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特開2024-60575パッケージ構造、装置及びその形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060575
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】パッケージ構造、装置及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20240424BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20240424BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20240424BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H04R17/00
B81B3/00
B81C1/00
H04R1/10
【審査請求】有
【請求項の数】53
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146289
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】18/048,027
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/444,577
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/358,907
(32)【優先日】2023-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521287935
【氏名又は名称】エクスメムス ラブズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】羅 烱成
(72)【発明者】
【氏名】張 浩新
(72)【発明者】
【氏名】陳 文健
(72)【発明者】
【氏名】張 俊▲いー▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 昭瑜
(72)【発明者】
【氏名】▲温▼ 海宏
【テーマコード(参考)】
3C081
5D004
【Fターム(参考)】
3C081AA13
3C081AA17
3C081BA01
3C081BA22
3C081BA30
3C081BA45
3C081BA46
3C081BA48
3C081BA55
3C081CA29
3C081CA32
3C081CA45
3C081DA03
3C081DA04
3C081DA29
3C081EA21
5D004AA01
5D004AA02
(57)【要約】
【課題】 歩留まり率が高く、高性能な音生成セルを含むパッケージ構造を提供すること。
【解決手段】 パッケージ構造はカバーと、カバー内に配置されるセルとを含む。セルは膜、作動層及びアンカー構造を含む。膜は第1の膜サブパート及び第2の膜サブパートを含み、第1の膜サブパートと、第2の膜サブパートとは上面から見た場合互いに反対にある。作動層は上面視方向に第1の膜サブパート及び第2の膜サブパートに配置されている。膜はアンカー構造によって固定されている。第1の膜サブパートは、完全に又は部分的に固定された第1の固定端を含み、第1の固定端以外の第1の膜サブパートの端部は固定されていない。第2の膜サブパートは、完全に又は部分的に固定された第2の固定端を含み、第2の固定端以外の第2の膜サブパートの端部は固定されていない。
【選択図】 図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーと、
前記カバー内に配置されるセルであって、該セルは、
第1の膜サブパート及び第2の膜サブパートを含む膜であって、該第1の膜サブパート及び該第2の膜サブパートは、上面視方向に沿って見た場合に互いに反対にあり、該第1の膜サブパートと該第2の膜サブパートとは、該上面視方向に対して垂直な第1の方向において互いに反対にある、膜と、
前記上面視方向において、前記第1の膜サブパート及び前記第2の膜サブパートに配置される作動層と、
アンカー構造であって、前記膜は該アンカー構造によって固定されている、アンカー構造と、
を含む、セルと、
を含むパッケージ構造であって、
前記第1の膜サブパートは、前記アンカー構造によって完全に又は部分的に固定されるために、前記アンカー構造に完全に又は部分的に接続される第1の固定端を含み、該第1の固定端以外の前記第1の膜サブパートの端部は固定されておらず、
前記第2の膜サブパートは、前記アンカー構造によって完全に又は部分的に固定されるために、前記アンカー構造に完全に又は部分的に接続される第2の固定端を含み、該第2の固定端以外の前記第2の膜サブパートの端部は固定されていない、パッケージ構造。
【請求項2】
前記カバーは上部構造及び側壁を含み、該上部構造は前記膜に対して実質的に平行であり、該上部構造に第1のカバー開口が形成されている、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項3】
前記カバーは上部構造及び側壁を含み、該側壁に第1のカバー開口が形成されている、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項4】
前記カバーは上部構造及び側壁を含み、該上部構造は前記膜に対して実質的に平行であり、該上部構造に複数の第1のカバー開口が形成されている、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項5】
前記膜の第1の比は2より大きく、前記膜の第1の比は、上面視した場合の前記膜の第1の辺の第1の長さと前記膜の第2の辺の第2の長さとの比である、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項6】
前記膜は、
前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間に前記第1の方向に形成される第1のスリットであって、該第1のスリットによって前記第1の膜サブパートの第1の非固定端が画定され、該第1の非固定端は前記第1の方向において前記第1の固定端の反対側にある、第1のスリットと、
第2のスリットであって、該第2のスリットによって前記第1の膜サブパートの第2の非固定端が画定され、該第2の非固定端は前記第1の固定端に隣接する、第2のスリットと、
を含む、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項7】
前記セルの隅に配置される凹部構造であって、該凹部構造は、剥離プロセスの間に該凹部構造に加えられる応力を分散するように構成されている、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項8】
前記セルの四隅に配置される4つの凹部構造を含み、該4つの凹部構造は、剥離プロセスの間に該凹部構造に加えられる応力を分散するように構成されている、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項9】
前記膜は、前記第1の膜サブパート及び前記第2の膜サブパートの移動距離を制限するように構成されたラッチ構造を含み、
前記移動距離は、前記セルが配置されるベースの法線方向に沿った距離である、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項10】
前記膜は、前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間に直接接続される第1のバネをさらに含む、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項11】
前記膜は、
上面視した場合に、前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間で前記セルの第1の側によって配置される第3の膜サブパート、
を含み、
前記第3の膜サブパートは、前記セルの第1の側での音響漏れを低減するように構成され、
前記第3の膜サブパートは固定された第3の固定端を含み、該第3の固定端以外の前記第3の膜サブパートの端部は固定されていない、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項12】
前記第1の固定端は部分的に固定され、
前記第1の固定端は少なくとも1つの固定部及び少なくとも1つの非固定部分を含み、該少なくとも1つの固定部は固定され、該少なくとも1つの非固定部は固定されておらず、
前記第1の固定端の前記少なくとも1つの非固定部は、前記第1の膜サブパートが作動された場合に、前記セルが配置されるベースの法線方向の方に動く、請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項13】
ハウジングと、
請求項1に記載のパッケージ構造と、
を含む装置。
【請求項14】
前記装置は、ヘッドホン、イヤホン又はイヤバッズである、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
パッケージ構造の形成方法であって、
セルを製造するために製造方法を行うことであって、該製造方法は、
第1の層及び第2の層を含むウエハを提供することと、
少なくとも1つのトレンチラインを形成するために前記ウエハの第1の層をパターニングすることと、
カバー内に前記セルを配置することと、
を含み、
前記第1の層は、前記セルのアンカー構造によって固定される膜を含み、前記少なくとも1つのトレンチラインにより、少なくとも1つのスリットが前記膜に形成され、前記膜を貫通し、
前記膜は第1の膜サブパート及び第2の膜サブパートを含み、該第1の膜サブパート及び該第2の膜サブパートは、上面視方向に沿って見た場合に互いに反対にあり、該第1の膜サブパート及び該第2の膜サブパートは該上面視方向に垂直な第1の方向において互いに反対にあり、
前記第1の膜サブパートは、前記アンカー構造によって完全に又は部分的に固定されるために、前記アンカー構造に完全に又は部分的に接続される第1の固定端を含み、該第1の固定端以外の前記第1の膜サブパートの端部は固定されておらず、
前記第2の膜サブパートは、前記アンカー構造によって完全に又は部分的に固定されるために、前記アンカー構造に完全に又は部分的に接続される第2の固定端を含み、該第2の固定端以外の前記第2の膜サブパートの端部は固定されていない、
形成方法。
【請求項16】
前記カバー内に前記セルを配置する前に、前記カバーに第1のカバー開口を形成することをさらに含み、
前記カバーは上部構造及び側壁を含み、該上部構造は前記膜と実質的に平行であり、前記第1のカバー開口は前記上部構造に形成される、請求項15に記載の形成方法。
【請求項17】
前記カバー内に前記セルを配置する前に、前記カバーに第1のカバー開口を形成することをさらに含み、
前記カバーは上部構造及び側壁を含み、前記第1のカバー開口は該側壁に形成される、請求項15に記載の形成方法。
【請求項18】
前記カバー内に前記セルを配置する前に、前記カバーに複数の第1のカバー開口を形成することをさらに含み、
前記カバーは上部構造及び側壁を含み、該上部構造は前記膜と実質的に平行であり、前記第1のカバー開口は該上部構造に形成される、請求項15に記載の形成方法。
【請求項19】
前記セルの製造方法は、
前記セルの隅に凹部構造を形成すること、
をさらに含む、請求項15に記載の形成方法。
【請求項20】
前記セルの製造方法は、
前記第1の膜サブパート及び前記第2の膜サブパートの移動距離を制限するように構成されたラッチ構造を形成すること、
をさらに含み、
前記移動距離は、前記セルが配置されるベースの法線方向に沿った距離である、請求項15に記載の形成方法。
【請求項21】
前記セルの製造方法は、
前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間にバネを形成すること、
をさらに含む、請求項15に記載の形成方法。
【請求項22】
前記セルの製造方法は、
前記膜が第3の膜サブパート及び第4の膜サブパートをさらに含むように、前記ウエハの第1の層をパターニングすること、
をさらに含み、
前記第3の膜サブパートは、前記セルの第1の側で音響漏れを低減するように構成され、
前記第4の膜サブパートは、前記セルの第2の側で音響漏れを低減するように構成されている、請求項15に記載の形成方法。
【請求項23】
前記セルの製造方法は、
前記第1の膜サブパートに少なくとも1つの第1の内側スリット及び少なくとも1つの第2の内側スリットを形成すること、
をさらに含み、
前記第1の固定端は部分的に固定され、
前記第1の固定端は少なくとも1つの固定部及び少なくとも1つの非固定部を含み、
前記第1の固定端の少なくとも1つの非固定部は、前記少なくとも1つの第1の内側スリットによって画定され、
前記少なくとも1つの固定部及び前記少なくとも1つの非固定部は、前記少なくとも1つの第2の内側スリットにしたがって分割されている、請求項15に記載の形成方法。
【請求項24】
装置の形成方法であって、
請求項15に記載の形成方法によりパッケージ構造を形成することと、
表面実装技術を介して、ハウジングを含む前記装置に前記パッケージ構造を組み付けることと、
を含む形成方法。
【請求項25】
第1の膜サブパート及び第2の膜サブパートを含む膜であって、該第1の膜サブパート及び該第2の膜サブパートは互いに反対にある、膜と、
前記第1の膜サブパート及び前記第2の膜サブパートに配置される作動層と、
を含む音生成セルであって、
前記第1の膜サブパートは、完全に又は部分的に固定されている第1の固定端を含み、該第1の固定端以外の前記第1の膜サブパートの端部は固定されておらず、
前記第2の膜サブパートは、完全に又は部分的に固定されている第2の固定端を含み、該第2の固定端以外の前記第2の膜サブパートの端部は固定されていない、音生成セル。
【請求項26】
前記膜の第1の比は2より大きく、前記膜の第1の比は、前記膜の第1の辺の第1の長さと前記膜の第2の辺の第2の長さとの比である、請求項25に記載の音生成セル。
【請求項27】
前記膜は、
前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間に形成される第1のスリットであって、該第1のスリットによって前記第1の膜サブパートの第1の非固定端が画定され、上面から見た場合に、該第1の非固定端は前記第1の固定端の反対側にある、第1のスリットと、
