(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060584
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】自車両の後方に位置する検出エリアにおいて対象物を検出するための車両物体検出システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175342
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】22202564
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】322007626
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートナマス・モビリティ・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小原 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】望月 朋彦
(72)【発明者】
【氏名】野原 孝良
(72)【発明者】
【氏名】高橋 将寛
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC14
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自車両の後方に位置する検出エリアにおいて車両のような対象物を検出する。
【解決手段】車両物体検出システムは、検出エリアに進入することが検出された対象物が警報対象であるかどうかに関する判定を生成し、対象物が警報対象であることを示す判定に基づいて、対象物が自車両の後方の検出エリアに存在する旨の警告を自車両の運転者に出力するように構成された警告手段に判定を出力するように構成された判定手段を備え、判定手段は、対象物がセンサの視野に含まれる検出可能エリアに進入することが検出された時点から指定された期間が経過するまで判定を生成することを遅延させるように構成され、検出可能エリアは検出エリアの一部のみと重複する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(50)の後方に位置する検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するための車両物体検出システム(10)であって、前記車両物体検出システム(10)は、
前記検出エリア(OL)に進入することが検出された対象物(60)が警報対象であるかどうかに関する判定を生成し、前記判定を警告手段(30)に出力するように構成された判定手段(20)を備え、前記警告手段(30)は、前記対象物(60)が警報対象であることを示す前記判定に基づいて、前記自車両(50)の後方の前記検出エリア(OL)に対象物(60)が存在する旨の警告を前記自車両(50)の運転者に出力するように構成され、
前記判定手段(20)は、前記対象物(60)がセンサ(401、402)の視野に含まれる検出可能エリア(DA)に進入することが検出された時点から指定された期間が経過するまで前記判定を生成することを遅延させるように構成され、前記検出可能エリアは前記検出エリア(OL)の一部のみと重複する、車両物体検出システム(10)。
【請求項2】
前記判定手段(20)は、前記対象物(60)が前記検出可能エリア(DA)の側方から、または前記センサ(401、402)の前記視野の縁部から、前記検出可能エリア(DA)に進入した時点から前記指定された期間が経過するまで前記判定を生成することを遅延させるように構成される、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項3】
前記判定手段(20)は、前記対象物が前記検出可能エリア(DA)に進入することが検出され、前記検出エリア(OL)の第1の側から前記検出エリア(OL)に進入することが検出されたことに応答して、前記判定を生成することを遅延させるように構成され、前記第1の側は、前記センサ(401、402)が位置する前記検出エリア(OL)の第2の側とは反対である、請求項1または2に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項4】
前記判定手段(20)は、前記対象物(60)の後方の縁部または端部が、前記検出可能エリア(DA)に進入する前記対象物を検出したセンサ(401、402)に、前記センサ(401、402)に対する前記検出可能エリア(DA)の遠位端よりも近いと検出されたことに応答して、前記判定を生成することを遅延させるように構成される、請求項1~3のいずれかに記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項5】
前記対象物(60)は、前記検出エリア(OL)の法線方向から見て、前記センサ(401、402)の前記検出可能エリア(DA)と少なくとも部分的に重複することが検出される、請求項1~4のいずれかに記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項6】
前記判定手段(20)は、前記指定された期間の経過後に、前記対象物(60)が警報対象であるか、それとも警報対象でないかを示す前記遅延判定を生成するように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項7】
自車両(50)のため運転者支援システム(1)であって、
前記自車両(50)の後方に位置する検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するように構成された検出手段(40)であって、前記検出手段(40)は、検出可能エリア(DA)において対象物(60)を検出するように構成されたセンサ(401、402)を備え、前記検出可能エリア(DA)は、前記センサ(401、402)の視野に含まれ、前記検出エリア(OL)の一部のみと重複する、検出手段(40)と、
請求項1~6のいずれかに記載の車両物体検出システム(10)と、
