(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060606
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】デュアルコム測距を使用する同軸飛行時間光ファイバ距離測定
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240424BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
A61B1/00 553
A61B1/06 531
A61B1/00 621
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023179548
(22)【出願日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】63/380,176
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・エー・ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ケスター・ジュリアン・バッチェラー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161FF46
4C161HH52
4C161HH56
4C161LL02
4C161QQ06
(57)【要約】
【課題】内視鏡先端と標的との間の距離を決定および制御するためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】内視鏡の遠位端から伸長する遠位端を有する光ファイバは、標的に光を導き、標的から光を導くことができる。干渉計は、第1の繰り返し率を有する第1の周波数コムから第1の光パルスを受光し、第1の光パルスから参照アーム光パルスと測定アーム光パルスとを形成し、光ファイバを介して標的に測定アーム光パルスを導き、標的から測定アーム光パルスを導き、戻り光パルスを参照アーム光パルスと干渉させることができる。ビームスプリッタは、干渉計出力パルスを、第2の繰り返し率を有する第2の周波数コムからの第2の光パルスと干渉させることができる。プロセッサ回路は、連続するシステム出力パルス間の持続時間から、光ファイバと標的との間の間隔を決定し、それに応答してアクションを起こすことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の遠位端から伸長する遠位端を有し、標的に光を導き、前記標的から前記光を導くように構成された光ファイバと、
第1の繰り返し率を有する第1の周波数コムから第1の光パルスを受光することと、
前記第1の光パルスから参照アーム光パルスと測定アーム光パルスとを形成することと、
戻り光パルスを形成するために、前記光ファイバを介して前記標的に前記測定アーム光パルスを導き、前記標的から前記測定アーム光パルスを導くことと、
干渉計出力パルスを形成するために、前記戻り光パルスを前記参照アーム光パルスと干渉させることと、
を実行するように構成された干渉計と、
システム出力パルスを形成するために、前記干渉計出力パルスを、前記第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率を有する第2の周波数コムからの第2の光パルスと干渉させるように構成されたビームスプリッタと、
前記システム出力パルスを感知するように構成された光検出器と、
連続するシステム出力パルス間の持続時間から、前記光ファイバの前記遠位端と前記標的との間の間隔を決定することと、
前記決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することと、
を実行するように構成されたプロセッサ回路と、
を備える、内視鏡システム。
【請求項2】
前記光ファイバが、第1の時間において前記測定アーム光パルスを前記標的に送達し、前記測定アーム光パルスを前記標的から送達し、前記第1の時間とは異なる第2の時間において治療用光パルスを送達するように時間多重化され、前記治療用光パルスが、前記標的をアブレートするように構成され、前記治療用光パルスが、前記第1の光パルスから分光的に分離される、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記光ファイバが、
前記標的から反射された前記治療用光パルスの少なくとも一部を、収集された治療用光パルスとして収集することと、
前記収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、前記光ファイバに沿って前記光ファイバの前記遠位端から遠ざけるように導くことと、
を実行するようにさらに構成され、
前記内視鏡システムが、前記戻り治療用光パルスを分析するように構成された分光計をさらに備える、
請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記第1の周波数コムと前記第2の周波数コムとをさらに備え、
前記第1の周波数コムおよび前記第2の周波数コムが、前記内視鏡から離間され、
前記第1の光パルスおよび前記第2の光パルスが、前記治療用光パルスから分光的に分離される、
請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記内視鏡から離間され、前記第2の時間において前記治療用光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源をさらに備える、請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記プロセッサ回路が、前記間隔データ信号によって表される前記決定された間隔に応答して、前記治療用レーザ光源の少なくとも1つの動作パラメータを変更するようにさらに構成された、請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記プロセッサ回路が、前記間隔データ信号によって表される前記決定された間隔が指定されたしきい値間隔未満である場合、前記治療用レーザ光源を自動的にスイッチオフするようにさらに構成された、請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記内視鏡に対して、前記光ファイバを遠位方向に前進させ、前記光ファイバを近位方向に後退させるように構成されたアクチュエータをさらに備え、
前記プロセッサ回路が、
前記決定された間隔を指定されたしきい値と比較することと、
前記アクチュエータに、前記決定された間隔と前記指定されたしきい値との間の差を自動的に減少させることと、
を実行するようにさらに構成された、
請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記アクチュエータがホイールを備え、
前記ホイールが、前記内視鏡に対して位置において固定された中心を有し、
前記ホイールが、前記光ファイバと接触する周面を有し、
前記ホイールが、回転アクチュエータから回転可能である、
請求項8に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記システム出力パルスの光スペクトルを低減するように構成された光バンドパスフィルタをさらに備える、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記光検出器が、前記感知されたシステム出力パルスに応答して、フィルタリングされていない電気信号を生成するように構成され、
前記内視鏡システムが、フィルタリングされた電気信号を形成するために、前記フィルタリングされていない電気信号の高周波成分を減少させるように構成されたローパスフィルタをさらに備え、
前記内視鏡システムが、前記フィルタリングされた電気信号を受信し、それに応答して、デジタル検出器信号を生成するように構成されたアナログデジタル変換器をさらに備え、
前記プロセッサ回路が、連続するシステム出力パルス間の前記持続時間を決定するために前記デジタル検出器信号を分析するように構成された、
請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記内視鏡の前記遠位端において配置され、可視照明光で前記標的を照明するように構成された照明光源と、
前記内視鏡の前記遠位端において配置され、前記照明された標的のビデオ画像を生成するように構成されたカメラと、
前記プロセッサ回路に結合され、前記照明された標的の前記ビデオ画像と、前記間隔データ信号によって表される前記決定された間隔の視覚的表現と、を表示するように構成されたディスプレイと、
をさらに備える、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
前記干渉計が、マイケルソン干渉計であり、
前記参照アーム光パルスが、前記第1の繰り返し率を有し、
前記測定アーム光パルスが、前記光ファイバの前記遠位端と前記標的との間の前記間隔の関数として変化する時間間隔だけ前記対応する参照アーム光パルスから時間的にオフセットされる、
請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項14】
前記光ファイバが、前記戻り光パルスを形成するために、前記測定アーム光パルスが前記光ファイバに入り、前記光ファイバの前記遠位端まで伝播し、前記光ファイバの前記遠位端から現れ、前記標的から反射され、前記光ファイバの前記遠位端に入り、前記光ファイバの前記遠位端から遠ざかるように伝播し、前記光ファイバから出るように構成された、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項15】
