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特開2024-60592適応レーダーフレームフィルタリングのためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060592
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】適応レーダーフレームフィルタリングのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/53 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
G01S13/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023176506
(22)【出願日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】22202515
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マネソン, アンダース
(72)【発明者】
【氏名】シモンソン, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ナディヒ, サントシュ
(72)【発明者】
【氏名】アケソン, ヨハン エー
(72)【発明者】
【氏名】ヒューニッシュ, セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】スコーグ, アンダース
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB01
5J070AC01
5J070AC02
5J070AC06
5J070AF03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するためのシステム及び方法が開示される。
【解決手段】レーダーフレームの前の時間期間中にキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度が取得される。レーダーフレームのレンジドップラー表現が生成され、レーダーデバイスから物体への方向を表す方向ベクトルが決定される。次いで、取得された動きベクトルと決定された方向ベクトルとに基づいて、物体とレーダーデバイスとの間の半径方向相対速度が決定される。検出が、設定された間隔内に位置することを条件として、レーダーフレームからの物体の表現がフィルタ除去され、検出が、設定された間隔外に位置することを条件として、物体に対応する検出は、レーダーフレームからフィルタ除去されない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するための方法であって、前記方法は、
前記レーダーフレームに先行する時間期間中に前記レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における前記物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度を取得することであって、前記時間期間が、前記レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連する前記レーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む、取得することと、
前記レーダーデバイスの前記振動運動に起因する前記レーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルを取得することと、
前記取得された動きの大きさおよび方向を有する前記レーダーデバイスによってキャプチャされた前記レーダーフレームを受信することと、
前記レーダーフレームのレンジドップラー表現を生成することと、
前記レーダーデバイスから前記物体への方向を表す方向ベクトルを決定することと、
前記取得された動きベクトルと前記決定された方向ベクトルとに基づいて、前記物体と前記レーダーデバイスとの間の半径方向相対速度を決定することと、
前記物体に対応する前記検出を含む前記レンジドップラー表現における前記レンジビンについて、前記決定された半径方向相対速度と前記決定された最大信号強度とに基づいて、前記物体の前記決定された半径方向相対速度の周りの間隔を設定することと、
前記物体に対応する前記検出が、前記設定された間隔内に位置することを条件として、前記レーダーフレームから前記物体の表現をフィルタ除去することと、
前記物体に対応する前記検出が、前記設定された間隔外に位置することを条件として、前記レーダーフレームから前記物体の前記表現をフィルタ除去することを控えることと
を含む、方法。
【請求項2】
ゼロ速度における最大信号強度を取得するアクションが、
前記レーダーフレームに先行する時間期間中に前記レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットを受信することであって、前記時間期間が、前記レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連する前記レーダーデバイスの前記振動運動の少なくとも1つの期間を含む、受信することと、
レーダーフレームの前記セットのレンジドップラー表現を生成することと、
各レンジドップラー表現における前記物体に対応する前記検出を含む前記レンジビン内で、ゼロ速度における信号強度を決定することと、
前記最大信号強度を前記決定された信号強度の最大値として決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レーダーデバイスによってキャプチャされた複数のレーダーフレームのうちの第1のレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するための方法であって、前記方法は、
前記複数のレーダーフレームの各レーダーフレームについて、
前記第1のレーダーフレームに先行する時間期間中に前記レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における前記物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度を取得することであって、前記時間期間が、前記レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連する前記レーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む、取得することと、
前記レーダーデバイスの前記振動運動に起因する前記レーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルを取得することと、
動きの前記決定された大きさおよび方向を有する前記レーダーデバイスによってキャプチャされた前記レーダーフレームを受信することと、
