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  • 特開-農業用噴霧機の校正方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060597
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】農業用噴霧機の校正方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A01M7/00 D
A01M7/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023177934
(22)【出願日】2023-10-14
(31)【優先権主張番号】2210784
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】509003265
【氏名又は名称】エクセル インダストリーズ
【氏名又は名称原語表記】EXEL INDUSTRIES
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】ヘンメル・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】デイズ・ジェローム
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121CB03
2B121CB23
2B121CB31
2B121CB35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】農業用噴霧機の校正方法の一部を自動化し、簡単かつ迅速に実施できる校正方法を提案する
【解決手段】噴霧ブーム(150)上に配置された複数の噴霧ノズル(120)と、少なくとも1つの光学センサ(130)と、制御システムと、を備える農業用噴霧機の校正方法に関し、少なくとも1つの光学センサ(130)の各光学センサは、セクタ(132)を有する視野(131)を備え、各セクタ(132)は、噴霧ノズル(120)に関連付けられ、制御システムは、光学センサ(130)によって取得された画像の関数として複数の噴霧ノズル(120)を制御するように構成され、校正方法は、光学センサ(130)について、対応する光学センサ(130)の視野(131)の各セクタ(132)の制御システムによって実行される、複数の噴霧ノズル(120)のうちの1つの噴霧ノズルとの自動関連付けを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧ブーム(150)と、噴霧ブーム(150)上に配置された複数の噴霧ノズル(120)と、少なくとも1つの光学センサ(130)と、制御システム(140)と、を備える噴霧システム(110)を備える、農業用噴霧機(100)の校正方法(200)であって、
各光学センサ(130)は、格子を形成する複数のセクタ(132)を含む視野(131)を有し、各前記セクタ(132)の前記格子の各セルは、前記複数の噴霧ノズル(120)のうちの1つの噴霧ノズルに関連付けられ、各前記噴霧ノズル(120)は前記格子の1つ以上のセルと関連付けることができ、、前記制御システム(140)は、前記少なくとも1つの光学センサ(130)の前記視野(131)の取得画像を処理し、前記画像の関数として前記複数の噴霧ノズル(120)を制御するように構成され、
前記校正方法(200)は、前記少なくとも1つの光学センサ(130)のうちの1つの光学センサについて、前記対応する光学センサ(130)の前記視野(131)の各セクタ(132)の前記制御システム(140)によって実行される、前記複数の噴霧ノズル(120)のうちの1つの噴霧ノズルとの自動関連付け(230)を含む、農業用噴霧機(100)の校正方法(200)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光学センサ(130)の各光学センサについて、
前記対応する光学センサ(130)の前記視野(131)内への地上基準システム(300)の配置(210)であって、前記地上基準システム(300)は、前記複数の噴霧ノズル(120)のうちの1つの噴霧ノズルに関連付けられ、前記対応する噴霧ノズル(120)のオフセット位置に対応する複数のパターン(310)を有する前記配置(210)と、
前記対応する光学センサ(130)による、前記複数のパターン(310)を統合した前記視野(131)の画像の取得(220)と、
前記制御システム(140)によって実行される自動関連付けであって、前記画像上の前記複数のパターン(310)の検出(232)と、後続する、前記対応するセクタ(132)が前記対応する噴霧ノズル(120)に関連付けられたパターン(310)に少なくとも部分的に統合されたとき、前記複数の噴霧ノズル(120)のうちの1つの噴霧ノズルとの前記視野(131)の各前記セクタ(132)の関連付け(233)を含む自動関連付け、
