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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006059
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】モニタ取付装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240110BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240110BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20240110BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B60R11/02 C
H04N5/64 521F
H04N5/64 581A
B60N3/00 Z
A47C7/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106603
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】517235476
【氏名又は名称】株式会社ニューステクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】細田 育英
(72)【発明者】
【氏名】李 炳坤
【テーマコード(参考)】
3B084
3B088
3D020
【Fターム(参考)】
3B084JA01
3B084JD00
3B088CA05
3B088CA15
3D020BA04
3D020BC11
3D020BD01
3D020BD02
3D020BD11
(57)【要約】
【課題】様々な径及びステー間距離を有する車両のステーにモニタを取り付けることが可能なモニタ取付装置を提供する。
【解決手段】モニタ取付装置は、複数の所定の口径の貫通孔を有する第1回転シリンダと、第1回転シリンダから所定距離離れて配されており、第1回転シリンダに設けられた複数の貫通孔各々に個別に対応する貫通孔が第2回転シリンダと、第1回転シリンダの複数の貫通孔のうちの少なくともいずれか1つに対向する第1開口部と、第2回転シリンダの複数の貫通孔のうちの少なくともいずれか1つであって第1開口部に対向する第1回転シリンダの貫通孔に対応する貫通孔と対向する第2開口部と、を有し、第1回転シリンダを回動自在に保持するとともに、第2回転シリンダを回動自在に保持する筐体と、モニタと接続する接続機構と、備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の所定の口径の貫通孔を有する第1回転シリンダと、
前記第1回転シリンダから所定距離離れて配されており、前記第1回転シリンダに設けられた複数の貫通孔各々に個別に対応する貫通孔が第2回転シリンダと、
前記第1回転シリンダの複数の貫通孔のうちの少なくともいずれか1つに対向する第1開口部と、前記第2回転シリンダの複数の貫通孔のうちの少なくともいずれか1つであって前記第1開口部に対向する第1回転シリンダの貫通孔に対応する貫通孔と対向する第2開口部と、を有し、前記第1回転シリンダを回動自在に保持するとともに、前記第2回転シリンダを回動自在に保持する筐体と、
モニタと接続する接続機構と、
を備えた車両にモニタを取り付けるためのモニタ取付装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記第1回転シリンダおよび前記第2回転シリンダの回動を抑止する抑止部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のモニタ取付装置。
【請求項3】
前記抑止部は、
前記第1回転シリンダと前記第2回転シリンダとの回動軸と平行な軸で回動する回動部と、
前記回動部の回動に伴って、前記第1回転シリンダと非接触状態から接触状態になる第1ストッパーと、
前記回動部の回動に伴って、前記第2回転シリンダと非接触状態から接触上になる第2ストッパーと、を備え、
前記抑止部は、前記第1ストッパーを前記第1回転シリンダに接触させ、前記第2ストッパーを前記第2回転シリンダに接触させることで、前記第1回転シリンダと前記第2回転シリンダの回動を抑止し、前記第1回転シリンダと前記第2回転シリンダの間に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載のモニタ取付装置。
【請求項4】
前記回動部は、ネジ部と、つまみ部とを備えるネジであり、
前記ネジ部には、第1の方向への回動によって前記つまみ部に近接する方向に摺動し、前記第1の方向とは反対方向への回動によって前記つまみ部から遠ざかる方向に摺動する摺動部が設けられ、
前記摺動部の摺動によって、前記第1ストッパーを前記第1回転シリンダに接触させるとともに、前記第2ストッパーを前記第2回転シリンダに接触させる
ことを特徴とする請求項3に記載のモニタ取付装置。
【請求項5】
前記第1ストッパーは、前記回動部と前記第1回転シリンダとの間で摺動し、
前記第2ストッパーは、前記回動部と前記第2回転シリンダとの間で摺動し、
前記回動部が前記第1の方向に回動させられた場合に、前記第1ストッパーは、前記第1回転シリンダの方向に摺動して接触するとともに、前記第2ストッパーは、前記第2回転シリンダの方向に摺動して接触し、
前記回動部が前記第1の方向とは逆方向の第2の方向に回動させられた場合に、前記第1ストッパーは、前記回動部の方向に摺動して前記第1回転シリンダとの接触を解除するとともに、前記第2ストッパーは、前記回動部の方向に摺動して前記第2回転シリンダとの接触を解除する
ことを特徴とする請求項4に記載のモニタ取付装置。
【請求項6】
前記第1回転シリンダには、車両の種別を特定可能な指標情報が、各種の車両が対応する貫通孔と所定の関係となるように付されており、
前記筐体は、前記第1回転シリンダの回動に応じて、指標情報のいずれか一つが露出するように構成された指標表示部を備え、
