(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060585
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】対象車両の後方に位置する検出エリアにおいてターゲット車両を検出するための車両検出システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175357
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】22202530
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】322007626
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートナマス・モビリティ・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小原 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】望月 朋彦
(72)【発明者】
【氏名】野原 孝良
(72)【発明者】
【氏名】高橋 将寛
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC14
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象車両の後方に位置する検出エリアにおいて、ターゲット車両を検出するための車両検出システムを提供する。
【解決手段】車両検出システムは、判定手段を備え、判定手段は、対象車両50の後方に位置する検出エリアDAに接近することが検出されたターゲット車両60が警報対象であるかどうかを判定し、警報対象であると判定したことに基づいて、警告手段に判定の結果を出力する。判定手段は、検出エリアDAにおけるターゲット車両60の横方向オーバーラップの変化に基づいて、指定された時間に対するオーバーラップの変化の比として定義されるオーバーラップ変化率を決定するように構成され、決定されたオーバーラップ変化率に基づいて、ターゲット車両60が警報対象である、または警報対象でないと判定するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象車両(50)の後方に位置する検出エリア(DA)においてターゲット車両(60)を検出するための車両検出システム(10)であって、
判定手段(20)を備え、前記判定手段(20)は、
前記対象車両(50)によって使用されており前記検出エリア(DA)によってカバーされている走行車線(DL)において後方から前記対象車両(50)に接近することが検出されたターゲット車両(60)が警報対象であるかどうかを判定し、
前記判定手段(20)が前記ターゲット車両(60)を警報対象であると判定したことに基づいて、前記対象車両(50)の後方の前記走行車線(DL)にターゲット車両(60)が存在することを前記対象車両(50)の運転者に警告する警告手段(30)に判定結果を出力し、
前記検出エリア(DA)における前記ターゲット車両(60)の横方向オーバーラップの変化に基づいて、指定された時間に対する前記オーバーラップの変化の比として定義されるオーバーラップ変化率を決定する
ように構成され、
前記判定手段(20)は、前記決定されたオーバーラップ変化率に基づいて、前記ターゲット車両(60)が警報対象であると、または警報対象でないと判定するように構成される、車両検出システム(10)。
【請求項2】
前記判定手段(20)は、前記走行車線(DL)から隣接車線(AL)への前記ターゲット車両(60)の車線変更中に前記オーバーラップ変化率を決定するように構成される、請求項1に記載の車両検出システム(10)。
【請求項3】
前記判定手段(20)は、前記ターゲット車両(60)の前記横方向オーバーラップが連続的に減少する場合、前記ターゲット車両(60)を警報対象でないと判定するように構成される、請求項1または2に記載の車両検出システム(10)。
【請求項4】
前記オーバーラップ変化率は、現在の横方向オーバーラップと前回の横方向オーバーラップとの間の差をサイクルのサイクル時間で割ったものとして定義される、先行する請求項のいずれか1項に記載の車両検出システム(10)。
【請求項5】
オーバーラップ変化率警告しきい値が、-0.2m/s~-0.5m/sの範囲にあると規定され、好ましくは-0.35m/sであり、
前記ターゲット車両(60)は、前記オーバーラップ変化率が前記オーバーラップ変化率警告しきい値を超える場合に、警報対象でないと判定される、先行する請求項のいずれか1項に記載の車両検出システム(10)。