以上の連続ステップを実行することを含む、請求項1に記載の校正方法(200)。
【請求項3】
前記地上基準システム(300) は、物理システムであり、特に、防水シートであり、
前記地上基準システム(300)の前記配置(210)は、オペレータによる前記噴霧ブーム(150)から所定の距離への前記物理システムの前記配置を含むことを特徴とする、請求項2に記載の校正方法(200)。
【請求項4】
前記物理システムは防水シートであり、
前記制御システム(140)によって前記対応する光学センサ(130)に対して実行される前記自動関連付け(230)は、前記対応する光学センサ(130)の前記視野(131)の前記画像上での前記地上基準システム(300)の前記複数のパターン(310)の前記検出の前に、前記防水シートの前記輪郭の前記検出(231)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の校正方法(200)。
【請求項5】
前記農業用噴霧機(100)は、少なくとも1つの光源(180)を有し、
前記基準システム(300)の前記実施(210)が、前記少なくとも1つの光源(180)による地面への前記複数のパターン(310)の前記投影を含み、前記複数のパターン(310)は光パターンに対応することを特徴とする、請求項2に記載の校正方法(200)。
【請求項6】
複数の光学センサの各前記光学センサ(130)に対して実行される、請求項1又は2に記載の校正方法(200)。
【請求項7】
前記複数の光学センサ(130)のうちの1つの光学センサのみに対して実行され、前記対応する光学センサ(130)に関連付けられた不正確な調整の特定に基づいて実行される、請求項1又は2に記載の校正方法(200)。
【請求項8】
前記対応する光学センサ(130)に対して前記制御システム(140)によって実行される前記自動関連付け(230)の前に、
前記複数の光学センサ(130)のうちの1つの光学センサに関連付けられた不正確な調整を前記制御システム(140)によって自動的に特定することを含む、請求項1又は2に記載の校正方法(200)。
【請求項9】
前記対応する光学センサ(130)に対して前記制御システム(140)によって実行される前記自動関連付け(230)の前に、
前記複数の光学センサ(130)のうちの2つの連続する光学センサの視野(131)の前記重複の前記検証を含む、 請求項1又は2に記載の校正方法(200)。
【請求項10】
噴霧ノズル(130)に関連付けられたパターンは、少なくとも2つの隣接する光学センサ(130)の視野(131)内に少なくとも部分的に延在する、請求項9に記載の校正方法(200)。
【請求項11】
噴霧ブーム(150)と、噴霧ブーム(150)上に配置された複数の噴霧ノズル(120)と、少なくとも1つの光学センサ(130)と、制御システム(140)と、を備える噴霧システム(110)を備える農業用噴霧機(100)であって、
前記少なくとも1つの光学センサ(130)の各光学センサは、格子を形成する複数のセクタ(132)を含む視野(131)を有し、各前記セクタ(132)の前記格子の各セルは、前記複数の噴霧ノズル(120)のうちの1つの噴霧ノズルに関連付けられ、各前記噴霧ノズル(120)は、前記格子の1つ以上のセルと関連付けることができ、前記制御システム(140)は、前記少なくとも1つの光学センサ(130)の前記視野(131)の取得画像を処理し、前記画像の関数として前記複数の噴霧ノズル(120)を制御するように構成され、前記制御システム(140)は、前記少なくとも1つの光学センサ(130)のうちの1つの光学センサについて、前記対応する光学センサ(130)の前記視野(131)の各セクタ(132)と前記複数の噴霧ノズル(120)のうちの1つの噴霧ノズルとの間の自動関連付け(230)を実行するように構成される、農業用噴霧機(100)。
【請求項12】
地面に光パターンを投影するように構成された少なくとも1つの光源(180)を含む、請求項11に記載の農業用噴霧機(100)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの光源(180)は、前記光源(180)によって放射された前記光を集束させるように構成された集光装置(181)を含む、請求項12に記載の農業用噴霧機(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用噴霧機の分野に関し、特に植物保護製品の作物への局所的な散布に関する。特に、本発明は、そのような農業用噴霧機の校正の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の農業用噴霧の目的は、例えば、栄養素の供給により成長を促進し、病気や寄生虫から作物を保護し、又はその代わりに「有害な」植物、つまりは雑草の蔓延を制限することによって、作物の成長を最適化することである。農業用噴霧の分野における現在の傾向は、必要な領域にのみ製品を噴霧できるように、標的を絞った噴霧技術を開発することである。これにより、製品の廃棄を回避しつつ、土壌や周囲の大気の汚染を制限することが可能になる。