内視鏡の遠位端から伸長する遠位端を有する光ファイバを含む内視鏡システムを動作させるための方法であって、前記方法が、
干渉計を用いて、第1の繰り返し率を有する第1の周波数コムから第1の光パルスを受光するステップと、
前記干渉計を用いて、前記第1の光パルスから参照アーム光パルスと測定アーム光パルスとを形成するステップと、
戻り光パルスを形成するために、前記光ファイバを介して標的に前記測定アーム光パルスを導き、前記標的から前記測定アーム光パルスを導くステップと、
干渉計出力パルスを形成するために、前記戻り光パルスを前記参照アーム光パルスと干渉させるステップと、
ビームスプリッタを用いて、システム出力パルスを形成するために、前記干渉計出力パルスを、前記第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率を有する第2の周波数コムからの第2の光パルスと干渉させるステップと、
光検出器を用いて、前記システム出力パルスを感知するステップと、
プロセッサ回路を用いて、連続するシステム出力パルス間の持続時間から、前記光ファイバの前記遠位端と前記標的との間の間隔を決定するステップと、
前記プロセッサ回路を用いて、前記決定された間隔を表す間隔データ信号を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記光ファイバが、第1の時間において前記測定アーム光パルスを前記標的に送達し、前記測定アーム光パルスを前記標的から送達し、前記第1の時間とは異なる第2の時間において治療用光パルスを送達するように時間多重化され、前記治療用光パルスが、前記標的をアブレートするように構成され、前記治療用光パルスが、前記第1の光パルスから分光的に分離され、
前記内視鏡システムが、前記内視鏡から離間され、前記第2の時間において前記治療用光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源をさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記間隔データ信号によって表される前記決定された間隔に応答して、前記治療用レーザ光源の少なくとも1つの動作パラメータを変更するために前記プロセッサ回路を使用するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記間隔データ信号によって表される前記決定された間隔が指定されたしきい値間隔未満である場合、前記治療用レーザ光源を自動的にスイッチオフするために前記プロセッサ回路を使用するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記内視鏡システムが、前記内視鏡に対して、前記光ファイバを遠位方向に前進させ、前記光ファイバを近位方向に後退させるように構成されたアクチュエータをさらに含み、
前記方法が、
前記決定された間隔を指定されたしきい値と比較することと、
前記アクチュエータに、前記決定された間隔と前記指定されたしきい値との間の差を自動的に減少させることと、
を実行するために前記プロセッサ回路を使用するステップをさらに含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項20】
内視鏡と、
前記内視鏡から離間され、第1の時間において治療用光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源と、
前記内視鏡から離間され、第1の繰り返し率において繰り返す第1の光パルスを生成するように構成された第1の周波数コムと、
前記第1の繰り返し率において繰り返す参照アーム光パルスと、前記第1の繰り返し率において繰り返す測定アーム光パルスと、をそれぞれ形成するために、参照アームと測定アームとの間で前記第1の光パルスを分割するように構成されたマイケルソン干渉計と、
前記内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバであって、前記光ファイバが、
前記第1の時間において前記治療用光パルスを受光することと、
前記第1の時間とは異なる第2の時間において前記測定アーム光パルスを受光することと、
前記光ファイバの前記遠位端から標的に向けて現れるように、前記治療用光パルスおよび前記測定アーム光パルスを前記光ファイバに沿って導くことと、
前記標的から反射された前記測定アーム光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集することと、
前記収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、前記光ファイバに沿って前記光ファイバの前記遠位端から遠ざけるように導くことであって、前記マイケルソン干渉計が、干渉計出力パルスを形成するために、前記戻り光パルスを前記参照アーム光パルスと干渉させるようにさらに構成される、導くことと、
を実行するように構成された光ファイバと、
前記内視鏡から離間され、前記第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率において第2の光パルスを生成するように構成された第2の周波数コムと、
システム出力パルスを形成するために、前記干渉計出力パルスを前記第2の光パルスと干渉させるように構成されたビームスプリッタと、
前記システム出力パルスを感知するように構成された光検出器と、
連続するシステム出力パルス間の持続時間から、前記光ファイバの前記遠位端と前記標的との間の間隔を決定することと、
前記決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することと、
を実行するように構成されたプロセッサ回路と、
前記内視鏡の遠位端において配置され、可視照明光で前記標的を照明するように構成された照明光源と、
前記内視鏡の前記遠位端において配置され、前記照明された標的のビデオ画像を生成するように構成されたカメラと、
前記プロセッサ回路に結合され、前記照明された標的の前記ビデオ画像と、前記間隔データ信号によって表される前記決定された間隔の視覚的表現とを表示するように構成されたディスプレイと、
を備える、内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2022年10月19日に出願した米国仮出願第63/380,176号の利益を主張するものである。
【0002】
本文書は、一般に内視鏡システムに関し、より具体的には、内視鏡先端と標的との間の距離を決定および制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医師、施術者、またはユーザなどの操作者は、患者の内部の場所への視覚的アクセスを提供するために内視鏡を使用することができる。操作者は、患者の体内に内視鏡を挿入することができる。内視鏡は、標的の解剖学的構造または物体などの検査される標的に光を送達することができる。内視鏡は、物体から反射された光を収集することができる。反射された光は、検査される標的に関する情報を伝えることができる。
【0004】
内視鏡は、作業チャネルを含むことができる。いくつかの例において、操作者は、作業チャネルを通じて吸引を実行することができる。いくつかの例において、操作者は、ブラシ、生検針、または鉗子などの器具を作業チャネルに通すことができる。いくつかの例において、操作者は、患者の身体から不要な組織または異物を除去するなどのために、作業チャネルを通じて低侵襲手術を実行することができる。
【0005】
内視鏡は、アブレーション、凝固、気化、断片化、砕石術などのレーザ治療を実行するためにレーザまたはプラズマシステムを使用することができる。レーザ治療において、操作者は、軟組織または硬組織などの様々な標的治療領域に外科用レーザエネルギーを送達するために内視鏡を使用することができる。砕石術において、操作者は、患者の腎臓、胆嚢、尿管、もしくは他の結石形成領域内の結石構造を破壊するため、または大きい結石をより小さい破片にアブレートするために外科用レーザエネルギーを送達するために内視鏡を使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例において、内視鏡システムは、内視鏡の遠位端から伸長する遠位端を有し、標的に光を導き、標的から光を導くように構成された光ファイバと、第1の繰り返し率を有する第1の周波数コムから第1の光パルスを受光することと、第1の光パルスから参照アーム光パルスと測定アーム光パルスとを形成することと、戻り光パルスを形成するために、光ファイバを介して標的に測定アーム光パルスを導き、標的から測定アーム光パルスを導くことと、干渉計出力パルスを形成するために、戻り光パルスを参照アーム光パルスと干渉させることと、を実行するように構成された干渉計と、システム出力パルスを形成するために、干渉計出力パルスを、第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率を有する第2の周波数コムからの第2の光パルスと干渉させるように構成されたビームスプリッタと、システム出力パルスを感知するように構成された光検出器と、連続するシステム出力パルス間の持続時間から、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定することと、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することと、を実行するように構成されたプロセッサ回路と、を備えることができる。
【0007】
