上位置決定面を横切る方向に沿って設けられるサイド位置決定面とを有するガイドレール体と、
前記ガイドレール体が有する2つの前記レールシートにそれぞれ固定装着され、且つ、前記第1の材料より硬度が高くて展延性が低い第2の材料により作成される2つの空気浮上ブロックセットと、を有し、且つ、各前記空気浮上ブロックセットは、いずれも対応する前記レールシートの前記上位置決定面に固定される上空気浮上ブロックと、対応する前記レールシートの前記サイド位置決定面に固定されるサイド空気浮上ブロックと、を有するように構成されており、
前記スライダユニットは前記ガイドレールユニットに対してスライド可能に構成されたものであり、メインスライドシートと、前記メインスライドシートを挟むように前記メインスライドシートの両側においてそれぞれ前記メインスライドシートと一体的に形成された2つのサイドスライドシートと、を有するように形成されており、更に、各前記サイドスライドシートは、いずれも対応する前記空気浮上ブロックセットにおける前記上空気浮上ブロックに隣接する第1の案内面と、対応する前記空気浮上ブロックセットにおける前記サイド空気浮上ブロックに隣接し、且つ、前記第1の案内面を横切る方向に沿って設けられる第2の案内面と、前記第1の案内面から外部空間まで延伸する第1の空気案内通路と、前記第2の案内面から外部空間まで延伸する第2の空気案内通路と、を有するように形成されており、
前記リニアモータユニットは、前記ガイドレールユニットに形成された前記凹陥部に配置され、且つ、前記ガイドレールユニットに沿って延伸する固定子と、前記スライダユニットにおける前記メインスライドシートに固定されることにより、前記固定子に対するリニア移動で前記スライダユニットを前記ガイドレールユニットに対して相対リニア移動させる可動子と、を有するように構成されていることを特徴とする空気浮上ガイドレール装置。
【請求項2】
前記ガイドレール体を構成する前記第1の材料はアルミニウムであり、前記空気浮上ブロックセットを構成する前記第2の材料は鉄であることを特徴とする請求項1に記載の空気浮上ガイドレール装置。
【請求項3】
前記ガイドレール体における各前記レールシートは、いずれも前記上位置決定面にある上収容溝と、前記サイド位置決定面にある下収容溝と、が形成されており、
各前記空気浮上ブロックセットがそれぞれ有する前記上空気浮上ブロックは、いずれも第1のT字形状交差部を有し、該第1のT字形状交差部は、対応する前記レールシートが有する前記上位置決定面に当接する外側部分と、前記外側部分に接続し、且つ、対応する前記レールシートに形成される前記上収容溝内に収容される挿入部分と、を有するように構成されており、
各前記空気浮上ブロックセットがそれぞれ有する前記サイド空気浮上ブロックは、いずれも第2のT字形状交差部を有し、該第2のT字形状交差部は、対応する前記レールシートにおける前記サイド位置決定面に当接する第1部分と、前記第1部分に接続し、且つ、対応する前記レールシートにおける前記下収容溝内に収容される第2部分 と、により構成されることを特徴とする請求項2に記載の空気浮上ガイドレール装置。
【請求項4】
前記ガイドレールユニットにおける前記ガイドレール体は、
前記レールシートの下部に接続されるレールベースと、
前記レールベースを貫通してからそれぞれが対応する前記レールシートにある前記上収容溝まで延伸する2つの第1の固定孔と、
前記凹陥部からそれぞれが対応する前記レールシートを貫通して該対応の前記レールシートにある前記下収容溝まで延伸する2つの第2の固定孔と、を更に有するように構成され、
各前記空気浮上ブロックセットがそれぞれ有する前記上空気浮上ブロックは、前記外側部分から前記挿入部分まで延伸する第1のねじ穴を有するように形成され、
各前記空気浮上ブロックセットがそれぞれ有する前記サイド空気浮上ブロックは、前記第1部分から前記第2部分まで延伸する第2のねじ穴を有するように形成されており、
前記ガイドレールユニットは、各前記第1の固定孔に対応して挿通してそれぞれが対応する前記空気浮上ブロックセットが有する前記上空気浮上ブロックに形成される前記第1のねじ穴に係合する2つの第1のボルトと、各前記第2の固定孔に対応して挿通してそれぞれが対応する前記空気浮上ブロックセットが有する前記サイド空気浮上ブロックに形成される前記第2のねじ穴に係合する2つの第2のボルトと、を更に有することを特徴とする請求項3に記載の空気浮上ガイドレール装置。
【請求項5】
前記ガイドレール体における各前記レールシートは、いずれも、前記上位置決定面と前記サイド位置決定面とに連続するターニング面と、
前記サイド位置決定面に隣接し、且つ、前記上位置決定面から離れた箇所に形成される第1の溝と、が更に形成されることを特徴とする請求項1に記載の空気浮上ガイドレール装置。