【0003】
一般的に言えば、農業用噴霧機は、作物を処理するために植物保護液を噴霧するように構成された複数の噴霧ノズルを支持する噴霧ブームを備えている。農業用噴霧機のタンクは、少なくとも1つのポンプ及び一組のバルブを含む油圧回路を介して噴霧ノズルを供給する。バルブの制御、又は植物保護液の循環を調整する他の手段により、噴霧ノズルを介した液体の噴霧を作動、停止、及び調整して、局所的な噴霧を実行することが可能になる。
【0004】
さらに、農業用噴霧機は、例えば、処理対象植物の分布、範囲、及び高さに関するデータなどの処理対象領域のリアルタイムデータから、噴霧ノズルを制御するための適切な制御システムを備えても良い。
【0005】
より正確には、例えば、農業機械に取り付けられたカメラ、例えば、噴霧ブームに沿って取り付けられたカメラは、処理対象領域の画像をキャプチャすることができる。そのためには、カメラの視野が少なくともノズルの潜在的噴霧領域をカバーする必要がある。制御システムは、カメラで取得した画像の処理に基づいて、流量、噴霧の種類、噴霧の高さなどのさまざまな噴霧パラメータをリアルタイムで適応させることができる。一例として、文献FR3093620A1には、そのような農業用噴霧機が記載されている。
【0006】
さらに、そのような農業用噴霧機は、噴霧の制御が十分に正確性で応答性が高くなるように、正確に校正される必要がある。より正確には、「校正」という用語は、カメラの視野と噴霧ノズルによる製品の適用領域との間の関係を意味すると解釈される。従来技術では、この校正は工場で手動で実行され、したがって一般に静的な方法で屋内の限られたスペースで実行される。したがって、農業用噴霧機の校正を簡素化する必要がある。
【0007】
この目的のために、本発明は、特に、農業用噴霧機の校正方法の少なくとも特定のステップを自動化する可能性を提供することによって、より簡単かつ迅速に実施できる校正方法を提案する。
【発明の概要】
【0008】
より正確には、この目的のために、本発明の主題は、噴霧ブームと、噴霧ブーム上に配置された複数の噴霧ノズルと、少なくとも1つの光学センサと、制御システムと、を備える噴霧システムを備える、農業用噴霧機の校正方法であって、各光学センサは、格子を形成するセクタを含む視野を有し、各セクタの格子の各セルは、複数の噴霧ノズルのうちの1つの噴霧ノズルに関連付けられ、各噴霧ノズルは格子の1つ以上のセルに関連付けられても良く、制御システムは、少なくとも1つの光学センサの視野の取得画像を処理し、取得画像の関数として複数の噴霧ノズルを制御するように構成され、校正方法は、少なくとも1つの光学センサのうちの1つの光学センサについて、対応する光学センサの視野の各セクタの制御システムによって実行される、複数の噴霧ノズルのうちの1つの噴霧ノズルとの自動関連付けを含む。
【0009】
好ましくは、前記少なくとも1つの光学センサの各光学センサに対して、以下の連続ステップを実行する。
【0010】
対応する光学センサの視野内への地上基準システムの配置であって、基準システムは、複数の噴霧ノズルのうちの1つの噴霧ノズルに関連付けられ、対応する噴霧ノズルのオフセット位置に対応する複数のパターンを有する配置。
【0011】
対応する光学センサによる、複数のパターンを統合した視野の画像の取得。
【0012】
制御システムによって実行される自動関連付けであって、画像上の複数のパターンの検出と、後続する対応するセクタが前記対応する噴霧ノズルに関連付けられたパターンに少なくとも部分的に統合されたとき、複数の噴霧ノズルのうちの1つの噴霧ノズルとの視野の各セクタの関連付けを含む自動関連付け。
【0013】
好ましくは、地上基準システムは、物理システムであり、特に防水シートであり、基準システムの配置は、オペレータによる噴霧ブーム (150)から所定の距離への物理システムの配置を含む。
【0014】
一実施形態によれば、物理システムは防水シートであり、制御システムによって対応する光学センサに対して実行される自動関連付けは、対応する光学センサの視野(131)の画像上での地上基準システム(300)の複数のパターン(310)の検出の前に、防水シートの輪郭の検出(231)を含む。
【0015】
特に、農業用噴霧機は、少なくとも1つの光源を備えて良い。この場合、基準システムの実施は、少なくとも1つの光源による地面への複数のパターンの投影を含んでも良く、複数のパターンは光のパターンに対応する。
【0016】
一実施形態によれば、少なくとも1つの光源による複数のパターンの地面への投影は、線形光パターンの投影を含む。
【0017】
好ましくは、校正方法は、複数の光学センサのうちの各光学センサに対して実行されて良い。
【0018】