内視鏡システムが、内視鏡の遠位端から伸長する遠位端を有する光ファイバを含む例において、内視鏡システムを動作させるための方法は、干渉計を用いて、第1の繰り返し率を有する第1の周波数コムから第1の光パルスを受光するステップと、干渉計を用いて、第1の光パルスから参照アーム光パルスと測定アーム光パルスとを形成するステップと、戻り光パルスを形成するために、光ファイバを介して標的に測定アーム光パルスを導き、標的から測定アーム光パルスを導くステップと、干渉計出力パルスを形成するために、戻り光パルスを参照アーム光パルスと干渉させるステップと、ビームスプリッタを用いて、システム出力パルスを形成するために、干渉計出力パルスを、第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率を有する第2の周波数コムからの第2の光パルスと干渉させるステップと、光検出器を用いて、システム出力パルスを感知するステップと、プロセッサ回路を用いて、連続するシステム出力パルス間の持続時間から、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するステップと、プロセッサ回路を用いて、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成するステップと、を含むことができる。
【0008】
一例において、内視鏡システムは、内視鏡と、内視鏡から離間され、第1の時間において治療用光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源と、内視鏡から離間され、第1の繰り返し率において繰り返す第1の光パルスを生成するように構成された第1の周波数コムと、第1の繰り返し率において繰り返す参照アーム光パルスと、第1の繰り返し率において繰り返す測定アーム光パルスとをそれぞれ形成するために、参照アームと測定アームとの間で第1の光パルスを分割するように構成されたマイケルソン干渉計と、内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバであって、光ファイバが、第1の時間において治療用光パルスを受光することと、第1の時間とは異なる第2の時間において測定アーム光パルスを受光することと、光ファイバの遠位端から標的に向けて現れるように、治療用光パルスおよび測定アーム光パルスを光ファイバに沿って導くことと、標的から反射された測定アーム光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集することと、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くことであって、マイケルソン干渉計が、干渉計出力パルスを形成するために、戻り光パルスを参照アーム光パルスと干渉させるようにさらに構成される、導くことと、を実行するように構成された光ファイバと、内視鏡から離間され、第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率において第2の光パルスを生成するように構成された第2の周波数コムと、システム出力パルスを形成するために、干渉計出力パルスを第2の光パルスと干渉させるように構成されたビームスプリッタと、システム出力パルスを感知するように構成された光検出器と、連続するシステム出力パルス間の持続時間から、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定することと、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することとをするように構成されたプロセッサ回路と、内視鏡の遠位端において配置され、可視照明光で標的を照明するように構成された照明光源と、内視鏡の遠位端において配置され、照明された標的のビデオ画像を生成するように構成されたカメラと、プロセッサ回路に結合され、照明された標的のビデオ画像と、間隔データ信号によって表される決定された間隔の視覚的表現と、を表示するように構成されたディスプレイと、を備えることができる。
【0009】
様々な実施形態が、添付図面の図において例として示されている。そのような実施形態は、例証的であり、本主題の網羅的または排他的な実施形態はであることを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】内視鏡システムを動作させるための方法の一例のフローチャートである。
【
図3】光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定し、それに応じて間隔データ信号を生成するおよび/または適切なアクションを起こすように構成されたコンピュータベースの臨床判断支援システム(CDSS)の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
レーザ療法治療において、施術者は、内視鏡の遠位端を腎臓結石などの標的の近くに配置することができる。内視鏡は、光ファイバの遠位端またはその近傍にある組織をアブレートするために、光ファイバの遠位端を介するなどして、治療用レーザ光を標的に送達することができる光ファイバを含むことができる。処置中、組織は、レーザ光を吸収する可能性があり、局所的に比較的高い温度に加熱する可能性があり、組織内の局所的な熱歪みによって分解する可能性がある。
【0012】
治療中、光ファイバの遠位端と標的との間の分離を動的に監視または動的に制御することが有益である可能性がある。例えば、光ファイバの遠位端が標的に近すぎる位置にある場合、光ファイバの遠位端を劣化させる可能性があるフラッシングとして知られる状態が発生し得る。同様に、光ファイバの遠位端が標的から遠すぎる位置にある場合、治療用レーザ光のかなりの部分が、標的に達する前に吸収される可能性があり、これは、レーザ療法治療の効率を低下させるか、または処置を長引かせる原因となる可能性がある。
【0013】
以下に詳細に説明する内視鏡システムは、光ファイバの遠位端と標的との間のリアルタイム分離を動的に監視するために、光ファイバを通って戻る光に対してデュアルコム測距技法を使用することができる。測定技法は、光ファイバを通って戻る光を使用するので、測定技法は、同軸であると呼ばれる場合がある。
【0014】
具体的には、レーザ療法治療中、内視鏡システムは、リアルタイム分離を動的に決定するために、光ファイバを通って戻る光に対してデュアルコム測距技法を使用することができ、リアルタイム分離値に応答して、ユーザフィードバックを提供するおよび/またはアクションを起こすことができる。例えば、内視鏡システムは、ディスプレイ上に数値を表示すること、ディスプレイ上にリアルタイム分離のグラフィカル表現を表示すること、リアルタイム分離がいくつかの指定された範囲(小さすぎる、許容範囲、大きすぎるなど)のうちの1つにあるときを示す視覚的インジケータを表示すること、音声アラートを再生することなどの、リアルタイム分離を表すユーザフィードバックを施術者に提供することができる。別の例として、内視鏡システムは、リアルタイム分離が低すぎる場合に光ファイバを近位方向に後退させること、リアルタイム分離の指定された値を有するように光ファイバの遠位端を自動的に位置決めすること、など、リアルタイム分離に応答してアクションを起こすことができる。
【0015】
図1は、内視鏡システム100の一例の概略側面図を示す。内視鏡システム100は、内視鏡102を含むことができる。内視鏡102は、操作者によって把持されることが可能であり、操作者は、必要に応じて、患者の1つ以上の内部位置における腎臓結石などの1つ以上の標的を観察およびアブレートするために、内視鏡102を位置決めすることができる。いくつかの例において、内視鏡102は、剛性であり得る。1つ以上の例において、内視鏡102は、伸長軸に沿って伸長されることが可能である。内視鏡102は、伸長軸に沿って内視鏡102を通って伸長する1つまたは複数のチャネル、通路、または開口部を含むことができる。例えば、内視鏡102は、作業チャネルを含むことができる。いくつかの例において、操作者は、作業チャネルを通じて吸引を実行することができる。いくつかの例において、操作者は、ブラシ、生検針、または鉗子などの器具を作業チャネルに通すことができる。いくつかの例において、操作者は、患者の身体から不要な組織または異物を除去するなどのために、作業チャネルを通じて低侵襲手術を実行することができる。別の例として、内視鏡102は、標的の破片を洗い流すなどのために、標的108に灌注剤を供給することができる灌注チャネルを含むことができる。他のチャネルも使用されることが可能である。
【0016】
内視鏡システム100は、内視鏡102の遠位端106に配置された照明光源104を含むことができる。例えば、照明光源104は、内視鏡102の遠位端106に配置された1つ以上の発光ダイオードを含むことができる。いくつかの例において、発光ダイオードは、白色発光ダイオードであることが可能である。例えば、白色発光ダイオードは、青色光または紫色光の一部またはすべてを吸収することができ、それに応答して、電磁スペクトルの黄色部分におけるような1つ以上のより長い波長の光を放射することができる蛍光体と結合された青色または紫色発光ダイオードを含むことができる。他の照明光源も使用されることが可能である。照明光源104は、可視照明光スペクトル範囲を有する可視照明光で標的108を照明することができる。いくつかの例において、可視照明光スペクトル範囲は、電磁スペクトルの可視部分における波長を含むことができる。
【0017】