第2のスリットであって、該第2のスリットによって前記第1の膜サブパートの第2の非固定端が画定され、該第2の非固定端は前記第1の固定端に隣接する、第2のスリットと、
を含む、請求項25に記載の音生成セル。
【請求項28】
前記第1の膜サブパートの第1の非固定端及び前記第2の膜サブパートの第3の非固定端は前記第1のスリットにより画定され、上面から見た場合に、前記第2の膜サブパートの第3の非固定端は前記第2の膜サブパートの第2の固定端の反対側にある、請求項27に記載の音生成セル。
【請求項29】
前記音生成セルの隅に配置される凹部構造であって、該凹部構造は、剥離プロセスの間に該凹部構造に加えられる応力を分散するように構成されている、請求項25に記載の音生成セル。
【請求項30】
前記膜は隅領域にスリット区画を含み、前記凹部構造は該スリット区画に直接接続されている、請求項29に記載の音生成セル。
【請求項31】
前記凹部構造は湾曲パターンを有する、請求項29に記載の音生成セル。
【請求項32】
前記音生成セルの四隅に配置される4つの凹部構造を含み、該4つの凹部構造は、剥離プロセスの間に該凹部構造に加えられる応力を分散するように構成されている、請求項25に記載の音生成セル。
【請求項33】
前記膜は、前記第1の膜サブパート及び前記第2の膜サブパートの移動距離を制限するように構成されたラッチ構造を含み、
前記移動距離は、前記音生成セルが配置されるベースの法線方向に沿った距離である、請求項25に記載の音生成セル。
【請求項34】
前記ラッチ構造は第1のラッチコンポーネント及び第2のラッチコンポーネントを含み、該第1のラッチコンポーネントは前記第1の膜サブパートの一部であり、該第2のラッチコンポーネントは前記第2の膜サブパートの一部である、請求項33に記載の音生成セル。
【請求項35】
前記膜は、
前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間に形成される第1のスリット、
をさらに含み、
前記ラッチ構造の少なくとも一部は前記第1のスリットにより形成されている、請求項33に記載の音生成セル。
【請求項36】
前記膜は、前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間に直接接続される第1のバネをさらに含む、請求項25に記載の音生成セル。
【請求項37】
前記膜は、
前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間に形成される少なくとも1つのスリット、
をさらに含み、
前記第1のバネの少なくとも一部は前記少なくとも1つのスリットにより形成されている、請求項36に記載の音生成セル。
【請求項38】
前記少なくとも1つのスリットのうちの1つはフック状の湾曲パターンを含む、請求項37に記載の音生成セル。
【請求項39】
前記膜は、
上面視した場合に、前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間で前記音生成セルの第1の側によって配置される第3の膜サブパート、
を含み、
前記第3の膜サブパートは、前記音生成セルの第1の側での音響漏れを低減するように構成され、
前記第3の膜サブパートは固定された第3の固定端を含み、該第3の固定端以外の前記第3の膜サブパートの端部は固定されていない、請求項25に記載の音生成セル。
【請求項40】
前記膜は、
上面視した場合に、前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間で前記音生成セルの第2の側によって配置される第4の膜サブパート、
を含み、
前記第4の膜サブパートは、前記音生成セルの第2の側での音響漏れを低減するように構成され、
前記第4の膜サブパートは固定された第4の固定端を含み、該第4の固定端以外の前記第4の膜サブパートの端部は固定されていない、請求項39に記載の音生成セル。
【請求項41】
前記膜は、
前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間に形成される第1のスリットであって、前記第1の膜サブパートの第1の非固定端は該第1のスリットによって画定され、該第1の非固定端は前記第1の固定端の反対側にある、第1のスリットと、
前記第1の膜サブパートと前記第3の膜サブパートとの間に形成される第2のスリットであって、前記第1の膜サブパートの第2の非固定端及び前記第3の膜サブパートの第4の非固定端は該第2のスリットによって画定され、前記第1の膜サブパートの第2の非固定端は前記第1の膜サブパートの第1の固定端に隣接し、前記第3の膜サブパートの第4の非固定端は前記第3の膜サブパートの第3の固定端に隣接する、請求項39に記載の音生成セル。
【請求項42】
前記膜は、
前記第1の膜サブパートと前記第3の膜サブパートとの間に直接接続される第2のバネ、
をさらに含む、請求項39に記載の音生成セル。
【請求項43】
少なくとも1つのサイドスリットが前記第3の膜サブパートに形成され、作動層は前記第3の膜に配置されていない、請求項39に記載の音生成セル。
【請求項44】
前記第1の固定端は部分的に固定され、
前記第1の固定端は少なくとも1つの固定部及び少なくとも1つの非固定部を含み、該少なくとも1つの固定部は固定され、該少なくとも1つの非固定部は固定されておらず、
前記第1の固定端の前記少なくとも1つの非固定部は、前記第1の膜サブパートが作動された場合に、前記音生成セルが配置されるベースの法線方向の方に動く、請求項25に記載の音生成セル。
【請求項45】
前記第1の膜サブパートは少なくとも1つの第1の内側スリット及び少なくとも1つの第2の内側スリットを有し、
前記第1の固定端の少なくとも1つの非固定部は前記少なくとも1つの第1の内側スリットによって画定され、
前記少なくとも1つの第2の内側スリットは前記第1の固定端から第1のスリットの方に延び、
前記第1のスリットは前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間に形成され、前記第1の膜サブパートの非固定端は前記第1のスリットによって画定される、請求項44に記載の音生成セル。
【請求項46】
前記第1の膜サブパートは、前記第1の固定端から前記第1のスリットの方に延びる2つの第2の内側スリットを含み、
前記作動層の一部は前記2つの第2の内側スリットの間に配置されている、請求項45に記載の音生成セル。
【請求項47】
前記少なくとも1つの固定部と前記少なくとも1つの非固定部とは、前記少なくとも1つの第1の内側スリットにしたがって分割されている、請求項45に記載の音生成セル。
【請求項48】
音生成セルの製造方法であって、
第1の層及び第2の層を含むウエハを提供することと、
少なくとも1つのトレンチラインを形成するために前記ウエハの第1の層をパターニングすることと、
基材上に前記ウエハを配置することと、
を含み、
前記第1の層は膜を含み、前記少なくとも1つのトレンチラインにより、少なくとも1つのスリットが前記膜に形成され、前記膜を貫通し、
前記膜は第1の膜サブパート及び第2の膜サブパートを含み、該第1の膜サブパート及び該第2の膜サブパートは互いに反対にあり、
前記第1の膜サブパートは、完全に又は部分的に固定された第1の固定端を含み、該第1の固定端以外の前記第1の膜サブパートの端部は固定されておらず、
前記第2の膜サブパートは、完全に又は部分的に固定された第2の固定端を含み、該第2の固定端以外の前記第2の膜サブパートの端部は固定されていない、
製造方法。
【請求項49】
前記音生成セルの隅に凹部構造を形成すること、
をさらに含む、請求項48に記載の製造方法。
【請求項50】
前記第1の膜サブパート及び前記第2の膜サブパートの移動距離を制限するように構成されたラッチ構造を形成すること、
をさらに含み、
前記移動距離は、前記音生成セルが配置されるベースの法線方向に沿った距離である、請求項48に記載の製造方法。
【請求項51】
前記第1の膜サブパートと前記第2の膜サブパートとの間にバネを形成すること、
をさらに含む、請求項48に記載の製造方法。
【請求項52】
前記膜が第3の膜サブパート及び第4の膜サブパートをさらに含むように、前記ウエハの第1の層をパターニングすること、
をさらに含み、
前記第3の膜サブパートは、前記音生成セルの第1の側で音響漏れを低減するように構成され、
前記第4の膜サブパートは、前記音生成セルの第2の側で音響漏れを低減するように構成されている、請求項48に記載の製造方法。
【請求項53】
前記第1の膜サブパートに少なくとも1つの第1の内側スリット及び少なくとも1つの第2の内側スリットを形成すること、
をさらに含み、
前記第1の固定端は部分的に固定され、
前記第1の固定端は少なくとも1つの固定部及び少なくとも1つの非固定部を含み、
前記第1の固定端の少なくとも1つの非固定部は、前記少なくとも1つの第1の内側スリットによって画定され、
前記少なくとも1つの固定部及び前記少なくとも1つの非固定部は、前記少なくとも1つの第2の内側スリットにしたがって分割されている、請求項48に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ構造、装置及びその形成方法に関し、より具体的には、歩留まり率が高く及び/又は高性能な音生成セルを含むパッケージ構造、該パッケージ構造を含む装置、該パッケージ構造の形成方法及び該装置の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(微細電気機械システム)マイクロスピーカ等のマイクロ音生成装置は、それらの小さいサイズから様々な電子装置で用いることができるため、マイクロ音生成装置は近年急速に開発されている。例えば、MEMSマイクロスピーカは、少なくとも1つの半導体プロセスにより形成されるアクチュエータとして薄膜圧電材料及び膜としてシリコン含有層を用いり得る。マイクロスピーカがより広範に用いられるようにするために、業界は歩留まり率が高く、高性能なマイクロスピーカを設計することに取り組んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0100033号明細書
【特許文献2】米国特許第11350217号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0018218号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/0121449号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0121450号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明の主たる目的は、歩留まり及び性能を高めるための特定のスリット設計及び/又は特定の凹部設計を有する音生成セルを含むパッケージ構造を提供し、このパッケージ構造の形成方法を提供することである。本発明は、このパッケージ構造を含む装置を提供し、この装置の形成方法も提供する。
【0005】
本発明の一実施形態は、カバーと、カバー内に配置されるセルとを含むパッケージ構造を提供する。セルは膜、作動層及びアンカー構造を含む。膜は第1の膜サブパート及び第2の膜サブパートを含み、第1の膜サブパートと、第2の膜サブパートとは上面視方向に沿って見た場合に互いに反対にあり、第1の膜サブパート及び第2の膜サブパートは上面視方向に対して垂直な第1の方向において互いに反対にある。作動層は上面視方向に第1の膜サブパート及び第2の膜サブパートに配置されている。膜はアンカー構造によって固定されている。第1の膜サブパートは、アンカー構造によって完全に又は部分的に固定されるために完全に又は部分的にアンカー構造に接続される第1の固定端を含み、第1の固定端以外の第1の膜サブパートの端部は固定されていない。第2の膜サブパートは、アンカー構造によって完全に又は部分的に固定されるために完全に又は部分的にアンカー構造に接続される第2の固定端を含み、第2の固定端以外の第2の膜サブパートの端部は固定されていない。
【0006】
本発明の別の実施形態は、ハウジングと、上記のパッケージ構造とを含む装置を提供する。
【0007】
本発明の別の実施形態は、パッケージ構造の形成方法を提供する。形成方法は、セルを製造するために製造方法を行うことと、カバー内にセルを配置することとを含む。セルの製造方法は、第1の層及び第2の層を含むウエハを提供することと、少なくとも1つのトレンチラインを形成するために前記ウエハの第1の層をパターニングすることと、を含む。前記第1の層は、前記セルのアンカー構造によって固定される膜を含み、前記少なくとも1つのトレンチラインにより、少なくとも1つのスリットが前記膜に形成され、前記膜を貫通する。前記膜は第1の膜サブパート及び第2の膜サブパートを含み、該第1の膜サブパート及び該第2の膜サブパートは、上面視方向に沿って見た場合に互いに反対にあり、該第1の膜サブパート及び該第2の膜サブパートは該上面視方向に垂直な第1の方向において互いに反対にある。前記第1の膜サブパートは、前記アンカー構造によって完全に又は部分的に固定されるために、前記アンカー構造に完全に又は部分的に接続される第1の固定端を含み、該第1の固定端以外の前記第1の膜サブパートの端部は固定されていない。前記第2の膜サブパートは、前記アンカー構造によって完全に又は部分的に固定されるために、前記アンカー構造に完全に又は部分的に接続される第2の固定端を含み、該第2の固定端以外の前記第2の膜サブパートの端部は固定されていない。
【0008】
本発明の別の実施形態は、装置の形成方法を提供する。形成方法は、上記の形成方法によりパッケージ構造を形成することと、表面実装技術を介して、ハウジングを含む装置にパッケージ構造を組み付けることとを含む。
【0009】
本発明のこれらの及び他の目的は、様々な図及び図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者にとって間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。