前記車両物体検出システム(10)の判定手段(20)の、前記対象物(60)が警報対象であることを示す前記判定に基づいてのみ、前記対象物(60)が前記検出エリア(OL)に存在することを前記自車両の運転者に警告するように構成された警告手段(30)と
を備える、運転者支援システム(1)。
【請求項8】
前記検出手段(40)は、前記検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するように構成された少なくとも2つのセンサ、好ましくは2つの短距離レーダセンサのような少なくとも2つのレーダセンサを備え、各センサ(401、402)は、前記それぞれのセンサのそれぞれの視野に含まれる異なる検出可能エリア(DA)を監視し、前記異なる検出可能エリア(DA)の各々は、前記検出エリア(OL)の一部のみと重複する、請求項7に記載の運転者支援システム(1)。
【請求項9】
前記警告手段(30)は、前記センサ(401、402)のうちの一方によって検出された前記対象物(60)が警報対象であることを示す前記判定手段(20)の前記判定に基づいて、対象物(60)が前記検出エリア(OL)に存在することの警告を前記自車両(50)の運転者に出力し、前記判定手段(20)が他方のセンサに対して前記判定を生成することを遅延させたことに基づいて、前記センサ(401、402)のうちの前記他方によって前記検出エリア(OL)に前記対象物(60)が検出されても警告を出力しないように構成される、請求項7または8に記載の運転者支援システム(1)。
【請求項10】
車両であって、
請求項7~9のいずれか1項に記載の運転者支援システム(1)を備え、前記一方のセンサ(401、402)は、前記車両の左後方の縁部/領域に配置され、前記他方のセンサ(401、402)は、前記車両の右後方の縁部/領域に配置される、車両。
【請求項11】
特に請求項1~6のいずれか1項に記載の車両物体検出システム(10)を制御するために、自車両(50)の後方に位置する検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
前記検出エリア(OL)に進入することが検出された対象物(60)が警報対象であるかどうかに関する判定を生成するステップと、前記対象物(60)が警報対象であることを示す判定に基づいて、対象物(60)が前記自車両(50)の後方の前記検出エリア(OL)に存在する旨の警告を前記自車両(50)の運転者に出力するように構成された警告手段(30)に前記判定を出力するステップと
を含み、前記判定を生成することは、前記対象物(60)がセンサ(401、402)の視野に含まれる検出可能エリア(DA)に進入することが検出された時点から指定された期間が経過するまで遅延され、前記検出可能エリアは前記検出エリア(OL)の一部のみと重複する、コンピュータ実装方法。
【請求項12】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、前記命令は、請求項11に記載のコンピュータ実装方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを記憶している非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、自車両の後方に位置する検出エリアにおいて車両のような対象物(以下、「対象車両」ともいう)を検出するための車両物体検出システムに関する。さらに、本発明は、特に車両物体検出システムを制御するための、自車両の後方に位置する検出エリアにおいて車両のような対象物を検出するためのコンピュータ実装方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、そのような車両物体検出システムを備える車両用運転者支援システムと、上記コンピュータ実装方法を実行するための対応するコンピュータプログラムと、それぞれの非一時的コンピュータ可読媒体とに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
車両用の従来の運転者支援システムまたは先進運転者支援システム(ADAS)は、例えば、従来の車両および自動運転車両に関連して広く使用されている。
【0004】
多くの車両事故は、ヒューマンエラーによって引き起こされ、それらはそのような先進運転者支援システムによって回避されたかもしれない。一般的に知られているセーフティクリティカルADASの用途は、例えば、歩行者検出/回避、車線逸脱警告/修正、交通標識認識、自動緊急ブレーキ、(リア)クロストラフィックアラートおよび死角検出(BSD)を含む。
【0005】
(リア)クロストラフィックアラートに関連して、それぞれのリアクロストラフィックアラート(RCTA)システムは、死角内の車両を検出するために使用されるもの(BSD)と同じレーダインフラストラクチャのような検出手段を使用することが多い。
【0006】
例えば、長距離レーダ(長距離レーダセンサ)は、通常、緊急ブレーキ支援および適応走行制御のような用途に使用されるが、短距離レーダは、例えば、死角検出(BSD)、リアクロストラフィックアラート、車線変更支援および後方プリクラッシュシステムのような用途に関連して用いられることが多い。
【0007】
そのような後方プリクラッシュシステムは、自車両の後方から、例えば自車両の車線(自車線または自己車線と呼ばれる)に隣接する隣接車線から接近する車両を追跡し、差し迫った衝突の場合、インジケータ(光学または音響インジケータ)、エアバッグ、シートベルトなどの安全装置を事前に作動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
道路の暴走や共連れ状況(自車両の後方の対象車両が自車両に危険に接近する)などの危険な状況の場合、このようなインジケータを用いて、自車両の運転者に後方交通接近通知(RTAN)を出力してもよく、この通知は、通常、車両物体検出システムによって実施される後方ターゲット接近通知システム(RTANシステム)および長距離後方ターゲット接近通知システム(L-RTANシステム)によって出力される。
【0009】
しかしながら、対象車両が自車両の(自/自己)車線に進入したとしても、自車両の運転者の注意のために、自車両の後方から車両が接近していることを警告するアラームを出力または作動させる必要は必ずしもない。
【0010】