【請求項6】
前記判定手段(20)が前記ターゲット車両(60)を警報対象でないと判定したことに基づいて、ターゲット車両(60)が検出された場合でも警告を抑制することを前記警告手段(30)に示す判定結果を前記判定手段(20)が前記警告手段(30)に出力するように構成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の車両検出システム(10)。
【請求項7】
対象車両(50)のための運転者支援システム(1)であって、
前記対象車両(50)の後方に位置する検出エリア(DA)においてターゲット車両(60)を検出するための検出手段(40)と、
請求項1~6のいずれか1項に記載の車両検出システム(10)と、
前記車両検出システム(10)の前記判定手段(20)が前記ターゲット車両(60)を警報対象であると判定した場合にのみ、前記検出エリア(DA)または走行車線(DL)にターゲット車両(60)が存在することを前記対象車両(50)の運転者に警告するための警告手段(30)と
を備える、運転者支援システム(1)。
【請求項8】
前記検出手段(40)は、前記検出エリア(DA)においてターゲット車両(60)を検出するためのレーダセンサを備える、請求項7に記載の運転者支援システム。
【請求項9】
前記検出手段は、後方接近ターゲット通知(RTAN)のため、および長距離後方接近ターゲット通知(L-RTAN)のためのレーダセンサを備え、前記判定手段の前記判定は、前記L-RTANレーダ検出および前記RTANレーダ検出のうちの少なくとも一方に基づく、請求項8に記載の運転者支援システム。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の運転者支援システムを備える車両。
【請求項11】
前記車両は自律型車両である、請求項10に記載の車両。
【請求項12】
特に請求項1~6のいずれか1項に記載の車両検出システム(10)を制御するために、対象車両(50)の後方に位置する検出エリア(DA)においてターゲット車両(60)を検出するためのコンピュータ実装方法であって、
前記対象車両(50)によって使用されており前記検出エリア(DA)によってカバーされている走行車線(DL)において後方から前記対象車両(50)に接近することが検出されたターゲット車両(60)が警報対象であるかどうかを判定するステップと、
前記判定手段(20)が前記ターゲット車両(60)を警報対象であると判定したことに基づいて、前記対象車両(50)の後方の前記検出エリア(DA)または走行車線(DL)にターゲット車両(60)が存在することを前記対象車両(50)の運転者に警告する警告手段(30)に判定結果を出力するステップと、
前記検出エリア(DA)における前記ターゲット車両(60)の横方向オーバーラップの変化に基づいて、特定の時間に対する前記オーバーラップの前記変化の比として定義されるオーバーラップ変化率を決定するステップと、
前記決定されたオーバーラップ変化率に基づいて、前記ターゲット車両(60)が警報対象であると、または警報対象でないと判定するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記オーバーラップ変化率は、現在の横方向オーバーラップと前の横方向オーバーラップとの間の差を、前記オーバーラップ変化率の前記決定のためのサイクルのサイクル時間で割ったものとして定義され、
オーバーラップ変化率警告しきい値が、-0.2m/s~-0.5m/sの範囲にあるように設定され、好ましくは-0.35m/sであり、
前記オーバーラップ変化率がこのオーバーラップ変化率警告しきい値を超える場合に、前記ターゲット車両(60)は警報対象でないと判定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、請求項12または13に記載の方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶している非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、対象車両の後方に位置する検出エリアにおいてターゲット車両を検出するための車両検出システムに関する。さらに、本発明は、特に車両検出システムを制御するための、対象車両の後方に位置する検出エリアにおいてターゲット車両を検出するための方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、そのような車両検出システムを備える車両のための運転者支援システムと、方法を実行するための対応するコンピュータプログラムと、それぞれのコンピュータ可読媒体とに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