内視鏡システム100は、内視鏡102の遠位端106において配置されたビデオカメラなどのカメラ110を含むことができる。いくつかの例において、カメラ110は、レンズと、レンズの焦点面に配置されたセンサ素子と、センサ素子によって生成された電気信号をデジタル信号に変換することができる電子装置と、を含むことができる。カメラ要素は、内視鏡102の遠位端106において、比較的小さい密封パッケージ内に配置されることが可能である。カメラ110は、照明された標的108のリアルタイムビデオ画像をキャプチャする、または生成することができる。
【0018】
内視鏡システム100は、照明された標的108のビデオ画像を表示することができるビデオディスプレイなどのディスプレイ112を含むことができる。例えば、ディスプレイ112は、内視鏡102から離れた機器のラック上またはラック内に取り付けられ、光源ではない構成要素の大部分またはすべてを囲むことができるハウジング150から分離することができる。ディスプレイ112は、照明光源104からの白色光で照明された標的108のリアルタイムビデオ画像を施術者に提供する、または表示することができる。いくつかの例において、ディスプレイ112は、プロセッサ回路148(以下で説明する)に結合されることが可能である。いくつかの例において、ディスプレイ112は、照明された標的のビデオ画像と、光ファイバ116の遠位端118と標的108との間の間隔の視覚的表現とを表示するように構成されることが可能である。例えば、視覚的表現は、間隔の英数字表示、ダイヤル上などの間隔のグラフィック表示、間隔が許容範囲内にあることを示す緑色の表示、間隔が許容できない範囲内にあることを示す赤色の表示などの、1つ以上の指定された間隔の範囲に関して間隔を表す1つ以上の色、などのうちの1つ以上を含むことができる。他の表示方式が使用されることも可能である。
【0019】
内視鏡システム100は、パルスレーザ光などのレーザ光を生成することができる治療用レーザ光源114を含むことができる。治療用レーザ光源114は、内視鏡102が操作者によって位置決め可能であることが可能であるように、内視鏡102から離れて配置されることが可能であり、一方、治療用レーザ光源114は、処置中、内視鏡102から離間した固定位置に留まることができるレーザハウジング内に配置されることが可能である。いくつかの例において、治療用レーザ光源114は、約1920nmと約1960nmとの間の1つ以上の波長を有する光を生成することができるツリウムファイバレーザを含むことができる。いくつかの例において、治療用レーザ光源114は、2010nmの波長の光を生成することができるツリウム:YAG(イットリウムアルミニウムガーネット)レーザを含むことができる。いくつかの例において、治療用レーザ光源114は、2120nmの波長の光を生成することができるホルミウム:YAGレーザを含むことができる。いくつかの例において、治療用レーザ光源114は、2940nmの波長の光を生成することができるエルビウム:YAGレーザを含むことができる。いくつかの例において、治療用レーザ光源114によって生成されるレーザ光は、約1908nmと約2940nmとの間、もしくは約1920nmと1960nmとの間、約1900nmと約1940nmとの間、約1900nmよりも大きい、約1800nmよりも大きい、または他の波長などの第1の波長を含むことができる。これら(および他の)レーザ光源について、レーザ光は、水(組織の主要成分)が比較的高い吸収を有する電磁スペクトルの部分における波長を有することができる。処置中、組織は、レーザ光を吸収する可能性があり、局所的に比較的高い温度に加熱する可能性があり、組織内の局所的な熱歪みによって分解する可能性がある。
【0020】
内視鏡システム100は、内視鏡102から伸長することができる光ファイバ116を含むことができる。いくつかの例において、光ファイバ116は、マルチモード光ファイバであることが可能である。いくつかの例において、光ファイバ116は、内視鏡102の遠位端106から伸長する遠位端118を有することができる。いくつかの例において、光ファイバ116は、標的108に光を導き、標的108から光を導くことができる。
【0021】
いくつかの例において、光ファイバ116は、標的108から反射された治療用光パルス(TLP)の少なくとも一部を、収集された治療用光パルス(図示略)として収集することができる。いくつかの例において、光ファイバ116は、収集された治療光パルスの少なくとも一部を、戻り治療光パルス(RTLP)として、光ファイバ116に沿って光ファイバ116の遠位端118から遠ざけるように導くことができる。
【0022】
いくつかの例において、内視鏡システム100は、戻り治療光パルスを分析することができる分光計142を含むことができる。例えば、内視鏡システム100は、戻り治療光パルス(RTLP)のスペクトルに基づいて標的108の分析を実行するために、分光計142を使用することができる。例えば、分光計142およびプロセッサ回路148(以下で説明する)は、標的108の測定された分光プロファイルと、既知の材料に対応する指定された(有限の)複数の所定の分光プロファイルのうちの1つ以上と、を照合することによるなどして、標的108の材料組成を決定するために、標的108の分光プロファイルを使用することができる。これらは、例に過ぎず、標的108の他の適切な分析も実行されることが可能である。分光計142は、波長の関数として光強度(または振幅、または他の適切な測光量)を表すデータを含む分光計出力信号を生成することができる。プロセッサ回路148(以下で説明する)は、分光計出力信号を受信し、解釈することができる。
【0023】
いくつかの例において、光ファイバ116は、治療のために使用される光(例えば、標的108によって吸収され、標的108を物理的にアブレートする高出力光)の送達と、光ファイバ116の遠位端118と標的108との間のリアルタイム分離を決定するために使用される光の送達と、の間で時間多重化されることが可能である。分離決定について、ここで詳細に説明する。
【0024】
光ファイバ116の遠位端118と標的108との間のリアルタイム分離を決定するための技法は、デュアルコム測距と呼ばれる場合がある。デュアルコム測距は、わずかに異なる繰り返し率を有する2つの光周波数コムからの光を使用することができる。各光周波数コムは、一連の離散的な縦光学モードを含む広帯域コヒーレント光源であることが可能である。各光学モードは、繰り返し率(fr)およびオフセット周波数(fo)の観点において、f(n)=nfr+foとして記述されることが可能である。
【0025】
内視鏡システム100は、マイケルソン干渉計などの干渉計120を含むことができる。干渉計120は、第1の繰り返し率を有する第1の周波数コム122から第1の光パルス(FLP)を受光することができる。干渉計120は、ビームスプリッタ124を用いて第1の光パルス(FLP)を分割することによるなどして、第1の光パルス(FLP)から参照アーム光パルス(RALP)と測定アーム光パルス(MALP)とを形成することができる。干渉計120は、参照アーム光パルス(RALP)をビームスプリッタ124に向けて反射することができるミラーなどの参照アーム反射器126を含むことができる。
【0026】
干渉計120は、戻り光パルス(RLP)を形成するために、光ファイバ116を介して、測定アーム光パルス(MALP)を標的108に導き、測定アーム光パルス(MALP)を標的108から導くことができる。例えば、光ファイバ116は、戻り光パルス(RLP)を形成するために、測定アーム光パルス(MALP)が光ファイバ116に入り、光ファイバ116の遠位端118に伝播し、光ファイバ116の遠位端118から出て、標的108から反射し、光ファイバ116の遠位端118に入り、光ファイバ116の遠位端118から遠ざかるように伝播し、光ファイバ116から出るように構成されることが可能である。測定アーム光パルス(MALP)は、光ファイバ116の遠位端118と標的108との間の間隔の関数として変化する時間間隔だけ、対応する参照アーム光パルス(RALP)から時間的にオフセットされることが可能である。
【0027】
干渉計120は、干渉計出力パルス(IOP)を形成するために、戻り光パルス(RLP)を参照アーム光パルス(RALP)と干渉させることができる。干渉の前に、参照アーム光パルス(RALP)は、参照アーム反射器126とビームスプリッタ124との間の距離の2倍に等しい往復飛行時間遅延を経験する。干渉の前に、戻り光パルス(RLP)は、光ファイバ116の遠位端118と標的108との間の往復飛行時間遅延に加えて、ビームスプリッタ124と光ファイバ116の遠位端118との間の往復飛行時間遅延を含む往復飛行時間遅延を経験する。
【0028】
内視鏡システム100は、システム出力パルス(SOP)を形成するために、干渉計出力パルス(IOP)を、第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率を有する第2の周波数コム130からの第2の光パルス(SLP)と干渉させることができるビームスプリッタ128を含むことができる。いくつかの例において、第1の周波数コムおよび第2の周波数コムは、内視鏡から離間されることが可能である。いくつかの例において、(例えば、波長感受性ビームスプリッタが、コム光を治療用光から分離し、および/またはコム光を治療光と結合することができるように)第1の光パルスおよび第2の光パルスは、治療用光パルスから分光的に分離されることが可能である。
【0029】
内視鏡システム100は、エイリアシングおよび/または望ましくない高調波をフィルタリングすることによるなどして、システム出力パルス(SOP)の光スペクトルを低減することができる光バンドパスフィルタ132をオプションで含むことができる。いくつかの例において、光バンドパスフィルタ132は、調整可能であることが可能である。
【0030】