図2図2は、図1における領域R1の構造を示す拡大概略図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る音生成セルの製造方法の異なるステップにおける構造を示す概略図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る音生成セルの製造方法の異なるステップにおける構造を示す概略図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る音生成セルの製造方法の異なるステップにおける構造を示す概略図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る音生成セルの製造方法の異なるステップにおける構造を示す概略図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る音生成セルの製造方法の異なるステップにおける構造を示す概略図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る音生成セルの製造方法の異なるステップにおける構造を示す概略図である。
図9図9は、本発明の第2の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。
図10図10は、図9における領域R2の構造を示す拡大概略図である。
図11図11は、本発明の第3の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。
図12図12は、本発明の第4の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。
図13図13は、本発明の第5の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。
図14図14は、本発明の第6の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。
図15図15は、図14における領域R3の構造を示す拡大概略図である。
図16図16は、本発明の第7の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。
図17図17は、本発明の第8の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。
図18図18は、本発明の第9の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。
図19図19は、本発明の第9の実施形態に係る音生成セルを示す概略断面図である。
図20図20は、本発明の第10の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。
図21図21は、本発明の一実施形態に係るパッケージ構造を示す概略図である。
図22図22は、図21に示すパッケージ構造を示す底面図である。
図23図23は、図21に示すパッケージ構造を示す概略断面図である。
図24図24は、本発明の一実施形態に係るパッケージ構造を示す概略図である。
図25図25は、本発明の一実施形態に係るパッケージ構造を示す概略断面図である。
図26図26は、図を示す概略断面図である。
図27図27は、本発明の一実施形態に係るパッケージ構造を示す概略図である。
図28図28は、図27に示すパッケージ構造を示す概略断面図である。
図29図29は、本発明の一実施形態に係る装置を示す概略断面図である。
図30図30は、本発明の一実施形態に係る装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のより良い理解を当業者に提供するために、好ましい実施形態と、主要コンポーネントの一般的な材料又は範囲パラメータを以下の説明で詳述する。本発明のこれらの好ましい実施形態は、その内容及び実現すべき効果を詳述するために、番号付きの要素と共に添付の図面に示す。なお、図面は簡略化された概略図であり、主要コンポーネントの材料及びパラメータ範囲は、本発明の基本構造、実施又は操作方法についてのより明確な説明を提供するための今日の技術に基づく例示であり、本発明に関連するコンポーネント及び組み合わせのみを示す。コンポーネントは実際にはより複雑なことがあり、用いられるパラメータ又は材料の範囲は、将来の技術の進歩に応じて進化し得る。加えて、説明を容易にするために、図面に示すコンポーネントは、それらの実際の数、形状及び寸法を表さないことがあり、詳細は、設計要件にしたがって調整され得る。
【0012】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「含む」、「包含する」及び「有する」という用語はオープンエンドな形で用いられているため、「・・・限定されないが、含む」を意味すると解釈すべきである。そのため、本発明の説明で「含む」、「包含する」及び/又は「有する」という用語が用いられている場合、対応する特徴、領域、ステップ、動作及び/又はコンポーネントの存在を挙げ得るが、対応する1つ又は複数の特徴、領域、ステップ、動作及び/又はコンポーネントの存在に限定されない。
【0013】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「B1コンポーネントがC1により/から形成されている」場合、B1コンポーネントの形成にC1が存在するか又はB1コンポーネントの形成にC1が用いられ、B1コンポーネントの形成に、1つ又は複数の他の特徴、領域、ステップ、動作及び/又はコンポーネントの存在及び使用は排除されない。
【0014】
以下において、「水平方向」という用語は、水平面に平行な方向を概して意味し、「水平面」という用語は、図面における方向X及び方向Yと平行な面を概して意味し、「垂直方向」及び「上面視方向」という用語は、図面においる方向Zと平行な方向を概して意味し、方向X、方向Y及び方向Zは互いに垂直である。以下において、「上面図」及び「底面図」という用語は、垂直方向に沿った視覚結果を概して意味し、「側面図」という用語は、水平方向に沿った視覚結果を概して意味する。
【0015】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「実質的に」という用語は、小さな偏差が存在し得るか、存在しないことを概して意味する。例えば、「実質的に平行」及び「実質的に沿って」という用語は、2つのコンポーネント間の角度が、特定の角度の閾値、例えば、10度、5度、3度又は1度以下であることを意味する。例えば、「実質的に整列した」という用語は、2つのコンポーネント間の偏差が特定の差異の閾値、例えば、2μm又は1μm以下であり得る。例えば、「実質的に同じ」という用語は、偏差が所与の値又は範囲の10%以内であることを意味するか又は所与の値又は範囲の5%、3%、2%、1%又は0.5%以内であることを意味する。
【0016】
第1、第2の、第3の等の用語は、多様なコンポーネントを説明するために用いられ得るが、そのようなコンポーネントは係る用語によって限定されない。係る用語は、明細書においてあるコンポーネントを別のコンポーネントから区別するためのみに用いられ、明細書に説明がなければ場合、係る用語は製造の順番に関係しない。特許請求の範囲でも同じ用語が用いられ得るが、要素が記載される順序に関して、第1、第2の、第3の等の用語を用いり得る。したがって、以下の説明では、第1の構成要素は、特許請求の範囲における第2の構成要素であり得る。
【0017】
なお、以下に説明する異なる実施形態における技術的特徴は、本発明の精神を逸脱することなく、他の実施形態を構成するために、互いに置き換え、再結合又は混合することができる。
【0018】
本発明では、音生成セルは、信号(例えば、電気信号又は他の適切な種類の信号)を音波に変換する音響変換を行い得る。一部の実施形態では、音生成セルは、限定されないが、電気信号を音波に変換するために、音生成装置、スピーカ、マイクロスピーカ又は他の適切な装置内のコンポーネントであり得る。なお、音生成セルの動作とは、音生成セルによって音響変換が行われることを意味する(例えば、音波は電気駆動信号で音生成セルを作動させることによって生成される)。
【0019】
音生成セルの使用において、音生成セルはベース上に配置され得る。ベースは硬いものでも、柔軟なものでもよく、ベースは、シリコン、ゲルマニウム、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、金属、ポリマー(例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET))、任意の他の適切な材料又はそれらの組み合わせを含み得る。一例として、ベースは、限定されないが、ラミネート(例えば、銅張積層板、CCL)を含む回路基板、ランドグリッドアレイ(LGA)基板又は導電性材料を含む任意の他の好適な基板であり得る。なお、ベースの法線方向は、図面の方向Zと平行であり得る。
【0020】
図1及び図2を参照して、図1は、本発明の第1の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図であり、図2は、図1における領域R1の構造を示す拡大概略図である。図1に示すように、音生成セル100は膜110と、膜110の外側にある少なくとも1つのアンカー構造120とを含み、膜110は、アンカー構造120によって固定されるようにアンカー構造120に接続されている。例えば、膜110は、限定されないが、アンカー構造120によって取り囲まれ得る。
【0021】
音生成セル100の動作では、膜110が動くように作動させることができる。この実施形態では、膜110が作動されて、限定されないが上方向及び下方向に動かされ得る。なお、本発明では、「上方向に動く」及び「下方向に動く」という用語は、膜110が実質的に方向Zに沿って動くことを表す。音生成セル100の動作の間に、アンカー構造120は固定され得る。すなわち、アンカー構造120は、音生成セル100の動作の間に膜110に対する固定端(又は固定縁)であり得る。
【0022】
膜110の形状は要件に基づいて設計され得る。一部の実施形態では、膜110の形状は、限定されないが、多角形(すなわち、長方形又は面取りされた長方形)、湾曲端を有する形状又は他の適切な形状であり得る。例えば、図1に示す膜110の形状は面取りされた長方形であり得るが、このような構成に限定されない。
【0023】
膜110及びアンカー構造120は、任意の適切な材料を含み得る。一部の実施形態では、膜110及びアンカー構造120は、限定されないが、シリコン(例えば、単結晶シリコン又は多結晶シリコン)、シリコン化合物(例えば、炭化ケイ素又は酸化ケイ素)、ゲルマニウム、ゲルマニウム化合物(例えば、窒化ガリウム又はヒ化ガリウムなど)、ガリウム、ガリウム化合物又はそれらの組み合わせを個別に含み得る。膜110及びアンカー構造120の材料は同じであっても、異なっていてもよい。
【0024】
本発明では、膜110は複数のサブパートを含み得る。図1に示すように、膜110は、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114を含み、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114は、上から見た場合互いに反対にあり(すなわち、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114は、上面視方向(すなわち、方向Z)に垂直な水平方向(例えば、方向Y)で互い反対にある)、第1の膜サブパート112の一方の端部のみがアンカー構造120に接続されることにより固定され、第2の膜サブパート114の一方の端部のみがアンカー構造120に接続されることにより固定され、第1の膜サブパート112の他端及び第2の膜サブパート114の他端は固定されておらず、アンカー構造120に接続されていない(以下では、これらの端部を「非固定端」という)。すなわち、図1では、第1の膜サブパート112の第1の固定端112aは、第1の膜サブパート112の固定されている唯一の端部であり、第2の膜サブパート114の第2の固定端114aは、第2の膜サブパート114の固定されている唯一の端部であり、第1の膜サブパート112は第1の固定端112aのみを介してアンカー構造120に直接接続され、第2の膜サブパート114は第2の固定端114aのみを介してアンカー構造120に直接接続されている。本発明では、第1の固定端112a及び第2の固定端114aは完全に又は部分的に固定され得る。例えば、図1に示す実施形態では、第1の固定端112a及び第2の固定端114aは完全に固定されている。
【0025】
図1に示すように、膜110は複数のスリットSLを有し、膜110はスリットSLによりサブパートに分割され得る。本発明では、スリットSLは少なくとも1つの直線パターン、少なくとも1つの曲線パターン又はそれらの組み合わせを有してもよく、スリットSLの幅は十分に小さくなければならない。例えば、スリットSLの幅は、限定されないが、1μm~5μmの範囲であり得る。
【0026】
図1及び図2では、膜110は第1のスリットSL1、少なくとも1つの第2のスリットSL2及び少なくとも1つの第3のスリットSL3を有してもよく、第1のスリットSL1は、第1の膜サブパート112と第2の膜サブパート114との間に形成され、第2のスリットSL2は、第1の膜サブパート112とアンカー構造120との間に形成され、第3のスリットSL3は、第2の膜サブパート114とアンカー構造120との間に形成され、第2のスリットSL2の端部は、(図2に示す)膜110の隅領域CRに位置してもよく、第3のスリットSL3の端部は、膜110の別の隅領域CRに位置し得る。例えば、図1において、膜110は、直線状の1つの第1のスリットSL1、2つの第2のスリットSL2及び2つの第3のスリットSL3を有してもよく、第1の膜サブパート112は、上から見た場合2つの第2のスリットSL2の間にあってもよく、第2の膜サブパート114は、上から見た場合2つの第3のスリットSL3の間にあり得るが、このような構成に限定されない。
【0027】
図1において、各サブパートの非固定端は、スリットSLによって得られ得る。第1の膜サブパート112に関して、上から見た場合第1の固定端112aの反対側にある第1の非固定端112n1は第1のスリットSL1によって定義され、第1の固定端112aに隣接する第2の非固定端112n2は、第2のスリットSL2によって定義される。第2の膜サブパート114に関して、上から見た場合第2の固定端114aの反対側の第3の非固定端114n3は、第1のスリットSL1によって定義され、第2の固定端114aに隣接する第4の非固定端114n4は、第3のスリットSL3によって定義され得る。
【0028】