モニタ取付装置が取り付けられる車種を示す指標情報が前記指標表示部に示されているときに、当該車種に対応する貫通孔が前記開口部に対向する
ことを特徴とする請求項1に記載のモニタ取付装置。
【請求項7】
前記第1回転シリンダ又は前記第2回転シリンダの回動に連動して、他方の回転シリンダを、当該回動の回動方向とは逆方向に回動させる連動機構を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のモニタ取付装置。
【請求項8】
前記モニタ取付装置は、車両のヘッドレストを車両のシートバックに取り付けるための支柱を前記開口部と前記貫通孔とに挿入し、前記ヘッドレストと前記シートバックとにより挟まれる態様で、前記車両に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のモニタ取付装置。
【請求項9】
前記接続機構は、前記モニタの背面と接続する
ことを特徴とする請求項1に記載のモニタ取付装置。
【請求項10】
前記第1回転シリンダと前記第2回転シリンダとは、同じ部品であり、前記第1回転シリンダに設けられている複数の貫通孔それぞれについて前記第1開口部から露出する場合に、前記第2回転シリンダに設けられている対応する貫通孔が前記第2開口部から露出するように、前記第1回転シリンダと前記第2回転シリンダとの貫通孔の位置が定められている
ことを特徴とする請求項1に記載のモニタ取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両にモニタを取り付けるためのモニタ取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タクシー等の車両において、乗客に対して乗車中に広告等を表示するためのヘッドレストモニタを備えることがある。特許文献1、2は、モニタをヘッドレストに取り付けるための機構を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6657026号
【特許文献2】特開2008-254620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヘッドレストモニタは、上記特許文献1のように、車両のバックシートとヘッドレストとを接続するステー(軸)に取り付けるものが多い。しかし、このステーの径やステー間の距離は、車両によって様々であり、特許文献1のような構成の取付装置を各種車両毎に用意することは現実的ではない。特許文献2のように、ステーを挟み込む構造とすることで、各種の径のステー及びステー間の距離に対応することも考えられるが、特許文献2の構成の場合、ステーを挟み込む固定アームを接続するネジが緩むとモニタが人の上に落ちることが懸念される。
【0005】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて成されたものであり、各種のステーの径及びステー間距離に対応でき、ステーから外れにくいモニタ取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るモニタ取付装置は、複数の所定の口径の貫通孔を有する第1回転シリンダと、第1回転シリンダから所定距離離れて配されており、第1回転シリンダに設けられた複数の貫通孔各々に個別に対応する貫通孔が第2回転シリンダと、第1回転シリンダの複数の貫通孔のうちの少なくともいずれか1つに対向する第1開口部と、第2回転シリンダの複数の貫通孔のうちの少なくともいずれか1つであって第1開口部に対向する第1回転シリンダの貫通孔に対応する貫通孔と対向する第2開口部と、を有し、第1回転シリンダを回動自在に保持するとともに、第2回転シリンダを回動自在に保持する筐体と、モニタと接続する接続機構と、を備える。
【0007】
上記モニタ取付装置において、筐体は、第1回転シリンダおよび第2回転シリンダの回動を抑止する抑止部を備えることとしてもよい。
【0008】
上記モニタ取付装置において、抑止部は、第1回転シリンダと第2回転シリンダとの回動軸と平行な軸で回動する回動部と、回動部の回動に伴って、第1回転シリンダと非接触状態から接触状態になる第1ストッパーと、回動部の回動に伴って、第2回転シリンダと非接触状態から接触上になる第2ストッパーと、を備え、抑止部は、第1ストッパーを第1回転シリンダに接触させ、第2ストッパーを第2回転シリンダに接触させることで、第1回転シリンダと第2回転シリンダの回動を抑止し、第1回転シリンダと第2回転シリンダの間に設けられることとしてもよい。
【0009】
上記モニタ取付装置において、回動部は、ネジ部と、つまみ部とを備えるネジであり、ネジ部には、第1の方向への回動によってつまみ部に近接する方向に摺動し、第1の方向とは反対方向への回動によってつまみ部から遠ざかる方向に摺動する摺動部が設けられ、摺動部の摺動によって、第1ストッパーを第1回転シリンダに接触させるとともに、第2ストッパーを第2回転シリンダに接触させることとしてもよい。
【0010】
上記モニタ取付装置において、第1ストッパーは、回動部と第1回転シリンダとの間で摺動し、第2ストッパーは、回動部と第2回転シリンダとの間で摺動し、回動部が第1の方向に回動させられた場合に、第1ストッパーは、第1回転シリンダの方向に摺動して接触するとともに、第2ストッパーは、第2回転シリンダの方向に摺動して接触し、回動部が第1の方向とは逆方向の第2の方向に回動させられた場合に、第1ストッパーは、回動部の方向に摺動して第1回転シリンダとの接触を解除するとともに、第2ストッパーは、回動部の方向に摺動して第2回転シリンダとの接触を解除することとしてもよい。
【0011】
上記モニタ取付装置において、第1回転シリンダには、車両の種別を特定可能な指標情報が、各種の車両が対応する貫通孔と所定の関係となるように付されており、筐体は、第1回転シリンダの回動に応じて、指標情報のいずれか一つが露出するように構成された指標表示部を備え、モニタ取付装置が取り付けられる車種を示す指標情報が指標表示部に示されているときに、当該車種に対応する貫通孔が開口部に対向することとしてもよい。
【0012】