好ましくは、特に、対応する光学センサに関連付けられた不正確な調整の特定に基づいて、複数の光学センサのうちの1つの光学センサのみに対して校正方法を実行しても良い。
【0019】
一実施形態によれば、校正方法は、対応する光学センサに対する制御システムにより実行される自動関連付けの前に、複数の光学センサのうちの1つの光学センサに関連付けられた不正確な調整を制御システムによって自動的に特定することを含む。
【0020】
本発明による校正方法は、対応する光学センサに対する制御システムによって実行される自動関連付けの前に、複数の光学センサのうちの2つの連続する光学センサの視野範囲の検証を行うことを含んでも良い。
【0021】
一実施形態によれば、噴霧ノズルに関連付けられたパターンは、少なくとも2つの隣接する光学センサの視野内に少なくとも部分的に延在する。これにより、光学センサの不正確な調整の可能性を検出することが可能になる。
【0022】
本発明はまた、噴霧ブームと、噴霧ブーム上に配置された複数の噴霧ノズルと、少なくとも1つの光学センサと、制御システムと、を備える、噴霧システムを備える農業用噴霧機にも関し、少なくとも1つの光学センサ(130)の各光学センサは、格子を形成するセクタ(132)を含む視野(131)を有し、各セクタの格子の各セルは、複数の噴霧ノズルのうちの1つの噴霧ノズルに関連付けられ、各噴霧ノズルは、格子の1つ以上のセルと関連付けることができ、制御システムは、少なくとも1つの光学センサの視野の取得画像を処理し、取得画像の関数として複数の噴霧ノズルを制御するように構成され、制御システムは、少なくとも1つの光学センサのうちの1つの光学センサについて、対応する光学センサの視野の各セクタと複数の噴霧ノズルのうちの1つの噴霧ノズルとの間の自動関連付けを実行するように構成される。
【0023】
このような農業用噴霧機は、地面に光パターンを投影するように構成された少なくとも1つの光源を備えても良い。
【0024】
一実施形態によれば、このような農業用噴霧機は、光源によって放射された光を集束させるように構成された集光装置を備える光源を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、専ら例として提供される以下の説明を参照し、非限定的な例として提供される添付の図面を参照することによって、よりよく理解することができる。ここで、類似の対象には同一の符号を付す。
図1】本発明の一実施形態による農業用噴霧機の一例の概略上面図である。
図2】本発明の一実施形態による噴霧システムの概略側面図である。
図3】本発明の一実施形態による噴霧システムの概略上面図である。
図4】本発明の一実施形態による農業用噴霧機の校正方法の概略図である。
【0026】
図面は、本発明の実施を可能にするために本発明を詳細に開示していることに留意されたい。非限定的ではあるが、図面は、適用可能な場合には本発明をより良く定義するために特に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一態様によれば、本発明は農業用噴霧機に関し、特に、例えば植物保護液などの製品を野外に噴霧するように構成された噴霧器に関する。本発明はまた、本発明の実施形態による農業用噴霧機の校正方法にも関する。
【0028】
特に、本発明による農業用噴霧機は、例えば、栄養素の供給により成長を促進し、病気や寄生虫から作物を保護し、又はその代わり「有害な」植物、つまりは雑草の蔓延を制限することによって、作物の成長を最適化するために、作物に局所的に製品を噴霧するように構成されている。農業機械は、自走式又は牽引式の車両であっても良い。さらに、農業用噴霧機は、自律型、すなわち遠隔制御されるものであっても良く、又は、ユーザが機械を運転するためのキャビンを備えるものであっても良い。
【0029】
図1及び図2は、それぞれ、農業用噴霧機100の上面図及び側面図に従って、本発明による農業用噴霧機100を概略的に示す。農業用噴霧機100は、噴霧ブーム150と、噴霧ブーム150上に配置された複数の噴霧ノズル120と、を備える噴霧システム110を備える。噴霧ブーム150は、数メートルから数十メートルの幅を有しても良い。
【0030】
噴霧ノズル120は、個別に配置されても良く、又は、マルチノズルアセンブリ(multi-nozzle assemblies)と呼ばれる、例えば2から4個のノズルからなるアセンブリにグループ化されても良い。マルチノズルアセンブリは、個別に又はグループとして制御することができる。マルチノズルアセンブリを使用すると、処理対象作物に対する噴霧の適応を微調整することが可能になる。さらに、噴霧ノズル120、又は適用可能な場合にはマルチノズルアセンブリは、噴霧ブームに沿って実質的に規則的に、例えば20cmから30cmごとに配置しても良い。
【0031】