本発明では、膜110のサブパートの形状は要件に基づいて設計されてもよく、膜110のサブパートの形状は多角形(すなわち、長方形)、湾曲した端を有する形状又は他の適切な形状であり得る。例えば、図1では、第1の膜サブパート112の形状及び第2の膜サブパート114の形状は実質的に長方形であり、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114は実質的に一致し得るが、これ限定されない。そのため、図1では、第2の非固定端112n2は、第1の非固定端112n1及び第1の固定端112aに隣接し且つそれらの間にあり、第4の非固定端114n4は、第3の非固定端114n3及び第2の固定端114aに隣接し且つそれらの間にあり得るが、このような構成に限定されない。図1では、第2のスリットSL2及び第3のスリットSL3は第1のスリットSL1に接続されている。例えば、第1のスリットSL1は、限定されないが、2つの第2のスリットSL2の間に接続され、2つの第3のスリットSL3の間に接続され得る。
【0029】
第1の膜サブパート112の形状及び第2の膜サブパート114の形状は実質的に長方形であり得るため、第1の固定端112a、第1の非固定端112n1、第2の固定端114a及び第3の非固定端114n3は互いに実質的に平行であり、実質的に同じ長さを有し、第2の非固定端112n2及び第4の非固定端114n4は互いに実質的に平行であり(すなわち、方向Xに平行)、実質的に同じ長さを有し得る。すなわち、第1の非固定端112n1及び第3の非固定端114n3を定義する第1のスリットSL1は、第1の固定端112a及び第2の固定端114aと平行である。
【0030】
一部の実施形態では、図1において、第2のスリットSL2と第3のスリットSL3とが組み合わされて長い直線のスリットを形成するように第2のスリットSL2及び第3のスリットSL3は接続され得るが、このような構成に限定されない。
【0031】
図1に示すように、第1の膜サブパート112の第1の固定端112aは、膜110の端部のうちの1つであり、第2の膜サブパート114の第2の固定端114aは、膜110の端部のうちの別の端部である。第1の膜サブパート112の第2の非固定端112n2は、膜110の端部のうちの1つであってもいいしなくてもよく、第2の膜サブパート114の第4の非固定端114n4は、膜110の端部のうちの1つであってもいいし、なくてもよい。例えば、図1において、上から見た場合、第2のスリットSL2が第1の膜サブパート112と膜110の端部のうちの1つとの間にあり、上から見た場合、第3のスリットSL3が第2の膜サブパート114と膜110の端部のうちの1つとの間にあるように、第1の膜サブパート112の第2の非固定端112n2は膜110の端部でなくてもよく、第2の膜サブパート114の第4の非固定端114n4は膜110の端でなくてもよいが、このような構成に限定されない。
【0032】
なお、スリットSLは膜110の残留応力をリリースしてもよく、残留応力は膜110の製造プロセスの間に生じるか又は膜110に元来存在する。
【0033】
音生成セル100は、方向Zに膜110上に配置され、膜110を作動させるように構成された作動層130を含み得る。一部の実施形態では、図1に示すように、作動層130は上から見た場合膜110と完全に重なっていなくてもよい。例えば、図1において、作動層130は第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114上に配置され、作動層130は上から見た場合第1の膜サブパート112の一部及び第2の膜サブパート114の一部と重なり得る。任意で、図1において、作動層130はアンカー構造120上に配置されて重なり、作動層130は膜110のサブパートの固定端と重なり得るが、このような構成に限定されない。
【0034】
図1に示すように、スリットSL及び作動層130の信頼性を高めるために、上から見た場合、作動層130とスリットSLとの間に距離が存在し得るが、このような構成に限定されない。
【0035】
作動層130は、方向Zに沿って膜110の動きに関して単調な電気機械変換機能を有するアクチュエータを含み得る。一部の実施形態では、作動層130は、限定されないが、圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ、ナノスケール静電駆動(NED)アクチュエータ、電磁アクチュエータ又は任意の他の適切なアクチュエータを含み得る。例えば、一実施形態では、作動層130は圧電アクチュエータを含んでもよく、圧電アクチュエータは、2つの電極、電極間に配置された圧電材料層(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、PZT)等を含んでもよく、圧電材料層は、電極によって受信された駆動信号(例えば、駆動電圧)に基づいて膜110を作動させ得るが、このような構成に限定されない。例えば、別の実施形態では、作動層130は電磁アクチュエータ(例えば、平面コイル)を含んでもよく、電磁アクチュエータは、受信された駆動信号(例えば、駆動電流)及び磁場に基づいて膜110を作動し得るが(すなわち、膜110は電磁力によって作動され得る)、そのような構成に限定されない。例えば、さらに別の実施形態では、作動層130は静電アクチュエータ(例えば、導電プレート)又はNEDアクチュエータを含んでもよく、静電アクチュエータ又はNEDアクチュエータは、受信された駆動信号及び静電場に基づいて膜110を作動し得るが(すなわち、膜110は静電気力によって作動され得る)、そのような構成に限定されない。
【0036】
膜110は作動層130によって方向Zに沿って動くように作動され、それにより音響変換を行う。すなわち、膜110のサブパートが作動されて、音響変換が行われるように上下運動を行う。なお、音波は、作動層130によって作動される膜110の動きによって生成され、膜110の動きは音波の音圧レベル(SPL)に関係する。
【0037】
サブパートが上下運動を行うと、方向Zの開口が形成され、全ての非固定端に隣接し得る。例えば、音生成セル100の動作において、第1の膜サブパート112の第1の非固定端112n1と第2の膜サブパート114の第3の非固定端114n3との間に中央開口が形成され、第1の膜サブパート112の第2の非固定端112n2とアンカー構造120との間及び第2の膜サブパート114の第4の非固定端114n4とアンカー構造120との間にそれぞれ側部開口が形成され得る。
【0038】
膜110のサブパートは、要件に基づいて同じ方向又は反対方向に沿って移動する。一部の実施形態では、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114は、第1の膜サブパート112と第2の膜サブパート114との間に大きな中央開口が形成されるのを回避するために、方向Zに同期して上下に動き得る(すなわち、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114は同じ方向に動くように作動され得る)が、このような構成に限定されない。
【0039】
作動層130は、受信した駆動信号に基づいて音波を生成するように膜110を作動させ得る。音波は入力音声信号に対応し、作動層130に印加される駆動信号は入力音声信号に対応する(関連する)。
【0040】
なお、音生成セル100(又は膜110)の短辺は、より高い共振周波数を得るのに有利であり、音生成セル100(又は膜110)の長辺はSPLを大きくするのに有利であり得る。つまり、短辺の長さに対する長辺の長さの比であるアスペクト比が大きい音生成セル100(又は膜110)は、アスペクト比が小さいセルに比べて、より高い共振周波数及びより大きなSPLの両方を実現でき得る。音生成セル100(又は膜110)のアスペクト比は、実用的な要件に依存し得る。例えば、音生成セル100の性能を高めるために、音生成セル100(又は膜110)のアスペクト比は2より大きくてもよいが、このような構成に限定されない。
【0041】
以下では、音生成セル100の製造方法の詳細をさらに例示して説明する。なお、以下の製造方法では、音生成セル100の作動層130は、例えば圧電アクチュエータを含み得るが、このような構成に限定されない。音生成セル100の作動層130には、任意の適切な種類のアクチュエータを含むことができる。
【0042】
以下の製造方法では、形成プロセスは原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)及び他の適切なプロセス又はそれらの組み合わせを含み得る。パターニングプロセスは、フォトリソグラフィ、エッチングプロセス、任意の他の適切なプロセス又はそれらの組み合わせ等を含み得る。
【0043】
図3図8を参照して、図3図8は、本発明の一実施形態に係る音生成セルの製造方法の異なるステップにおける構造を示す概略図である。この実施形態では、音生成セル100は、限定されないが、MEMSチップになるように少なくとも1つの半導体プロセスによって製造され得る。図3に示すように、ウエハWFが準備され、ウエハは第1の層WL1及び第2の層WL2を含み、任意で第1の層WL1と第2の層WL2との間に絶縁層WL3を含み得る。
【0044】
第1の層WL1、絶縁層WL3及び第2の層WL2は、ウエハWFが任意の適切な種類となるように、個々に任意の適切な材料を含み得る。例えば、第1の層WL1及び第2の層WL2は、限定されないが、個々にシリコン(例えば、単結晶シリコン又は多結晶シリコン)、シリコン化合物(例えば、炭化ケイ素、酸化ケイ素)、ゲルマニウム化合物、ガリウム、ガリウム化合物(例えば、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム)又はそれらの組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、ウエハWFがシリコンオンインシュレータ(SOI)ウエハになるように第1の層WL1が単結晶シリコンを含み得るが、そのような構成に限定されない。例えば、絶縁層WL3は、限定されないが、酸化シリコン(例えば、二酸化ケイ素)等の酸化物を含み得る。第1の層WL1、絶縁層WL3及び第2の層WL2の厚さは、要件に基づいて個別に調整され得る。
【0045】
図3では、ウエハWFの上側に補償酸化物層CPSが任意で形成されてもよく、該上側は、第2の層WL2と反対の第1の層WL1の上面WL1aよりも上であり、第1の層WL1が補償酸化物層CPSと第2の層WL2の間にある。補償酸化物層CPSに含まれる酸化物の材料及び補償酸化物層CPSの厚さは、要件に基づいて設計され得る。
【0046】
図3では、第1の導電層CT1及び作動材料AMが、ウエハWFの上側に(第1の層WL1上)に順番に形成され、第1の導電層CT1は、作動材料AMと第1の層WL1との間にあり得る。一部の実施形態では、第1の導電層CT1が作動材料AMと接触し得る。
【0047】
第1の導電層CT1は任意の適切な導電材料を含み、作動材料AMは任意の適切な材料を含み得る。一部の実施形態では、第1の導電層CT1は金属(白金等)を含み、作動材料AMは圧電材料を含み得るが、このような構成に限定されない。例えば、圧電材料は、限定されないが、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)材料等を含み得る。さらに、第1の導電層CT1及び作動材料AMの厚さは、要件に基づいて個別に調整され得る。
【0048】
次に、図3において、作動材料AM、第1の導電層CT1及び補償酸化物層CPSが順次パターニングされ得る。
【0049】
図4に示すように、作動材料AM上に分離絶縁層SILが形成され、パターニングされ得る。分離絶縁層SILの厚さ及び分離絶縁層SILの材料は、要件に基づいて設計され得る。例えば、分離絶縁層SILの材料は、限定されないが酸化物であり得る。
【0050】
図4に示すように、作動材料AM及び分離絶縁層SILの上に第2の導電層CT2が形成され、その後、第2の導電層CT2がパターニングされ得る。第2の導電層CT2の厚さ及び第2の導電層CT2の材料は、要件に基づいて設計され得る。例えば、第2の導電層CT2は、限定されないが、金属(白金等)を含み得る。例えば、第2の導電層CT2は作動材料AMと接触し得る。
【0051】
作動材料AM、第1の導電層CT1及び第2の導電層CT2は、作動層130が2つの電極を含む圧電アクチュエータと、2つの電極間に作動材料AMを有するように、音生成セル100の作動層130内の副層であり得る(例えば、第1の導電層CT1及び第2の導電層CT2は、作動層130でそれぞれ第1の電極及び第2の電極として機能する)。
【0052】
図4において、分離絶縁層SILは、第1の導電層CT1の少なくとも一部を第2の導電層CT2の少なくとも一部から分離するように構成され得る。
【0053】
図5に示すように、ウエハWFの第1の層WL1は、トレンチ線TLを形成するためにパターニングされ得る。図5では、トレンチ線TLは、第1の層WL1が除去された部分である。すなわち、トレンチ線TLは、第1の層WL1の2つの部分の間にある。
【0054】
図6に示すように、基板SB及び接着層AL上にウエハWFが配置され、接着層ALは基板SBとウエハWFの第1の層WL1との間に接着される。図6では、作動層130は、ウエハWFと基板SBとの間にある。このステップにより、ウエハWFの第1の層WL1及びウエハWFの上側の構造(すなわち、ウエハWFの上面WL1aよりも上の構造)は後続のステップで保護され得る。
【0055】
図7に示すように、第2の層WL2がアンカー構造120を形成し、第1の層WL1がアンカー構造120に固定される膜110を形成するように、ウエハWFの第2の層WL2がパターニングされ得る。具体的には、ウエハWFの第2の層WL2は第1の部分及び第2の部分を有し、第2の層WL2の第1の部分は除去され、第2の層WL2の第2の部分はアンカー構造120を形成し得る。第2の層WL2の第1の部分が除去されるため、第1の層WL1は膜110を形成し、膜110は上から見た場合第2の層WL2の除去された第1の部分に対応する。例えば、第2の層WL2の第1の部分は、限定されないが、反応性イオンエッチング(DRIE)プロセスによって除去され得る。なお、膜110のサブパート(例えば、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114)は、トレンチ線TLを形成するためにウエハWFの第1の層WL1をパターニングする場合に決定される。
【0056】
任意で、図7では、ウエハWFの絶縁層WL3が存在するため、ウエハWFの第2の層WL2をパターニングした後に、第1の層WL1が膜110を形成するように、第2の層WL2の第1の部分に対応する絶縁層WL3の一部が除去され得るが、このような構成に限定されない。