【請求項6】
前記スライダユニットにおける各前記サイドスライドシートは、いずれも、前記第1の案内面と前記第2の案内面との間に形成され、且つ、対応する前記レールシートが有する前記ターニング面に隣接する第2の溝と、前記第1の案内面から離れるように前記第2の案内面から延伸し、且つ、対応する前記レールシートが有する前記第1の溝に隣接する延伸面と、を有するように形成されることを特徴とする請求項5に記載の空気浮上ガイドレール装置。
【請求項7】
前記メインスライドシート及び各前記サイドスライドシート内に延伸し、且つ、各前記サイドスライドシートが有する各前記第1の空気案内通路及び各前記第2の空気案内通路に連通するメイン空気通路を更に有するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の空気浮上ガイドレール装置。
【請求項8】
前記ガイドレール体に形成される前記凹陥部は、溝底面と、前記溝底面の反対する両側端にそれぞれ接する2つの溝側面と、により画成され、更に、前記溝底面には、前記ガイドレールユニットに沿って延伸する位置決定溝が形成されており、
前記空気浮上ガイドレール装置は、前記ガイドレールユニットに沿って前記位置決定溝に配置され、且つ、前記スライダユニットの位置を検知可能に構成された2つのセンサを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の空気浮上ガイドレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガイドレール装置に関し、特に、空気浮上ガイドレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ガイドレール体と、リニアモータと、スライドキャリッジと、を備えた従来の空気浮上ガイドレール装置の一例が記載されている。該従来の空気浮上ガイドレール装置が備えるガイドレール体は、蟻継ぎ交差部を有する。スライドキャリッジは、上スライドキャリッジ体と、上スライドキャリッジ体の反対する両側にそれぞれ接続される2つのサイドスライドキャリッジ体と、を有する。上スライドキャリッジ体内に2つの上スロットルが配置され、各サイドスライドキャリッジ体には、それぞれサイドスロットルが1つ配置されている。上スライドキャリッジ体は2つのサイドスライドキャリッジ体と共に、それらの間にガイドレール体が収容される蟻継ぎ状の収容空間を画成する。リニアモータは固定子と可動子とを有する。固定子は固定子接続部材によりガイドレール体に固定され、可動子は可動子接続部材により上スライドキャリッジ体に固定される。該従来の空気浮上ガイドレール装置において、ガイドレール体はアルミニウム材料に対して表面処理を行って作成されたものである。具体的には、アルミニウム押出成形処理と、コンピュータ数値制御(CNC)による加工処理と、研磨処理と、硬質陽極酸化処理と、極低温処理と、高精度研磨処理と、の一連のプロセスを行う必要がある。しかし、作成するガイドレール体の必要なサイズに対し、硬質陽極酸化処理と極低温処理において使用される容器のサイズが比較的に小さいので、硬質陽極酸化処理と極低温処理を行う際のコストと難易度と所要時間が高くなっている問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第209830882号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、従来技術の少なくとも1つの欠点を解決する空気浮上ガイドレール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく、本発明は、ガイドレールユニットと、スライダユニットと、リニアモータユニットと、を備える空気浮上ガイドレール装置であって、
前記ガイドレールユニットは、
第1の材料により作成され、2つのレールシートと、該2つのレールシートの間に配置される凹陥部とを有し、且つ、各前記レールシートはいずれも上位置決定面と前記上位置決定面を横切る方向に沿って設けられるサイド位置決定面とを有するガイドレール体と、
前記ガイドレール体が有する2つの前記レールシートにそれぞれ固定装着され、且つ、前記第1の材料より硬度が高くて展延性が低い第2の材料により作成される2つの空気浮上ブロックセットと、を有し、且つ、各前記空気浮上ブロックセットは、いずれも対応する前記レールシートの前記上位置決定面に固定される上空気浮上ブロックと、対応する前記レールシートの前記サイド位置決定面に固定されるサイド空気浮上ブロックと、を有するように構成されており、