上記モニタ取付装置において、第1回転シリンダ又は第2回転シリンダの回動に連動して、他方の回転シリンダを、当該回動の回動方向とは逆方向に回動させる連動機構を備えることとしてもよい。
【0013】
上記モニタ取付装置において、モニタ取付装置は、車両のヘッドレストを車両のシートバックに取り付けるための支柱を開口部と貫通孔とに挿入し、ヘッドレストとシートバックとにより挟まれる態様で、車両に取り付けられることとしてもよい。
【0014】
上記モニタ取付装置において、接続機構は、モニタの背面と接続することとしてもよい。
【0015】
上記モニタ取付装置において、第1回転シリンダと第2回転シリンダとは、同じ部品であり、第1回転シリンダに設けられている複数の貫通孔それぞれについて第1開口部から露出する場合に、第2回転シリンダに設けられている対応する貫通孔が第2開口部から露出するように、第1回転シリンダと第2回転シリンダとの貫通孔の位置が定められていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係るモニタ取付装置は、所定の口径の複数の貫通孔を備える回転シリンダを2つ備え、当該回転シリンダを回転させて、所望の貫通孔を露出させることで、様々な径及びステー間距離のステーに対応して取り付けることできる。また、モニタ取付装置は、内部に一体成型された回転シリンダを内蔵する筺体として実現され、回転シリンダにステーを挿入する形で車両に取り付けられるので、従来よりも取付強度において強度が高いモニタ取付装置を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)モニタ取付装置を天面側から見た外観を示す外観斜視図である。(b)モニタ取付装置を底面側から見た外観を示す外観斜視図である。
図2】(a)モニタ取付装置の天面図である。(b)モニタ取付装置の底面図である。
図3】(a)モニタ取付装置の正面図である。(b)モニタ取付装置の裏面図である。(c)モニタ取付装置の右側面図である。
図4】モニタ取付装置の分解斜視図である。
図5】(a)モニタ取付装置のステーに対する位置合わせの例を示す図である。(b)モニタ取付装置のステーに対する位置合わせの他の例を示す図である。(c)モニタ取付装置のステーに対する位置合わせのさらに他の例を示す図である。
図6】(a)モニタ取付装置のステーへの取付を説明する図である。(b)モニタ取付装置を車両のステーに取り付けた状態を示す図である。
図7】(a)モニタ取付装置の摺動部の摺動前の状態を示す断面図である。(b)モニタ取付装置の摺動部の摺動後の状態を示す断面図である。(c)モニタ取付装置の摺動部の他の構成例を示す断面図である。
図8】(a)第1回転シリンダと第2回転シリンダが同じ部材であることを示す図である。(b)~(d)第1回転シリンダと第2回転シリンダとにおいて対応する貫通孔が開口部で対称に露出することを示す図である。
図9】(a)、(b)モニタ取付装置の指標の構成の他の例を示す図である。
図10】(a)モニタ取付装置の抑止部の他の例であって回転シリンダを抑止していない状態を示す図である。(b)モニタ取付装置の抑止部の他の例であって回転シリンダを抑止している状態を示す図である。
図11】(a)回転シリンダを同期して回動させるための内部構成例を示す正面図である。(b)回転シリンダを同期して回動させるための内部構成例を示す天面図である。
図12】(a)回転シリンダの貫通孔に滑り止めのラバー部材を挿入した状態を示す斜視図である。(b)回転シリンダの貫通孔からラバー部材を外した状態を示す斜視図である。(c)貫通孔にラバー部材を挿入している状態を示す断面図である。
図13】(a)、(b)貫通孔と開口部の少なくとも一部の相対位置関係が変化することを示す図である。
図14】(a)貫通孔と開口部の少なくとも一部の相対位置関係が変化することを示す図である。(b)同部分の断面図である。
図15】モニタ取付装置の平面図の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施態様に係るモニタ取付装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
<実施の形態>
本実施形態に係るモニタ取付装置100は、車両のヘッドレスト部分にモニタを取り付けるための装置である。即ち、モニタ取付装置100は、車両のバックシート(背もたれ)と、ヘッドレストと、を接続するヘッドレストのステー(軸)に取り付けられた状態でモニタを接続する装置である。
【0020】
図1(a)は、モニタ取付装置100をモニタ10に取り付けた状態を上側から見た斜視図であり、図1(b)は、同状態を、下側から見た斜視図である。図1(a)、図1(b)に示されるように、モニタ取付装置100は、モニタ10の背面に取り付けられる。
【0021】
図2(a)は、モニタ取付装置100の上面図(天面図)であり、図2(b)は、モニタ取付装置100の底面図である。また、図3(a)は、モニタ取付装置100の正面図であり、図3(b)は、モニタ取付装置100の裏面図であり、図3(c)は、モニタ取付装置100の右側面図である。モニタ取付装置100の左側面図については、右側面図と対象になるだけであるので省略する。また、図4は、モニタ取付装置100の分解斜視図である。図4における分解斜視図は、その底面を図面上側にした状態の分解斜視図である。まず、図2から図4を用いて、モニタ取付装置100の構造について説明する。
【0022】
図4に示すように、モニタ取付装置100は、第1筺体101と、第2筺体102と、が接続されてなり、内部に、第1回転シリンダ120と、第2回転シリンダ121と、ネジ130と、摺動部140と、第1ストッパー150と、第2ストッパー151と、を備えて成る。これの部材は、一例として、強化プラスチック等の樹脂素材により形成されてよいが、必要強度に応じてその一部または全部がアルミニウム、ステンレス等の金属部材により形成されてもよく、必要強度が確保可能であれば木材等により形成されてもよい。
【0023】