車両用の従来の運転者支援システムまたは先進運転者支援システム(ADAS)は、例えば、従来の車両および自律型車両に関連して広く使用されている。
【0004】
多くの車両事故は、そのような先進運転者支援システム(ADAS)によって回避されたかもしれないヒューマンエラーによって引き起こされる。一般的に知られているセーフティクリティカルADAS用途は、例えば、歩行者検出/回避、車線逸脱警告/修正、交通標識認識、自動緊急ブレーキおよび死角検出を含む。長距離レーダは、通常、緊急ブレーキ支援およびアダプティブクルーズコントロールのような用途に使用され、短距離レーダは、例えば、死角検出(BSD)、後方交差交通警報、車線変更支援および後方プリクラッシュシステムのような用途に関連して使用されることが多い。
【0005】
例えば、そのような後方プリクラッシュシステムは、例えば、対象車両の車線または走行車線において、または対象車両の車線に隣接する隣接車線から、対象車両の後方から接近する車両を追跡し、差し迫った衝突の場合、インジケータ(光学または音響インジケータ)、エアバッグ、シートベルトなどの安全装置を事前に作動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなシステムにおいて、後方から対象車両に接近するターゲット車両が、例えば、長距離検出エリアにはL-RTANまたは長距離後方接近ターゲット通知を用い、短距離検出エリアにはRTANまたは後方接近ターゲット通知を用いるレーダによって検出された場合、例えば、ターゲット車両が対象車両を追い越そうとしているときに(
図2)、ターゲット車両が自車線または対象車両の走行車線から隣接車線に変化する場合、L-RTANまたはRTANによる警告信号のトリガは不要であると考えられてもよい。しかしながら、例えば退出時間(TTE)に基づいてターゲット車両の車線変更を推定することは、ターゲット車両の横方向距離および横方向速さ(
図3参照)のわずかな変動により、ターゲット車両が走行車線から横方向に「遠ざかる」ように一時的に見えるため、特に長距離では困難かつ不正確であり得る。この挙動は、誤って、ターゲット車両が車線変更ターゲット車両とみなされ、場合によってはRTANおよび/またはL-RTANが遅く発行されることによってトリガされる警告信号をもたらす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明による車両検出システムは、対象車両の後方に位置する検出エリアにおいてターゲット車両を検出するためのものであって、車両検出システムは判定手段を備える。判定手段は、対象車両によって使用されており検出エリアによってカバーされている走行車線において後方から対象車両に接近することが検出されたターゲット車両が警報対象であるかどうかを判定し、判定手段がターゲット車両を警報対象であると判定したことに基づいて、対象車両の後方の走行車線にターゲット車両が存在することを対象車両の運転者に警告する警告手段に判定の結果を出力し、検出エリアにおけるターゲット車両の横方向オーバーラップの変化に基づいて、指定された時間に対するオーバーラップの変化の比として定義されるオーバーラップ変化率を決定するように構成される。判定手段は、決定されたオーバーラップ変化率に基づいて、ターゲット車両が警報対象であると、または警報対象でないと判定するように構成される。
【0008】
オーバーラップ変化率を使用することにより、走行車線において対象車両に近づくときのターゲット車両の現在の進行車線の非常に正確な決定および予測を行うことができる。その結果、不要なアラーム警告/起動を回避することができる。
【0009】
横方向オーバーラップは、基準位置または基準線と、走行車線内にあり、横断方向において基準線の反対側にあるターゲット車両の側部との間のターゲット車両の横断方向またはy方向における距離である。基準位置または基準線は、例えば、検出エリアのサイドライン、または走行車線に横方向に隣接する隣接車線に対して走行車線を境界付ける線である。
【0010】
ターゲット車両が警報対象でない場合、警告手段からの警告信号は抑制されるであろう。
【0011】
好ましくは、判定手段は、走行車線から隣接車線へのターゲット車両の車線変更中にオーバーラップ変化率を決定するように構成される。ターゲット車両は、対象車両を追い越すために車線を変更する。この場合、ターゲット車両と対象車両との衝突のリスクを排除することができれば、警告信号のトリガは不要であるとみなされ得る。
【0012】