前記スライダユニットは前記ガイドレールユニットに対してスライド可能に構成されたものであり、メインスライドシートと、前記メインスライドシートを挟むように前記メインスライドシートの両側においてそれぞれ前記メインスライドシートと一体的に形成された2つのサイドスライドシートと、を有するように形成されており、更に、各前記サイドスライドシートは、いずれも対応する前記空気浮上ブロックセットにおける前記上空気浮上ブロックに隣接する第1の案内面と、対応する前記空気浮上ブロックセットにおける前記サイド空気浮上ブロックに隣接し、且つ、前記第1の案内面を横切る方向に沿って設けられる第2の案内面と、前記第1の案内面から外部空間まで延伸する第1の空気案内通路と、前記第2の案内面から外部空間まで延伸する第2の空気案内通路と、を有するように形成されており、
前記リニアモータユニットは、前記ガイドレールユニットに形成された前記凹陥部に配置され、且つ、前記ガイドレールユニットに沿って延伸する固定子と、前記スライダユニットにおける前記メインスライドシートに固定されることにより、前記固定子に対するリニア移動で前記スライダユニットを前記ガイドレールユニットに対して相対リニア移動させる可動子と、を有するように構成されていることを特徴とする空気浮上ガイドレール装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の空気浮上ガイドレール装置は、ガイドレール体を作成する材料と、ガイドレールユニットの各空気浮上ブロックセットを作成する材料とが異なるので、ガイドレール体を作成する際、硬質陽極酸化処理と極低温処理は不要となる。従って、本発明の空気浮上ガイドレール装置の作成手順は簡単化され、製造コストの節約が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の空気浮上ガイドレール装置の1つの実施例の構成が示される断面図である。
図2図1におけるII‐II線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
具体的説明に入る前に、本発明において同じ役割を担う構成要素に関しては、全く同じものでなくても、同じ符号が振り分けられている。また、以下の説明における「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」などの用語は、各部材の間の相対的位置関係をわかりやすく説明するために用いられるものであり、本発明の構成を限定するものではない。
【0009】
図1図2に示されるように、本発明の空気浮上ガイドレール装置の一例は、ガイドレールユニット10と、スライダユニット20と、リニアモータユニット30と、2つのセンサ40(図1にはその1つしか示されていない)と、を備える。
【0010】
ガイドレールユニット10は、第1の材料により作成されたガイドレール体101と、 ガイドレール体101の2つのレールシート12にそれぞれ固定され、且つ、第2の材料により作成された2つの空気浮上ブロックセット102と、2つの第1のボルト103と、2つの第2のボルト104と、を有するように構成されている。
【0011】
第2の材料は、第1の材料より硬度が高くて展延性が低いものが選択される。この実施例において、第1の材料はアルミニウムであり、第2の材料は鉄である。ガイドレール体101は、レールベース11と、レールベース11と一体的にレールベース11の両側に形成される2つのレールシート12と、を有し、且つ、2つのレールシート12の間にある凹陥部13と、2つの第1の固定孔14と、2つの第2の固定孔15と、が形成される。特に、レールベース11は、2つのレールシート12の下部に一体的に形成される。
【0012】
各レールシート12は、いずれも凹陥部13に隣接する上表面121と、上表面121に接続し、且つ、上表面121に対して斜めになっている上位置決定面122と、上位置決定面122に形成されている上収容溝123と、上位置決定面122を横切る方向に沿って設けられるサイド位置決定面125と、上位置決定面122とサイド位置決定面125との間にあってこれら両方に接するターニング面124と、サイド位置決定面125に形成されている下収容溝126と、サイド位置決定面125に隣接し、且つ、上位置決定面122から離れた位置に形成されている第1の溝127と、を有する。各レールシート12において、第1の溝127は、サイド位置決定面125に対して加工を行う研磨機材に触れないようにするために形成されたものである。
【0013】
ガイドレール体101に形成される凹陥部13は、溝底面131と、溝底面131の両側にある2つの溝側面132とにより画成され、そして溝底面131には、ガイドレールユニット10に沿って延伸する位置決定溝133が形成されている。ちなみに、位置決定溝133の数については、1本に限らず、必要に応じて本数を変更することができる。
【0014】