前記レーダーフレームのレンジドップラー表現を生成することと、
前記レーダーデバイスから前記検出された物体への方向を表す方向ベクトルを決定することと、
前記決定された動きベクトルと前記決定された方向ベクトルとに基づいて、前記物体と前記レーダーデバイスとの間の半径方向相対速度を決定することと、
前記物体に対応する前記検出を含む前記レンジドップラー表現における前記レンジビンについて、前記決定された半径方向相対速度と前記決定された最大信号強度とに基づいて、前記物体の前記決定された半径方向相対速度の周りの間隔を設定することと、
前記複数のレーダーフレームについての前記設定された間隔の平均として共通間隔を計算することと、
前記物体に対応する前記検出が、前記第1のレーダーフレームの前記レンジドップラー表現の前記レンジビン内の前記計算された共通間隔内に位置することを条件として、前記第1のレーダーフレームから前記物体の表現をフィルタ除去することと、
前記物体に対応する前記検出が、前記第1のレーダーフレームの前記レンジドップラー表現の前記レンジビン内の前記計算された共通間隔外に位置することを条件として、前記第1のレーダーフレームから前記物体の前記表現をフィルタ除去することを控えることと
を含む、方法。
【請求項4】
前記レーダーデバイスの前記振動運動は、前記レーダーデバイスが取り付けられた支持構造の振動運動に起因する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
処理能力を有するデバイスによって実行されたとき、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法を実行するための命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項6】
レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するためのデバイスであって、前記デバイスは、
前記レーダーフレームに先行する時間期間中に前記レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における前記物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度を取得するように構成された第1の取得機能であって、前記時間期間が、前記レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連する前記レーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む、第1の取得機能と、
前記レーダーデバイスの前記振動運動に起因する前記レーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルを取得するように構成された第2の取得機能と、
動きの前記決定された大きさおよび方向を有する前記レーダーデバイスによってキャプチャされた前記レーダーフレームを受信するように構成された受信機能と、
前記レーダーフレームのレンジドップラー表現を生成するように構成された生成機能と、
前記レーダーデバイスから前記物体への方向を表す方向ベクトルを決定するように構成された第1の決定機能と、
前記取得された動きベクトルと前記決定された方向ベクトルとに基づいて、前記物体と前記レーダーデバイスとの間の半径方向相対速度を決定するように構成された第2の決定機能と、
前記物体に対応する前記検出を含む前記レンジドップラー表現における前記レンジビンについて、前記決定された半径方向相対速度と前記決定された最大信号強度とに基づいて、前記物体の前記決定された半径方向相対速度の周りの間隔を設定するように構成された設定機能と、
前記物体に対応する前記検出が、前記設定された間隔内に位置することを条件として、前記レーダーフレームから前記物体の表現をフィルタ除去することと、
前記物体に対応する前記検出が、前記設定された間隔外に位置することを条件として、前記レーダーフレームから前記物体の前記表現をフィルタ除去することを控えることと
を行うように構成されたフィルタリング機能と
を実行するように構成された回路を備える、デバイス。
【請求項7】
前記第1の取得機能が、
前記レーダーフレームに先行する時間期間中に前記レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットを受信することであって、前記時間期間が、前記レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連する前記レーダーデバイスの前記振動運動の少なくとも1つの期間を含む、受信することと、
レーダーフレームの前記セットのレンジドップラー表現を生成することと、
各レンジドップラー表現における前記物体に対応する前記検出を含む前記レンジビン内で、ゼロ速度における信号強度を決定することと、
前記最大信号強度を前記決定された信号強度の最大値として決定することと
を行うように構成された、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
レーダーデバイスによってキャプチャされた複数のレーダーフレームのうちの第1のレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するためのデバイスであって、前記デバイスは、
前記複数のレーダーフレームの各レーダーフレームについて、
前記第1のレーダーフレームに先行する時間期間中に前記レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における前記物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度を取得するように構成された第1の取得機能であって、前記時間期間が、前記レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連する前記レーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む、第1の取得機能と、
前記レーダーデバイスの前記振動運動に起因する前記レーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルを取得するように構成された第2の取得機能と、
動きの前記決定された大きさおよび方向を有する前記レーダーデバイスによってキャプチャされた前記レーダーフレームを受信するように構成された受信機能と、
前記レーダーフレームのレンジドップラー表現を生成するように構成された生成機能と、
前記レーダーデバイスから前記検出された物体への方向を表す方向ベクトルを決定するように構成された第1の決定機能と、
前記決定された動きベクトルと前記決定された方向ベクトルとに基づいて、前記物体と前記レーダーデバイスとの間の半径方向相対速度を決定するように構成された第2の決定機能と、