第1筺体101は、図4に示すように、モニタ取付装置100の底面を成す部材であり、一例として、2枚の板が略直角に接続した形状をしていてよい。即ち、第1筺体101は側面視でL字型をしていてもよい。図4に示すように、第1筺体101には、第2開口部110bと第2開口部111bと、第3開口部135と、を備える。なお、第2開口部110bと第2開口部111bについて、特に区別する必要がない場合には、第2開口部110、第2開口部111あるいは、単に開口部110、開口部111と記載することがある。
【0024】
第2開口部110b及び第2開口部111bは、それぞれ、第1回転シリンダ120に設けられる貫通孔及び第1回転シリンダ120に設けられる貫通孔を露出させるための開口である。第2開口部110bは、第1回転シリンダ120を人が第2開口部110bを介して第1回転シリンダ120を回した際に、少なくともいずれかの位置で各貫通孔が露出するように考案された形状をしている。また、第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121とのそれぞれで対応する貫通孔が露出する際に、その貫通孔間の距離は、モニタ取付装置100が取り付けられるべき車両のステー間の距離と一致するように、第2開口部110bと第2開口部111bの形状は定められている。一例として、図2(a)、(b)に示す貫通孔122a-123a間の距離、あるいは、貫通孔122b-123b間の距離が、ステー間距離に相当することとしてよい。
【0025】
図2(b)に示されるように、第2開口部110bと第2開口部111bは、互いに対称となる形状をしている。
【0026】
第3開口部135は、ネジ130のつまみ部132を露出させるための円形の開口である。第3開口部135は、ネジ130のつまみ部132を露出させて、人がつまみ部132を把持して回転させることができる程度には広いが、ネジ130を脱落させない程度には狭い。即ち、ネジ130の最外径よりも、第3開口部135の内径は短い。
【0027】
第2筺体102は、第1筺体101が取り付けられて、モニタ取付装置100の外形を成す筺体である。第1筺体101は、一例として、第2筺体102にねじ止めされてもよいし、はめ込み式で固定されてもよい。
【0028】
第2筺体102は、図2(a)に示すように、モニタ取付装置100の外部に対して開口する第1開口部110aと第1開口部111aを備える。
【0029】
第1開口部110a及び第1開口部111aは、それぞれ、第1回転シリンダ120に設けられる貫通孔及び第1回転シリンダ120に設けられる貫通孔を露出させるための開口である。第1開口部110aは、第1回転シリンダ120を人が第1開口部110aを介して第1回転シリンダ120を回した際に、少なくともいずれかの位置で各貫通孔が露出するように考案された形状をしている。また、第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121とのそれぞれで対応する貫通孔が露出する際に、その貫通孔間の距離は、モニタ取付装置100が取り付けられるべき車両のステー間の距離と一致するように、第1開口部110aと第1開口部111aの形状は定められている。図2(a)に示されるように、第1開口部110aと第1開口部111aは、互いに対称となる形状をしている。なお、第1開口部110aと第2開口部111aについて、特に区別する必要がない場合には、第1開口部110、第1開口部111あるいは、単に開口部110、開口部111と記載することがある。
【0030】
したがって、第1開口部110a-貫通孔122-第2開口部110bを通して、モニタ取付装置100には、ステー(図6参照)を挿入させるための一つの貫通孔を形成することができる。同様に、第1開口部111a-貫通孔123-第2開口部111bを通して、モニタ取付装置100には、ステー(図6参照)を挿入させるための別の一つの貫通孔を形成することができる。このようにして形成される貫通孔には、車両のヘッドレストのステーが挿入されることになる。
【0031】
図4に示すように、第2筺体102は、2つの円柱状の窪み125と窪み126を備える。窪み125には、第1回転シリンダ120が挿入される。窪み125の内壁は、第1回転シリンダ120の外壁に略接するように構成されている。ここで、窪み125の内壁が、第1回転シリンダ120の外壁に略接するとは、窪み125の内壁が、第1回転シリンダ120が大きく移動できないように保持しつつ、窪み125の内壁に沿って第1回転シリンダ120が回転可能な程度には接している状態のことをいう。窪み126についても同様に、第2回転シリンダ121が挿入される。窪み126も窪み125と同様に、その内壁が、第2回転シリンダ121の外壁に略接するように構成されている。第1回転シリンダ120及び第2回転シリンダ121は、円柱状の軸等が挿入されているわけではないが、窪み125と窪み126が円柱状であることにより、円柱状の第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121とのそれぞれは、円柱の中心を軸として回転することが可能となっている。
【0032】
図4に示すように、第1回転シリンダ120および第2回転シリンダ121は、同サイズの円柱状の部材であり、ステーを挿入するための複数の貫通孔を備える。図4に示すように、第1回転シリンダ120には、図面上下方向に貫通する4つの貫通孔122a、122b、122c、122dを備える。同様に第2回転シリンダ121も、図面上下方向に貫通する4つの貫通孔123a、123b、123c、123dを備える。第1回転シリンダ120に設けられている貫通孔には、少なくとも他の貫通孔と内径が異なる貫通孔が含まれてよい。また、第1回転シリンダ120に設けられている貫通孔に対応する貫通孔は、第2回転シリンダ121にも同様に設けられる。図示の例では、貫通孔122aは貫通孔123aに、貫通孔122bは貫通孔123bに、貫通孔122cは貫通孔123cに、貫通孔122dは貫通孔123dに対応する。ここでは4つの貫通孔(122、123)を回転シリンダ(120、121)に設けて、少なくとも4種の径及びステー間距離に対応可能なモニタ取付装置100の例を示している。なお、シリンダの回転によって1種の貫通孔で、同じ径のステーであって、異なるステー間距離のヘッドレストに対応することができる場合もある。第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121とに設けられる貫通孔の個数は、4個に限定するものではなく、少なくとも2個あればよく、貫通孔を設けるスペースがあれば、5個以上設けることとしてもよい。なお、貫通孔122a、122b、122c、122dについて特に区別する必要がない場合には、貫通孔122と記載することもある。同様に、貫通孔123a、123b、123c、123dについて特に区別する必要がない場合には、貫通孔123と記載することもある。