各第1の固定孔14は、いずれもレールベース11と、対応する1つのレールシート12を通過して該対応のレールシート12に形成される上収容溝123 まで延伸し、且つ太径孔部と、該太径孔部より細い細径孔部と、を有する。
【0015】
各第2の固定孔15は、いずれも凹陥部13から対応するレールシート12を通過して該対応のレールシート12に形成される下収容溝126まで延伸し、且つ太径孔部と、該第2の固定孔15が有する太径孔部より細い細径孔部と、を有する。
【0016】
各空気浮上ブロックセット102は、いずれも対応するレールシート12の上位置決定面122に固定される上空気浮上ブロック16と、該対応のレールシート12のサイド位置決定面125に固定されるサイド空気浮上ブロック17と、を有する。各空気浮上ブロックセット102がそれぞれ有する上空気浮上ブロック16は、いずれも第1のT字形状交差部を有し、そしてこの第1のT字形状交差部は、対応のレールシート12の上位置決定面122に当接する外側部分161と、該外側部分161と一体的に形成され、且つ、該対応のレールシート12の上収容溝123内に収容される挿入部分162とを有する上、外側部分161から挿入部分162まで延伸する第1のねじ穴163が形成されている。各空気浮上ブロックセット102がそれぞれ有するサイド空気浮上ブロック17は、いずれも第2のT字形状交差部を有し、そしてこの第2のT字形状交差部は、対応のレールシート12のサイド位置決定面125に当接する第1部分171と、該第1部分171と一体的に形成され、且つ、該対応のレールシート12の下収容溝126内に収容される第2部分172とを有する上、第1部分171から第2部分172までまで延伸する第2のねじ穴173が形成されている。
【0017】
各第1のボルト103はいずれも対応する1つの第1の固定孔14を通過してから対応する空気浮上ブロックセット102が有する上空気浮上ブロック16に形成される第1のねじ穴163に係合する。
【0018】
各第2のボルト104はいずれも対応する1つの第2の固定孔15を通過してから対応する空気浮上ブロックセット102が有するサイド空気浮上ブロック17に形成される第2のねじ穴173に係合する。
【0019】
スライダユニット20は、ガイドレールユニット10に対してスライド可能に構成されている。スライダユニット20は、メインスライドシート21と、メインスライドシート21と一体的に形成された2つのサイドスライドシート22と、メイン空気通路23と、を有するように形成されている。これらのサイドスライドシート22は、メインスライドシート21の両側とそれぞれ一体的に連結してレールシート12を挟む構成になっている。メイン空気通路23は、メインスライドシート21及び2つのサイドスライドシート22を通過する。各サイドスライドシート22は、いずれも対応する空気浮上ブロックセット102の上空気浮上ブロック16に隣接するように配置される第1の案内面221と、第1の案内面221を横切り、且つ、対応の空気浮上ブロックセット102のサイド空気浮上ブロック17に隣接するように配置される第2の案内面222と、第1の案内面221を外部空間と空間的に連通させる第1の空気案内通路24と、第2の案内面222を外部空間と空間的に連通させる第2の空気案内通路25と、第1の案内面221と第2の案内面222との間に形成され、且つ、対応のレールシート12のターニング面124に隣接する第2の溝223と、第1の案内面221から離れるように第2の案内面222から延伸し、且つ、対応のレールシート12の第1の溝127 に隣接する延伸面224と、を有するように形成されている。メイン空気通路23は、第1の空気案内通路24及び第2の空気案内通路25と連通することにより、各サイドスライドシート22と第1の空気案内通路24と第2の空気案内通路25とは、それぞれメイン空気通路23を経由して第1の案内面221と第2の案内面222とを外部空間と空間的に連通させることができるように構成される。各サイドスライドシート22において、第2の溝223は、第2の案内面222に対して加工を行う研磨機材に触れないようにするために形成されたものである。
【0020】
リニアモータユニット30は、ガイドレールユニット10の凹陥部13に取り付けられ、且つ、ガイドレールユニット10に沿って延伸する固定子31と、スライダユニット20のメインスライドシート21に固定するように取り付けられる可動子32と、を有する。可動子32が固定子31に対して相対移動することにより、スライダユニット20を駆動し、ガイドレールユニット10に対して相対移動するようになる。また、この実施例において、固定子31は溝底面131に取り付けられる。
【0021】