農業用噴霧機100は、特に、噴霧システム110を牽引するように構成されたトラクタ170を備えても良い。そして、噴霧ブーム150は、トラクタ170の後部に配置されることが好ましいが、それが適切である場合は、代わりにトラクタ170の前部に配置されても良い。後部及び前部という用語は、ここではトラクタ170の前方方向に関して定義される。
【0032】
噴霧機100のタンク160は、特に、少なくとも1つのポンプ及び一組のバルブを含む油圧回路を介して、噴霧ノズル120に製品を供給することができる。例えば、圧縮空気又は電気のバルブを噴霧ノズル120のレベルに配置することができる。バルブの制御により、局所的な噴霧を実行するため、噴霧ノズルを介した液体の噴霧の作動、停止、及び調整が可能になる。
【0033】
本発明による農業用噴霧機100はまた、少なくとも1つの光学センサ130、好ましくは複数の光学センサと、少なくとも1つの光学センサ130によって取得画像を処理し、少なくとも1つの光学センサ130によって取得画像の関数として、噴霧ノズル120を制御するように構成された制御システム140とを備える。特に、光学センサ130によって取得画像は、噴霧ノズル、又は適用可能な場合には、前述したようなマルチノズルアセンブリを制御するために使用され得る。
【0034】
光学センサ130は、噴霧を開始する前に処理される区画のリアルタイム分析が可能になるよう、ノズルの上流で噴霧ノズルの潜在的な噴霧領域をカバーする画像のリアルタイム取得を実行することができる。つまり、画像は、光学センサ130の視野131の所与の瞬間における取得に対応する。次に、これらの画像は、特に通信ネットワークを介して制御システム140に送信できるようになる。制御システム140は、例えば、処理対象植物の分布、範囲、及び高さに関するデータをそこから抽出するために、画像を処理することができる。その後、制御システムは、作動する噴霧ノズル(つまり、噴霧ノズルは開閉制御され、他の噴霧ノズルは現在の状態を維持できる)、噴霧流量、噴霧持続時間、噴射する噴霧の種類、又はその代わりに噴霧高さなどのさまざまな噴霧パラメータを、光学センサにより取得される画像の関数としてリアルタイムで適用することができる。したがって、制御システムは、処理対象の特定の領域を標的とするように選択的な噴霧を可能にし、これらの処理対象領域における植物の特性の関数として、噴霧パラメータを関数として適用することができる。
【0035】
図3は、前述の噴霧システムの上面図を概略的に示しており、簡略化のために光学センサ130の周囲の噴霧ブーム150の一部のみに焦点を当てている。対応する光学センサ130の視野131は破線で表されている。光学センサ130の視野131は、この光学センサ130に関連付けられた噴霧ノズル120によってカバーされる噴霧領域よりも広くても良いことに留意されたい。したがって、隣接する光学センサの視野間に横方向の重複領域を設けることができる。
【0036】
さらに、光学センサ130の視野131は、セクタ132を含む。各セクタ132は、噴霧ノズル120の1つ、又は適用可能な場合には、マルチノズルアセンブリと関連付けられる。さらに、各噴霧ノズル120、又は適用可能な場合には、マルチノズルアセンブリは、対応する光学センサ130の視野131のいくつかのセクタ132に関連付けられても良い。セクタ132は、好ましくは、格子(図3において破線で表される)を形成することができ、格子の各セルは、対応する光学センサ130に関連付けられた噴霧ノズル120(又は適用可能な場合には、マルチノズルアセンブリ)の1つに関連付けられる。各噴霧ノズル120は、格子の1つ以上のセルに関連付けることができる。次に、制御システム140がセクタ132の1つで製品を噴霧する必要性を検出すると、制御システムは、このセクタ132に対応する処理対象区画の領域に製品を噴霧するよう、このセクタ132に対応する噴霧ノズル120を制御する。
【0037】
さらに、一方で、制御システム140は、光学センサ130によって供給される画像を処理するように構成された第1の制御ユニットを備えても良い。この目的のために、第1の制御ユニットは、画像処理アルゴリズムを実行するように構成されて良い。さらに、第1の制御ユニットは、取得画像の品質を向上させるために、光学センサのパラメータ、つまり、例えば露光時間及び増幅利得を、特に露光の関数として適用するように構成されても良い。
【0038】
一方、制御システム140は、噴霧ノズル120を制御するように構成された第2の制御ユニットを備えても良い。特に、第2の制御ユニットは、所与のセクタに対する対処が必要な場合に、噴霧ノズルの開放を選択的に制御することができ、当該エリアを通過した場合にその閉鎖を制御することができる。
【0039】
光学センサ130は、特に、DBC(デュアルバンドキャプタ)カメラ又はスペクトルカメラであって良い。
【0040】
光学センサ130は、農業用噴霧機100、特に噴霧ブーム150に取り付けられる。光学センサ130は、隣接する光学センサ 130の視野131が重複領域を有するか、少なくとも連続するようにしながら、噴霧ブーム150に沿って実質的に規則的な方法で設置することができる。