【0057】
さらに、図7では、第2の層WL2の第2の部分、第2の層WL2の第2の部分に重なる絶縁層WL3の部分及び第2の層WL2の第2の部分に重なる第1の層WL1の部分は、アンカー構造120として機能するために組合され得る。
【0058】
図8に示すように、適切なプロセスにより基板SB及び接着層ALを除去することで、音生成セル100の製造が完了する。例えば、基板SB及び接着層ALは、限定されないが剥離プロセスにより除去され得る。
【0059】
図8では、第2の層WL2の第1の部分は、第1の層WL1に含まれる膜110を形成するために除去されるため、トレンチ線TLにより、膜110内にスリットSLが形成され、膜を貫通する。スリットSLはトレンチ線TLによって形成されるため、トレンチ線TLの幅は、スリットSLの要件に基づいて設計され得る。例えば、トレンチ線TLの幅は、スリットSLが所望の幅を有するように、限定されないが、5μm以下、3μm以下又は2μm以下であり得る。
【0060】
本発明の音生成セル及びその製造方法は、上記の実施形態に限定されない。本発明の他の実施形態を以下で説明する。比較を容易にするため、以下では同じ構成要素には同じ参照符号を付す。以下の説明は各実施形態の相違点に関連し、重複する部分については繰り返し説明しない。
【0061】
図9及び図10を参照して、図9は本発明の第2の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図であり、図10は、図9における領域R2の構造を示す拡大概略図である。図9及び図10に示すように、本実施形態と第1の実施形態との相違点は、本実施形態の音生成セル200は、音生成セル200の隅且つ膜110の外側に配置される凹部構造RSを含み、凹部構造RSは膜110の隅領域CR内のスリット区画SLsに直接接続されている点である。図9に示す実施形態では、音生成セル200は、限定されないが、音生成セル200の四隅且つ膜110の外側に配置された4つの凹部構造RSを含み得る。
【0062】
隅領域CR内のスリット区画SLsは、第2のスリットSL2又は第3のスリットSL3に接続されたスリットSLであり得るか又は隅領域CR内のスリット区画SLsは、第2のスリットSL2の一部又は第3のスリットSL3の一部であり得る。スリット区画SLsは曲線パターン、直線パターン又はそれらの組み合わせを有し得る。例えば、図10では、隅領域CRに位置する第2のスリットSL2の端部と、凹部構造RSとの間にスリット区画SLsが接続され、スリット区画SLsは、限定されないが、曲線パターンを有し得る。
【0063】
図9及び図10に示すように、凹部構造RSは、アンカー構造120上且つ音生成セル200の隅に形成され得る。例えば、音生成セル200は、第1の層WL1と、第1の層WL1の下に配置される第2の層WL2とを有し(例えば、図8)、第1の層WL1の一部は膜110として機能するように構成され(すなわち、第1の層WL1は膜110を含み得る)、第1の層WL1の別の部分は膜110を取り囲み、第2の層WL2と組み合わされてアンカー構造120となり、膜110の隅領域CRのスリット区画SLsは第1の層WL1を通過し、凹部構造RSは第1の層WL1を通過し、アンカー構造120(例えば、第2の層WL2)に属する底部を有し得るが、このような構成に限定されない。この場合、音生成セル200の製造方法については、膜110のスリットSL及び凹部構造RSは同じプロセス(同じエッチングプロセス)でパターニング(エッチング)され得る。
【0064】
図9及び図10に示すように、凹部構造RSは曲線パターンを有していてもよく、凹部構造RSの曲線パターンは要件に基づいて設計され得る。例えば、図10では、隅領域CRのスリット区画SLs及び凹部構造RSが組み合わされて半円弧のパターンを形成し得るが、このような構成に限定されない。
【0065】
隅領域CRに位置するスリット区画SLsに接続された湾曲凹部構造RSの存在によって、音生成セル200の製造プロセスの成功率が高まり得るため、音生成セル200の歩留まり率が高まる。具体的には、基板SB及び接着層ALを除去するプロセス(例えば、剥離プロセス)で、隅領域CRに位置するスリット区画SLsに接続された湾曲凹部構造RSが存在することにより、応力集中位置が膜110の隅領域CR(例えば、スリットSLの端部)から凹部構造RSに変更され、凹部構造RSにかかる応力が分散され得るため、このプロセスにおける膜110の損傷が低減され得る。さらに、凹部構造RSは曲線パターンを有するため、このプロセスで凹部構造RSにかかる応力が効果的に分散され得るため、凹部構造RSの損傷が低減され、音生成セル200の製造プロセスの成功率が高まる。
【0066】
図11を参照すると、図11は、本発明の第3の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。図11に示すように、本実施形態と第1の実施形態との相違点は、本実施形態の音生成セル300の膜110がラッチ構造310を含むことである。第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114が方向Z(すなわち、膜110が配置されるベースの法線方向)に沿って動く条件下で、ラッチ構造310は、方向Zに沿った第1の膜サブパート112の移動距離及び方向Zに沿った第2の膜サブパート114の移動距離が閾値より大きい場合に、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114をロックし得る。すなわち、ラッチ構造310は、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114の移動距離を制限するように構成されている。
【0067】
膜110のサブパートには1つの固定端しかないため、膜110のサブパートは壊れやすく、製造プロセスで損傷し得る。本実施形態では、ラッチ構造310の存在によって、膜110の製造の成功率が高まり、音生成セル300の歩留まり率が高まる。具体的には、基板SB及び接着層ALを除去するプロセス(例えば、剥離プロセス)において、方向Zへの第1の膜サブパート112の変位及び第2の膜サブパート114の変位が接着層ALの接着力によってもたらされる。この場合、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114が閾値を超える変位で方向Zに沿って動いたときに、ラッチ構造310は、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114をロックして、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114の移動を制限し、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114の復元力を提供して、膜110の損傷を低減する。
【0068】
ラッチ構造310は、要件に基づいて任意の適切な設計を有し得る。この実施形態では、図11に示すラッチ構造310は、スリットSLにより形成され得る。例えば、図11では、2つの第1のスリットSL1と、3つの第4のスリットSL4及びSL4’によりラッチ構造310が形成され、第1のスリットSL1と、第4のスリットSL4及びSL4’は第1の膜サブパート112と第2の膜サブパート114との間にあり、3つの第4のスリットSL4及びSL4’は2つの第1のスリットSL1の間に接続され得る。図11では、第1のスリットSL1は互いに平行であり得るが、このような構成に限定されない。図11では、方向Xに沿って延びる第4のスリットSL4’は、方向Yに沿って延びる2つの第4のスリットSL4の間に接続され、方向Yに沿って延びる第4のスリットSL4は、方向Xに沿って延びる第4のスリットSL4’と方向Xに沿って延びる第1のスリットSL1との間に接続され得るが、このような構成に限定されない。
【0069】
図11に示すように、ラッチ構造310は、第1のラッチコンポーネント312及び第2のラッチコンポーネント314を含み、第1のラッチコンポーネント312は、第1の膜サブパート112の一部であり(同等に、第1のラッチコンポーネント312は、第1の膜サブパート112に属し得る)、第2のラッチコンポーネント314は、第2の膜サブパート114の一部であり得る(同等に、第2のラッチコンポーネント314は、第2の膜サブパート114に属し得る)。図11では、第1のラッチコンポーネント312は、第2の膜サブパート114の第2のラッチコンポーネント314と第2の膜サブパート114の別の部分との間に配置され、第2のラッチコンポーネント314は、第1の膜サブパート112の第1のラッチコンポーネント312と第1の膜サブパート112の別の部分との間に配置され得る。例えば、図11において、第1のラッチコンポーネント312の長さ方向と第2のラッチコンポーネント314の長さ方向とは、方向Xと実質的に平行であり得るが、これのような構成に限定されない。
【0070】
第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114が、閾値よりも大きい変位で方向Zに沿って動くと、第1のラッチコンポーネント312は第2のラッチコンポーネント314に座屈し、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114をロックする。なお、スリットSLの幅及びラッチコンポーネントのサイズは、ラッチ構造310の座屈効果に関係する。
【0071】
図12を参照して、図12は、本発明の第4の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。図12に示すように、本実施形態と第1の実施形態との相違点は、本実施形態の音生成セル400の膜110が、膜110のサブパートの間に接続された少なくとも1つのバネを含むことであり、バネの数は、要件に基づいて設計され得る。図12では、膜110は、第1の膜サブパート112と第2の膜サブパート114との間に直接接続された第1のバネSPR1を含み得る。
【0072】
第1のバネSPR1の存在により、膜110の製造の成功率が高まり、音生成セル400の歩留まり率が高まり得る。具体的には、基板SB及び接着層ALを除去するプロセスにおいて、方向Zに沿った第1の膜サブパート112の変位及び第2の膜サブパート114の変位が、接着層ALの接着力によってもたらされる。第1の膜サブパート112第2の膜サブパート114が大きな変位で方向Zに沿って動くと、第1のバネSPR1は第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114の移動を制限し、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114に復元力を与えることで、膜110の損傷が低減され得る。
【0073】
バネは、要件に基づいて適切な設計を有し得る。図12に示すように、第1のバネSPR1はスリットSLによって形成され得る。本実施形態では、図12に示す第1のバネSPR1は、2つの第1のスリットSL1及び2つの第5のスリットSL5によって形成され、第5のスリットSL5は第1のスリットSL1に接続され、第5のスリットSL5は曲線パターンを有し得る。例えば、第5のスリットSL5は、フック状の曲線パターンを含んでもよく、第5のスリットSL5の一端は別のスリットSLに接続されていないが、このような構成に限定されない。例えば、第1のスリットSL1は互いに平行であり得るが、このような構成に限定されない。
【0074】
膜110が動くと、膜110の変形によってもたらされる応力がバネにかかり得る。図12では、第5のスリットSL5は曲線パターン(すなわち、フック状曲線パターン)を含むため、応力集中の効果が低減され、膜110及び第1のバネSPR1の損傷が低減されるため、音生成セル400の歩留まり率が高くなり得る。
【0075】
加えて、図12に示すように、第1のバネSPR1から第1の膜サブパート112への接続方向は、第1のバネSPR1から第2の膜サブパート114への接続方向と異なり得る。例えば、図12では、第1のバネSPR1から第1の膜サブパート112への接続方向は、第1のバネSPR1から第2の膜サブパート114への接続方向と反対であり得るが、このような構成に限定されない。例えば、図12では、第1のバネSPR1は実質的にI字状であり得るが、このような構成に限定されない。
【0076】
図13を参照して、図13は、本発明の第5の実施形態に係る音生成セルを示す平概略上面図である。図13に示すように、本実施形態と第4の実施形態との相違点は、第1のバネSPR1の設計の点にある。図13では、音生成セル500の膜110の第1のバネSPR1は、2つの第2のスリットSL1、2つの第5のスリットSL5及び第6のスリットSL6により形成され、2つの第5のスリットSL5は同じ第1のスリットSL1に接続され、第6のスリットSL6は別の第1のスリットSL1に接続され、第5のスリットSL5は2つの曲線パターン及び1つの直線パターンを有し、第6のスリットSL6は2つの第5のスリットSL5の間にあり、曲線パターンを有し得る。例えば、第5のスリットSL5はフック状曲線パターンを含んでもよく、第5のスリットSL5の一端は他のスリットSLに接続されていないが、このような構成に限定されない。
【0077】
加えて、図13に示す第1のバネSPR1では、第1のバネSPR1から第1の膜サブパート112への接続方向は、第1のバネSPR1から第2の膜サブパート114への接続方向と同じであり得るが、このような構成に限定されない。例えば、図13では、第1のバネSPR1は実質的にU字状であり得るが、このような構成に限定されない。この設計により、第1の膜サブパート112と第2の膜サブパート114との間の中央開口のサイズが減少し、音生成セル500の動作における空気の漏れが低減され得る。
【0078】
膜110が動くと、膜110の変形によってもたらされる応力がバネにかかり得る。図13では、湾曲したスリットSLを有するU字状の第1のバネSPR1の設計により、応力集中の効果が小さくなり、膜110及び第1のバネSPR1の損傷が低減されるため、音生成セル500の歩留まり率が高くなり得る。
【0079】