【0033】
窪み125と窪み126との間の溝には、第1ストッパー150と第2ストッパー151とが挿入される。即ち、第1ストッパー150は、第1回転シリンダ120と第2ストッパー151の間に位置し、第2ストッパー151は、第2回転シリンダ121と第1ストッパー150の間に位置する。
【0034】
ネジ130は、つまみ部132とネジ部131とから成る。つまみ部132は前述したように、第3開口部135から露出する。また、ネジ部131には、摺動部140がねじ止めされる。図4の例では、ネジ130の回転軸と、第1回転シリンダ120の回転軸と、第2回転シリンダ121の回転軸とは、互いに平行になる。
【0035】
摺動部140は、内部がねじ切りされた貫通孔を有する円錐状の部材である。なお、摺動部140は、内部に貫通孔を有する円錐状の部材と、筒状の部材とが接続した形状をしていてもよい。摺動部140の貫通孔に、ネジ130のネジ部131が挿入されてねじ止めされる。摺動部140は、ネジ130の回転方向に応じて、ネジ部131に沿って移動する。
【0036】
ネジ130とネジ130にねじ止めされる摺動部140は、第1ストッパー150と第2ストッパー151とにより挟持される。
【0037】
即ち、第1ストッパー150と、第2ストッパー151と、ネジ130と、摺動部140とは、第1ストッパー150と第2ストッパー151とが、摺動部140をネジ部131に取り付けたネジ130を挟んだ状態で、窪み125と窪み126との間の溝部160に挿入される。
【0038】
なお、第1回転シリンダ120、第2回転シリンダ121、第1ストッパー150、第2ストッパー151は、ネジ等により第2筺体102に固定されるものではなく、ただ、挿入(載置)されるだけであり、第2筺体102の内部に構成されたリブと第1筺体101と、部材同士の相互の接触によって支持される。
【0039】
図3(b)に示されるように、モニタ取付装置100には、当該モニタ取付装置100を、モニタ10の背面に取り付けるための取付機構301を備える。当該取付機構301は、モニタ取付装置100をモニタ10に取り付けることができれば、どのような機構によって実現されてもよいが、一例として、双方向ネジによる取付をすることが考えらえる。取付機構301は、モニタ取付装置100は、車両に取り付けられて運用される段階において、モニタ10がモニタ取付装置100から、容易には取り外しできない程度には強固に接続される機構であればよい。図示の例では、モニタ取付装置100をモニタ10に取り付けるためのネジを通すためのネジ穴として取付機構301を実現する例を示している。
【0040】
次に、図5図6を用いて、モニタ取付装置100のステーへの取り付け方について説明する。
【0041】
図5は、モニタ取付装置100において、どの貫通孔を第1開口部110a、第1開口部111aから露出させるのかの決定方法を説明する図面である。図5(a)に示されるように、第1開口部110aには、どの貫通孔を露出させるのかの位置合わせをするための指標部501を備える。図5(a)に示すように、指標部501には、A、B、C、Dの指標を記した例を示している。また、第1回転シリンダ120(図5では、第1回転シリンダ120の例を示すが第2回転シリンダ121にも同様に印字される)にも各指標と対向するようにA、B、C、Dの指標が印字(もしくは打刻)されている。指標部501に示される指標と、同じ指標とが図示するように位置合わせをすることで、取り付けたい対象となるステーの径とステー間距離に対応する貫通孔の位置合わせを行うことができる。
【0042】
図5(a)においては、回転シリンダに設けられた貫通孔122に合わせた印字された指標502(「A」の指標)と、指標部501に示す「A」の指標と、を位置合わせした例を示している。この状態においては、貫通孔122に対応している車種のステーを挿入することで、モニタ取付装置100をステーに取り付けることができる。この場合、指標Aに対応する車種のヘッドレストに取り付けることができる状態になっていることを意味する。
【0043】
また、図5(b)は、回転シリンダに印字されている指標502b(「D」の指標)と、指標部501に示す「D」の指標と、を位置合わせした例を示している。一方で、図5(c)は、回転シリンダに印字されている指標502c(「D」の指標)と、指標部501に示す図5(b)のDとは異なる「D」の指標に位置合わせをした例を示している。図5(b)及び図5(c)の場合、指標「D」に対応する車種のヘッドレストに取り付けることができる状態になっていることを意味する。貫通孔によっては、開口部111(110)の中で、2か所、ステー間の距離に適合する位置が存在するものもある。この場合、モニタ10の位置をヘッドレストに近い位置に配置するか、あるいは、遠い位置に配置するか、を選択することができる。また、あるいは、ヘッドレストの厚みに応じて、貫通孔の位置を選択することで、モニタ取付装置100をステーに取り付けしやすくすることができる。図5(b)、図5(c)に示すように、開口部111(110)の中で、2つの位置でステー間距離を確保できる場合には、筐体側に示す指標として同じ指標(図示の例では指標B,C,D)を2つ示すようにしてもよい。
【0044】
このように、所望の位置配置になるよう左右の回転シリンダを回転させて固定した状態にして、モニタ取付装置100を図6に示すように取り付ける。なお、回転シリンダの固定手法については、図7を用いて後述する。
【0045】