前記物体を含む前記検出を含む前記レンジドップラー表現における前記レンジビンについて、前記決定された半径方向相対速度と前記決定された最大信号強度とに基づいて、前記物体の前記決定された半径方向相対速度の周りの間隔を設定するように構成された設定機能と
を実行するように構成された回路を備え、
前記回路は、
前記複数のレーダーフレームについての前記設定された間隔の平均として共通間隔を計算するように構成された計算機能と、
前記物体に対応する前記検出が、前記第1のレーダーの前記レンジドップラー表現の前記レンジビン内の前記計算された共通間隔内に位置することを条件として、前記第1のレーダーフレームから前記物体の表現をフィルタ除去することと、
前記物体に対応する前記検出が、前記第1のレーダーの前記レンジドップラー表現の前記レンジビン内の前記計算された共通間隔外に位置することを条件として、前記第1のレーダーフレームから前記物体の前記表現をフィルタ除去することを控えることと
を行うように構成されたフィルタリング機能と
を実行するようにさらに構成された、
デバイス。
【請求項9】
前記レーダーデバイスの前記振動運動は、前記レーダーデバイスが取り付けられた支持構造の振動運動に起因する、請求項6から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダーフレームの処理に関し、具体的には、レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現をフィルタ除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
レーダーデバイスが固定支持体に取り付けられ、シーンを監視するために使用されるとき、各レーダーフレームの処理が実行され得、それによって、地面、建物、駐車車両などの静止物体に関係するレーダーデータが各レーダーフレームから除去され得る。そのような処理は、シーン内の移動する物体が静止物体よりも関心が高い適用例において実行され得る。処理は、レーダーデバイスが壁などの固定剛性支持体にしっかりと取り付けられているとき、かなり簡単である。しかしながら、レーダーデバイスが、固定非剛性支持体、例えば振動または前後に揺動することがある非剛性ポールに取り付けられる場合、結果としてレーダーデバイスが移動し、それにより、静止物体と移動するレーダーデバイスとの間の相対運動を引き起こし得る。したがって、そのようなシナリオでは、静止物体に関連するレーダーデータは、レーダーデバイスの移動により静止物体がもはや静止しているように見えないので、レーダーフレームから除去されないことがある。
【0003】
したがって、この文脈における改善が望ましい。
【発明の概要】
【0004】
上記を考慮して、本発明の概念の目的は、当技術分野における上記で特定された欠陥および欠点の1つまたは複数を、単独でまたは組み合わせて軽減するか、緩和するか、またはなくすことである。
【0005】
第1の態様によれば、レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するための方法が提供される。レーダーフレームに先行する時間期間中にレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度が取得され、この時間期間は、レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連するレーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む。レーダーデバイスの振動運動に起因するレーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルが取得される。動きの決定された大きさおよび方向を有するレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームが受信され、レーダーフレームのレンジドップラー表現が生成される。レーダーデバイスから物体への方向を表す方向ベクトルが決定され、取得された動きベクトルと決定された方向ベクトルとに基づいて、物体とレーダーデバイスとの間の半径方向相対速度が決定される。物体に対応する検出を含むレンジドップラー表現におけるレンジビンについて、決定された半径方向相対速度と決定された最大信号強度とに基づいて、決定された半径方向相対速度の周りで間隔が設定される。検出が、設定された間隔内に位置することを条件として、レーダーフレームからの物体の表現がフィルタ除去され、検出が、設定された間隔外に位置することを条件として、物体に対応する検出は、レーダーフレームからフィルタ除去されない。
【0006】
レーダーデバイスによってレーダーフレームがキャプチャされたときのレーダーデバイスのための動きベクトルを決定し、レーダーから物体への方向ベクトルを決定することによって、レーダーフレームがキャプチャされたときの物体とレーダーデバイスとの間の半径方向相対速度が決定され得る。次いで、半径方向相対速度は、レーダーフレームのレンジドップラー表現におけるレンジビン内で半径方向相対速度の周りの間隔を決定するために、最大信号強度とともに使用され、このレンジビンは物体に対応する検出を含む。次いで、間隔は、物体の表現がレーダーフレームからフィルタ除去されるかどうかを決定するために使用される。間隔を決定された半径方向相対速度に基づかせることによって、レーダーデバイスの振動運動に起因してレーダーフレームのレンジドップラー表現におけるゼロ速度とは異なる速度を有するように見える静止物体が、静止物体として識別され得、および/または、そのような物体の表現は、レーダーフレームからフィルタ除去され得る。
【0007】
間隔は、レーダーフレームがキャプチャされたときの決定された半径方向相対速度に部分的に基づくので、フィルタリングは、現在の半径方向相対速度に対してより適応的である。間隔の一般的増加が使用される場合、ゆっくり移動する物体がレーダーフレームからフィルタ除去される危険性が高くなる。
【0008】
実施形態では、ゼロ速度における最大信号強度を取得するアクションは、レーダーフレームに先行する時間期間中にレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットを受信することを含み、この時間期間は、レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連するレーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む。レーダーフレームのセットのレンジドップラー表現が生成され、物体に対応する検出が、レーダーフレームのセットのレンジドップラー表現の各々において識別される。各レンジドップラー表現における物体に対応する検出の、ゼロ速度における信号強度が決定され、最大信号強度は、決定された信号強度の最大値として決定される。
【0009】