内視鏡システム100は、システム出力パルス(SOP)を感知することができる光検出器134を含むことができる。光検出器134は、システム出力パルス(SOP)などの光信号を内部電気信号に変換することができる1つ以上の光感知センサ素子を含むことができる。いくつかの例において、光検出器134は、感知されたシステム出力パルスに応答して、フィルタリングされていない電気信号(UES)を生成することができる。
【0031】
内視鏡システム100は、指定されたカットオフ周波数を超える周波数をフィルタリングするおよび/または減衰させることによるなどして、フィルタリングされた電気信号(FES)を形成するために、フィルタリングされていない電気信号(UES)の高周波成分を低減することができるローパスフィルタ136をオプションで含むことができる。
【0032】
内視鏡システム100は、フィルタリングされた電気信号(FES)を受信し、それに応答してデジタル検出器信号(DDS)を生成することができるアナログデジタル変換器138および付随するセンサ回路(図示せず)を含むことができる。
【0033】
内視鏡システム100は、プロセッサ回路148を含むことができる。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、コントローラと呼ばれる場合もある。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、純粋にソフトウェア内に実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、純粋にハードウェアにおいて実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、ソフトウェアとハードウェアの組合せとして実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、単一のプロセッサ上に実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、複数のプロセッサ上に実装され得る。いくつかの例において、複数のプロセッサは、共通のハウジング内に収容され得る。いくつかの例において、複数のプロセッサのうちの少なくとも2つが、異なるハウジング内に間隔を開けて配置され得る。
【0034】
プロセッサ回路148は、連続するシステム出力パルス(SOP)間の持続時間を決定するために、デジタル検出器信号(DDS)を分析することができる。プロセッサ回路148は、連続するシステム出力パルス(SOP)間の持続時間から、光ファイバ116の遠位端118と標的108との間の間隔を決定することができる。例えば、プロセッサ回路148は、間隔を、連続するシステム出力パルス(SOP)間の持続時間と、光ファイバ116の遠位端118と標的108との間の(液体)媒質中の光パルス速度と、第1の繰り返し率と第2の繰り返し率との間の差を第1の繰り返し率によって割った値と、の積の2分の1に等しいと決定することができる。これは、測定された持続時間から間隔を決定するための技法の一例に過ぎず、他の決定技法が使用されることも可能である。プロセッサ回路148は決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することができる。
【0035】
いくつかの例において、光ファイバ116は、第1の時間において測定アーム光パルス(MALP)を標的108に送達し、測定アーム光パルス(MALP)を標的108から送達し、第1の時間とは異なる第2の時間において治療用光パルス(TLP)を送達するように時間多重化されることが可能である。治療用光パルス(TLP)は、標的をアブレートすることができる。いくつかの例において、治療用光パルス(TLP)は、第1の光パルス(FLP)から分光的に分離され、および/または第2の光パルス(SLP)から分光的に分離されることが可能である。時間多重化を容易にするために、内視鏡システム100は、時間マルチプレクサ140を含むことができる。時間マルチプレクサ140は、
図1において、プロセッサ回路148によって電気的に制御または作動されることが可能なスイッチであるように示されているが、多くの時間多重化方式が可能である。例えば、時間マルチプレクサ140は、治療用レーザ光源114、第1の周波数コム122、および第2の周波数コム130を適切な時間においてオンおよびオフに切り替えさせるプロセッサ回路148などのソフトウェアにおいて実行されることが可能である。別の代替として、時間マルチプレクサ140は、治療用光と分離測定光とを結合および/または分離するために、1つ以上の波長感受性光学素子を用いることができる。他の時間多重化方式が使用されることも可能である。
【0036】
レーザ治療処置中、内視鏡システム100は、リアルタイム分離を動的に決定するために、光ファイバ116を通って戻る光に対してデュアルコム測距技法を使用することができ、リアルタイム分離値に応答して、アクションを起こすことができる。
【0037】
(分離をしきい値分離値と比較することに応答して起こされる)アクションの一例は、(例えば、
図1における距離(Z)を動的に変更または調整することによって)分離を動的に調整することである。例えば、内視鏡システム100は、内視鏡102に対して、光ファイバ106を遠位方向に前進させ、光ファイバ106を近位方向に後退させることができるアクチュエータ152をさらに含むことができる。プロセッサ回路148は、決定された間隔を指定されたしきい値と比較し、アクチュエータ152に、決定された間隔と指定されたしきい値との間の差を自動的に減少させることができる。そうすることは、処置の効率を向上させることができ、間隔が狭すぎる場合に発生し得るフラッシングイベントによって引き起こされ得るような光ファイバ116への損傷を防ぐのに役立ち得る。
【0038】
いくつかの例において、
図1の構成のように、アクチュエータ152は、ホイールを含むことができる。ホイールは、内視鏡102に対して位置が固定された中心を有することができる。ホイールは、光ファイバ116と接触する周面を有することができる。ホイールは、ホイールの中心またはその近傍に配置された回転アクチュエータなど、回転アクチュエータから回転可能であることが可能である。いくつかの例において、アクチュエータ152は、光ファイバ116の遠位端118が標的108に近すぎることを示すデータを受信したことに応答して、光ファイバ116を内視鏡102に対して近位方向に指定された距離だけ自動的に後退させることができる。上記で説明し、
図1に示すアクチュエータ152は、内視鏡102に対して、光ファイバ116を遠位方向に前進させ、光ファイバ116を近位方向に後退させることができるアクチュエータの一例に過ぎない。他の適切なアクチュエータが使用されることも可能である。
【0039】
(間隔データ信号によって表される間隔が指定されたしきい値間隔未満であると判定したことに応答して起こされる)アクションの別の例は、治療用レーザ光源114にその出力パワーをオプションでゼロまで低下させることである。
【0040】
(間隔データ信号によって表される間隔が指定されたしきい値間隔未満であると判定したことに応答して起こされる)アクションの別の例は、より多くの灌注液を標的108に供給することである。例えば、内視鏡システム100は、内視鏡に結合された灌注調整器154を含むことができる。灌注調整器154は、灌注ライン156を介して制御可能な灌注速度で生理食塩水などの灌注液を標的108に供給することができる。プロセッサ回路148は、光ファイバ116の遠位端118が標的108に近すぎることを示すデータを受信したことに応答して、灌注調整器154に灌注速度を増加させることができる。
【0041】
(間隔データ信号によって表される間隔が指定されたしきい値間隔未満であると判定したことに応答して起こされる)アクションの別の例は、ディスプレイ112上に表示される標的108の表示されたビデオ画像を抑制または中断することである。プロセッサ回路148は、光ファイバ116の遠位端118が標的108に近すぎることを示すデータを受信したことに応答して、ビデオ画像を抑制することができる。決定された間隔に応答して起こされるアクションの例は、単なる例に過ぎず、プロセッサ回路148は、代替的には、他の適切なアクションを起こさせることができる。
【0042】
図1において、光学素子間の光路のいずれかまたはすべては、自由空間において平行ビームを形成するためにコリメートレンズもしくは集束レンズを使用するような自由空間伝播、マルチモードファイバもしくはシングルモードファイバを使用する伝播などのファイバ伝播、または自由空間伝播とファイバ伝播の両方の組合せのいずれかを含むことができることに留意されたい。コリメートレンズまたは集束レンズは、明確にするために
図1から省略されている。
【0043】
図2は、
図1の内視鏡システム100などの内視鏡システム、または任意の他の適切な内視鏡システムを動作させるための方法200の一例のフローチャートを示す。方法200は、内視鏡システムを動作させるための方法の一例に過ぎず、他の方法も使用されることが可能である。内視鏡システムは、内視鏡の遠位端から伸長する遠位端を有する光ファイバを含むことができる。
【0044】
動作202において、干渉計は、第1の繰り返し率を有する第1の周波数コムから第1の光パルスを受光することができる。
【0045】
動作204において、干渉計は、第1の光パルスから参照アーム光パルスと測定アーム光パルスとを形成することができる。
【0046】
動作206において、干渉計は、戻り光パルスを形成するために、光ファイバを介して、測定アーム光パルスを標的に、および標的から導くことができる。
【0047】
動作208において、干渉計は、干渉計出力パルスを形成するために、戻り光パルスを参照アーム光パルスと干渉させることができる。