図14及び図15を参照して、図14は本発明の第6の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図であり、図15は、図14における領域R3の構造を示す拡大概略図である。図14及び図15に示すように、本実施形態と第1の実施形態との相違点は、本実施形態の音生成セル600の膜110が第3の膜サブパート116及び第4の膜サブパート118をさらに含むことである。第3の膜サブパート116及び第4の膜サブパート118は、上から見た場合第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114の間に配置され、第3の膜サブパート116及び第4の膜サブパート118は上から見た場合互いに反対側にあり得る。つまり、第3の膜サブパート116は、上から見た場合第1の膜サブパート112と第2の膜サブパート114の間で音生成セル600の第1の側(例えば、左側)によって配置され、第4の膜サブパート118は、上から見た場合第1の膜サブパート112と第2の膜サブパート114との間で音生成セル600の第2の側(例えば、右側)に配置され、音生成セル600の第1の側と第2の側とは、上から見た場合反対にあり得る。
【0080】
図14では、第3の膜サブパート116の一端のみがアンカー構造120に接続されることによって固定され、第4の膜サブパート118の一端のみがアンカー構造120に接続されることにより固定され、第3の膜サブパート116の他端及び第4の膜サブパート118の他端は固定されておらず、アンカー構造120に接続されていなくてもよい。つまり、第3の膜サブパート116の第3の固定端116aは、第3の膜サブパート116の固定された唯一の端部であり、第4の膜サブパート118の第4の固定端118aは、第4の膜サブパート118の固定された唯一の端部であり、第3の膜サブパート116は、第3の固定端116aのみを介してアンカー構造120に直接接続され、第4の膜サブパート118は、第4の固定端118aのみを介してアンカー構造120に直接接続され得る。
【0081】
図14では、1つの第2のスリットSL2が第1の膜サブパート112と第3の膜サブパート116との間に配置されて、第1の膜サブパート112の第2の非固定端112n2及び第3の膜サブパート116の第5の非固定端116n5を定義し、別の第2のスリットSL2が第1の膜サブパート112と第4の膜サブパート118との間に配置されて、第1の膜サブパート112の別の第2の非固定端112n2及び第4の膜サブパート118の第6の非固定端118n6を定義し、1つの第3のスリットSL3が第2の膜サブパート114と第3の膜サブパート116との間に配置されて、第2の膜サブパート114の第4の非固定端114n4及び第3の膜サブパート116の別の第5の非固定端116n5を定義し、別の第3のスリットSL3が第2の膜サブパート114と第4の膜サブパート118との間にあり、第2の膜サブパート114の別の第4の非固定端114n4及び第4の膜サブパート118の別の第6の非固定端118n6を定義し得る。一部の実施形態では、第3の膜サブパート116の第5の非固定端116n5は、第3の膜サブパート116の第3の固定端116aに隣接し、第4の膜サブパート118の第6の非固定端118n6は、第4の膜サブパート118の第4の固定端118aに隣接し得るが、このような構成に限定されない。
【0082】
図14に示すように、第1の膜サブパート112の形状及び第2の膜サブパート114の形状は実質的に台形であり、第3の膜サブパート116の形状及び第4の膜サブパート118の形状は実質的に三角形であり、第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114は実質的に一致していてもいいし、第3の膜サブパート116及び第4の膜サブパート118は実質的に一致していてもよいが、このような構成に限定されない。
【0083】
音生成セル600の動作の間、第1の膜サブパート112と第3の膜サブパート116との間、第2の膜サブパート114と第3の膜サブパート116との間、第1の膜サブパート112と第4の膜サブパート118との間、第2の膜サブパート114と第4の膜サブパート118との間にそれぞれ側部開口がある。側部開口のサイズは、音生成セル600の周波数応答における低周波ロールオフ(LFRO)効果に相対し、低周波において、強いLFRO効果が音波の明白なSPL降下を引き起こし得る。
【0084】
具体的には、音生成セル600の側部開口について、低周波の音響抵抗は、
【0085】
【数1】
にしたがったものであってもよく、Rは低周波の音響抵抗であり、Lは膜110の厚さであり、bは第1の膜サブパート112の第2の非固定端112n2の長さ又は第2の膜サブパート114の第4の非固定端114n4の長さであり、dは、方向Zにおける側部開口の最大サイズである。低周波の音響抵抗を増加させると、音生成セル600の動作における空気の漏れ(例えば、音漏れ)が減少するため、音生成セル600の周波数応答におけるLFRO効果が減少する。
【0086】
上記式によれば、d(つまり、方向Zにおける側部開口の最大サイズ)が小さくされると、低周波の音響抵抗が大きくなる。図1に示す第1の実施形態では、第1の膜サブパート112に関して、方向Zにおける側部開口の最大サイズは、方向Zにおける第2の非固定端112n2とアンカー構造120との間の最大距離である。図14に示す第6の実施形態では、第1の膜サブパート112に関して、方向Zにおける側部開口の最大サイズは、方向Zにおける第1の膜サブパート112の第2の非固定端112n2と第3の膜サブパート116の第5の非固定端116n5(又は第4の膜サブパート118の第6の非固定端118n6)との間の最大距離である。図14に示す第6の実施形態では、第3の膜サブパート及び第4の膜サブパートが存在するため、音生成セル112の動作の間に第3の膜サブパート116及び第4の膜サブパート118を方向Zにおいて第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114に近づけるように制御することで、上記式に示すdが減少され得る。すなわち、図14において、第3の膜サブパート116は、音生成セル600の第1の側(左側)での音漏れを低減するように構成され、第4の膜サブパート118は、音生成セルの第2の側(右側)での音漏れを低減するように構成されている。
【0087】
音生成セル600は、d(つまり、方向Zにおける側部開口の最大サイズ)が小さくすることにより、低周波の音響抵抗を高めるために、少なくとも1つの適切な構造を含み得る。本実施形態では、この適切な構造により、音生成セル600の動作の間に、第3の膜サブパート116の第5の非固定端116n5が、方向Zにおいて第1の膜サブパート112の第2の非固定端112n2及び第2の膜サブパート114の第4の非固定端114n4にそれぞれ近接し、第4の膜サブパート118の第6の非固定端118n6は方向Zにおいて第1の膜サブパート112の第2の非固定端112n2及び第2の膜サブパート114の第4の非固定端114n4にそれぞれ近接し得る。したがって、音生成セル600の動作の間に、側部開口のサイズが小さくなり得るため、低周波の音響抵抗が高められ、音生成セル600の周波数応答におけるLFRO効果が低減される。
【0088】
例えば、dを小さくするために、膜110は、音生成セル600の動作の間に、サブパートの非固定端が方向Zにおいて互いに近くなるように、膜110のこれらのサブパートの間に接続された少なくとも1つのバネを含み得る。図14に示すように、膜110は、少なくとも1つの第2のバネSPR2及び少なくとも1つの第3のバネSPR3を含み、第2のバネSPR2は、第1の膜サブパート112と第3の膜サブパート116の間に直接接続され得るか又は第1の膜サブパート112と第4の膜サブパート118との間に直接接続され、第3のバネSPR3は、第2の膜サブパート114と第3の膜サブパート116との間に又は第2の膜サブパート114と第4の膜サブパート118との間に直接接続され得る。図14では、膜110は、2つの第2のバネSPR2及び2つの第3のバネSPR3を含み、2つの第2のバネSPR2は、第1の膜サブパート112と第3の膜サブパート116との間及び第1の膜サブパート112と第4の膜サブパート118との間にそれぞれ接続され、2つの第3のバネSPR3は、第2の膜サブパート114と第3の膜サブパート116との間及び第2の膜サブパート114と第4の膜サブパート118との間にそれぞれ接続され得るが、このような構成に限定されない。なお、第2のバネSPR2及び第3のバネSPR3は、スリットSL(例えば、第1のスリットSL1、第2のスリットSL2及び第3のスリットSL3以外のスリットSL)により形成されている。
【0089】
くわえて、図14に示す1つのバネでは、このバネから1つのサブパートへの接続方向は、このバネから別のサブパートへの接続方向と同じであり得るが、このような構成に限定されない。例えば、図14では、バネは実質的にU字状であり得るが、このような限定されない。例えば、バネのU字状は大きな湾曲を有し得るが、このような構成に限定されない。この設計により、2つのサブパートの間の側部開口のサイズを小さくなるため(すなわち、dが減少する)、音生成セル600の動作時の空気の漏れが低減されるため、音生成セル600の周波数応答におけるLFRO効果が低減される。
【0090】
例えば、dを小さくするために、作動層130が第1の膜サブパート112、第2の膜サブパート114、第3の膜サブパート116及び第4の膜サブパート118に配置され得る。音生成セル600の動作の間に、作動層130は、これらのサブパートの非固定端が方向Zにおいて互いに近くなるように、これらのサブパートが方向Zに沿って動くように作動させ得る。
【0091】
さらに、図15に示す領域R3では、音生成セル600は膜110の外側に凹部構造RSを含んでいてもよく、凹部構造RSは膜110の隅領域CR内のスリット区画SLsに直接接続され、凹部構造RSは曲線パターンを有し得る(例えば、凹部構造RSは半円弧のパターンを有し得る)。例えば、図15では、スリット区画SLsは、隅領域CR内に位置する第2のスリットSL2の端部と、凹部構造RSとの間に接続され、スリット区画SLsは直線パターンを有し得るが、このような構成に限定されない。隅領域CR内に位置するスリット区画SLsと接続された湾曲凹部構造RSの存在により、音生成セル600の製造プロセスの成功率が高められ、音生成セル600の歩留まり率を高められ得る。
【0092】
図16を参照して、図16は、本発明の第7の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。図16に示すように、本実施形態と第6の実施形態との相違点は、バネの設計の点にある。図16に示す音生成セル700では、フック状曲線パターン及び直線パターンを含む第5のスリットSL5が第1のスリットSL1、第2のスリットSL2又は第3のスリットSL3に個別に接続され、第2のバネSPR2及び第3のバネSPR3は、第1のスリットSL1、第2のスリットSL2、第3のスリットSL3及び第五スリットSL5によりを形成され得るが、このような構成に限定されない。さらに、図16において、バネは実質的にV字状であり得るが、このような構成に限定されない。
【0093】
図17を参照して、図17は本発明の第8の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。図17に示すように、本実施形態と第6の実施形態との相違点は、音生成セル800の膜110のスリットSLが、第3の膜サブパート116及び/又は第4の膜サブパート118に形成された少なくとも1つのサイドスリットSLiをさらに含む点である。
【0094】
サイドスリットSLiの存在により、第3の膜サブパート116及び第4の膜サブパート118の構造強度が弱まり得るため、第2のバネSPR2及び第3のバネSPR3は、音生成セル800の動作の間に第3の膜サブパート116及び第4の膜サブパート118を引っ張って、それらの非固定端が方向Zにおいて第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114の非固定端に近くなるようにし得る。
【0095】
他方で、サイドスリットSLiが存在しない構造と比較して、本実施形態の膜110は、音生成セル800の動作の間にサブパートの2つの非固定端の間にできる1つの元の大きな開口に代わって、複数の小さな開口を形成し、少なくとも1つの小さな開口は2つの非固定端の間に形成され、少なくとも1つの小さな開口はサイドスリットSLiによって形成され得る。すなわち、元の大きな開口のdは、小さな開口の複数のd’に変わり、d’はdよりも小さい。例えば、上記の式によれば、1つの元の大きな開口が3つの小さな開口に置き換えられ、元の大きな開口のdは小さな開口のd’の3倍大きいと仮定すると、3つの小さな開口の音響抵抗は、元の大きな開口の音響抵抗の9倍大きくなる。そのため、この設計により、低周波の音響抵抗が増加し得る。
【0096】
図17に示すように、第2のバネSPR2は、第1のスリットSL1、第2のスリットSL2、第5のスリットSL5及びサイドスリットSLiによって形成され、第3のバネSPR3は、第1のスリットSL1、第3のスリットSL3、第5のスリットSL5及びサイドスリットSLiによって形成され得るが、このような構成に限定されない。
【0097】
一部の実施形態では、図17に示すように、作動層130が第1の膜サブパート112及び第2の膜サブパート114に配置され、作動層130は第3の膜サブパート116及び第4の膜サブパート118に配置されない(すなわち、第3の膜サブパート116及び第4の膜サブパート118に作動層が配置されない)が、このような構成に限定されない。
【0098】
さらに、図17では、膜110は、第1の膜サブパート112と第2の膜サブパート114との間に直接接続された第1のバネSPR1を任意で含み得る。例えば、図17に示す第1のバネSPR1は、2つの第1のスリットSL1及び2つの第5のスリットSL5により形成され得るが、このような構成に限定されない。
【0099】