さらに、判定手段は、ターゲット車両の横方向オーバーラップが連続的に減少する場合、ターゲット車両を警報対象でないと判定するように構成される。これは、危機的状況が発生し得る前にターゲット車両が走行車線を適時に離れることの指示として解釈され得る。
【0013】
好ましくは、決定サイクルにおいて決定されるオーバーラップ変化率は、現在の横方向オーバーラップと前の横方向オーバーラップとの間の差をサイクル時間で割ったものとして定義される。サイクル時間は、例えば0.05sである。オーバーラップ変化率警告しきい値が規定される。オーバーラップ変化率警告しきい値は、例えば、-0.2m/s~-0.5m/sの範囲にあると規定される。好ましくは、オーバーラップ変化率警告しきい値は-0.35m/sである。ターゲット車両は、オーバーラップ変化率がこのオーバーラップ変化率警告しきい値を超える場合に、警報対象でないと判定される。このように、判定手段は、走行車線において対象車両に連続的に接近するターゲット車両(警報対象)を、走行車線から隣接車線に変更するターゲット車両(車線変更ターゲット車両であるか、または警報対象でない)から精度良く区別することが可能である。
【0014】
したがって、本発明による車両対象検出システムは、判定手段がターゲット対象を警報対象でないと判定したことに基づいて、ターゲット対象が検出された場合でも警告を抑制することを警告手段に示す判定の結果を判定手段が警告手段に出力するように構成されるように、さらに実装され得る。
【0015】
また、本発明による車両検出システムは、対象車両の検出エリアが対象車両の後方の自車線または走行車線の領域に対応し、さらに、検出エリアの側方に位置する隣接エリアに対応するようにさらに変更され得る。隣接エリアは、好ましくは、対象車両の自車線または走行車線に隣接する隣接車線である。隣接車線に対応する検出エリアにより、対象車両を追い越しながらターゲット車両の車線変更中のオーバーラップ変化率の決定が可能となる。
【0016】
本発明による運転者支援システムは、対象車両に提供され、対象車両の後方に位置する検出エリアにおいてターゲット車両を検出するための検出手段と、上記のような本発明による車両検出システムと、車両検出システムの判定手段がターゲット車両を警報対象であると判定した場合にのみ、検出エリアまたは走行車線にターゲット車両が存在することを対象車両の運転者に警告するための警告手段とを備える。
【0017】
さらに、本発明による運転者支援システムは、検出手段が、検出エリアにおいてターゲット車両を検出するためのレーダセンサを備えるようにさらに構成され得る。検出手段はまた、レーダセンサと組み合わせて使用されるカメラセンサを備えてもよい。
【0018】
さらに、本発明による運転者支援システムは、検出手段が、後方接近ターゲット通知(RTAN)のため、および長距離後方接近ターゲット通知(L-RTAN)のためのレーダセンサを備えるようにさらに変更され得る。判定手段の判定は、L-RTANレーダ検出もしくはRTANレーダ検出のいずれか、または両方の検出に基づいてもよい。
【0019】
本発明による車両、好ましくは自律型車両は、上述のような本発明による運転者支援システムを備える。
【0020】
本発明によるコンピュータ実装方法は、特に上記のような本発明による車両検出システムを制御するために、対象車両の後方に位置する検出エリアにおいてターゲット車両を検出するためのものであって、以下のステップ、すなわち、対象車両によって使用されており検出エリアによってカバーされている走行車線において後方から対象車両に接近することが検出されたターゲット車両が警報対象であるかどうかを判定するステップと、判定手段がターゲット車両を警報対象であると判定したことに基づいて、対象車両の後方の検出エリアまたは走行車線にターゲット車両が存在することを対象車両の運転者に警告する警告手段に判定の結果を出力するステップと、検出エリアにおけるターゲット車両の横方向オーバーラップの変化に基づいて、特定の時間に対するオーバーラップの変化の比として定義されるオーバーラップ変化率を決定するステップと、決定されたオーバーラップ変化率に基づいて、ターゲット車両が警報対象であると、または警報対象でないと判定するステップとを含む。
【0021】
さらに、方法は、オーバーラップ変化率が、現在の横方向オーバーラップと前の横方向オーバーラップとの間の差を、決定サイクルのサイクル時間で割ったものとして定義され、オーバーラップ変化率警告しきい値が、-0.2m/s~-0.5m/sの範囲にあるように設定され、好ましくは-0.35m/sであり、オーバーラップ変化率がこのオーバーラップ変化率警告しきい値を超える場合に、ターゲット車両は警報対象でないと判定されるように、さらに変更されてもよい。