換言すれば、後方交通接近通知に用いられる従来の対象物検出システムの判定手段は、自車両後方の検出エリア、すなわち自車両後方の後方通行ゾーンに進入したことが検出された他車両のような対象物を警報対象であると判定し、この判定の結果を自車両後方の検出エリアに対象車両が存在する旨の警告を、アラーム/警報状況のような危険な状況が実際には存在しないことから通知が不要であっても、自車両の運転者に対して直ちに出力する警告手段に出力する場合がある。
【0011】
これは、場合によっては、RTANシステムの検出および判定手段が、自車両の後方の対象車両を検出し、自車線または隣接車線上の警報すべき対象車両と警報対象でない隣接車線上の対象車両とを区別することが困難であるためである。
【0012】
例えば、対象車両が自車両に対して隣接車線を直進すなわち並走しており、自車両のRTANシステムによって検出されるRTANゾーンを構成する検出エリアに片側から瞬間的に接触/進入する場合がある。RTANシステムで使用されるレーダセンサのレーダ検出による対象追跡は、しばしば位置誤差と関連付けられる。特に、それぞれのレーダセンサが位置する側とは反対側の一方の側、すなわち、自車両の後方の縁部の他方の側に位置する検出エリア/RTANゾーンに進入する対象車両は、それぞれのレーダセンサの視野(FoV)の縁部で検出される。したがって、このような対象車両は、このレーダセンサによって、その位置に関してさらにあまり正確ではないが検出される。
【0013】
そのような場合、短い期間の間RTANゾーン、すなわちそれぞれの短距離センサによって検出可能なゾーンに部分的にあることによって対象車両が自車両と衝突しないか、または自車両にとって危険でない場合でも、より低い精度で対象車両を検出するそれぞれのセンサによる警告を誘因し得る。すなわち、このような状況では、特に対象物が遠距離にあり、したがってセンサによって不正確に検出される場合、短距離センサのみを使用することによって非危険状況と危険状況とを区別することは困難である。
【0014】
この困難さは、例えば、これらのレーダセンサの限られた視野(FoV)のような、自車両のレーダインフラストラクチャの左右の後方コーナの短距離レーダセンサの構造的側面によって引き起こされ得る。このため、近傍の対象位置検出や対象追跡の精度が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
本発明による車両物体検出システムは、自車両の後方に位置する検出エリアにおいて車両のような対象物を検出するためのものであって、車両物体検出システムは、検出エリアへの進入が検出された対象車両のような対象物が警報対象であるかどうかに関する判定を生成し、判定を警告手段に出力するように構成された判定手段を備え、警告手段は、対象物が警報対象であることを示す判定に基づいて、自車両の後方の検出エリアに対象物が存在する旨を自車両の運転者に警告するように構成され、判定手段は、対象物がセンサの視野に含まれる検出可能エリアに進入することが検出された時点から指定された期間が経過するまで判定を生成することを遅延させるように構成され、検出可能エリアは検出エリアの一部のみと重複する。
【0016】
本発明によれば、本発明による車両物体検出システムを備える後方接近ターゲット通知(RTAN)システムのための警告判断/判定アルゴリズムは、自車両の後方コーナ(レーダ)センサのようなセンサが配置/配列される側とは反対の検出可能エリアの側から来る他の対象車両のような検出された対象物による警告を抑制するための警告遅延時間(指定された期間)を使用することによって改善することができる。
【0017】
このような、他の車両(対象車両ともいう)のように、センサ(左または右のコーナ/後縁レーダセンサ)の検出可能エリアに、センサが配置/配列されている側とは反対側の検出可能エリア側から進入する対象物による警告を抑制するための遅延時間(指定された期間)を適用することにより、指定された期間の間、潜在的な誤警告の出力が抑制されるので、対象物を該当の警報対象とするか、無関係/非警報対象とするかを区別する機能を向上させることができる。そのような無関係/非警報対象の例は、一時的に、すなわち短い期間、センサの検出可能エリアに接触/進入する、自車両の自車線に隣接する隣接車線上の対象物/車両、ゴースト対象などであり得る。
【0018】
これに対して、従来の車両物体検出システムでは、検出エリアの側方に位置する隣接車線に対応する隣接エリアの他の車両のような対象物が自車両の傍を通過する場合に、後方接近ターゲット通知を誤作動させる。これは、検出エリアに対象物が進入した車両の反対側の近距離センサに対する対象追跡の精度が誤差を生じやすいためである。このため、本発明は、以下の条件が満足されたときに、検出エリアに進入した対象物について計算されるべき遅延時間(遅延タイマ/カウンタによって設定される)を提供する。
【0019】
対象物は、対象物が検出エリア(RTANゾーン)に進入した検出エリアの側とは反対側に位置するそれぞれのセンサの検出可能エリアと部分的に重複する。
【0020】
対象物の後方の縁部/端部は、それぞれのセンサのそれぞれの検出可能エリアの後方の縁部/端部よりもそれぞれのセンサに近い、すなわち、対象物の後方の縁部/端部は検出可能エリア内にある。
【0021】
これらの条件が満足される場合、遅延時間が開始され、例えば、対象物を検出したセンサに関して1000ms~1300ms、好ましくは約1250msの期間、警告(RTAN警告)の出力が抑制される。
【0022】
しかしながら、遅延時間は、それぞれの車両で使用されるセンサおよびシステムの種類に応じて異なり得る。
【0023】
したがって、遅延時間、すなわち指定された期間は、対象物が最初にRTANゾーンに進入するサイクル、および対象物がRTANゾーンに進入したRTANゾーン(検出エリア)の側とは反対側に位置するそれぞれのセンサの検出可能エリアにおいて、上記の条件が満たされる場合に設定される。それ以外の場合、遅延時間は設定されない。
【0024】
前提として、RTANシステムは、対象物が左または右のいずれかのセンサによって検出された場合、運転者に警告を通知する。遅延時間の起こり得る副作用は、ターゲットが実際にRTANゾーンに進入したときの遅い警告である。しかしながら、遅延時間は、対象物が検出エリアに進入した検出エリアの同じ側に位置するセンサによって検出された対象物には適用されないため、RTANシステムは、同じ側に位置するセンサの対象物の検出により警告が依然として出力される場合に、遅延なしに警告を起動することができる。すなわち、各センサの出力は、互いに独立して管理される。