図18及び図19を参照して、図18は本発明の第9の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図であり、図19は本発明の第9の実施形態に係る音生成セルを示す概略側面図であり、図18及び図19は第1の膜サブパート112のみを示し、第2の膜サブパート114の設計は、第1の膜サブパート112の設計と同様であり得る。図18に示すように、本実施形態と第1の実施形態との相違点は、膜110のサブパートの固定端の設計の点にある。本実施形態の音生成セル900では、膜110のサブパートの固定端は部分的に固定され、固定端は少なくとも1つの固定部と、少なくとも1つの非固定部とを含み、固定端の固定部は固定され、固定端の非固定部は固定されていない。例えば、図18では、部分的に固定されている第1の膜サブパート112の第1の固定端112aは、2つの固定部APのと、2つの固定部APの間にある1つの非固定部NPを含み得るが、このような構成に限定されない。第1の固定端112aの非固定部NPは、音生成セル900が動作された場合に(すなわち、第1の膜サブパート112が作動された場合に)、方向Zの方に動いて、膜110の変形を高めることにより、音生成セル900によって生成される音波のSPLを高める。
【0100】
固定端が固定部AP及び非固定部NPを有するようにするために、膜110のスリットSLは少なくとも1つの内側スリットを含み得る。本実施形態では、第1の膜サブパート112は少なくとも1つの第1の内側スリットSLn1と、少なくとも1つの第2の内側スリットSLn2とを有し、第1の固定端112aの非固定部NPは第1の内側スリットSLn1によって定義され、第2の内側スリットSLn2は第1の内側スリットSLn1に接続されるため、第1の固定端112aは固定部APと、非固定部NPとを有する。すなわち、第1の内側スリットSLn1は、第1の固定端112aと平行であり、第1の膜サブパート112とアンカー構造120との間にあり、第2の内側スリットSLn2は第1の固定端112aと平行ではない。例えば、図18では、第1の膜サブパート112は、1つの第1のスリットSL1及び2つの第2のスリットSL2を有し、第2の内側スリットSLn2は、第1の固定端112aに垂直な直線スリットであり得るが、このような構成に限定されない。例えば、第2の内側スリットSLn2は、第1の固定端112aから第1のスリットSL1の方に延び、第2の内側スリットSLn2は、第1のスリットSL1に接続されない。
【0101】
第1の固定端112aの非固定部NPを定義する第1の内側スリットSLn1は、二つのスリットSLの間に接続されていてもよい。例えば、図18では、第1の固定端112aの固定部AP及び非固定部NPが、第2の内側スリットSLn2によって分割されるように、第1の内側スリットSLn1が2つの第2の内側スリットSLn2の間に接続され得るが、そのような構成に限定されない。
【0102】
任意で、図18では、第1の内側スリットSLn1及び第2の内側スリットSLn2は、第1のスリットSL1、第2のスリットSL2及び第3のスリットSL3から分離され得るが、そのような構成に限定されない。
【0103】
図18に示すように、第1の膜サブパート112は、内側スリットSLによって複数の部分に分割され得る。例えば、図18において、第1の膜サブパート112は、3つの部分912p1、912p2、912p3に分割され、912p1及び912pは、第2のスリットSL2と第2の内側スリットSLn2との間にあり、部分912p2は、2つの第2の内側スリットSLn2の間にあり得る。例えば、図18では、部分912p1及び部分912p3は、アンカー構造120によって固定されるように、第1の固定端112aの固定部APを有し得る。例えば、図18では、部分912p2は、音生成セル900の動作の間に、(部分912p1及び912p3に比べて)部分912p2が大きな変位で方向Zに沿って移動するように、第1の固定端112aの非固定部NPを有し得るため、音生成セル900によって生成される音波のSPLが高められ得る。
【0104】
図18に示すように、作動層130は、第1の膜サブパート112を作動させるために、第1の膜サブパート112の3つの部分912p1、912p2及び912p3にそれぞれ配置された3つの部分を含み得る。
【0105】
動作の間の音生成セル900の側面図を示す図19では、音生成セル900の動作の間に、部分912p2は(部分912p1、912p3に比べて)大きな変位で方向Zに沿って移動し、第1の固定端112aの非固定部NPは、方向Zにおいて固定部APよりも高くにあり得る。
【0106】
図20を参照して、図20は本発明の第10の実施形態に係る音生成セルを示す概略上面図である。図20に示すように、本実施形態と第9の実施形態との相違点は、膜110のサブパートの固定端の設計にある。図20に示す音生成セル900’では、第1の膜サブパート112の第1の固定端112aは、2つの非固定部NPと、2つの非固定部NPの間にある1つの固定部APを含み得るが、このような構成に限定されない。図20では、第1の膜サブパート112は、2つの第1の内側スリットSLn1と、2つの第2の内側スリットSLn2とを有し、第1の内側スリットSLn1は、第2の内側スリットSLn2と第2の内側スリットSL2との間に接続され得るが、このような構成に限定されない。
【0107】
図20では、部分912p2は、アンカー構造120によって固定されるように、第1の固定端112aの固定部APを有し得る。図20では、部分912p1及び部分912p3は、音生成セル900’の動作の間に、部分912p1及び部分912p3が(パーツ912p2に比べて)大きな変位で方向Zに沿って移動し得るように、第1の固定端112aの非固定部NPを有するため、音生成セル900’によって生成される音波のSPLが高められ得る。
【0108】
以下では、音生成セルSPCのパッケージ構造PKGの詳細をさらに例示的に説明する。なお、パッケージ構造PKGは、例示的に提供される以下の実施形態に限定されず、パッケージ構造PKGは、本発明の精神から逸脱しない実施形態である音生成セルSPCを有し得る(例えば、上記実施形態又は上記実施形態の組み合せのうちの1つ)。
【0109】
図21図23を参照して、図21は本発明の実施形態に係るパッケージ構造を示す概略図であり、図22図21に示すパッケージ構造を示す底面図であり、図23図21に示すパッケージ構造を示す概略断面図である。図21図23に示すように、本発明の音生成セルSPCのパッケージ構造PKGは、ベースBSと、ベースBS上に配置されるカバーHSと、カバーHS内に配置される前述の音生成セルSPCとを含み、音生成セルSPCはベースBSとカバーHSとの間にある。
【0110】
ベースBSは硬質であっても可撓性であってもよく、任意の好適な材料を含み得る。例えば、ベースBSは、シリコン、ゲルマニウム、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、金属、ポリマー(例えば、PI、PET)、任意の他の好適な材料又はその組み合せを含み得る。一例として、図21図23では、ベースBSは、積層体(例えば、銅張積層板、CCL)、ランドグリッドアレイ(LGA)ボード又は導電性材料を含む任意の他の好適なボードを含む回路基板であってよく、ベースBSは、限定されないが、接続トレース、能動部品、受動部品及び/又は接続パッド等の1つ以上の導電性部品を含み得る。例えば、図22では、ベースBSは少なくとも1つの導電層CDBを有し、音生成セルSPC及び導電層CDBはベースBSの両側に配置され、導電層CDBは複数の導電パッドCPC及び導電リングCRCを含み、導電パッドCPCは、音生成セルSPCとパッケージ構造PKGの外部装置との間で電気的に接続されるように構成されている。
【0111】
ベースBSは、限定されないが、方向X及び方向Yと実質的に平行であり得る(すなわち、ベースBSの法線方向は、方向Zと実質的に平行であり得る)。例えば、図21図23では、ベースBSは、限定されないが、音生成セルSPCの膜110と実質的に平行であり得る。
【0112】
カバーHSは、上部構造TS及び少なくとも1つの側壁SWを含み、側壁SWはベースBSと上部構造TSとの間にある。一部の実施形態では、ベースBSと上部構造TSとは互いに実質的に平行であり得る。例えば、図21図23では、限定されないが、上部構造TSは方向X及び方向Yと実質的に平行であってもよく(すなわち、上部構造TSの法線方向は方向Zと実質的に平行であり得る)、側壁SWは方向Zと実質的に平行であってもよい。例えば、図21図23では、限定されないが、上部構造TSは音生成セルSPCの膜110と実質的に平行であり、側壁SWは、音生成セルSPCを取り囲み得る。
【0113】
上部構造TS及び側壁SWは硬質であっても可撓性であってもよく、それらは任意の好適な材料を含み得る。例えば、上部構造TS及び側壁SWは、シリコン、ゲルマニウム、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、金属、ポリマー(例えば、PI、PET)、任意の他の好適な材料又はそれらの組み合わせを個別に含み得る。一例として、図21図23で、限定されないが、上部構造TS及び側壁SWは金属を含み、一体構造(例えば、キャップ)を形成し得る。
【0114】
図21図23に示すように、音生成セルSPCはベースBS上に配置され、カバーHS内のキャビティCVは、音生成セルSPCの膜110により2つのサブキャビティ(すなわち、第1のサブキャビティCV1及び第2のサブキャビティCV2)に分割され、膜110は2つのサブキャビティの間にある。第1のサブキャビティCV1は膜110と上部構造TSとの間にあり、第2のサブキャビティCV2は膜110とベースBSとの間にあり得る。
【0115】
さらに、図21図23では、少なくとも第1のカバー開口OP1及び少なくとも第2のカバー開口OP2がカバーHS又はベースBS上に個別に形成され、第1のカバー開口OP1は第1のサブキャビティCV1に接続され、第2のカバー開口OP2は第2のサブキャビティCV2に接続され得る。例えば、第1のカバー開口OP1は、限定されないが音の出口であり得る。例えば、図21図23に示すように、限定されないが、第1のカバー開口OP1が上部構造TSに形成され、第2のカバー開口OP2はベースBSに形成され得る。
【0116】
第1のカバー開口OP1の数、第1のカバー開口OP1の配置、第2のカバー開口OP2の数及び第2のカバー開口OP2の配置は、要件に基づいて設計され得る。
【0117】
一部の実施形態では、1つの第1のカバー開口OP1及び/又は1つの第2のカバー開口OP2は、音発生セルSPCからSPLが最も高い音波を発生するパッケージ構造PKGの領域に対応し得る。例えば(図21図23)、限定されないが、1つの第1のカバー開口OP1が上面図における上面構造TSの中心(又は側面図における側壁SWの中心)に位置し得る及び/又は1つの第2のカバー開口OP2は、上面図におけるベースBSの中心に位置し得る。例えば、限定されないが、第1のカバー開口OP1及び/又は第2のカバー開口OP2は、ベースBSの法線方向(すなわち、方向Z)における膜110の中心に対応し得る。例えば、各膜110は、少なくとも第1のカバー開口OP1及び/又は少なくとも1つの第2のカバー開口OP2に対応し得る。
【0118】
例えば(例えば、図27)、カバーHSが複数の第1のカバー開口OP1(又は複数の第2のカバー開口OP2)を含む場合、第1のカバー開口OP1(又は第2のカバー開口OP2)は、限定されないが、ある方向(例えば、方向X)に沿って延びる複数の列及び/又は別の方向(例えば、方向Y)に沿って延びる複数の列に配置され得る。例えば、カバーHSが複数の第1のカバー開口OP1(又は複数の第2のカバー開口OP2)を含む場合、第1のカバー開口OP1(又は第2のカバー開口OP2)は、限定されないが、アレイ状に配置され得る。
【0119】
上面から見た第1のカバー開口OP1のパターン及び上面から見た第2のカバー開口OP2のパターンは要件に基づいて設計され得る。例えば、上面から見たカバー開口のパターンは多角形(例えば、長方形、六角形等)、円又は他の好適な形状であり得る。
【0120】
第1のカバー開口OP1のサイズ及び第2のカバー開口OP2のサイズは要件に基づいて設計され、音の出口(例えば、第1のカバー開口OP1)のサイズが小さくなるほどカバーHSの保護効果が大きくなり、音の出口(例えば、第1のカバー開口部OP1)の総面積が大きくなるほど、カバーHSの音響抵抗が小さくなる。したがって、一部の実施形態では、カバーHSの保護効果を高くし且つ音響抵抗を低くするために、音の出口(例えば、第1のカバー開口OP1)のサイズは音の出口の数が多くなるほど小さくされる。
【0121】
音生成セルSPCは、外部装置に電気的に接続されるために任意の好適な方法を用い得る。例えば、図21図23では、音生成セルSPCは、限定されないが、ベースBSの導電性部品(例えば、接続パッドCPC)を介して外部装置に電気的に接続され得る。
【0122】
本発明では、音生成セルSPCはコントローラに電気的に接続され、コントローラは駆動信号を生成するように構成され、駆動信号は膜110を作動させるために作動層130に印加され得る。コントローラはパッケージ構造PKG内に配置され得るか又はパッケージ構造PKGの外に配置され得る。
【0123】
パッケージ構造PKGの形成方法は任意の好適な形成方法であり得る。一部の実施形態の形成方法では、カバーHS及びベースBSが提供され、音発生セルSPCは上記の方法により製造され得る。そして、音発生セルSPCがベースBS上に配置され、カバーHS内に配置され得る。例えば、限定されないが、カバーHSをベースBSに配置する前に、音発生セルSPCがベースBSに配置され得る。例えば、限定されないが、音発生セルSPCをベースBSに配置する前に、第2のカバー開口OP2がベースBSに形成され、音発生セルSPCをカバーHS内に配置する前に、第1のカバー開口OP1がカバーHSに形成され得る。
【0124】
図24を参照して、図24は、本発明の一実施形態に係るパッケージ構造を示す概略図である。図24に示すように、第1のカバー開口OP1は、限定されないが、上面から見て上面構造TSの中央に位置していなくてもよい。図24に示すように、第1のカバー開口OP1は、限定されないが、ベースBSの法線方向(すなわち、方向Z)で膜110の中央に対応し得る。
【0125】
図25及び図26を参照して、図25は本発明の一実施形態に係るパッケージ構造を示す概略図であり、図26図25に示すパッケージ構造を示す概略断面図である。図25及び図26に示すように、第1のカバー開口OP1は、限定されないが、カバーHSの側壁SWに形成され得る。
【0126】
図27及び図28を参照して、図27は本発明の一実施形態に係るパッケージ構造を示す概略図であり、図28は、図27に示すパッケージ構造を示す概略断面図である。図27及び図28に示すように、パッケージ構造PKGのカバーHSの上部構造TS(又は側壁SW)は複数の第1のカバー開口OP1を有し、第1のカバー開口OP1は小さくても、著しく小さくてもよい。例えば、第1のカバー開口OP1のサイズは、限定されないが、カバーHSの上部構造TSの10%、5%、3%又は1%以下であり得る。