第2の態様によれば、レーダーデバイスによってキャプチャされた複数のレーダーフレームのうちの第1のレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するための方法が提供される。複数のレーダーフレームの各レーダーフレームについて、物体に対応する検出を含むレンジビン内のゼロ速度における最大信号強度が、第1のレーダーフレームに先行する時間期間中にレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現において取得され、この時間期間は、レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連するレーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む。さらに、レーダーデバイスの振動運動に起因するレーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルが取得される。さらに、動きの決定された大きさおよび方向を有するレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームが受信され、レーダーフレームのレンジドップラー表現が生成される。レーダーデバイスから、検出された物体への方向を表す方向ベクトルが決定され、決定された動きベクトルと決定された方向ベクトルとに基づいて、物体とレーダーデバイスとの間の半径方向相対速度が決定される。物体に対応する検出を含むレンジドップラー表現におけるレンジビンについて、決定された半径方向相対速度と決定された最大信号強度とに基づいて、決定された半径方向相対速度の周りの間隔が設定される。次いで、複数のレーダーフレームについての設定された間隔の平均として共通間隔が計算される。物体に対応する検出が、第1のレーダーフレームのレンジドップラー表現のレンジビン内の計算された共通間隔内に位置することを条件として、物体に対応する検出は、第1のレーダーフレームからフィルタ除去される。物体に対応する検出が、第1のレーダーフレームのレンジドップラー表現のレンジビン内の計算された共通間隔外に位置することを条件として、物体に対応する検出は、第1のレーダーフレームからフィルタ除去されない。
【0010】
第2の態様による方法によって、第1の態様による方法に関連して説明されたように、レーダーデバイスの振動運動に起因してレーダーフレームのレンジドップラー表現におけるゼロ速度とは異なる速度を有するように見える静止物体が、静止物体として識別され得、および/または、そのような物体の表現は、レーダーフレームからフィルタ除去され得る。
【0011】
さらに、複数のレーダーフレームについての設定された間隔の平均として共通間隔を計算することによって、雑音および誤差に関連するロバスト性を高めることができる。
【0012】
実施形態では、レーダーデバイスの振動運動は、レーダーデバイスが取り付けられた支持構造の振動運動に起因する。
【0013】
第3の態様によれば、処理能力を有するデバイスによって実行されたとき、第1の態様による方法、または第2の態様による方法を実行するための命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0014】
第4の態様によれば、レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するためのデバイスが提供される。デバイスは、第1の取得機能、第2の取得機能、受信機能、生成機能、第1の決定機能、第2の決定機能、設定機能、およびフィルタリング機能を実行するように構成された回路を備える。第1の取得機能は、レーダーフレームに先行する時間期間中にレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度を取得するように構成され、この時間期間は、レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連するレーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む。第2の取得機能は、レーダーデバイスの振動運動に起因するレーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルを取得するように構成される。受信機能は、動きの決定された大きさおよび方向を有するレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームを受信するように構成される。生成機能は、レーダーフレームのレンジドップラー表現を生成するように構成される。第1の決定機能は、レーダーデバイスから物体への方向を表す方向ベクトルを決定するように構成される。第2の決定機能は、決定された動きベクトルと決定された方向ベクトルとに基づいて、物体とレーダーデバイスとの間の半径方向相対速度を決定するように構成される。設定機能は、物体に対応する検出を含むレンジドップラー表現におけるレンジビンについて、決定された半径方向相対速度と決定された最大信号強度とに基づいて、決定された半径方向相対速度の周りの間隔を設定するように構成される。フィルタリング機能は、物体に対応する検出が、設定された間隔内に位置することを条件として、第1のレーダーフレームから物体の表現をフィルタ除去することと、物体に対応する検出が、設定された間隔外に位置することを条件として、第1のレーダーフレームから物体の表現をフィルタ除去することを控えることとを行うように構成される。
【0015】
第1の態様による方法の上述の任意選択の追加の特徴は、適用可能であるとき、第4の態様によるデバイスにも適用される。繰返しを避けるために、上記が参照される。
【0016】
第5の態様によれば、レーダーデバイスによってキャプチャされた複数のレーダーフレームのうちの第1のレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するためのデバイスが提供される。デバイスは、複数のレーダーフレームの各レーダーフレームについて、第1の取得機能、第2の取得機能、受信機能、生成機能、第1の決定機能、第2の決定機能、および設定機能を実行するように構成された回路を備える。第1の取得機能は、レーダーフレームに先行する時間期間中にレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度を取得するように構成され、この時間期間は、レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連するレーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む。第2の取得機能は、レーダーデバイスの振動運動に起因するレーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルを取得するように構成される。受信機能は、動きの決定された大きさおよび方向を有するレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームを受信するように構成される。