【0025】
したがって、本発明によって達成される有利な効果の1つは、不必要なアラームの警告/起動を回避することである。
【0026】
特に、車両物体検出システムは、判定手段が、対象物が検出可能エリアの側方から、またはセンサの視野の縁部から、検出可能エリアに進入した時点から前記指定された期間が経過するまで判定を生成することを遅延させるように構成されるようにさらに変更することができる。
【0027】
本発明による車両物体検出システムは、判定手段が、対象物が検出可能エリアに進入することが検出され、検出エリアの第1の側から検出エリアに進入することが検出されたことに応答して、判定を生成することを遅延させるように構成されるようにさらに構成することができ、第1の側は、センサが位置する検出エリアの第2の側とは反対である。
【0028】
さらに、本発明による車両物体検出システムは、判定手段が、対象物の後方の縁部または端部が、検出可能エリアに進入する対象物を検出したセンサに、センサに対する検出可能エリアの遠位端よりも近いと検出されたことに応答して、判定を生成することを遅延させるように構成されるようにさらに形成することができる。
【0029】
これに関連して、対象物の後方の縁部または端部は、センサに対する対象物の遠位縁部または端部に対応し、対象物の前方縁部または端部は、センサに対する対象物の近位縁部または端部に対応し、後方の縁部または端部よりもセンサに近い。
【0030】
本質的に、対象物を高精度で検出することができる各センサの検出可能エリアは、検出エリア全体をカバーするのではなく、各コーナセンサは、検出エリアの一部を高精度で単に監視することができ、検出エリアの残りの部分は、まったく監視されないか、または単に低精度である。
【0031】
さらに、本発明による車両物体検出システムは、対象物が、検出エリアの法線方向から見て、センサの検出可能エリアと少なくとも部分的に重複することが検出されるようにさらに実現することができる。
【0032】
換言すれば、他の対象車両のような対象物は、車線または車両の長手方向に垂直な方向に対応する横方向にある検出可能エリアと横方向オーバーラップを有する。
【0033】
さらに、本発明による車両物体検出システムは、判定手段が、指定された期間の経過後に、対象物が警報対象であるか、それとも警報対象でないかを示す遅延判定を生成するように構成されるように変更することができる。換言すれば、指定された期間が経過した後、警告抑制が解除される。
【0034】
本発明による運転者支援システムは、自車両のためのものであって、自車両の後方に位置する検出エリアにおいて対象物を検出するように構成された検出手段であって、検出手段は、検出可能エリアにおいて対象物を検出するように構成されたセンサを備え、検出可能エリアは、センサの視野に含まれ、検出エリアの一部のみと重複する、検出手段と、上記で概説されたような本発明による車両物体検出システムと、車両物体検出システムの判定手段の、対象物が警報対象であることを示す判定に基づいてのみ、対象物が検出エリアに存在することを自車両の運転者に警告するように構成された警告手段とを備える。
【0035】
本発明による運転者支援システムは、検出手段が、検出エリアにおいて対象物を検出するように構成された少なくとも2つのセンサ、好ましくは2つの短距離レーダセンサのような少なくとも2つのレーダセンサを備えるようにさらに実現することができ、各センサは、それぞれのセンサのそれぞれの視野に含まれる異なる検出可能エリアを監視し、異なる検出可能エリアの各々は、検出エリアの一部のみと重複する。したがって、各センサは、遅延時間、すなわち前記指定された期間がそれぞれのセンサに対して設定されない限り、互いに独立して警告の出力をトリガし得る。
【0036】
さらに、本発明による運転者支援システムは、警告手段が、センサのうちの1つによって検出された対象物が警報対象であることを示す判定手段の判定に基づいて、対象物が検出エリアに存在することの警告を自車両の運転者に出力し、判定手段が他方のセンサに対して判定を生成することを遅延させたことに基づいて、センサのうちの他方によって検出エリアに対象物が検出されても警告を出力しないように構成されるようにさらに構成することができる。
【0037】
したがって、上述したように、異なるセンサの出力は互いに独立して判断される。つまり、一方のセンサの出力の判定は指定された期間の経過まで遅延されるが、それにもかかわらず、他方のセンサの出力の判定は運転者に警告を出力することになり得る。
【0038】
本発明による車両は、本発明による上述の運転者支援システムを備え、一方のセンサは、車両の左後方の縁部/領域または端部領域に配置され、他方のセンサは、車両の右後方の縁部/領域または端部領域に配置される。
【0039】
本発明による方法は、特に本発明による上述の車両物体検出システムを制御するために、自車両の後方に位置する検出エリアにおいて対象物を検出するためのものであって、方法は、検出エリアに進入することが検出された対象物が警報対象であるかどうかに関する判定を生成するステップと、対象物が警報対象であることを示す判定に基づいて、対象物が自車両の後方の検出エリアに存在する旨の警告を自車両の運転者に出力するように構成された警告手段に判定を出力するステップとを含み、判定を生成することは、対象物がセンサの視野に含まれる検出可能エリアに進入することが検出された時点から指定された期間が経過するまで遅延され、検出可能エリアは検出エリアの一部のみと重複する。
【0040】
したがって、本発明による車両物体検出システムに関連して説明された特性および利点は、本発明による自車両の後方に位置する検出エリアにおいて対象物を検出するための方法に関して同じまたは同様の方法で生じるが、これは、繰り返しを避けるために、本発明による車両物体検出システムに関するそれぞれの説明を参照する理由である。
【0041】
本発明によるコンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータまたはプロセッサによって実行されると、コンピュータまたはプロセッサに、本発明による上述のコンピュータ実装方法を実行させる命令を含む。