【0022】
したがって、本発明による車両検出システムに関連して説明された特性および利点は、本発明による対象車両の後方に位置する検出エリアにおいてターゲット車両を検出するための方法に関して同じまたは同様の方法で生じるが、これは、繰り返しを避けるために、本発明による車両検出システムに関するそれぞれの説明を参照する理由である。
【0023】
本発明によるコンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行されると、本発明による方法をコンピュータに実行させる命令を含む。
【0024】
本発明によるコンピュータ可読媒体は、本発明によるコンピュータプログラムを記憶している。
【0025】
図面の簡単な説明
本発明の好ましい実施形態および利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を読めば、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】対象車両と、オーバーラップ位置において後方から対象車両に接近するターゲット車両とを示す図である。
【
図2】ターゲット車両が後方から対象車両に接近し、対象車両を追い越そうとする車線変更シナリオを示す図である。
【
図3】
図2の車線変更シナリオにおいて、オーバーラップ位置の変更の概略図とともにターゲット車両を示す図である。
【
図4】本発明による運転者支援システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
図面を参照して、本発明の1つの好ましい実施形態を、ここで例示目的のために具体的に説明する。この実施形態における構成要素または要素は、例としてのみ示され説明されるが、本発明をそれらに限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0028】
図1は、
図4に関連して説明される本発明による運転者支援システム1を備える、本発明による車両または対象車両50の一実施形態を示す。
【0029】
図4から分かるように、対象車両50に設けられた運転者支援システム1は、本発明による車両検出システム10と、検出手段40と、警告手段30とを備える。
【0030】
検出手段40は、後述する対象車両50の後方に位置する検出エリアDAにおいてターゲット車両60を検出するためのものである。
【0031】
この実施形態では、検出手段40は、検出エリアDAにおいてターゲット車両60を検出するためのレーダセンサを備える。これらのセンサは、例えば、従来の(後方)交差交通警報システムの一部であってもよく、
図1に示すように、x方向およびy方向においてそれぞれ少なくとも対象車両50に対するターゲット車両60の相対位置、対象車両50に対するターゲット車両60の相対速さ/速度を検出することができる。この場合、
図1に示すx方向は、対象車両50およびターゲット車両60の長手方向に対応し、
図1に示すy方向は、対象車両50およびターゲット車両60の横断方向に対応する。
【0032】
好ましくは、検出手段40は、後方接近ターゲット通知(RTAN)および長距離後方接近ターゲット通知(L-RTAN)のためのレーダセンサを備える。判定手段の判定は、L-RTANレーダ検出もしくはRTANレーダ検出のいずれか、または両方の検出に基づいてもよい。
【0033】
警告手段30は、検出エリアDAにターゲット車両60が存在することを対象車両50の運転者に警告するためのものである。例えば、警告手段30は、ターゲット車両60が検出エリアDAに存在し、例えば、対象車両50から安全距離を下回り得ることを対象車両50の運転者に通知することができる従来の視覚的または聴覚的インジケータ(ディスプレイまたはスピーカ)であってもよい。
【0034】
本発明による車両検出システム10は、コンピュータまたはプロセッサによって形成されてもよく、特に、対象車両50の後方に位置する検出エリアDAにおいてターゲット車両60を検出するためのものである。対象車両50の検出エリアDA(
図1)は、特に、幅方向または横断方向において、完全にまたはある程度、対象車両50の走行車線DLのエリアに対応する。検出エリアDAはまた、検出エリアDAまたは走行車線DLの側方に/隣接して位置し、ターゲット車両60が対象車両50を追い越すために変化する先の隣接エリアまたは隣接車線ALを完全にまたはある程度含み得る。
【0035】
車両検出システム10は、検出エリアDAへの進入が検出されたターゲット車両60が警報対象であるか、それとも警報対象がないかを判定し、判定の結果を警告手段30へ出力するための判定手段20を備える。