【0041】
さらに、光学センサ130はまた、農業用噴霧機の前部に設置されても良い。あるいは、光学センサ130の一部は噴霧ブーム150上に配置されても良く、光学センサ130の別の部分は、農業用噴霧機100の前部、例えばトラクタ170上に配置されても良い。光学センサ130の一部を農業用散布機100の前部に配置することにより、トラクタの存在が処理対象区画の所望の視野の障害となる問題に対応できるという利点がある。
【0042】
使用される光学センサ130の数の選択は、光学センサの範囲と取得画像の精度との間の妥協に基づくことができる。光学センサは、特に、例えば噴霧ブームに沿って約3メートルごとに配置されるいわゆる低密度カメラ、又はその代わりに、例えば、噴霧ブームに沿って約1メートルごとに配置されるいわゆる高密度カメラから構成されて良い。低密度カメラと高密度カメラを組み合わせて使用しても良い。
【0043】
光学センサは、好ましくは、噴霧ブームに沿って実質的に規則的に配置されることに留意することが重要である。ただし、一般に光学センサ間の位置にはばらつきがある。これは、部分的には、しばしば存在する位置決めの不確実性、特に噴霧ブームの位置決めにおける機械的不確実性、特にジブ及び噴霧ブームの角度の偏差によるものである。これに、噴霧ブームが後退する可能性がある場合に、光学センサによって生成されるバルクの管理が追加される。実際、光学センサは噴霧ブームの後退の障害となるべきではない。したがって、光学センサは一般に、隣接する光学センサ間に可変ギャップを設けて配置される。この変動により、各光学センサの個別の校正を実行する必要が生じる。したがって、本発明によって可能になるように、迅速かつ正確な校正を実行することが重要である。
【0044】
さらに、図2を参照すると、農業用噴霧機100は、特に夜間だけでなく、暗い場所での日中も処理対象区画を照明するために、少なくとも1つの光源180、好ましくは複数の光源を備えても良い。実際、影があると取得画像の品質が低下し、噴霧法のパフォーマンスに影響を及ぼす。したがって、処理対象区画を適切に照明することにより、光学センサによる取得画像の品質を向上させることができ、取得画像の処理が容易になる。光源は、例えば、レーザー光源もしくは白色光源、又はレーザー光源と白色光源の組み合わせを含んでも良い。
【0045】
光源はまた、対応するセンサの視野内で光源によって引き起こされる影の影響を制限するために、光学センサのレベルに配置するか、光学センサに統合することもできる。光源は、特に、関連する光学センサの軸に近い軸に沿って主に配向され、したがって、対応する光学センサに対する処理対象区画により均一な照明を提供することができる。あるいは、光源は、光学センサとは別個の要素であり、噴霧ブームに取り付けられたプロジェクタを備えていても良い。
【0046】
さらに、光源180は、地面に光のパターンを投影するように構成されても良い。次に、農業用噴霧機100は、対応する光源180に関連付けられた集光装置181を備えても良く、集光装置181は、対応する光源180によって放射された光を集束させるように構成される。実際、光源からの光を集光することで、光パターンを生成することが可能になる。
【0047】
さらに、光源のパラメータは調整可能であることが好ましく、例えば、光源の光強度は可変であって良い。次に、制御ユニットは、処理対象区画に最適な照明を提供するために、例えば、スイッチを開閉するか、又は光源パラメータを調整するなど、光源を制御するように構成される。特に、制御ユニットは、適切な場合に光パターンを投影するために光源を制御することができる。
【0048】
図4は、本発明の別の実施形態による、前述の農業用噴霧機の校正方法200を概略的に示す。本発明のこの実施形態による校正方法200は、所与の光学センサ130について、対応する光学センサ130の視野131の各セクタ132と複数の噴霧ノズル120のうちの1つの噴霧ノズル又は適用可能な場合にはマルチノズルアセンブリとの自動関連付け230を含む。したがって、本発明は、対応する光学センサの視野と関連する噴霧ノズルの噴霧領域との間の連結を行うことを可能にし、これを自動化した方法で行う。
【0049】
自動関連付け230は、農業用噴霧機の制御システム140によって実現される。特に、制御システムは、本発明による校正方法200の少なくとも自動関連付けステップ230を実施するように構成された第3の制御ユニットを備えても良い。
【0050】
本発明は、光学センサの視野のセクタと噴霧ノズルとの自動関連付けを実施することにより、特に農業用噴霧機の手動校正と比較して、農業用噴霧機の試運転を簡素化し、校正作業の時間を短縮するという大きな利点をもたらす。
【0051】
また、本発明は、対応する光学センサの視野の各セクタを、対応する噴霧ノズルに正確に関連付けることを可能にする。したがって、本発明による校正方法は、校正作業のより良好な予測可能性を可能にし、その結果、動作中の農業用噴霧機の局所的な噴霧のための方法の効率を改善する。