【0042】
本発明による非一時的コンピュータ可読媒体は、本発明による上述のコンピュータプログラムを記憶している。
【0043】
図面の簡単な説明
本発明の好ましい実施形態および利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を読めば、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】2つの異なるそれぞれの状況における本発明による運転者支援システムを備える本発明による車両の一実施形態を示す図である。
【
図2】
図1の本発明による運転者支援システムによって実行される判定プロセスのフローチャートである。
【
図3】
図1の本発明による運転者支援システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
これに関連して、本明細書で説明される車両物体検出システムは、例えば車両物体検出システムで実行される処理で使用されるメモリを含み得る。実施形態で使用されるメモリは、揮発性メモリ、例えばDRAM(動的ランダムアクセスメモリ)または不揮発性メモリ、例えばPROM(プログラム可能読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能PROM)、EEPROM(電気的消去可能PROM)、またはフラッシュメモリ、例えばフローティングゲートメモリ、電荷トラップメモリ、MRAM(磁気抵抗ランダムアクセスメモリ)またはPCRAM(相変化ランダムアクセスメモリ)であってもよい。
【0046】
これに関連して、本明細書で説明する車両物体検出システムは、プロセッサまたは「回路」を含み得る。「回路」は、専用回路またはメモリに記憶されたソフトウェアを実行するプロセッサ、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せであり得る、任意の種類の論理実装エンティティとして理解され得る。したがって、一実施形態では、「回路」は、ハードワイヤード論理回路、またはプログラマブルプロセッサ、例えばマイクロプロセッサ(例えば、複合命令セットコンピュータ(CISC)プロセッサまたは縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ)などのプログラマブル論理回路であってもよい。「回路」はまた、ソフトウェア、例えば、任意の種類のコンピュータプログラム、例えば、Javaなどの仮想マシンコードを使用するコンピュータプログラムを実行するプロセッサであってもよい。以下でより詳細に説明されるそれぞれの機能の任意の他の種類の実装もまた、代替の実施形態による「回路」として理解され得る。
【0047】
図面を参照して、本発明の1つの好ましい実施形態を、ここで例示目的のために具体的に説明する。この実施形態における構成要素または要素は、例としてのみ示され説明されるが、本発明をそれらに限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0048】
図1a)および
図1b)は、2つの異なるそれぞれの状況における本発明による運転者支援システム1を備える本発明による車両50(以下「自車両」と呼ぶ)の一実施形態を示し、運転者支援システム1は、
図3に関連してより具体的に説明される。
【0049】
図3は、
図1の本発明による運転者支援システム1の概略構成をより詳細に示す。
【0050】
図3から分かるように、自車両50に設けられた運転者支援システム1は、本発明による車両物体検出システム10と、検出手段40と、警告手段30とを備える。
【0051】
検出手段40は、自車両50の後方に位置する検出エリアOLにおいて、他の車両(「対象車両」ともいう)のような対象物60を検出するように構成され、以下で説明する。
【0052】
この実施形態では、検出手段40は、検出エリアOLにおいて対象物60を検出するためのレーダセンサ401、402を備える。これらのセンサ401、402は、例えば、従来の(後方)交差交通警報システムの一部であってもよく、この特定の実施形態では、少なくとも、自車両50に対する対象物60の相対位置、自車両50の長手方向(従来の車両座標系による車両のx方向)および車両の横断方向(従来の車両座標系による車両のx方向)における対象物60の自車両50に対する相対速度を検出することができる短距離レーダセンサ401、402である。
【0053】
より具体的には、
図1から分かるように、2つの短距離レーダセンサ401、402は各々、検出エリアOLにおいて対象物60を検出するように構成され、一方のセンサ402は車両50の左後方の縁部/領域に配置され、他方のセンサ401は車両50の右後方の縁部/領域に配置される。
【0054】
したがって、各センサ401、402は、それらの視野(FoV)が制限されているため、それぞれのセンサ401、402のそれぞれの視野に含まれる異なる検出可能エリアDAを監視/検出し、異なる検出可能エリアDAの各々は、検出エリアOLの一部のみと重複する。それぞれのセンサ401、402は、それらの検出可能エリアDAにおいて対象物60を高い精度、例えば高い位置精度、速度精度などで検出することができるが、それぞれのセンサ401、402は、それらの検出可能エリアDA外で対象物60を低い精度で検出してもよく、またはそれらの検出可能エリアDA外で対象物60をまったく検出しなくてもよい。
【0055】
より詳細には、この実施形態では、
図1からも分かるように、例えば、自車両50の後方の車両のような対象物60を検出するためのレーダセンサ401、402を備えるレーダインフラストラクチャを使用する検出手段40によって監視される自車両50の検出エリアOLは、少なくとも自車両50の自車線および後方の領域に対応する。また、検出手段40は、好ましくは、検出エリアOL(自車両の自車線)の側方に位置し、少なくとも自車両50の自車線に隣接する隣接車線に対応する隣接エリアAL内の対象物60も検出/監視可能である。次に、2つのセンサ401、402は、互いに独立して、それぞれのセンサ401、402の視野内に含まれる異なる検出可能エリアDAを監視し、それは自車両50の自車線および後方の領域の一部にのみ対応する。
【0056】