生成機能は、レーダーフレームのレンジドップラー表現を生成するように構成される。第1の決定機能は、レーダーデバイスから物体への方向を表す方向ベクトルを決定するように構成される。第2の決定機能は、決定された動きベクトルと決定された方向ベクトルとに基づいて、物体とレーダーデバイスとの間の半径方向相対速度を決定するように構成される。設定機能は、物体に対応する検出を含むレンジドップラー表現におけるレンジビンについて、決定された半径方向相対速度と決定された最大信号強度とに基づいて、決定された半径方向相対速度の周りの間隔を設定するように構成される。回路は、計算機能およびフィルタリング機能を実行するようにさらに構成される。計算機能は、複数のレーダーフレームについての設定された間隔の平均として共通間隔を計算するように構成される。フィルタリング機能は、物体に対応する検出が、第1のレーダーフレームのレンジドップラー表現のレンジビン内の共通間隔内に位置することを条件として、第1のレーダーフレームから物体の表現をフィルタ除去することと、物体に対応する検出が、第1のレーダーフレームのレンジドップラー表現のレンジビン内の共通間隔外に位置することを条件として、第1のレーダーフレームから物体の表現をフィルタ除去することを控えることとを行うように構成される。
【0017】
実施形態では、レーダーデバイスの振動運動は、レーダーデバイスが取り付けられた支持構造の振動運動に起因する。
【0018】
本発明のさらなる適用範囲は、以下で与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の範囲内の様々な変更および修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、単に例示として与えられることを理解されたい。
【0019】
したがって、説明されたデバイスおよび方法は変化し得るので、本発明は、説明されたデバイスの特定の構成要素部分、または説明された方法のアクションに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定するものではないことも理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「前記(said)」は、文脈が別段に明記しない限り、要素のうちの1つまたは複数があることを意味するものとすることに留意されたい。したがって、例えば、「1つのユニット(a unit)」または「そのユニット(the unit)」への言及は、いくつかのデバイスなどを含み得る。さらに、「含む、備える(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」という単語、および同様の表現は、他の要素またはステップを排除するものではない。
【0020】
次に、本発明の上記および他の態様は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。図面は、限定するものと見なされるべきではなく、説明および理解のために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1a】レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するための方法の実施形態に関連するフローチャートである。
図1b】レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するための方法の実施形態に関連するフローチャートである。
図2a】レーダーデバイスによってキャプチャされた複数のレーダーフレームのうちの第1のレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するための方法の実施形態に関連するフローチャートである。
図2b】レーダーデバイスによってキャプチャされた複数のレーダーフレームのうちの第1のレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するための方法の実施形態に関連するフローチャートである。
図3】レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するためのデバイスの実施形態に関連するブロック図である。
図4】レーダーデバイスによってキャプチャされた複数のレーダーフレームのうちの第1のレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するためのデバイスの実施形態に関連するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明は、本発明の現在の好ましい実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下で説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0023】
本発明は、レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連するレーダーデバイスの振動運動に起因する、レーダーデバイスが監視しているシーン内の静止物体とレーダーデバイス自体との間の相対振動運動があり得るような、レーダーデバイスが固定であるが堅固に取り付けられていないシナリオにおいて、適用可能である。これは、例えば、レーダーデバイスが、前後に振動し得る固定非剛性支持体、例えば非剛性ポールに取り付けられているときに起こり得る。そのような振動は、例えば、風、または非剛性支持体への他の物理的衝撃により起こり得る。
【0024】
レーダーデバイスは、レーダーデバイスによって検出された物体の速度を決定することを可能にするタイプのものである。例えば、レーダーデバイスは、周波数が時間とともに変化する、典型的には周波数がランプアップまたはランプダウンされる短いビート信号(チャープ)を使用する周波数変調連続波(FMCW)レーダーデバイスであり得る。別の例として、レーダーデバイスは、位相変調連続波(PMCW)レーダーデバイスであり得る。
【0025】
レーダーデバイスは、さらに、レーダーデバイスからレーダーデバイスによって検出された物体への方向ベクトルを決定することを可能にするタイプのものである。例えば、レーダーデバイスは、多入力多出力(MIMO)レーダーデバイスであり得る。
【0026】
次に、レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するための方法100の実施形態が、図1aおよび図1bにおけるフローチャートに関連して説明される。方法100は、1つの物体に関連する適応フィルタリングに関する。しかしながら、本方法の原理は、レーダーフレームのすべての物体に関連する適応フィルタリングのために、順番に、または、並列にのいずれかで使用され得る。
【0027】