図6(a)に示すように、車両のヘッドレスト50に、当該ヘッドレスト50の規格にあうように、貫通孔122、123の位置合わせをしたうえで、第1開口部110aに露出する貫通孔122にステー51aを挿入するとともに、第1開口部111aに露出する貫通孔123にステー51bを挿入する。そして、車両のバックシート52に設けられたステー挿入口53aにモニタ取付装置100を貫通したステー51aを、ステー挿入口53bにモニタ取付装置100を貫通したステー51bを挿入する。
【0046】
結果、図6(b)に示すように、車両のバックシート52とヘッドレスト50とで、モニタ取付装置100を挟み込むようにして、ステー51にモニタ取付装置100を取り付けることができる。そして、ステー51に固定されたモニタ取付装置100にモニタ10を取り付けて、車両の後部座席に座った乗客に、モニタ10を介して情報を提供することができる。なお、図6(b)の紙面左側が後部座席側になる。
【0047】
次に、図7を用いて、回転シリンダを固定するための機構について説明する。
【0048】
図7(a)、図7(b)は、モニタ取付装置100の長尺方向の断面図であって、ネジ130のネジ部131の中心を切断した場合の断面図を示している。図7(a)、図7(b)においては、第1回転シリンダ120、第2回転シリンダ121に示される可能性のある貫通孔122、123については、省略している。
【0049】
前述したように、また、図7(a)に示すように、ネジ部131とつまみ部132とからなるネジ130とネジ130に締結された摺動部140とから成る部材は、第1ストッパー150と第2ストッパー151とにより挟み込まれて、第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121との間に、設けられる。図7(a)に示すように、ネジ130は、第1筺体101と、第1ストッパー150と第2ストッパー151とにより、紙面上下方向で挟持される。そのため、ネジ130は、つまみ部132をつまんで回転させる回転運動を行うことはできるものの、上下方向の移動はできない。図7(a)に示す状態(摺動部140が、第2筺体102側にある状態)では、第1ストッパー150は第1回転シリンダ120と接することなく、その間にわずかな空隙が存在する。同様に、第2ストッパー151は第2回転シリンダ121と接することなく、第2ストッパー151と第2回転シリンダ121との間にもわずかな空隙が存在する。したがって、第1回転シリンダ120及び第2回転シリンダ121は、回転可能な状態となっている。
【0050】
第1ストッパー150及び第2ストッパー151には、図示するように、摺動部140の円錐部分の傾斜に沿うように、傾斜部170が設けられている。摺動部140の円錐部と、第1ストッパー150及び第2ストッパー151との傾斜部170があることで、その接触面の傾斜にそって、互いに摺動することができる。
【0051】
図7(b)は、ネジ130を回転させた状態を示している。ネジ130におけるネジ部131のネジ山は、ネジ130を人が第1の方向に回転させることで、摺動部140がつまみ部132の方(図7(b)の紙面下方向)へ摺動するように形成されている。摺動部140には、図4に示されるように、その一部に切り欠き(溝)が設けられるとともに、第2筺体102に、当該切り欠きに嵌合するリブが設けられる。このリブが、摺動部140の切り欠きに嵌合することで、摺動部140がネジ130の回転に連動して回転することを防ぎ、摺動部140がネジ部131のネジ山に沿って摺動することを可能にしている。摺動部140がつまみ部132の方へ摺動することで、傾斜部170において第1ストッパー150と第2ストッパー151と接触し、第1ストッパー150を第1回転シリンダ120の方へ摺動させるとともに、第2ストッパー151を第2回転シリンダ121の方へ摺動させることができる。これにより、第1ストッパー150を第1回転シリンダ120に接触させ、第1回転シリンダ120の回転を抑制することができる。同様に、第2ストッパー151を第2回転シリンダ121に接触させ、第2回転シリンダ121の回転を抑制することができる。
【0052】
一方で、ネジ130を第1の方向とは逆方向の第2の方向に回転させることで、摺動部140は、つまみ部132から離間する方向(図7の紙面上方向)に摺動する。これによって、第1ストッパー150は、第1回転シリンダ120から離間することができ、第1回転シリンダ120の回転の抑制を解除することができる。同様に、第2ストッパー151は、第2回転シリンダ121から離間することができ、第2回転シリンダ121の回転の抑制を解除することができる。本実施形態では、第1ストッパー150と、ネジ130と、第2ストッパー151とで、第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121との回転を抑止する抑止部と成すことができる。
【0053】
図7(c)は、図7(a)に示す構成とは別の例であり、図7(a)と比較すればわかるように、摺動部140の向きを、図7(a)と紙面上下方向において、逆向きにした例を示している。この構造であっても、図7(a)と同様に、ネジ130の回動の向きに応じて、摺動部140が上下することで、第1ストッパー150と第2ストッパー151とをそれぞれ、紙面左右方向に摺動させることができる。これによって、第1ストッパー150を第1回転シリンダ120方向に押しやって第1ストッパー150を第1回転シリンダ120に接触させ、第1回転シリンダ120の回転を抑止することができる。また、逆方向にネジ130を回動させることで、第1ストッパー150と第2ストッパー151それぞれの第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121との接触を緩めることで、両回転シリンダ120、121を再び人が回転させることができるようにすることができる。
【0054】
図8は、本実施形態に係る第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121における貫通孔を模式的に示す概念図である。図8(a)に示されるように、第1回転シリンダ120と、第2回転シリンダ121とは、全く同形状の部材である。第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121として全く同じ部材を用いることで、第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121とを別の部材を用いた場合に比して、モニタ取付装置100の製造コストを、抑えることができる。