本質的に、車両50の左後方の縁部/領域に配置された一方のセンサ402は、主に自車両50に対して検出エリアOLの左側に位置する検出可能エリアDAを監視し(
図1a)参照)、一方、自車両50の右後方の縁部/領域に配置された他方のセンサ401は、主に自車両に対して検出エリアOLの右側に位置する検出可能エリアDAを監視する(
図1b)参照)。両方のセンサ401、402の両方の検出可能エリアDAは、検出エリアOLの中央領域で重複してもよい。
【0057】
警告手段30は、検出エリアOLに対象物60が存在することを自車両50の運転者に警告するように構成される。例えば、警告手段は、対象物60が検出エリアOLに存在することを自車両50の運転者に通知することができる従来の視覚的または音響的インジケータ(ディスプレイまたはスピーカ)であってもよい。
【0058】
車両物体検出システム10は、自車両50の後方に位置する検出エリアOL(自車両の自車線)における対象物60の検出または検出処理のためのものであり、判定手段20を備える。車両物体検出システム10は、例えば、判定手段20の機能および従来の機能を実行するためのいくつかのプログラムを記憶しているプロセッサまたはコンピュータによって実装されてもよい。
【0059】
プロセッサによって形成されてもよい、すなわちこの実施形態では判定プロセッサによって形成されてもよい判定手段20は、検出エリアOLに進入することが検出された対象物60が警報対象であるか、それとも警報対象でないか、すなわち警報対象はないかに関する判定を判定または生成するように構成され、判定手段20が対象物60が警報対象であることを示す場合にのみ、対象物60が自車両50の後方の検出エリアOLに存在するという警告を自車両50の運転者に出力するように構成された警告手段30に判定を出力するようにさらに構成される。他方の場合、すなわち、判定手段20が警告手段30に判定を出力し、対象物60が検出されても警告を出力しないことを警告手段30に示す場合、すなわち、判定手段20が対象物60を警報対象でないと判定した場合、警告手段30は、自車両50の運転者に警告を出力しない。
【0060】
さらに、判定手段20は、検出エリアOLに対象物60が存在していても、検出エリアOLの一部のみと重複するセンサ401、402の視野に含まれる検出可能エリアDAに、検出可能エリアDAの側方から対象物60が進入した時点から指定された期間が経過するまで、対象物60が警報対象であるかどうかに関する判定を生成することを遅延させるように構成される。
【0061】
より具体的には、判定手段20は、それぞれのセンサ401、402が位置する検出エリアOLの他方の側とは反対側の検出エリアOLの一方の側から対象物60が来て検出可能エリアDAの側方から検出可能エリアDAに進入することが検出され、検出可能エリアDAに進入する対象物60を検出したそれぞれのセンサ401、402の側の対象物60の後方の縁部または端部REが、それぞれのセンサ401、402に対する検出可能エリアDAの遠位端よりもそれぞれのセンサ401、402に近いことが検出された場合、指定された期間だけ判定を生成することを遅延させる。すなわち、換言すれば、対象物60の後方の縁部または端部REは、それぞれのセンサ401、402に対する対象物60の遠位縁部または端部であり、対象物60の前方縁部または端部FEは、それぞれのセンサ401、402に対する対象物60の近位縁部または端部であり、後方の縁部または端部REよりもセンサ401、402に近い。
【0062】
この点において、判定手段20は、対象物が、それぞれのセンサ401、402が位置する検出エリアOLの他方の側とは反対側の検出エリアOLの側から来て検出可能エリアDAの側方から検出可能エリアDAに進入することが検出された場合、指定された期間の間判定を生成することを遅延させ、これは、検出エリアOLの法線方向から見た対象物60が、それぞれのセンサの検出可能エリアDAと少なくとも部分的に重複することを意味する。基本的には、各センサの検出可能エリアDAに対する横方向オーバーラップであり、検出可能エリアDA内にある対象物60の後方の縁部/端部におけるオーバーラップの程度に基づいて、判定を生成することを遅延させるか否かが判定される。
【0063】
判定手段20は、指定された期間が経過した場合、対象物が警報対象であるか、それとも警報対象でないかの判定を遅延させて行う。
【0064】
いずれの場合でも、警告手段30は、判定手段20が、対象物60が警報対象であることを示す判定を生成した場合、対象物60が検出エリアOLに存在するという警告を自車両50の運転者に出力し、指定された期間が経過していない限り、または判定手段20が、対象物60が警報対象でないことを示す判定を生成した場合、検出手段40によって検出エリアOLに対象物60が検出されても警告を出力しない。
【0065】
この実施形態では、警告手段30による警告の出力は、各センサ401、402とは独立してトリガされる。すなわち、センサ401、402のいずれかが対象物60を検出した場合、検出された対象物60が警報対象であるか、それとも警報対象でないかに関する判定を、センサ401、402ごとに遅延させることもできるし、遅延させないこともできる。この結果、警報対象であるとも警報対象でないとも判定されない一方のセンサ401、402の警告の出力を遅延させることができる一方で、他方のセンサ401、402は警告のための出力をトリガしてもよく、すなわち、対象物60が警報対象であるか、それとも警報対象でないかに関する判定をそれにもかかわらず行うことができる。
【0066】
図2は、
図1の本発明による運転者支援システム1によって実行される判定プロセスのフローチャートを示す。より詳細には、
図2に示すような判定プロセスは、判定手段20によって実行される。
【0067】
図2に見られるように、ステップ10で、フラグ「flagA」の形態のデータ構造(警告手段30のアラーム/または警告プロセスをトリガするためのアラームフラグ)は、判定手段20の判定に応じて「真」または「偽」のいずれかに設定される。より詳細には、「flagA」は、上記の条件が満足される場合に、判定手段20が、センサ401、402のうちの1つによって検出された対象物60が当面は警報対象でないことを示す判定を生成した場合に、TRUEに設定される。他の場合、すなわち判定手段20が、センサ401、402のうちの1つによって検出された対象物60が警報対象であることを示す判定を生成した場合、「flagA」はFALSEに設定される。次に、手順はステップS20に進み、「flagA」がTRUEに設定されているかどうかをチェックする。それがTRUEに設定されている場合、手順はステップS30に進み、そうでない場合、ステップS30はスキップされ、手順は終了する。