方法100は、レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度を取得することS110を含む。ここでの信号強度は、レーダーデバイスにおいて受信された反射信号の信号強度に関する。レーダーフレームのセットは、レーダーフレームに先行する、すなわち、レーダーフレームがキャプチャされた時間に先行する時間期間中にキャプチャされる。さらに、時間期間は、レーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含むのに十分長くされる。これは、物体に対応する検出の最大信号強度が、レーダーフレームのセットの少なくとも1つのレーダーフレームのレンジドップラー表現におけるゼロ速度にあるか、または少なくともそれに近いことを保証するためである。例えば、振動運動の期間が2秒であり、毎秒10個のレーダーフレームがある場合、レーダーフレームのセットは、少なくとも20個のレーダーフレームを含むべきである。
【0028】
FMCWレーダーデバイスでは、ダウンコンバートされたチャープに対応するアナログデジタル変換データを行列の列として論理的に配置することによって、レンジドップラー表現が生成され得る。各列内のFFTは、各行が、レーダーデバイスからのレンジ間隔内の物体の検出を含むレンジビンであるように、レーダーデバイスからのレンジ内の物体を分解する。一方、行に沿ったFFTは、各列が、レーダーデバイスに関連する速度間隔内の物体の検出を含むように、レーダーデバイスに関連する速度において各行(レンジビン)を分解する。レンジドップラー表現は検出を含み、垂直y軸に関連する検出の位置は、レーダーデバイスとは異なるレンジにおけるシーン内の物体に対応する。水平x軸に関連する検出の位置は、レーダーデバイスと物体との間の半径方向速度に対応する。
【0029】
上述したように、方法100は、1つの物体に関連して説明される。一般に、フィルタリングは、レーダーフレーム内のすべての物体に関連して実行され得る。次いで、レーダーフレームのセットにわたる各レンジビン内のゼロ速度における最大信号強度が取得され得る。次いで、方法100の残りのステップS120~S194が、それぞれの最大信号強度に基づいてレーダーフレーム内の各レンジビンについて実行される。方法100が実行されるレンジビンの数を低減するために、それは、静止している可能性が高い物体を含むレンジビンに限定され得る。これは、物体に対応する検出を示す閾値を超える、ゼロ速度における最大信号強度を有するすべてのレンジビンを識別することによって、達成され得る。次いで、方法100の残りのステップは、レーダーフレーム内の識別されたレンジビンについてのみ実行される。
【0030】
ゼロ速度における最大信号強度を取得するアクションS110は、レーダーフレームに先行する時間期間中にレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットを受信することを含み得る。次いで、レーダーフレームのセットのレンジドップラー表現が生成される。次いで、各レンジドップラー表現における物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における信号強度が決定され、最大信号強度は、決定された信号強度の最大値として決定される。
【0031】
方法は、レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連するレーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルを取得することS120をさらに含む。レーダーデバイスとシーン内の固定物体との間の相対運動は、レーダーデバイスの振動運動に起因する。さらに、レーダーデバイスの運動は振動性であるので、レーダーデバイスの動きの大きさおよび方向は時間とともに変化する。この目的のために、動きの大きさおよび方向は、レーダーデバイスによってレーダーフレームがキャプチャされたときに決定される。動きベクトルは、レーダーデバイスにおいて配置された加速度計による測定値を受信することによって取得され得、この測定値は、レーダーフレームをキャプチャしたときにとられた。代替として、動きベクトルは、シーン内で静止していると識別され、レーダーデバイスに関連する既知のロケーションを有する、シーン内の物体のセットに関連する相対速度を決定することによって、取得され得る。
【0032】
方法100は、レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームを受信することS130と、レーダーフレームのレンジドップラー表現を生成することS140とをさらに含む。上述したように、レーダーデバイスは、レーダーフレームがキャプチャされたときの移動の決定された大きさおよび方向を有していた。上述したように、レンジドップラー表現は検出を含み、垂直y軸に関連する検出の位置は、レーダーデバイスとは異なるレンジにおけるシーン内の物体に対応する。水平x軸に関連する検出の位置は、レーダーデバイスと物体との間の半径方向速度に対応する。振動運動により、レーダーデバイスは、レーダーフレームがキャプチャされたときの固定物体に関連する動きの決定された大きさおよび方向を有する。したがって、シーン内の静止物体に対応する検出は、ゼロ速度に対応するレンジドップラー表現におけるロケーションに位置しない。
【0033】
方法100は、レーダーデバイスから物体への方向を表す方向ベクトルを決定することS150と、取得された動きベクトルと決定された方向ベクトルとに基づいて、物体とレーダーデバイスとの間の半径方向相対速度を決定することS160とをさらに含む。レーダーデバイスは、MIMOレーダーデバイスであり得る。レーダーデバイスは、さらに、FMCWレーダーデバイスまたはPMCWレーダーデバイスであり得る。
【0034】
物体に対応する検出を含むレンジドップラー表現におけるレンジビンについて、決定された半径方向相対速度の周りで間隔が設定されるS170。間隔は、レーダーフレームに関連して設定され、レーダーフレームに固有である決定された半径方向相対速度と、決定された最大信号強度とに基づく。間隔は、物体の表現がレーダーフレームからフィルタ除去されるべきであるかどうかを決定するために使用される。具体的には、検出が、設定された間隔内に位置することを条件としてC190、レーダーフレームから物体の表現がフィルタ除去されS192、検出が、設定された間隔外に位置することを条件としてC190、物体の表現は、レーダーフレームからフィルタ除去されないS194。検出が、設定された間隔内に位置することは、間隔外のエネルギーが、検出と見なされるものについての閾値を下回ることを意味する。検出が、設定された間隔外に位置することは、間隔外のエネルギーが、検出と見なされるものについての閾値を上回ることを意味する。
【0035】
間隔が、決定された半径方向相対速度の周りで設定されることは、間隔が、決定された半径方向相対速度を下回って開始し、決定された半径方向相対速度を上回って終了することを意味する。例えば、間隔は、決定された半径方向相対速度の周りで対称的であり、すなわち、決定された半径方向相対速度が間隔の中央にあるようなものであり得る。
【0036】