【0036】
後方から対象車両50に接近する間に、ターゲット車両60は対象車両50を追い越すために走行車線DLから隣接車線ALに変化する。ターゲット車両60は、横方向オーバーラップ65を伴って走行車線DLを占有する。横方向オーバーラップ65は、基準位置または基準線70と、走行車線DL内にあって基準線70の反対側にあるターゲット車両60の側部75との間のy方向における距離である。ターゲット車両60のこの側部75は、例えば、
図1の表現によれば、ターゲット車両60の右側にある。基準線70は、例えば、検出エリアDAのサイズまたは幅に応じて、検出エリアDAのサイドラインまたは隣接車線ALと境を接する走行車線DLのサイドライン80である。したがって、横方向オーバーラップ65は、ターゲット車両60が実際に走行車線DLにあるターゲット車両の幅の割合に対応する。走行車線DLから隣接車線ALへのターゲット車両60の車線変更中、横方向オーバーラップ65のサイズは、特に連続的に減少する。この横方向オーバーラップ65のサイズの変化は、検出手段40によって検出される。
【0037】
判定手段20は、車線変更中のターゲット車両60の変化する横方向オーバーラップ65に基づいて、オーバーラップ変化率を決定する。このように、オーバーラップ変化率は、例えば、決定サイクルのサイクル時間のような指定された時間にわたる、経時的な横方向オーバーラップ65のサイズの変化を表す。オーバーラップ変化率の決定は、例えば、0.05sのサイクル時間で行われる。
【0038】
好ましくは、オーバーラップ変化率は、現在の横方向オーバーラップと前回の横方向オーバーラップとの間の差をサイクル時間で割ったものとして定義される。さらに、オーバーラップ変化率警告しきい値は、-0.2m/s~-0.5m/sの範囲にあると規定され、好ましくは-0.35m/sである。ターゲット車両60は、オーバーラップ変化率がこのオーバーラップ変化率警告しきい値を超える場合に、警報対象でない、または警報対象がないと判定される。
【0039】
このように、判定手段20は、車線変更時のオーバーラップ変化率に基づいて、ターゲット車両60を警報対象である、または警報対象でないと判定するように構成される。
【0040】
したがって、警告手段30は、判定手段20がターゲット車両60を警報対象であると判定した場合にのみ、検出エリアDAにターゲット車両60が存在することを対象車両50の運転者に警告する。他の場合、警告は出力されない。すなわち、警告手段30は、判定手段20がターゲット車両60を警報対象であると判定した場合、ターゲット車両60が検出エリアDAに存在するとの警告を対象車両50の運転者に出力し、判定手段20がターゲット車両60を警報対象でないと判定した場合、ターゲット車両60が検出手段40によって検出エリアDAに検出された場合でも、警告の出力を抑制するように構成される。
【0041】
前述の説明、図面および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別におよび任意の組合せで本発明を実現するために不可欠であり得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象車両(50)の後方に位置する検出エリア(DA)においてターゲット車両(60)を検出するための車両検出システム(10)であって、
判定手段(20)を備え、前記判定手段(20)は、
前記対象車両(50)によって使用されており前記検出エリア(DA)によってカバーされている走行車線(DL)において後方から前記対象車両(50)に接近することが検出されたターゲット車両(60)が警報対象であるかどうかを判定し、
前記判定手段(20)が前記ターゲット車両(60)を警報対象であると判定したことに基づいて、前記対象車両(50)の後方の前記走行車線(DL)にターゲット車両(60)が存在することを前記対象車両(50)の運転者に警告する警告手段(30)に判定結果を出力し、
前記検出エリア(DA)における前記ターゲット車両(60)の横方向オーバーラップの変化に基づいて、指定された時間に対する前記オーバーラップの変化の比として定義されるオーバーラップ変化率を決定する
ように構成され、
前記判定手段(20)は、前記決定されたオーバーラップ変化率に基づいて、前記ターゲット車両(60)が警報対象であると、または警報対象でないと判定するように構成される、車両検出システム(10)。
【請求項2】
前記判定手段(20)は、前記走行車線(DL)から隣接車線(AL)への前記ターゲット車両(60)の車線変更中に前記オーバーラップ変化率を決定するように構成される、請求項1に記載の車両検出システム(10)。
【請求項3】