【0068】
ステップS30で、警告/アラームを抑制する要求が警告手段30に送られ、それによって、対象物60を検出した一方のセンサ401、402に関して、少なくとも次の判定が生成されるまで、すなわち指定された期間が経過した後に生成される次の判定まで、警告手段30によって警告/アラームが出力されないように、対象物60が当面の間警報対象でないことが示される。
【0069】
換言すれば、判定手段20は、対象物60を検出した1つのセンサ401、402に対して、警告手段30に出力することで、対象物60が検出されていたとしても、対象物60は当面の間警報対象でないと判定手段20がみなすので、警告を抑制する。したがって、他方のセンサ401、402によって検出された対象物60の検出は依然として可能であり、依然として警告手段30によって警告出力をトリガし得る。
【0070】
次に、
図1a)および
図1b)に基づいて、車両物体検出システム10を備えた運転者支援システム1の動作の一例について説明する。
【0071】
図1a)に見られるように、自車両50は前進しており、対象物60、すなわち他の対象車両が検出エリアOLに進入する。特に、対象物60は、自車両50の左後方の縁部/領域に位置する左後方の縁部/領域センサ402の検出可能エリアDAの右側に進入する。
【0072】
次に、
図1b)の他の例に見られるように、自車両50は前進しており、対象物60、すなわち他の対象車両は、自車両50の右後方の縁部/領域に位置する右後方の縁部/領域センサ402の検出可能エリアDAの左側に進入する。
【0073】
いずれの場合も、検出エリアOLに進入することが検出された対象物60が警報対象であるかどうかに関する判定が判定手段20によって生成され、判定手段が対象物60が警報対象であることを示す判定を生成した場合、対象物60が自車両50の後方の検出エリアOLに存在するという警告を自車両50の運転者に出力する警告手段30に判定の結果が出力される。
【0074】
しかしながら、
図1a)および
図1b)の場合、対象物60が検出エリアOLに存在していても、対象物60がそれぞれの検出可能エリアDAにおいて横方向オーバーラップを有し、対象物60の後方の縁部/端部REが検出可能エリアDAの後方の縁部/端部よりもセンサ601、602に近い、すなわち検出可能エリアDA内にあるため、対象物60がそれぞれのセンサ601、602のそれぞれの検出可能エリアDAに進入した時点から指定された期間が経過するまで、判定の生成が遅延される。このため、
図1a)の左後方の縁部/領域センサ402または
図1b)の右後方の縁部/領域センサ401に対する警告の出力は、遅延カウンタによって例えば25サイクル(指定された期間)遅延され、その後、判定手段20によって対象物60が警報対象であるか、それとも警報対象でないかの判定が生成される可能性がある。それぞれの他のセンサ、すなわち
図1a)の右後方の縁部/領域センサ401または
図1b)の左後方の縁部/領域センサ402の出力は、遅延時間の影響を受けない。
【0075】
前述の説明、図面および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別におよび任意の組合せで本発明を実現するために不可欠であり得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(50)の後方に位置する検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するための車両物体検出システム(10)であって、前記車両物体検出システム(10)は、
前記検出エリア(OL)に進入することが検出された対象物(60)が警報対象であるかどうかに関する判定を生成し、前記判定を警告手段(30)に出力するように構成された判定手段(20)を備え、前記警告手段(30)は、前記対象物(60)が警報対象であることを示す前記判定に基づいて、前記自車両(50)の後方の前記検出エリア(OL)に対象物(60)が存在する旨の警告を前記自車両(50)の運転者に出力するように構成され、
前記判定手段(20)は、前記対象物(60)がセンサ(401、402)の視野に含まれる検出可能エリア(DA)に進入することが検出された時点から指定された期間が経過するまで前記判定を生成することを遅延させるように構成され、前記検出可能エリアは前記検出エリア(OL)の一部のみと重複する、車両物体検出システム(10)。
【請求項2】
前記判定手段(20)は、前記対象物(60)が前記検出可能エリア(DA)の側方から、または前記センサ(401、402)の前記視野の縁部から、前記検出可能エリア(DA)に進入した時点から前記指定された期間が経過するまで前記判定を生成することを遅延させるように構成される、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項3】
前記判定手段(20)は、前記対象物が前記検出可能エリア(DA)に進入することが検出され、前記検出エリア(OL)の第1の側から前記検出エリア(OL)に進入することが検出されたことに応答して、前記判定を生成することを遅延させるように構成され、前記第1の側は、前記センサ(401、402)が位置する前記検出エリア(OL)の第2の側とは反対である、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項4】
前記判定手段(20)は、前記対象物(60)の後方の縁部または端部が、前記検出可能エリア(DA)に進入する前記対象物を検出したセンサ(401、402)に、前記センサ(401、402)に対する前記検出可能エリア(DA)の遠位端よりも近いと検出されたことに応答して、前記判定を生成することを遅延させるように構成される、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項5】