【0055】
図8(b)~図8(d)は、第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121とに設けた貫通孔が対応して開口部から対称に露出することを示す模式図である。図8(b)~図8(d)においては、開口部110b、111bから露出する部分以外の第1回転シリンダ120、第2回転シリンダ121や貫通孔122、123は、本来見えないため点線で示すべきではあるが、ここでは、見やすさを考慮して実線で示している。図8(b)は、開口部110bから第1回転シリンダ120の貫通孔122cを露出させるとともに、開口部111bから貫通孔123cを露出させている例を示している。図8(b)に示す状態では、第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121は、互いに左右対称にはなっていないが、貫通孔122cとこれに対応する貫通孔123cとは、左右対称になるように対応する開口部110b、111bから露出する。
【0056】
図8(c)には、開口部110bから貫通孔122aが露出し、開口部111bから貫通孔122aに対応する貫通孔123aが露出する例を示している。図8(c)においても開口部110b(111b)に対して現れる貫通孔122a(123a)の位置は、回転シリンダの回転を調整することで、紙面左右方向で対称となる位置に現れるようにすることができる。同様に、図8(d)には、開口部110bから貫通孔122bが露出し、開口部111bから貫通孔122bに対応する貫通孔123bが露出する例を示している。図8(d)においても開口部110b(111b)に対して現れる貫通孔122b(123b)の位置は、回転シリンダの回転を調整することで、紙面左右方向で対称となる位置に現れるようにすることができる。
【0057】
各貫通孔は、回転シリンダの中心を中心とした同心円上を移動する。そのため、開口部110bと開口部111bとが、それぞれ、第1回転シリンダ120の中心と第2回転シリンダ121の中心とに対応して対称(図8の紙面左右方向でモニタ取付装置100の中心を中心として対称)になっていれば、対応する貫通孔が必ず左右で対称となるように露出する位置が存在する。したがって、第1回点シリンダ120と第2回転シリンダ121とが同じ部材であっても、一方の開口部から露出させた一方の回転シリンダに設けられた貫通孔に対応する他方の回転シリンダに設けられた貫通孔を他方の開口部から露出させることができる。
【0058】
<まとめ>
上述したように、モニタ取付装置100は、様々な径の貫通孔を有する回転シリンダを内部に備え、その回転シリンダを回転させることで開口部から貫通孔を切り替えて露出させることで、様々な径のステーに対応することができる。また、二つの回転シリンダを備え、左右の回転シリンダそれぞれで開口部から露出させる貫通孔について、貫通孔間の距離が異なるように、開口部と貫通孔を設けていることで、様々なステー間の距離に対応して、モニタ取付装置100をステーに取り付けることができる。また、モニタ取付装置100に露出する貫通孔122、123にステーを挿入することでモニタ取付装置100をヘッドレストに取り付けることになるので、モニタ取付装置100がヘッドレストのステーから外れることもない。
【0059】
<補足>
本発明に係るモニタ取付装置100について、上記実施形態に示したようにその一構成例を示したが、本発明に係るモニタ取付装置100の実施形態は、これに限定するものではない。以下に、その変形例について説明する。
【0060】
(1) 上記実施形態において、図5を用いて、回転シリンダの貫通孔の位置合わせの手法について説明した。ところで、指標の設定手法は、図5に示す例に限定するものではない。回転シリンダの貫通孔の位置合わせを実現できるのであれば、その他の手法をとってもよい。その他の手法の一例を図9に示す。
【0061】
図9は、図5に示す構成では、指標を筐体に印字していたのに対し、図9の例では、回転シリンダの回転に伴って、回転シリンダに印字されている指標が露出することで、対応する貫通孔が開口部に露出するよう構成された例を示している。図9(a)は、指標表示部901から、回転シリンダに印字されている所望の指標902を露出させることで、所望の貫通孔122を開口部110(111)から露出させ、ステー51を挿入できるようにした例を示している。図9(a)の例では、回転シリンダに印字している指標902として、指標「B」を露出させた例を示している。したがって、この場合、指標「B」に対応するヘッドレストに取り付けることができる状態となっている。また、図9(b)は、別の例を示しており、指標902として、指標「D」を露出させた例を示している。したがって、この場合、指標「D」に対応するヘッドレストに取り付けることができる状態となっている。どの貫通孔を露出させるかを決定するための指標及び指標部は、このような構成によっても実現することができる。
【0062】
(2) 上記実施形態において、図7(a)、(b)に示す構成、あるいは、図7(c)に示す構成で、回転シリンダの回転を抑止する構成を説明した。しかしながら、回転シリンダの回転を抑止する構造はこれらの構造に限定するものではない。例えば、溝に係合するラッチ等のなんらかの機構により、回転シリンダの回転、非回転を切り替えることができれば、上記実施形態に示した構成に限定されない。例えば、回転シリンダの回転抑止機構は、図10(a)、(b)に示すような構成により実現されてもよい。図10(a)は、回転シリンダの回転を抑止せず、図10(b)は、回転シリンダの回転を抑止しない状態を示している。図10(a)、(b)に示すように、回転抑止機構は、上記実施形態に示した第1ストッパー150、第2ストッパー151、摺動部140の代わりに、羽根1010と羽根1020とを備える回転体をネジ130に固定して取りけた構成である。羽根1010と羽根1020とは、ネジ130を第1の方向に回転させることで、ともに回転し、図10(a)に示す状態から図10(b)に示す状態のように変化し、羽根1010が第1回転シリンダ120に接触するとともに、羽根1020が第2回転シリンダ121に接触する状態となる。これにより、羽根1010、1020との接触部分が摩擦となり、両回転シリンダの回転を抑止する構成を実現することができる。なお、ネジ130を第1の方向とは逆方向の第2の方向に回転させることで、羽根1010、1020の回転シリンダへの接触を解除し、回転シリンダを回転させることができるようになる。