決定された半径方向相対速度の周りの設定された間隔は、先行技術におけるすべてのレーダーフレームについて設定されたゼロ速度の周りの固定ガード間隔の代わりに使用される。間隔は、決定された半径方向相対速度に部分的に基づいて設定され、決定された半径方向相対速度は、レーダーフレームがキャプチャされたときのレーダーデバイスの移動の決定された大きさおよび方向に基づいて決定される。したがって、レーダーフレームについての設定された間隔は、レーダーフレームがキャプチャされたときのレーダーデバイスの移動の決定された大きさおよび方向に適合される。決定された最大信号強度および決定された相対半径方向速度を考慮に入れて間隔を適応的に設定することによって、フィルタリングは、固定ガード間隔を使用する先行技術方法が使用される場合にレンジビン内の検出が静止物体に対応すると見なされない場合でも、物体の表現がレーダーフレームからフィルタ除去されるように適応される。例えば、半径方向相対速度が大きいほど、間隔が大きく設定され得る。
【0037】
図2aおよび図2bは、レーダーデバイスによってキャプチャされた複数のレーダーフレームのうちの第1のレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するための方法の実施形態に関連するフローチャートを示す。
【0038】
方法200では、最大信号強度を取得するアクションS210と、動きベクトルを取得するアクションS220と、レーダーフレームを受信するアクションS230と、レンジドップラー表現を生成するアクションS240と、方向ベクトルを決定するアクションS250と、半径方向相対速度を決定するアクションS260と、間隔を設定するアクションS270とが、n個のレーダーフレームからなる複数のレーダーフレームの各レーダーフレームiについて実行される。これらのアクションS210~S270の詳細およびオプションについては、図1aおよび図1bに関連して説明された方法100の対応するアクションS110~S170についての詳細およびオプションを参照されたい。
【0039】
したがって、レンジビンについての1つの間隔は、各レーダーフレームに関連して設定される。次いで、複数のレーダーフレームについての設定された間隔の平均として、レンジビンについての共通間隔が計算されるS280。次いで、共通間隔は、物体の表現が第1のレーダーフレームからフィルタ除去されるべきであるかどうかを決定するために使用される。共通間隔は、第1のレーダーフレームがレーダーデバイスによってキャプチャされたときに決定された半径方向相対速度の周りに位置する。具体的には、検出が共通間隔内に位置することを条件としてC290、レーダーフレームから物体の表現がフィルタ除去されS292、検出が共通間隔外に位置することを条件としてC290、物体の表現は、レーダーフレームからフィルタ除去されないS194。
【0040】
方法200のフィルタリングアクションS290~S294についてのさらなる詳細およびオプションについては、図1aおよび図1bに関連して説明された方法100の対応するアクションS190~S194のアクションについての詳細およびオプションを参照されたい。
【0041】
図3は、レーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するためのデバイス300の実施形態に関連するブロック図を示す。
【0042】
デバイス300は回路310を備える。回路310は、デバイス300の機能を実行するように構成される。回路310は、例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィカル処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、マイクロコントローラ、またはマイクロプロセッサなど、プロセッサ312を含み得る。プロセッサ312は、プログラムコードを実行するように構成される。プログラムコードは、例えば、デバイス300の機能を実行するように構成され得る。
【0043】
デバイス300は、メモリ320をさらに備え得る。メモリ320は、バッファー、フラッシュメモリ、ハードドライブ、リムーバブル媒体、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、または別の適切なデバイスのうちの1つまたは複数であり得る。典型的な構成では、メモリ320は、長期データ記憶のための不揮発性メモリと、回路310のためのデバイスメモリとして機能する揮発性メモリとを含み得る。メモリ320は、データバスを介して回路310とデータを交換し得る。メモリ320と回路310との間に、付随する制御線およびアドレスバスも存在し得る。
【0044】
デバイス300の機能は、デバイス300の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ320)に記憶され、(例えば、プロセッサ312を使用して)回路310によって実行される実行可能論理ルーチン(例えば、コード行、ソフトウェアプログラムなど)の形態で具現化され得る。さらに、デバイス300の機能は、スタンドアロン・ソフトウェア・アプリケーションであり、または、デバイス300に関係する追加のタスクを実行するソフトウェアアプリケーションの一部を形成し得る。説明された機能は、処理ユニット、例えば回路310のプロセッサ312が実行するように構成された方法と見なされ得る。また、説明された機能はソフトウェアで実装され得るが、そのような機能性は、専用ハードウェアまたはファームウェア、あるいはハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアの何らかの組合せを介しても実行され得る。
【0045】
回路310は、第1の取得機能331、第2の取得機能332、受信機能333、生成機能334、第1の決定機能335、第2の決定機能336、設定機能337、およびフィルタリング機能339を実行するように構成される。
【0046】
第1の取得機能331は、レーダーフレームに先行する時間期間中にレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度を取得するように構成され、この時間期間は、レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連するレーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む。第2の取得機能332は、レーダーデバイスの振動運動に起因するレーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルを取得するように構成される。受信機能333は、動きの決定された大きさおよび方向を有するレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームを受信するように構成される。生成機能334は、レーダーフレームのレンジドップラー表現を生成するように構成される。第1の決定機能335は、レーダーデバイスから物体への方向を表す方向ベクトルを決定するように構成される。第2の決定機能336は、決定された動きベクトルと決定された方向ベクトルとに基づいて、物体とレーダーデバイスとの間の半径方向相対速度を決定するように構成される。設定機能337は、物体に対応する検出を含むレンジドップラー表現におけるレンジビンについて、決定された半径方向相対速度と決定された最大信号強度とに基づいて、決定された半径方向相対速度の周りの間隔を設定するように構成される。フィルタリング機能339は、物体に対応する検出が、設定された間隔内に位置することを条件として、第1のレーダーフレームから物体の表現をフィルタ除去することと、物体に対応する検出が、設定された間隔外に位置することを条件として、第1のレーダーフレームから物体の表現をフィルタ除去することを控えることとを行うように構成される。