【0052】
なお、農業用噴霧機のさまざまな要素、特に光学センサと噴霧ノズルの機械的位置決めは可変であって良い。この変動は、噴霧システムのスペースの制約と位置決めの不確実性によるもので、特にジブと噴霧ブームの角度の偏差に関連しており、これらは時間の経過とともに変化する可能性がある。本発明は、噴霧ブーム上の光学センサの位置の変動にもかかわらず、制御システムの調整を改善することを可能にし、その結果、局所的かつ自動的な噴霧法の改善に貢献する。
【0053】
本発明による校正方法は、農業用噴霧機のすべての光学センサに対して行うことができる。これは、農業用噴霧機が初めて使用される前に、例えば工場で農業用噴霧機が最初に校正される場合に特に顕著である。
【0054】
本発明による校正方法は、光学センサ130のうちの1つのみに対して実行しても良い。例えば、対応する光学センサのメンテナンス作業中、又は対応する光学センサに関連付けられた不正確な調整の特定された後などである。
【0055】
次に、本発明による校正方法200は、対応する光学センサ130に対して制御システム140によって実施される自動関連付け230のステップの前に、光学センサ130の1つに関連付けられた不正確な調整の制御システム140による自動的な特定を含むことが好ましい。
【0056】
例えば、光学センサの1つの視野が、問題の光学センサに関連付けられた最後の校正作業以降に偏差を有するどうかを検証するために、前記対応する光学センサの前記視野内で、農業用噴霧機に特徴的な要素を配置することが考えられる。特徴的な要素は、例えば、QRコード(登録商標)であっても良い。次に、対応する光学センサの視野内の特徴的な要素の位置の変動が大きすぎる場合、この光学センサに関連付けられた不正確な調整を特定することができる。特徴的な要素は、例えば、噴霧ブームが後退位置にあるときにのみ光学センサの視野内に現れても良い。そして、特徴的な要素を噴霧ブームに配置できるようになる。噴霧ブームが後退位置にあるときに、対応する光学センサの視野の偏差の検証を実行できるようになる。これにより、対応する光学センサの視野のセクタと噴霧ノズルとの間の関連付けが依然として正しいかどうかを検証し、正しくない場合には、対応する光学センサの校正方法を繰り返すことを好適に実行できるようになる。
【0057】
別の例によれば、本発明による校正方法200は、2つの連続する光学センサ130の視野131の重複の検証を含んでも良い。この重複が、対応する光学センサの最後の校正作業に関して変化した場合、対応する光学センサに対して校正方法を再度実行することができる。
【0058】
さらに、隣接する光学センサ130間の重複領域を用いて、所与の光学センサの視野のセクタを噴霧ノズルに自動的に関連付けしても良い。そして、光学センサは、隣接する光学センサに対して調整されることが可能になる。
【0059】
重複領域によって、さらに基準システム300が隣接する光学センサ130間の重複領域内に特に延在している場合には、光学センサが移動したかどうかを判断することができ、これにより、移動した光学センサに対してのみ校正手順を開始することができる。
【0060】
本発明による校正方法200は、簡略化のため、光学センサのうちの1つについてのみより詳細に説明される。本発明による校正方法200は、対応する光学センサ130に対して、以下の連続ステップを実行することを含むことが好ましい。
【0061】
対応する光学センサ130の視野131内への基準システム300の配置210。基準システム300は、地面に配置されることが好ましい。さらに、基準システム300は、複数のパターン310(図3では実線で表される)を有し、各パターン310は、噴霧ノズル120の1つに関連付けられ、特に農業用噴霧機の前方向に沿って、対応する噴霧ノズル120のオフセット位置に対応する。パターン310は、それが関連付けられている光学センサ130によってだけでなく、少なくとも部分的に、隣接する光学センサ130によっても視認され得る。
【0062】
対応する光学センサ130による、複数のパターン310を統合する前記視野131の画像の取得220。
【0063】
制御システム140によって実行される自動関連付け230は、対応するセクタ132が、対応する噴霧ノズル120に関連付けられたパターン310を少なくとも部分的に統合されたとき、画像上の複数のパターン310の検出232と、後続する視野131の各セクタ132と噴霧ノズル120の1つとの関連付け233とを含む。
【0064】
したがって、校正方法200は、噴霧ノズル120に対する基準システム300の位置を判断することによって、噴霧ノズル120に対する光学センサ130の位置を推定することを可能にする。
【0065】
基準システム300は、例えば、線又は格子タイプのパターン310(図3に示す)、又は対称か非対称かにかかわらず、チェックパターン又は任意の適切なパターンなどのさらに複雑な形状を有しても良い。したがって、基準システム300は、例えば照準器である。