【0048】
動作210において、ビームスプリッタは、システム出力パルスを形成するために、干渉計出力パルスを、第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率を有する第2の周波数コムからの第2の光パルスと干渉させることができる。
【0049】
動作212において、光検出器は、システム出力パルスを感知することができる。
【0050】
動作214において、プロセッサ回路は、連続するシステム出力パルス間の持続時間から、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定することができる。
【0051】
動作216において、プロセッサ回路は、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することができる。
【0052】
いくつかの例において、内視鏡システムは、内視鏡から離間され、第2の時間において治療用光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源をさらに含むことができる。
【0053】
いくつかの例において、光ファイバは、第1の時間において測定アーム光パルスを標的に送達し、測定アーム光パルスを標的から送達し、第1の時間とは異なる第2の時間において治療用光パルスを送達するように時間多重化されることが可能である。
【0054】
いくつかの例において、治療用光パルスは、標的をアブレートするように構成される。
【0055】
いくつかの例において、治療用光パルスは、第1の光パルスから分光的に分離される。
【0056】
いくつかの例において、方法200は、間隔データ信号によって表される決定された間隔に応答して、治療用レーザ光源の少なくとも1つの動作パラメータを変更するためにプロセッサ回路を使用するステップをオプションでさらに含むことができる。
【0057】
いくつかの例において、方法200は、間隔データ信号によって表される決定された間隔が指定されたしきい値間隔未満である場合、治療用レーザ光源を自動的にスイッチオフするためにプロセッサ回路を使用するステップをオプションでさらに含むことができる。
【0058】
いくつかの例において、内視鏡システムは、内視鏡に対して、光ファイバを遠位方向に前進させ、光ファイバを近位方向に後退させるように構成されたアクチュエータをさらに含むことができる。いくつかの例において、方法200は、決定された間隔を指定されたしきい値と比較するためにプロセッサ回路を使用するステップをオプションでさらに含むことができる。いくつかの例において、方法200は、アクチュエータに、決定された間隔と指定されたしきい値との間の差を自動的に減少させるためにプロセッサ回路を使用するステップをオプションでさらに含むことができる。
【0059】
図3は、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定し、それに応答して、間隔データ信号を生成する、および/または光ファイバを自動的に遠位方向に前進させるもしくは光ファイバを自動的に近位方向に後退させるなどの適切なアクションを起こすように構成されたコンピュータベースの臨床判断支援システム(CDSS)300の一例の概略図を示す。様々な実施形態において、CDSS300は、間隔データ信号が入力特徴として人工知能(AI)モデル304に提供されることが可能な入力インターフェース302と、決定された間隔がユーザ、例えば、臨床医に伝達されることが可能な推論動作を実行するコントローラまたはプロセッサ回路148などのプロセッサと、を含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、入力インターフェース302は、CDSS300と、入力特徴の少なくとも一部を生成する内視鏡システム100または内視鏡などの1つ以上の医療デバイスと、の間の直接データリンクであり得る。例えば、入力インターフェース302は、治療および/または診断医療処置中に決定をCDSSに直接送信し得る。追加的または代替的に、入力インターフェース302は、ユーザとCDSS300との間の対話を容易にする古典的なユーザインターフェースであり得る。例えば、入力インターフェース302は、ユーザが手動で決定を入力し得るユーザインターフェースを容易にし得る。追加的または代替的に、入力インターフェース302は、1つ以上の入力特徴が抽出され得る電子患者記録へのアクセスをCDSS300に提供し得る。これらの場合のいずれにおいても、入力インターフェース302は、CDSS300が腎臓結石などの内視鏡システム100または内視鏡によって対処される医学的状態を評価するために使用される時点またはその前に、特定の患者に関連して決定を収集するように構成される。
【0061】
上記の入力特徴のうちの1つ以上に基づいて、コントローラまたはプロセッサ回路148は、決定を生成するために、AIモデルを使用して推論動作を実行する。例えば、入力インターフェース302は、間隔データ信号をAIモデルの入力層に送達することができ、AIモデルの入力層は、この入力特徴をAIモデルを介して出力層に伝播する。AIモデルは、データの分析において発見されたパターンに基づいて推論を行うことによって、明示的にプログラムされることなく、コンピュータシステムにタスクを実行する能力を提供することができる。AIモデルは、既存のデータから学習し、新しいデータについて予測を行い得るアルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)の研究および構築を調査する。そのようなアルゴリズムは、出力または評価として表現されるデータ駆動型の予測または決定を行うために、例示的なトレーニングデータからAIモデルを構築することによって動作する。
【0062】
機械学習(ML)には、教師ありMLと教師なしMLという2つの一般的なモードが存在する。教師ありMLは、入力と出力との間の関係を学習するために事前知識(例えば、入力と出力または結果を関連付ける例)を使用する。教師ありMLの目標は、対応する出力を生成するために入力が与えられたときに、MLモデルが同じ関係を実装することができるように、あるトレーニングデータが与えられたときに、トレーニング入力と出力との間の関係を最もよく近似する関数を学習することである。教師なしMLは、分類もラベル付けもされていない情報を使用するMLアルゴリズムのトレーニングであり、アルゴリズムがガイダンスなしにその情報に基づいて作動することを可能にする。教師なしMLは、データ内の構造を自動的に識別することができるので、探索的分析において有用である。
【0063】
教師ありMLに関する共通のタスクは、分類問題および回帰問題である。カテゴリ化問題とも呼ばれる分類問題は、アイテムをいくつかのカテゴリ値のうちの1つに分類することを目的とする(例えば、この物体は、リンゴかまたはオレンジか)。回帰アルゴリズムは、いくつかのアイテムを(例えば、ある入力の値にスコアを提供することによって)定量化することを目的とする。一般的に使用される教師ありMLアルゴリズムのいくつかの例は、ロジスティック回帰(LR)、ナイーブベイズ、ランダムフォレスト(RF)、ニューラルネットワーク(NN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、行列分解、およびサポートベクターマシン(SVM)である。
【0064】
教師なしMLに関するいくつかの一般的なタスクは、クラスタリング、表現学習、および密度推定を含む。一般的に使用される教師なしMLアルゴリズムのいくつかの例は、K平均法クラスタリング、主成分分析、およびオートエンコーダである。
【0065】
別のタイプのMLは、データを交換することなく、ローカルデータを保持する複数の分散型デバイスにわたってアルゴリズムをトレーニングする連合学習(協調学習としても知られる)である。この手法は、すべてのローカルデータセットが1つのサーバにアップロードされる従来の集中型機械学習技法、ならびにローカルデータサンプルが同一に分散されると仮定することが多い、より古典的な分散型手法とは対照的である。連合学習は、複数のアクターがデータを共有することなく共通の堅牢な機械学習モデルを構築することを可能にし、したがって、データプライバシー、データセキュリティ、データアクセス権、および異種データへのアクセスなどの重要な問題に対処することを可能にする。
【0066】
いくつかの例において、AIモデルは、コントローラまたはプロセッサ回路148による推論動作の実行の前に、連続的または定期的にトレーニングされ得る。次いで、推論動作中、AIモデルに提供される患者固有の入力特徴は、入力層から、1つ以上の隠れ層を介して、最終的に間隔または距離(Z)の値に対応する出力層に伝播され得る。
【0067】
いくつかの例において、AIモデルは、患者に対応するデータを含むことができるデータベースを含むことができる。データベースは、患者記録をCDSS300に提供することができる。
【0068】
推論動作中および/または推論動作に続いて、決定は、出力ユーザインターフェース308を介してユーザに伝達され得、および/またはプロセッサに接続されたアクチュエータもしくはアラームに所望のアクションを自動的に実行させ得る。例えば、コントローラまたはプロセッサ回路148は、アクチュエータに、内視鏡に対して光ファイバを移動させることができる。代替的には、コントローラまたはプロセッサ回路148は、アラームに、施術者への警報を出させることができる。いくつかの例において、CDSS300は、間隔データ信号に応答して起こされるアクションを決定するためにオプションで使用され得る。