【0047】
デバイス300の機能についてのさらなる詳細およびオプションについては、図1aおよび図1bに関連して説明された方法100のアクションについての詳細およびオプションを参照されたい。
【0048】
図4は、レーダーデバイスによってキャプチャされた複数のレーダーフレームのうちの第1のレーダーフレームから物体の表現を適応的にフィルタ除去するためのデバイス400の実施形態に関連するブロック図を示す。
【0049】
デバイス400は回路410を備える。回路410は、デバイス400の機能を実行するように構成される。回路410は、例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィカル処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、マイクロコントローラ、またはマイクロプロセッサなど、プロセッサ412を含み得る。プロセッサ112は、プログラムコードを実行するように構成される。プログラムコードは、例えば、デバイス400の機能を実行するように構成され得る。
【0050】
デバイス400は、メモリ420をさらに備え得る。メモリ420は、バッファー、フラッシュメモリ、ハードドライブ、リムーバブル媒体、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、または別の適切なデバイスのうちの1つまたは複数であり得る。典型的な構成では、メモリ420は、長期データ記憶のための不揮発性メモリと、回路410のためのデバイスメモリとして機能する揮発性メモリとを含み得る。メモリ420は、データバスを介して回路410とデータを交換し得る。メモリ420と回路410との間に、付随する制御線およびアドレスバスも存在し得る。
【0051】
デバイス400の機能は、デバイス400の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ420)に記憶され、(例えば、プロセッサ412を使用して)回路410によって実行される実行可能論理ルーチン(例えば、コード行、ソフトウェアプログラムなど)の形態で具現化され得る。さらに、デバイス400の機能は、スタンドアロン・ソフトウェア・アプリケーションであり、または、デバイス400に関係する追加のタスクを実行するソフトウェアアプリケーションの一部を形成し得る。説明された機能は、処理ユニット、例えば回路410のプロセッサ412が実行するように構成された方法と見なされ得る。また、説明された機能はソフトウェアで実装され得るが、そのような機能性は、専用ハードウェアまたはファームウェア、あるいはハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアの何らかの組合せを介しても実行され得る。
【0052】
回路410は、複数のレーダーフレームの各レーダーフレームについて、第1の取得機能431、第2の取得機能432、受信機能433、生成機能434、第1の決定機能435、第2の決定機能436を実行するように構成される。回路410は、計算機能438およびフィルタリング機能439を実行するようにさらに構成される。
【0053】
第1の取得機能431は、レーダーフレームに先行する時間期間中にレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームのセットのレンジドップラー表現における物体に対応する検出を含むレンジビン内で、ゼロ速度における最大信号強度を取得するように構成され、この時間期間は、レーダーデバイスによって監視されるシーン内の固定物体に関連するレーダーデバイスの振動運動の少なくとも1つの期間を含む。第2の取得機能432は、レーダーデバイスの振動運動に起因するレーダーデバイスの動きの決定された大きさおよび方向を表す動きベクトルを取得するように構成される。受信機能433は、動きの決定された大きさおよび方向を有するレーダーデバイスによってキャプチャされたレーダーフレームを受信するように構成される。生成機能434は、レーダーフレームのレンジドップラー表現を生成するように構成される。第1の決定機能435は、レーダーデバイスから物体への方向を表す方向ベクトルを決定するように構成される。第2の決定機能436は、決定された動きベクトルと決定された方向ベクトルとに基づいて、物体とレーダーデバイスとの間の半径方向相対速度を決定するように構成される。設定機能437は、物体に対応する検出を含むレンジドップラー表現におけるレンジビンについて、決定された半径方向相対速度と決定された最大信号強度とに基づいて、決定された半径方向相対速度の周りの間隔を設定するように構成される。回路は、計算機能438およびフィルタリング機能439を実行するようにさらに構成される。計算機能438は、複数のレーダーフレームについての設定された間隔の平均として共通間隔を計算するように構成される。フィルタリング機能439は、物体に対応する検出が、第1のレーダーフレームのレンジドップラー表現のレンジビン内の共通間隔内に位置することを条件として、第1のレーダーフレームから物体の表現をフィルタ除去することと、物体に対応する検出が、第1のレーダーフレームのレンジドップラー表現のレンジビン内の共通間隔外に位置することを条件として、第1のレーダーフレームから物体の表現をフィルタ除去することを控えることとを行うように構成される。
【0054】
デバイス400の機能についてのさらなる詳細およびオプションについては、図1aおよび図1bに関連して説明された方法100ならびに図2aおよび図2bに関連して説明された方法200の対応するアクションについての詳細およびオプションを参照されたい。
【0055】
本発明が上記で説明された実施形態に限定されないことを、当業者は了解する。それどころか、添付の特許請求の範囲内で多くの修正および変形が可能である。そのような修正および変形は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求される発明を実施する当業者によって理解および実現され得る。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
【外国語明細書】