前記対象物(60)は、前記検出エリア(OL)の法線方向から見て、前記センサ(401、402)の前記検出可能エリア(DA)と少なくとも部分的に重複することが検出される、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項6】
前記判定手段(20)は、前記指定された期間の経過後に、前記対象物(60)が警報対象であるか、それとも警報対象でないかを示す前記遅延判定を生成するように構成される、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項7】
自車両(50)のため運転者支援システム(1)であって、
前記自車両(50)の後方に位置する検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するように構成された検出手段(40)であって、前記検出手段(40)は、検出可能エリア(DA)において対象物(60)を検出するように構成されたセンサ(401、402)を備え、前記検出可能エリア(DA)は、前記センサ(401、402)の視野に含まれ、前記検出エリア(OL)の一部のみと重複する、検出手段(40)と、
請求項1~6のいずれかに記載の車両物体検出システム(10)と、
前記車両物体検出システム(10)の判定手段(20)の、前記対象物(60)が警報対象であることを示す前記判定に基づいてのみ、前記対象物(60)が前記検出エリア(OL)に存在することを前記自車両の運転者に警告するように構成された警告手段(30)と
を備える、運転者支援システム(1)。
【請求項8】
前記検出手段(40)は、前記検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するように構成された少なくとも2つのセンサ、好ましくは2つの短距離レーダセンサのような少なくとも2つのレーダセンサを備え、各センサ(401、402)は、前記それぞれのセンサのそれぞれの視野に含まれる異なる検出可能エリア(DA)を監視し、前記異なる検出可能エリア(DA)の各々は、前記検出エリア(OL)の一部のみと重複する、請求項7に記載の運転者支援システム(1)。
【請求項9】
前記警告手段(30)は、前記センサ(401、402)のうちの一方によって検出された前記対象物(60)が警報対象であることを示す前記判定手段(20)の前記判定に基づいて、対象物(60)が前記検出エリア(OL)に存在することの警告を前記自車両(50)の運転者に出力し、前記判定手段(20)が他方のセンサに対して前記判定を生成することを遅延させたことに基づいて、前記センサ(401、402)のうちの前記他方によって前記検出エリア(OL)に前記対象物(60)が検出されても警告を出力しないように構成される、請求項7に記載の運転者支援システム(1)。
【請求項10】
車両であって、
請求項9に記載の運転者支援システム(1)を備え、前記一方のセンサ(401、402)は、前記車両の左後方の縁部/領域に配置され、前記他方のセンサ(401、402)は、前記車両の右後方の縁部/領域に配置される、車両。
【請求項11】
特に請求項1~6のいずれか1項に記載の車両物体検出システム(10)を制御するために、自車両(50)の後方に位置する検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
前記検出エリア(OL)に進入することが検出された対象物(60)が警報対象であるかどうかに関する判定を生成するステップと、前記対象物(60)が警報対象であることを示す判定に基づいて、対象物(60)が前記自車両(50)の後方の前記検出エリア(OL)に存在する旨の警告を前記自車両(50)の運転者に出力するように構成された警告手段(30)に前記判定を出力するステップと
を含み、前記判定を生成することは、前記対象物(60)がセンサ(401、402)の視野に含まれる検出可能エリア(DA)に進入することが検出された時点から指定された期間が経過するまで遅延され、前記検出可能エリアは前記検出エリア(OL)の一部のみと重複する、コンピュータ実装方法。
【請求項12】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、前記命令は、請求項11に記載のコンピュータ実装方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを記憶している非一時的コンピュータ可読媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
この実施形態では、検出手段40は、検出エリアOLにおいて対象物60を検出するためのレーダセンサ401、402を備える。これらのセンサ401、402は、例えば、従来の(後方)交差交通警報システムの一部であってもよく、この特定の実施形態では、少なくとも、自車両50に対する対象物60の相対位置、自車両50の長手方向(従来の車両座標系による車両のx方向)および車両の横断方向(従来の車両座標系による車両のy方向)における対象物60の自車両50に対する相対速度を検出することができる短距離レーダセンサ401、402である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
しかしながら、
図1a)および
図1b)の場合、対象物60が検出エリアOLに存在していても、対象物60がそれぞれの検出可能エリアDAにおいて横方向オーバーラップを有し、対象物60の後方の縁部/端部REが検出可能エリアDAの後方の縁部/端部よりもセンサ
401、402に近い、すなわち検出可能エリアDA内にあるため、対象物60がそれぞれのセンサ
401、402のそれぞれの検出可能エリアDAに進入した時点から指定された期間が経過するまで、判定の生成が遅延される。このため、
図1a)の左後方の縁部/領域センサ402または
図1b)の右後方の縁部/領域センサ401に対する警告の出力は、遅延カウンタによって例えば25サイクル(指定された期間)遅延され、その後、判定手段20によって対象物60が警報対象であるか、それとも警報対象でないかの判定が生成される可能性がある。それぞれの他のセンサ、すなわち
図1a)の右後方の縁部/領域センサ401または
図1b)の左後方の縁部/領域センサ402の出力は、遅延時間の影響を受けない。
【外国語明細書】