【0063】
(3) 上記実施形態において、第1回転シリンダ120及び第2回転シリンダ121を、両方とも、対応する開口部110、111を介して人が指で回転させることにより位置合わせをすることとしている。しかし、両方の回転シリンダの位置合わせをするのは、人にとって煩雑なものがある。そこで、モニタ取付装置100は、一方の回転シリンダの位置合わせをすれば他方の回転シリンダの位置合わせも終了するような構成を有することしてもよい。
【0064】
図11(a)は、そのように一方のシリンダが回転すれば他方も回転するように構成されたモニタ取付装置100を裏面から見た内部構成例を示す図であり、図11(b)は、同モニタ取付装置100を天面から見た内部構成例を示す図である。
【0065】
図11(a)、図11(b)に示すように、上記実施形態に示した構成に加えて、モニタ取付装置100は、同期回転軸1100を備えることとしてよい。詳細は図示していないが、モニタ取付装置100の筐体は、同期回転軸1100を回動自在に保持する。同期回転軸1100の両端には、傘歯歯車1101と傘歯歯車1102が設けられる。また、第1回転シリンダ120にも、傘歯歯車1120が設けられ、同期回転軸1100の傘歯歯車1102と嵌合するように構成されている。同様に、第2回転シリンダ121にも傘歯歯車1121が設けられ、同期回転軸1100の傘歯歯車1101と嵌合するように構成されている。
【0066】
図11(b)に示す例では、第1回転シリンダ120に設けられる貫通孔122と、第2回転シリンダ121に設けられる貫通孔123とは、図面縦方向に分断する中心線を中心として対称になるように構成されてもよい。即ち、第1回転シリンダ120と第2回転シリンダ121は、図11(b)に示されるように左右対称となる部材であってよい。また、あるいは、上記実施形態に示したように、第1回転シリンダ120に設けられている貫通孔122と、第2回転シリンダ121に設けられている貫通孔123とが対応して開口部から露出するように、貫通孔の位置配置であって、同期回転軸1100の回転により連動する位置配置を探索して左右同じ回転シリンダを用いることとしてもよい。
【0067】
このような構成にすることで、一方の回転シリンダを人が開口部を通して回転させれば、その回転が同期回転軸の回転を促し、他方の回転シリンダを逆方向に対象に回転させることができるので、一方の回転シリンダの位置合わせさえ済ませれば、他方の回転シリンダの位置合わせも完了している状態にすることができる。
【0068】
モニタ取付装置100は、図11(a)、(b)に示す、このような構成を備えてもよい。
【0069】
(4) 上記実施形態において、開口部から露出される貫通孔に、滑り止め用のラバー部材が設けられていてもよい。図12(a)は、モニタ取付装置100の開口部110b、111bから露出する貫通孔に、ステーの滑り止めとなるラバー部材1301が設けられている状態を示す斜視図である。また、図12(b)は、ラバー部材1301を貫通孔から取り外した状態を示している。図12(b)に示すようにラバー部材1301は、円筒状の部材であり、最も小さい内径を有する貫通孔に挿入可能に構成され、最も大きい内径を有する貫通孔にも挿入してステーを挿入できるように、その一部を切り欠いて拡張可能に構成されている。ラバー部材1301は、図12(b)に示すように、貫通孔からの取り外しがしやすいようにその縁の一部に取手が設けられていてもよい。なお、ここでは、ラバー部材1301の一部を切り欠く形で成形することによって、全ての貫通孔に対応できるようにしているが、各貫通孔に対して専用のラバー部材を用意してもよい。
【0070】
図12(c)は、モニタ取付装置100にラバー部材1301を挿入した状態を示す断面図である。図12(c)に示すように、ラバー部材1301は、貫通孔全体に挿入される必要はなく、その中途までの長さを有する。そのため、図12(c)からも理解できるように、貫通孔には、ラバー部材1301を挿入するための段差が設けられた構造をしていてもよい。もちろん、ラバー部材1301は、貫通孔の内面全体に跨る長さ(図12(c)における図面縦方向の貫通孔と同等の長さ)を有していてもよい。ラバー部材1301があることにより、モニタ取付装置100を車両のステーに取り付けた際に不要にずれることを抑制することができる。
【0071】
(5) 図13(a)、(b)、図14(a)は、上記実施形態において、回転シリンダにおける貫通孔の一つが、開口部の一部(図面の実線部分)に対して相対位置関係が変化することを示す図面である。なお、図14(b)は、モニタ取付装置の断面図であって、図13(b)を図面縦方向に開口部を切断した場合の断面図である。また、図15は、図14(b)に対応するモニタ取付装置の平面図である。
【符号の説明】
【0072】
10 モニタ
50 ヘッドレスト
51、51a、51b ステー
52 バックシート
100 モニタ取付装置
101 第1筺体
102 第2筺体
110、111 開口部
110a、111a 第1開口部
110b、111b 第2開口部
120 第1回転シリンダ
121 第2回転シリンダ
122、122a、122b、122c、122d 貫通孔
123、123a、123c、123c、123d 貫通孔
130 ネジ
131 ネジ部
132 つまみ部
140 摺動部
150 第1ストッパー
151 第2ストッパー
501、901 指標部
502、502b、502c、902 指標
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15