【0127】
上部構造TSは、サイズの小さい複数の第1のカバー開口OP1を有するため、本発明の上部構造TSは、上部構造TSが低音響抵抗の場合に、音生成セルSPCに対して高い物理的保護効果をもたらし得る。例えば、限定されないが、本発明の上部構造TSは、パッケージ構造PKGのその後の使用(例えば、音生成セルSPCの動作、パッケージ構造PKGを装置に配置するプロセス)の間に音生成セルSPCを保護し得るため、パッケージ構造PKGの歩留まり率及び装置の歩留まり率が高められ得る。さらに、複数の第1のカバー開口OP1を有する上部構造TSの存在により、異物(例えば、埃、粒子、鋭利な物体等)がパッケージ構造PKGに侵入しにくい。
【0128】
パッケージ構造PKGに配置される前の音生成セルSPCの膜110の第1の周波数応答では、膜110の最小共振ピークは第1の周波数(すなわち、第1の周波数は膜110の最小共振周波数である)で生成され、第1のピーク値(すなわち、SPL)を有する。パッケージ構造PKGに配置された後の音生成セルSPCの膜110の第2の周波数応答では、膜110の最小共振ピークは第2の周波数(すなわち、第2の周波数は膜110の最小共振周波数である)で生成され、第2のピーク値(すなわち、SPL)を有する。一部の実施形態では、第1の周波数は第2の周波数よりも大きく及び/又は第1のピーク値は第2ピーク値よりも大きい。
【0129】
パッケージ構造PKGに配置された後の音生成セルSPCの膜110の第2の周波数応答では、第2の周波数(すなわち、最小共振周波数)及び第2のピーク値(すなわち、最小共振ピークのピーク値)は第1のカバー開口OP1の総面積が減少するにつれて減少する。一部の実施形態では、第1の周波数と第2の周波数との間の差は1000Hz、2000Hz、5000Hz又は他の好適な値以上であり得る。そのため、パッケージ構造PKGでは、膜110の最小共振周波数及び膜110の最小共振ピークのピーク値は、第1のカバー開口OP1の総面積を調整することによって変更され得る。
【0130】
以下では、上記の音生成セルSPCを含む装置APTの詳細をさらに例示的に説明する。装置APTは、ヘッドホン、イヤホン、イヤバッズ又は他の好適な音生成装置であり得る。なお、装置APTは、例示的に提供される以下の実施形態に限定されず、装置APTに含まれる音生成セルSPCは、本発明の精神を逸脱しない実施形態(例えば、上記実施形態の1つ又は上記実施形態の組み合せ)であり得る。
【0131】
図29を参照して、図29は、本発明の実施形態に係る装置を示す概略断面図である。図29に示すように、装置APTは、ハウジングOCと、音生成セルSPCのパッケージ構造PKGと、装置ベースBS_ASとを含み、パッケージ構造PKGは装置ベースBS_AS上且つハウジングOC内に配置され得る。なお、音生成セルSPCのパッケージ構造PKGは、上記実施形態又は上記実施形態の組み合わせのうちの1つであり得る。
【0132】
装置ベースBS_ASは、シリコン、ゲルマニウム、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、金属、ポリマー(例えば、PI、PET)、任意の他の好適な材料又はそれらの組み合わせを含み得る。一例として、図29では、装置ベースBS_ASは、ラミネート(例えば、銅張積層板、CCL)を含む回路基板、ランドグリッドアレイ(LGA)基板又は導電性材料を含む任意の他の好適な基板であり、装置ベースBS_ASは、限定されないが、接続トレース、能動部品、受動部品及び/又は接続パッド等の1つ以上の導電性部品を含み得る。
【0133】
図29に示すように、装置ベースBS_ASは少なくとも1つの装置ベース開口部BS_ASpを有し、パッケージ構造PKGの第2のサブキャビティCV2は、パッケージ構造PKGの第2のカバー開口部OP2を介して装置ベースBS_ASの装置ベース開口部BS_ASpに接続され得る。
【0134】
図29に示すように、ハウジングOCは少なくとも1つの出口開口OCpを有し、パッケージ構造PKGの第1のサブキャビティCV1は、パッケージ構造PKGの第1のカバー開口OP1及びハウジングOCの出口開口OCpを介して装置APTの前方の外側に接続され得る。
【0135】
任意で、本実施形態のハウジングOCは、限定されないが、装置APT内で装置ベースBS_AS及びパッケージ構造PKGを固定し、第1のサブキャビティCV1と第2のサブキャビティCV2とを分離するために、装置ベースBS_ASとパッケージ構造PKG(例えば、ハウジングOCは装置ベースBS_ASの側壁及びパッケージ構造PKGの側壁SWに接触し得る)とをクランプし得る。任意で、装置APT内にガスケットがさらに設けられ、ガスケットは、限定されないが、パッケージ構造PKGとハウジングOCとの間に配置され、ガスケットは出口開口部OCpを取り囲み得る。
【0136】
図29では、パッケージ構造PKGは表面実装技術を介して装置APT内に組み付けられてもよく、表面実装技術により、装置ベースBS_ASとパッケージ構造PKGのベースBSとの間に(例えば、はんだを含む)導電性接着剤層CALを配置して、パッケージ構造PKGが装置ベースBS_ASに配置され得る。
【0137】
本発明では、表面実装技術が行われるため、音生成セルSPCを含むパッケージ構造PKGは、表面実装技術の最高プロセス温度に耐えられるように設計する必要がある。その結果、パッケージ構造PKGは、表面実装技術の最高プロセス温度よりも高い上限を有する耐熱温度を有するため、パッケージ構造PKGの損傷が生じず、パッケージ構造PKGは表面実装技術を行った後も正常動作を維持し得る(すなわち、音波を正常に発生させることができる)。一部の実施形態では、表面実装技術の最高プロセス温度は240℃~250℃の範囲であり得るため、パッケージ構造PKGの耐熱温度の上限は、限定されないが、240℃よりも高いか又は250℃よりも高くてもよい。さらに、一部の実施形態では、パッケージ構造PKGに含まれる各材料は、パッケージ構造PKGが表面実装技術の間に損傷しないことを確実にするために、表面実装技術の最高プロセス温度よりも高い上限を有する耐熱温度を有する。例えば、パッケージ構造PKGに含まれる各材料は、限定されないが、240℃より高いか又は250℃よりも高い上限を有する耐熱温度を有する。
【0138】
表面実装技術を以下で説明するが、以下の表面実装技術は一例であり、表面実装技術の説明を明確にするために一部のステップを省略する。
【0139】
表面実装技術のプロセスでは、少なくとも1つの導電性パッドBS_ASc、少なくとも1つの導電性トレース及び装置ベース開口BS_ASpを有する装置ベースBS_ASが先ず提供され、表面実装技術を行う前に導電性パッドBS_ASc及び装置ベース開口BS_ASpが形成され得る。次に、導電性接着層CALが装置ベースBS_ASの導電性パッドBS_ASc上に配置される。例えば、導電性接着層CALは、限定されないが装置ベースBS_AS上に印刷され得る。次に、導電性接着層CAL上に音生成セルSPCのパッケージ構造PKG等の電子部品が置かれて、導電性接着層CALに接触させられ、パッケージ構造PKGの導電性パッドCPCが導電性接着層CALと接触する。次に、導電性接着層CALが溶融して装置ベースBS_ASの導電性パッドBS_ASc及びパッケージ構造PKGの導電性パッドCPCに付着するように、プロセス温度を上昇させる昇温ステップ(例えば、リフローステップ)が行われる。この結果、表面実装技術を用いることにより、パッケージ構造PKGが装置ベースBS_AS上に配置され、導電性接着層CALを介して導電性パッドBS_AScに電気的に接続される。
【0140】
従来のスピーカ又は従来の音生成装置では、一部の部品(ゴムサスペンション及び/又はコイルに接着される接着材等)は表面実装技術の最高プロセス温度に耐えることができないため、従来のスピーカ(又は従来の音生成装置)では表面実装技術を用いることができなかった。これに対して、本発明では、パッケージ構造PKGは、表面実装技術の最高プロセス温度に耐えられるように設計されているため、パッケージ構造PKGの損傷は起こらず、パッケージ構造PKGは表面実装技術を行った後に正常に動作できる。さらに、本発明では表面実装技術が適用されるため、ワイヤボンディング方法/プロセス(電子部品と装置ベースBS_ASとの間を電気的に接続するために導電性ワイヤを用いる方法/プロセス)を行う必要がないため、装置APTの横寸法が大幅に低減され得る。
【0141】
装置APTの形成方法は任意の好適な形成方法であり得る。一部の実施形態の装置APTの形成方法では、パッケージ構造PKGは前述の方法により形成され得る。そして、パッケージ構造PKGは、表面実装技術を介してハウジングOCを含む装置APTに組み付けられ得る。例えば、パッケージ構造PKGは、表面実装技術を介して装置APTの装置ベースBS_ASに配置される。
【0142】
図30を参照して、図30は、本発明の一実施形態に係る装置を示す概略図である。図30に示すように、この実施形態の装置APTは、音生成セルSPCのパッケージ構造PKG及び2つのベント装置VDを含み、これらは全てハウジングOC内に配置され得る。
【0143】
ベント装置VDはベントを形成するか又は閉じるように構成され、ベントが形成され他場合、装置APTの内部空洞CViはベントを介して装置APTの周囲に接続される。図30に示すように、ベント装置VDは少なくとも1つの基板開口OPVを有するベント基板ST_Vと、ベント基板ST_V上に配置されるカバー構造CS_Vと、ベント基板ST_Vとカバー構造CS_Vとの間に配置される膜構造TF_Vとを含み、膜構造TF_Vは、ベントが形成されるか又は閉じられるようにするために作動するよう構成され、カバー構造CS_Vは、膜構造TF_Vを覆い保護するように構成され、少なくとも1つの蓋開口(図示せず)を有する。膜構造TF_Vによりベントが形成されると、カバー構造CS_Vの蓋開口、ベント及びベント基板ST_Vの基板開口OPVを気流が通過して、装置APTの内部空洞CViが装置APTの周囲に接続される。
【0144】
ベント装置VDは、音生成セルSPCの動作の間に閉塞効果を抑制するように構成され得る。閉塞効果は、耳管の密閉された体積が、ユーザ(すなわち、リスナー)による大きな知覚音圧を引き起こすことに起因する。一部のケースでは、ユーザが骨伝導音を生じさせる特定の動作(ウォーキング、ジョギング、会話、食事、音響変換器への接触等)を行い、ユーザの耳管に充填された装置APTを用いる間に閉塞効果が発生し、閉塞効果によってユーザは閉塞音を聞くことになるため、ユーザのリスニング品質が低下する。本実施形態では、閉塞効果の発生又は非発生に基づいて、ベント装置VDのベントが形成されるか又は閉じられ得る。閉塞効果が起こる場合、ベント装置VDのベントが形成されて耳道の容積が密閉されないようにして、閉塞効果を抑制する。閉塞効果が起こらない場合、ベント装置VDのベントが閉じられて、装置APTによって生成される音波の質が高められる。そのため、ベント装置VDの存在により、装置APTを用いるユーザの性能及び体験が高められ得る。
【0145】
図30に示す実施形態では、限定されないが、2つのベント装置VDは対称に配置され得る。一実施形態では、ベント装置VDはMEMS装置又はMEMS構造を含むパッケージであり得る。
【0146】
一実施形態では、装置APTは感知装置をさらに含み、ベント装置VDのベントは、感知装置によって生成される感知結果に基づいて形成又は閉じられる。例えば、感知装置は、モーションセンサー、力センサー、光センサー、加速度センサー、圧力センサー、高度センサー、近接センサー又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0147】
ベント装置VD、パッケージ構造PKG及び感知装置はコントローラに結合され、コントローラは、ベント装置VD、パッケージ構造PKG及び感知装置を制御するために信号を生成し得る。
【0148】
ベント装置、コントローラ及び感知装置の詳細又は変更は、米国特許出願第17/344980号、第17/344983号、第17/842810号及び第18/172346号に開示されており、これらの開示はその全体が参照により本願に組み込まれ、本明細書の一部を成す。
【0149】
本発明では、音生成セルとは異なる機能が異なるセルも、上記の実施形態のいずれかの音生成セルの構造又は上記の実施形態を組み合わせた構造を有し得る。そのため、このセルの製造方法は上記の音生成セルの製造方法と呼ばれ、このセルを含むパッケージ構造の構造及び形成方法は、上記の音生成セルのパッケージ構造の構造及び形成方法と呼ばれ、このセルを含む(又はこのセルを含むパッケージ構造を含む)装置の構造及び形成方法は上記の音生成セルを含む(又は音生成セルを含むパッケージ構造を含む)装置の構造及び形成方法と呼ばれ得る。
【0150】
一部の実施形態では、本発明のパッケージ構造内に配置されるセルは、音生成セルとは異なる音響機能を有し得る。一部の実施形態では、本発明のパッケージ構造内に配置されるセルは、そのベントを形成するか又は閉じることにより音生成セルの動作の間に閉塞効果を抑制するように構成されたベント装置内のベントセルであり得る。例えば、図30に示す装置APTの変形実施形態では、パッケージ構造であるベント装置VDは、上述した構造(すなわち、図1図20に示す上記の実施形態のうちの1つ又は組み合せ)を含むベントセルを含むため、ベントセルのための膜設計又は膜構造TF_Vの設計は、図1図20に示す上記の実施形態のうちの1つ又は組み合わせ(例えば、図11)を参照され、カバー構造CS_Vの設計は、図21図28に示す上記の実施形態のうちの1つ又は組み合わせ(例えば、図21図23)が参照され得る。なお、この変形実施形態では、音生成セルSPCは、本発明で説明した構造又は他の好適な構造を含み得る。
【0151】
要約すると、本発明の音生成セル又はベントセルの設計によれば、音生成セル又はベントセルは、より高い共振周波数、より大きいSPL、高いト歩留まり率及び/又は低い空気漏れを実現し得る。また、音生成セルとは異なる機能を有する一部のセルは音生成セルと呼ばれ得る。
【0152】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置及び方法の多数の修正及び変更が行われ得ることを容易に気付くであろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の内容及び範囲によってのみによって限定されるものと解釈すべきである。
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