【0066】
基準システム300が特に格子状のパターンを有する場合、各水平線は、農業用噴霧機(図3では実線の矢印で示す)の前方方向に沿った噴霧ノズル、又は適用可能な場合にはマルチノズルアセンブリのオフセット位置に対応する。
【0067】
より一般的には、噴霧ノズル120に対する基準システム300のパターンの位置及び向きによって、基準システム300、例えば照準器、噴霧ノズル120及び光学センサ130の相対位置を決定することが可能になり、噴霧ノズルに対する光学センサ130の局所的な位置、言い換えれば相対位置を推定することが可能になり、次に噴霧ノズル120に対する基準システム300のパターンの位置を推定することが可能になる。
【0068】
さらに、対応する光学センサ130の視野131のセクタ132(図3の実線の格子)は、基準システム300のパターン310(図3の実線の格子)に対してオフセットされても良い。例えば、基準システム300のパターン310は、噴霧ノズルの延在線上における農業用噴霧機の前方方向に沿った経線であっても良い。次に、各噴霧ノズルに関連付けられたセクタ、又は適用可能な場合には各マルチノズルアセンブリに対応する経線を含むため、対応する経線のどちらかの側に重複することができる。
【0069】
噴霧ノズル120と基準システム300との間の相対的な位置を知ることが重要である。そのために、噴霧ノズルに対する基準システム300の位置を適合させることが好ましく、基準システム300は、より簡単に再配置することができる。しかし、その逆、すなわち、固定されたものとみなされる基準システム300に対して噴霧ノズル120の位置を適合させても良い。しかしながら、噴霧ブーム150に沿って噴霧ノズル120を再配置することは、一般に、より煩雑な作業である。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、基準システム300は 物理システム、特に防水シートであっても良い。次に、基準システム300の配置210は、オペレータによって噴霧ブーム150から所定の距離に物理システムを配置することを含む。
【0071】
特に、防水シートは、機械的接続320(図3に点線で示す)、例えばコードやケーブル、又はその代わりに他のより堅固な接続によって、噴霧ブームに対して位置決めすることができる。
【0072】
さらに、対応する光学センサ130に対して制御システム140によって実施される自動関連付け230は、対応する光学センサ130の視野131の画像上の基準システム300の複数のパターン310の検出の前に、防水シートの輪郭の検出231を含むことが好ましい。このステップにより、地面に対する対応する光学センサの視野の遠近に関する情報を取得することが可能になる。
【0073】
さらに、本発明の別の実施形態によれば、基準システム300をまた、地面に対してシフトさせることもできる。例えば、基準システム300は、光学センサと地面との間に位置する、光学センサに近い表面上に配置されても良い。つまり、基準システムは、対応する表面に投影される。噴霧システムに対する基準システムの位置決めをより容易に管理できるように、このタイプの基準システムを、例えば噴霧ブームに機械的に連結された機械的支持体に取り付けることも考えられる。さらに、光学センサに近く、したがって寸法がより小さい投影面上で基準システムを使用することにより、農業用噴霧機の校正に必要なバルクを削減することができる。
【0074】
本発明の別の実施形態によれば、農業用噴霧機は、前述のように光源180を備える。次に、基準システム300の配置210は、特に、光源180による複数のパターン310の地面への投影を含み、複数のパターン310は光パターンに対応する。光源180は、例えばレーザー光源であっても良い。さらに、光のパターンは線を形成したり、又はその代わりに格子を形成しても良い。光パターンを使用することで、一般的なかさばり、設置に時間がかかる物理システムを必要とせずに作業を行うことができる。
【0075】
まとめると、本発明は、制御システムがカメラの視野の細分化と噴霧ノズルとを自動的にリンクすることを可能にする。これにより、自動的に局所的な噴霧を実行する農業用噴霧器の試運転が大幅に容易になる。さらに、農業用噴霧器のメンテナンス作業も容易になる。
【0076】
基準システムが2つの異なる光学センサ130、特に隣接するセンサによって視認される場合、一方の光学センサのもう一方の光学センサに対する相対位置を判断することができる。したがって、本発明により、噴霧ブーム150及び農業用噴霧機100全体に対する噴霧ノズル130及び光学センサ120の位置を判断することができる。つまり、本発明による校正方法200により、農業用噴霧機100の基準枠内における噴霧ノズル130及び光学センサ120の位置を判断することができる。

図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】