図2に示されるように、2つのセンサ40は、位置決定溝133のガイドレールユニット10に沿った両端にそれぞれ取り付けられ、ガイドレールユニット10に対して移動するスライダユニット20の位置を検知するように構成される。この実施例において、各センサ40は複数のネジにより位置決定溝133に固定されるが、センサ40を固定する手段に関しては、ネジに限定されることなく、他の固定手段を利用することも当然可能である。
【0022】
以下では本発明の空気浮上ガイドレール装置のこの実施形態が作動する状態について詳しく説明する。
【0023】
図1に示されるように、組み立てられたこの実施形態の空気浮上ガイドレール装置において、各空気浮上ブロックセット102がそれぞれ有する各上空気浮上ブロック16と各サイド空気浮上ブロック17は、複数の第1のボルト103と複数の第2のボルト104により、各レールシート12のガイドレール体101に固定され、スライダユニット20はガイドレールユニット10に配置される。各サイドスライドシート22が有する第1の案内面221と対応の空気浮上ブロックセット102が有する上空気浮上ブロック16との間には、幅が約0.01mmの隙間がある。各サイドスライドシート22が有する第2の案内面222と対応の空気浮上ブロックセット102が有するサイド空気浮上ブロック17との間には、幅が約0.01mmの隙間がある。各第1の案内面221と対応の上空気浮上ブロック16との間、及び各第2の案内面222と対応のサイド空気浮上ブロック17との間にあるこれらの隙間の存在により、これらの隙間にガスフィルムが生成されるようになり、第1の案内面221は対応の空気浮上ブロックセット102の上空気浮上ブロック16と接触できなくなり、第2の案内面222も対応の空気浮上ブロックセット102のサイド空気浮上ブロック17と接触できなくなる。
【0024】
リニアモータユニット30が起動されると、高圧空気がメイン空気通路23に導入されると共に、各第1の空気案内通路24に流れ込んで各第1の案内面221と対応の上空気浮上ブロック16との間にある隙間と、各第2の空気案内通路25と対応のサイド空気浮上ブロック17との間にある隙間とに案内されてガスフィルムを生成する。従って、このように生成されるガスフィルムはエアベアリングとしての役割を果たし、スライダユニット20はガイドレールユニット10に対してスムーズに相対移動できるようになる。
【0025】
更に、リニアモータユニット30及び各センサ40の働きにより、スライダユニット20のガイドレールユニット10に対する相対位置が検知できるようになり、これに基づいてスライダユニット20のストロークを制御することができる。
【0026】
更に、本発明において、ガイドレール体101を作成する材料と、ガイドレールユニット10の各空気浮上ブロックセット102を作成する材料とは異なる。すなわち、第1の材料は第2の材料より展延性が高く、そして第2の材料は第1の材料より硬度が高いので、ガイドレール体101を作成する際、アルミニウム押出成形処理を経たガイドレール体101の半製品にカットもしくは研磨処理が行われて各レールシート12に上位置決定面122とサイド位置決定面125とが形成され、そして各第1の固定孔14と各第2の固定孔15も形成される。それから、各空気浮上ブロックセット102が有する上空気浮上ブロック16とサイド空気浮上ブロック17がガイドレール体101の各レールシート12にそれぞれ取り付けられ、且つ、高精度の研磨処理が行われてガイドレールユニット10が完成される。このように、ガイドレール体101を作成する際、硬質陽極酸化処理と極低温処理は不要となる。従って、本発明の空気浮上ガイドレール装置の作成手順は簡単化され、製造コストの節約が期待できる。
【0027】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 ガイドレールユニット
101 ガイドレール体
102 空気浮上ブロックセット
103 第1のボルト
104 第2のボルト
11 レールベース
12 レールシート
121 上表面
122 上位置決定面
123 上収容溝
124 ターニング面
125 サイド位置決定面
126 下収容溝
127 第1の溝
13 凹陥部
131 溝底面
132 溝側面
133 位置決定溝
14 第1の固定孔
15 第2の固定孔
16 上空気浮上ブロック
161 外側部分
162 挿入部分
163 第1のねじ穴
17 サイド空気浮上ブロック
171 第1部分
172 第2部分
173 第2のねじ穴
20 スライダユニット
21 メインスライドシート
22 サイドスライドシート
221 第1の案内面
222 第2の案内面
223 第2の溝
224 延伸面
23 メイン空気通路
24 第1の空気案内通路
25 第2の空気案内通路
30 リニアモータユニット
31 固定子
32 可動子
40 センサ
図1
図2