【0069】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、例えば、内視鏡による生体内の医療用途(例えば、硬組織または軟組織)において、様々な標的の組成を識別することができる方法および装置を提供し得る。これは、処置の間中、操作者が内視鏡を通して見られる標的の組成を連続的に監視することを可能にし得る。これは、レーザシステムと組み合わせて使用されることも可能であり、その場合、方法は、標的の組成に基づいて設定を調整するためにレーザシステムにフィードバックを送り得る。この特徴は、操作者によって選択された元のレーザ設定の設定範囲内でレーザ設定の瞬時の調整を可能にし得る。
【0070】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、標的の化学組成などの差異を生体内で測定し、所望の効果をよりよく達成するために、レーザ設定を提案するかまたはレーザ設定を自動的に調整するシステムおよび方法を提供するために使用され得る。標的および用途の例は、腎結石のレーザ砕石術、および軟組織のレーザ切開または蒸発を含む。一例において、レーザ、分光システム、およびフィードバック分析器の3つの主要な構成要素が提供される。一例において、レーザシステムのコントローラは、標的組成に基づいて適切なレーザパラメータ設定を用いてレーザ治療を自動的にプログラムし得る。一例において、レーザは、分光器データを用いてトレーニングされた機械学習アルゴリズムに基づいて制御され得る。追加的または代替的に、操作者は、処置中に標的タイプの指示を継続的に受信し、レーザ設定を調整するように促され得る。レーザ設定を調整し、単一の結石標的の組成部分にレーザ治療を適応させることによって、結石のアブレーションまたはダスティング処置が、より高速かつよりエネルギー効率的に実行されることが可能である。
【0071】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、インターネット接続と、測定機能を有する他の外科用デバイスへの接続性と、を含む、フィードバック分析器にデータ入力を提供するためのシステムおよび方法を提供し得る。それに加えて、レーザシステムは、画像プロセッサなどの別のシステムに入力データを提供し得、それによって、処置モニタは、医療処置に関連する情報を操作者に対して表示し得る。これの一例は、処置中の視野内で、異なる軟組織、血管系、被覆組織、および例えば結石などの同じ標的内の異なる化学組成をより明確に識別することである。
【0072】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、異なる組織タイプまたは異なる結石タイプなどの、異なる標的タイプを識別するためのシステムおよび方法を提供し得る。場合によっては、単一の結石構造(例えば、腎臓結石、膀胱結石、膵胆道結石、または胆嚢結石)が、ブルシャイト、リン酸カルシウム(CaP)、シュウ酸カルシウム二水和物(COD)、シュウ酸カルシウム一水和物(COM)、リン酸アンモニウムマグネシウム(MAP)、またはコレステロールベースもしくは尿酸ベースの結石構造などの、その体積全体にわたって2つ以上の異なる組成を有し得る。例えば、標的結石構造は、CODの第1の部分と、COMの第2の部分と、を含み得る。一態様によれば、本文書は、生体内で分光データの継続的な収集および分析に基づいて、単一の標的(例えば、単一の結石)内に含まれる異なる組成を継続的に識別するためのシステムおよび方法について説明する。治療(例えば、レーザ療法)は、識別された標的組成に従って適応され得る。例えば、標的の結石内の第1の組成(例えば、COD)の識別に応答して、レーザシステムは、第1のレーザパラメータ設定(例えば、パワー、露光時間、または発射角度など)を用いてプログラムされ、第1の部分をアブレートまたは粉塵化するために、それに応じてレーザビームを送達し得る。分光学的データは、レーザ治療中に継続的に収集および分析され得る。治療される同じ標的結石内の第1の組成とは異なる第2の組成(例えば、COM)の識別に応答して、レーザ治療は、レーザパラメータ設定とは異なる第2のレーザパラメータ設定(例えば、異なるパワー、露光時間、または発射角度など)を用いてレーザシステムをプログラムすることなどによって調整され、同じ標的結石の第2の部分をアブレートまたは粉塵化するために、それに応じてレーザビームを送達し得る。いくつかの例において、複数の異なるレーザ源がレーザシステム内に含まれ得る。異なる組成の結石部分は、異なるレーザ源によって治療され得る。使用する適切なレーザは、結石タイプの識別によって決定され得る。
【0073】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、異なるタイプのレーザ源を組み込むことが有利であり得る様々な用途のためのレーザシステムに関連して使用され得る。例えば、本明細書で説明する特徴は、医療診断、治療、および外科的処置などの産業または医療現場において適している場合がある。本明細書で説明する特徴は、内視鏡、レーザ手術、レーザ砕石術、レーザ設定、および/または分光法に関して使用され得る。
【0074】
前述の詳細な説明において、本開示の方法および装置について、その特定の実施形態を参照して説明した。しかしながら、本開示のより広い要旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更が行われ得ることは明らかであろう。したがって、本明細書および図は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。
【0075】
本明細書で開示されるデバイスおよび関連する方法をさらに説明するために、例の非限定的なリストを以下に提供する。以下の非限定的な例の各々は、単独で成り立つことができ、または他の例のうちの任意の1つ以上と任意の順列または組合せにおいて組み合わされることが可能である。
【0076】
例1において、内視鏡システムは、内視鏡の遠位端から伸長する遠位端を有し、標的に光を導き、標的から光を導くように構成された光ファイバと、第1の繰り返し率を有する第1の周波数コムから第1の光パルスを受光することと、第1の光パルスから参照アーム光パルスと測定アーム光パルスとを形成することと、戻り光パルスを形成するために、光ファイバを介して標的に測定アーム光パルスを導き、標的から測定アーム光パルスを導くことと、干渉計出力パルスを形成するために、戻り光パルスを参照アーム光パルスと干渉させることと、を実施するように構成された干渉計と、システム出力パルスを形成するために、干渉計出力パルスを、第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率を有する第2の周波数コムからの第2の光パルスと干渉させるように構成されたビームスプリッタと、システム出力パルスを感知するように構成された光検出器と、連続するシステム出力パルス間の持続時間から、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定することと、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することと、を実施するように構成されたプロセッサ回路と、を備えることができる。
【0077】
例2において、例1の内視鏡システムは、光ファイバが、第1の時間において測定アーム光パルスを標的に送達し、測定アーム光パルスを標的から送達し、第1の時間とは異なる第2の時間において治療用光パルスを送達するように時間多重化され、治療用光パルスが、標的をアブレートするように構成され、治療用光パルスが、第1の光パルスから分光的に分離されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0078】
例3において、例1~2のいずれか1つの内視鏡システムは、光ファイバが、標的から反射された治療用光パルスの少なくとも一部を、収集された治療用光パルスとして収集することと、収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くことと、を実施するようにさらに構成され、内視鏡システムが、戻り治療用光パルスを分析するように構成された分光計をさらに備えるように、オプションで構成されることが可能である。
【0079】
例4において、例1~3のいずれか1つの内視鏡システムは、第1の周波数コムと第2の周波数コムとをオプションでさらに備えることができ、第1の周波数コムおよび第2の周波数コムは、内視鏡から離間され、第1の光パルスおよび第2の光パルスは、治療用光パルスから分光的に分離される。
【0080】
例5において、例1~4のいずれか1つの内視鏡システムは、内視鏡から離間され、第2の時間において治療用光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源をオプションでさらに備えることができる。
【0081】
例6において、例1~5のいずれか1つの内視鏡システムは、プロセッサ回路が、間隔データ信号によって表される決定された間隔に応答して、治療用レーザ光源の少なくとも1つの動作パラメータを変更するようにさらに構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0082】
例7において、例1~6のいずれか1つの内視鏡システムは、プロセッサ回路が、間隔データ信号によって表される決定された間隔が指定されたしきい値間隔未満である場合、治療用レーザ光源を自動的にスイッチオフするようにさらに構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0083】