前記判定手段(20)は、前記ターゲット車両(60)の前記横方向オーバーラップが連続的に減少する場合、前記ターゲット車両(60)を警報対象でないと判定するように構成される、請求項1に記載の車両検出システム(10)。
【請求項4】
前記オーバーラップ変化率は、現在の横方向オーバーラップと前回の横方向オーバーラップとの間の差をサイクルのサイクル時間で割ったものとして定義される、請求項1に記載の車両検出システム(10)。
【請求項5】
オーバーラップ変化率警告しきい値が、-0.2m/s~-0.5m/sの範囲にあると規定され、好ましくは-0.35m/sであり、
前記ターゲット車両(60)は、前記オーバーラップ変化率が前記オーバーラップ変化率警告しきい値を超える場合に、警報対象でないと判定される、請求項1に記載の車両検出システム(10)。
【請求項6】
前記判定手段(20)が前記ターゲット車両(60)を警報対象でないと判定したことに基づいて、ターゲット車両(60)が検出された場合でも警告を抑制することを前記警告手段(30)に示す判定結果を前記判定手段(20)が前記警告手段(30)に出力するように構成される、請求項1に記載の車両検出システム(10)。
【請求項7】
対象車両(50)のための運転者支援システム(1)であって、
前記対象車両(50)の後方に位置する検出エリア(DA)においてターゲット車両(60)を検出するための検出手段(40)と、
請求項1~6のいずれか1項に記載の車両検出システム(10)と、
前記車両検出システム(10)の前記判定手段(20)が前記ターゲット車両(60)を警報対象であると判定した場合にのみ、前記検出エリア(DA)または走行車線(DL)にターゲット車両(60)が存在することを前記対象車両(50)の運転者に警告するための警告手段(30)と
を備える、運転者支援システム(1)。
【請求項8】
前記検出手段(40)は、前記検出エリア(DA)においてターゲット車両(60)を検出するためのレーダセンサを備える、請求項7に記載の運転者支援システム。
【請求項9】
前記検出手段は、後方接近ターゲット通知(RTAN)のため、および長距離後方接近ターゲット通知(L-RTAN)のためのレーダセンサを備え、前記判定手段の前記判定は、前記L-RTANレーダ検出および前記RTANレーダ検出のうちの少なくとも一方に基づく、請求項8に記載の運転者支援システム。
【請求項10】
請求項7に記載の運転者支援システムを備える車両。
【請求項11】
前記車両は自律型車両である、請求項10に記載の車両。
【請求項12】
特に請求項1~6のいずれか1項に記載の車両検出システム(10)を制御するために、対象車両(50)の後方に位置する検出エリア(DA)においてターゲット車両(60)を検出するためのコンピュータ実装方法であって、
前記対象車両(50)によって使用されており前記検出エリア(DA)によってカバーされている走行車線(DL)において後方から前記対象車両(50)に接近することが検出されたターゲット車両(60)が警報対象であるかどうかを判定するステップと、
前記判定手段(20)が前記ターゲット車両(60)を警報対象であると判定したことに基づいて、前記対象車両(50)の後方の前記検出エリア(DA)または走行車線(DL)にターゲット車両(60)が存在することを前記対象車両(50)の運転者に警告する警告手段(30)に判定結果を出力するステップと、
前記検出エリア(DA)における前記ターゲット車両(60)の横方向オーバーラップの変化に基づいて、特定の時間に対する前記オーバーラップの前記変化の比として定義されるオーバーラップ変化率を決定するステップと、
前記決定されたオーバーラップ変化率に基づいて、前記ターゲット車両(60)が警報対象であると、または警報対象でないと判定するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記オーバーラップ変化率は、現在の横方向オーバーラップと前の横方向オーバーラップとの間の差を、前記オーバーラップ変化率の前記決定のためのサイクルのサイクル時間で割ったものとして定義され、
オーバーラップ変化率警告しきい値が、-0.2m/s~-0.5m/sの範囲にあるように設定され、好ましくは-0.35m/sであり、
前記オーバーラップ変化率がこのオーバーラップ変化率警告しきい値を超える場合に、前記ターゲット車両(60)は警報対象でないと判定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、請求項12に記載の方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶している非一時的コンピュータ可読媒体。
【外国語明細書】