例8において、例1~7のいずれか1つの内視鏡システムは、内視鏡に対して光ファイバを遠位方向に前進させ、光ファイバを近位方向に後退させるように構成されたアクチュエータをオプションでさらに備え、プロセッサ回路が、決定された間隔を指定されたしきい値と比較し、アクチュエータに、決定された間隔と指定されたしきい値との間の差を自動的に減少させるようにさらに構成される。
【0084】
例9において、例1~8のいずれか1つの内視鏡システムは、アクチュエータがホイールを備え、ホイールが、内視鏡に対して位置において固定された中心を有し、ホイールが、光ファイバと接触する周面を有し、ホイールが、回転アクチュエータから回転可能であるように、オプションで構成されることが可能である。
【0085】
例10において、例1~9のいずれか1つの内視鏡システムは、システム出力パルスの光スペクトルを低減するように構成された光バンドパスフィルタをオプションでさらに備えることができる。
【0086】
例11において、例1~10のいずれか1つの内視鏡システムは、光検出器が、感知されたシステム出力パルスに応答して、フィルタリングされていない電気信号を生成するように構成され、内視鏡システムが、フィルタリングされた電気信号を形成するために、フィルタリングされていない電気信号の高周波成分を減少させるように構成されたローパスフィルタをさらに備え、内視鏡システムが、フィルタリングされた電気信号を受信し、それに応答して、デジタル検出器信号を生成するように構成されたアナログデジタル変換器をさらに備え、プロセッサ回路が、連続するシステム出力パルス間の持続時間を決定するためにデジタル検出器信号を分析するように構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0087】
例12において、例1~11のいずれか1つの内視鏡システムは、内視鏡の遠位端において配置され、可視照明光で標的を照明するように構成された照明光源と、内視鏡の遠位端において配置され、照明された標的のビデオ画像を生成するように構成されたカメラと、プロセッサ回路に結合され、照明された標的のビデオ画像と、間隔データ信号によって表される決定された間隔の視覚的表現と、を表示するように構成されたディスプレイと、をオプションでさらに備えることができる。
【0088】
例13において、例1~12のいずれか1つの内視鏡システムは、干渉計が、マイケルソン干渉計であり、参照アーム光パルスが、第1の繰り返し率を有し、測定アーム光パルスが、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔の関数として変化する時間間隔だけ対応する参照アーム光パルスから時間的にオフセットされるように、オプションで構成されることが可能である。
【0089】
例14において、例1~13のいずれか1つの内視鏡システムは、光ファイバが、戻り光パルスを形成するために、測定アーム光パルスが光ファイバに入り、光ファイバの遠位端まで伝播し、光ファイバの遠位端から出て、標的から反射され、光ファイバの遠位端に入り、光ファイバの遠位端から遠ざかるように伝播し、光ファイバから出るように構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0090】
例15において、内視鏡の遠位端から伸長する遠位端を有する光ファイバを含む内視鏡システムを動作させるための方法は、干渉計を用いて、第1の繰り返し率を有する第1の周波数コムから第1の光パルスを受光するステップと、干渉計を用いて、第1の光パルスから参照アーム光パルスと測定アーム光パルスとを形成するステップと、戻り光パルスを形成するために、光ファイバを介して標的に測定アーム光パルスを導き、標的から測定アーム光パルスを導くステップと、干渉計出力パルスを形成するために、戻り光パルスを参照アーム光パルスと干渉させるステップと、ビームスプリッタを用いて、システム出力パルスを形成するために、干渉計出力パルスを、第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率を有する第2の周波数コムからの第2の光パルスと干渉させるステップと、光検出器を用いて、システム出力パルスを感知するステップと、プロセッサ回路を用いて、連続するシステム出力パルス間の持続時間から、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するステップと、プロセッサ回路を用いて、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成するステップと、を含むことができる。
【0091】
例16において、例15の方法は、光ファイバが、第1の時間において測定アーム光パルスを標的に送達し、測定アーム光パルスを標的から送達し、第1の時間とは異なる第2の時間において治療用光パルスを送達するように時間多重化され、治療用光パルスが、標的をアブレートするように構成され、治療用光パルスが、第1の光パルスから分光的に分離され、内視鏡システムが、内視鏡から離間され、第2の時間において治療用光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源をさらに含むように、オプションで構成されることが可能である。
【0092】
例17において、例15~16のいずれか1つの方法は、間隔データ信号によって表される決定された間隔に応答して、治療用レーザ光源の少なくとも1つの動作パラメータを変更するためにプロセッサ回路を使用するステップをオプションでさらに含むことができる。
【0093】
例18において、例15~17のいずれか1つの方法は、間隔データ信号によって表される決定された間隔が指定されたしきい値間隔未満である場合、治療用レーザ光源を自動的にスイッチオフするためにプロセッサ回路を使用するステップをオプションでさらに含むことができる。
【0094】
例19において、例15~18のいずれか1つの方法は、内視鏡システムが、内視鏡に対して、光ファイバを遠位方向に前進させ、光ファイバを近位方向に後退させるように構成されたアクチュエータをさらに含み、方法が、決定された間隔を指定されたしきい値と比較することと、アクチュエータに、決定された間隔と指定されたしきい値との間の差を自動的に減少させることとをするためにプロセッサ回路を使用するステップをさらに含むことを、オプションでさらに含むことができる。
【0095】
例20において、内視鏡システムは、内視鏡と、内視鏡から離間され、第1の時間において治療用光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源と、内視鏡から離間され、第1の繰り返し率において繰り返す第1の光パルスを生成するように構成された第1の周波数コムと、第1の繰り返し率において繰り返す参照アーム光パルスと、第1の繰り返し率において繰り返す測定アーム光パルスとをそれぞれ形成するために、参照アームと測定アームとの間で第1の光パルスを分割するように構成されたマイケルソン干渉計と、内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバであって、光ファイバが、第1の時間において治療用光パルスを受光し、第1の時間とは異なる第2の時間において測定アーム光パルスを受光し、光ファイバの遠位端から標的に向けて現れるように、治療用光パルスおよび測定アーム光パルスを光ファイバに沿って導き、標的から反射された測定アーム光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集し、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くように構成され、マイケルソン干渉計が、干渉計出力パルスを形成するために、戻り光パルスを参照アーム光パルスと干渉させるようにさらに構成される、光ファイバと、内視鏡から離間され、第1の繰り返し率とは異なる第2の繰り返し率において第2の光パルスを生成するように構成された第2の周波数コムと、システム出力パルスを形成するために、干渉計出力パルスを第2の光パルスと干渉させるように構成されたビームスプリッタと、システム出力パルスを感知するように構成された光検出器と、連続するシステム出力パルス間の持続時間から、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定することと、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することとをするように構成されたプロセッサ回路と、内視鏡の遠位端において配置され、可視照明光で標的を照明する照明光源と、内視鏡の遠位端において配置され、照明された標的のビデオ画像を生成するように構成されたカメラと、プロセッサ回路に結合され、照明された標的のビデオ画像と、間隔データ信号によって表される決定された間隔の視覚的表現とを表示するように構成されたディスプレイと、を備えることができる。
【符号の説明】
【0096】
100 内視鏡システム
102 内視鏡
104 照明光源
106 遠位端
108 標的
110 カメラ
112 ディスプレイ
114 治療用レーザ光源
116 光ファイバ
118 遠位端
120 干渉計
122 第1の周波数コム
124 ビームスプリッタ
126 参照アーム反射器
128 ビームスプリッタ
130 第2の周波数コム
132 光バンドパスフィルタ
134 光検出器
136 ローパスフィルタ
138 アナログデジタル変換器
140 時間マルチプレクサ
142 分光計
148 プロセッサ回路
150 ハウジング
152 アクチュエータ
154 灌注調整器
156 灌注ライン
300 臨床判断支援システム(CDSS)、CDSS
302 入力インターフェース
304 人工知能(AI)モデル
308 出力ユーザインターフェース
【外国語明細書】